開拓物語〜|猟兵《キミ》と育つ町
そこは自然豊かな渓谷にある開拓地『ヴァレフィルド』──森を拓いて造られたこの開拓地にあるのは、いくつも立ち並ぶ三角屋根の住居から、整えられた道や町を囲うように広がる多様な畑に、まだ見ぬ素材も眠る地下の採掘場。そして、鮮やかな色を咲かせる花畑だ。
ここを拠点に活動するゲームプレイヤーたちは、さて次は何をしようかと、ひとつの三角屋根で頭を悩ませる。なにせ、どれほど楽しく住居を増やして『町』めいた姿を作っても、この地にはまだ|住人《NPC》がいなかった。
クランメンバーが使う屋根は数えるばかりで、内装のほとんどは空っぽのハリボテばかり。目的もなく作ることも確かに楽しいものだが、町を造るのであればやはり人の行き来を求めたくなるというものだ。
「やっぱ近場…って言っても遠いけど…NPCの移住を募るのがいいんですかね」
「え~!家があるだけのここに?来てくれる気しな〜い」
「まぁうん…生活基盤はまだないからなぁ…でもそういう施設こそNPCに任せたいし…一旦、クランメンバーで回すとかします?したい人は挙手で」
「シフト制で店番スか?ぜってーパス」
「あたしもパスで~す。今日いないメンバーの分も代返で全員パス」
「ですよねぇ。はあ…開拓地にNPCがいなくても、交易系のNPCくらいは来るってデマなんですかね」
「町を行き来するNPCを起点に人が増えると思ったのにね~」
何かのフラグが足りないのか、はたまた別の条件があるのか。ゲームを広げる為に必要な|存在《NPC》が一向に訪れない原因に、あてもなく思い馳せては取り留めのない|会議《ダベり》を広げていた。
「よし、パンを作ろう!」
「でた店長の十八番、とりあえずパン作りたがり」
「需要がないから供給しても捌けないスよ」
「うむ。NPCに売ろう!」
「このポンコツリーダー、さっきログアウトでもしてました?」
そんなプレイヤーたちの賑わいに耳を傾けるのは、ここで育った植物系のモンスターたち。この地で芽吹いた存在は、物言わぬ口をいっそう閉ざしてただ静かにまどろんでいた。
●
「みんな、今日は集まってくれてありがとう!それに、先月の戦争ではお疲れ様!
戦争が終わったばっかりだけど…みんなの力が必要なんだ。さっそく今回の予知の話をするね!
場所は前にもバグプロコトルに襲われた事がある、渓谷の開拓地『ヴァレフィルド』だよ!」
グリモアベースに集まった猟兵たちを笑顔で迎えた布都御魂・アヤメが、すぐさま気持ちを引き締めそう語り出すのはゴッドゲームオンラインに迫るバグプロコトルの魔の手。
戦争が終わっても、猟兵たちの助けを求める場所は数多の世界にあるもの。今回はアヤメが予知にみたのは『開拓地』と呼ばれる特殊なクエストエリアのひとつに訪れる危機である。
開拓地とは、カラフルなブロックのような『素材』を集めて合成するだけで建物でも何でもぽいぽい作る事ができる、カジュアルな建築を好むプレイヤーに人気のエリアだ。その盛り上がりは多数の巨大なプレイヤー拠点が新規建造されつつある程だが──何故か『GGOに多数の巨大なプレイヤー拠点を新規建造されること』に対する危機感のようなものを見せる、バグプロコトルの恰好の標的となっていた。
自然豊かな渓谷にあるヴァレフィルドもまた同じく。
猟兵たちの活躍によって守られるも、その後ゲームプレイヤーの手によって徐々に町としての姿を見せはじめようとする開拓地には、今再びバグプロコトルの脅威が近付いていた。
「ここは前回バグプロコトルに襲われた時に、猟兵のみんなが手伝ってくれたお陰で、今ではちょっと町っぽくなってきてるんだよ。
それなのに…今回もまたフィールドに出現するモンスターに混ざって、バグプロコトルがこの開拓地とプレイヤーを狙ってくるんだ。絶対止めなきゃだよね!」
アヤメはそう意気込むと、猟兵たちの顔を見渡し大きく頷く。伸びる魔の手があるならば、何度だって払い除ける事は猟兵たちの役目となろう。
「通常のモンスターに混ざって出現するのは『フローティング・ゴーレム』だよ。
渓谷近辺に出現する通常のモンスターとは違って、バグプロコトルはプレイヤーや町の建造物を狙ってくるから気を付けてね!
それからこの開拓地の町には、友好的なモンスターたちもいるんだ。もしも間違えて倒しちゃっても、あんまり問題はないんだけど…。
ここを拠点にして活動してる『パンの国』っていうクランのプレイヤーたちは、みんな生産職だから戦闘が苦手なんだよね。
普段からちょっと戦闘も手伝ってもらってるみたいだし、もしも戦闘に巻き込むくらいなら、友好的なモンスターにプレイヤーの護衛とかをお願いするのもいいかも!」
このヴァレフィルドではアルラウネやトレントなどの植物系モンスターが自由に過ごしており、戦闘が苦手なパンの国のメンバーにとってはこの開拓地の戦力でもある。戦闘の損害にモンスターを数える必要はないが、巻き込むくらいならばいっそ共闘することも可能だろう。
「ただ、友好的なモンスターたちだけで戦闘を任せるのは難しいかも…。それに今回もきっと、強力なバグプロコトルが敵を率いていると思うんだ。
地下採掘場が避難場所にもなるから、戦闘が激化しそうになってきたらプレイヤーには避難してもらってもいいと思うよ!」
しかし相手はバグプロコトル、過信は禁物だ。開拓地にあるものをどう扱うかは猟兵の自由だとアヤメは言葉を添えて、あっと声をあげた。
「そうそう、何か建造物を作ってもプレイヤーを守れるかもしれないし、思いついたことは自由にやってみてね!
せっかくの開拓地だもん、何でも大歓迎されると思うよ!」
どう扱うかも、何をするにも自由──ここはカジュアルな建築が気軽にできる『開拓地』という特殊なエリアなのだ。
開拓地を発展させる施設でも、何か名所や目玉になるものでも…または戦闘に役立つ建築などでも、猟兵たちの想像次第で自由に作れる。そしてそれは今後の開拓地を作り描く助力にもなるだろう。
「開拓地を楽しみながらプレイヤーさんを守ってあげてね!みんな、頑張って!」
アヤメの突き出す拳と合わせ、猟兵たちはグリモアの輝きの中へと飛び込んでいった。
後ノ塵
後ノ塵です。はじめまして、あるいはこんにちは。開拓地『ヴァレフィルド』での二作目の開拓シナリオです。三章構成のシナリオとなります。
続き物になりますが前回のシナリオの読了は不要です。もしこれまでの開拓内容を確認したい場合は、シナリオタグからご覧ください。
シナリオの結果を反映して運営します。
前回までの成果は町の施設として、畑、倉庫、地下採掘場が存在し、その他には住居があります。自由に活用できます。
石材、木材など建築に使える汎用素材や、モンスターからのドロップ素材などが使用できます。
友好的なモンスターとして、植物系モンスターのアルラウネ、トレントなどが町に出現しています。戦闘や簡単な手伝いをお願いできます。
友好的なモンスターのロストは、今後のシナリオには影響しません。
全章を通して素材ブロックによる建築を行うことができます。
バグプロコトルは『ゲームプレイヤーの殺害>建築物の破壊>その他』を優先して行動します。周囲に気をつけて戦いましょう。
一章は『フローティング・ゴースト』との集団戦です。
バグプロコトルと共にその他の通常モンスターも出現します。開拓地を大きくする為には、今後も素材が必要となるでしょう。バグプロコトルも通常のモンスターも片っ端から倒して素材を獲得しましょう!
二章は『バグヒロイン』とのボス戦です。
開拓を進めるプレイヤーの遺伝子番号剥奪を狙い、開拓を妨害する強力なバグプロトコルとの対決になります。
三章は生産系クエストが発生します。
安全になったので、心置きなく開拓クエストを進めましょう!
