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百花繚乱ラプソディ

#アヤカシエンパイア

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#アヤカシエンパイア


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●妖からの矢文
 アヤカシエンパイアのとある山中、そこに建てられた邸宅。それは強力な妖の出現を監視し即座に対応する為の要衝である。人知れずアヤカシエンパイアの平穏を護る要のひとつ――その邸宅の門扉に禍々しくも突き刺さった矢には文が括りつけられていた。
『次の満月の夜、生贄たる花嫁を捧げよ。捧げなくば、一族諸共喰らい尽くしてくれようぞ』
 この邸宅を妖に対する要と知っての所業であるならば、よほどの妖であろう。そうでないならば、よほどの愚か者か。文から漂う妖気は前者であろうと踏んだ当主は、守りを固めると共に一騎当千のつわものである猟兵達へ救援を要請することに決めたのであった。

●グリモアベースにて
「花嫁衣装に興味はないかい?」
 文箱に入った書状を手にし、深山・鴇(黒花鳥・f22925)が集まった猟兵へ視線を向ける。
「アヤカシエンパイアのとある貴族からの応援要請なんだがね」
 書状によれば、貴族の邸宅に力のある妖が現れる。それは生贄たる花嫁を所望しており、捧げぬのであれば貴族の邸宅を壊滅させると脅してきているのだとか。
「皆も知っている通り、アヤカシエンパイアの貴族達は全員がユーベルコード使いであり平安結界を護る戦闘に長けた者達だ。そんな彼らが手を貸してほしいというのだから、猟兵としては見過ごせないだろう?」
 それは確かにその通りなのだが、どうして花嫁衣裳と関係してくるのかと猟兵達は鴇を見る。
「うん、生贄を捧げるつもりは毛頭ないのだけどね? 花嫁衣裳を着た生贄を囮にして妖の油断を誘うっていう作戦を立てているそうなんだ」
 ちなみに、花嫁役は何人いたって構わない、多くいればそれだけ妖の油断も誘えるだろう。もしかしたら、戸惑いかもしれないが。
「場所は貴族の邸宅、山中にあるらしいから一般人に被害は及ばないよ。囮の花嫁になる者には衣装を貸してくれるそうだから、その辺りについては心配しなくていい」
 宴も開かれているので、少しばかり楽しんでから着替えてもいいし、花嫁衣裳選びに時間を費やしても構わない。妖が現れるのは夜、それまでに支度が出来ていれば問題はないのだから。
「和装が基本だがね、色々準備してくれているそうだよ」
 和風洋風、白無垢に和装ドレスなんてものまであるらしいと、鴇が笑う。
「好きなものを選んで着るといい。ああ、勿論男性であっても問題ないからね」
 戦闘に入るまでバレなければいいのだ、顔を隠しておいたり完璧な女装をしてしまえばなんとでもなるはず。
「それじゃ、後は頼んだよ。ああ、敵を倒した後は近場にある湯治宿でゆっくり疲れを癒すといい」
 そう言って、鴇は煙のように形の定まらぬグリモアを呼びだすと、ゲートを開き猟兵達を見送るのであった。




第3章 日常 『秘境にたたずむ湯治宿』

POW   :    じっくり湯につかる

SPD   :    周囲を散策してみる

WIZ   :    お宿で気ままに寛ぐ

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●月夜の湯治
 妖『悪霊陰陽師』を倒したお礼として、よければと案内されたのは貴族の邸宅から少しばかり離れた湯治宿。ここは貴族が管理する場所で、一般人が訪れることはない。貴族の彼らからすれば、温泉のあるちょっとした隠れ宿といったところだろうか。
 主屋のほかに小さな離れが点在しており、檜の露天風呂が備え付けられているので、人目を気にせずに寛ぐことが出来るのも魅力的。もちろん、大きな露天風呂もあるので好きな温泉を楽しむのがいいだろう。
 近場にある霊泉から引いた湯は、特に満月の夜はその光を受けて、湯の霊力が高まるのだとか。疲労回復、血行促進、氣の回復などにもよい濁り湯で、是非ゆっくり浸かって疲れを取ってほしいとのことだ。
 秘湯というだけあって、人の気配はなく、あるのは満月の光と川のせせらぎ。先刻までの妖との戦いが嘘のように、山は静まり返っている。湯面には満月が揺れ、白く立ちのぼる湯煙が夜空へと吸い込まれていくようにも見えた。
 湯を楽しんだ後は離れに泊まるもよし、我が家に帰宅するもよし――どうぞ、戦闘の疲れを癒してごゆるりと。
神白・みつき
◎POW
無事に妖の撃破も叶いましたし
すぐにお暇するつもりでおりましたが…
ご厚意を無碍にするわけにもまいりません
有難く休ませていただきます

