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地獄からの脱走者

#サイバーザナドゥ

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#サイバーザナドゥ


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「はっ、はぁっ、はあっ……」

 走る、走る、走る。冷たい金属の通路の上から、荒れ果てたアスファルトの道路の上を。
 足が痛い。息が苦しい。心臓と肺が張り裂けそう。それでも、立ち止まったら終わりだ。

「逃げなきゃ……!」

 これ以上、あんなところにいたらダメだ。
 怪しい契約書に無理やり名前を書かされ、連れて行かれたあの工場は、間違いなくこの世の地獄だった。

 工場の中で働く人の中には、男の人も女の人も、あたしより幼い子供までいた。
 そして年齢も性別も関係なく、全員が朝から晩まで狂ったように働かされる。
 もし不満を訴えようものなら、その人は工場の奥に連れて行かれて――戻ってきた時はみんな、人が変わったように従順で盲目的になっていた。

 このままだとあたしも彼らと同じロボットみたいになるか、死ぬまで働くしかない。
 だから逃げた。警備の目をかいくぐってダストシュートに潜り込めたのは、奇跡としか言いようがない。

「止まりなさい、B-11258」

 けど、あたしの幸運はそこで尽きていた。
 労働者を管理する番号であたしを呼ぶのは、あの工場を警備してた連中の一味だ。

「労働規定に反した脱走は重罪です。規約を遵守し殺処分を受け入れなさい」

 慇懃で無機質な口調で、働かないヤツは死ねと言い切る。
 あいつらに捕まったらあたしは終わりだ。分かっているのに、もう足が動かない。

「やだっ……来ないでよ!」

 心がどんなに「逃げろ」と訴えても、体はもう限界を迎えていた。
 必死の叫びも意味はなく。見てくれだけはキレイなそいつらは、あたしに銃口を向けて――。


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「サイバーザナドゥのメガコーポが擁する地下工場から、労働者の脱走を予知しました」
 これまで猟兵はメガコーポ傘下企業の違法施設や秘密工場を多数破壊してきたが、損害を受けたメガコーポもより巧妙にそうした違法労働施設を隠蔽し、余計な邪魔が入らない環境で低賃金労働者に奴隷労働を強いるようになってきている。

「厳重に隠匿された地下工場の詳しい所在は、グリモアでも大まかにしか予知できませんでした。ですが、その施設から奇跡的に脱走に成功した労働者がいます」
 もちろん脱走できたからといって、無事にメガコーポの追っ手から逃げ切れるかは別問題である。だが、その労働者がオブリビオンに捕まって殺される前に何とか接触し、地下工場の情報を得ることができれば、工場を運営する企業もろとも叩き潰せるかもしれない。
「メガコーポの搾取と酷使の被害者であり、重要な情報源です。なんとしても保護してください」
 予知されたエリアは公的には放棄された未開発地区になっており、だからこそメガコーポも秘密裏に工場運営ができたわけだが、逆に言えば猟兵が派手に暴れても民間人を巻き込んだり社会的に咎められる心配はない。心置きなく全力を出していい。

「脱走者を追跡しているのは『ザナドゥ・ヴァルキリー』という量産型オブリビオンです」
 各企業が開発した戦闘クローンのデータを基に、数多の改良を加えて生産された高級モデルであり、大口径スマートピストルを装備するほか、光学ステルスや超能力による飛行機能など優秀なスペックを有する。集団戦となれば猟兵にとっても侮れない敵になるだろう。
「彼女らを撃破しても、工場内にはまだ多数のオブリビオンが常駐していると考えられます」
 労働者の監督や工場警備を担う下級オブリビオンに、工場全体の運営や隠蔽工作を統括する上級オブリビオンまで、立ちはだかる敵は強大だ。しかし今回の予知がなければそもそも発見の手がかりすらなかったメガコーポの施設を壊滅させるチャンスを、逃すわけにはいかない。

「メガコーポの違法な活動を停止させ、今も囚われている多くの労働者を救うため、皆様の力をお貸しください」
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、地下工場があると予測されたエリアに猟兵達を転送する。
 まずは追手のオブリビオンに殺されてしまう前に、脱走者を見つけるところからだ。地獄のような奴隷労働から命からがら逃げてきた労働者に、猟兵は希望の光となれるのか――。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはサイバーザナドゥにて、メガコーポの地下工場から脱走した労働者を救出し、隠匿された工場を壊滅させる依頼となります。

