ちょっと珍しく真剣な表情の千曲・花近(信濃の花唄い・f43966)の背後。グリモアベースの壁にも映ったから、集まった猟兵たちも鹿殿の姿を目に焼きつけたであろう。
「サイキックハーツ世界において、かつて全世界のご当地怪人の頂点に君臨していたのは『大首領グローバルジャスティス』ってダークネスだったんだけど、この人ダークネスは既に灼滅者達の手で討伐されてるんだ。だけど実は、彼が手掛けた『ダークネス強化改造施設』っていうのが今も世界各地に点在してるんだって」
「で。みんなには、この『強化改造施設』に乗り込んでもらって、内部のオブリビオンをバッタバッタと薙ぎ倒してもらって、強化オブリビオン軍団の編成を阻止してもらいたいんだ」
「長年ここは小学校として地域の人々にとって大切な場所でね。地元の人は小学校が閉校になった今でもこの史跡を大切にしているし、観光のお客さんにもここで楽しんでほしいって思っていろんな催し事を開いてるんだ」
星空は美しいことでも知られる長野県の、星型稜堡を有するこの史跡公園で、星空観測会をしたりお月見をしたり花火大会鑑賞会やハロウィンパーティーなどの企画を立案していた地域住民だったが。夏頃から|夜夜中《よるよなか》に史跡公園一体が紫色の靄に包まれる事案が発生し始めたという。
「もうすぐ冬が来ちゃうでしょ? そしたら、ナイトパークを開くのもまた厳しくなっちゃう。だから、このタイミングが今年のラストチャンスだと思う。……で、みんなならオブリビオンの目論みをぶっ潰してくれるって、俺、信じてるから!」
僅かに副風の冷たさに目を細めた彼らの目の前に広がるのは、ひっそりと静まり返った史跡・龍岡城址であった。
朝奈ひまり
ご無沙汰しております、朝奈ひまりです。
サイキックハーツ世界依頼になります。
よろしくお願いいたします。
龍岡城址は、小学校の遠足(登山)のついでに寄りました。
当時は他校だったので敷地内には入れませんでしたが、今は入れるんですねぇ、行ってみたい……。
●
第一章:龍岡城五稜郭・ナイトパーク
できること:星空観測
秋から冬にかけての満天の星や月、流星群を眺めながらご自由に過ごしてください。
オブリビオンを誘き寄せるための星空観測会ですので一般人はいません。
第二章:集団敵戦
紫の靄が現れると龍岡城址の一角に建つ案内所が急に大きくなります。
これが今回の『オブリビオン強化改造施設』です。
敵は元小学校という建物事情からそれにまつわる都市伝説ですので、倒してください。
第三章:ボス戦【危険度:★★】
……弊グリモア猟兵に似たタタリガミです。
オブリビオン絶対倒す! でガチンコで戦うもよし、
争いはやめにしようよと宥めつつ天体観測を続けてもよし、
こんなオブリビオンは知らない子ですねぇ? と見なかったことにしてナイトパーク楽しむもよし。
この人の扱いはご自由に。
リプレイの最後には倒されるなりなんやかんや満足したりして消えていきます。
すると『オブリビオン強化改造施設』はポンと元の案内所へと戻ります。
天体観測に徹する場合はPOW/SPD/WIZは気にしないで大丈夫です。
公序良俗に反する行為や二十歳以下の飲酒描写等の記載がプレイングにあった場合、不採用となりますのでご注意ください。
複数でおいでになる場合は【短めのグループ名】でお知らせください。お相手様の呼び名もプレイングに入っていましたら助かります。
二章と三章の詳細は、断章にてご案内いたします。
プレイング受付期間や期限を設ける場合がありますが、基本的にサクサク進めたいなと思います。
攻城戦と銘打っていますが場所が城なだけなので、お気軽にご参加いただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『ナイトフェスへ行こう!』
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POW : ナイトフェスで過ごす
SPD : ナイトフェスで過ごす
WIZ : ナイトフェスで過ごす
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルテミシア・ルッシュリア
天体観測、か
ボクは星よりも月の方が好きなんだけど……冬や秋の星座は、確かに気になる所だからね
そう言って珈琲を入れたポッドを抱え、龍岡城五稜郭・ナイトパークを散策していく
流星群か、其れに由来する儀式なんかも、2018年の前には存在していたんだろうね
ミルクを丁度良い配合でブレンドした珈琲を口にし、嚥下しながら星空を見上げる
此処に一般人はいないけど……エスパーやダークネスも、空を美しく思う気持ちは普遍
どっちも人間から派生した存在だからある意味当たり前なのかな?
そうして、オブリビオンダークネスが出てくるまで天体観測を珈琲を飲みながら満喫していく
●
太陽が沈んだ初冬の夜空は、ひとつふたつとぽつりぽつり輝き始める星々の独壇場だった。
夜空の王たる月といえば、新月へと生まれ変わる道を辿っている。故に逆三日月の月は太陽よりもいち早く西の空へと沈んでいってしまった。
「ボクは星よりも月の方が好きなんだけど……」
ユルの月のように冴えざえとした銀の長い髪を揺らしながら、少し残念そうにアルテミシア・ルッシュリア(月を示す影・f44022)がぽつりと呟けば、吐く息が白くけぶり、月のいない冷たい空へと溶けていく。
その先に広がり始める夜空は雲ひとつなく、放射冷却の影響で地上の熱が空へと昇っていく様。
この世界で暖かいのは周辺の家の明かり。そして腕に抱いている保温ポットだけかもしれない。
そんなふうに感じながら、アルテミシアはコーヒーが入ったポットをギュッと抱きしめれば、中でタプンと優しい音が聞こえた。
だけど。普段月が従えている星々の姿をこの目で見るのも悪くないと思うそんな矢先。ふと夜空を青白く切り裂いていくのは、この時期に流れる流星群の軌跡。
「あ、流星群」
願い事なんて掛ける間もなく走り去る輝きを見送って。思うのは、この世界が今のようなカタチを取る前――2018以前のこと。
星に願いをかけるのは人間だけではなく、ダークネスもそれに由来する儀式を行なっていたのだろう。
ソロモンの魔法使いか、信心深そうなご当地怪人もやりそうだ。
トランプのスートを扱うシャドウも、星や流星をモチーフとしていたら扱いそうか。
なんて思いを巡らせながら近くのベンチに腰を下ろしたアルテミシアは、腕に抱いていた保冷ポットの蓋を開けた。すると暖かな湯気と共に立ち昇ってくるのは、珈琲の香り。好みのミルク配分で淹れた珈琲は、ほろ苦い甘さで鼻腔をそっとくすぐってくる。
アルテミシアはポットの飲み口に唇を当て、火傷をしないように慎重に珈琲を口に含んだ。すると口の中にミルク珈琲のほろ苦くも柔らかな甘さが広がり、呑み込むのと同時にまた夜空を見上げた。
空はさらに深い青に移り変わり。目が宵闇に慣れてきたのか、先ほどまで見えなかったた煌めきも、みっつよっつと見出すことができる。
あともう少ししたら、満天の星が溢れる世界へと変わるだろう。
アルテミシアは金色の瞳に星の瞬きを映しながら、ひとつ、呟く。
「此処に一般人はいないけど……エスパーやダークネスも、空を美しく思う気持ちは普遍。どっちも人間から派生した存在だからある意味当たり前なのかな?」
考察の独り言は、さらに温まった吐息と共に星空へと昇っていく。
じゃぁ、ダークネスであるボクはどうだろう。
月が好きなボクは、この月のいない夜空を綺麗だと思っているのかな。
自問するアルテミシアの裡には、ひとつ、答えがきらりと煌めいた。
「……月のいない夜空も、まぁまぁ好きかな……」
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふえ?お城……の跡地ですよね。
まさかとは思いますけど、ここにも罠はないですよね。
ここでも罠探知で正座をする?