大勢での入浴には不慣れですので離れをお借りします
こうして湯に浸かっていると体は温かいですが
夜風で頭は冴えるのが何とも心地良いですね

せっかくの温泉を私ひとりで満喫するのも忍びないので
桶に浅く湯を張って蜥蜴のみたらしに入ってもらいます
そのまま温泉に浮かせれば温かいでしょう

ああ、月が明るいですね
それもとても静かで…
例え結界による幻だとしても
この世界の人々がこの風景を愛し
歌に残すのも分かるような気がいたします



●月明りの下で
 無事に妖を撃破したことに、ほっと胸を撫で下ろした神白・みつき(幽寂・f34870)は貴族の屋敷から自分の世界へ帰ろうとして――湯治宿への誘いに足を止めた。
 是非にという言葉と、妖を倒してくれたお礼だという厚意を無碍にするのも……と、案内されるがままに湯治宿へ訪れていた。
「なんて立派な……それに静かな場所ですね」
 思っていたよりも大きな湯治宿に、みつきが軽く瞳を瞬く。
「大きな露天風呂も素敵ですが、離れをお借りできますか?」
 大勢での入浴には不慣れなのもあり、みつきは離れの一つを借りて檜の露天風呂を楽しむことにした。
「ひとりで入るのが勿体ないくらいのお風呂ですね」
 檜の露天風呂は大人が四人ほど一緒に入っても余裕がある広さで、みつきはそっと足先から身を沈ませ、肩までしっかりと湯に浸かる。
「ふぅ……こうして湯に浸かっていると、体は温かいですが夜風で頭は冴えるのが何とも心地良いですね……」
 うっとりと目を閉じて、川のせせらぎに耳を澄ませれば、心も体も解きほぐされるような心地良さだ。
「でもやはり、私ひとりで満喫するのは……あ、そうです」
 桶に浅く湯を張ると、朱い砂の精霊であるみたらしを喚び、入ってもらうことにした。
「ふふ、みたらしも温かいでしょう?」
 蜥蜴の姿をしたみたらしが、みつきに向かって身を寄せるように動き、軽く尻尾を振って答える姿に思わず笑みが零れる。
「それにしても……ああ、月が明るいですね」
 遮るものがないからだろうか、山間に降り注ぐ月光は露天風呂の湯を煌めかせた。
「それもとても静かで……」
 夜の空気は澄み渡り、零す息は湯煙に溶けて消えていく。近くで揺れる木々の葉擦れと、遠くに聞こえる川音が静けさをより際立たせている。たとえ、これが平安結界による『まぼろし』が具現化されたものだとしても――この世界の人々がこの風景を愛しているのには変わりない。
「この風景を歌に残すのも分かるような気がいたします」
 自分はこの世界の住人ではないけれど、それでも歌を詠んでみたい気持ちになるのだから、この世界に住む平安貴族であれば自然と唇から零れるものなのだろう。
「……私も――」
 みつきの唇から小さく零れた歌に、みたらしが顔を上げる。
 誰にも届くことのないその歌は、みつきと精霊だけの秘密――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白矢羽・尭暁
【主従】

れーくん、温泉に入って帰ろう
ゆっくり休んだら僕もいろんなこと、頑張れそうだなーって
だめ? いいよね? やったぁ!
晴周殿も一緒にどうです?

大きな露天風呂…肌見せちゃだめ、だよねぇ
…自分はあんな水着着るくせに。なんでもないよ!
小さな離れを借りよう

でも折角だしさ、れーくんも入りなよ
ひとりで入るのも、味気ないなぁ~、さびしいなぁ~
晴周殿もこうおっしゃってる!

気持ちいいね
湯の霊力が高まるというが…回復してる感じある?
僕はそういうのわからないけど
あったかいのがいいのはわかるよ
肩まで? ちゃんと浸かってるよ、この通りね

……れーくん、ちょっとのぼせてきたかも
ふふ、お世話して
君だけが僕の従者だからね


冷泉・辰乃丞
【主従】

温泉、ですか
少し考えるも…よい湯だとわかるし、はなれもあるようなので頷く
そうですね、では浸かって帰りましょう

ただし、露天風呂は駄目です
皇族たる御身分、人前で肌を晒すなど…(云々苦言
? どうかなさいましたか?
はい、では、はなれを…流石は先生、もう手配済とは

…私も、ですか?
私は尭暁様の衣類等の準備を…
…尭暁様と先生がそう仰るのでしたら、では

主と己の身体をてきぱき手早く流した後、失礼しますと湯船へ
はい、非常に良い湯です
霊的にも良い気のめぐりを感じます
冷えたらいけません、確りと肩まで浸かってください

はい、勿論
先生が濡れタオルと水を用意してくださっていますので、少し休憩を
私は尭暁様の従者ですので


弓弦葉・晴周
【主従】

無事に解決したようで、何よりでございます
御子様もご無事で
まぁ私の弟子が傍におりますゆえに、心配はしておりませんでしたが
月光を浴びた湯からも、よい気を感じます
御子様がお浸かりになってから帰るのも、良いかと思いますよ

はなれの手配ならば、すでに私が
御子様もそう仰られておりますし、辰乃丞も浸かってきたらどうでしょうか
衣類等の用意は私が請け負いますゆえに
辰乃丞は、湯殿での御子様のお世話を

