リズ・ヴィアル
「それと……カメリア合衆国の軍の方にお伝えしたい事があります。アイゼンブラッド艦隊についてです。まずはこちらをご覧ください」
オーレリアはリズから受け取ったタブレット端末を操作します。
画面には巨大な竜の姿をしたキャバリアが映っていました。
https://tw6.jp/gallery/?id=209364
「このキャバリアはドゥーム・デイザー。バーラント機械教国のスーパーロボットです。我が王国のギガス・ゴライアの対抗機として開発されたらしく、昨今実戦投入が確認されました」
オーレリアは続けます。
「得た情報通りなら、格闘能力はギガス・ゴライアと同等。飛行能力を有している事から、運動性と機動性では圧倒的に上回っています。ですが真に恐るべきなのは、機体に備わっている特殊装備でしょう」
するとオーレリアは、ドゥーム・デイザーの赤く発光している部位を拡大表示しました。
「装甲の隙間から見えるフレームと、機体中に配置された突起。これらの赤く光る部位には、荷電粒子を循環させ、亜高速まで加速する機能があるのです。そして加速した荷電粒子を機体全身に纏い、接触した対象を素粒子にまで分解してしまうのです。このシステムはプラズマ・ディスインテグレーターと呼ばれているそうですが……極めて強力な機体です」
オーレリアは唇を硬く結びました。
ドゥーム・デイザーの出現でギガス・ゴライアの最強時代は終わりました。
これはエルネイジェ王国にとって深刻な脅威となります。
「お伝えしたかったのはそれだけではありません。ドゥーム・デイザーが、アイゼンブラッド艦隊を通じ、ある人物に引き渡されたそうなのです」
画面は切り替わり、男性の姿が表示されます。
顔に深く彫られた皺から、中年を超えた年齢だと推察できます。
しかし身体つきは大きく、筋骨隆々としていて衰えを一切感じさせません。
「その人物の名前は、エーリヒ・ガーランド。バーラント南方軍に所属していた時には、南方の黒龍の異名で恐れられ、黒い嵐ことグレイグ・エルネイジェに比肩するとされた将校です。現在はブルダエフ商会に指揮官として招かれているとお聞きしています」
グレイグに比肩するその一点だけで、危険な男だとオーレリアの顔が告げていました。
「エーリヒ・ガーランドは恐るべき強者です。彼がもしドゥーム・デイザーに搭乗すれば、合衆国軍にとって大きな脅威になる事は間違いありません。くれぐれもご注意ください」
オーレリアはカメリア合衆国を憂う表情を浮かべます。
リズは不安げな面持ちでオーレリアの後ろに引っ込んでいました。
オーレリア・ランベール
オーレリアとリズが再びカメリア合衆国を訪れるノベルをお願いします。
アドリブ歓迎です。
●二度目の来訪
オーレリアとリズは再びバルムンクでカメリア合衆国を訪れました。
バルムンクには今回も人道支援物資を満載しています。
「前回同様、物資をお届けに参りました。少しでもカメリア合衆国の国民の助けになれば幸いです」
オーレリアは深々とお辞儀します。
「え、えへ……ども……また来ちゃいました……前よりたくさん持ってきましたよ……うぇひ……」
リズは変なにやけ顔でお辞儀します
「それと、どうかこちらを政府の関係者の方にお届け願えないでしょうか?」
オーレリアはオリーブの葉と北極星で装飾された書簡を手渡しました。
「ランベール家とその協力団体からの親書です。貴国は自由民主主義を掲げていると伺っております。我がランベール家も理念と志は同じ。遠く離れていようとも、同じ志を持つ国家が、力による現状変更を強いられているのは、看過し難い事態です。ランベール家の思いは、カメリア合衆国と共にあります」
オーレリアは静かな口調で続けます。
「現在ランベール家では、貴国に対してより直接的な支援を行うための準備を進めています。もちろん、貴国にとってそれがご迷惑にならなければ、ですが」