って、アヒルさん、それは遠慮しておきます。
とにかく、まだ安全ですので星空観察を楽しみましょう。
空気が澄んでいて星空が綺麗に見えます。
あと、流星群も見れるそうですよ。
ふえ?166秒後にアヒル座の方角から流星群が見えるって、……アヒルさん、それも遠慮しておきます。
きっと綺麗なのになぁって、それはやめてください。
「ふえ? お城……の跡地ですよね」
星型城堡内に入ったフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は、寒さ対策にと被ってきた大きなニット帽を手で押さえながら史跡公園内をぐるりと見回した。
昼間なら城郭であった頃の痕跡を辿ることは可能であるし、地元主催のナイトパークであったなら、たくさんの灯りが飾られてその全貌も明らかになっただろう。
しかし今は、ひとつまたひとつと輝きを放ち出した星と、近所の家の明かりだけがこの城址公園の姿を照らし出していた。
「まさかとは思いますけど、ここにも罠はないですよね……」
フリルが懸念する『罠』とは、以前小諸城に攻め入った時に門前に張り巡らされていた多種多様……しかし原始的な罠の数々のことである。
そんな不安げなフリルを見上げるのは、翼をパタパタと羽搏かせるアヒルさんである。
「ふえ? ここでも罠探知で正座をする? ……ってアヒルさん、それは遠慮しておきます」
あんな過酷な罠抜けは二度とごめんだ。
首を横に振ったフリルは、
「とにかく、まだ安全ですので星空観察を楽しみましょう」
と、夜空を見上げてみた。
「ふええ〜……」
山間は空気が澄み渡り、その上街明かりも遠い。
だから、都会では肉眼で見えない細かな星々もキラキラと煌めいている。
「すごいですね、星空が綺麗に見えます」
その上、この時期はしし座流星群もピークに達する。だからしばらく星空を眺めていれば、すっと星が尾を引いて流れゆくだろう。
「流星群も楽しみです。ね、アヒルさん」
と、アヒルさんに同意を求めたフリルであったが。
アヒルさんは何やら、『やる気』に満ち溢れているのである。
「…… ふえ? 166秒後にアヒル座の方角から流星群が見えるって、……アヒルさん、それも遠慮しておきます」
アヒルさんは『アヒル真拳『アヒル座流星群』』を繰り出そうとしていたのだ。
フリルがそれを冷静に止めると、アヒルさんは不安げに地団駄を踏んでみせる。
「きっと綺麗なのになぁって、……それはやめてください。そのうち……2分後ではないかもしれませんが、アヒルさんの奥義が炸裂する瞬間が訪れますから」
フリルはそう言ってアヒルさんを宥めつつも、ゆったりと流れるこの星空の時間を楽しみ始めた。
大成功
🔵🔵🔵
風魔・昴
【星月夜】
呼び名
竜星→竜
銀河→銀さん
アドリブ歓迎
「ここの星空も素敵……」
そう呟いて暫く見上げて
オブリビオンの事もあるけれど
こんなに素敵なんだもの、星達との時間も楽しまなくちゃ
「今の時間はまだ秋の星が多いわね」
西にはWのカシオペア座が見えて
東からは冬の星座達が顔を出し始めていて……
「あ、アルデバランだわ。もう牡牛座は見えてるのね」
「うん、オリオン座はもうちょっと後だね」
銀さんの言葉に頷いて。
「今の時期だとしし座流星群になるね」
流星群の話をする竜に頷きながら。
「あ、今流れた!東側よ」
流星と星と月と
時間はあっという間に流れていく……
麻生・竜星
【星月夜】
呼び名
昴→スー
銀河→銀さん
アドリブ歓迎
この世界の星空を見上げるのは久しぶりだ
やはり綺麗だと思う
特にこの時期は空気が乾燥するからなおさらだ
「これからは流星群の季節にもなるからね」
獅子座・ふたご座、大きいのはこの二つ。
「あぁ。ふたご座は12月だからね」
(この三人だとどうしても星空に関して踏み込んだ話になってしまうのは……仕様だな)
そう少し苦笑した瞬間、スーが指をさして俺達を見る
「おっと見逃した。まだ流れているみたいだね。『獅子座からの贈り物』は」
今度は夜空に目を凝らして見渡す
オブリビオンの事が最優先だけど
今はこの時間を楽しもう
北十字・銀河
【星月夜】
呼び名
竜星→竜
昴→昴
アドリブ歓迎
「ほぅ、これは見事だな」
二人と共に来た初めての世界
話では聞いていたが、百聞は一見に如かず……とはよく言ったものだ
秋の小さな星達は西に
冬の明るい星達が東から見え始めていて。
「オリオン座ももう少し後には見えるかな?」
昴の声に、その星を見つけ頷いて返事をする
「ふたご座流星群は分かり易くていい」
放射点が星座の近くの為、見つけやすいから
昴が流星を見つけて、竜が一緒に探し出す
そんな二人に微笑む
「よし俺も。」
星空を見上げる二人に加わって目を凝らす
幾つかの流星をみつけながら今はこの時間を楽しもう
「ここの星空も素敵……」
風魔・昴(星辰の力を受け継いで・f06477)はそう呟いたまましばし言葉を失った。
どの世界のどの星空を見上げても昴はこうしてひとときの間、言葉を失って星々の世界に没頭する。
そんな昴を優しく見守りつつ、麻生・竜星(銀月の力を受け継いで・f07360)も藍色の瞳で賑やかになり始めた星空を見上げる。
「この世界の星空も久しぶりだ」
意識的にそう言葉にしたけど。やはり無意識に漏れるのは、
「やはり綺麗だ」
という心からの言葉。
特にこの時期は空気が乾燥し、大気中の塵も少ない。なので星々の瞬きも少なく、はっきりとした光をこの世界に届けてくれる。
昴と竜星は一度、この世界の星空を散歩したことがあるが、北十字・銀河
(星空の守り人・f40864)にとってこの世界の星空は初めてお目にかかる輝きだ。
「ほぅ、これは見事だな」
二人からこの世界の星空の美しさは聞いていた。しかし、こんな夜のまだ浅い時間としても星々は強い瞬きを放ち始める。
「百聞は一見に如かず……とはよく言ったものだ」
思わず感嘆の息を漏らす銀河の銀の瞳に映り込むのは、これから賑やかになり始める初冬の夜空。
「いまの時間は、まだ秋の星座が多いわね」
