トワイライト・ザナドゥ⑪〜魔法が世界へ齎すもの
「もう戦争は終盤ね!皆さんが頑張って『あおいちゃん☆サバイバーズ』を成功させたお陰で、少し有利に戦えているみたい。
けれどまだ強力な敵は残っているわ。あともう少し、頑張りましょう!」
年始から開幕したこのトワイライト・ザナドゥも残る期間はあと少し。グリモアベースに集まった猟兵たちへ、玻瑠璃子・セーラは笑顔を見せる。
「今回はセプテントリオンさんを守っている『オブリビオン』さんとの戦いよ!」
世界最大のメガコーポ「ティタニウム・マキア」の保有する究極兵器にしてオブリビオン・フォーミュラ、調停機『セプテントリオン』──かの存在は今、望まぬ滅びをこの世界に齎そうとしていた。
「セプテントリオンさんは今、未完成殲滅形態に変形しているの。そして失われた巨大ビーム砲『最終殲滅兵器アルコル』を自らのパーツで再現して放とうとしているわ!
この状態のセプテントリオンさんは全ての装甲を解除しているから、接敵さえできれば即座に撃破が可能よ。
けれど、無防備なセプテントリオンさんを守る強力なオブリビオンさん…『名前すら忘れられた魔法少女』を倒さなければならないわ…!」
セプテントリオンは無防備ながら、その操縦席に座する『融合した意志のかたまり』も備えは充分。猟兵たちは強力なオブリビオンの守護を乗り越えて、未完成アルコルを撃破せねばならないのだ。
「このオブリビオンさんのベースは放送打ち切りになった魔法少女のバーチャルキャラクターのようだけど、
似た境遇の番組の主人公たちの武器で武装しているみたいね。
この世の全てを呪い憎む魔法少女さんなんて、とっても悲しい存在だわ。
セプテントリオンさん自身は、世界の破壊を望んではいないもの…悲しい事は、絶対に止めなくっちゃね。
未完成アルコルのビーム砲を撃たせない為にも、オブリビオンさんをなるべく早く倒してあげましょう!」
しかしどんな危機が待ち受けていようとも、セーラは猟兵たちへと笑顔を向ける。どんな悲劇も猟兵たちならば乗り越えられるのだから。
「頑張って!この世界を守りましょう!」
セーラは指先から溢れ出る水の泡で円を描きグリモアを輝かせる。
戦場へ足を踏み入れた猟兵たちを迎えるのは、トンチンカンに混ざり合った何かの主題歌。世界を守る存在であった者が、この世界の破滅を望み牙を剥く──!
後ノ塵
後ノ塵です。はじめまして、あるいはこんにちは。
一章完結の戦争シナリオとなります。『名前すら忘れられた魔法少女』とのボス戦です。
オープニング公開時からプレイングを受け付け、順次執筆させていただきます。
プレイングボーナス……セプテントリオンが再現した「最終殲滅兵器アルコル」のビーム砲が放たれる前に👿を倒す。
皆様のプレイングお待ちしております。奮ってご参加のほど、どうぞよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『名前すら忘れられた魔法少女』
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POW : DXスーパーレンジャーガン
対象のユーベルコードに対し【戦隊ヒーローの光線銃から怪光線】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD : マジカルマスコット
召喚したレベル×1体の【他の魔法少女のお供の各種小動物】に【翼】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ : 借り物ではない、最後の力
【自身の魔法少女最終フォーム】に変身し、武器「【自身の魔法少女のステッキと魔法】」の威力増強と、【変身によって背中から生えた翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
イラスト:花芽 橙色
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「川村・育代」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
儀水・芽亜
ご機嫌よう、お嬢さん。
世界は無条件で誰にも優しいわけじゃありません。己という存在を証明するため、声を上げなければ。
唐突ですが、私の歌を聞いてもらえます?
