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トワイライト・ザナドゥ④〜混濁撃ち抜く必殺の矢となれ〜

#サイバーザナドゥ #トワイライト・ザナドゥ #縞瑪瑙姫 #ネオカダス #第一戦線

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「新年明けましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いします。
 と、言う時間さえ惜しいのが現状です」

 アウロラニア・ミーマメイズはその|顔《かんばせ》を注意深いものにしか分からない程歪ませ、深刻極まり無い表情で告げる。

「まず、これからお願いする依頼の危険度は極めて高いものです。
 皆さんの生命そのものは、強制転移を行う事でグリモア猟兵として保証してみせますが、精神に掛かる負荷は凄まじいものとなる筈です」

 それが呑める方のみ残って下さい。

 その声音が、真剣な瞳が、参加した全員がほぼ確実に、強制転移による脱出となるであろうことを告げていた。

「……ありがとうございます。
 それでは一から説明致しますね」

「現在、サイバーザナドゥにて、10大メガコーポが協調、調停機『セプテントリオン』の力をもって、世界そのものを消滅させようとしています。
 動機は、この世界においては回収可能な利益上限に達した、というものらしく、各CEO達はサイバーザナドゥ消滅時のエネルギーを利用し、他の世界にクローンを無差別に射出、生存を測る……ということの様ですね」

 改めて並べるだけでも恐ろしく身勝手な理屈と行動だが、相手は(約一名を除き)オブリビオン。
 世界そのものを過去と帰すことに躊躇いなどあろう筈も無い。

「皆さんに向かって貰う戦場は、その内のネオカダス……薬物を用いて酩酊の内に『神』と同化する事を教義とするカルト教団、その教祖である縞瑪瑙姫の下」

 正確にはそのクローンの一体ですが。
 改めて歓待の飲み物を配り直しながら、アウロラニアは説明を続ける。

「この神というのは、骸の海に溶かされ、捏ね合わされて一つになった『サイバー化以前に存在した、すべての旧人類の残滓』の様ですね。
 それが縞瑪瑙姫によって操られ、そこから怪物達が続々と……延々と……はっきりと言いましょう。
 皆さんに向かって頂く戦場では既に、この『新しきカダスの怪物』が、猟兵であっても致命的な程に溢れ返っています」

 スクリーンに映し出されるのは、戦場である祭祀場。
 しかしその様子は殆ど見える事がない。
 幾本もの触手を持つ、赤紫の体色を持つ怪物達が祭祀場を埋め尽くしているのだけが窺えた。

「この怪物達は、殆どあらゆる干渉を跳ね除ける性質を持ち、更には自らを信仰しないものへ激しい精神汚染を齎します。
 それがこの数になれば、如何なる手段を講じようと、その思考が汚染され尽くす前に、多くの行動を取ることはできないでしょう」

 これは無論耐性の問題ではなく、素早さや手数の問題でもない。
 行動が致命的に阻害される前に、何度思考できるか、という問題なのだ。

 即ち。

「三手、です。
 三手で決定打を与えて来て下さい。
 どんな重傷を負っていようとも、帰還は私が責任をもって請け負います。
 間違い無く常時多大な精神汚染に晒されるでしょう。
 当然縞瑪瑙姫もまた、そのユーベルコードを用いて抵抗して来ます。
 転移した場所によっては、縞瑪瑙姫への攻撃経路が怪物で塞がっていることもあるかもしれません」