と、昴が見つめる先。
西の空のカシオペアが均整の取れた『Wの字』を描き出すと、次々と明らかになるのは、晩秋の星座たち。
さらに闇の色をこくして行く東へと視線を移せば、凍てつく夜空にふさわしい力強さの冬の星座たちも次々と顔を覗かせ始める。
と、彼女の焦茶色の瞳に飛び込んできたのは、橙に燃えるアルデバラン――牡牛座のα星だ。
「あ、アルデバランだわ。もう牡牛座は見えてるのね」
その先をゆくのはプレアデス――昴の名前の由来となった星々が繊細な光を放っている。
「オリオン座ももう少し後には見えるかな?」
そう言葉を重ねた銀河の脳裏によぎるのは、この後の戦いのこと。
オリオン座が登ってくるのは、今から登場するであろうオブリビオンを倒し始めた頃か、或いはその後か――。
三人ともこの後に登場するオブリビオンのことはもちろん忘れてはいない。しかし今は星たちとの時間を楽しみたい。
「これからは流星群の季節にもなるからね」
いまの季節、獅子座とふたご座の流星群は規模が大きい。改めて確認し、昴も柔らかく頷いた。
「オリオン座はもうちょっと後だね」
「あぁ。ふたご座は12月だからね」
流星の言葉に、まだ見えぬ双子座を思い、東を見た銀河。
「ふたご座流星群は分かり易くていい。放射点が星座の近くの為、見つけやすいから」
「今の時期だとしし座流星群になるね」
昴は銀河に相槌を返すと、不意に彼女の視界を横切る一筋の光――。
「あ、今流れた! 東側よ」
明るい歓声に、「この三人だとどうしても星空に関して踏み込んだ話になってしまうのは……仕様だな」と心の中で呟いて苦笑していた竜星、銀河も昴の刺した指先――東の空を見やる。
けど、光の筋はもう消えた後。
「おっと見逃した。でも、まだ流れているみたいだね、『獅子座からの贈り物』は」
と、今度はしっかりと夜空に目を凝らす流星。
同じ方角を確と見やる二人の横顔を見つめ、銀河は柔らかく目を細めて微笑んだ。
「よし、俺も」
銀河も加わって東の空を見つめる三人。すると間も無く、控えめながらも鮮やかな尾を引きながら星が流れる。
流星と星と。そしていまは西の空の向こうにいる月にも思いを馳せながら。
昴と竜星、そして銀河は、オブリビオンが現れる間、ほんのひとときの星空散歩をゆるりと楽しむのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
星川・玲蘭
【連・アド可】
綺麗な星空だねぇ
こう言う星空を見ていると故郷の事、思い出しちゃうなぁ
うん…?
ちょっと待って
今回のナイトパークって流星群を眺めながらオブリビオンを呼び寄せるんだよね?
じゃあ、いっそ秋から冬にかけての流星群をバックグラウンドに…
ミュージック☆スタート
イラストURL:https://tw6.jp/gallery/?id=206379
と言う訳で流星群を背景に
オーケストラ☆デバイスを起動させて他の人に迷惑かけない様にオーケストラを演奏
異次元のパフォーマンス(希望の力+歌唱+アイドルダンス)
を披露
流星群を更に広げていく様にしてみるよ
この位やれば…寧ろ紫の霧さんは見つけてくれるんじゃないかな?
星川・玲蘭(人間のフレッシュ☆アイドル・f45163)も、徐々に輝きを増して行く星空を見上げ、
「綺麗な星空だねぇ」
と、感嘆の声をあげる。
田舎の夜は街明かりも少ない。そのため、玲蘭の抹茶色の大きな瞳を満たすのは、凍てつきそうな空に強く輝く光の海。
こんな夜空を見上げていると、決まって思い出すのは故郷のこと。
もちろん、この後に訪れるオブリビオンとの戦闘も忘れてはいない。けど、今は……。
そう物思いに耽りそうな彼女の脳裏に、突然キランと降りてきたのは一等星のような閃きだった。
「……ちょっと待って。今回のナイトパークって流星群を眺めながらオブリビオンを呼び寄せるんだよね?」
ならいっそ、この晩秋から初冬へと移り変わる季節に立て続けに流れ来る流星群をバックグラウンドにできないだろうか。
できなくはない。
でも、ほかにも静かに星を見上げている猟兵たちがいるから、なるべく小規模に――。
「……ミュージック☆スタート……」
囁き声で呪文を唱えれば、星々は玲蘭に力を貸してくれる。
防寒バッチリの可愛い普段着はキラキラの光に溶けて、次の瞬間には鮮やかな赤を基調としたフリルたっぷりのステージ衣装に早変わり。
フィッシュテールのようなリボンを揺らしながらオーケストラ⭐︎デバイスを発動させて。控えめながら演奏されるのは、この星空を讃える雄大なオーケストラ。
玲蘭はふわりふわりとタクトを宙に踊らせ、しし座流星群の規模を少しずつ増幅させていく。
すると、控えめに空に爪痕を描いていた流星は、ゆっくりではあるが流す星の数を増やしていき始めた。
「ありがとう、しし座流星群!」
わたしの声に答えてくれて。
そう、星空に微笑んだ玲蘭。今度は地上に目線を下ろす。
まだ件の紫の靄は現れないけど、確証はある。
(「このくらいやれば……寧ろ紫の霧さんは見つけてくれるんじゃないかな?」)
大成功
🔵🔵🔵
木元・明莉
臼田というと、こう、あれだ
学生時分にこう、ギンギラのヘンなうちゅ…都市伝説が出た場所だっけ
色々ツッコミどころの多い都市伝説が出現した過去の戦いを思い出すと、しみじみすりゃいいのかちょい悩ましい感じだが
目下また怪しげな目論見があるならば潰さんとねぇ
さて、龍岡城五稜郭は初めて来るかね
お近くもお近く、蕃松院は立ち寄った事あるんだけども
持参した肉まんで腹ごしらえしつつ暖を取り史跡をぶらぶらしてみよう
周囲を巡るように植わる木々は桜かな
こりゃ春もなかなか壮観そうだな
そして見上げる信州の夜空はいつ見ても満天の星が溢れ出しそう
星あかりに浮かぶ石垣、整備された敷地内
地元の人に愛されている場所なんだな
守んなきゃね
「お近くもお近く、蕃松院は立ち寄った事あるんだけども……へぇ、ここが龍岡城五稜郭か」
丁寧に組まれた石垣の堀にかかる橋を渡って史跡公園内に進み入ったのは、木元・明莉(蒼蓮華・f43993)。