皆様のプレイングお待ちしております。奮ってご参加のほど、どうぞよろしくお願いします。
第1章 集団戦
『フローティング・ゴーレム』
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POW : 絶対撲滅戦線
【肉弾戦用に人型に変形した仲間】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[肉弾戦用に人型に変形した仲間]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : オーバーブースト・レーザー
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【胸部】から【ホーミングレーザー】を放つ。
WIZ : サイキック・バースト
【死に際に大爆発とともに残留エネルギー】を放ち、レベルm半径内の指定した対象全てを「対象の棲家」に転移する。転移を拒否するとダメージ。
イラスト:hikaru
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
自然豊かな渓谷の開拓地ヴァレフィルドに、心地よい風が吹き抜ける──。
いつだったか飾り気のない豆腐建築が並ぶばかりであった開けた土地には、整然とした三角屋根が立ち並ぶ。畑に実る作物に交ざって佇むのは、梢を揺らすトレントや日光浴をするアルラウネたちだ。
ひと気のない花弁で彩られる街道を進んでゆけば、三角屋根から慌てて飛び出し猟兵たちを迎えてくれるのは、何やら愉快なゲームプレイヤーたち。
「え!?お客さんじゃないスか!」
「よし、じゃあいつものだな!俺こそパンを愛しパンに愛されし男…パンパカ・パーンだ!パーン店長と呼んでくれ!」
「その挨拶ホンット、やめません?」
「はいはーい。特に目立ったところのない開拓地へようこそ~」
そう賑やかに騒ぎ来訪者を歓迎してくれるのは、クラン『パンの国』のゲームプレイヤーたちだ。
「すいません、色々歓迎したいんですけど…まだ見ての通り、家を作ってあるだけで他になんにもないし、ろくにNPCとかも来てないんですよ」
「逆に言うと~?人とかNPCとかが集まってくれそうなアイディアとか募集中で、あとここで遊んでくれる人も大歓迎となってま~す」
「なければなんでも作ればいいだろう!新しい人も来てくれたことだしな!」
「お、珍しくまともモードの店長じゃないスか?」
「理由のないポジティブって無敵ですよね。…すいません、身内で固まっててちょっと絡み辛いかもなんですけど…こっちは全員生産職なんで。
何か作るときに手が欲しいとか、良かったらなんでも声かけてください。クエストもまだ発生してないんですけどね…」
騒がしいクランメンバーの背中を押しやりながら、控えめなゲームプレイヤーはそう言って苦笑を見せる。姿形が作られ始めたこの開拓地は、それでいてまだまだ発展途上だ。どんなことでも、どんなものでも、この地を彩るきっかけが描けるだろう。
「俺たちはクランで集まっているが、開拓地は誰のものでもないからな!遠慮なく好きに遊んでくれ!楽しくやろう!」
大きく手を振る豪快なプレイヤー、パーンに猟兵たちは手を振り返す。
これから訪れるバグプロコトルの魔の手から彼らを守りつつ──ひとまず積極的に交流し開拓に協力するのも、或いは自由に開拓を進めるのも猟兵次第だ。
印旛院・ラビニア
トリリオンが現金に変えられるし、人によってはガチめの生産職とかやってそうだよね。ここはエンジョイ勢っぽい気はするけど
戦闘
「敵は僕達に任せてよ」
【高速詠唱】【召喚術】で戦乙女モンスターを次々と召喚。盾持ちにホーミングレーザーを【かばう】してもらいつつ、【集団戦術】で敵を弓や槍で追い立ててもらい、狙いをつけやすくし、UCで相手の武器や外殻を【略奪】し弱らせたり、核部分が露出したらそれを奪う。素材も回収しとくよ
客寄せ案
友好的な植物モンスターがいるなら、葉っぱや実とかの素材を分けてもらえないか【取り引き】
「これを魔喰者の成長の為の素材で売り出せないかな?料理とかにできればもっと良さそうだけど」
「へえ、生産職かあ。トリリオンが現金に換えられるし、人によってはガチめの生産職とかやってそうだよね」
人の少なさ以上に、どこかゆったりとした空気が見える開拓地と、ここ拠点にしているクラン『パンの国』のゲームプレイヤーたち。それらをぐるりと見渡して、そんな言葉を口にするのは印旛院・ラビニアだ。
とはいえ、見たところ彼らはマイペースにゲームを楽しむエンジョイ勢なのだろう。ラビニアが声には出さずに含ませた言葉を察して、苦笑いを浮かべ肩をすくめるのは控えめなプレイヤーだ。
「アハハ…そうですね。うちは楽しく過ごすの優先の人が多いです。みんな作るのは好きですけど、稼ぐのは熱心じゃなくって」
ゲームの遊び方は人それぞれ。それも自由度の高いGGOの良さとも言えよう。だが人を呼ぶには、彼らのマイペースやエンジョイがプラスに働くわけでもないのが、実情といったところなのだろう。
彼らのスタンスに頷くと、ラビニアはもう一度この開拓地を見渡す。整然と建てられた住居に装飾…特別目立つものがない中で、目に留まるのはトレントやアルラウネ等の友好的な植物系モンスターたちの姿だ。
「あのさ、思いついたことがあるんだけど…町のモンスターから、葉っぱや実とかの素材を分けてもらえないかな?」
「へえー!そんなんできるんスか?ちょっと素材とか分けて欲しいんスよー!」
ラビニアの言葉に一人のプレイヤーは疑問を口にしながら元気よく駆け出すと、勢いのままモンスターたちへ呼び掛ける。雑な交渉にも友好的なモンスターたちは快く頷くように体を揺らして、己の素材をわっさり分けてくれる。
「おおっ!?なんかすげーくれたッス!どうぞッス!」
「僕が欲しいわけじゃなくて!これを魔喰者の成長の為の素材で売り出せないかな?料理とかにできればもっと良さそうだけど」
「おおー!」
植物といえば葉が茂り実が生るもの。ドロップアイテムの収集となれば戦闘が苦手なプレイヤーでは苦労もあれど、友好的なモンスターから分けて譲ってもらえるのなら、今後も彼らだけで簡単に手に入る。
植物系モンスターに限られはするが、特殊な成長条件故に産廃職と名高い魔喰者の中でも──特に駆け出し者であれば、あまり選り好みせずに購入を検討してくれる事もあるだろう。
「まあ、初めて接触するプレイヤーにも分けてくれるなら、商売にはならないんだけど…あ、やっぱり僕にはダメっぽい?」
「へええ…親密度とか友好度の条件あるんですかね」
この地でモンスターとの関係を築いているプレイヤーたちには素材を分けてくれる一方で、ラビニアの差し出す手にはそっぽを向くのが実にわかりやすい。ラビニアは少々の寂しさに肩を落とすが、確認は充分。条件付きの恩恵ならば商品にもなるだろう。
「よし、あとは料理だな!パンなら任せろ!」
「パンじゃなくてもいいと思うけど…」
「すいません、うちのリーダーバカな上に頭がパンで…料理もちょっと試作してみましょうか」
ラビニアのアイディアに色めき立って、プレイヤーたちはいっそう賑やかになるが──ここにはバグプロコトルの魔の手が迫っている事も忘れてはならない。
にわかに響くのは渓谷に似合わぬ機械の警告音。それと同時にアルラウネやトレントたちが警戒に蔓と枝葉を逆立てる。──フローティング・ゴーストの襲来だ!
凄まじい勢いで飛来するゴーレムのターゲットは、もちろんプレイヤーと開拓地そのもの。驚くプレイヤーたちの前へラビニアは躊躇いなく立ちふさがる。
「敵は僕達に任せてよ。試作料理、作っといて!」
ニヤリと余裕の笑みを浮かべるラビニアが、高速詠唱で次々に召喚するのは戦乙女モンスターたち。盾を持つ戦乙女が素早くレーザーから庇えば、次は弓や槍を持つ戦乙女の出番だ。ラビニアは戦乙女と共に距離を取るようにゴーレムを追い立ててゆく。
どれほどの飛翔を見せようとも、狙いが明らかである上に疎らな群れでは統率された集団の壁を越えられはしない。
「さて、ゲットさせてもらうよ〜」
更にラビニアが使うのは電脳魔術で作り上げたカーソル。ゴーレムに合わせカチッとクリックひとつで、装甲は一瞬で剥ぎ取られ収納される。後は|簡単な作業《クリッカー》ゲームのように削りながら総攻撃で数を減らすだけ!
欠伸が出そうな戦闘のエッセンスは通常のモンスター。とはいえ脅威ではない故にちょっとした障害物レベルだ。武器や外郭を略奪して弱らせながら、一方シンプルな動物系は下手に剥ぐとレーティングが心配なので流れ弾にお任せしつつ。
「フローティング・ゴーレムのドロップは…自律制御コアっと。素材として合成したら自動化とかしそうだね」
ついでにゴーレムのコアも回収しながら倒していけば、ラビニアの電脳空間には素材がたんまり集まるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ミノア・ラビリンスドラゴン
ドラゴンプロトコルが新しい開拓地を視察に参りましてよ~!
牧歌的な農村といった風情ですわね!
そして地下には稼ぎ場となる採掘場!
街を発展させる下地はそこそこ整っておりますわね!
それと友好的なモンスター?
カムイオオカミのようなテイミングとは違うようですわね?
テイミングモンスターならぬ、フレンドリーモンスターといったところかしら?
さて、バグプロトコルですが……くさタイプが友好的なら、ほのおタイプは控えた方が良さそうですわね
【庭師メイド】を召喚! 超音速の巨大剪定バサミでゴーレムを装甲ごとぶった斬りなさい!(切断・一刀両断)
無数のトラップカードで開拓地の防衛も万全でしてよ~!(拠点防御・鉄壁・罠使い)
人が来ない──NPCがいない──そんなゲームプレイヤーの嘆きを全てをぬぐい去る勢いで、開拓地ヴァレフィルドへとミノア・ラビリンスドラゴンが華麗に参上!
「ドラゴンプロトコルが新しい開拓地を視察に参りましてよ~!」
「えぇ!? やったー!!」
快活な声と共に現れる|思わぬ存在《ドラゴンプロコトル》の登場に、もちろんゲームプレイヤーたちは諸手を挙げてこぞって喜ぶ!
なにせドラゴンプロコトルと言えば、|ゲームの管理者《ゲームマスター》であり時にクエストボスとしても君臨する『ドラゴン型AI』…つまり特別なNPCである。この開拓地で活動する中で、人の往来が増えないことに悩んでいた『パンの国』の面々にとっては、これ以上ないほどの来訪者だ。
もちろんミノアの居城は別の|場所《ダンジョン》であり、今回の目的も視察であるが、やはりドラゴンプロコトルが直々に視察に訪れてくれる状態であるとみれば、プレイヤーたちにとってはミノアの来訪だけでも充分に嬉しいもの。
「牧歌的な農村といった風情ですわね! そして地下には稼ぎ場となる採掘場! 街を発展させる下地はそこそこ整っておりますわね!」
「マジで!? ドラプロさんのお墨付きなら安心ッス…!」
さらには開拓地の現状を見て回ったミノアが忌憚のない言葉を口にしてくれれば、プレイヤーたちには次々に照れくさそうな笑顔が浮かぶ。何事も駆け出し始めが転びやすいもの──手探りでクラフトに勤しんでいた彼らにとっては、ミノアの言葉は安心だけではなく自信を与えてくれる称賛だろう。
そんなプレイヤーたちの喜びはさておき、ミノアの視察の目が向くのはやはり、開拓地の町中で自由に過ごす友好的なモンスターたちだ。誰が近付いても敵意がないどころか、プレイヤーたちの挨拶にトレントやアルラウネもまた茎や枝を持ち上げて挨拶を返してくれているのだから。
「ふむふむ。友好的なモンスター? カムイオオカミのようなテイミングとは違うようですわね?」
「あ、そうですね。|飼い慣ら《テイム》してるわけじゃないし、別のエリアに連れて行こうとしたら嫌がるし。
開拓地からも離れたくないみたいで、テイムしたモンスターとも挙動が違うみたいです」
「開拓したばっかの時に来てくれた人のアイディアなんだよね~。
敵が来たら教えてくれるし、そのまま戦闘とかお手伝いとかしてくれて、チョー助かってるんだ~」
「テイミングモンスターならぬ、フレンドリーモンスターといったところかしら?」
この開拓地で種を植えられ芽吹くことで襲来する害意に協力的になり、この場所で活動するプレイヤーたちとも接することで親しみや友好の関係値が芽生えた──ということなのだろうか。なかなか興味深いモンスターの姿にミノアが頷けば、その時にわかに響き渡るのは機械の警告音。凄まじい勢いで飛来するのはバグプロコトル、フローティング・ゴーレムだ。
明らかに通常とは異なるモンスターの姿に、プレイヤーの顔には動揺が広がるが臆することはない。ここに居るのは、時にはどころか基本的にクエストボスとしてダンジョンに君臨しがちなドラゴンプロコトルがいるのだから!
「くさタイプが友好的なら、ほのおタイプは控えた方が良さそうですわね。
出でよ! 城の庭園を彩る庭師メイド!! 不埒者を裁断なさい!!!」
せっかくの友好的なモンスターの数を徒らに減らすリスクは不要! ミノアが選択するのはもちろん、開拓地やプレイヤーへご配慮の上の一手。
庭師メイドを召喚すれば、メイドはミノアへお辞儀をひとつ。すぐさま振り返り振るう超音速の巨大剪定バサミは一瞬の暗転の中で、複数のゴーレムの装甲をあっさり一刀両断。
目にも止まらぬ一瞬の仕事に、ゴトリ転がるのは真っ二つとなったゴーレムの胴体で、仲間の喪失にゴーレムは再び警戒音を響かせる。
敵意と警戒を響かせながら、胸部に力を集束させるその狙いはプレイヤーと開拓地そのもの──しかし、その狙いも事前に割れているものに過ぎない。
ミノアが開拓地を見て回ったのは視察の為だけではなく──この地をバグプロコトルの魔の手から守るためでもあったのだから!
「今ですわ、トラップカード・オープン!」
ホーミングレーザーが放たれるその瞬間、ミノアが開くのは無数のトラップカード!