 1章は脱走者を追跡する『ザナドゥ・ヴァルキリー』との集団戦です。
 地下工場の所在はおおまかなエリアしか分かっていないので、まずは追われている労働者を探すところからのスタートになります。
 オープニングの描写は現在よりもやや未来の予知になりますので、労働者が殺されてしまう前に見つけだし、敵を撃退してください。
 戦場となるエリアに脱走者とオブリビオン以外の住人はいないので、好きなだけ暴れていただいて結構です。

 無事に労働者を保護できれば、彼女の情報提供により地下工場の正確な所在が判明します。
 2章以降は実際に工場に乗り込み、常駐するオブリビオンを殲滅することになります。
 最終的に工場を統括するオブリビオンのボスを撃破し、労働者達を解放できればシナリオは成功です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ザナドゥ・ヴァルキリー』

POW   :    BLL-Flight.XV
自身の【スマートピストルが誘導強化・貫通弾仕様】になり、【5秒毎に再生する強力な空間歪曲場を纏う】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    LNK-Assault.XV
【光学ステルス迷彩による不可視化・静音化】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【異能エネルギーによる拘束リング】で囲まれた内部に【それぞれ銃撃と異能の光剣での高速連携攻撃】を落とし、極大ダメージを与える。
WIZ   :    IMM-Lightning.XV
【敵の視覚を取得、電撃を放射可能な異能の翼】を召喚装着し、無敵になる。ただし視覚外からの攻撃は回避不能となり、防御力も適用されない。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

村崎・ゆかり
相変わらずブラックな世界ね、サイバーザナドゥは。ブラックはコーヒーだけで十分。違法操業工場、潰させてもらう。

「式神使い」で黒鴉召喚。鴉の式たち、早く脱走者を見つけ出して。
黒鴉の探索能力なら、さして待たずに目標は見つかるはず。オブリビオンが現れる前に、そこへ急行する。

大丈夫、あなた!? もうすぐ追っ手が来るから隠れてて。あたしたちが追っ手を片付けるから、後で詳しい話を聞かせて。

「全力魔法」「封印術」で不動金縛り法。羂索に縛られて地面に転がるといいわ。
電撃か。あたし「電撃耐性」はある方なの。
偶神兵装『鎧装豪腕』顕現。こいつらの頭を「怪力」で潰してやって。
この連中、何か情報になるもの持ってないかな?



「相変わらずブラックな世界ね、サイバーザナドゥは」
 違法な奴隷労働を咎められても労働環境を改めず、さらに地下深くに潜ってバレないように続ける。まるで改善の意思が見られないメガコーポの悪質さに、村崎・ゆかり(“|紫蘭《パープリッシュ・オーキッド》”/黒鴉遣い・f01658)は呆れを感じる。この世界の企業は根まで完全に腐っているようだ。
「ブラックはコーヒーだけで十分。違法操業工場、潰させてもらう」
 そう決意して予知されたエリアに来たゆかりだが、正確な位置の特定はまだできていない。情報によると脱走者がいるとの事だが、それもメガコーポのオブリビオンに捕まって殺されるのは時間の問題。悠長に構えられる暇はなさそうだ。

「鴉の式たち、早く脱走者を見つけ出して」
 東洋の呪術に精通するゆかりは、黒い鴉の式神を召喚して偵察にあたらせる。彼らの探索能力ならさして待たずに目標は見つかるはず――その目算に違わず、空翔ける漆黒の瞳はボロボロの身なりで未開発地区を走る、若い女性を映した。
「いたわね」
 発見次第オブリビオンが現れる前に、そこへ急行する。他の黒鴉の視点には、脱走者を追跡する『ザナドゥ・ヴァルキリー』部隊の姿も映っていた。現在位置から最短距離で全速力を出せば、なんとかギリギリで間に合う絶妙の距離感だ。

「大丈夫、あなた!?」
「ひっ! だ、誰……?」
 ゆかりが声を掛けると、脱走者の女性はびくりと肩を震わせ怯えた声を出した。彼女の目線からすれば、相手が自分を助けに来たのか捕まえに来たのか見分けが付かないだろう。しかし今はゆっくりと自己紹介をしている猶予はなかった。
「もうすぐ追っ手が来るから隠れてて。あたしたちが追っ手を片付けるから、後で詳しい話を聞かせて」
「あ、あなたメガコーポの人じゃないの……? わ、わかった!」
 最低限必要な事だけを伝えて、ゆかりは女性を庇うように前に出る。まさにタッチの差で、青い光翼を生やした人造の戦乙女がこちらに近付いてくる。彼女らは脱走者以外に未確認の人物を確認すると、無警告でスマートガンを構え――。