 それでも三手。
 それ以上を耐え得る猟兵は存在しないだろうこの世の地獄を穿つ、必殺の矢となって下さい。
 彼女は最後に、深々と頭を下げたのだった。


ユキハナカグヤ
 新年明けましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いしますね。

 ユキハナカグヤです。
 此度の戦争もお祭りらしく、楽しく、思い切り良く参りましょう。

 第一戦線屈指の縛りの強さであろう当シナリオ、詳細なハウスルールは以下となっております。

●行動は合計三回。
 一度の行動で可能なのは一種類のみ。

●行動の種類は下記の様に分類される。
『ユーベルコード』
『攻撃』
『バフや回復』
『回避や防御』

●技能について
 一度の行動の範疇内ならば、どの行動の際も自由に幾つでも使用して良い。

●手持ち、または身体や機体のどこかにマウントして使用する武器に関して
 これらのみ、ユーベルコードの効果を受けた攻撃以外で使用可能なのは各二種類まで。

●怪物で縞瑪瑙姫への攻撃経路が塞がっていて欲しい場合
 そういったプレイングにして頂ければ反映致します。

●精神汚染について
 こちらも適当にスタンスだけ書いて下さればGM側で合わせます(全く効いてませんとかだと流石に弾きますが)。

●プレイングボーナス
 速攻で縞瑪瑙姫の撃破を試みる。

 長々と書いてしまいましたが、基本的には萎縮してしまうのを避ける為の明文化ですので、一応気にする程度にして書いて下さっても結構です。

 それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしておりますね。
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第1章 ボス戦 『縞瑪瑙姫』

POW   :    神に合一せよ
自身の【肉体そのもの】を【「聖なる泥濘」】化して攻撃し、ダメージと【縞瑪瑙姫への融合】の状態異常を与える。
SPD   :    ネオカダス・フラッド
空中あるいは地形に【カルト教団「ネオカダス」】の紋章を描く。紋章の前にいる任意の対象に【膨大な量の「聖なる泥濘」】を放ち【肉体と精神の崩壊】効果を与える。
WIZ   :    縞瑪瑙の裁き
【腹部に輝く巨大な『縞瑪瑙』の輝き】を宿し戦場全体に「【ネオカダスの教義に従え】」と命じる。従う人数に応じ自身の戦闘力を上昇、逆らう者は【「聖なる泥濘」による呑み込み】で攻擊。

イラスト:安子

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
使えるのは3アクションのみね。

初手、敵に気づかれないように[目立たない][迷彩]衣装で隠れる
二手、可能な限り集中
三手、ユーベルコード【ブルーインフェルノ】
『全てを焼き尽くす星界の炎よ』

ありったけの強化をした蒼炎を叩きつけてあげるわ。
「三手あれば十分よ」



●星より掬った蒼炎にて、悍ましき輝きを討つ

 漆黒と奇妙な模様に埋め尽くされている筈の祭祀場は、不気味な神性……新しきカダスの怪物達の放つ、異様な、どこか粘度のある赤紫の輝きに照らされていた。

 その中で一人、縞瑪瑙姫は哄笑する。

「皆、我が内で見ているか、この光景を。
 カダスの怪物が我らが祭祀場を埋め尽くす様を!
 これよりこの絶景はダストエリア全域へと、更に広くサイバーザナドゥ全域へと至るであろう!
 ただ滅びを待つ盲いた者達へ、一人でも多く聖なる泥濘と溶け混ざり、新たな世界への船出を叶えるという救済を与えるのだ!」

 この場にも数多く集まっていた信徒達は、既に聖なる泥濘と共に縞瑪瑙姫と合一し、その声が返ることはない。
 ただ、沈黙の中、彼女のその腹の内より返される無数の悦びと狂気のみがそこにあった。

 そう、つい今し方までは。

 同じく沈黙と静寂の内に現れたのは、一人のヤドリガミ。
 金糸の様な長髪を揺らし、UDCアース風の装束を纏った彼女の名は、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)。
 素早く隠身と静音を齎すベレー帽を身に付け、その身を周囲と同化させた彼女は、その心を溶かさんとする激しい精神汚染に膝を突く。
 文字通りに心身をカダスに捧げ、合一に進ませんとするそれに対する皮肉が口から漏れるが、自ら用いた呪具が幸いして音が結ばれることは無い。

