2
決戦、アルティメット・ベルセルカー~狂想と狂騒の果て
●サイバーザナドゥ:四葉市――ロウアータウン・実験街00地区
ロウアータウンに公然と存在していた「実験街」のひと区画に、クワハラ・ファーマシーCEO『アルティメット・ベルセルカー』が現れる。
何故今頃CEOが……? といぶかしむ住民たちを前に、アルティメット・ベルセルカーはベルセルク言語で話し始めた。
「預かっていた黄神大王と縞瑪瑙姫のクローンセルは破壊されてしまったおそらくウィリアム・迅雷と黄神大王に預けていた私のクローンセルも破壊されていることだろう」
住民たちが首を傾げるも、アルティメット・ベルセルカーは無視して続ける。
「ティタニウム・マキアの調停機『セプテントリオン』がこの世界を消滅させれば我々10大メガコーポのCEOは異世界への侵略に乗り出せることに変わりはないそうなれば私はコンキスタドールを警戒しつつグリモアベースを目指すのみ」
消滅、という物騒な単語にざわめく住民たちを無視し、ゆえに、と続ける。
「この実験街はもはや不要お前達は最後に私の役に立ってもらおう」
その言の葉とともに、アルティメット・ベルセルカーの周囲から骸の海でつくられた『赤い四葉』が次々と舞い、住民たちに触れる。
触れた住民たちは、たちまち過去と技術を吸い上げられ、その場で呼吸し立ち尽くすだけの人形となった。
住民たちが動きを止めると、アルティメット・ベルセルカーは手にしたアンプルを空高く投げ、機銃で破壊する。
空中高くから散布された薬品は、やがて住民たちの皮膚に付着し、あるいは口内に吸い込まれていった。
「う、が、あああぁ……」
「あが、が、が……」
薬品を吸い込んだ住民たちは、目を血走らせながら頭を抱え、呻き声を上げながら全身の筋肉を隆起させ、人ならざるものへと変化していく。
「やはり正気を失うかならばせいぜい暴れて破壊を繰り返すがいいそれこそが私への最後の貢献だ」
「ウガアアアアアアアア!!」
「グオオ、オオ、オオオオ!!」
結果を見届けたアルティメット・ベルセルカーは、踵を返し実験街の奥に消えていく。
それを見届けることなく、|狂戦士《ベルセルカー》と化した住民たちは、破壊衝動に突き動かされるように、実験街全体を破壊し始めた。
●クワハラ・ファーマシーCEO『アルティメット・ベルセルカー』に引導を渡せ
「ようやく本物の居所を把握したぜ――アルティメット・ベルセルカー!!」
グリモアベースの片隅で、グリモア猟兵森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)が叫ぶのを聞きつけた猟兵達が、次々と陽太の周りに集まって来る。
「サイバーザナドゥの10大メガコーポのCEOのひとり『アルティメット・ベルセルカー』の本物の居場所がわかった。皆には討伐に向かってほしいが、頼めるか?」
そう告げながら深々と頭を下げる陽太に、猟兵達は其々の想いを胸に頷いた。
「そもそも、ベルセルカーとは如何なる存在か――ここから説明しなきゃならねぇな」
陽太は頭を上げると、猟兵達に説明を始める。
「四葉市では時折、何の前兆もなくヒトが狂戦士の如く凶暴化する事件が幾度となく発生している。そして住民たちは凶暴化した人々を“ベルセルカー”と呼び怖れているんだ」
おそらく、サイバーザナドゥでは有害物質と認識されている『骸の海』の影響を過剰に受けたのが原因だろう……と陽太は語る。
「だがごく稀に、狂戦士と化してもなお正気を保ったまま、肉体も変異せず、人ならざる凄まじい力を得ることがある者が現れることがあってな、クワハラ・ファーマシーはそこに目を付け、“ベルセルカー”の研究を始めたそうだ」
その過程で、クワハラ・ファーマシーとその傘下企業「四葉製薬」は、骸の海を大量に含む薬品を何度もロウアータウンにばら撒き、実験を繰り返していたという。
「ほとんどの場合、狂戦士を大量に発生させるだけの結果に終わったし、俺も何度か対応を頼んできたんだが……クワハラ・ファーマシーは俺らが与り知らぬところで、尋常ならざる力を手にした『究極の|狂戦士《ベルセルカー》』を誕生させていたらしいな」
しかも『|究極の狂戦士《アルティメット・ベルセルカー》』はベルセルク言語により「空間を隔絶した過去の話者と会話する」能力を会得し、帝竜ベルセルクドラゴンから情報を得て、グリモアベースへの到達を目標に定めたそうだ。