「ノウマクサンマンダ バサラダンセン ダマカラシャダソワタヤ ウンタラタカンマン」
 引き金を引かれるよりも速く、ゆかりは【不動金縛り法】の真言を詠唱。白一色の霊符を挟んだ剣指で早九字を切り、印を結ぶと、放たれた不動明王の羂索がザナドゥ・ヴァルキリー達の全身を縛り上げる。極めて高い拘束力を誇る密教系の術式だ。
「……未解明のユーベルコードを確認」「対象を、当社に有害なユーベルコード使いと認識」
 墜落し地面に転がされたヴァルキリー達は、無機質な目でゆかりを外敵とみなす。飛行は封じられても背中に装着した【IMM-Lightning.XV】は起動済みであり、落下によるダメージはないようだ。さらにその翼は異能の力を有し、拘束状態からでも電撃を放射する――。

「電撃か。あたし電撃耐性はある方なの」
 しかしヴァルキリーの反撃を受けてもゆかりは微動だにせず、多少の痺れを感じつつも次の行動に移る。懐から取り出した新たな呪符より、顕現するのは偶神兵装『鎧装豪腕』。格闘戦等のために彼女が自作した、怪力を誇る一対の籠手型式神だ。
「こいつらの頭を潰してやって」
 動けないヴァルキリーの死角に回り込んだ豪腕は、その鉄拳をもって敵を叩き潰す。限定的に無敵の防御力をもたらす【IMM-Lightning.XV】だが視覚外の攻撃には適用されない。無機質な表情を崩さぬまま、戦乙女の頭部はかち割られた。

「この連中、何か情報になるもの持ってないかな?」
 敵部隊の沈黙を確認するとゆかりは真言を解除し、ヴァルキリーの亡骸を鎧装豪腕に検めさせる。メガコーポ側も下級オブリビオンに重要な情報は持たせていないだろうが、たとえば通信機のログからでも工場を特定する手がかりになる。それと脱走者の証言を聞ければ、きっと位置を絞り込めるだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イクシア・レイブラント
ドローン展開、索敵開始。
[偵察、索敵、情報収集]を行い施設構造を把握し、要救助者および敵の座標を確認。
[推力移動]で加速しつつ現場へ急行する。
敵に見つかる前に要救助者と合流できるならデコイドローンを囮に速やかな脱出を、
敵に見つかっているなら交戦して[時間稼ぎ]を行う。
光学ステルス迷彩は[超音波]のソナーと[気配察知]で見破り、即座に[砲撃]を打ち込む。
それが拘束リングであれば攻撃の誘発、敵であれば炙り出せる。

飛行型のレプリカント…似てる。私に近いコンセプト。
【強襲支援】を実行、エクスターミネイターで[レーザー射撃]を行い
大型フォースブレイドで敵を[なぎ払い]。
出所は気になるけれど排除するよ。



「ドローン展開、索敵開始」
 予知で伝えられたエリアに到着したイクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)は、そこから施設の構造を把握するために「強行索敵型デコイドローン」による偵察を行う。ある程度の範囲さえ分かっていれば、所在を絞り込むのは造作もない。
「目標発見」
 要救助者及び敵の座標を確認すれば「サイキックスラスター」で現場へ急行。サイキックエナジーを推進力にした加速は航空機に匹敵し、敵機『ザナドゥ・ヴァルキリー』の飛行能力を上回る。翡翠のオーラを放ちながら空を翔ける姿は、まさに機械仕掛けの天使だ。

「鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する」
 敵に見つかる前に要救助者と合流できるなら、デコイドローンを囮に速やかな脱出を図る予定だったが。超音波ソナーによる索敵で、敵の気配がすぐ近くまで迫っているのを察知したイクシアは、即座にアームドフォートの砲撃を撃ち込んだ。
「――光学ステルスシステム破損、迷彩解除」
 誰もいないように見えた場所から、ザナドゥ・ヴァルキリーが炙り出される。【LNK-Assault.XV】による不可視化と静音化を活かして隠密裏に脱走者を拘束リングで捕獲するのが彼女達の作戦だったが、イクシアの耳を誤魔化すことはできなかった。