「猟兵なので……お、オーレリアお嬢様とわた、わたひが……持ってますし? グリモアも……」
リズは手のひらにグリモアを出してみせました。
リズに続きます。
サクール帝国・ガイスエラ連邦共和国に劣勢状態に追い込まれているカメリア合衆国とヴァンガ共和国。そんな中、合衆国のグランシスコの港にオーレリア・ランベール(オリーブとポラリス・f45591)とその従者であるリズ・ヴィアル(コミュ障根暗陰キャメイド・f45322)がローエングリン級大型戦艦バルムンクで来航し、艦に満載した人道支援物資を降ろしていた。
「前回同様、物資をお届けに参りました。少しでもカメリア合衆国の国民の助けになれば幸いです」
「え、えへ…ども…また来ちゃいました…。前よりたくさん持ってきましたよ…うぇひ…」
「これはまたどうも。国民達もきっと喜ぶでしょう」
オーレリアは深々とお辞儀し、リズは変なにやけ顔でお辞儀して、合衆国側のグリモア猟兵であるラリー・ホークが2人に対応する。
「それと、どうかこちらを政府の関係者の方にお届け願えないでしょうか?」
そう言ってオーレリアはオリーブの葉と北極星で装飾された書簡を取り出し、ラリーへ手渡す。
「この書簡は…何か特別そうな物ですね」
「はい。そちらはランベール家とその協力団体からの親書です。貴国は自由民主主義を掲げていると伺っております。我がランベール家も理念と志は同じ。遠く離れていようとも、同じ志を持つ国家が、力による現状変更を強いられているのは、看過し難い事態です。ランベール家の思いは、カメリア合衆国と共にあります」
オーレリアは静かな口調でそう説明します。
「現在ランベール家では、貴国に対してより直接的な支援を行うための準備を進めています。もちろん、貴国にとってそれがご迷惑にならなければ、ですが」
「猟兵なので……お、オーレリアお嬢様とわた、わたひが……持ってますし? グリモアも……」
オーレリアとリズはそう言って掌にグリモア猟兵の証であるグリモアを出してみせる。
「分かりました。確かにこの親書は責任持って私が臨時大統領である国防大臣にお渡しします。味方が増えるのは心強いですから。しかし、そちらは独自に動いて大丈夫なのでしょうか? エルネイジェ王国では政府側と王族側が対立しているとお聞きしています。いくら人道支援とはいえ、独自に動かれては王族側が黙ってはいないのでは?」
ラリーは大事に親書をしまいつつ、不安そうな表情でオーレリアにそう尋ねる。
「ご心配に及びません。王族側は何か嫌味みたいな事は言ってくるでしょうが、こちらの人道支援を直接止めるような行動はしてこないですわ」
オーレリアは不敵に微笑みながらそう言ってみせる。
「それなら良いのですが…あまり無理はしないで下さいね。それが原因で争われたらこちらも困りますから」
オーレリアの言葉に苦笑いしながらラリーはそう言う。
「それと…カメリア合衆国の軍の方にお伝えしたい事があります。アイゼンブラッド艦隊についてです。リズ、例の物を」
「は、はい…」
リズはタブレット端末を取り出してオーレリアに手渡し、受け取ったオーレリアは端末を起動して操作し、ラリーに画面を見せる。
「まずはこちらをご覧ください」
オーレリアが見せた画面には巨大な竜の姿をしたキャバリアが映っていた。ラリーは顎に片手を当てて見つめる。
「こいつは大きなキャバリアですね…。どこかの国の新兵器ですか?」
「はい。このキャバリアはドゥーム・デイザー。バーラント機械教国のスーパーロボットです。我が王国のギガス・ゴライアの対抗機として開発されたらしく、昨今実戦投入が確認されました」
「ドゥーム・デイザー…。しかもギガス・ゴライアの対抗機だなんて…こいつは恐ろしい兵器ですね」
「はい。得た情報通りなら、格闘能力はギガス・ゴライアと同等。飛行能力を有している事から、運動性と機動性では圧倒的に上回っています。ですが真に恐るべきなのは、機体に備わっている特殊装備でしょう」