私も、宵月様のお背中を流して差し上げましたね
月の君はすぐに湯あたりされておりましたので
濡れタオルと水も用意しておきましょう

仲睦まじい御子様と弟子を、ふふ、と微笑ましく見守りつつ
宵に浮かぶ満月に、想い馳せましょうか



●満ちたる月と温泉と
 戦いが終わったならば、皇族たる我が主を長居させるのはよくないと、冷泉・辰乃丞(青の鎮魂歌・f42891)は帰り支度を始めていたのだけれど――。
「れーくん、温泉に入って帰ろう!」
 その主たる白矢羽・尭暁(金烏・f42890)が、にこにこと笑いながら言うものだから、辰乃丞は帰り支度の手を止めて尭暁へと首を向けた。
「温泉、ですか」
「ほら、貴族の子らがこんなに勧めてくれるのだから、きっといいお湯だよ」
 確かに霊泉というからには、主のお身体に良いだろうとは思う。
「ゆっくり休んだらぼくもいろんなこと、頑張れそうだなーって」
 暗に帰ってからの皇族としての務めを頑張るから、というおねだりである。裏を返せば、まだ帰りたくない~もうちょっと遊ぶ~でもあるのだが。
「しかし……」
「良いではないですか、御子様が御望みなのですから」
 僅かに渋る辰乃丞に声を掛けたのは弓弦葉・晴周(月に焦がれる・f43172)で、その声に尭暁がぱっと顔を輝かせる。
「晴周殿!」
「先生」
 二人の声に笑みを返し、まずは妖退治の成功を言祝ぐ。
「妖退治、無事に解決したようで、何よりでございます。御子様もご無事で」
「晴周殿も。僕にはれーくんがいるからね」
「ええ、私の弟子が傍におりますゆえに、心配はしておりませんでしたが」
「勿体ないお言葉です」
 軽い礼を取った辰乃丞に頷き、晴周が改めて貴族達が勧める温泉宿の方を見遣る。
「月光を浴びた湯からも、よい気を感じます。御子様がお浸かりになってから帰るのも、良いかと思いますよ」
「ほら、晴周殿も賛成していることだし。れーくん、だめ? いいよね?」
 確かに良い気を感じる、それに離れもあるというのであれば、辰乃丞がこれ以上渋る理由もない。
「そうですね、では浸かって帰りましょう」
「やったぁ! そうだ、晴周殿も一緒にどうです?」
 折角だから、と尭暁が誘えば晴周に否はない。
「お供いたしましょう」
 楽しみだなぁと無邪気に笑みを浮かべた尭暁と共に、案内されるままに温泉宿へと一行は向かう。歩いて少しした場所に、隠れるかのように温泉宿があり、その趣に尭暁がいいねぇと頷いた。
「ところでね、大きな露天風呂があるって聞いたんだけど」
「尭暁様、露天風呂は駄目です」
「……僕、肌見せちゃだめ、だよねぇ」
「ええ、尭暁様は皇族たるご身分。人前で肌を晒すなど……」
 続く辰乃丞の苦言に、尭暁が小さく唇を尖らせつつ、ぼそりと呟く。
「……自分はあんな水着着るくせに」
 上半身なんてお腹も出ていて、すけすけだったのに。
「? どうかなさいましたか?」
「なんでもないよ!」
 ぴかぴかの笑顔を浮かべて全力で誤魔化せば、小首を傾げつつも辰乃丞がそうですかと頷く。
「小さな離れを借りよう」
 それならいいだろうと、尭暁が辰乃丞と晴周を見遣る。
「はい、では、離れを……」
「離れの手配ならば、すでに私が」
 抜かりなく、と二人のやり取りを笑みを浮かべてみていた晴周が頷いた。
「……流石は先生、もう手配済みとは」
 先見の明がある、自分も精進しなくてはと辰乃丞が感服していると、離れへ案内されて中へと進んでいく。
「離れとはいえ、少し小さめの民家ほどはあるのですね」
「隠れ宿っぽくていいねぇ。あ、檜の露天風呂!」
 離れに入れば、庭にあたる場所に大きめの檜風呂があり、湯煙が立っていた。
「周囲からの視線もしっかりと隠れるようにできているようですね」
「貴族達の秘湯というだけはありますね、先生」
 周囲の安全確認もしっかりと行うと、これならば良いだろうと辰乃丞が尭暁を招く。
「どうぞ、尭暁様」
「うん。でも折角だしさ、れーくんも入りなよ」
「……私も、ですか?」
 しかし、と辰乃丞が困ったように眉根を下げた。
「私は尭暁様の衣類等の準備がありますので……」
「ひとりで入るのも、味気ないなぁ~、さびしいなぁ~」
 ちら、と尭暁が辰乃丞を見遣れば、晴周が助け舟を出すように声を掛ける。
「御子様もそう仰られておりますし、辰乃丞も浸かってきたらどうでしょうか。衣類等の用意は私が請け負いますゆえに」
「ほら! 晴周殿もこうおっしゃってる!」
「……尭暁様と先生がそう仰るのでしたら、では」
 半ば押し切られた状況ではあるが、万が一にも温泉に浸かる尭暁が襲撃された時に傍にいた方が守りやすくはある。
「辰乃丞は、湯殿での御子様のお世話を」
「はい、先生。では尭暁様、こちらへ」
 手早く衣服を脱がし、己も脱ぐと湯殿に浸かる前に掛け湯を流す。
「私も宵月様のお背中を流して差し上げましたね。月の君はすぐに湯あたりされておりましたので、濡れタオルと水も用意しておきましょう」
 周囲に気を配りつつ、晴周が卒なく用意したものをそっと檜風呂の方へと置くと、丁度湯に浸かる二人の姿が見えて晴周がさりげなく内からの襲撃に備えた位置に立ち、檜風呂に浸かる二人を微笑ましく見守った。
「気持ちいいね、れーくん」
「はい、非常に良い湯です」
 温かな湯は、少しだけ冷えた身体にじんわりと解し、心地良い。
「湯の霊力が高まるというが……回復してる感じある?」
「霊的にも良い気のめぐりを感じます」
 辰乃丞の言葉に、ふぅんと尭暁が頷く。
「僕はそういうのわからないけど、あったかいのがいいのはわかるよ」
 月明りが湯面を弾き、きらきらと揺れているのも綺麗とし、と尭暁が指先で湯を弾くと辰乃丞の首元へ飛沫が飛ぶ。
「お戯れを。さあ、冷えたらいけません、確りと肩まで浸かってください」
「肩まで? ちゃんと浸かってるよ、この通りね」
 肩どころか首まで浸かってるでしょうと言わんばかりに尭暁が笑い、ふっと黙る。
「尭暁様?」
「……れーくん、ちょっとのぼせてきたかも。ふふ、お世話して」
 こてん、と首を傾げるようにすれば、すぐに辰乃丞が立ち上がる。
「はい、勿論。先生が濡れタオルと水を用意してくださっていますので、少し休憩を」
「ね、れーくん」
「はい」
「君だけが僕の従者だからね」
 その言葉に、辰乃丞は躊躇うことなく答えを返す。
「ええ、私は尭暁様の従者ですので」
 にこにこと笑う尭暁の手を引き、檜風呂の縁に腰掛けさせると水を渡し、首元に濡れタオルを当てながら、辰乃丞が甲斐甲斐しく世話をする――そんな仲睦まじい二人の様子を眺め、晴周は宵に浮かぶ満月に想いを馳せる。
 懐かしき日々を想うように、愛おしむように、その眼差しはどこか遠くを見ているようで――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナルニア・ネーネリア
白銀・白兎(猫の下僕の元貴族・f41811)と
猫は猫なので引き続き猫らしくあればOKにゃん
アドリブ等大歓迎