「ま、また出てきた?! で、でもこっちは敵じゃない……の?」
「説明は後程。逃げて」
 突如現れたイクシアとヴァルキリーを交互に見て、脱走者の女性は困惑している。機械的な兵装や光の翼などの共通点があったため、仲間ではないかと一瞬疑われたようだが。口頭より行動で示したほうが分かりやすいだろうと、イクシアは彼女が逃げるための時間稼ぎを行う。
「飛行型のレプリカント……似てる。私に近いコンセプト」
 ぽつりと口から漏れる感想。光学ステルスを破られたヴァルキリー達は、戦法を銃撃と異能の光剣による高速連携攻撃に切り替えてきた。彼女らの翼も超能力を動力としたもの――生まれた世界は違うはずだが、こうもコンセプトが似通うのはただの偶然か。

「出所は気になるけれど排除するよ」
 考察のタスクを後回しにして、イクシアは【強襲支援】を実行。周囲に浮遊させたアームドフォート「エクスターミネイター」によるレーザー射撃を行う。思念操作によりビットのように砲台を扱うことで、単騎ながら多角的な攻撃を可能としていた。
「脅威を検知……!」
 降り注ぐ光線により連携を阻害されたヴァルキリーは、攻撃の中止を余儀なくされる。その隙にイクシアはスラスターの出力を上げて高速接近。両手で構えた「大型フォースブレイド」から巨大なサイキックエナジーの光刃を展開し、一気に敵群をなぎ払った。

「目標撃破、戦闘継続」
 機械天使の斬撃で真っ二つにされ、墜落していく機械の戦乙女。コンセプトは似ていてもスペックの差は歴然だった。
 イクシアは引き続きドローンによる索敵を続行。要救助者の安全を確実に確保するまで、戦闘モードを維持する――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
大量に|美少女フィギュア《ザナドゥ・ヴァルキリー》があるじゃん
ブンドドしてやろうぜ!

四方八方に信号波!敵をレッツハッキングですぞ!誘導弾とか高そうなもん使ってるでござるが制御を乗っ取って強制自爆させちまえばよいのだ
しかも脳波もコントロールできる!サイバネを装備した敵であればハッキングで強制的に身体を操ればよいでござるよ
何体か飛ばしてヌケ作を探させようぜ

ついでに強制リミッター解除だ!やっぱリミッター解除は男の子の味がするでござるよね!ガンガン過負荷かけて余った敵同士を同士討ちさせていこうぜ!キーンとさせてドババババーッとな!
動かなくなったら他の綺麗な奴をまた鹵獲しようぞ!フハハハ怖かろう!



「大量に|美少女フィギュア《ザナドゥ・ヴァルキリー》があるじゃん。ブンドドしてやろうぜ!」
 エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)にかかれば、メガコーポ謹製の高級戦闘クローン部隊も萌えキャラ扱いだ。
 ごっこ遊びに興じるようなテンションは戦場を舐めているようにしか見えないが、実戦経験はクローンよりも遥かに詰んでいるのがタチが悪い。
「所属不明戦力を発見」「【BLL-Flight.XV】起動」
 彼の戯言の意味は殆ど理解していないだろうが、脱走者抹殺の邪魔になると判断した『ザナドゥ・ヴァルキリー』は直ちに攻撃体勢へ。装備中のスマートピストルが誘導強化・貫通弾仕様に変形し、超能力による強力な空間歪曲場を纏う。

「四方八方に信号波! 敵をレッツハッキングですぞ!」
 あの力場がある限り通常攻撃の命中は望めない、となればエドゥアルトは【クイックハック・回路ショート】を発動。
 強烈な信号波によってザナドゥ・ヴァルキリーの装備及び|機械化義体《サイバーザナドゥ》に遠隔ハッキングを仕掛け、回路に多大な負荷をかけさせる。
「誘導弾とか高そうなもん使ってるでござるが制御を乗っ取って強制自爆させちまえばよいのだ」
「……?! 不正なアクセスを検知……!」
 ヴァルキリーたちが引き金を引く前に、スマートピストルが勝手に暴発する。彼女らもハッキング対策のセキュリティくらいは搭載していただろうが、電脳魔術士でもあるエドゥアルトの電子戦を防ぐには明らかにスペック不足であった。