 苦しげに眇められた藍と紫、二色の眼がその先の縞瑪瑙姫の心を、更に合一した無数の信徒達のそれらをも見通す。
 己を汚染していくものの外形を掴み、表面上、普段の調子を取り戻したヴィオレッタは、厳かな表情で一対のナックルダスターを身に付け、一本の矢を両手に握る様にして、深く深く集中していった。

 跪き、矢を胸元に携えて祈る様なその姿は、地獄の如き様相の世界に差した一条の光の様。

 ナックルダスターのそれぞれ持つ四つの角に雷が奔る。
 静寂の内でも瞬く間に激しさを増していく雷光は、しかし彼女の纏う呪により何処にも届くことは無く、雷電そのものもまた、ヴィオレッタを覆う薄い結界となり、その極光を自身の内に留めさせていった。
 雷電の結界は強く激しく輝きを深めると共に、彼女の手にある矢へと封じられていく。

 静かに立ち上がった彼女が両拳より武器を取り去り、手にした矢を合成弓に番えた時、その威力は最早隠し切れないものとなっていた。

 縞瑪瑙姫の首が、ぐるりと、ヴィオレッタの方を向く。
 いやに遅く見える光景、それに反し、ネオカダスを統べる彼女の対応は素早かった。

「新たなる客人よ!
 救われるべき盲者よ!
 我らと共にカダスの胎へ還れ!
 捕食と混濁の果てにある救いを受け入れるがいい!」

 その腹部にある縞瑪瑙の輝きは、新しきカダスの怪物達が染め上げていた祭祀場の光を上書きするに不足無いものであり、彼女の胎より返る無数の応えを受け、短い間にも更に深く、濃い光で戦場全域を照らしていく。

「お断り、よ……今ある宇宙の、最も普遍なる輝きに灼かれなさい」

 拒絶の言葉が空気に乗ると同時、縞瑪瑙姫の胎より溢れた膨大な聖なる泥濘が、災禍の波濤と化してヴィオレッタへと襲い掛かる。

 ヴィオレッタもまた、結界により自身を封じさせていた雷電を解き放ち、一矢にて縞瑪瑙姫を撃ち抜かんと弓を引き絞る。

 そこに出でるは純粋なる蒼。
 この世で最もありふれた、夜空を照らす星々が持つそれと同質の輝き。
 己が手に生み出した雷電をもって極限まで凝縮したプラズマを、矢に宿した呪により解き放つ。

それは、まさしく──

「全てを焼き尽くす星界の炎よ」

 放たれた矢が、解けて消える。
 天上の蒼炎が、祭祀場を照らす輝きを今一度塗り替える。

 輝く波濤に穿たれた微かな一穴は、瞬時に夥しい泥濘を沸騰させ、熾烈な衝撃波を戦場に行き渡らせる。
 蒼の輝きが縞瑪瑙の輝きとぶつかり、僅かな抵抗の後にネオカダスの教祖を貫く。

「がぁぁぁぁぁぁァァッ」

 響き渡るのは縞瑪瑙姫の絶叫。
 己が内の信徒を夥しく失った哀切も込められたそれは、確かに彼女の身を、力を削いだ証だった。

「三手あれば、十分、よ……」

 縞瑪瑙姫の内より無数に消えた手応えを掴んだと同時、急速に焦点を結ばなくなり始める瞳を閉じたヴィオレッタは、その美しい金髪を靡かせ倒れ込む、その間際に転送されて帰還していったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギュスターヴ・ベルトラン
カルト教団は色々あるが、溶け合う救済なんざ悪夢だろ
神は泥じゃない、魂を呑むものでもない

【祈り】を捧げるのは、主へ【神罰】の代行の許しを得る為
【断罪】にて、かの者の偽りの神性を破壊する

これよりその合一を焼く…Grimoire:Galgalim、起動
バイクから魔導書へ封印を解けば【リミッター解除】がされる
あんたの肉体を爆破するついでに周囲も火の海にする!