聖なる光に輝く壁や属性の力を纏う壁は、ゴーレムのレーザーを跳ね返し退ける鉄壁のバリア。どれほどの動きで惑わそうとも攻撃を無力化されてしまえば、ゴーレムとて硬いだけの案山子のようなもの。そして攻撃の一瞬に生まれる隙を狙うのは、巨大な剪定バサミの鈍い輝き。
「防衛も万全でしてよ~! さあ、ゴーレムを装甲ごとぶった斬りなさい!」
植物にまとわる害を払うのは庭師の十八番と言わんばかりに、涼やかな微笑みを浮かべた庭師メイドは、ゴーレムを次々にドロップアイテムへと変えていった。
大成功
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杓原・潤
へー、友好的なモンスターなんかもいるんだねぇ。
モンスターを使役するとか魔女っぽいかもだし、今度そーゆーの覚えてみようかな?
まぁ何を作るにしてもまずは素材集め、その前に皆を守ってあげなきゃだよね!
とゆー事でおいで、うるうのサメ達!
あのバグプロトコルは爆発するらしいけど、棲家への転移を拒否しなきゃ良さそう。
つまり、サメ達がやっつけた場合はそのまま帰ってもらえばノーダメージって事!多分!
サメもゴーレムは食べらんないかもだけど、うちの子達には回転ノコギリもあるからね。
他の敵対モンスター共々斬り倒して、お家とかの素材にしちゃえ!
うるうはパンでも食べてサメ達を応援しとこうかな。
うるうメロンパン食べたーい!
「へー、友好的なモンスターなんかもいるんだねぇ」
穏やかな──ばかりではない開拓地ヴァレフィルド。のんびりと見て回る杓原・潤の目に留まるものもやはり、友好的なモンスターであるアルラウネやトレントだ。物珍しさももちろんあれど、自由に過ごすモンスターたちの姿に潤が連想するのは、理想の魔女のイメージだ。
「モンスターを使役するとか魔女っぽいかもだし、今度そーゆーの覚えてみようかな?」
童話的な可愛い魔女のテンプレといえばやはり黒猫だが、ファンタジーな世界観ならばかっこいいモンスターを|使役《テイム》する魔女もやはり捨てがたい。大空を飛ぶならやはりライドドラゴンやグリフォンだろうか…大地を駆けるのは少し違うかもしれないが、赤兎馬で颯爽と走り抜ける魔女も、きっと特別でかっこいい! 特別と言えば、おそらく神話や伝説をモチーフにしているカムイオオカミやフェニックスも魅力的な存在だろう…!
目の前の植物系のモンスターからの連想は斜めの方向に発展し、次々と膨らむ魔女のイメージに潤は笑顔を浮かべる。他者との関りをきっかけにチャレンジしてみたい事が増えるのもネトゲの楽しいところだろう。
とはいえチャレンジはまたいずれ、この先のどこかでの話。潤だって猟兵の役目は忘れてはいない。
「なんかNPCもこないしクエストも発生しない割にモンスター来過ぎじゃないですかね…?」
「こーゆーイベント…じゃないよね〜流石に」
「俺、戦闘あんましたくないから開拓地に引き篭もってんスけどぉ…」
猟兵たちの手によってプレイヤーも開拓地も守られているとしても、バグプロコトルの襲来が幾度も重なれば、戦闘が苦手な『パンの国』のプレイヤーたちの顔には、慣れぬトラブルで気疲れの疲弊と悲しい色が滲むもの。ゲームの遊び方は人それぞれ、理想の自分も人それぞれあるものだ。
ならば彼らがここで楽しく過ごせるお手伝いをする為にも、そして潤もちょっぴり美味しく楽しく過ごす為にも、不安など払拭できるよう潤も猟兵の役目を全うするまで!
「皆、心配いらないよ!バトルならうるう達に任せなさいっ!とゆー事でおいで、うるうのサメ達!」
「ありが…えぇサメぇ!?」
箒のひと振りでぞろっと召喚するのは鮫魔術士お得意の──回転ノコギリが生えた空飛ぶサメだ!その数はなんと168体!
空を埋め尽くす程のサメの姿にはプレイヤーはもちろん、友好的なモンスターたちもざわっと蔓や枝葉を揺らしてびっくり。バグプロコトルの第三波はまだ出現しておりません!
驚く面々に潤はふふんと自慢げに胸を張る。だがサメ達は見た目が壮観なだけではなく威力だって十二分だ。
「さあ!共々斬り倒して、お家とかの素材にしちゃえ!」
潤の発破でサメはまるで竜巻のように一斉に飛び出して、そこらのモンスターへと飛来する!
渓谷だとか森だとかこの辺りの環境などもこのサメ達には容易いもの。木々に引っ掛かれば回転ノコギリで伐採し、モンスターに激突すれば牙で噛み裂き飲み込んで、あっという間にブロック型の素材となる。
そうしていつの間にかフローティング・ゴーレムの群れが出現しようとも、やはりサメ達の敵ではない。硬い体は回転ノコギリで削り両断してゆけば──瀕死のゴーレムはその死の間際、高らかな警告音を響かせ爆発する!
サイキック・バーストの残留エネルギーは指定した対象を棲家に転移させ、更には転移を拒否する対象にダメージを与える決死の一手。だがそれも事前にネタが割れていれば怖くもない。帰ることを要求されたサメ達はそのまま棲家へ直帰するも、気にすることはない。なにせ、サメはまだまだいるのだから!
バグプロコトルの殲滅はサメ達にお任せすれば、潤はプレイヤーたちへと駆け寄る。だって、この開拓地で潤の心を動かすものはもう一つあるのだから。
「ねぇねぇ!うるうメロンパン食べたーい!」
「え、今スか?」
「何いっ!?パンなら任せてくれ!!」
「ちょ、待って店長それどころじゃ…あ、行っちゃった」
「あーもー…まあ、助けてもらってるし…モンスターとか気にしなくてもいいなら色々作りますか」
「そうそう!他の甘いのとか、グラタンパイもいーなー」
「オッケ〜店長に伝えてくるね」
大量のサメの衝撃でポカンとしていたプレイヤーたちも、目が覚めたように各々の作業へ楽しげに戻ってゆく。
そうして程なく潤の元へ走ってくるのは、焼き立てメロンパンをこんもり詰めたバスケットを抱えたパーンの姿だ。
「さあメロンパンだ、好きに食べてくれ!次もどんどん焼くぞー!」
「やったー!ありがとー!」
焼き立てのメロンパンは手に取るだけで分かるほどサクッサクでフワッフワ!大きく口を開いて齧り付けば、ゲームの中だとは思えぬ程の馴染みのある美味しさに潤は満足気な笑みを浮かべる。
「んー!おいしー!サメ達、がんばれー!」
サメの竜巻を遠目に眺めながら、両手にメロンパンを手にする潤は上機嫌でサメ達に応援を投げてゆく。
大量に散らばったドロップ素材を集めに行くのは潤自身なのだと、潤が気付く事になるのは──メロンパンを美味しく堪能し、ゴーレムの群れがすっかり倒された後であった。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、生産職なんて十分に優秀なんだ、こっちなんて本当に役立たずで困るって、アヒルさんなんて紹介の仕方をしてるんですか。
私だってちゃんと役に立ってますよ。
何をと聞かれても……、それは……。
えっと、みなさんのサポートです。
こうして美白の魔法を使っておけば、光線とか使う敵さんの対策になりますよ。
あってもなくても、どっちでもいいし、最近流行りの無能は追放をしてみる?って、アヒルさん待ってください。
思い出して見てください。
ちゃんと役に立っているはずですから追放はしないでって、なんで私が追放される事になっているんでしょうか?
立場的には私の方がマスターな筈では?
アヒルさん──フリル・インレアンの所有物である筈の、アヒルちゃん型のガジェットの『アヒルさん』のことであるが──彼あるいは彼女は饒舌にこう語る。生産職、なんて十分に優秀なんだ!こっちなんて本当に役立たずで困るんだよ!と──。
「ふええ!アヒルさん、なんて紹介の仕方をしてるんですか」
開拓地ヴァレフィルド、そこを拠点に活動しているゲームプレイヤー『パンの国』のメンバーへ、人見知りなフリルに代わって挨拶回り、もといフリルのご紹介だとアヒルさんはいつになく饒舌だった。つまりいつも通りフリルに辛辣でシビアということである。
「ふええ…私だってちゃんと役に立ってますよ」
とはいえフリルだって猟兵なのだ、言われっぱなしでは居られない。猟兵といえば生命の埒外の存在なので強いし、色々な事ができるもの。しかしアヒルさんはうんうん頷きながら、つまり何を何がって?なんて聞き返してくるものだから、フリルはウッと言葉に詰まった。
「何をと聞かれても……、それは……」
思い出す事はちょっとヒドイ目にあっちゃう記憶が多めすぎて──いえ、それもいつだってアヒルさんのせいなんですけど──パッとは浮かばないけれど。フリルだって猟兵だし、いつだって頼もしいアヒルさんは、そもそもフリルの|もちもの《アイテム》だし。しどろもどろに記憶の底をひっくり返して、ようやく思い出すのはもちろんフリルの得意分野である。
「ふえ…あっ、そうです!えっと、みなさんのサポートです」
なんてったってフリルは魔法が使えるのだ!えへん!
例えば美白の魔法は紫外線から有害な光まで、それが光であればものを選ばず、肌をケアして守ってくれる蒸気の魔法だ。パッパッとキュッキュッと蒸気を開拓地の建物とかそこらじゅうに纏わせ覆って、よいしょ、よいしょ。
「こうして使っておけば、光線とか使う敵さんの対策になりますよ」
特に今回のバグプロコトルなどであれば、凄まじい速度で飛び回りながらホーミングレーザーを放ってくるので対策としてはばっちりなのだ。
目ぼしいところをすっかり回って対策してから、額の汗をぬぐってフリルはそう熱弁する。
だがしかし、アヒルさんのつぶらな瞳はとっても冷ややかだ。いやいや、他の猟兵たちが頼りになるから、バグプロコトルはまともに近付かないし?そんなのあってもなくても、どっちでもいいし?
「ふええ!どうしてやり切ってから、そんなこと言うんですか!」
そういうのは思った時に口にしてくれないと困るもの。徒労感にガックリ崩れ落ちるフリルにも、やはりアヒルさんはいつもいつだってシビアである。
アヒルさんはそうだ!と翼をポンと売って、思いつくのは最近流行りの例のアレ。ねえねえ、無能は追放をしてみる?
「ふえ、アヒルさん、待ってください!思い出して見てください、ちゃんと役に立っているはずですから!