「ってか、『ベルセルカー』と『ベルセルク』ドラゴンって確かに似てるけどよ!? ここで結びつくなんざ思ってねえって!?!?」
さすがに予想外過ぎだろこれ……と頭を抱える陽太に、猟兵達は何とも言えない表情を向けていた。
「さて、話を戻すぜ……ここで奴を止めなければ、グリモアベースに到達されちまう」
ゆえに、アルティメット・ベルセルカーは絶対ここで倒さなければならない、と陽太は断言する。
「奴の居場所はわかっている。四葉市のロウアータウンにある、クワハラ・ファーマシーとその傘下企業の四葉製薬の実験場――『実験街00地区』だ」
アルティメット・ベルセルカーは、己のクローンセルが全て破壊されたと察しているのか巧妙に居場所を隠しており、その上でCEO自ら「最後の実験」を行っているらしい。
「奴は『赤い四葉』で実験街の住人の過去と技術を全て奪った上で、残っていた実験段階の試薬をばら撒き全員『ベルセルカー』に変えやがった。俺らの足止めと実験街の“破壊”も兼ねてな」
己が証を全て奪われた挙句、純粋な破壊と殺戮の衝動に駆られた住民たちは、実験街全てを破壊しながら生ある者に襲い掛かる。
加えて、住民たちの過去を奪った『赤い四葉』は実験街の至る所に舞っているため、アルティメット・ベルセルカーのもとへ向かうには、『赤い四葉』をかわしながら狂戦士化した住民の群れを抜けるしかないだろう。
「ベルセルカーの予防、ないしは治療薬の研究も進んではいたんだが、まだ実用化には至ってねぇ。だから――ベルセルカー化した住民を助けることはできねぇ。倒すか避けるかするしかねぇから、覚悟してくれ」
住民たちの群れを突破すれば、アルティメット・ベルセルカーに大きく接近できるだろう。
「まあ、すんなりと相手できるとは思ってねぇ。もうひとつくらい何か妨害があると思っておいた方がいいが……現時点で何が起こるかは全くわかってねぇ」
そして、妨害を全て掻い潜れば、いよいよアルティメット・ベルセルカーに引導を渡すとき。
「本物はシンプルに『強い』。絶対先制に加え、数千パターンに及ぶ戦況変化をリアルタイムでシミュレートし続け、その都度最適解を選び対応してくるぜ」
ただし、クローンと同様、『現時点で最も合理的な殺戮手段』を選ぶ傾向があることに変わりはないため、事前に予測手を用意しておけば光明は見えてくるだろう。
「ここで奴を止めなければ、調停機『セプテントリオン』を撃破し世界消滅を阻止したとしても、奴は自力でグリモアベースへの道を見つけるかもしれねえ」
そして、オブリビオンの手でグリモアベースが破壊されれば、猟兵はグリモアの力を失ってしまう。
「だから、ここで奴は絶対止めてほしい――頼んだぜ!」
そう、力強く告げながら。
陽太は二槍と獅子のグリモアを起動し、猟兵達を実験街00番地に転送した。
北瀬沙希
北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
よろしくお願い致します。
サイバーザナドゥ戦争『トワイライト・ザナドゥ』において、全てのCEOのクローンセルが破壊されたことにより、全CEOに決戦を挑めるようになりました。
此度、北瀬がクワハラ・ファーマシーCEO『アルティメット・ベルセルカー』との決戦を担当させていただきます。
本シナリオは『CEO決戦』のため、やや厳しく判定致します。
また、本シナリオは第三戦線の締切とは無関係に運営しますが、戦争に敗北した場合はサイバーザナドゥが消滅するため運営中止となります。予めご了承の上での参加をお願いします。
ちなみに、『クワハラ・ファーマシー』は、北瀬が設定し、ストーリーを展開してきたメガコーポですが、過去シナリオは未読でも全く問題ございません。
●本シナリオの構造
冒険→冒険→ボス戦となります。
第1章は冒険『CEO決戦に挑め!』。
アルティメット・ベルセルカーの手で過去を奪われ狂戦士『ベルセルカー』と化した住民たちが、実験街やヒトを破壊しながら猟兵達の行く手を遮りまが、アルティメット・ベルセルカーが放った『赤い四葉』も猟兵達に襲い掛かりますので、両方に対処しながら先に進んでください。
プレイングボーナスは『赤い四葉をかわしながら、先へ進む』となります。
なお、住民たちの生死は判定には影響しません。