「しかも脳波もコントロールできる! サイバネを装備した敵であればハッキングで強制的に身体を操ればよいでござるよ。何体か飛ばしてヌケ作を探させようぜ」
「きゃ……っ!?」
 ヴァルキリーの義体制御を完全に乗っ取ったエドゥアルトは、たわけたテンションでネットミームを連発しながら敵を操る。本当に「お人形遊び」のように、機械仕掛けの戦乙女は彼の思うがままに空を飛び回り、脱走者捜索の手伝いまでさせられる。
「ついでに強制リミッター解除だ! やっぱリミッター解除は男の子の味がするでござるよね!」
「「や、やめなさ……!!」」
 出力120%でガンガン過負荷をかけさせ、余った敵同士を同士討ちさせる。皮肉にもヴァルキリーの誘導貫通弾は自分たちの回避率を強化する空間歪曲場を突破するのに最適な武装だった。味方の銃弾で倒れるか、それとも義体に限界がきて自壊するか。彼女たちに選べる末路はふたつだ。

「キーンとさせてドババババーッとな!」
 信号波をビビビと飛ばしまくり、激しい空中戦をザナドゥ・ヴァルキリーたちに演じさせるエドゥアルト。彼はウキウキでもオモチャにされる方はたまったものではない。抵抗しようにもハッキングの技術が高度すぎて付け入る隙がない。
「動かなくなったら他の綺麗な奴をまた鹵獲しようぞ! フハハハ怖かろう!」
「「くっ……!!」」
 自由も尊厳も蹂躙され、不本意極まる形で撃墜されていくお人形を、歴戦の傭兵(自称)は高笑いして見上げていた。
 ここまでされるとちょっと不憫な気もするが、メガコーポのオブリビオンに容赦は不要。これまでの悪徳と横暴のツケだと思えば、残念でもないし当然だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

「ブラックなんて言葉もおこがましいね」
言葉も顔も苦々しさが溢れて止まらない
人権とかそういう問題ですらない
マジで気分悪い
そもそもオブリビオンの巣窟だし
「ちゃんと助けて絶対粉砕しよう!」

先ずは探す所からか
けど俺達の位置から遠くはないはず…
と、聞こえる!
「機械音と電子音声だ!」
直ぐ近くから耳障りな音のオンパレードが

「往こう陸井!」
声掛けて走りながら全力で光鳥剣舞を詠唱!
鳥たちを先行させ割り込ませてから
武器を構えて飛び込み彼女を背に庇う

「もう大丈夫だよ!動かないでね!」
俺からは沸き立たせた蟲でも攪乱
少しは安心できるかな

「よし!全部屑鉄にしよう相棒!」
一体たりとも逃すものか!


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

そもそも労働であれば対価も必要だ
働く人の為に何かをしてくれる事もなく
ただただ人々を奴隷のように扱っているのだから
「許しちゃいけない場所だからな」

最優先は逃げた人を護る事
相棒の言う通りそこまで離れていない筈だし
周囲の状況を手掛かりに探そう

「あぁ、俺達なら間に合うからな」
相棒を追いかけながら合わせて刃翼隼を使用
時人の光鳥と俺の隼がこれだけ居れば
探し出す時間も短縮できるし何よりも
ギリギリの場面だったとしても助けられる

「間に合ってよかった。遅くなってごめんな」
労働者を確保出来たら後は敵がどれだけの数居ようと
白と黒の翼で全部切り刻むだけだ
「あぁ、きっちり片づけてやらないとな」



「ブラックなんて言葉もおこがましいね」
 言葉も顔も苦々しさが溢れて止まらない。秘密裏に操業されていたメガコーポの地下工場に、葛城・時人(光望護花・f35294)は怒りを抑えきれない。人権とかそういう問題ですらない、モラルの欠片もない違法行為のオンパレードだ。
「そもそも労働であれば対価も必要だ」
 話に聞く限りでも腐敗しきった労働環境に、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)も遺憾の意を示す。一般人を詐欺や誘拐などの手口で強制連行し、労働力としてこき使っておきながら、メガコーポは働く人の為に何かをしてくれる事もなく、ただただ人々を奴隷のように扱っている。