そうラリーに説明しながら、オーレリアは端末の画面を操作し、ドゥーム・デイザーの赤く発光している部位を拡大表示する。
「装甲の隙間から見えるフレームと、機体中に配置された突起。これらの赤く光る部位には、荷電粒子を循環させ、亜高速まで加速する機能があるのです。そして加速した荷電粒子を機体全身に纏い、接触した対象を素粒子にまで分解してしまうのです。このシステムはプラズマ・ディスインテグレーターと呼ばれているそうですが…極めて強力な機体です」
そう説明したオーレリアは唇を硬く結ぶ。
「ドゥーム・デイザーの出現でギガス・ゴライアの最強時代は終わりました。これはエルネイジェ王国にとって深刻な脅威となります」
「なるほど…。カメリア大陸のヒューバ島にはバーラント南方軍が居座っていますからね。こいつがヒューバ島に配備されたら、間違いなく大きな脅威になりますね」
オーレリアの言葉にうんうんと頷きながら、ラリーはそう言う。
「お伝えしたかったのはそれだけではありません。ドゥーム・デイザーがアイゼンブラッド艦隊を通じ、ある人物に引き渡されたそうなのです」
「ある人物に? その人物とは一体誰ですか?」
オーレリアは端末の画面を操作し、中年男性の姿を表示する。顔には深く彫られた皺が目立つが、身体つきは大きく、筋骨隆々としていて衰えを一切感じさせないような姿であった。
「その人物の名前は、エーリヒ・ガーランド。バーラント南方軍に所属していた時には、南方の黒龍の異名で恐れられ、黒い嵐ことグレイグ・エルネイジェに比肩するとされた将校です。現在はブルダエフ商会に指揮官として招かれているとお聞きしています」
「エーリヒ・ガーランド…ええ、聞いた事があります。ブルダエフ商会の戦闘部隊の指揮官を務めているらしいですね。って、まさか…」
「はい。正にこの男にドゥーム・デイザーが手渡されました。エーリヒ・ガーランドは恐るべき強者です。彼がもしドゥーム・デイザーに搭乗すれば、合衆国軍にとって大きな脅威になる事は間違いありません。くれぐれもご注意ください」
オーレリアはカメリア合衆国を憂う表情を浮かべながらそう説明し、リズは不安げな面持ちでオーレリアの後ろに引っ込んでいた。
「…今のところ、バーラント南方軍とブルダエフ商会がこちらに宣戦布告して攻撃してくるような前兆はありませんが、警戒した方が良いですね。軍にも情報を共有しておきましょう」
「はい、よろしくお願いします。ところで…防人准将について何か情報は得られましたか?」
「元准将についての情報はまだ入ってきていません。先日、大将『風雷坊』がいる拠点をとある猟兵が偵察した時、元准将の情報を持っていると思われる『氷雪帝』がいたそうです」
「…?! 氷雪帝は今、どこにいるのですか!?」
今まで行方が分からなかった氷雪帝の情報を聞いたオーレリアはラリーに詰め寄る。氷雪帝は防人の情報を得られるかもしれない唯一の情報源だからだ。
「お、落ち着いて下さい…。その後の行方は分かっていません。こちらの動きに警戒して、どうやら姿を再びくらませたようです。我々も彼の捜索していますので、何か情報が入ればお伝えしましょう」
「…分かりました。何か情報が入ったらすぐにご連絡をお願いします。先程は取り乱してしまい、申し訳ございません」
オーレリアはそう言ってラリーに頭を下げて謝罪する。
「いえ、お気になさらず。我々も辛い状況ではありますが…やれるだけの事はやりますよ。改めて此度の人道支援、ありがとうございました」
その後、艦の人道支援物資の荷降ろし作業が終了し、オーレリア達はバルムンクに乗艦してエルネイジェ王国への帰路につくのであった…。
成功
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