第2章は、第1章の展開次第でルートが分岐します。
詳細は、第2章開始時の断章でお知らせ致します。
第3章はボス戦『アルティメット・ベルセルカー』。
CEO本人との決戦ですが、今回は本物ですので、シンプルに『強い』です。
クローン戦で通用した戦術も、本物相手には通用しないかもしれません。よく戦術を練った上で挑んでください。
登場シチュエーション等、詳細は第3章の断章で開示いたしますが、『絶対先制』してくることと、プレイングボーナスに『敵の選ぶであろう殺戮手段を予測し、対抗する』があることだけは先にお伝えしておきます。
●プレイング受付について
全章、断章執筆後からプレイングの受付を開始。
締切はマスターページとSNS、タグで告知致します。
なお、お預かりしたプレイングは、問題がなければ時間が許す限り採用予定です。
全章通しての参加、気になる章のみの参加、どちらでも大歓迎です。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『CEO決戦に挑め!』
|
POW : 身体を張って困難を跳ね除ける
SPD : 仕掛けられた罠に気付き、解除する
WIZ : CEOの隠し持つ何らかの「奥の手」に対処する
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●サイバーザナドゥ:四葉市――ロウアータウン・実験街00地区
転送された猟兵達が目にしたのは――まるで大災害が起きたかと見間違うほどの実験街の姿。
雑多に並んでいたバラックは尽く壊され、コンクリート製の雑居ビルも|狂戦士《ベルセルカー》と化した住民が力ずくで破壊し瓦礫と化していた。
街の至るところからは、煙や炎もあがっている。
おそらく、サイバーザナドゥが消滅しなくても――この街は完全に崩壊するだろう。
街の至る所からは、ベルセルカー化した住民たちの咆哮が地を揺らす程に轟いている。
そして咆哮が上がる都度、肉体や機械化義体が引き千切られ、ばら撒かれている。
さらに煙や炎、騒乱の空気に紛れるように、骸の海でつくられた『赤い四葉』が飛び交い、舞い踊っている。
それは、未だ正気を保っている住民たちの気配に吸い寄せられるように家屋内に飛び込み――次々と過去と技術を奪っていった。
おそらく、『赤い四葉』は猟兵達の過去や技術も奪おうとするだろう。
触れられたら事実上無力化するゆえ――何としてでも避けながら進まねばなるまい。
過去や技術を奪われ、さらにアルティメット・ベルセルカーが散布した薬品で心身ともに狂わされた住民たちは。最早目につくものを片っ端から破壊するだけの存在となっている。
ベルセルカー化と同時にオブリビオンと化した彼らを助ける術を――猟兵達は持ち合わせていない。
住民たちを倒し、アルティメット・ベルセルカーがいると思しき実験街の奥を目指すか。
あるいは、あえて住民たちを傷つけずに先を目指すか。
――決断は、猟兵達の手に委ねられた。
※マスターより補足
第1章は、『赤い四葉』をかわしつつベルセルカー化した住民の群れを抜け、『アルティメット・ベルセルカー』がいると思しき実験街の奥へと向かって下さい。POW/SPD/WIZは参考程度でOKです。
ベルセルカー化した住民の生死は判定には影響しませんが、住民を傷つけず突破したかどうかは2章の展開に影響します(有利になるとは限りません)。
なお、アルティメット・ベルセルカーがばら撒いた薬品は、猟兵には何の影響もありませんので、PCがベルセルカー化する心配はありません。
プレイングボーナスは『赤い四葉をかわしながら、先へ進む』となります。
――それでは、悔いなき選択を。
※過去の『四葉製薬』シナリオに参加された方へ
過去の参加シナリオでコネクションを構築したNPCと接触したい場合は、「実験街に突入する前」に接触したという形で接触可能とします。
ただし、NPCによっては事情があり接触できない場合もありますので、ご了承の上でプレイングをおかけください。特に『秘境』にいるジェイムス・アッシュは、秘境の防衛を優先しますので、今回接触はできません。
なお、2章以降はNPCとの接触は不可となりますので、接触したい方はこの章でお願いします。
リオン・リエーブル
まずは野上警部補に会うよ
ちょっと力を借りたいんだけどいいかな?