「許しちゃいけない場所だからな」
「マジで気分悪い。そもそもオブリビオンの巣窟だし」
 奴隷労働を強いる工場側の警備員や管理者は、全員骸の海を投与されたオブリビオンという、メガコーポの腐敗と退廃を象徴するかのような施設。どこまでも胸糞悪くなる話だが、そこから奇跡的に逃げだしてきた労働者がいると聞けば、彼らは直ちに行動を開始した。
「ちゃんと助けて絶対粉砕しよう!」
「最優先は逃げた人を護る事だな」
 工場のあるエリアは判明しても、正確な座標および脱走者の現在位置は分かっていない。先ずは探す所からになるが、こちらの位置からそこまで離れてはいないはず。周囲の状況を手掛かりに、時人と陸井は共同で探索を進めていく――。

「……と、聞こえる! 機械音と電子音声だ!」
 最初にそれを捉えたのは時人だった。開発放棄された無人地区にしては喧しい、耳障りな音のオンパレードが直ぐ近くから聞こえる。脱走者を追跡中のオブリビオン『ザナドゥ・ヴァルキリー』部隊のものと考えてまず間違いないだろう。
「往こう陸井!」
「あぁ、俺達なら間に合うからな」
 相棒に声を掛けながら、時人は全力で【光鳥剣舞】を詠唱。創世の光で象った鳥たちを先行させて自身も走りだした。
 陸井も相棒を追いかけながら、合わせて【戦文字「刃翼隼」】を使用。墨で形成された隼たちを光鳥剣に随行させる。これだけ数が居れば探し出す時間も短縮できるし、何よりもギリギリの場面だったとしても助けられるはずだ。

「い、いやっ、来ないで!」
「抵抗は無意味……何です?」
 脱走者に迫りつつあったザナドゥ・ヴァルキリーたちは、急速接近する羽ばたきの音を察知して振り返る。その直後、数百羽を数える光鳥と墨隼の群れが、剣刃の翼を広げて脱走者との間に割り込み、猛然とヴァルキリーに襲い掛かった。
「緊急。未知の敵性体の襲撃を受けました」「直ちに迎撃します」
 突然の奇襲にも彼女らの動揺は少なく、異能エネルギーによるリングで鳥たちを拘束し、銃撃と光剣で撃墜していく。
 だが、いかにメガコーポ製の高級戦闘クローンとはいえ、この数を一瞬で殲滅するのは無理だ。対処に手こずるうちに鳥の主たちが駆けつけてくる。

「間に合ってよかった。遅くなってごめんな」
「もう大丈夫だよ! 動かないでね!」
 各々武器を構えて飛び込んできた陸井と時人は、労働者の女性を背に庇いながら声を掛ける。彼女の目線からは、陸井の羽織の背中に刺繍された『護』の文字がよく見えた。それは2人に共通するスローガンであり、学生時代から変わらぬ信念の象徴だ。
「あ……あなたたちは……?」
 呆然としながらも、彼女はなぜか安堵している自分に気付く。この人たちは敵ではないと、根拠はないが理解できた。
 すぐ近くにはまだ大勢のオブリビオンがいる。なのに、この場所にいるのが一番安全だという不思議な確信があった。

「その労働者は当社の所有物です」「直ちに引き渡しなさい」
 慇懃な口調で警告し、スマートピストルの銃口を向けるヴァルキリー。しかし彼らがそんな脅しに屈するはずがない。
 むしろ、その発言は連中が労働者をどのように扱っていたかを如実に示し、彼らの怒りを一層かき立てただけだった。
「よし! 全部屑鉄にしよう相棒!」
「あぁ、きっちり片づけてやらないとな」
 白燐蟲の群れを沸き立たせる時人と、短刀銃に戦文字の弾丸を込める陸井。2人の号令に応じて剣翼鳥と刃翼隼の動きが変わる。ここまでは撹乱が優先だったが、労働者の安全を確保出来たことで、全力で敵部隊を殲滅する準備が整った。