龍岡城駅近くのコンビニで買ってきた肉まんも、ここまでの道のりで少し冷たくなってしまった。けれど中の肉餡はまだ暖かく、皮をかじればほわりほわりと暖かな湯気が立ち上っていく。
明莉にとって龍岡城がある臼田は、蕃松院に立ち寄った思い出だけではない。
武蔵坂学園がダークネスを相手取り戦っていた頃。巨大化したタタリガミによって生み出された都市伝説の一体を撃破した思い出の地でもあった。
「なんだっけな、あの、ギンギラしたヘンなうちゅ……都市伝説がでたんだっけ」
あの時、星のまちとしても有名である臼田に現れたのは、一人なのに「ワレワレハ」と名乗る『うちゅうからのししゃ』という全長7メートルのギンギラな都市伝説。
明莉は人々の祈りと歌声を力に変えながら仲間と協力し、人々の不安を煽るその都市伝説を見事退け、祟り神の目論見を潰すことに貢献した。
「まぁ、あの都市伝説は色々とツッコミどころはあったけどな……」
なんて呟いてしみじみする――という感情の中には幾許かの微妙さが混じるけど。この山間に吹く少し冷たいそよ風が明莉の漆黒の短い髪を撫でれば、意識を思い出から現実へと戻していく。
目の前には、ここを訪れる人を最初に出迎える木々の枝が伸びていた。その葉は赤々とした紅葉の色をさらに色褪せさせ、一枚、また一枚と枝に別れを告げて舞い落ちる。
「桜、かな?」
薄暗い中に目を凝らせば、この木は周囲を巡るように植えられているのが分かる。
桜の頃になればその壮観さは想像に固くはない。
肉まんを食みながらさらに歩を進めれば、桜の枝のトンネルの向こうに以前は校庭として使用されていたのであろう広場が見え、さらに奥には灯りの消えた建物が見える。
あれがこの後『ダークネス強化改造施設』へと変貌を遂げる案内所か。
「目下また怪しげな目論見があるならば潰さんとねぇ」
と、さらに星形城堡の深部へと歩を進めていく。
そして広場の真ん中で足を止めた明莉は、ふと夜空を見上げて見た。
目の前に広がるのは、初冬の力強い星々の輝き。
「やっぱ信州の夜空は、いつ見てもすごいわ」
満天の星が溢れ出しそう。
確かに堀に張られていた水にも星空は映っていて、定期的に水の張替えが行われていることが伺えた。それと並行して綺麗に整備された敷地内も物語る。
龍岡城五稜郭は、地元の人々にとって大切な場所なのだと。
それを確と感じ、明莉の胸はぐっと燃える。
この場所を都市伝説の巣窟にはさせない。
「……守んなきゃね……」
呟いて目線を地上へと戻す明莉の銀色の瞳に、ふと、揺らめく一筋の彩りが漂い始めた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ムラサキカガミ』
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POW : ムラサキカガミの呪い
戦場内に「ルール:【今すぐにムラサキカガミを忘れる】」を宣言し、違反者を【鏡の中】に閉じ込める。敵味方に公平なルールなら威力強化。
SPD : 紫煙隠れ
戦場全体に、【紫色の煙】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ : 呪詛感染
戦場に、自分や仲間が取得した🔴と同数の【呪詛の塊】を召喚し、その【感染】によって敵全員の戦闘力を減らす。
イラスト:rate
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ゆらりゆらりと漂い始めた靄は、徐々に紫の色合いを濃くしていき、城址内の冷たい空気がさらにピンと張り詰めた。
これが例の『紫の靄』か。
史跡公園に集う猟兵たちが各々楽しんでいた天体観測や公園散策をやめて警戒心を顕にし、広場を凝視する中。
突如案内所がゆらりと揺らいで立派な木造建築の小学校を形取った『オブリビオン強化改造施設』へと変わったと思った刹那。
漂う靄はゆるりと本来の姿を現した。
それは紫色の鏡を伴った可憐な少女――『ムラサキノカガミ』たち。
『20歳までにムラサキカガミという言葉を忘れなければ不幸が訪れる』という噂から生まれた都市伝説で、学校に住み着き、生徒達をひとりひとりを死に導いてはその姿を奪って暮らしてきたという。
この地に居座っていたのも、ここが元小学校として愛されてきた所以であろう。
彼女たちは元校庭だった広場へと降り立つと、猟兵たちを目の当たりにするや怪訝に眉をしかめて憮然とした表情を見せたが。
「待ってたわ……。わたしはずっと待ってたわよ。元・小学生のみんなでも、待ってたのよ。――さぁ、思い出して。20歳までに忘れなければ死んでしまうあの言葉を」
ここに集う猟兵の中には小学生であった時代がない者もいるだろうが、そこはもう度外視なのだろうか。
『ムラサキノカガミ』たちは可憐に微笑むと、こう告げて猟兵たちを見やる。
「さて、どの子から殺してあげましょうか……」
「この子たちをみんな殺した暁には、ここを再び小学校に……都市伝説の小学校に変えてしまいましょう」
「そうしたら『星様』もきっとお喜びになるわね」
先ほどまで城址公園の真上で輝いていた満天の星を遮ってしまったのは、彼女たちが漂わせる紫色の靄だった。
有城・雄哉
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎
前の城攻めとシチュは似ているけど、今回はシリアス一辺倒?
気になることもあるし、助太刀にきたよ
あの言葉を思い出してとは言うけれど
そもそも俺、その言葉を聞いたことないんだよな
|千曲先輩《グリモア猟兵》からも名前は聞いていないから、嘘は言ってない
というわけで、少女たちの言葉には耳を貸さず
指定UC発動し死の永劫点(ホロウ・デス・ポイント)を探し
発見したらダッシュで接敵し拳で死の永劫点を撃ち抜いてやる
これなら戦闘力を減らされても回復不能ダメージを積み重ねられるからね
さて、君たちを従えているのは誰かな?