指定UC発動
心も癒す赤い飲み物同時発動
一緒に飛翔して手分けして錬金術と全力魔法、二回攻撃に鎧無視攻撃と不意打ちの先制攻撃で霧状の赤い飲み物を狂戦士達に放つよ
彼らも呼吸はするよね
強制摂取させて心と体の傷を癒しつつ魅了状態にしよう
迎えに行くまで大人しくしててね
赤四つ葉はオーラ防御と認識障害と空中機動と見切りで回避
魅了できたら野上警部補に連絡
とりあえず保護しといてよ
ボス倒したら元に戻せるかも知れないし
戻せなかったら後で責任もって「処分」に来るからさ
解毒薬が間に合わなかったおにーさんの
せめてもの贖罪だよ
ゴーレムさんを飲物係に残して先に進むよ
●
――サイバーザナドゥ、四葉市。ロウアータウン。
公然の秘密として存在していた『実験街00番地』に初めて足を踏み入れたリオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)は、目前に広がる破壊の嵐に思わず言葉を呑み込んでいた。
――破壊されたと思しきコンクリート製の建物とバラックの残骸。
――至る所に散乱している、|機械化義体《サイバーザナドゥ》の部品と肉片。
――そして、過去と技術を奪われ狂戦士化し暴れまわる、実験街の住人達。
調停機セプテントリオンが齎そうとしている世界の終わりとは別の形で、この実験街に終焉を齎そうとしている住民たちを目にし、リオンは思考をフル回転させる。
(「魅了出来たら保護しておいてと野上警部補に応援は要請したけど……うまくいくかな」)
“ベルセルカー”の件で何度か協力して来た、YCPロウアータウン分署の野上警部補には、赤い四葉の影響を回避してもらうべく、実験街00番地の入口付近で待ってもらっている。
ならば――あまり悠長な手段は取っていられまい。
「これはゴーレムさんの手を借りるか。『一緒に使えば効果は倍増ってね』」
――ずももももんっ。
もはやなじみ深くなった擬音と共に、鏡映しゴーレムさんが登場。
それと同時に、周囲の住民たちの目が一斉にゴーレムさんに向いた。
「さあて、君たちには大人しくしていてもらうよ。『きみを癒してあげるよ』……ってね」
魔術の詠唱を終えると同時に、リオンとゴーレムさんの背中から何故か赤い翼が生える。
「ウガアアアア!!」
「アア、アアア、アアア!!」
「おっとぉ!!」
赤い翼を目にした住民たちが、リオンとゴーレムさんを破壊せんと殺到するが、ひとりと1体は翼を大きく羽ばたかせながら空中に飛翔し、破壊の手を逃れた。
空中に逃げたリオンとゴーレムさんに、住民たちは手出しできない。
「じゃ、これ飲んで……いや、吸って大人しくしていてね」
リオンとゴーレムさんは錬金術で赤い飲み物を瞬時に合成し、霧状に散布し始める。
(「ベルセルカー化しても、彼らは呼吸するよね? それなら霧状にすれば呼吸すると同時に摂取されるはず」)
その狙い通り、赤い霧を浴びた住民たちは徐々に動きを止め、魅了されたかのようにリオンとゴーレムさんを見つめている。
狙い通りにいった、と確証を得たリオンは、全身に纏ったオーラと認識をずらす魔術で赤い四葉を避けつつ飛び回り、赤い霧を撒き続けた。
「野上警部補、とりあえず少しは魅了で足止めしたよ」
『ありがとうございます。いったんこちらで保護します』
リオンの連絡を受け、野上とその部下たちが実験街に突入し、赤い四葉に触れないように注意しながら魅了された住民たちを保護し、護送車へと収容していく。
『でも、彼らを戻せる見込みは……あるのでしょうか』
「……おにーさんにも何とも言えないね」
野上の疑問に、リオンも言葉を濁すしかない。
そもそも、実験街の住民らは、赤い四葉で過去と技術を奪われた上でベルセルカー化している。
ゆえにベルセルカー化が治療できても、奪われた過去と技術を戻さない限り、正気には戻らないだろう。
「ボスを倒したら元に戻せるかもしれないけど、戻せなかったら後で責任もって『処分』に来るからさ」
(「解毒薬が間に合わなかったおにーさんの、せめてもの贖罪だよ」)
その言の葉をあえて呑み込むリオンに、野上も首肯し告げる。
『……わかりました。それと』
「それと?」
『本件、及びアッパータウンに突如出現した巨大ロボの件ですが、YCPの本部から全分署に『介入厳禁』との通達が出ております』
「……そっか」