ぎにゃあああああああああああ!!(洗われて悲鳴)
猫は猫なので虎じゃないからお水嫌い
それがあったかくっても濡れるのが嫌い
戦闘で汚れたから洗いましょう?奴隷(白兎のこと)は奴隷のくせになんたる不敬なことをするんだにゃ
ぷんすこぷんすこお怒りのまま周りをお散歩するにゃ

探検、探検♪なんか見つかるかにゃ~ん
濡れないように川でお魚みるかにゃ、奴隷に捕獲させるかにゃ
水面のお月様でお月見するにゃ、焼かれた魚でも食べるにゃ
とにかく、のんびりまったり過ごすにゃ~ん


白銀・白兎
ナルニア・ネーネリア(GoGo★キャッツ・f41802)と
アドリブ等大歓迎

ほうほう、そのようなことがあったのですね?
それはお疲れ様でした、ナルネア様(ナルニアとネーネリアをまとめての呼称)それならば…(腕まくり)洗いましょうか!ついでに爪切りもいたしましょう、キレイキレイしましょうね。

ご機嫌損ねたナルネア様のお散歩に付き合います
お魚とってあげたり、お魚焼いてあげたりいたしましょう
自分用のお魚はお塩かけて食べますね

悪者退治にお風呂に爪切りに色々頑張ったようですから、ナルネア様たちをねぎらって差し上げます



●月夜とお猫様の相性は抜群なのです
 花嫁衣裳を身に付けたまま、ナルニア・ネーネリア(GoGo★キャッツ・f41802)は駆け付けた猫の下僕こと白銀・白兎(猫の下僕の元貴族・f41811)に抱っこされ、妖を倒したときの武勇伝をにゃあにゃあと語る。
「ほうほう、そのようなことがあったのですね?」
 ナチュラルにナルニアとネーネリアの|鳴声《言葉》を理解し、白兎は労うかのように言葉を掛けた。
「それはお疲れ様でした、ナルネア様」
 ナルニアとネーネリアの二匹を纏めての呼称で呼び、求められるままにその毛並みを撫でる白兎は、いいことを思いついたとばかりに笑みを浮かべる。
「ではナルネア様のお疲れを癒す為にも、平安貴族様方がお勧めする温泉宿に行きましょう」
 温泉宿、と聞いてナルニアとネーネリアは顔を見合わせる。
「|にゃー、なうん?《温泉宿って、何があるんだにゃ?》」
「|にゃん、にあー《ごちそうがあるにゃ、たぶん》」
「そうですね、ご馳走もあるかもしれません」
 宴会にてたんまりと食べたはずだけれど、妖退治にて運動をした二匹は既にちょっとお腹が空いているのだ。
「|にゃー《それなら行くにゃ》」
「|にゃうん《今すぐ連れて行くにゃ》」
「はい、ナルネア様の御心のままに」
 お任せください、と白兎が張り切って温泉宿へと向かうと、すぐに離れへと案内される。そこは猫好みのこぢんまりとした平屋のようなもので、中に入れば寝転がるのに最適な座卓やふかふかの座布団が敷かれた座椅子などが見えた。
「にゃう!」
「にゃーん!」
 ぴょん、と白兎の腕の中から飛び降りて、さっそく座卓の上で寝転がったり座布団の上で伸びをしたりと、ナルニアとネーネリアが使い心地を確かめる。
「お気に召したようで何よりです」
 そう言いつつ、白兎は露天風呂を確認し、ナルニアとネーネリアに向かって微笑む。
「それでは僭越ながら――ナルネア様のお疲れ、この白兎が癒して差し上げます」
 いそいそと腕まくりをする白兎を見上げ、ナルニアとネーネリアが何をするのかと思うよりも早く白兎が二匹を抱き上げた。
「では、洗いましょうか!」
「ふにゃ!?」
「ついでに爪切りもいたしましょう、キレイキレイしましょうね」
「にゃう!?」
 非難の声もなんのその、白兎は戦いで汚れたであろう二匹を逃げ出せないようにがっちりホールドしながら、桶に湯を張り暴れる二匹を洗い始めたではないか!
