幻朧帝国による二度の襲撃は猟兵の活躍によりどうにか退けられたが、しかし襲撃の頻度が上がってきたなら猟兵でも対処出来ないタイミングで襲われる危険もあるかもしれない。
「獣人戦線にあるシャチ獣人達の街でまた新たな事件が予知されたんだ。場所はロシア東部にある『アサギ』って街、ここ最近2回も幻朧帝国のエージェントに狙われ破壊工作を仕掛けられたんだけど、また逢魔弾道弾を使った破壊工作を仕掛けてくるみたいなんだ。諦めが悪いけども一度でも破壊工作を成功させてしまえば街は逢魔が辻……オブリビオン蠢く異形の都に変えられて街の獣人達は大変なことになっちゃうから、その破壊工作が実行される前にエージェントを探し出して撃破してほしいってのが今回の作戦になる」
「この街はロシア風の街並みに日本列島から移住してきた獣人達の影響で和風の雰囲気が合わさったような感じになってる。街の兵士たちに伝わる戦術もどっちかいえば和風で、陸上では刀とかの接近戦向きの武器を持ったシャチ達が集団で攻撃仕掛けて一気に崩すのが基本戦術みたい。それで、シャチだから当然水中戦もできる……というかそっちが得意な感じ。真冬だとこの近くの海も全面凍結することが多くて陸から渡って仕掛けてくる敵部隊も多いみたいで、その足元を崩して海中に引きずり込んで水中戦で仕留めるのが定石みたいだね。最近襲撃の頻度も増えてきてるから、海が凍る冬も近づいてるから海上に魔術とか獣呪術で氷の訓練場を作って猛特訓してるみたいだから、それにちょっと参加して色々教えたり教わったりしてみるのがいいんじゃないかな」
一応海に落ちてもすぐにシャチ達が対応してくれるから、ちょっと寒い思いするぐらいで済むはず、とヴィクトルは言いつつ、次に破壊工作を仕掛けてくるオブリビオンについて説明を移す。
「今回狙ってくるのは『『骨牙陸将』サウラス』、恐竜の化石のようなオブリビオンだ。原始的な大剣使った攻撃とか化石にする咆哮だとかで仕掛けてくる。予知では訓練で疲れた所に襲撃、その訓練場を起点に逢魔弾道弾を仕掛けるみたいだから訓練に参加してれば見逃すことはないだろうね」
「シャチ獣人はまだ猟兵に覚醒していない。何度も狙われてもユーベルコードで抗えないから幻朧帝国のエージェントに負けてしまう可能性は否定できないだろう。……いつか彼らが覚醒するのかはわからないけども、命が失われてしまうのはどうにか避けたいよね」
頑張ってね、とヴィクトルは話を締め括り、猟兵達をシャチ獣人住まうアサギの街へと転送したのだった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
二度あることは三度ある。
第一章はロシア東部のシャチ獣人達の街で兵士達の訓練に参加してみましょう。
海上に作られた氷の訓練場は広く、遮蔽物等もそれっぽく氷で作られているようです。
第二章は逢魔弾道弾を設置しようとやってくる『『骨牙陸将』サウラス』との戦いになります。
こちらは断章で冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらもご確認下さい。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 日常
『鍛錬あるのみ!』
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POW : 真っ向から力をぶつけ合い鍛え上げよう!
SPD : 速度や技術を競って磨き上げよう!
WIZ : 戦術や戦略、獣呪術を活用した戦いを試してみよう!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
此原・コノネ
うふふ。シャチのグリモア猟兵おにーさんから聞いたのよ!
ここには素敵な氷の訓練場があるって!
グリモア猟兵のおにーさん見たときから思ってたのだけれど…シャチの皆さんって、大きいのね!
そうねぇ…ここの人たちに氷上での動きのコツを教えてもらうわ。
あたし、土とかコンクリートとかの上なら慣れてるけど、流石に氷上は経験がないのよ。
なら、慣れてるこの街の人達に聞くのが一番なの!
戦闘方法も近接だから、近いし!
ああ、そうそう。この時にこっそりと…「ここに『お骨の大将』が来ちゃうから、それとなく警戒。体力は残しておいてね」って伝えて、さりげなく広めてもらおうかしら。
情報伝達も訓練のうち…なのよね?