「全力魔法」「歌魔法」希望の「属性攻撃」「コミュ力」「愛を伝える」「注目を集める」「アイドル力」「歌唱」「演奏(竪琴)」でField of Hope。
どうです、魔法少女アニメの曲みたいでしょう? あなたも一緒に歌いましょう。心の奥に閉じ籠っているあなた自身を呼び覚ますんです。
光線銃なんて仕舞って、もっと心弾ませましょう。
――楽しんでくれましたか? もしよければ、私をこの先へ通してください。
こんにちは、調停機。ブラストヴォイスを聞いてくださいな。
戦場に響くのはトンチンカンな背景音楽。数多の作品が混ざり合ったメロディ。その中で、滑稽とでも言いたげに哄笑を浮かべて佇む魔法少女。
歌詞も音もめちゃくちゃな混濁にあれど──そこには確かな主旋律も聴こえてくる。
「ご機嫌よう、お嬢さん。唐突ですが、私の歌を聞いてもらえます?」
敵を待つ魔法少女に、儀水・芽亜は微笑みを向ける。胡乱な眼差しを涼やかに受け止めて、竪琴に指を滑らせる。
──世界は無条件で誰にも優しいわけじゃない。己という存在を証明するため、声を上げなければ。
芽亜は軽やかな竪琴の音色と共に喉を震わせる。全力の歌魔法に込めるのは希望の輝き──Field of Hope。
主旋律の欠片を拾い集めて、紡ぐ歌詞はひた向きな愛を伝える言葉。|聞きなれたフレーズ《自らの主題歌》が混ざる歌声に、魔法少女の攻撃に構えたステッキが震える。
歌詞に沿ってアイドルのような振り付けで、しきりに目を逸らそうとする彼女の瞳を芽亜に注目させる。
「どうです、魔法少女アニメの曲みたいでしょう? あなたも一緒に歌いましょう。心の奥に閉じ籠っているあなた自身を呼び覚ますんです」
「うるさい…うるさいうるさい、ウルサイ!」
拒絶を露わに魔法少女は耳を塞いで頭を振った。憎しみと呪いが魔法少女の心を阻むなら、芽亜はもっと心を弾ませる為に歌うだけ。
「〽さあ 旅立ちましょう! そこは痛みも苦しみもない世界 地上の楽園を信じ 私たちは進む!」
弾むように解くように、芽亜は歌を響かせる。それは誰かの|言葉《うた》、芽亜の|言葉《うた》。そして──彼女の|言葉《うた》。
「楽園なんて…先なんて…全部なかった! 打ち切りなんだから!」
悲痛な叫びと共に魔法少女はDXスーパーレンジャーガンを芽亜へと向ける。その武器もまた打ち切りとなった戦隊ヒーローの光線銃。放たれる歪な怪光線はけれど、芽亜を捉えることもできず抜けていく。
「ど、どうして…!?」
魔法少女が狙いの定まらない光線銃をどれほど乱射しようとも、彼女の震える腕は照準を定めてくれない。耳に残るフレーズは彼女の心にとうに捨て去った気持ちを呼び起こす。存在しなかった物語と結末に、ハッピーエンドを迎えたかったなんて──とっくに諦めて捨ててしまったのに。
「光線銃なんて仕舞って、もっと心弾ませましょう。さあ、続けて!」
希望を歌うアイドルソングの合唱に魔法少女の唇が僅かに震える。紡がれる歌詞が描く物語は、ひと時の夢と希望。
「――楽しんでくれましたか? もしよければ、私をこの先へ通してください」
芽亜の頼み事に光線銃を構えたままの魔法少女は動けない。震える体で顔を俯ける彼女の隣を通りすぎて、芽亜は未完成アルコルとなったセプテントリオンを見上げる。
「こんにちは、調停機。ブラストヴォイスを聞いてください」
世界の為にも彼女の為にも芽亜は歌う。望まぬ破滅を止める為に。
大成功
🔵🔵🔵
アリルティリア・アリルアノン
ネガティブハートにスマイル配信!
バーチャル|魔法少女《ウィッチ》アリルちゃん、ログイン…なう!
魔法少女を名乗る者として、どんな理由があったって悪の親玉なんかに手を貸すのは許せません!