「ぎにゃあああああああ!!!」
「ふぎゃあああああああ!!!」
 ナルニアとネーネリアの悲鳴がまるで合唱のようにハモる中、白兎はテキパキと洗い、流していく。
「|ふしゃああ! なあああう!!《猫は猫なのにゃ! 虎じゃないから水は嫌いにゃ!》」
「|にゃう! にゃうにゃうなあああ!!《戦闘で汚れたから洗いましょう? 奴隷は奴隷のくせになんたる不敬なことをするんだにゃ!》」
 いくら温かい湯とはいえ、濡れるのが嫌いなナルニアとネーネリアからは不満の声がひっきりなしに出てくるのだが、白兎はすぐ終わりますよ~なんて言って爪まで切ってくるのだから二匹の怒りはとどまることを知らない。
 綺麗に乾かされた後も、ぷんすこにゃんすこ激おこの猫パンチを白兎に繰り出し、二匹は散歩へ向かうために外へと出ていく。
「ご機嫌を損ねたナルネア様も可愛らしい……あ、お散歩ですね。お供いたします」
 猫の下僕にとって、猫パンチはご褒美。月明りも弾き返すほど艶々の毛並みになった二匹を追い掛け、白兎も外へと向かった。
「|うーなう♪ なうなうにゃ~ん《探検、探検♪ なんか見つかるかにゃ~ん》」
「|にゃうにゃ、にゃんにゃーん《濡れないように川でお魚見るかにゃ、奴隷に捕獲させるかにゃ》」
 さてさて、どのように楽しもうかとさっきまでのお風呂の恨みも忘れ、ナルニアとネーネリアは川辺をとてとて歩く。ぱしゃん、と川魚が跳ねれば、尻尾で白兎に取って来いと指示を出して二匹は高みの見物だ。
「お任せください、たくさん獲ってご覧にいれましょう」
 宣言通りに魚を取り、更に焚き火を熾して魚を焼いて、しっかりと冷ましたものをお皿代わりの葉っぱに載せ、ナルニアとネーネリアの前へと置く。
「うにゃうにゃ♪」
「にゃうにゃう♪」
 よきに計らえとばかりに水面に浮かぶ月でお月見を楽しんでいた二匹が、うまうまと魚を食べる。その様子を眺めつつ、白兎も自分用の魚にちゃっかりと塩を振って食べていた。
「悪者退治にお風呂に爪切り、色々頑張りましたからね」
 後半は完全に白兎の仕業なのだが、下僕としては主たる猫を綺麗に保つのも仕事。そして、それを頑張ったからには労うのも当然なのである。
 月明りが川面に揺れ、焼き魚の香ばしい匂いが静かに二匹とひとりの間に広がっていく。猫たちとその下僕はまったりと新鮮な焼き魚を堪能し、至福のひと時を過ごしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

八秦・頼典
ミルナ様(f34969)と

本当に愉快痛快で、妖の驚きっぷりを思い出すとミルナ様の演技も迫真に迫るものがあったね
癖になるまでとは行かないけど、たまにはこうして化かしてみるのも一興かもだよ
主人のお言葉に甘えて助手のミルナ様と一緒に秘湯を与らせて貰おうか
ボクも自前の水着か用意された湯浴み着に着替え、大露天風呂で月見風呂と洒落込もう

霊泉が満月に照らされる相乗効果で霊力が高まると聞いていたけど、肌にひしひしと伝わってくるよ
あはは、確かにまるで新婚旅行だ
その時は色んな温泉宿を巡る新婚旅行も悪くないかもだし、庶民も気軽に旅ができる鼓腹撃壌の世作りに励まなければだ

そうだね
名残惜しいが離れのはしご湯と行こうか


ミルナ・シャイン
頼典様(f42896)と

ふふ、頼子お姉様わたくしが見てもドキッとするくらいお綺麗でしたもの。
わたくしの演技もなかなかのものだったでしょう?陰陽師探偵の助手ですから!