追放はしないで……って、なんで私が追放される事になっているんでしょうか?」
アヒルさんはフリルの|もちもの《アイテム》で、立場的にはフリルの方がマスターな筈である。すっかり主従が逆転…逆転してるのかも、フリルにももはや謎である。
フリルとアヒルさんはいつも通りで、そんな中フローティング・ゴーレムは死角にもポツポツ出現していたのだが──胸部から放つレーザーは美白の魔法の効果で全てチュインと滑ってあらぬ空へと消えたり、流れ弾でゴーレムの同士討ちを誘発しちゃったり。
フリルの対策は無駄ではなかったのだが、もちろんそれはフリルとアヒルさんには知る由もないのであった。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
NPCがこない理由どうしてんだろうね
住む場所や仕事はありそうなんだよね
そういえばここは渓谷だけど道はどんな感じなんだろう
自然がいっぱいで綺麗な所ではあるけれど
近くの街道までの道のりに通りにくい場所があれば
木々や岩を切り開いたり、階段や橋を作ったりしようか
綺麗な建物を作るのは得意じゃないけど
実用的なものなら作れるし
植物系モンスターに襲われたら倒して素材や種や苗を集めておこう
バグプロコトルにあったら静寧石霧を使用して敵の攻撃を止めつつ
格闘攻撃で砕いていこう
多少攻撃が抜けてきても硬化した石の体なら受け止められると思うよ
手甲のおかげで殲滅力に余裕があるね
数が多いから石材を現地調達できてちょうど良いかも
「NPCがこない理由か…」
バグプロコトルの襲来もつづがなく乗り越える開拓地ヴァレフィルドで、佐伯・晶はぽつりと呟く。
猟兵たちの活躍よって守られているこの場所だが、猟兵たちが足を踏み入れた以降の来訪者と言えば相変わらずフローティング・ゴーレムくらいなもの。そもそも以前から普通のNPCが来ていないのだ。戦闘行為を察して離れている…という可能性も低いだろう。
「住む場所や仕事はありそうなんだよね」
家があり畑がある以上、自給自足の土台はあるだろう。暮らしようはあるように見えるがと、晶は開拓地をぐるりと見渡して──そうしてふとある事に気が付けば、その瞳を開拓地の外へと向ける。
「そういえば…」
この開拓地の中心部はすっかり整地され住居を|建造《クラフト》されてはいるが、元々は森に囲われていた起伏のある土地だし、近場には滝や川などの渓流がある──ひたすら自然豊かな渓谷である。
少し外れれば人の手が届ききらぬ綺麗な場所。だがそれ故に、往来には人の手によって拓かれ整備された『道』が、どうしても必要不可欠だろう。
グリモア猟兵の予知に導かれて訪れる猟兵たちや、そもそもここを拠点に定住しているようなプレイヤーたちでは、なかなか注視しない部分。それもまた原因なのかもしれない。
そうと決まれば晶の行き先は、一番近い街道へと向かう道のりだ。整地されて切り拓かれた場所を離れてみれば、晶の予想は大当たり。
「ビンゴだね。通りにくい…っていうか、獣道?」
クラン『パンの国』が初めて訪れた時には拓いた道もあるのだろうが──木々や雑草に覆われて岩が転がる自然のままの風景の中にあるものは、獣道にしか見えない程だった。いくら開拓地という特殊なエリアでも、拓かなければ自然の領域。人が通りもしなければあっという間に緑は覆い尽くしてしまうのだ。
「綺麗な建物を作るのは得意じゃないけど、実用的なものなら作れるし…」
しかし道なき道ならば整備するまで。なにせ、ここは開拓地なのだから。
街道への道すがら、晶は木々を切り拓いて雑草を刈り取り転がる岩を砕いては、階段と道路を整備しながら危なげな崖には手すりをつけて、谷には橋を作って進む。長閑な自然に響き渡るのはスローライフな音色だが、ここは魔の手も迫る開拓地。通常モンスターだって、当然バグプロコトルだって容赦なく出現するもの。
茂みから飛び出してくるのは、大きな動物系モンスターや見慣れた植物系のモンスターの通常個体…つまりは開拓の素材である。
動物ならば肉やら皮やら、植物ならば木材や種や苗へ。そうして倒しながら素材を確保してゆくうちに、鋭く響く警告音。飛来してくるのはフローティング・ゴーレムの群れだ。
「今作ったばっかなんだから、壊さないでくれるかな」
作ったばかりの階段へこぞって近寄るゴーレムへ、晶が繰り出すのは静寧石霧を纏った拳だ。石の拳の一撃から石化し始め動きを止めるゴーレムへ、さらに石化の霧と停滞の神気で追撃すれば、あっという間にゴーレムの|彫像《・・》は高い墜落し砕け散る。
再び飛来するゴーレムたちはさらなる警戒音を響かせて、晶の目の前へと二本の足で着地する。肉弾戦用の人型へと姿を変えたゴーレムの一団は、一斉に晶と背後の建造物へと襲いかかる。
敵対者と建造物の破壊を求める意思は、集まれば集まるほどゴーレムを強化する。だが晶の石の体は防御にも足止めにも長けたタンク性能の特化スタイル。防ぎきれない攻撃を霧と神気が受け止めれば、巨大化した手甲による反撃で石化するゴーレムを容易く砕く。
「手甲のおかげで殲滅力に余裕があるね」
かつて入手した巨人の名を関する手甲で残りのゴーレムも石化させて砕いてしまえば、すっかり静かになった一帯に転がるのは、フローティング・ゴーレムのドロップアイテムである自律制御コアと──やはり大量の石材だ。
「石材を現地調達できてちょうど良かったかも」
大量のバグプロコトルも素材となってくれれば都合が良いもの。晶は引き続き街道へ向かいながら、木々を切り拓いて雑草を刈り取り転がる岩を砕いては、ドロップしたてホヤホヤのブロック型の資材を並べてゆく。
単純作業を繰り返してゆけば、いつの間にか視界は開ける。ようやく街道へ辿り着いた晶は額の汗を拭った。振り返り見れば、そこにあるのは石の階段に木の道。装飾はなくシンプルで、それ故に実用的で歩きやすい道路だ。
緑が茂るばかりだった風景に、人の手が加わっているのは一目瞭然。開拓地への道順は以前とは見違えたものに見えるだろう。
晶は歩きやすくなった事を確かめるように木の道を踏み締める。開拓地へ繋がるこの丈夫な道路はきっと、これから人々を開拓地へと導いてくれものとなるだろう。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『バグヒロイン』
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POW : 絶望の姫騎士
【卓越した剣技】で敵の間合いに踏み込み、【折れた聖剣からバグの斬撃】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
SPD : 失われた姫騎士
自身の【首を刈っ切ること】を代償に、【再現召喚した本来の姫騎士ヒロインの自分】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【凛々しく美しい卓越した剣技】で戦う。
WIZ : 侵し広がるバグ
【自身から溢れるバグプロトコルの斬撃波】を放ちダメージを与える。命中すると【ゲーム空間を侵し書き換えるバグ】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる。
イラスト:はる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「リヴィアン・フォンテーヌ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
穏やかすぎる気風の中に、ゲームプレイヤーたちの嘆きが滲んでいた開拓地ヴァレフィルド──。
猟兵たちの訪れと共に活気を取り戻した今、その中心地ではもうすっかり賑やかな声が響いていた。
「よし新しいパンもできたぞー!こっちは普通のバタールで、こっちはトレントの実を練り混んだバゲットだ!ちょっと…硬すぎる…!!」
「いつまでパン作るんですか、もー…」
「わ〜お、ほぼ木。アルラウネの葉っぱでハーブティーも淹れたよ〜」
「魔喰者じゃなくても味見していいんスか?」
「気になんないならいいんじゃな〜い?」
クラン『パンの国』のプレイヤーたちの当初の嘆きもすっかり何処へやら。バグプロコトルの群れも猟兵たちの手によって難なく過ぎ去った今、彼らがテーブルに並べるのは猟兵の発案で作ってみた魔喰者にターゲットを絞ったモンスター素材の料理に、猟兵にリクエストされたりされなかったりして作った様々なパンだ。
「良かったら皆さんもどうぞ。店長が無駄に作りすぎたので…」
「お茶だけでもいいよ〜普通のハーブティーもあるし」
猟兵たちは一般人のプレイヤーでも普通のNPCでもないが、彼らの前へ折よく訪れてくれた来訪者であることは間違いない。だが、プレイヤーたちのそんなささやかな歓迎の気持ちを、手放しで受け取るのはまだ早いと猟兵たちは知っている。敵を率いている筈の強力なバグプロコトルは未だこの開拓地に姿を見せてはいないのだから。
「あれ!?誰か来たッス!あれはNPCスかね?」
「……なんか、変じゃない?」
その時、プレイヤーの一人は大きな声をあげる。フラフラと歩く女性は間違いなくNPCだが──脚甲やボロホロのドレスには泥が跳ね、髪には木の葉や枝が絡まっているその姿を見るに、猟兵が作った開拓地と街道を繋ぐ道を辿ったわけではないだろう。
その上、折れた剣を引き摺る彼女の体のそこかしこからは、黒い侵食のようなバグが見て取れるのだから。
プレイヤーたちはその異様さに尻込み、猟兵たちは鋭い眼差しを向けて武器を取る。直後、響き渡るのは強大なバグプロコトルの出現を警告するゲーム内アナウンスだ。
「わ、たくし、の。…おしろ」
女性NPC──否。バグヒロインがポツリと呟けば、その体から黒いバグが噴きあがる。
バグプロコトルに侵食され、バグプロコトルそのものへと変じた|ヒロイン《NPC》が、開拓地へと襲いかかる──!
ミノア・ラビリンスドラゴン
テクスチャの不規則な乱れ、バグプロトコルですわね!
このわたくしが|聖剣士《グラファイトフェンサー》として直々にお相手してさしあげますわ!
【双剣使い】モードにコスチュームチェンジ!
ドラゴンプロトコルとしての潤沢なリソースを使った【戦闘演算】で踏み込みを瞬時に看破!
左手の剣でバグ斬撃を受け流し、右手の剣で【カウンター】の斬撃!
攻防一体! わたくしの【二天双龍斬】に隙はなし!
お城? 欲しければご自分で建てなさいな
わたくしは没貴族に落ちぶれた後も自力で稼いで迷宮城をおっ建てましてよ!
この開拓地は作り上げた彼らの王国ですわ~!
【軽業】【早業】【追撃】、速度系バフ盛り盛りにしてガンガン攻めますわ~!
いよいよ姿を見せた強力なバグプロコトルを前に──ミノア・ラビリンスドラゴンは視察モードから双剣使いモードへとコスチュームチェンジ!
「テクスチャの不規則な乱れ、バグプロトコルですわね!
このわたくしが|聖剣士《グラファイトフェンサー》として直々にお相手してさしあげますわ!」
臨戦態勢へ素早く切り替え双竜剣で切り込めば、激しい剣戟がこの開拓地へと響き渡る。
バグヒロインの折れた聖剣は、彼女の虚ろな眼差しとは反するように冴えわたるも、対するミノアは何せ速度系バフが盛り盛りだ!
更にはドラゴンプロトコルとしての潤沢なリソースを使った戦闘演算は、相手がどれほど卓越した剣技を披露しようともミノアは瞬時にそれらを看破する。
バグヒロインの素早い踏み込みにも、ミノアは歩幅を正確に測りタイミングを合わせ、迫るバグの斬撃を左手の剣で受け流す。間髪入れずに繰り出すのは右手の剣からのカウンター!
「わたくしの【二天双龍斬】に隙はなし!」
ミノアの姿はまさしく攻防一体! バグの斬撃が与える即死も、四度の攻撃が当たらなければその効果を発揮はできない。ミノアはバグヒロインの攻撃のすべてを右手の剣で華麗に受け止め受け流し、左手の剣の反撃によってダメージ数を着実に稼いでゆく。
「ぎゃ、く…ぞく。…おしろ、を…」
「お城? 欲しければご自分で建てなさいな!