オレもただでは済まないが、UCの効果で火に対する防御は出来てる
それに、最初に主へ祈っただろ?
当然、神敵に立ち向かう者への【祝福】として【狂気耐性】【邪心耐性】【霊的防護】を賜っている

神と人とは、祈りによって結ばれるものなのにな…



●真なる祈りをもって、その偽りを砕かん

 無数の怪物達が跳梁跋扈し、悍ましき赤紫の輝きに照らされる、ネオカダスの祭祀場。
 痛撃を受け、その胎の内の信徒を損ない減らした縞瑪瑙姫の哀切に満ちた声が響いていた。

「おぉ、おぉ、救いを求め、『私』との合一を果たしたというに、なんたる悲劇か。
 しかし、別離を嘆く必要は無い。
 既にオブリビオンと化した汝らに待つのは『救済』のみ。
 損なわれた者達のこの滅びもまた、仮初に過ぎないのだから!」

 聖なる泥濘に籠り、益々己が狂気を深めていく縞瑪瑙姫と、その内の信徒達。

 ごぼり、と。
 カダスより引き出された新しき怪物が、また一柱、祭祀場に現れ出でる。

 靴音が響いた。
 几帳面に磨き抜かれた革靴のそれは、同じく使い込まれながらも丁寧に手入れされたカソックの主人の心根を映し出す様。
 傍に艶やかに周囲を映す黒いバイクを控えさせ、ギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)が、歪なる信仰の場へと降り立ったのだ。

 狂おしき赤紫の輝きを受け、尚染まらない純粋な二つの黒。
 絶えず己が精神を苛む、激しい異貌の神格への合一を求める感情に、しかし彼は応えない。
 ギュスターヴは取り出した十字架を握り、手を組み瞑目する。

 祈ること。
 ただそれのみで、彼は信ずる神との確かな繋がりを得るからだ。
 それは厚き信仰を有するギュスターヴにのみ許された奇跡、|ではない《・・・・》。
 神の視線は絶えず遍く注がれており、それに気付くには、ただそれぞれが祈るのみで十分なのだと、彼は信じていた。

 故に、ギュスターヴは自ら奉じる神に神罰の代行を願い出る。
 己が手により、眼前の歪な信仰を、偽りの神性を打ち砕かん、と。
 全てを溶かし、魂を呑まんとする醜悪なる異貌を剥ぎ取り、それを操る狂える信仰を打破することで、旧世界の人々の残滓に、寸刻前まで生きていた、最早オブリビオンへと堕ちた者達に、死した魂、その本来の有り様を取り戻させん、と。

 果たして、その祈りは容れられた。

 傍のバイクがひとりでにその姿を変える。
 その両輪を隣り合わせる様にして、核たる|駆動機関《エンジン》が持ち上げられていくと、それを厳重に封じていた装甲が花開き、内から一冊の、聖書を模した魔導書が現れ出でた。

 Grimoire:Galgalim、起動──

 座天使の名を冠する書を手にしたギュスターヴは、今一度、束の間瞑目すると、強い意志の籠る瞳で、縞瑪瑙姫を見据える。
 静かにその様子を見遣っていた縞瑪瑙姫もまた、ギュスターヴより迸る意志を受けて、狂信に爛々と輝く瞳でもって見返していた。

「誠に素晴らしき祈り手よ。
 皆と諸共に合一し、『私』の中で更なる祈りを得るがいい!」

「これよりその合一を焼く……‼︎」

『ならば何としても我らが救済の手、汝に届かせてみせようぞ』

 縞瑪瑙姫の肉体が溶け消える。
 その全ては祭祀場に溢れ返る聖なる泥濘と化し、己が意志で縦横無尽に荒れ狂い、ギュスターヴへと襲い掛かる。

 しかし、それが彼に触れることは無い。
 立て続けに轟音が響き渡り、異形の神性の発する輝きを塗り潰す紅蓮が祭祀場に広がっていく。

 凄絶な爆発を、火焔を、絶え間無く泥濘へと撃ち込むギュスターヴ。
 その炎は決して彼自身を焼くことは無く、己を巻き込むことに対する躊躇いすら取り払い行使される神罰は苛烈極まりない。
 メギドの火すら思い起こさせるこの光景は、しかし、此度の神罰の本質そのものではなく──