…まあ俺は『星様』にちょっと引っかかりを覚えてきたわけだけど
紫の靄が公園内を包み込んだその時、グリモアベースから転移してきた猟兵が一人――。
黒い髪を冷たく戦ぐ風に揺らした有城・雄哉(蒼穹の守護者・f43828)だった。
雄哉は瞬で状況を看破すると、「ん?」とわずかに眉間にシワを寄せる。
「前の城攻めとシチュは似ているけど、今回はシリアス一辺倒?」
|前回の《小諸》城攻めは、ガチのご当地怪人によるガチのトンチキ城攻めだった。だけど今回の集団敵は、あんな存在からしてギャグみたいな奴らではない。
一見可憐な少女型都市伝説だ。
そんな雄哉の存在に気がついた『ムラサキカガミ』は可憐かつ妖艶に微笑むと、割とガチ目のトーンでこう言ってきた。
「さぁ、あなたもあの言葉を思い出して? 小学校の頃に流行ったでしょ?」
「は? ……えぇ?」
思わず眉間のシワをさらに濃くする雄哉は自身の幼い頃まで記憶を辿ってみるが、そんな流行は耳にしたことがない。
おそらくそういう噂話の類を好むのは、男子よりも女子の方が多いのではないかろうか。
「……そもそも俺、『その言葉』を聞いたこともないんだよな……」
|千曲先輩《グリモア猟兵》も、紫色の靄の向こうに人影が見えるから戦って! みたいなことだけ言ってたし……。
と、さらに記憶を辿る仕草をして、心当たりを探る雄哉。
そんな彼を目の当たりにした『ムラサキカガミ』たちは、お互いの顔を見合わせて戸惑っている。
「う、うそ……! 聞いたことないの……?」
「あんなに有名なのに、わたしたち……!」
「もしかして、あの子、ぼっc――」
「――おいそこの紫色のやつ! 聞こえてるんだよ!」
姦しげに好き勝手言い始めた『ムラサキカガミ』をずっと観察していた雄哉の『殲術執刀法』が発動する。
『ムラサキカガミ』の鏡と心臓部分がぐわんと歪んだ。
あれが『ムラサキカガミ』の|死の永劫点《ホロウ・デス・ポイント》。
それが見えた瞬間に地面を蹴って駆け出した雄哉は紫色の靄の中。あっという間に『ムラサキカガミ』の目前へと迫ると、少女と鏡それぞれに強烈な一撃をお見舞いする。
「きゃぁぁっ!!」
胸元をえぐられ、さらに鏡を割られた『ムラサキカガミ』は、悲痛な叫び声をあげて紫の靄となって消えてしまう。
しかし、消えた彼女の代わりに現れたのは、猟兵の戦闘力を減らせる呪詛の塊。
この呪詛のせいか、心なしか空気も淀んだ気がする。
雄哉は拳に纏う鏡の破片を振り落とすと、そのまま鋭い眼光でまだ健在である『ムラサキカガミ』を見据えた。
「――さて、君たちを従えているのは誰かな?」
……まあ俺は君たちが現れがけに口にした『星様』にちょっと引っかかりを覚えているんだけど。
雄哉に凄まれた形となる『ムラサキカガミ』たちは思わずたじろぎながらも、挑発的な眼差しでこう言う。
「誰があんたになんか言うかっ!」
しかし威勢がよかったのもここまで。
「へぇ……」
冷ややかな視線で彼女たちを見遣りながら、雄哉が拳を握って指をパキポキと鳴らせば、やられると思ったのだろう『ムラサキカガミ』たちがひっと息を呑んだ。
「おおお、教えるわ、教えるわよ! 『星様』はわたしたちがわかりやすく読んでる名前!」
「『何かを待ってる都市伝説』を呼び出してるって言ってたわ!!」
大成功
🔵🔵🔵
星川・玲蘭
【連・アド可】
姿:https://tw6.jp/gallery/?id=206379
えーと…成程ねぇ
生み出されちゃった迷宮の中に迷い込むのはわたしにとっては滅茶苦茶…|不利《・・》だねぇ…
…でも、逆境を乗り越えてこそ!
わたしの|心《・》が燃え上がるってものなんだよ!
希望の力+笑顔の魔法+アイドル力+UC
燃え盛る心の炎で、たった一つしかゴールが無い、その煙をそっくりそのままあなたに返してあげる!
あっ! 安心してね、七不思議さん!
わたしはあなたの呪いで誰かに不幸になって欲しくないだけだから!
だから…迷宮に迷うあなた達の死角から急所付き+浄化+きらめきを纏って
光の先にあなた達を浄化するだけだからね☆
オブリビオンを一体撃破したことにより紫の靄が一層濃く漂い始める。
その靄はさらに夜空の星を隠し、星川・玲蘭(人間のフレッシュ☆アイドル・f45163)の茶色の長い髪に添えられたたくさんの星も、いまは瞬くことを否定しているようだった。
「えーと、……成程ねぇ……」
呟いて状況を整理する。
あの世界的スタアのグリモア猟兵によれば、目の前に現れたのは『グローバルジャスティスの遺産』を発見したボスクラスのオブリビオンに呼び出されたオブリビオン・『ムラサキカガミ』。
そして、その『ムラサキカガミ』が現れたと同時に巨大化した建物は『ダークネス強化改造施設・小学校様式』。
そして今、玲蘭を取り囲み始めたのはユーベルコードを発動させた『ムラサキカガミ』が作り出した紫色の煙でできた迷路で。
ということは――。
ここはいま、敵のテリトリー内だということ。
「……わたしにとっては滅茶苦茶……不利。……だねぇ……」
この迷路はかなりの硬度を持つ。故に、手当たり次第に壁を破壊しての強行突破も不可能に近いだろう。
そして耳を澄まさなくても聞こえるのは、『ムラサキカガミ』のクスクス笑い。
玲蘭が苦笑しながら少し足を引けば、翼が生えた赤い靴の踵がジャリっと乾いた音を鳴らした。
けど、玲蘭の胸の中。
胸元の大きなリボンの結び目に誇らしく飾られた大きな星のごとき強い輝きが、まだ消えてはいない。
「……でも、逆境を乗り越えてこそ! わたしの|心《・》が燃え上がるってものなんだよ!」
言葉は声に出せば自分の耳を伝わり、脳と心にダイレクトに響く。そのたびに玲蘭の胸に宿る炎は、さらに熱を増していった。
「大丈夫。わたしは不利をひっくり返せるんだから!」
希望に溢れる言葉に笑顔の魔法を足して。
そうすれば自然と溢れ出すアイドル力を自身のユーベルコードに乗せるだけ。
「悪いんだけれど、そう簡単にあなたの手に乗るつもりはないよ! たった一つしかゴールが無い、その煙をそっくりそのままあなたに返してあげる!」
そう告げてにっこりと笑えば、玲蘭の心の炎は自信を包み込む熱いアイドルオーラへと変化を遂げ――。
次の瞬間。玲蘭の体は紫の煙の外にあった。
ということは今、紫の煙の迷路にいるのは『ムラサキカガミ』。
「え、えぇぇぇ! ちょっと、なんでわたしが迷路の中にいるのよ!!」
突然の形成逆転に驚きの声をあげる『ムラサキカガミ』。
玲蘭は叫び声の聞こえ方から、『ムラサキカガミ』がいるポイントを見出した。
足元の砂地を蹴ると、一気に紫の煙の迷路の上へと飛んだ。
見えたのは、いままさにこちらを振り向いて目を見開いた『ムラサキカガミ』。
「あっ! 安心してね、七不思議さん! わたしはあなたの呪いで誰かに不幸になって欲しくないだけだから! 光の先にあなた達を浄化するだけだからね☆」
きらめきをまとった玲蘭はすごくいいアイドル⭐︎スマイルを『ムラサキカガミ』に向けながら。彼女と鏡の|死の永却点《ホロウ・デス・ポイント》を握った拳で打ち砕いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふえ!?20歳になるまでに忘れないと死んでしまうって、私もう20歳ですけどどうなるんでしょうか?