まずはアートとパフォーマンスの技能で生成した立体映像を多数展開しての撹乱と、オーラ防御魔法の多重詠唱による防護壁を併用して攻撃に対処します
その間にも情報収集しておいて得たデータをもとに、相手の予測移動地点に全力全開のホログラフィックペタルを放ちます
いつか終わりが来て、忘れ去られちゃうとしても…ほんの少し、どこかの誰かの夢や希望になる!
それが魔法少女ってもんでしょう!
世界を呪い、全てを憎む。そこに暗がりに沈む悪の心があるならば──アリルティリア・アリルアノンは正義に心を燃やして、戦場へと飛び込んでゆく!
「ネガティブハートにスマイル配信!
バーチャル|魔法少女《ウィッチ》アリルちゃん、ログイン…なう!」
軽やかなジングルが鳴り響き、ミントグリーンに光り輝くグラフィックの変身アクト。憎しみに染まる『名前すら忘れられた魔法少女』の前に現れるのもまた、ひとりの魔法少女──バーチャル|魔法少女《ウィッチ》アリルちゃん!
「魔法少女を名乗る者として、どんな理由があったって悪の親玉なんかに手を貸すのは許せません!」
正義を胸に、鋭い眼差しと共にエレクトロ・ルミネイトを突き付けるアリルは、輝きを放つ正義の魔法少女の姿。
だからこそ…志を定める事すら半ばで全てを打ち切られ、自分の名前も形作るものも失った魔法少女にとっては、眩しくて憎悪が募る。
「理由…理由なんてない…全部、何もなかった!」
名前も忘れ去られた彼女が慟哭すれば、歪なノイズが赤黒く輝いて身体を包み込む。ノイズを引き裂き露わになるのは、背中から生えた白き翼と宝石の大きなステッキ。借り物ではない、最後の力──彼女自身の魔法少女最終フォーム。
赤黒いノイズを纏う翼は凄まじい速度を描くも、アリルはすぐさま立体映像を展開する。出現した無数のアリルたちは重ねたオーラの防護壁で、ステッキから放たれる魔法を防ぎながら彼女を巧みに撹乱する。
「邪魔するな…っまとめて吹き飛べッ!」
「そんなの、アリルちゃんには大味ですよっ!」
届かぬ攻撃に焦れてステッキを大きく振り乱そうとも、どれほどの威力も当たらなければ怖くはない。
──彼女自身の最後の力は、打ち切り故に未完成なものだった。速いだけの飛翔に威力が高いだけの魔法。形があるだけで、彩りも何もない。彼女にとっては虚ろな力と翼──描かれなかった空白。
けれどその空白が彼女を苛むものであろうとも、今の彼女の姿に見えるのは、いつか確かに描かれた…誰かが描きたかった光。
「いつか終わりが来て、忘れ去られちゃうとしても…ほんの少し、どこかの誰かの夢や希望になる!」
溢れる叫びは、「魔法少女」の物語に憧れ、バーチャル|魔法少女《ウィッチ》となったアリルティリアの夢と希望。
「それが魔法少女ってもんでしょう!」
名前を忘れ去られてしまっても──彼女の物語だって、その姿だって、誰かにとっては色褪せない輝き。悪に与し心を曇らせる魔法少女が立ち塞がるなら、アリルは全力で迎え撃つ!