言外にCEOから手が回されていると察したリオンは、あえて言葉を濁す。
「その上で、我々はこのままゴーレムさんと共に救助活動を続けます」
赤い霧を生成し散布し続けているゴーレムさんを横目に見つつ、野上はですから、と続ける。
『リオンさん、この事態の収拾をお願いします――どうかご無事で』
「うん、野上警部補も無理しないでね」
そう、気遣う一言を残して。
リオンは翼を羽ばたかせ、赤い霧を撒きながらアルティメット・ベルセルカーのもとへと急いだ。
大成功
🔵🔵🔵
エルセ・リーリャ
面倒。
標的を抹殺するのが最優先に行く。運が悪かったと諦めてもらうね。
アルティメット・ベルセルカーがいるであろう場所を目指して最短で迅速に進むよ。
舞い踊る赤い四つ葉は軌道を見て躱しながら突き進み赤い四つ葉を最も巻き込めるところで矢弾の雨を降らせて纏めて撃ち落とすよ。
巻き込まれた人は・・・運がなかったね。
ここにいてもいずれ死ぬだろうし嫌なら逃げればいい。
それができるのであれば、ね
取り敢えず安全を確保で来たらまた舞うまでに先を急ぐよ。
●
サイバーザナドゥ、四葉市ロウアータウンの一角に公然と存在し続けている『実験街00地区』は、クワハラ・ファーマシーCEO『アルティメット・ベルセルカー』に|狂戦士《ベルセルカー》に変貌させられた住民たちの手で終焉を迎えようとしている。
エルセ・リーリャ(星を穿つ|射手《サジタリウス》・f44388)は、そんな破壊と殺戮に染まり切った街と住民を一瞥し、即座に決断した。
「面倒。標的を抹殺するのが最優先に行く」
入口付近で錬金術師とゴーレムが赤い霧を散布しているの横目に、エルセは迷いなく実験街の奥へ向け走り始める。
アルティメット・ベルセルカーの正確な居所は、未だ掴めていないが、実験街を軽く見回すと、意図的に外壁が“目立たない”よう塗装されているビルが目に入った。
(「アルティメット・ベルセルカーはあそこにいるのかな」)
ならば、目指す場所は――あのビルだろう。
そんなエルセに向けて、“ベルセルカー”と化した住民の群れと、アルティメット・ベルセルカーが放った『赤い四葉』が迫る。
触れれば過去と技術を吸い上げ、骸の海に放逐するという『赤い四葉』は、アルティメット・ベルセルカー以外の生物の過去や技術を吸い上げてしまう。
「そこ!!」
エルセは赤い四葉の舞い踊る軌道を見極め回避しつつ、殲滅弓ガーンディーヴァの弦を引く。
彼女専用にカスタムされた弓に、光の矢が現れた。
『形在るもの、形無きもの全てよ。無に返るがいい』
エルセは現れた光の矢を、空中に向け放つ。
光の矢は空中で無数に分裂し、光の雨となりて降り注いだ。
エルセを中心に半径153メートル以内の空間を舞っている赤い四葉は、光の雨に触れるや否や、浄化されたかのように消滅し、骸の海へと還してゆく。
だが、降り注ぐ光の雨は、“ベルセルカー”化した住民をも次々と射抜いていた。
「アアアアアアア!!」
「ギャアアア!!」
射抜かれた住民たちは、次々と地面に倒れ伏し、二度と動かなくなる。
(「ここにいてもいずれ死ぬだろうし、嫌なら逃げればいい……それができるのであればだけど」)
とはいえ、この実験街から逃げ出そうとする気力ののある住民は……おそらくいないだろう。
空中を漂っているであろう“ベルセルカー”化を引き起こす薬品は、猟兵には全く効果がないらしく、エルセが浴びても何の影響もないが、住民たちには残酷な程等しく影響しているようで、正気を保っている住民は目に見える範囲では見当たらない。
(「ひょっとしたら、『狂戦士と化してもなお正気を保ったまま、肉体も変異せず、人ならざる凄まじい力』を得た住民がいるかもしれないけど、そう言う人もいなさそうだね」)
「……運がなかったね」
ヒトとしての生を断たれ、倒れ伏した住民たちにそう声をかけながら、
エルセは弓を手にしたまま、赤い四葉が新たに舞い始める前に、最短、かつ迅速にアルティメット・ベルセルカーの居所を目指し、先へ進む――。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
私は殺し屠り滅ぼすもの
救うものではありません
そしてあなたたちを救う義理も義務もない
……ですが、あなたたちの無念と恨みは私が背負っていきましょう