事件も解決したことですし、ご厚意に甘えてお風呂いただきましょう。
もちろん水着か湯浴み着に着替えて。
まずは大きな露天風呂で月見風呂といきましょうか。

気持ちのいいお湯ですわね、と人魚の尾びれを伸ばして寛ぎつつ。アヤカシエンパイアにこんないい温泉があるとは知りませんでしたわ。
なんだか花嫁衣裳を着た後だと新婚旅行みたい。
だいぶ先のお話ですけど、本番の新婚旅行で温泉に行くのも悪くないかもしれませんわね。後で離れの温泉にも行ってみましょうか?



●ゆるりと湯煙を楽しんで
 妖を倒した後は急いで帰るような用事もなく、ミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)と八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)は案内されるままに温泉宿へと足を運んでいた。
 歩きながら二人が話すのは先程の妖退治での出来事、ミルナがくすくすと笑いながら頼典を見遣る。
「頼子お姉様わたくしが見てもドキッとするくらいお綺麗でしたもの。妖が騙されるのも致し方ありませんわ」
「ミルナ様の施してくれたお化粧のおかげかな。本当に愉快痛快で、妖の驚きっぷりを思い出すとミルナ様の演技も迫真に迫るものがあったね」
「ふふ、わたくしの演技もなかなかのものだったでしょう? 陰陽師探偵の助手ですから!」
 えっへん、と胸を張ってミルナが笑えば、頼典も楽しそうに頷いて。
「癖になるまでとは行かないけど、たまにはこうして化かしてみるのも一興かもだよ」
「ええ、たまには良いかもしれませんわね」
 今回は女装だったから、今度はミルナが男装するのもいいかもしれない、なんて話をしているうちに、二人は温泉宿へと到着していた。
「ここが……なんて立派なお宿でしょうか」
「本当だね、主人のお言葉に甘えてやってきて正解だった。では、陰陽師探偵の助手たるミルナ様――ボクと一緒に秘湯巡りといこうか」
「ええ、頼典様。事件も解決したことですし、ご厚意に甘えてお風呂をいただきましょう」
 差し出された手をミルナが取れば、頼典が宿の中へと進んでいく。
「頼典様、まずはどの湯殿を楽しみましょう?」
「やはり大露天風呂かな。今宵は満月、月見風呂と洒落込もう」
「素敵ですわ、ではのちほど」
 ミルナが女湯側の脱衣所に向かったのを見送って、頼典も男湯へと向かう。男女に分かれた露天風呂と、混浴が可能な露天風呂へはそれぞれの湯場から繋がっているのだ。
「混浴の露天風呂は水着か湯あみ着がマナーですから」
 抜かりなく水着を持参していたミルナがサッと着替えると、頼典を待たせぬようにと掛け湯を済ませて大露天風呂へと向かう。頼典もまた、同じように彼女を待たせないようにと水着に着替えて向かっていた。
「ミルナ様」
「頼典様」
 無事に合流した二人が笑みを浮かべながら、外に面した場所に作られた大きな露天風呂へと身を委ねる。
「気持ちのいいお湯ですわね……!」
 伸びをするようにミルナが人魚の尾ひれを伸ばし、軽く水面を揺らす。
「アヤカシエンパイアにこんな良い温泉があるとは知りませんでしたわ」
「ああ、霊泉が満月に照らされる相乗効果で霊力が高まると聞いていたけど、肌にひしひしと伝わってくるよ」
 湯煙にも負けぬ月の光が、霊泉から引かれた露天風呂の湯を照らす。湯面が淡く光っているようにも見えて、なんとも幻想的だ。
「ふふっ」
「どうしたんだい、ミルナ様」
「なんだか花嫁衣裳を着た後だと新婚旅行みたいだと思ってしまって」
「あはは、確かにまるで新婚旅行だ」
 婚礼の儀を終え、二人で温泉宿へとやってきた――そう考えれば確かに新婚旅行のようで、頼典とミルナは顔を見合わせて楽し気に笑う。
「ねえ、頼典様」
「うん?」
「だいぶ先のお話ですけど、本番の新婚旅行で温泉に行くのも悪くないかもしれませんわね」
「その時は色んな温泉宿を巡る新婚旅行も悪くないかもだ」
 その為にも、アヤカシエンパイアに巣食う妖を倒し、民も気軽に旅ができる鼓腹撃壌の世作りに励まなければ、と頼典はミルナの手を取り、彼女の藍玉の瞳を真摯に見つめる。
 それは、その時まで――いや、その後も、ずっと自分についてきて欲しいと願うような瞳で。
「はい、頼典様」
 言葉にせずとも伝わっておりますと、ミルナはその手を握り返した。
 そうして、しばしの間二人で月明りを浴びながら湯を楽しみ、湯あたりする前にと立ち上がる。
「頼典様、あとで離れの温泉にも行ってみましょうか?」
「そうだね、名残惜しいが離れのはしご湯と行こうか」
 繋いだ手を互いに握り締めながら、二人は離れへと向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