「かがやく正義の花よ舞え!」
エレクトロ・ルミネイトが光の花弁に解け渦を巻く。無数の光の花弁が嵐となって向かうのは──戦いの中で得た情報から予測した、彼女の移動地点。
「しまった…!」
「これがアリルちゃんの魔法少女!全っ力、全開ですー!!」
避ける事などできない光の花弁の輝きは、曇った心を穿つ一手。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
彼は本当は滅ぼしたくないのに
守護者は名前も無くして
世界の全てを呪う少女だなんて
その絡み合う因果が哀しい
何方も自由になるべきだ
たとえ再び骸の海に沈むだけだとしても
「少なくとも今此処からは」
戦うほど骸の海への怒りが強まるけど
今できる事を一つずつ
魔法少女が真っ直ぐ俺を目指してくる
指呼の間に入ったら走り跳躍し蟲で攪乱を
技能もフルに励起して攻撃を躱し翻弄しつつ
出来うる限りセプテントリオンにも近付く
アルコルのエネルギーの高まりも感じる
時間は無いけど落ち着いて
少女とセプテントリオンが重なった瞬間
乾坤一擲
全力で終焉光を詠唱し双方に終わりを導こう
名を知る事が出来ないのならせめて
「この戦いをちゃんと覚えておくよ」
滅びを望まぬ調停機『セプテントリオン』と、世界を呪い憎み滅びを求める『名前すら忘れられた魔法少女』──その絡み合う因果が生む哀しみに、葛城・時人は唇を噛みしめる。
戦いを重ねるほどに、時人の心に積み重なり強まる気持ちは、骸の海への怒り。しかしそれは、時人の歩みを留まらせるものではない。
何方も自由になるべきだ。たとえ、その先。再び骸の海に沈むだけだとしても。
「少なくとも今此処からは」
どうしようもない哀しみと、どこに向かう事もできない怒り──だからこそ時人は今できる事を一つずつ。一歩を踏み出す。
借り物ではない、最後の力──魔法少女は大きなステッキを構えながら清廉な翼を広げ、敵対者へと真っ直ぐ飛翔する。苦痛と哄笑に歪む彼女のその陰り曇った瞳から、時人は目を逸らさない。
時人が動くのは──指呼の間に入ったその瞬間。
「ククルカン!」
素早く白燐蟲を呼び寄せ時人は走り出す。純白の羽毛と翼持つ蛇は彼女のステッキが狙いを定める瞬間を狙って撹乱し、時人もまた持つ力の全てを励起する。
彼女の攻撃は単調な魔法攻撃とはいえ、その威力を軽んじることはできない。迫り来る魔法を跳躍で躱し受け流し、ククルカンと共に敵の標的を翻弄する。──そうして彼女に悟られぬように、時人の足が向かうのはセプテントリオンの膝下だ。
「いつまで逃げ回ってるつもり!?」
哄笑する彼女の魔法はいよいよ勢いを増してゆく上に、アルコルのエネルギーの高まりを感じれば、この戦いにも時間制限が迫っている事がわかる。
だが──ククルカンと併走する時人は、静かに呼吸を整え冷静に気持ちを落ち着ける。時間がないからこそ焦るわけにはいかない。残された時間が刻々と過ぎ去る中で、彼女をセプテントリオンの元へと誘導する。
幾つもの魔法を凌ぎ切れば、程なく訪れるのはたった一度のチャンス。ククルカンの薙ぎ払いを回避した彼女は、そのまま時人へ反撃を与える為にセプテントリオンの目前に躍り出る──時人が高らかに詠唱するのは終焉光。乾坤一擲の大技を、時人は全力で解き放つ。
光の果ては永遠の闇…終わりを導こう──。
激烈な創世光が視界を眩ませる。すべてを消滅させる輝きは音もなく彼女を飲み込み、膨れ上がる光はセプテントリオンを飲み込んで消滅させてゆく。
「この戦いをちゃんと覚えておくよ」
眩い光の中で、時人は呟く。名を知る事が出来ないのなら、せめて──時人にできることは、忘れない事だけ。
名前すら忘れられた魔法少女がここに居た、その記憶を刻むことが彼女への手向けとなるように。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