子供の頃に聞いたその言葉を覚えていたら死んでしまうって、
……あれ?私はアリスですから元の世界にいた記憶は覚えてないんですよね。
ふええ、そのユーベルコードはズルいですよ。
今、その場で宣言されてすぐに忘れる事なんてできる訳ないじゃないですか。
こうなったら、ぬいぐるみの魔法で迎撃です。
ぬいぐるみなら聞かされても覚えておけないから違反ではありません。
ところで、何でアヒルさんは怯えているんですか?
ふえ?アヒルさんは作られてから20年経っていないって、……どうしましょうね?
『ムラサキカガミ』の魔の手は、フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)の元へと伸びていた。
「さぁ、思い出して? 小学校の頃――いいえ、中学でも高校でもいいわ?」
その言葉は、学校で実しやかに唱えられる、とある色のとあるアイテム。その言葉自体を20歳までに覚えていると、死んでしまうという……らしいが。
「ふえ!? 20歳になるまでに忘れないと死んでしまうって、私もう20歳ですけどどうなるんでしょうか?」
自分に迫る『ムラサキカガミ』を眉を八の字に下げてうるうると見つめるフリル。
対して『ムラサキカガミ』は、さらに可憐に妖艶に微笑みながら、後ずさるフリルに対してこう言って脅した。
「だったらここで死ぬしかないわね」
「え、……ふえっ!!? 死……!」
突然の死亡宣告に思わず声をあげてしまう。――けど、フリルはちょっと考えて「……ふえ?」と小首を傾げて続けた。
「私、死なないと思います」
「な、なんですって!?」
不死身宣言に、今度は『ムラサキカガミ』が声をあげる番。
「死なないことないでしょ!?」
「……だって、私はアリスですから元の世界にいた記憶がないんです。だから、その言葉を聞いていたとしても、思い出せないんですよ……」
仕方ないじゃないですか。と困り顔のフリル。
ならばこっちは強硬手段だ! とばかりに、伴っていた紫の鏡をフリルの前に突き出す『ムラサキカガミ』。
「じゃあいいわよ、今から覚えてもらうから!! 『ムラサキカガミ』! そしてあなたに宣言するわ。今すぐにムラサキカガミを忘れなさい!!」
すると鏡の鏡面がぐにゃりと歪んだかと思えば。フリルを鏡の中に閉じ込めようと伸びるのは、なんと、鏡に映ったフリルの手。
「ふええ、そのユーベルコードはズルいですよ。今、その場で宣言されてすぐに忘れる事なんてできる訳ないじゃないですかー」
なんてツッコミを入れるフリルだったが、とっさに機転を効かせる。
自身の目前に、出現させたのは特大フリルぬいぐるみ。
特大なのだから当然、鏡にフリルは映らなくなる。
するとどうだろう。鏡から伸びていた鏡の中のフリルの手は一気に歪み消え去っていくし、代わりに伸びてくる手もない。
「なっ、どうして!?」
何が起こったのかと混乱する『ムラサキカガミ』にフリルは、ぬいぐるみに隠れたまま解説する。
「ふえ。ぬいぐるみなら聞かされても覚えておけないから、違反にはなりませんよね?」
違反にならないからぬいぐるみは『ムラサキカガミの呪い』を受けることなく、フリルの動きをトレースして動き始める。
立ち上げればフリルの二倍の身長。当然『ムラサキカガミ』の身長もゆうに超える。
「あ、ああ……!」
その巨体に圧倒された『ムラサキカガミ』の震える声は聞こえるけど。
ぬいぐるみの後ろに隠れたフリルは『フリフリステッキ』を振り上げた。それと同時にぬいぐるみが振り上げるのも『フリフリステッキ(巨大版)』。
「ふええ、ごめんなさい。これもこの世界の平和のためなんです」
最後にそう声をかけながらフリルが自身のステッキをふんと振り下ろせば、ぬいぐるみもステッキ(巨大化)をブンと振り下ろし、『ムラサキカガミ』を殴り潰したのだった。
そうそう。
フリルの相棒・アヒルさんといえば、彼女の足元でガタガタと震えていた。
「ふえ? ところで、なんでアヒルさんは怯えてるんですか?」
フリルが尋ねると、アヒルさんはまだ体を膨らませてふるふると怯えていた。
「ふえ? アヒルさんは作られてから20年経っていないって?」
それはつまり、アヒルさん製造20周年の節目までにアヒルさんが『ムラサキカガミ』という言葉を覚えていたら、アヒルさんは死んでしまうということになる。
アヒルさんはこう見えて記憶力は悪くはない。なのでおそらく、今後あの言葉を度々思い出しては涙で枕を濡らすのだろう。
そんなアヒルさんに、フリルはこう言ってあげる他なかった。
「ふええ、それは……どうしましょうね……」
大成功
🔵🔵🔵
風魔・昴
【星月夜】
呼び名
竜星→竜
銀河→銀さん
アドリブ歓迎
靄を確認すると、素早く戦闘態勢に
「こちらこそ待ってたわ。貴女達を消すためにね」
何者かは知らないけれどね。と、付け加えて
二人の先制攻撃に続いて、風を操り衝撃波を範囲攻撃で
呪詛には呪詛耐性を発動
攻撃には見切り・残像で回避
「とにかく退いてもらえないかしら?