 それは物質を、霊性を直に打ち砕く禁呪。
 業火により沸き立つよりも尚確かに、爆発により粉々に砕けるよりも尚烈しく、その泥濘を、縞瑪瑙姫を、合一した人々を繋ぐ悍ましき楔を打ち砕いていく。

『ぐ、ギ、ァァァァァァァッ!』

 爆音が響く度に切り離されていく泥濘に、狂乱する縞瑪瑙姫の絶叫が祭祀場を埋め尽くす。
 波打ち大きく姿を変えていく泥濘は、一つの巨大な手となってギュスターヴへと襲い掛かる。

「神と人は、祈りにより結ばれるものだ……そんな歪な楔も要らなければ、溶け合う救済もありはしない。
 あんたの握り締めた全てを手放せ……‼︎」

 ギュスターヴもまた、烈しい意志の籠った叫びを返す。

 その光景は、最早彼には見えていない。
 その声は、最早彼自身には聴こえていない。

 絶え間無く、悍ましくも激しい精神汚染を受け続け、五感すら失っている彼は、しかし賜った祝福により、その瞳の向ける先も、その声を向ける先も過たず。

 祭祀場全体を覆い尽くす様な巨大な爆炎を解き放ち、その衝撃に自ら吹き飛ばされながらも、確かな手応えに笑みを浮かべるギュスターヴは、最後まで手にした書を離すことなく、強制転移によりバイクと共に戦場から消えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「何とも醜悪な光景だな。
しかし、理不尽な危機的な状況でこそ。輝く一手はある。」

一手
少しでも時間を短縮する為に【高速詠唱】で
冥空へと至る影を発動。

二手
怪物に行く手を阻まれながらも【ダッシュ】で縞瑪瑙姫に接近。
その途中で受ける攻撃に対しては。極力、脚等移動に支障が出る箇所は
守り、致命傷を避ける。
(攻撃を受け苦戦をする事で冥空へと至る影の効果を増す)

三手
縞瑪瑙姫を射程に捉えたら【全力魔法】の魔力を込め。
躱されない様に広範囲を巻き込んだ【範囲攻撃】の
デモニックロッドを使った闇の魔弾を【捨て身の一撃】で放つ。

精神汚染は影響を受けつつも
目の前の敵を攻撃すると言う一点に絞った行動により
何とか攻撃を続行する。



●澄み渡りし黒をもって忌まわしき混濁を呑まん

 ごぼり、ごぼり、と。
 虚空より悍ましき輝きを放つ怪物達が湧き出でる。
 傷付き蹲る縞瑪瑙姫の激情に応え現れたそれらは、他の怪物共と同様、宙に座してまた一つ、祭祀場を満たしていく。
 焼け焦げ元の姿を失った祭祀場には、こちらも元の姿を失い、砂へ還った聖なる泥濘がそこかしこに積み重なり、自ずから沸き立ち今一度ヒトガタを取った縞瑪瑙姫の顔に、一抹の寂寞を浮かべさせた。

「汝等に新世界を見せてやれなんだな……」

「致し方無し。
 『私』の何れかが辿り着けば、そこからオブリビオンとして新たな姿を得た汝等を呼び出すことも可能となろう。
 そうだ、何も寂しがることは無い……」

 骸の海は、遍く世界を覆い抱き締めておるのだから。

 そう自らの下腹を摩り、内の信徒達に語り掛ける縞瑪瑙姫の姿は、しかしこの場所から見えることはない。

 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)が純白のローブを翻し降り立ったその場所は、新しきカダスの怪物にて埋め尽くされた、致命の坩堝だった。