ボーリャ・コータス
あれだけ戦争で戦ったり
戦後もいろいろやってるのに
平和って遠いわよね……
わたしで役に立つかわからないけど、
自衛の手伝いのためにも
みんなの将来のためにも
ちょっと訓練に参加してみようかしら。
戦術面で一緒に作戦を考えます。
ユーベルコードの第六感によるひらめきに頼りつつ
足元の氷を溶かして海に引きずり込むなら
氷を溶かす速度って大事よね。
塩の化合物とか高濃度のアルコールとかで氷が溶けやすくした場所を作っておいて
逃げるフリとかで敵をそこに誘い込んで一気に落とすとか……
このあたりで簡単に手に入るものを技能の世界知識とか情報収集で探してみようかしら。
うまくいったらこの地方の美味しいお酒教えてね
●シャチ獣人の氷上訓練
アサギの街の海辺に作られた巨大な流氷のような氷の修練場の上で、シャチ獣人の兵士達は訓練を行っていた。
いくつかの部隊に分かれて滑る氷の上を滑走、或いは駆け回り他の部隊へと攻撃を仕掛け反撃していく実戦さながらの訓練。
この訓練はシャチ獣人の巨体もあり非常に迫力のある光景であるが、ここ最近二度もエージェントによる破壊工作を受けた事もあってかいつもより熱が入っているようにも思われた。
そんな訓練場に転移してきたのは幼女と言ってもおかしくない外見の少女と紫髪のミレナリィドールの猟兵の二人。
「あれだけ戦争で戦ったり戦後もいろいろやってるのに平和って遠いわよね……」
はあ、と遠い目をしているミレナリィドールはボーリャ・コータス(極光の17番・f02027)。
この超大国の侵略が脅威となっている世界、住まう獣人達に本当の意味での平和な日常が訪れる日はいつ勝ち取れるのか――それまでの長き道程を想像しているのだ。
一方、
「うふふ。シャチのグリモア猟兵おにーさんから聞いたのよ! ここには素敵な氷の訓練場があるって!」
胸弾ませる此原・コノネ(|精神殺人遊び《マインドマーダーゲーム》・f43838)はさながら楽しい遊び場に来たかのよう。
「グリモア猟兵のおにーさん見たときから思ってたのだけれど……シャチの皆さんって、大きいのね!」
『おう、見ての通り力仕事も水中戦も得意だぞ!』
まあ陸上の戦いはちょっと苦手だがな、と言いつつシャチの兵士は鷹揚に笑う。
「あたしも氷の上での戦いは経験ないから特訓が必要なのは同じね!」
コノネもまた六六六人衆の一人、対人戦闘にはかなり慣れてはいるけれども、普段戦場としているのは土やコンクリートの上。
氷上での戦闘は流石に経験がない故に新しい戦い方を学べると、喜び勇んでシャチ達の訓練にコノネが参加していくその背を見ながらポーリャは考える。
――どれだけ戦い守り抜いた先に真の平和があるのかはわからない。しかし、それでも一歩一歩着実に進んで行くことが肝心なのだろう。
どれだけ役に立つのかはわからないけれども、ポーリャは猟兵としてこのシャチ獣人達の自衛の手伝い、そして彼らの将来のためにちょっとばかりこの訓練に参加すると決めている。
だから自分が得意とする戦術方面で知恵を貸そうと、クリスタリアンの女はシャチの兵士達に話しかけていく。
|餓血《がけつ》ナイフーー血を吸わせていないから今はただの棒だが、それを手にしたコノネが兵士へと切り込み一閃。シャチの方もサーベルを上手く合わせながら斬りつけられた勢いを利用し後方に滑り距離を取る。
即座に追いかけようとするコノネだけれども踏ん張りがきかず、慣れている近接戦闘と同じようにすぐに追撃を仕掛ける事は叶わない。
「うーん……思った以上に滑るのね!」
一旦休憩しつつ呟くコノネ。
練習を重ねればどうにかなりそうではあるけれども、まずはシャチ達の戦い方を聞いてみようと、頭頂から余熱混じりの息を吹き出しているシャチの一人に話しかけてみる。
『そうだな、あくまで俺達の戦術になるんだが……氷はどうやっても滑っちまうから、滑らないよう足がかりを築いたりもしてるな』
「そうなの? あれ足場だったんだ」