わたくしは没貴族に落ちぶれた後も自力で稼いで迷宮城をおっ建てましてよ!」
変わらず虚ろな言葉を繰り返すバグヒロインに、ミノアは猛攻と共に言葉を重ねる。欲しい物があるならば、己で掴み取りにいくべきだと語るそれはそう──ミノアのヒストリーの序章!
「没貴族!? ドラゴンプロコトルって落ちぶれる事あるんだ!?」
「オ~ホッホッホ! あれこれ苦心するのはプレイヤーの皆様だけではありませんわ~!」
そして迷宮城を建てた後とて、ダンジョン運営には何かと入用なものである。使っては稼ぎ使っては稼ぎを繰り返し、ミノアの迷宮城も実はイベント攻略してくれるプレイヤーの来訪に苦心している為──いつも素寒貧なのだ!
「この開拓地は作り上げた彼らの王国ですわ~!」
だからこそ、そうした中で己自身も努力と試行錯誤も欠かさないミノアは、故にこの開拓地でゲームプレイヤーたちが辿った実績を評価する。バグプロコトルなどに奪われて良いものなど、ひとつとして在りはしない──それが、彼ら自らで作り上げて得た物であれば尚の事だ!
ミノアの双剣は再びバクヒロインへと猛攻を仕掛ける。絶え間のない果敢な攻めに、バグヒロインはHPを大きく削られ──折れた聖剣を支えに膝をつくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
お姫様もバグっちゃったらちょっと怖いよねぇ。
でもあーゆー感じが良いって人もいるのかな。
パンの国の皆はどう思う?
うるうの方がかわいいよねぇ?
まぁそれはさておき、相手が剣ならこっちも剣。
ミゼリコルディア・スパーダで勝負してあげる!
斬撃波は魔力防御で防げるかな?
ちょっとくらいならダメージを受けても良しとしよう、スライム・シャークが回復液で治してくれるしね。
包囲攻撃を選んだのは、触れられたら洗脳されちゃうかも知れないから。
この本数の剣に包囲されたらおいそれとは動けないよねぇ?
後は遠くから攻撃して、うるうはパンとお茶で一息入れよーっと!
他の猟兵たちよりも一足早く『パンの国』特製パンを楽しんでいた杓原・潤は、開拓地に強力なバグプロコトルが出現しようともまだまだ余裕たっぷりマイペース!
「お姫様もバグっちゃったらちょっと怖いよねぇ。でもあーゆー感じが良いって人もいるのかな」
バグヒロインを見つめながらそんな事を呟いて、食べかけていたパンの最後の一口をパクリ、口元についた食べかすをぺろり。それからプレイヤーたちへ振り返る。
「ねぇねぇ、パンの国の皆はどう思う?」
「えぇこっちに振るんですか!?」
「だってぇー?うるうの方がかわいいよねぇ?」
「正直めちゃ可愛いッス…!」
「んーあたしも普通にバグプロとか怖いし、うるうちゃんのがカワイ〜」
「可愛いー!」
「ふふーん!そうでしょそうでしょ!」
ほっぺに指先を当てて首を傾げて、イタズラっ子な笑顔であざとい仕草で可愛こぶるのは、己の可愛さをわかっている女の子の特権!可愛さのストレートを浴びて『可愛い』が出ないプレイヤーはいないもの。
パンの国の声援に潤の気持ちはすっかり上機嫌。となればバグプロコトルの戦闘にだってモチベは急上昇!
「それじゃ、かわいいうるうがちょーっと頑張っちゃおっかな。ミゼリコルディア・スパーダで勝負してあげる!」
相手が剣ならこちらも剣だ。潤は箒をひと振り光り輝く魔法のエフェクトから千を容易く越える魔法剣を召喚すると、そのまま勇ましくバグプロコトルの前へと向かう!
折れた聖剣を支えに立ち上がるバグヒロインは、自身から溢れるバグを聖剣に纏い斬撃波を解き放つ。潤はすぐさま魔力で防御し、時に防ぎきれない斬撃があろうとも──ちょっとくらいのダメージならば、ちょっぴり痛い以外は大丈夫!
「いったーい!でもスライム・シャークの回復液があるもんね!」
ぽんっと飛び出てた途端に牙をガブガブ、気性は荒くも頼もしいバトモンだ。潤の指示でぺとっと吐き出した回復液は、負傷はあっという間に回復してくれる。
そうしてその間にも、無数の魔法剣はバグヒロインの周囲を満たし包囲する。
「この本数の剣に包囲されたらおいそれとは動けないよねぇ?」
潤はニヤリと笑みを浮かべてパチンと指を鳴らす。充分な距離を取ってしまえば、斬撃波が書き換えるバグの侵食や洗脳なんて怖くはない──幾何学模様を描きながら飛翔する無数の魔法剣の攻撃は、どれほど強力なバグプロコトルであろうとも簡単に捌ききれる筈もなく。バグヒロインが開拓地やプレイヤーに近付く暇など与えはしない。
「よーしっ!うるうはパンとお茶で一息入れよーっと!」
着実に削れてゆくバグヒロインのHPバーに、潤は大きく伸びをするとスライム・シャークを抱えて笑顔を浮かべる。
ひと仕事終えた後は、美味しいパンとハーブティーでブレイクタイムだ!
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ!?追放されたくなかったら、一人であのバグプロトコルさんを倒してこいって、アヒルさんあんまりですよ。
アヒルさんは美味しいパンを食べて待ってるから、倒したら教えてねって、
アヒルさん、そっちが目的なんじゃ。
でも、私が役に立つ事を証明しないと本当に追放されるかもしれませんし、ふええ劇場でいきましょう。
騎士さんみたいですし、魔法少女なら有利に戦えそうです。近づかないで遠距離から魔法で攻撃して、必殺技でいきましょう。
メディア・フィール
プレイング改変・アドリブOK
他PCとの絡みOK
「NPCだとわかっていても、こういう相手と戦うのは気が引けるなぁ……」
【絶望の姫騎士】によるバグ四連撃を同様の【竜闘死連撃】で相殺します。なるべく被害を出さないように超接近戦に持ち込み、激しい斬り合い・殴り合いの攻防を繰り広げます。
「バグで建ったお城なんて、あっても虚しいだけだよ!」
バグNPCだとわかっていても説得しながら戦い続けます。
【竜闘死連撃】相殺からの【2回攻撃】で一発だけ通常攻撃が当たるという地道な攻撃ですが、【鎧無視攻撃】なので姫騎士とは微妙に相性がいいです。体力で競り合い、ぎりぎり勝ち残れるように奮戦します。
バグヒロインの襲来と共に、警告音が響き渡る開拓地ヴァレフィルド。バグプロコトルの危機が目前に迫っている中で──メディア・フィールは苦い顔を浮かべる。
「バグったNPCだとわかっていても、こういう相手と戦うのは気が引けるなぁ……」
いくらバグに浸食された敵だとしても、メディアにはバグヒロインの姿がどうしても痛ましく見えてしまう。それはメディア自身がただの『姫』だった頃の痛ましい過去故の共感もあれば──猟兵に覚醒し『|姫《おうじ》武闘勇者』として再び立ち上がる今のメディアがあるからこそでもあるだろう。
しかしだからといって、手を抜ける相手ではない。バグヒロインの虚ろな眼差しが揺れ動き、折れた聖剣の切っ先はバグプロコトルの脅威に震えるゲームプレイヤーへと向けられる。
「…させないよっ!」
メディアは素早くバグヒロインへ踏み込むと、暗黒竜手甲を薙ぎ払って切っ先を弾く。そのまま周囲へ被害を出さないために、付かず離れずの超接近戦へと持ち込んでゆく。
一方、戦闘が始まったそのすぐ後ろでは──。
「ふええ!?追放されたくなかったら、一人であのバグプロトコルさんを倒してこいって、アヒルさんあんまりですよ!!」
警告音も戦闘も知らんぷりしているのはフリル・インレアンのガジェットアヒルさん。トングをカチカチしながらクラン『パンの国』特製の美味しいパン選んでいるアヒルさんは、片手間に己の|所有者《マスター》フリルにとんでも発言をしていた。
「美味しいパンを食べて待ってるから、倒したら教えてねって…アヒルさん、そっちが目的なんじゃ…」
フリルの追求にツーンとアヒルさんはそっぽを向くも、取り付く島もない素振りは余計に不安を煽る。
「ふえ…私だって役に立てます…!ふええ劇場で変身です」
しかし不安は気のせいだとしても、あるだけでマイナスだ。フリルは慌ててキラキラエフェクトの中で魔法少女フルフリ☆フリルに変身すると、すぐさま遠距離からの魔法で援護射撃。近付かせずに有利を取る作戦だ。
メディアの近距離からの攻撃とのフリルの魔法の遠距離。手数にバグヒロインの動きは制限され、次第に精細さを欠いてゆく。徐々にバグヒロインのHPが削られてゆくも──折れた聖剣はふいに彼女の首筋へと向けられる。
バグヒロインが自身の首を刈っ切れば、混濁しバグった流血が噴き出した。HPバーが大きく削れ、モザイクとノイズの血溜まりが盛り上がる。召喚されるのは純白のドレスアーマーを身に纏い白銀を靡かせる乙女──凛々しく美しい『本来の姫騎士』の分身。
「ふえっ!?バグプロコトルさんのそっくりさんです!」
「我が領地を簒奪する逆賊共よ!聖剣の前に平伏すが良い!」
「うわっ!」
驚く猟兵たちの前で、問答無用の言葉と同時に姫騎士が放つのは、比較にならない程に凛々しく美しい卓越した剣技。──凛々しい瞳の姫騎士はバグに侵食される前の姿であれど、その姿の意識もバグの中にあった。
「ちょっと待ってよ、ここはキミの領地じゃないよ!」
「謀ろうとは浅はかな…たたっ斬ってくれる!」
姫騎士はメディアの言葉を両断し、激しい剣撃を繰り出す。だがその卓越した剣技にもメディアは前後左右の軽快なステップで対応する。大きく踏み込み聖剣を躱し、炎を纏った拳撃は尖先を弾くも──すぐさま折れた聖剣が目の前へと迫り、間一髪でフリルの魔法が標的を逸らした。
姫騎士とバグヒロインが並び立つ光景に、彼女たちが違和感を覚える事は無い。
「隣をよく見て!キミはバグってるんだ!」
「世迷い事を!」
己との連携の中で繰り出される剣撃は勢いを増し、メディアが重ねる言葉も届かぬままに消えてゆく。
「ふええ…お話が通じないです…!」
「それでも…!」
だがメディアは説得を諦めない。どれほどの言葉と説得がバグNPCには届かずとも、戦うしかないとしても──説得の言葉を向ける事はきっと、無意味なものではないのだから。
「それは本当にキミの意志なの?バグで建ったお城なんて、あっても虚しいだけだよ!」
虚ろな瞳が僅かに揺れ、僅かな隙にメディアは二回攻撃を捩じ込む。反撃を食らいながら当てられたのはたった一撃。けれど姫騎士の鎧を無視する掌底は、着実に稼げるダメージソースだ。諦めずに説得を繰り返しながら姫騎士のHPを削ってゆく。
「ふえ?必殺技発動のリソースを選んでくださいって、ふええっ!」
そうして一足遅れて、フリルがいよいよ放つのは必殺技。発動後の隙を倍化させるカードを選び、充填された魔力を放つ。