 ただそこにあるだけで自身を混濁へ投げ出したくなる衝動を渾々と注ぎ込まれながらも、彼はその口から苦鳴一つ漏らさない。

「何とも醜悪な光景だな。
しかし、理不尽な危機的な状況でこそ。輝く一手はある。」

 フードで隠されたその瞳は、そこまでの道を埋め尽くす怪物達の向こう、縞瑪瑙姫の声が響く場所を見詰めているのだろう。
 彼の口調は澱まず、整えられた音声でもって、滔々と一つの呪文を詠う。

『冥府への門たる忌わしき影よ。
 その枷を外し闇の力を我に届けよ。』

 粘つくような赤紫の光源、無数のそれらに照らされる中、今にも駆け出さんとするフォルクの足元に、何物にも染まらない影が一つ、増える。

 それは冥界へと繋がる門。
 己の武勇を、或いは苦闘を捧げれば捧げる程に、それに応じた魔力が湧き出す暗黒の泉だ。

 大気が弾ける。
 フォルクの足元で鳴らされた轟音は、彼を宙に射ち出す衝撃波のそれ。
 空を裂いて高速で翔け抜ける彼だが、眼前を埋め尽くすカダスの怪物達を避けて通るそぶりはない。

 幾本もの触手が蠢いた。
 怪物達のそれが、程近くを潜り抜けようとするフォルクの身体を抉り取っていく。
 彼が前に前にと進む度に、ローブの内に幾重にも着込んだ魔術士装束が血に染まっていく。

「ぐ……ぁぁぁっ!」

 それでもフォルクが足を止めることはない。
 精霊力が込められたブーツで空を蹴り、まさしくその脚を、そして杖を持つ手をのみ守りながら、無敵の怪物達を掻き分け突き進んでいく。

 その脚が、不意に崩れ落ちそうになる。
 新しきカダスの怪物達の視線が傍を通り過ぎた彼の脚を射抜き、今まさに石化させようとしているのだ。

 しかし、怪物達を掻き分け進むと決めた彼の覚悟もまた尋常のものでは無い。
 衝撃波を自らの背に叩き付け、一斉に襲い掛かる触手を避けて窮状を潜り抜けた彼は、その杖を振るい、脚を侵す石化を解いていく。

 それはただの解呪にあらず、寧ろその逆、自らを侵す呪詛そのものだ。

 フォルクはその呪詛をもって、血を流している身体各所に石化を移していく。
 その身体を覆う石化の広さは、明らかに脚のみを灰と染められた時よりも広く、縞瑪瑙姫の下へ辿り着く為の猶予がまた一つ縮む。

 空を蹴る度に、足を前へと進める度に身体が抉れ、灰に染まる。
 転移してからほんの何十秒と経っていない筈が、己の周りだけがまるで凍てついた牢獄の様に長く、永く感じられた。

 そんな時間にも終わりは訪れる。
 悍ましき輝きを掻き分け辿り着いた元凶の下、それは妖しく嗤い、その腹の縞瑪瑙を爛々と輝かせて待ち受けていた。

「なんと勇ましき有り様か!
 なんと痛ましき有り様か!
 汝もまた、その身を縛るものを解く酩酊に、その痛みを忘れる酩酊に身を任せ、『私』と皆諸共に合一するがいい!」

 悍ましき狂気を容れよと迫る縞瑪瑙姫の言葉を、フォルクは一蹴する。

「在るべき世界の明日のために!
 去ね、悪しき微睡みよ!悍ましき過去の残滓よ!」

 縞瑪瑙姫の胎から夥しい聖なる泥濘が解き放たれた。

 自らの言葉に反し、フォルクはそれを迎撃することなく、敢えて受け入れる。
 いや、受け入れる他無かったのだ。

 彼の身体は最早、彼自身の意思では指一本たりとも動かぬ程に傷付き、消耗している。
 彼を動かすのは彼自身に在らず、それ故に、幾ら合一を推し進めんとする泥濘に呑まれようとも、|最後の魔法を放つに支障は無い《・・・・・・・・・・・・・・》。