「光鳥よ、剣翼で舞え!」
「舞い裂け。刃翼隼」
 白と黒の翼が戦場を翔け、機械仕掛けの戦乙女を狩る。主人の怒りを体現した鳥たちの攻撃に、容赦は一切なかった。
 銃や剣で一羽ずつ撃ち落とすのではとても追いつかない。嵐の如き猛襲を食らった敵は、瞬時にバラバラのスクラップと化す。
「どれだけの数居ようと、全部切り刻むだけだ」
「一体たりとも逃すものか!」
「「――……!!!?」」
 想定を上回る脅威に一時撤退も考えた頃にはもう遅い。刃翼隼と剣翼鳥の飛翔速度は敵のそれを大きく上回っている。
 任務を果たすことも情報を持ち帰ることもできず、ザナドゥ・ヴァルキリー部隊が壊滅するまであっという間だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
地下工場に労働者とは名ばかりのほぼ奴隷……絵に描いたような暗黒コーポだね…
…逃げ出したを労働者を見つけないと…
…自己判断型伝令術式【ヤタ】を潜り込ませてエリア内の監視カメラをハッキングして探索…
…さらに【我が身転ずる電子の精】を発動…目と耳を粒子化することでデータを『見える』『聞こえる』ようにして…
…逃亡者の逃走ルートを予測……さらに電子的に「騒がしい」方に向うとしよう…追手なら頻繁に通信してるだろうしね…
…追手と逃亡者を見つけたならその間にわってはいるとしよう…
…光学ステルス迷彩してもその駆動信号はまでは隠せない…この目からは逃れられないよ…
…術式で光の矢を無数に生み出して迎撃するとしようか



「地下工場に労働者とは名ばかりのほぼ奴隷……絵に描いたような暗黒コーポだね……」
 らしいと言えばらしいブラックな所業に、冷ややかな感想を呟くのはメンカル・プルモーサ(星導の魔女・f08301)。
 これまでは上手く隠し通してきたようだが、悪事はいずれ明るみになるもの。命からがら逃げだす労働者がいる辺り、ロクな現場でないのは確かだ。
「……逃げ出した労働者を見つけないと……」
 オブリビオンに捕まる前に対象を保護すべく、メンカルはエリア内の監視カメラに自己判断型伝令術式【ヤタ】を潜り込ませる。術式によるハッキングを受けたカメラは彼女の支配下となり、直近の記録及び現在の映像が閲覧可能となる。

「我が体よ、変われ、集え。我は掌握、我は電霊。魔女が望むは電網手繰る陽陰」
 さらにメンカルは【我が身転ずる電子の精】を発動。自身の目と耳を粒子化することでデータを「見える」し「聞こえる」ようにして、脱走者の逃走ルートを予測。監視カメラの記録と併せて所在を絞り込んでから、電子的に"騒がしい"方に向かう。
「……追手なら頻繁に通信してるだろうしね……」
 オブリビオンが仲間や工場と連絡を取るための信号や電波まで、今のメンカルは目視した上で内容を盗み聞きできる。
 敵もこんな方法で通信を傍受されるとは思っていないだろう。会話や情報が筒抜けになれば、先回りするのは容易だ。

「……見つけた……彼女はこちらで保護させてもらうよ……」
「っ?! た、助かった……?」
 かくして逃亡者と追手の『ザナドゥ・ヴァルキリー』を見つけたメンカルは、その間にすっと割って入る。敵はもちろん逃亡者側も彼女の出現は予想外だろうが、他の猟兵にも助けられた事もあり、状況的に敵でないことは分かるはずだ。
「誰ですか、貴女は」「我々の妨害は許されません」
 安堵の表情を浮かべる逃亡者とは対照的に、ヴァルキリーたちの反応は冷ややかだ。メガコーポの利益に反する存在に容赦のない彼女らは、直ちに【LNK-Assault.XV】を起動。光学ステルス迷彩による不可視化・静音化を行った上で、高速連携攻撃を仕掛けてきた。

「……光学ステルス迷彩してもその駆動信号はまでは隠せない……この目からは逃れられないよ……」
 メガコーポが開発した高性能ステルスは肉眼や各種センサーも欺ける代物だが、データや信号に直接干渉するメンカルの【我が身転ずる電子の精】のほうが一枚上手であった。|機械化義体《サイバーザナドゥ》が発する信号からヴァリキリーの位置を特定した彼女は、粒子の集合体と化した瞳でそちらを見つめ。
「光芒の矢よ、集え、翔けよ」
「がッ?!」「なぜ……わかった……!?」
 呪文ひとつで無数に生み出される光の矢が、攻め寄せる敵を的確に迎撃する。ステルス解除されたヴァルキリーたちの表情は、みな驚愕に染まっていた。高度なテクノロジーの集大成であればあるほどに、メンカルの術式とは相性が悪い。
 ――魔女の瞳が、この付近に飛び交う敵の信号が全て途絶えたことを確認するのは、それから程なくのことであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『人造天使』