私は咎人殺し、晴らせぬ恨みを晴らすものなのですから
とはいえ、無理に救うつもりもありませんが無理に殺すつもりもありません
UCを使用し住民たちもろとも戦場全体を凍らせます
それで生き残るかどうかまでは私の責任ではありません
鎖を舞わせオーラを込めた衝撃波を範囲攻撃として展開
エネルギー嵐として赤い四つ葉を吹き散らしながら早業で進みます
見切りと心眼、第六感も併用して切り抜けていきましょう
悍ましい赤い四つ葉、その骸の海の気配を感じ取ることは
難しくないはずです
●
サイバーザナドゥ全体に|黄昏《トワイライト》が迫っている頃、四葉市ロウアータウンの一角に公然と存在し続けている『実験街00地区』の歴史も、クワハラ・ファーマシーCEO『アルティメット・ベルセルカー』に|狂戦士《ベルセルカー》に変貌させられた住民たちの手で終わろうとしている。
理性を失い、目を血走らせ人ならざるものへと変貌を遂げながら、破壊と殺戮の衝動の赴くままに自ら住まう街を壊しつづけている住民たちの姿に、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は複雑な想いを抱いていた。
「私は殺し屠り滅ぼすもの――救うものではありません」
この街に縁もゆかりもない魅夜に、街の人々を救う義理や義務はない。
だが、街全体に漂う恨みや悲しみ、憎しみの感情は、咎人殺したる魅夜にも感じ取れる。
その感情が誰のものか、誰に向けられたものかは、今となっては知る由もないし、感情を向けていた者は例外なく狂戦士と化しているだろう。
「……ですが、あなたたちの無念と恨みは私が背負っていきましょう」
――咎人殺しは、晴らせぬ恨みを晴らすものなのですから。
意図せず己たる証を全て奪われ、破壊の権化と変えられてしまった住民たちの声なき恨みを掬い上げながら、魅夜はかつて己を拘束していた鎖を伸ばした。
住民たちを無理に救うつもりもない。
だが一方で――無理に殺すつもりもない。
ゆえに魅夜は、|古の叡智《ユーベルコード》で戦場全体の熱を冷まそうとする。
『凍てつけ世界凍り付け森羅万象、蒼き輝きの中とこしえに』
魅夜が言の葉を戦場に流すと、戦場全体の気温が急激に低下し始める。
やがて、周囲の気温が絶対零度まで下がり、地面やバラックがピシ……と音を立てて凍りつき始めた。
「ウガ、ア、アアアァァァ……」
「ガ、グギギ……」
絶対零度の空間と化した世界の中で、“ベルセルカー”化した住民たちは次々と凍り付き、動きを止めてゆく。
もし、仮に火炎や高熱・高温などを齎す熱源を持ち込んだ者がいたとしても、この世界を燃やすどころか温めることすらできないだろう。
急速に騒乱の熱が冷めていく戦場で、しかし赤い四葉は低下した気温をものともせず舞い踊っている。
(「骸の海でつくられたという悍ましい赤い四葉、その気配を感じ取ることは難しくないとは思っていましたが……」)
魅夜以外の生物が悉く凍り付き、動きを止めた静寂の空間で、赤い四葉だけが唯一己が意思で過去を、技術を奪おうと舞い続けている。
不吉な印象しか受けない四葉を見て、魅夜は鎖に薄い闇のオーラを籠め、赤い四葉の舞に合わせるように舞わせ始めた。
鎖に纏わりつく闇のオーラが、鎖が舞う勢いに合わせ衝撃波となり、エネルギー嵐の如く魅夜の周囲を荒れ狂いながら赤い四葉を呑み込み、吹き散らし、バラバラにしてゆく。
吹き散らされる赤い四葉のかけらに触れないよう気を張り詰めながら、魅夜は鎖を右へ左へと舞わせつつ、一気に走り抜けていった。
大成功
🔵🔵🔵
水森・ふうか
【七風】/他連携◎
うう、この前よりも多い…密集度が違いすぎる
けど、一応は効果があったんだ
何もしないよりは、やっていかなきゃ!
構わず岬さんは先に――
え、いいん、ですか?
これは私のわがままなのに…
…っ!は、はい!
行きましょう、岬さん!
方針:住民を浄化しながら進む
呼吸を整え、集中――流れを、掴むんだ
【精神統一・指定UC・受け流し】で触れる人の精神を浄化していく…けど
えっ、そのまま棒立ちしてたら…危ない!
だ、ダメだ
前と同じ行動じゃ被害が増えちゃう!
――!岬さん…!
はい!意地、通します!
意志を強く、強く持って〔八百耶刀〕を抜く
喚ぶは狂気を断つ刃
【浄化・斬撃波・範囲攻撃】で赤い四葉諸共、一帯を、一閃する!