八坂・詩織
昔は蒸し風呂だったと聞いてますけど…温泉があるとはさすがアヤカシエンパイア。正直助かります。

離れの露天風呂で、相棒のファンガス『スピカ』と一緒にゆっくり浸かりましょう。
空高く昇る冬の満月を見上げつつ。
…そういえばあの人とも一緒に露天風呂入ったことあったな…
別にそういう仲とかではなくて当然お互い水着は着てたし依頼のついでだし自然そのままの温泉だから混浴するしかなかったというだけの話なのだけど。

…やっぱり花嫁衣裳見てほしかった、かも…
いや見たら見たで相手もいないくせに、とか引かれるのがオチかもしれないけど。
でも…お世辞でも綺麗だって、言ってくれないかな?

なんて。
私に花嫁衣裳を着る本番は来るのかな…



●満ちる月、満ちない想い
 平安貴族の湯治宿――そう聞いて、自分の世界の温泉宿を思い浮かべつつ、八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)は案内されるままに温泉へとやって来ていた。
「……随分立派な」
 結構な高級宿くらいありませんか? と思いつつ宿に入れば、大露天風呂か離れかと問われ、詩織は離れを選ぶ。宿の女中に案内され、離れへと通されるとホッと一息ついて露天風呂を覗き込んだ。
「昔は蒸し風呂だったと聞いてますけど……温泉があるとはさすがアヤカシエンパイア。正直助かります」
 しっとりとかいた汗を流したいと、さっそく相棒のファンガス『スピカ』と共に離れの露天風呂へ。
「掛け湯をしなくちゃね、スピカもよ」
 軽く汚れを落とすように湯で流し、檜風呂へ足先を沈ませた。
「ふわぁ……気持ちいい……」
 湯の気持ちよさに蕩けつつ、空高く昇った冬の満月を見上げて思うのは、前に入った露天風呂のこと。
「……そういえば、あの人とも一緒に露天風呂入ったことあったな……」
 別に、色気のある話などではないし、お互い水着は着ていたし、依頼のついでだったけれど。
「自然そのままの温泉だから、混浴するしかなかったというだけの話なのだけど」
 でも、ドキドキしたし、緊張だってした。
「あの人は、何にも思ってないのでしょうけど。……やっぱり花嫁衣裳見てほしかった、かも……」
 もしかしたら、少しくらいは意識してくれるかも――なんて思いを掻き消すように、詩織は月明りに揺らぐ湯面をパシャンと叩く。
「いや、見たら見たで相手もいないくせに、とか引かれるのがオチかもしれないけど」
 ぎゅっとスピカを抱きしめて、詩織が吐息を零して。
「でも……お世辞でもいいから、綺麗だって……言ってくれないかな?」
 おでこをこつんとスピカにくっつけて囁いた言葉は、湯に溶けるように消えていく。
「なんてね」
 顔を上げ、再び届くことのない月へと手を伸ばすように伸びをして、あーあ、と小さく笑う。
「私に花嫁衣裳を着る本番は来るのかな……」
 いつか、そんな未来がくればいいと、そう願いながら詩織は再びスピカを抱きしめて、月の光を受けて煌めく霊泉が満ちた湯を楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
【雅嵐】
温泉じゃって~もちろんいくじゃろ?
どっちでもよさそ…あっ、で、でも不安があるの…
こ、この箱を大きな露天風呂に放ってええんじゃろか…
……変に雅じゃからの……皇族と間違えられめんどくさいことになるんじゃなかろか…

……せーちゃん! あっちの檜の露天風呂のほうが、わしはええ!あっちいこ!!
あっ、これやっぱり皇族じゃと思われとる…!

ああ~~~ええ湯じゃな…
今はぺっしょりしとるわしの尻尾も、かわかせばふわふわのつやつやになりそうじゃな
尻尾?別に自分で洗えるが…まぁ、お願いしよかの
せーちゃんがふわふわにするのが上手なんはよう知っとる

これでうまい酒があったらよかったんじゃけど
風呂上がったら飲むかの!


筧・清史郎
【雅嵐】
楽しそうに揺れる尻尾をにこにこ見ながら
ふふ、勿論浸かって帰ろう
大きな露天風呂と、離れになっている檜の露天風呂とあるようだが
? どうした、らんらん?
友の様子にきょとりとするも

ああ、では檜の露天風呂に入ろうか
雅やかに微笑んで、貴族達に案内してもらおう

身体を流して、らんらんと共に湯船に浸かろう
ふふ、身体が温まって心地が良いな
…尻尾(じい
らんらん、後で背中を流して、尻尾ももふもふ洗ってやろう
そう遠慮するな、俺が洗うといつもふかふかだろう?
任せてくれ、と、にこにこわくそわ