『星様』とかにもそう言ってもらえると助かるのだけどね?」
でもきっとそう簡単には聞いてもらえないだろう
ならばちょっと派手にいきましょうか
二人にアイコンタクトを送ると
同時にUCを放つ
ちょっと派手だったけど、『星様』とやらを引っ張り出すには
ちょうど良かったかしら?
麻生・竜星
【星月夜】
呼び名
昴→スー
銀河→銀さん
アドリブ歓迎
「悪いな。俺達はこの世界の者じゃないからあんた達を知らないんだ」
ふんわりと張り付いた笑顔で微笑むと戦闘態勢に
銀河の初手から間髪入れずに、衝撃波で範囲攻撃
呪詛には呪詛耐性を発動
攻撃には見切り・残像で回避
「退く気がないなら……仕方ないか」
昴からの合図に頷くと、同時にUCを放つ
「ここは人の住む世界だ。自分達の場所に帰ることだな」
『星様』とは何者なのか気になるが……
話すことができればいいけれど……
北十字・銀河
【星月夜】
呼び名
竜星→竜
昴→昴
アドリブ歓迎
「さて、お出なすったか……」
ふっと笑んで戦闘態勢に
「まぁ、分かってるのはあんた等がお邪魔虫だってことかな?」
だから消えてもらうぞ。と、斬撃波で先制攻撃を仕掛ける
呪詛には呪詛耐性を発動
迷路を作ろうとする場合は、風を操り吹き飛ばし阻止をする
「俺達はそう簡単には思い通りにならないよ。残念だな」
攻撃には見切り・残像で回避
昴からの合図に頷くと、同時にUCを放つ
さて、『星様』とやらを待つとしようか
戦わずに終わればいいけれどな……
現れた紫の靄は、満天の星と流星のきらめきを楽しんでいた風魔・昴(星辰の力を受け継いで・f06477)と麻生・竜星(銀月の力を受け継いで・f07360)、そして北十字・銀河(星空の守り人・f40864)の視界を遮った。
「さて、お出なすったか……」
待ってたぞ。と言わんばかりにふっと笑んだ銀河は、早速とばかりに利き手に愛刀『風神』を携える。
一方の『ムラサキカガミ』たちは、3人の姿を確認するとくすくすと薄ら笑いを浮かべて、まるで悪い子を見つけたときのように指を差してくる。
「こんな時間を出歩いちゃいけないって、先生に言われなかった?」
「でも、あなたたちのような悪い子を私たちは待ってたの」
「さぁ、思い出しなさい。学生時代に流行った『あの言葉』を」
『ムラサキカガミ』のいう『あの言葉』とは? と三人はお互いに顔を見合わせたが各々小首を傾げると、また敵へと向き直る。
「悪いな。俺達はこの世界の者じゃないからあんた達を知らないんだ」
竜星は敵意を露わにするでもないふんわりとした、だけど張り付いた微笑みを『ムラサキカガミ』に向けた。と同時に利き手に現れるのは金色に輝く愛刀『月影』。
続くのは、昴。
「こちらこそ待ってたわ。貴女達を消すためにね」
貴女達が何者かは知らないけれどね。と、付け加えて、『ムラサキカガミ』に向き直り臨戦体制をとる。同時に利き手に力を込めれば、それに呼応して現れたのは銀杖『†Bellatrix†』。
三人に敵意を向けられた『ムラサキカガミ』は、瞬時に表情を変える。眉根にシワを作り、愛らしい顔を歪め、
「消す? 消されないわよ!」
「消えるとしたら、あんたたちなんだから!」
と姦しく吠え始めた。
が、ここで効いてくるのは、落ち着いた大人の一声だ。
「いや、消えるのはあんた等お邪魔虫の方だ。だから消えてもらうぞ。
と、愛刀を振るい斬撃波で先制攻撃を仕掛けるのは、銀河。
続く竜星も愛刀を振るえば、斬った風が銀色の風を追随しその衝撃波を強固なものする。
銀河と竜星に続いて動く昴は銀杖を振るって風を操る。すると風は、銀杖から垂れる帯を靡かせ、昴が杖を振るうがままに衝撃波を宿す疾風になり。
疾風は金銀の衝撃波に追いつくと紫の靄を引き裂きながら、三体の『ムラサキカガミ』を一気に薙ぎ倒した。
「とにかく退いてもらえないかしら? 貴女達を従えている『星様』とかにもそう言ってもらえると助かるのだけどね?」
そう牽制する昴だけど、彼女たちが退くことはないと知っている。
現に『ムラサキカガミ』たちは立ち上がりながらも3人に敵意を露わにしながらキッと鋭い視線を向けていた。
「っもう許さないわよっ」
そう叫んだ『ムラサキカガミ』たちは伴っていた紫色の鏡を天にかざす。すると、紫色の靄から現れるのは、呪詛の塊たち。
すると一気に場の空気が重くなり、同時に現れる紫の煙による迷路は銀河を取り囲み始める。
だけど3人はこんな呪詛に屈することは絶対に無い。
「俺達はそう簡単には思い通りにならないよ。残念だな」
今一度、風に愛された愛刀を振るって紫の煙による迷路を一掃した銀河。
昴も銀杖を振るうと、ロッドヘッドを『ムラサキカガミ』たちに向けて――。
「ならばちょっと派手にいきましょうか」
銀河と竜星に告げながら目配せを送ると、二人もしっかり頷き返してくれる。
それが合図――。
昴は銀杖のロッドを天高らかに掲げた。
「荒ぶる風よ、我が下に集まり弾丸となりて敵を貫け!」
竜星も今一度、愛刀をしっかり構え直して、
「退く気がないなら……仕方ないか」
と決意を胸に『ムラサキカガミ』を見据えると――。
「ここは人の住む世界だ。自分達の場所に帰ることだな」――月の刃よ。我が敵を一掃せよ!」
昴のロッドヘッドに集う風は敵を穿つ弾丸へと変化を遂げると流星のごとき輝きを放ちながらただ真っ直ぐ『ムラサキカガミ』を蜂の巣にしていく。
その弾丸を追いかけるのは、竜星が振るった刀から放たれた三日月型の斬撃波。金色に輝くそれも目映い尾を引きながら少女たちを切り刻み。
「――数多の星よ、星剣となりて敵を滅せよ!」
銀河も力強く唱えれば、紫の靄のさらに上から降り注ぎ始めるのは、天空の星からなる星剣。
それはまるで、地上にまで届いた火球の如く『ムラサキカガミ』を貫いていく。
彼女たちに叫び声すら上げさせる時間もなく、3人は見事『ムラサキカガミ』を一掃した。
「ちょっと派手だったけど、『星様』とやらを引っ張り出すにはちょうど良かったかしら?」
穢れを払い落とすように銀杖を振るって昴が安堵の息を吐けば、竜星も愛刀を仕舞いながら相槌を打ち軽く首肯く。
「『星様』とは何者なのか気になるが……話すことができればいいけれど……」
銀河も愛刀を鞘に収めながら、徐々に消えていく紫の靄の向こうの輝きを確認して、
「まぁここは大人しく『星様』とやらを待つとしようか」
と呟いた。
戦わずに終わればいいけれどな……。
銀河の口から不意にこぼれた本音は湯気となって寒空の目指して登って行くかのようだった。
大成功
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木元・明莉
元小学生…には、ちと育ち過ぎやしませんかね?(自身の姿を垣間見
まぁ、そちらが気にしないならいいんだけど
ところで何を忘れればいいんだっけ?