七織・岬
【七風】/他連携◎
あー…ったく、とっとと大物とやりたいんだがなァ
時間もないってのに、正気か、ふうか
――本気だなァ、その目は
ま、乗り掛かった舟だ、付き合ってやるよ
あん?呆けた顔すんな
それなりに組んで行動してきただろうが
ホラ行くぜ、相棒!
方針:ふうかの邪魔になる赤い四葉を斬り払う
さーて、俺の相方はめんどくせェ人助けをご所望だ
悪いがそれに集中させてもらう
〔竹光〕で自分やふうかに襲い掛かってくる住民を【軽業・見切り・受け流し・マヒ攻撃】で退け、赤い四葉は〔剣気〕を伸ばし【気配感知・第六感・見切り・早業・指定UC・切断】して、ふうかを【護衛】する
っと、気合い入れろふうか!
てめェが選んだ道だ、意地見せろ!
●
サイバーザナドゥ、四葉市ロウアータウンの一角に公然と存在し続けている『実験街00地区』では、クワハラ・ファーマシーCEO『アルティメット・ベルセルカー』が自ら行った実験とやらで|狂戦士《ベルセルカー》に変貌させられた住民たちが、過去も我も忘れて暴れまわっている。
ただ衝動に突き動かされるまま、バラックを、家屋を、そしてビルをも力任せで破壊する狂乱的な住民たちを見て、水森・ふうか(輝きは未だ眠る ~夢現の斬影~・f27640)は思わず口元を手で覆いながら息を呑んだ。
「うう、この前よりも多い……密集度が違いすぎる」
ふうかの横では、七織・岬(切り裂きミサキ ~切断概念~・f29727)が頭をわしわしと搔きながら大きく息をついている。
「あー……ったく、とっとと大物とやりたいんだがなァ」
この群れを突破しなきゃいかんのか……と表情で語りながら、岬は大物がいそうな場所を探し、視線を巡らす。
――調停機『セプテントリオン』は破壊され、世界全体の消滅は逃れた。
10大メガコーポCEOが世界移動を行うためのエネルギーが調達できなくなった今、アルティメット・ベルセルカーの本体も簡単には移動できなくなったはずだが、帝竜ベルセルクドラゴンから様々な知識を得ている以上、自力で世界移動の手段を見つける可能性は否定できまい。
(「妙に小奇麗なビルがあるが、大物がいるとしたらおそらくあそこか……?」)
一刻も早く先へ行きたそうな岬に対し、ふうかは暴れまわる住民たちを見て思案する。
(「多分だけど、前回と今回では、住民が狂戦士になった理由は違う……」)
以前、狂戦士と化した住民を避けつつアルティメット・ベルセルカーのクローンと対峙した時は、住民たちは四葉のホログラムで心を狂わされていたため、元を断てば正気に戻せた。
だが、今回暴れている住民たちは……グリモア猟兵いわく、「赤い四葉で過去と技術を奪われた上で、薬品の効果で狂戦士化させられた」という。
――果たして、住民たちを正気に戻せるだろうか?
「けど、一応は効果があったんだ。何もしないよりは、やっていかなきゃ!」
僅かな可能性に賭けようとするふうかに、岬が思わず目を見開いた。
「時間もないってのに、正気か、ふうか?」
「はい、ですから構わず岬さんは先に――」
行ってください、と口にしようとしたその時、岬が決まり悪そうに呟く。
「――本気だなァ、その目は。ま、乗り掛かった舟だ、付き合ってやるよ」
「え、いいん、ですか? これは私のわがままなのに……」
「あん? 呆けた顔すんな。それなりに組んで行動してきただろうが」
わかってんだよ、と口にする代わりに、岬はふうかの背を言の葉で押す。
「ホラ行くぜ、相棒!」
「…っ! は、はい! 行きましょう、岬さん!」
その言の葉に背中を押されたかのように、ふうかは大きく頷きながら実験街を移動し始めた。
●
ふうかと岬の行く手を、過去と技術を吸い上げる赤い四葉と、“ベルセルカー”化し正気を失った住民たちが遮る。
「う、うがああああぁぁぁ……」
「アガ、ガ、ガアアア!!」
意味を成さぬ呻き声を上げながら破壊に興じる住民たちを前に、ふうかは呼吸を整え、集中した。
(「――ヒトの流れを、心の流れを掴むんだ」)
だが、棒立ちになっているように見えるふうかは、周囲からはどうしても無防備に見えてしまう。
住民たちはふうかに視線を向けると、壊してやると言わんばかりに群れをなして殺到し始めた。
完全に壊された住民たちにとって、相手が正気かどうかなど関係ない。
ただ、目前に壊せそうなものがあるなら……壊すだけ。
「ガアアアアアアッ!!」
(「だ、ダメだ。前と同じ行動じゃ被害が増えちゃう!」)
焦りで集中が途切れかけるふうかに押し寄せる住民たちを見て、岬は真剣【竹光】を握り締める。
「俺の相方はめんどくせェ人助けをご所望なんでな」
――悪いが、それに集中させてもらおうか。
住民たちの手がふうかに伸びたその時、岬は竹光を一閃。
ふうかに伸びた手は悉く竹光の峰で強打され、住民たちはたたらを踏みながら停止した。
だが、ふうかや岬の意志に反応したか、はたまた正気なのを感知したのか、赤い四葉は嵐の如く吹き寄せ、ふたりに触れようとする。
「……ちッ!!」
舌打ちひとつしながら、岬は竹光に剣気を纏わせながら再度構えた。
「めんどくせェがやってやるか。『さぁて、そんじゃ――斬るぜ?』」
その言の葉と同時に、岬は剣気を纏わせた竹光を再度一閃。
――斬!!