 それは一つの呪詛、己の大半が石と化したその時に、自らの身体を砕きながら放たれる、まさしく捨て身の一撃。

 その手にした、呪われし黒杖に莫大な魔力が注ぎ込まれる。
 限りなく勇ましき有り様、限りなく致死に近い苦闘が齎したそれは、ただ在るのみで戦場全域を圧し潰す様な存在感を放ち、それより解き放たれる、極めて巨大な漆黒の魔弾は、周囲を覆い尽くす聖なる泥濘を内より弾き、生み出された悍ましき大波濤を見る間に呑み込みながら縞瑪瑙姫へと襲い掛かった。

「ぐ、が……ぁぁァ……ッ」

 縞瑪瑙姫の白い髪が、白き装束が揺れる、余りにも巨大な漆黒の魔弾が彼女に突き立ち、圧し潰していく。
 長い、永い一瞬の後……濁り無き黒は、混濁した白を呑み込み、盛大に爆ぜた。

「……………………」

 石化が無ければ最早生きてはおらぬ有り様で、言葉を発することも叶わぬフォルクは、動かぬ瞳でそれを見届けると、微かな光に包まれて戦場より帰還していったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

椎那・紗里亜
私が法学者になったのは、個人個人の自由意思を護るため。
個々の自由を簒奪する神など認められるはずがありません。
三手で仕留める強い意志を以て、精神汚染に抗します。

一手
魔法の箒で全速飛行。
気配を感知し攻撃は最小限の機動で回避。
一気に距離を詰める。

二手
箒から飛び出し八卦光翼を展開。
翼の様にはためかせて飛びながら周囲の敵を覇気で圧倒。
縞瑪瑙姫の直前に着地し、懐に飛び込む。

三手
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれと言いますが」
サイキックエナジーで練り上げた発勁を
震脚から脚、腰、胸、腕と捻りで伝え、
縞瑪瑙姫に密着した掌底から透過させる。
零距離の浸透勁は減衰0の爆発的な威力。
「二の打ちいらず、は他の流派ですけどね」



●風と共に現れ出で、地と共に大悪を討つ

 荒れ果てた祭祀場を、ただただ怪物達のみが満たしてゆく。
 今少し時が経てば、最早新しきカダスの怪物達はより外へ外へと広がり、更なる狂気と混濁を撒き散らすだろうことに疑いは無い。

 より色濃くなった、粘つく赤紫の輝きに照らされ、傷付いた縞瑪瑙姫は気怠げにその身を投げ出していた。

「遂にこの胎より声も絶えたか。
 皆、或いは切り離され、或いは完全に『私』と合一した……。
 この身を休めた後は、『私』もまた外に出て、盲いた者達を導かねばなるまいよ」

 己が内の狂気に数多の信奉者達を沈めた教祖はそう宣う。
 その身体に繰り返し深傷を負って尚、彼女はこの混沌とした終末にて、どこまでも自ら混濁を振り撒き続ける心算であるらしい。

 サイバーザナドゥはダストエリア、その一角の祭祀場にて、悍ましき地獄は揺籠より溢れ出さんとしていた。

 風が一陣、吹き込む。

 その風は忌まわしき輝きに染まらぬ翡翠の色を纏い、魔法の箒に乗って、チャイナドレスにも似た拳法着を身に付けていた。
 椎那・紗里亜(言の葉の森・f43982)が、怪物達の解き放たれるより僅かに早く、紙一重でこの場に転移して来たのだ。