それは卓越した剣技で戦う強力な敵相手には、単純なだけでは届かない攻撃。けれどメディアはそれを届かせる──体力がぎりぎりになっても、勝ち残る事ができればいいのだから。
「キミが領地を守るのは、お城を欲しがるのは…誰の為なのか、思い出してよ!」
フリルの魔法攻撃が迫る中、メディアは大きく声を震わせ彼女たちの間合いに踏み込んだ。
バグヒロインの虚ろな瞳が再び僅かに揺れ、姫騎士の尖先もまた戸惑いに揺れた。リズムのズレた反撃ではフリルの魔法を弾くことも、メディアを退ける事も叶わない。
魔法の奔流と超至近距離からの攻撃に、姫騎士のHPを残らず消し飛ばした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
印旛院・ラビニア
自分の首をとかエグいことするなぁ
「そのえぐさに見合ったパワーアップしているから何というか……」
攻撃をサーベルで受けつつ、まずは防御メインの立ち回りで動きを観察するよ
「確かに綺麗な動きだよね。しかりプログラムされて洗練された動きだ」
だからこそ、【学習力】で動きを【見切り】、立ち回りを【チューニング】することだって難しくないはず
「もうこうなったら、戦闘力の能力差があったって問題ないよ」
あとは攻撃のリズムを【聞き耳】でタイミングとりながらUCによる【マキシマムカウンター】を叩き込むよ
「自分の攻撃力を何倍にして返された気分はどうかな?って言ってもちゃんとしたリアクションは来ないか」
佐伯・晶
プレイヤー達に避難を促そう
壁を立てて視界を遮れば逃走を助けたり
建物の破壊を邪魔したりできるかな
壊される前提だし
残っても後で壊すから
壁のデザインは適当だよ
念のため神気で動きを停滞(マヒ攻撃)させて
プレイヤー達を簡単には追いかけれないようにしよう
召喚された姫騎士は剣技が得意みたいだけど
硬い石の体は簡単には切れないよ
石身突撃を使用
石化の霧で動きを制限しつつ
剣技は体の曲面を使って受け流し
組み着いて掴んで体勢を崩して転ばせるよ
四肢が石化した状態で転んだら簡単には起きれないからね
後は霧で完全に石化させればいいかな
本体にもUCを使用
召喚を阻止するために首周辺に石化の霧を当て
後は格闘でダメージと石化を与えるよ
猟兵たちとの戦いによって、バグヒロインのHPはいよいよ最終段階へと突入している。
しかしいくら猟兵たちの戦況は有利でも、相手は強力なバグプロコトル──負傷による流血と共に零れ落ちるそのバグは、いつ予断を許さない状況に持ち込まれてもおかしくはないだろう。
「流石にもう避難したほうがいいかな…皆、地下に避難してて!」
佐伯・晶がそう警告の声を上げるのと同時に、バクヒロインは再び己の首筋に折れた聖剣を押し当て、躊躇いもなく引き裂いた。
「うげぇ…自分の首をとかエグいことするなぁ」
本日二度目となるそのモーションに印旛院・ラビニアは思わず渋面を見せるも、それが二度目の光景だからこそ脅威は周知のものだ。
警戒を強める面々の前で、混濁しバグった流血が噴き出せばバグヒロインのHPバーは更に大きく削れ落ちる。モザイクとノイズの血溜まりが盛り上がり、召喚されるのは純白のドレスアーマーを身に纏い白銀を靡かせる乙女──凛々しく美しい『本来の姫騎士』の分身だ。
「しつこい逆賊共め…我が聖剣が貴様らに屈する事はないと知れ!」
「しかもえぐさに見合ったパワーアップしているから何というか……面倒なんだよねっ!」
けれど勇ましく聖剣を構える姫騎士を前にしても、猟兵たちは怯むことはない。目配せひとつで息を合わせると、ラビニアがサーベルを片手に姫騎士へ斬りかかりヘイトを請け負う。一方ではその隙に晶がブロック素材を積み上げる。その即席の壁はバグプロコトルの視界を遮りながら移動を阻害し、プレイヤーたちの避難を促すもの。
「壊される前提だし…残っても後で壊すから、壁のデザインは適当だよ」
石と木を積み上げただけのチグハグな壁のデザインは即席故に歪でも、一時的なものとしては充分。そしてこの壁もまた開拓地の『建造物』だ。
|最優先の標的《プレイヤー》を見失ったバグヒロインは壁を前にたたらを踏むと、そのまま壁を斬り崩す。たとえ一瞬で崩されようとも、その隙に晶は邪神の神気によるマヒで敵の動きを停滞させれば、プレイヤーたちには簡単に近づく事はできないだろう。
「我が美しき剣技、受けてみよ!」
それでも相手は強力なバグプロコトル。姫騎士の凛々しく美しい卓越した剣技は、標的を猟兵たちへと定めた途端に激しい剣撃を浴びせて来る上に、バグヒロインとの援護と連携は僅かな隙すら埋めてゆく。
「確かに綺麗な動きだよね。しっかりプログラムされて洗練された動きだ」
「でも、僕の硬い石の体は簡単には切れないよ」
しかし猟兵たちとて一人ではない。晶が触れたものを石化する霧を浴びせながら突進すると、激しい剣撃も硬質の石の体のパリィで受け止める。ラビニアもまた一歩引いた所でサーベルで捌いて見切りながら、動きと立ち回りを注意深く観察してゆく。
同一|人物《NPC》の巧みな連携攻撃も所詮はプログラムの上のもの。そして姫騎士のモーションとて、ラビニアにはもう初見ではないとなれば──覚えるのは難しい事ではないのだ。
「今だよ!」
防戦一方から攻勢へと転じるのは一瞬の事。敵の動きのリズムが蓄積してゆくデバフによって崩れたその瞬間、ラビニアの一声で晶がバグヒロインの右腕へ組み付き掴むと足をかけて転ばせる。体勢を崩したバグヒロインの攻撃の穴を埋めるように、飛び込んできた姫騎士の迷いのない一撃は申し分のない火力を出す一撃──だからこそ、絶好のチャンスとなる。
「戦闘力の能力差があったって問題ないよ!全部、特大にして返すから!」
晶とラビニアは即座にポジションを交代すると、ラビニアのサーベルがマキシマムカウンターに輝いた。姫騎士の一撃のディレイすら完璧に見切り、ラビニアは大きく踏み込む。その捨て身のカウンターは、姫騎士の体を貫く一撃!
「……!」
「自分の攻撃力を何倍にして返された気分はどうかな?って言ってもちゃんとしたリアクションは来ないか」
威力を最大限に引き上げたカウンターアタックはクリティカルダメージを叩き出し、姫騎士は物を言う暇もなくバグったノイズを散らし呆気なく霧散する。
そして最後に残ったバグヒロイン本人とて──姫騎士の召喚に大きな代償を捧げたそのHPはもう殆ど残ってはいない。…そして既に彼女の四肢は、晶が与えた|石化《デバフ》によって動けはしなかった。
折れた聖剣を支えに立ち上がろうとするバグヒロインのHPに、猟兵たちは最後の一撃を与える。
「お…しろ…」
ノイズだらけの虚ろな瞳は遠い空を見上げる。黒いモザイクに崩れたその姿が霧散すると同時に、勝利のファンファーレは開拓地へと鳴り響いた──。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 冒険
『生産系クエスト』
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POW : 狩りや採集で素材を集める。
SPD : 生産施設の警備。
WIZ : 新たなアイテムのレシピを開発する。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「お、終わった…?」
バグプロコトルが跡形もなく消え去れば、警告音の代わりに開拓地へ高々と響き渡るのは勝利のファンファーレ。
地下へ避難していた『パンの国』のゲームプレイヤーたちが恐る恐る地上に戻れば、周囲には先程までと変わらない開拓地の姿が見えるだろう。バグプロコトルの襲撃は災難だったが、猟兵たちによってプレイヤーたちも守られて、開拓地に損害が出ることなくバグプロコトルの脅威は去った!
「よ、良かった~」
「皆のお陰だな!本当に助かった、ありがとう!」
ホッと胸を撫で下ろすプレイヤーたちは、猟兵たちへ口々に感謝を告げる。
「ふう、ふう。いやはや…わたくしには、いささか…大変な道中でございますな…」
そうして平和になったこの開拓地ヴァレフィルドへ──新たにこの町へ訪れるのは、汗を垂らしながら馬をひく小太りの男だ。
先程のバグプロコトルを思い出せば、プレイヤーたちは警戒に身を強張らせる。しかし心配は不要だ。
「おお…見知らぬ道を見て何かと思えば、なんと、町があるではございませんか!
失礼。わたくしは名をルメース。しがない商人にございます」
「や…やったー!!」
今度は本当に、普通のNPCなのだから!
額の汗を拭いながら笑顔で挨拶する商人のNPCに、プレイヤーたちは両手を上げて飛び跳ねる。
そんなプレイヤーたちの歓迎というよりも歓喜の様子に、目をパチパチさせるNPCは開拓地をもう一度見渡して──その目が止まるのは、すっかり出来たてではなくなった料理たちだ。
「……本日は何かのお祭りですかな?」
「あ、これですか。ええっと祭りじゃなくて試食会みたいなことをしてて…」
「なんと!ではこちらが、この町の名産品でございますね」
「えっ名産ならその辺で採取して採れるアイテムとかッスかね…?」
「作ったものが名産になったら嬉しーけど~…」
「ほう、ほう。もし良ければ、いくつか|商品《アイテム》を見繕っていただけないでしょうか」
「えっ!」
待ち望んでいたNPCの来訪と、トントン拍子に進んでゆく|話《クエスト》に、プレイヤーたちは戸惑いを見せてしどろもどろ。とはいえようやく訪れたチャンスを逃す事はできない。
「あ、あのー…今すぐじゃなくても大丈夫ですかね?」
「もちろんですとも!それでは、数や種類もあれば嬉しゅうございます。なにせ、この町への道はわたくしには少々…ゴホン。いえ、失礼」
NPCは快く返事をしながら言葉を濁すも、渓谷にあるこの開拓地は彼の体格では移動が大変なのだろう。とはいえ、宣伝するにも商品として販売するにも、まとまった品が必要になるのもまた事実だ。
「そんじゃオレは採取してくるッス!」
「んー。作業場も作っちゃおっかな~生産施設ってあったほうが便利だし」
「新しいパンの開発だ!」
「パン縛りはやめましょうね…。あの、良かったら皆さんも一緒にクエストやりませんか?
ここが無事なのも、商人が来てくれたのも、皆さんのお陰ですし!」
この開拓地で商人からの|依頼《クエスト》が発生したのは、間違いなく猟兵たちの力添えがあったからこそだ。せっかくなら猟兵たちも自由に参加して楽しむと良いだろう。
「それじゃ、皆で頑張りましょうか!」
「おー!!」
活気に満ち溢れるプレイヤーたちは声を揃えて空へ拳を突き上げる。いよいよ生産系クエストの始まりだ!