竹光から剣気が伸び、赤い四葉を周囲の空間ごと切断するかのように薙ぐ。
剣気に触れた赤い四葉は、次々と両断され、はらりと地面に落ちながら消滅した。
(「骸の海でつくられていると聞いたが、実体化しているから斬れるってか」)
「っと、気合い入れろふうか!」
「――!」
岬は再度剣気で赤い四葉を両断しながら、集中が途切れそうになっているふうかを一喝する。
「てめェが選んだ道だ、意地見せろ!」
「岬さん……!」
喝を入れられ、ようやく為すべきことを取り戻したか、ふうかは大きく頷いた。
「はい! 意地、通します!」
必ず成し遂げるとの意志を強く持ちながら、ふうかは八百耶刀を抜く。
普段、鞘に厳重に封印されている刃は、ふうかの強い意志に反応し抜き放たれた。
「いっけええええええええ!!」
ふうかは状態異常を無効化し浄化力に転化するオーラを纏いながら八百耶刀で空間を薙ぎ払い、斬撃波を放った。
狂気を断つ刃と浄化力に転化するオーラを纏った斬撃波は、住民たちの狂気を斬り裂き、赤い四葉を粉砕する。
粉砕されかたちを失った赤い四葉は、そのまま無となり骸の海へと還って行った。
●
ふうかの斬撃波を受け、狂戦士化を解除された住民たちは、茫然とその場で立ち尽くしている。
その瞳から狂気の色は抜け、人ならざる変化を遂げていた者も元に戻ってはいるようだが、正気を取り戻した様子はない。
「……心は、戻っていない?」
「赤い四葉で奪われた過去までは戻らねぇ、ってことか……」
バツが悪そうに頭をわしわしと掻く岬とは対照的に、ふうかはショックを隠せない。
――このまま、彼らをここに残しては……。
そう、ふうかが迷っていると、突然実験街の入口から護送車が何台も走って来る。
停止した護送車から扉が開くと、次々と防護服に身を包んだ警察官らしき人々が降りて来た。
それと同時に、ふたりに向け通信が入る。
『突然失礼します。こちら、YCPロウアータウン分署です』
「え!?」
「け、警察ぅ!?」
(「や、やべぇ……ずらかったほうがいいんじゃ?」)
珍しく岬が慌て始めるも、通信先の相手は気にする様子もなく離し続ける。
『赤い四葉が再び舞い始めるまでの短い時間とはなりますが、“ベルセルカー”化が解除された住民は可能な限りこちらで保護します』
その司令通り、護送車から降りた警官たちは、立ち尽くすだけの住民たちを保護し、護送車に乗せていく。
『我々は上からの圧力で介入を許されていません。ですが、住民の救助は私の独断で行っております』
ですから、と通信先の声は懇願するかのようにふたりに伝える。
『この先のことはあなたたちに託します。――どうかCEOを止めてください』
「は、はい!!」
ふうかが大きく頷くと同時に、通信が切れる。
「ってなわけで……行くぜ、ふうか!!」
「はい、行きましょう!! 皆さん、ここの人たちの事はお願いします!!」
地元民の助けの手に、感謝の意を表しながら。
ふうかと岬はひとつ頷き合うと、赤い四葉が一時的に消滅した道を一気に駆け抜けていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