シャチの兵士の戦い方を聞いて周囲をよく観察してみれば、足場のようなものが点々と散らばっている。
この楔付きの足場を氷に打ち込んでそれを取っ掛かりに利用して戦うのがこのアサギの街のシャチ獣人達の集団戦術らしく、敵との直接戦闘を行う兵と足場を築いたり支援する兵などで役割を上手く分担し、強大なオブリビオン達と上手く戦っているようだ。
『足場がない位置で急停止とかは難しいから基本的には一撃離脱、突っ込んで一撃叩き込んで離れて他のヤツが波状攻撃……そんな感じで時間を稼いでおけば敵の足元を崩す準備もできる』
そこまで来て水中戦に持ち込めりゃ一気に有利になる、そうシャチは語ってくれる。
『あとは靴だな。普通の靴よりかはまだ滑り難い素材の部品で加工しているのがあるけど……嬢ちゃんのサイズの靴はあるかな?』
「うーん、ちょっとなさそうかも?」
大柄なシャチ獣人に比べずっと小柄な幼女が戦う事はあまり想定しておらず、ぴったり合うような靴はないだろう。
しかし今コノネが履いている靴の底にも多少加工を施して、短時間で遜色ない位に滑り難くできるだろうとシャチは言って、それならばとコノネはその加工をお願いすることにした。
その間にふと思い出したように、近くで休憩でしゃがみ込んでいるシャチの兵士の一人にコノネは近づいて、
「ここに『お骨の大将』が来ちゃうから、それとなく警戒。体力は残しておいてね」
こっそりと彼の頭の近くに顔を近づけ囁き伝えて、さり気なく広めて貰うように耳打ちする。
敵襲の報に動揺、或いは騒いで敵に警戒させないよう情報を広めるのもまた訓練。
コノネの言葉にシャチの兵士は一瞬驚きながらもすぐに意図を汲み取って、通常の戦闘訓練の雰囲気を崩さず他の兵士に自然な様子で伝えていく様子を見遣りながら、加工完了した靴を受け取りさっそく訓練で試してみるコノネであった。
『それでこの条件ならこことここに追い込んで……何かおかしいか?』
「ん……なんとなくだけど、気になるのよね」
一方の戦略面で案を出しているポーリャ。
ユーベルコード【賢者のささやき】により非常に研ぎ澄まされている彼女の第六感に何か引っかかるものがあるらしい。
彼らの戦い方は接近戦で時間を稼ぎ、そしてその間に水中からの攻撃で敵周囲の氷を崩し引きずり込むスタイルらしい。
しかし、氷を崩すまでの時間がかかり過ぎればオブリビオン達も気づいてしまってその崩落範囲から逃れる事もそれなりにはあるらしい。
「……予め作戦で追い込む場所を決めてるなら、溶かしやすくしておけば崩しやすくできるんじゃないかしら?」
例えば塩の化合物や高濃度のアルコール、要するに融氷剤として使われる薬品はそれなりにある。
元々足場の楔を打ち込んでいるらしいから、それらも同時に撒く事で氷を崩しやすく溶かしせば水中戦へ引きずり込む成功率は上がるだろう。
或いは逃げるフリをして溶かして崩しやすくした地点まで誘い込むのもいいかもしれない――とはいえあくまでまだ案の一つ、必要な薬剤や道具を調達できるかを含めて実行できるかは定かではない。
『じゃあまずは試してみるか』
「うまくいったらこの地方の美味しいお酒教えてね」
そうウインクするポーリャに、任せとけとシャチの兵士は胸を張るのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
首を傾げるこの恐竜の化石のような存在こそアサギの街を狙う邪悪な幻朧帝国のエージェント『骨牙陸将』サウラス』、訓練で疲労が溜まったタイミングに襲撃をかけようとしたようだが、しかしその襲撃の情報は予め猟兵により伝えられていた。
氷を割り冷たい水へと飛び込み、或いは散開しながら足場を配置し薬剤を撒いていくシャチの兵士。そしてサーベルや槍を手に切り込むタイミングを窺う兵士たちが武器を掲げて、
共に訓練したこともあり連携しようと思えばシャチの兵士達は猟兵に合わせ動いてくれる筈。心強いシャチ獣人達の助けを借りて、猟兵は悪しきオブリビオンとの戦いを開始するのだった。