メディア・フィール
プレイング改変・アドリブOK
他PCとの絡みOK
SPD選択
「きっとみんな色々なものを持ってくるだろうから、しまうところを建てておかないと」
名産品として売り出すには恒常的に提供し続ける必要がある。そのために必要なのは商人に提供するまで保管しておく倉庫だ。ついでに開拓地側が買った商品も仕舞っておける。
というわけで、地味な施設ですが倉庫をいくつも増産します。せっかくなのでただの倉庫ではなく、カラフルな幅広の三角屋根のおしゃれな建物にして、その中心に商人たちが休めるような大型の宿泊施設を作り、おしゃれな倉庫が立ち並ぶ倉庫街を他のゲームプレイヤーたちと完成させます。
念願かなって発生したクエストを進めるために、各々の作業へ向かってゆくプレイヤーたち。その内のひとりへメディア・フィールは気さくに声をかける。
「作業場を作るんだね。僕も手伝うよ」
「ありがと〜!それじゃ、お言葉に甘えてちょっと向こうの外れにでも作ろーかな」
「うん、あっちだね。露払いは任せてよ!」
彼女が指差すのは建ち並ぶ三角屋根から外れた、何も建造物のない場所──通常のモンスターがまだまだ湧き出るエリアだ。
戦闘が苦手なプレイヤーに代わって、メディアが開拓地に湧き出る通常モンスターを倒してしまえば、いよいよ楽しいクラフトの時間だ!
「きっとみんな色々なものを持ってくるだろうから、しまうところを建てておかないと」
そうして新しく作業場が建造される隣で、メディアがブロックを積み上げて作るのは新しい倉庫だ。
この開拓地にも既に倉庫はあれど、それは建築用のブロック素材を収めているもの。名産品を売り出すには、やはり|商品《アイテム》を恒常的に提供し続ける必要があるだろう。生産が必要になれば、生産物を商人に提供するまで保管しておく場所もまた必要となるもの。
需要と供給を考えてゆくならば、扱うアイテムの数が増えるのだから、整理整頓がしやすいように分けて使える倉庫を増やせば、利便性の一助になる筈だ。
そしてもちろん、倉庫が増えれば開拓地側が必要に応じて買った商品も仕舞っておける。今後、人が増えた時にも便利な施設となってくれるだろう。
「どうせなら見栄えも良くしたいな。こう…カラフルな感じで」
「お、いいじゃん〜!あたしもカワイーの作りたいし、染色はこれでまとめてやっちゃお!」
「このバケツかい?えいっ」
そしてせっかくならばと、メディアが提案するのはおしゃれでカラフルなデザインだ。並べたブロックに染色バケツをバシャッとすれば、一瞬で黄色や赤色、青色のブロック建材のできあがり。
そのうち今まで不在だった『パンの国』のメンバーたちもログインしてくれば、あれよこれよとブロックが積み上がり幅広の三角屋根が並び建つ。
「真ん中の大きいとこも倉庫にするんですかー?」
「ううん、そこは商人向けの宿泊施設にしたらどうかなって思ってるんだけど──」
そうしてプレイヤーたちと相談しながら協力して、新しい区画を作り上げれば──開拓地ヴァレフィルドに、カラフルでおしゃれな倉庫街のできあがりだ!
色とりどりの幅広な三角屋根の中には、カテゴリ分けした大きなチェストが収まっている。これから生まれるであろう需要と供給に対応してゆく、作業場でのアイテム生産を円滑にしてくれるだろう。
そして倉庫街の中心の一際大きな三角屋根は倉庫ではなく、この地へと訪れる人々がゆったりと休める大型の宿泊施設だ。
カラフルな倉庫街はきっとこの開拓地を豊かにしてくれる一助となるだろう。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふぅ、どうにか追放は免れたのはいいのですが……。
ただ、その理由は納得いきません。
だって、さっきの戦いで私も活躍したことが理由じゃなくて……。
アヒルさんは『アヒル寿司』は握れてもパンは焼けないからって、理由なんですから!!
あ、アヒルさん!
今、生産クエスト中なんですからつまみ食いしちゃだめですよ!!
「ふぅ、どうにかなりましたね…」
魔法少女フルフリ☆フリルから、|ただの女の子猟兵《フリル・インレアン》に戻ったフリルは、すっかりくたびれた様子でへたりこむ。
なんだかんだで開拓地に訪れたバグプロコトルの脅威は取り除かれて──ついでにフリルに迫っていた脅威である(アヒルさんによる)追放も免れた!
しかし、それでいてフリルには納得できないことがひとつある。
「アヒルさん……アヒルさんったら……!」
フリルはへたりこんだまま、ぷくっと頬を膨らませて抗議する。追放は免れた──だが、その理由は納得できようはずもない。だってフリルは魔法少女として活躍できたし、人見知りなのに猟兵とも協力したのだ。フリルはとっても頑張ったというのに、アヒルさんときたら!
膨らむ頬にアヒルさんは、何よ生意気なフリル、なんていって嘴でツンツン!しかし今のフリルはそんなアヒルさんのイジワルなんて構いやしない。ぷしゅっと空気の抜けた頬を再びプクッと膨らませて、珍しく猛抗議。
「だって、追放を免れたのはさっきの戦いで私も活躍したことが理由じゃなくて……。
アヒルさんは『アヒル寿司』は握れてもパンは焼けないからって、理由なんですから!!」
なんだそれは!なんてアヒルさんは言うけれど、それはフリルの台詞である!
でもだって、アヒルさんはアヒル寿司は握れてもパンなんて大変手間のかかるものは焼けない。じゃあ追放も様子見だよね。なんて言うが、ようはアヒルさんの気まぐれだろう。それもフリルとアヒルさんの間ではよくある話のひとつであるが、本日のフリルは全くもう!とプンスカだ。
しかしそんなフリルに構うアヒルさんではない。だってアヒルさんには美味しいパンが待っているのだから!
「あ、アヒルさん!今、生産クエスト中なんですからつまみ食いしちゃだめですよ!!」
一目散にお料理を目指すアヒルさんをブロックするフリルの懸命な努力はきっと無駄ではない。だって、生産クエストや商人との関係にはちっとも悪影響を及ぼさなかったのだから──!
成功
🔵🔵🔴
ミノア・ラビリンスドラゴン
イベント盛り沢山でしたが、まだまだ町としては駆け出しもいいところ!
こうして小さなクエストをこなして地道に開発ポイントを貯めて、村から街へ、そして都市へ!
どんどんレベルアップしていくといいですわ~!!
【迷宮メイド】たちを召喚して【素材採取】をしましょう!
と言っても主役はプレイヤーの皆様方! あくまでわたくしたちはちょっとしたお手伝い程度ですわ~!
しかし、馬……ふ~む
皆様方、牧畜をするつもりはありませんこと?
肉が生産できればメニューのレパートリーが増え、さらに家畜の排泄物は肥料をクラフトする材料になる……つまり、ここの名物である友好的な植物モンスターへのプレゼントアイテムになりませんこと?
バグプロコトル、そしてNPCの来訪──目標がひとつ一段落したとて、この開拓地ヴァレフィルドの発展はまだまだこれからだ!
「イベント盛り沢山でしたが、まだまだ町としては駆け出しもいいところ!
こうして小さなクエストをこなして地道に開発ポイントを貯めて、村から街へ、そして都市へ!
どんどんレベルアップしていくといいですわ~!!」
「おおー!!」
だからこそ、ミノア・ラビリンスドラゴンというドラゴンプロコトルが、この場所とプレイヤーたちへ向ける言葉は労いよりもこれからの期待を込めた激励だ!
今後プレイヤーたちとこの開拓地に何が訪れたとしても──彼らが楽しく前進し続ける為のモチベーションへと繋がる、お守りになってくれる事だろう。
とはいえこの場でミノアが贈るものは、言葉だけには留まらない。ゲームの管理者というポジションだって、勿論クエストに協力はできるのだ!
「さて。メイドたち! ちょっとしたお手伝いの時間ですわよー!」
ミノアが軽快に両手を鳴らせば、この場に召喚されるのは幾人もの迷宮メイドたち。十分な時間があれば城や街さえ築きあげる事ができるのだが──この開拓地という場所の主役はドラゴンプロコトルのミノアではなく、あくまでもプレイヤーたち。今回はちょっとしたお手伝い程度の仕事までだ。
ミノアの意図を察したメイドたちはお辞儀をするとエプロンの裾を持ち上げて、散歩に行くかのような気軽さで渓谷の素材採取に向かってゆく。
「しかし、馬……ふ~む」
そしてお留守番のミノアは手持ち無沙汰……というわけでもない。商人のNPCが連れてきた馬をしげしげと眺め、それから開拓地とプレイヤーたちを交互に見渡して──彼らのプレイスタイルを鑑みた上で提案するのは、開拓のナビゲーションだ。
「皆様方、牧畜をするつもりはありませんこと?」
「牧畜ですか?」
ここヴァレフィルドは自然豊かな土地であるが、『パンの国』の面々はその豊かさを十全に使えているとは言い難いだろう。とはいえ戦闘が苦手だというならば、自然を利用するアプローチを変えるのもひとつの手。
「肉が生産できればメニューのレパートリーが増え、さらに家畜の排泄物は肥料をクラフトする材料になる……。
つまり、ここの名物である友好的な植物モンスターへのプレゼントアイテムになりませんこと?」
「おお、プレゼントか! それは良いな、大歓迎だ!」
牧畜によって新たに名産を得ながら名物となっているモンスターたちも良い関係を継続する──それはまさしく一石二鳥のアイディアだ!
この地に根付いた友好的な植物モンスターたちはもう、開拓地の住人とも言えよう存在。日頃の感謝を改めてアイテムに添えて伝える事は、より良い影響を与えてくれるに違いない。
「よっし! それじゃ牧場も作ってみますか!」
「頑張るぞー!!」
そうして新たな方針が決まれば、いよいよクラフトのお時間だ!
プレイヤーたちがブロックを積み上げて空き地に牧場を作ってゆく中で、やっぱりミノアとメイドのお手伝いは前に出過ぎずちょっとだけ。
例えばちょうど素材が足りなくなりそうになったら採取してきた素材を補充するとか、狩りのついでに見つけた野生のヤギを数匹手懐けて開拓地に連れてくるとか。そんなちょっとだけの確かなサポートによって、ヴァレフィルドには新たに広々とした牧場が出来上がる。
長閑な牧場でくつろぐ家畜と植物系モンスターの日向ぼっこが並んでいる──そんな珍しい風景が名物となる日は、きっとそう遠くはないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
印旛院・ラビニア
せっかく自動制御コアが手に入ったし、何か作業の効率化出来るものとか作りたいかな
サンドボックスとかの物作りゲームの知識を利用しつつ【プログラミング】で作業の自動化できるものを作りたいね
まずは車、トラックみたいな乗り物が最低一台。行き先まで自動的に移動できれば移動や運搬の効率も上がるし、初めての人とかを乗せて案内もできるしね。鉄道系はもっと発展したらかな
あとは
・素材回収(戦闘のお供も含む)
・農作業
・手作りにこだわらない商品の量産
・その他
あたりでパンの国のメンバーに自動制御コアにやってもらいたいことを訊いて、その優先順位で作りたいかな
「メカとかゴーレムってやっぱ男の浪漫だよねぇ」
なんて呟いたり
杓原・潤
あ、商人さんが来たんだ!
良かったねぇパンの国の人達、これで世界にパン売れるよ!
パンだけってゆーのはあれだけどさ、やっぱり食べ物の名物があると良いよねぇ。
この辺で採取出来るアイテムを使ったりするとより良くない?