生憎ね、歳取ると物覚え悪くなるんだよ
つか、思い出せって言ったのそちらなんだが、やっぱり忘れて欲しいの?
難しいお年頃だな
多少本心も交えた軽口を叩きながらも彼女達の出方に注視し
【黒蝶爆】
万が一鏡に閉じ込められても敵わんしね
漆黒のコートに忍ばせた見えぬ短刀を素早く彼女達の足元目掛け投げ、黒蝶で視界を奪おうか
躊躇は一瞬で構わない
その隙に闇に紛れ間合いを詰めて
大刀「激震」を振るい
鎧砕き込めて彼女達を叩き斬る
「星様」も誰かを待ってるのかな?
この地の都市伝説は待つ子が多いね
「……いらっしゃい。ようこそ田口小学校へ。元小学生くん」
立ち込める紫色の靄から現れた都市伝説『ムラサキカガミ』は、可憐に微笑みながら、目の前の灼滅者へじりじりと歩み寄り始めた。
田口小学校とは、この龍岡城五稜郭跡地に設けられていた小学校のこと。城郭跡地が学校になることはよくある話で、この龍岡城も平城後は小学校の敷地として活用されていたが、その小学校も2022年度末に閉校となっていた。
一方の元小学生くん――木元・明莉(蒼蓮華・f43993)は、「いや、ちょっと待って」と戸惑いながら、自身の四肢や体をポーズを変えながら垣間見る。
「元小学生……には、ちょっと育ち過ぎやしませんかね?」
身長約180cm・28歳男性に対し、元小学生くんとはこれ如何に。
だが『ムラサキカガミ』は「ううん」と首を横に振ると、少しませたような表情を明莉に向けた。
「そこは大して問題じゃないの」
「え、どういうこと? ……まぁ、そちらが気にしないならいいんだけど」
最近の――いや、どの年代の女の子っていうものも謎多き生き物だ。
いや、この子たちが例外なだけ?
なんて少し呆れながら思考を巡らせる明莉に、ずいっと向けられたのは紫色の鏡の鏡面。
「あなたが小学校の時に流行ったであろう“あの言葉”を忘れてるなら、今から覚えてもらうから!! 『ムラサキカガミ』! そしてあなたに宣言するわ。今すぐにムラサキカガミを忘れなさい!!」
『ムラサキカガミ』の宣言とともに、鏡面がぐにゃりと歪み始める。
けれど、大人の余裕か。明莉は動じない。
「ところで、何を忘れればいいんだっけ? 生憎歳取ると物覚え悪くなるんだよ」
歪みに歪む鏡面ではなく、『ムラサキカガミ』を見遣ってぼやく。
悲しいかな、大事なことをひとつ覚えれば、その分ひとつ、もう記憶しておいても仕方のないことがこぼれ落ちるのが大人の脳。
というか。
あの言葉を思い出せと言ったり、かと思えばその言葉を教えて今すぐ忘れろと言ったり。難しいお年頃だな、とまたもぼやいて。
「思い出せって言ったの、そちらなんだが……やっぱり忘れてほしいの?」
軽口を叩きながらも――やはり、その言葉はしっかりと覚えていた。
だからほら、紫色の鏡から伸びる手には見覚えがある。
それは、自分の手だ――。
万が一、鏡に閉じ込められても敵わない。
明莉は一旦、『ムラサキカガミ』との間合いを取るため、たんと砂地を蹴って後退。間髪入れずに放つのは、漆黒のコートの内側に忍ばせていた不可視の短刀。
短刀は紫色の靄を切り裂きながら斜め下へ真っ直ぐ飛び、『ムラサキカガミ』の足元手前の砂地に刺さった。
次の瞬間、不可視の短刀付近からわっと溢れたのは、敵の視界を遮る黒蝶の群れ。
「きゃっ!」
突如の黒蝶の大群に驚いた『ムラサキカガミ』が怯んだ、その一瞬。
明莉は紫色の靄が立ち込めていることを逆手に取り、ふっと闇夜へと姿を溶かす。
刹那、『ムラサキカガミ』との間合いを詰め、愛刀『激震』を振り上げ、一気に振り下ろした。
確かに、その身体を叩き斬った感触はあった。
だというのに。
二つに別れた体は地面に伏すことなく紫色の靄へと変化し、夜風に流され消えていった。
「……わたしたちはただ、待ってただけなのに……」
どこからか悲しげな声が響いたが、その願いを叶えてやるということは則ち、『ダークネス強化改造施設』の隆盛を意味することになる。
「……待ってた、か。……この地域の都市伝説は、『待つ子』が多いね」
明莉は学生時代、ここ佐久市で巨大七不思議と対峙したことを思い出す。
遭遇した都市伝説は皆、誰かを待っていたっけ。
「……あの子たちが言ってた『星様』も、誰かを待ってるのかな?」
そう呟くと、まるで明莉の言葉に呼応するかのように――紫色の靄を吹き飛ばした夜風が、ふと凪いだ。
代わりに龍岡城址に降りてきたのは、金銀砂子のような瞬くきらめきだった。
大成功
🔵🔵🔵
だけど、閉城以降も小学校として地域の人々から愛され、公園として整備されて以降はこの地を訪れる人々を魅了するこの龍岡城五稜郭を、みすみす|オブリビオン《ダークネス》の拠点として利用させるわけにはいかない。
「わかってるよ。どうせお前たち猟兵の勝ちだってことも、わたしの目論見もここまでだってことも。――だが、徹底的に抗ってみせる! そうだろ? 『狂櫻の生贄になった少女』!」