同情する境遇ではあるけれど
オブビリオンだから倒すしかないよね
それに手加減できる状況ではないから早く倒せるように戦うよ
戦闘開始と同時に邪神の慈悲を使用
ダメージと共に彫像化の状態異常を付与するよ
飛び回られると厄介だから
相手の体を重い石に変えていく事で動きを制限しよう
同時にガトリングガンの範囲攻撃を実施
面の攻撃で確実にダメージを稼ごう
弾丸にマヒ攻撃と硬化の力をのせて
弾丸でも石化の状態異常を重ねていこう
全ての弾丸を躱し切るのは難しいと思うよ
相手の魔法攻撃はできるだけ回避しつつ
避けられない攻撃は新規で防ごう
これは僕なりのオーラ防御だよ
時間はかけたくないからね
チャンスがあれば接近して間近で神気を浴びせよう
佐伯・晶がこの戦場で相対するのは『名前すら忘れられた魔法少女』──明かされた彼女の境遇は、同情に値するだろう。
「倒すしかないよね」
けれど、晶はただ静かに呟く。今の彼女は世界に仇なすオブビリオンだ。更にはこの戦争の最中、未完成アルコルを再現したセプテントリオンは世界を滅ぼそうとしている──手加減ができる状況でもない。
それなら、少しでも早く倒せるように動くまでだ。
晶が漆黒のドレスの裾を翻せば、零れ落ちるように溢れるのは胡乱な気配。
『永遠を差し上げますの』
微笑みを零す邪神の囁きがにわかに響き、晶の|宵闇の衣《ドレス》から万物に停滞を齎す神気が放たれる。
怪しい気配を携える晶にも魔法少女は臆することはない。苦痛と哄笑で歪んだ表情のまま、彼女は大きな翼を広げる。
それは借り物ではない、最後の力──彼女自身の魔法少女最終フォーム。
凄まじい速度で飛翔する彼女に晶はガトリングガンを連射する。すぐさま捉える事はできずとも、大きく銃身を動かし射程範囲を広く取れば彼女の動きにも対応できる。
どれほどの速度であっても面の攻撃には全てを避けきることはできず、彼女はその身体に晶の攻撃を被弾させる。
「っは…こんな攻撃、痛くもなんともない!」
けれど彼女は苦痛に顔を歪ませながらも虚勢を張った。魔法攻撃によるカウンターを放ち、晶は回避を余儀なくされる。体勢を崩した晶へ即座に追撃が押し寄せるも──今度は静謐な神気で攻撃を停滞させ防御する。
縦横無尽に空を飛翔し一見劣勢に見える戦況にも、晶は焦ることなく体勢を立て直し銃身を構える。晶が弾丸にのせているのは麻痺と硬化の状態異常…僅かな被弾からも彼女の動きはより鈍くなり、更にはドレスから放出する邪神の慈悲によってダメージと彫像化の状態異常が彼女を着実に蝕むのだ。
魔法少女の攻撃の波が去れば晶はまた弾幕を放ち、確実なダメージと状態異常の蓄積を狙ってゆけば、自ずと彼女の体は重い石そのものへと変化する。
「なに、これ…!?」
弾丸による負傷だけではなく状態異常によって著しく鈍る体に──彼女が気付く頃には手遅れだ。重みに耐えきれず滑空する翼へ晶は素早く接近する。
「時間はかけたくないからね」
「く…っ!」
魔法少女の攻撃を回避し防御しながら、晶は彼女の間近へと迫る。万物に停滞を齎す神気を浴びせれば、彼女に与えられるのは石の体。急速に広がる灰色は魔法でも解けない永遠だった。
大成功
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アウロラニア・ミーマメイズ
セプテントリオン、幾つもの戦場を巡ってあなと戦って来ましたね
今回はもう一人、手を差し伸べないといけない……キャラクターが居るようです
私のお願い、優しいあなたなら、きっと聞いてくれますよね
[Darkstar]による[推力移動]と[空中機動]を駆使して戦闘を
攻撃は[武器巨大化]した[Answerer]で受け止めます
本命は別の所
情報社会も極まった世界で、本当に全て消えるでしょうか
映像作品としてのそれらが失われていたとしても、歌なら?