「間に……合いましたね?
 ならば……っ」

 彼女はただそこに居るだけで崩れ落ちそうになる意識を、痛い程に強く箒を握り直して持ち直すや、凄絶な勢いの空中機動を開始した。

 地に宙にとカダスの怪物達の埋め尽くす祭祀場は、飛行していようとも、さして隙間に余裕は無い。
 ましてやそれが殆どの干渉を弾き、幾本もの触手でもって喰らい付こうとするのだから尚のこと。

 紗里亜は身を低くして箒に捕まり、時に気配のみで反応すると、その手で、足で襲い来る触手を受け流しながら、猛然と怪物達の合間を縫って突き進んでいく。

 幾ら怪物それぞれの身体で多くの視線が遮られているとはいえ、それらに影も踏ませぬ速度と機動の複雑さは、明らかに彼女の限界を超越しており、元より長く保たせる予定こそ無くとも、紗里亜にその負荷で眉を顰めさせる。
 それでもただ数と、何より逃げ場の無さの故に追い縋り迫り来る触手の群れに対し、彼女は豪快に次の一手を切った。

「ま、だ……まだ……今、ぁっ!」

 限界まで引き寄せた触手に対して、紗里亜はその箒から飛び出したのだ。
 気を込めた脚撃により自らの箒を蹴るや、その反動で更なる速度を得、更には身体を覆うサイキックエナジーを展開し、光の翼と成す。

 多段階の加速とはためく翼は、ただでさえ凄絶な速度を誇っていた彼女を音すら置き去りにして射ち出し、縞瑪瑙姫の下に運ぶ。

「はぁぁぁぁぁっ!」

 余りにも速い侵攻に目を見張るも、しかし縞瑪瑙姫もさるもの、速やかに己を聖なる泥濘と化して受け止め、あまつさえ紗里亜を取り込もうとする。

「それ程までして『私』の内に飛び込むとは愛いものよ!
 さぁ、狂気と混濁のままに、カダスの捕食を受け入れるがいい!」

「いいえ、いいえ!
 個々の自由を簒奪する神など、認められるはずがありません!
 灼滅者として、猟兵として、何より法学者として、ここであなたを討ち、この地獄を封じます!」

 気功の籠った光翼で打ち据えることで捕縛より脱する紗里亜は、しかしその場を離れることはない。

 光翼が解かれる。
 膨大なサイキックエナジーが紗里亜の全身の循環へと戻っていく。

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれと言いますが」

 小さな呼気と共に瞬く間も無く整えられたコンパクトな構えから、力強い震脚が焼け焦げた祭祀場を叩き、サイバーザナドゥの大地より無尽なる力を引き出す。
 五体を最大限に活用する発勁、侵されつつある精神をもって放てるのは一度きり。
 全霊の力が捩られる身の動きに合わせ、脚から腰、腰から胸へと確と伝わっていく。

 それは本来決して当たらぬ一撃だ。

 熟達した格闘を、発勁を修めた彼女だからこそ分かる。
 己がユーベルコード、狙いを犠牲に威力を高めるそれを、限界を超えて威力に振り切ったこの一撃。
 どれ程巧みな力運びを持ってしてもこれは徹るまい、と。

 しかし紗里亜は信じ、それは叶う。

 彼女の渾身の一撃に被せるように、縞瑪瑙姫もまた己を変じ、紗里亜を合一せしめようと聖なる泥濘で襲い掛かる。
 満身の乗った掌底と、在り得べからざる威力と化したそれと、縞瑪瑙姫が『繋がる』。

 瞬間、縞瑪瑙姫が|弾けた《・・・》。

 掌底は何の手応えも無く泥濘を貫き、聖なる泥濘は跡形も無く蒸発した。
 そこには最早、縞瑪瑙姫を形成していた身体も、衣も、声も、何処にも存在してはいなかった。

「二の打ちいらず、は他の流派ですけど、ね…………」

 静かに腕を振り下ろすや、熟達した身体捌きが故に、立ったままに気絶した紗里亜は、残された風に攫われるように帰還していったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2026年01月06日


挿絵イラスト