モフィンクスの冒険~黙示録の夜明けで
幻武・極
【モフィンクスの冒険】
第11話 モフィンクス・ハロウィン~アポカリプスヘル~
アルダワののんびりモフモフゆるキャラ災魔のモフィンクスの1匹がちょこっとやる気を出し……たのとはまた別の話。
アルダワの大迷宮でのんびりモフモフと過ごしていたモフィンクス達はいつの間にか夏休みや秋祭りがもう終わっていることに、今頃気が付きました。
夏の暑さに負けていたのか?
ダラダラし過ぎていたのか?
とにかく、もうハロウィン目前でした。
ハロウィンといえば、猟兵は全世界を巡りお菓子をねだりに行っていたという数年前の都合のいい解釈の情報を知っていたモフィンクスはいい機会とばかりにそれぞれの世界の夢を見るべく眠りにつくのでした。
ハロウィンパレードといえば全世界を巡っていた時期があったということで、モフィンクスたちも全世界へとお菓子をねだりに夢を見ます。1匹ができたのだから年始の非公式戦争で頑張った?モフィンクスたちも夢渡りができるようになったのでしょう。ただし、フォーミュラが健存な世界は怖いから行くのをやめたようです。
夢で渡ったモフィンクスがその世界のお菓子を手に入れられるのか?
ちょっとした冒険をお願いします。
オムニバス形式で続けていくノベル企画になりますので、納品後にタグで#モフィンクスの冒険 と今回は#モフィンクス・ハロウィン とタグを付けてください。
それでは、どうぞよろしくお願いします。
長い夏が過ぎ、季節は移ろい、気づけば秋。冬の気配がもうすぐそこにある。
「モヘクチョッ」
くしゃみと共に昼寝から目覚めたモフィンクスは気づいた。
うすら寒いと思ったら、もうハロウィンだ――! モフィンクスは全世界にお菓子をねだりに行くモフ、と一念発起し……再び眠りについた。例え夢の中であっても、別の世界に旅立てたりしないかな、などと考えながら。
辿り着いたのは、アルダワと少し似ているようでまったく違う場所だった。
荒廃した大地、要塞化した建造物、遠くに見える明らかにヤバそうな暗黒の竜巻。どちらかというと悪夢的な風景に、モフィンクスは気温以上の寒さを感じぷるぷると震える。
だが、戦争により多くの脅威が駆逐されたアポカリフスヘルは、ゆるやかに復興の道を歩んでいた。今も無骨な迎撃用バリケードや軍用装甲車が目立つ拠点の中を、モフィンクスはのっそりと進んでいく。
ここは元々学園都市だったようで、行き交う人々も若者が多い。魔改造された校舎に漂う学園生活の名残りが、アルダワを思い出させるのだろう。
少しだけ豊かになった彼らの生活を彩るように、スクラップで作られたお化け南瓜や、端切れのガーランドがモフィンクスを出迎える。思ったほど怖いところではないのかもしれない……よそ見をしながら歩いていたモフィンクスは、拠点の住人たちにお菓子をねだってみる事にした。
「モフ~ン(訳:お菓子をくれないなら眠らせてやるモフ~)」
「え、何これオブリビオン?」
「賢い動物じゃない……? 迷子かな。その仮装スフィンクス? よく出来てるね~」
今日ハロウィンだもんね、と微笑みながら、若い少女達がモフィンクスの頭を撫でる。
「うわっ、モッフモフ!!」
物資の乏しいこの世界では珍しい極上のモフ毛並みに感動してもらえたようだ。少女たちは腰に下げたポーチから食料のようなものを取りだし、笑顔でモフィンクスへ差しだす。
「はいっ、ハッピーハロウィン!」
それは保存食の乾パンを柔らかく加工し、ほんの少し砂糖を加えたとてもささやかな菓子、コウモリ型のビスケットだ。この世界の事情などモフィンクスは知る由もないが――たぶん人間たちの大切なものなのだろうと感じ、ゆっくりと咀嚼していく。
普段なら物足りないであろう薄い味つけ、ぱさついた食感が、不思議とおいしく感じられたのはきっとこの世界に来たからだ。荒野の一角に、ちいさな幸いが灯された。
成功
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