方向を変えれば残っている可能性はあります
手近な端末を[Aegis]を通し[ハッキング]、情報収集し、『彼女』の主題歌を見付けます
街のスクリーンに歌詞を映し出しつつ、【麗しき九界の乙女】に[歌魔法]で声とメロディを届けて貰いましょう
さぁ、街の皆さん、セプテントリオン、一緒に歌いましょう
明日への希望と共に……この戦いを終わらせます
最期は巨大化した[Blue Moon]による[神聖攻撃]で、魔法少女とセプテントリオンを同時に貫きます
例え一時でも、どうか安らかにお休みなさい
「セプテントリオン、幾つもの戦場を巡ってあなたと戦って来ましたね。
今回はもう一人、手を差し伸べないといけない……キャラクターが居るようです」
戦場に降り立ったアウロラニア・ミーマメイズは静かに瞼を伏せる。
──私のお願い、優しいあなたなら、きっと聞いてくれますよね。
願いを込めて瞼をあげれば、|アウロラニアの瞳《[Darkstar]》は煌々と桃色の輝きを放つ。
生み出される推進力に乗って縦横無尽の空中機動に広げるのは3対6枚の|背部エネルギー大翼《[Answerer]》。
相対する魔法少女もまた清廉な翼を広げる──それは借り物ではない、最後の力…彼女自身の魔法少女最終フォーム。
「吹き飛べっ!」
大きなステッキから魔法はエネルギーを膨れ上がらせ放出するも、アウロラニアは背部から吹き上げるエネルギーによって、大翼を更に巨大化させ攻撃を難なく受け止める。
[Answerer]は仇なす悉くを灼き祓う事もできるもの。だがアウロラニアその力で彼女を虐げる事は望まない。本命の狙いは──彼女の記録。
微笑みを浮かべる|アウロラニアの髪[Aegis]がにわかに広がる。空を飛びゆく最中、蒼銀が探るのは『彼女』の主題歌だ。
情報社会も極まったこの世界で、本当に全て消えるだろうか?
映像作品としてのそれらが失われていたとしても、歌なら?
戦場に聞こえているのはトンチンカンに混ざり合った何かの主題歌──欠片は既に、ここに聴こえる。方向性を変えれば残っている痕跡を探り当てることもきっとできるだろう。
あらゆる端末に時空間に銀糸の手は伸びてゆく。僅かな欠片は確かな手がかりとなって、そうして希薄な望みを成就させてくれる。
「さぁ、おいで」
彼女の攻撃を大翼で凌ぎながら、手を広げるアウロラニアが生成するのは9つの時空転移球。
少女を象ったエネルギー体の眷属は、瞬く間にその姿を鮮やかな彩りの仮初に変える。色鮮やかな五色の少女たちと色褪せた四色の少女の姿。そららには誰もが見覚えもないだろう。けれどこの戦場でたった一人の姿だけは誰もが知っている──眷属が象るその仮初は、名前すら忘れられた魔法少女の本当の姿。
「──ッ!!」
息を飲む彼女の前で、アウロラニアは街のスクリーンに映し出す。ノイズがかったその映像は、数えるほどしか放送されなかった、誰も見覚えのない名前すら忘れられた魔法少女たちのオープニング。
「さぁ、街の皆さん、セプテントリオン、一緒に歌いましょう。明日への希望と共に……この戦いを終わらせます」
軽やかな音色と映像に映るテロップは、彼女たちの歌詞。仮初の姿の麗しき九界の乙女は、メロディに声を乗せてを歌魔法を震わせる。
五人の仲間、立ちはだかる四人の敵。その殆どは設定があるだけで、オープニングに影が描かれていただけで──打ち切られたから、物語なんて一つもない。けれど彼女は知っている。それが、大切なものになる筈だったことを。
──これが、私たちの宝物。
彼女は震える両手でステッキを構えるも、その魔法はなんの力も宿してはいない。だって打ち切りだったから──けれど、私はここに居た。
「例え一時でも、どうか安らかにお休みなさい」
魔法少女の目の前で、蒼銀の女神が大きな剣を両手に掲げる。剣を象るプラズマの|蒼き月《[Blue Moon]》が、その神聖なる力で貫くのは望まぬ滅びを齎すものと、世界を呪った小さな少女。
──ふたつの姿は、魔法のように掻き消えていった。
大成功
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