湯に浸かりながら酒を浮かべて月見酒、というのも乙だが
ふふ、らんらんが酔って、のぼせてしまいそうだからな
風呂の後の楽しみにしよう



●最高の温泉と、もふもふと
 美しいけれど動き難く重い花嫁衣裳を脱いでいると、依頼主である平安貴族から温泉は如何かと声が掛かる。貴族の邸宅から少し離れた湯治宿に、とても良い霊泉の湯があるのだとか。
 これに一も二もなく喜んだのは終夜・嵐吾(灰青・f05366)で、迷いのない足取りで湯治宿へと向かう。
「せーちゃん! 温泉じゃって~もちろんいくじゃろ?」
 温泉じゃ、温泉! と、嵐吾が尻尾を楽し気に揺らしながら、嵐吾の少し後ろを歩いている筧・清史郎(桜の君・f00502)へと問い掛けた。
「ふふ、勿論浸かって帰ろう」
 揺れる尻尾はなんと愛らしいのかと、清史郎はにこにこと人の好い笑みを浮かべている。
「大きな露天風呂と、離れになっている檜の露天風呂とあるようだが、らんらんはどちらが良いのだ?」
「ん~~どっちでもよさそ……あっ、で、でも不安があるの……」
「? どうした、らんらん?」
 思い浮かんでしまった懸念に、嵐吾がぶつぶつと呟くのを清史郎がきょとりと首を傾げて見遣る。
「……変に雅じゃからの……皇族と間違えられめんどくさいことになるんじゃなかろか……」
 清史郎はアヤカシエンパイアの皇族でもなんでもない、サムライエンパイアの硯箱のヤドリガミ。しかし嵐吾の言う通り、見た目は雅で美しい男であり、黙って立っていればやんごとない身分に見えるのだ。
 湯治宿に到着した瞬間、出迎える貴族の彼らの姿を見て嵐吾は清史郎へと訴えかける。
「……せーちゃん! あっちの檜の露天風呂のほうが、わしはええ! あっちいこ!!」
「ああ、では檜の露天風呂に入ろうか」
 嵐吾が言うのなら、と清史郎が雅に微笑めば、控えていた貴族達がこちらでございますと頭を低くして二人を迎え入れた。
「あっ、これやっぱり皇族じゃと思われとる……!」
 遅かった、と嵐吾が清史郎を見遣ると、当然のような顔をして彼は貴族達に頷く。
「うん、案内してもらおうか」
「あああ~~」
 こうなれば仕方ない、今更皇族ではないと言ったところでお忍びなのですね、と言われるのがオチ。嵐吾はそこまで読んで、わしは従者……と言い聞かせながら彼らの後ろをついていき、離れに入るや否や大きなため息をついたのだった。
「らんらん、さっきから様子がおかしいが、やはり疲れているのか……?」
「まぁ疲れとるといえば、疲れとるかの……」
 主に目の前にいる、雅な箱のせいで。
「それはいけない、さっそく温泉に浸かって疲れを癒すとしよう」
「そじゃの……」
 ぺしょん、とした尻尾を気にした清史郎の声に頷き、離れに備え付けられた露天風呂へと向かう。
「おお、思ったよりも大きな檜風呂なのだな」
「! 早く入ろう、せーちゃん!」
 ほかほかとした湯煙に、月の光を受けて輝く湯面。これはいい露天風呂、と判断した嵐吾が気を取り直して服を脱ぐと露天風呂へと駆けていく。
「ふふ、らんらんが元気になった」
 にこにこしながら、彼を追い掛けるように自分も服を脱ぎ、掛け湯をすると先に風呂に入って気持ちよさそうな顔をしている嵐吾の隣へと身を沈めた。
「ああ~~~ええ湯じゃな……」
「ふふ、体が温まって心地が良いな」
 疲れた心と身体にじんわりと沁みるようで、湯の中で嵐吾の尻尾が揺れる。
「……尻尾」
 湯の中でボリュームを失った尻尾をじっと見つめれば、嵐吾がその視線に気が付いて己の尻尾を撫でた。
「今はぺっしょりしとるわしの尻尾も、かわかせばふわふわのつやつやになりそうじゃな」
 温泉効果じゃ、と嵐吾が笑う。
「らんらん、後で背中を流して、尻尾ももふもふ洗ってやろう」
「背中はありがたいんじゃが、尻尾? 別に自分で洗えるが……」
「そう遠慮するな、俺が洗うといつもふかふかだろう?」
「まぁ、お願いしよかの。せーちゃんがふわふわにするのが上手なんはよう知っとる」
「任せてくれ、最高の尻尾に整えてみせよう」
 最高の温泉に、最高のもふもふ。使命感に燃える清史郎を、せーちゃんは尻尾が好きじゃの……と嵐吾はいつもの事だと伸びをする。
「これでうまい酒があったらよかったんじゃけど」
「湯に浸かりながら酒を浮かべて月見酒、というのも乙だが。ふふ、らんらんが酔って、のぼせてしまいそうだからな」
 それはそれで否定できないと、嵐吾がしばし考えて。
「それなら、風呂上がったら飲むかの!」
「ああ、風呂の後の楽しみにしよう」
 しっかりと温まって、身体を清め、尻尾をもふもふにしたら――美味しいお酒が待っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​