ハーブとかお水とか、そんなとこかな。
美味しそうなのが出来たらうるうがいっぱい試食してあげるから!
そうそう、道が険しいんだったらそこも何とかした方が良くない?
道路作るとか、階段作るとか……あ、うるうのスライム・シャークみたいな子を険しい所に乗り物として置いとくのは?
やっぱ交通の弁が良いのが一番。
商人さんもそう思うでしょ?
だから皆、頑張って!
うるうのサメ達も手伝わせるからさ!
「あ、商人さんが来たんだ!良かったねぇパンの国の人達、これで世界にパン売れるよ!」
「ありがとう!ついに俺の夢が叶う時がきた!作るぞおおお!」
「パン以外、パン以外も作ってくださいね店長!」
ハーブティーと共に一口サイズのドーナツを楽しんでいた杓原・潤は、商人の訪れと共にあっという間に賑やかになるプレイヤーたちへ笑顔と拍手を贈る。
「ま、パンだけってゆーのはあれだけどさ、やっぱり食べ物の名物があると良いよねぇ」
とはいえ商人NPCの訪れもクエストの発生も喜ばしいことではあれど、その勢いのままに今回提示する|商品《アイテム》が偏ってしまえば、その後の影響も気になるところだろう。
「やっぱり、この辺で採取出来るアイテムを使ったりするとより良くない?」
賑やかすぎるプレイヤーたちの姿を横目にみながら、潤はニヤリと笑ってカップとポットを持ち上げる。例えばそう、ハーブだとか湧き水だとか──この自然豊かな渓谷の土地だからこそ存在する恵みの数々とか。
「ここで採れるアイテムを使えばそれだけで名産になるってことですね」
「そうそう。色々作ってみようよ、美味しそうなのが出来たらうるうがいっぱい試食してあげるから!」
「あ、それが目的なんですね」
アイテムの生産はパンの国の役目、そして潤の役目は試食係だ!
しかし潤とて試食だけのつもりはない。額の汗を拭う商人へ振り向くと、その背中…ここへ訪れるに至った道中へ視線を向ける。
「あとはー、道が険しいんだったらそこも何とかした方が良くない?」
「いえいえ!ここまでの道中はとても歩きやすい道でございましたよ。わたくしの…その、この体では些か大変になる、というだけでございます」
「あー…」
申し訳なさそうに膨らんだ腹をさする商人の姿に潤は頬をかいた。なにせこの開拓地は渓谷にあり、道中にはどうしても急勾配が付きもの…他の猟兵の手によってすでに道や階段が整備されていくら歩きやすくあったとて、この商人のように太っている者にとっては体力を削られやすいのだ。
NPCとてゲームの中では生きている存在。きっとこの商人以外にもその手の悩みは今後もあるだろう。潤は腕を組んで頭をひねる。
「……あ、うるうのスライム・シャークみたいな子を険しい所に乗り物として置いとくのは?」
「めちゃくちゃ噛みつこうとしてますけど!?」
そうして潤はポンと手を打ち足元から抱えるのは、ぽよんと跳ねるスライム・シャーク。ピンク色の可愛いサメ型のライドスライムは、強くは無いが隙あらば飼い主さえ襲う気性の荒さが売りだ。乗り物にはなってくれようが、NPCやプレイヤーが扱うには少々大変だろうか。
「話は聞かせてもらったよ!」
しかしその時、待ってましたとばかりに皆の前へと登場するのはテンション高めの印旛院・ラビニアだ!
「移動手段ならまずは車、トラックみたいな乗り物だよね!」
ラビニアが突き出すその手に収まっているのは、バグプロコトル『フローティング・ゴーレム』からドロップした自動制御コアだ。せっかくドロップしたアイテムを、作業の効率化に使わないのは勿体無い。
これを使ってクラフトすれば、|自動化《オートマ》で動いてくれる機械仕掛けも作れるだろう──そう、サンドボックスやシュミレーションをやり込んだ事のある|廃ゲーマー《ラビニア》の|技能《プログラム》ならばね!
「行き先まで自動的に移動できれば移動や運搬の効率も上がるし、初めての人とかを乗せて案内もできるしね。規模の大きい鉄道系はもっと発展したらかな」
「うんうん、いいね。やっぱ交通の便が良いのが一番。商人さんもそう思うでしょ?」
「おお…そうですな…?移動が楽になれば、様々な方々が足繁く訪れましょう」
「ちょっと駆け足すぎませんか!?」
「大丈夫!多少の荒れた道でも走れるようにオフロード車にするから!」
「そういう問題!?」
あれよこれよと進む話はプレイヤーからしてみれば突っ込みが止まらないが、しかしここはゴッドゲームオンラインの開拓地。プレイヤーの創意工夫で様々な物を作れば追加されていくものだ!
「あとはせっかくだし、他にも何か作業の効率化出来るものとか作りたいかな。リクエストはある?
素材回収とか農作業とか、手作り以外に量産したいものがあるとか」
そしてやっぱりサンドボックスの最終目的といえば、自動化がひとつの目標になってくるだろうし、ここを拠点に活動している人間の意見はやはり優先したいもの。ラビニアは楽しそうに素材を組み合わせて自動車のクラフトを始めながら、プレイヤーの要望を尋ねる。
「あーええと…そうですね…やっぱり素材回収や戦闘全般のサポートが欲しいのと、当面は農業の手が足りなくなりそうですかね…」
「オッケー任せて。その優先順位で作っていくよ」
「よーし!そうと決まれば皆、頑張って!うるうのサメ達も手伝わせるからさ!」
箒のひと振りで潤がぞろっと召喚するのは、本日二度目の鮫魔術!169体もの回転ノコギリが生えた空飛ぶサメは潤の指示であっという間に飛んでいき、素材集めに新たな交通路の整備にと奔走してくれるだろう。
「素材回収はまんまゴーレムにして…農機はトラクターでいいかな…。メカとかゴーレムってやっぱ男の浪漫だよねぇ」
「あー…やっぱいくつになっても好きなんですよねぇ。……んん?」
「よーし新しい料理ができたぞー!」
ラビニアのささやかな呟きにプレイヤーは首を傾げるも、その時丁度いくつもの出来たて料理の大皿が目の前へと並べられる。魚のハーブグリルやマリネ…そしてやっぱり、ハーブを使ったベーグルやフォカッチャなどパンも盛り沢山!
「やっぱりパンが大好きなんだねぇ」
「うちの店長がすみません…」
「まあ、こだわりも名産品のひとつってことで良いんじゃないかな」
そうして新たなアイテム生産も捗るうちに、ラビニアへ向けられた小さな疑問符などはすっかり喧騒にとけていった。
手当り次第に作った料理やパンの数々に、オフロード車やトラクターや自動型のゴーレム。目まぐるしく進むアイテムの開発は、この開拓地へたくさんの人々を呼び込んでくれるものとなるだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
佐伯・晶
今回も素材集めを頑張るよ
作った道の周辺のモンスターを駆除しつつ
木材を中心に集めて行こう
湧き潰しができれば楽なんだけどね
アルラウネとかドライアドとか
人型のモンスターがいれば石化して
邪神の軍勢の材料にしよう
素材を運ぶのを手伝って貰うよ
それとヴァレフィルドへ案内できるように
適度な間隔で道標を立てておこう
パンの国のメンバーに建築が得意な人がいたら
風車か水車か
この開拓地に適している方を設計して貰えないかな
少しでも自動化できれば楽になるからね
力仕事や単純作業の部分なら僕でも手伝えるから
もちろん建築は手伝うよ
自律制御コアを結構拾ったから
魔法機械とか石化した敵をゴーレムにするとか
自動化に使えたら面白いんだけど
バグプロコトルの脅威も過ぎ去って、商人のNPCが訪れた開拓地⸺猟兵としてはひと仕事終えたとて、佐伯・晶は今回もまた素材集めに奔走する!
今回作った道を辿り周辺の通常モンスターを駆除しながら、主に狙うのは何かと必須な上に消費が膨らみがちな木材だ。
「湧き潰しができれば楽なんだけどね」
すっかり歩きやく整備した道を進むのは足取りは軽快になるものだが、やはり周辺にもモンスターはそれなりに湧いてくるもの。安全を優先するならば湧き潰しもひとつの手だが──豊富なモンスターはそのまま素材にもなるし、晶にとってはその場で労働力なってくれる存在であるともなれば、どのメリットを重視するのかは悩みどころだ。
もはや毎度お馴染みとなりつつある植物モンスターたちの群れを見つければ、素早く石化して邪神の軍勢の材料に。リビングスタチューとリビングドールに素材を運ぶのを手伝って貰えば、集めた端から素材を余すことなく開拓地へ持ち帰れる。
「それと、道標を立てておこう」
道筋は一本でも、道中はなにせ自然の中にある。車も通れる移動ルートの開通も新たに進めているし、うっかり遠回りになどならないように案内は親切すぎるくらいが丁度いい。素材集めに道を下り、戻りながら適度な間隔で設置して⸺開拓地に晶が戻れば、素材の山にはしゃぐプレイヤーの歓声が出迎えてくれる。
「スッゴ、何この量〜!なんでも作れるじゃん!何作る〜!?」
戦闘が苦手と自負する『パンの国』のプレイヤーたちにとっては、素材集めは苦労が多くなりがち。文字通り積み上がる素材はクラフトの楽しさが膨らむものなのだ。
しかし無駄使いの余地はない。晶が新たに建造を提案するものはしっかり素材を要求するものなのだから!
「風車か水車か、この開拓地に適している方を設計して貰えないかな。パンには小麦が必要だよね」
「そっか、これから商品として交易するなら量も必要になるんだ!」
「少しでも自動化できれば楽になるからね」
「助かります。そもそも店長が張り切ったせいで、そろそろストックも心配になってきてたんですよね…」
ゲーム内とはいえ製粉は時間もかかるもの。文明の利器で自動化できれば今後商人NPCと関わる上でも、NPCの移住が現れた時にも、ぐっと便利になってくれるだろう。
「力仕事や単純作業の部分なら僕でも手伝えるから、もちろん建築は手伝うよ」
「オッケー、それじゃ両方作っちゃおう!」
「あとは…自律制御コアを結構拾ったから使えないかな。魔法機械とか石化した敵をゴーレムにするとか。自動化に使えたら面白いんだけど」
「ゴーレムは向こうでも作ってくれてますから、そっちでやりましょうか。魔法機械とかは誰かいたかなぁ…いつかそういうのもやりたいですねぇ…」
豊富な素材を前に楽しみと共に夢も膨らませながら、晶はプレイヤーたちと協力して新たな建造物をクラフトしてゆく。
そうして程なく自動型のゴーレムはますます数を増やし、さらに風車と水車も出来上がる頃には、生産クエストも一段落。プレイヤーたちは改めて猟兵たちへ感謝を告げる。
念願かなって訪れた商人のNPCは、すっかり重くなりすぎた馬の荷を笑顔でひいてこの開拓地から去ってゆくも、今後は足繁く訪れてくれるに違いない。
牧場の高台に大きな風車と、程近い町外れの川に水車小屋。この大きな建造物もまた、開拓地のこれからに賑わいと挽きたての小麦の香りを運んでくれるだろう。
大成功
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