POW   :    アブソリュート・モビリティ
【サイバーザナドゥ】を用いた戦闘時に、一点を貫く【アイズ・レーザー】と広範囲を薙ぎ払う【アーム・キャノン】を一瞬で切り替えて攻撃できる。
SPD   :    サージ・ウィング
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【翼】から【サイキックの電撃】を放つ。
WIZ   :    マグナ・ガンレッグ
自身の【脚部】を【銃火器】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。

イラスト:希介

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「助けてくれてありがとう! 本当にありがとう!」

 猟兵達が『ザナドゥ・ヴァルキリー』部隊を撃破すると、窮地を救われた女性は深々と頭を下げてお礼を言う。
 あと一歩で地獄の職場に連れ戻されるか、この場で殺されるところだったのだ。いくら感謝してもし足りない。

 猟兵達がメガコーポの地下工場を破壊するためにここに来たことを知ると、彼女は協力を惜しまない。
 地下工場の所在から内部の構造、警備状況まで、そこで働かされていた彼女は沢山の情報を持っている。

「あの工場で私達を監視していたのは、天使みたいなやつらで……見た目はきれいだけど労働者には容赦ないの」

 満足にノルマを果たせない、もしくは反抗的だと判断された従業員は、即座に射殺されるケースもあったという。
 厳しい監視と過酷な環境下で働かされている労働者は、少なくとも数百人はいるそうだ。

「やつらのボスは私は見たことないけれど、工場の奥でそいつに会わされた人間はみんな人が変わったように従順になるの。まるで神様を崇めるみたいに……」

 工場を管理するオブリビオンについては、彼女も詳しいことは知らなかった。
 だが、単純な戦闘力だけではない危険な能力を持つ存在であるようだ。

「まだ工場で働かされてる人たちも、助けられるなら助けてほしい……お願いします!」

 知る限りの情報を伝えた女性は、もう一度頭を下げる。
 彼女の想いを受け取って、猟兵達はメガコーポの地下工場に向かう。



「まあ。どうやって此処を見つけたのでしょう」「いけないわ。此処は部外者立入禁止なのに」

 そして工場に突入した猟兵達が遭遇したのは、情報通り『人造天使』の警備部隊だった。
 多様な業務に適応し、戦闘兵器としても企業に貢献できるよう設計されたサイボーグ。
 天使を模して「改造製品化」された|機械化義体《サイバーザナドゥ》は、全身凶器に等しい。

「プセウドテイ様の耳目を煩わせる訳にはいきません」「企業に仇なす者には滅びを」

 美しい微笑を浮かべながら侵入者を排除せんとする人造天使達。
 工場を壊滅させ、人々を奴隷労働から救い出すためには、まずは彼女らを撃破しなければならない――。
村崎・ゆかり
人の手で作った天使ね。ありがたくも何ともないわ。さっさと制圧して、工場をぶっ壊しましょう。

「全力魔法」虚無の「属性攻撃」「範囲攻撃」「破魔」「仙術」で六魂幡。
黒外套で銃撃を「オーラ防御」「盾受け」しながら、人造天使を広がる外套に包み込み、魂魄ごと消滅させる。骸の海にすら行かせない。
「オーラ防御」の「結界術」も一応張っておこうかしら。銃火器類って、あんまり相性よくないのよね。

強制労働させられてる人たちを助け出す前に、人造天使を殲滅しきらないと、安全を確保出来ないものね。
屋内で最大速度で飛べるものかしら? 六魂幡を広げておけば、自分から突っ込みそうね。
無から作られたものは無に還りなさい。



「人の手で作った天使ね。ありがたくも何ともないわ」
 しょせんは見た目を似せただけのサイボーグ。敬意も畏れもあるはずもなく、ゆかりは『人造天使』達を睨みつける。
 メガコーポから秘密工場の警備を任され、労働者達を不当に虐げていたのは彼女らだ。見過ごして通る事はできない。
「さっさと制圧して、工場をぶっ壊しましょう」
「まあ。なんと横暴な」「反体制派のテロリストか、それとも敵対企業の工作員でしょうか?」
 人造天使からすれば、メガコーポの利益に反する者はすべからく排除すべき敵だ。作り物の美貌に憂いを帯びた表情を浮かべながら、四肢に内蔵した銃火器を展開する。生身の殆どを機械化義体に置換した彼女らのボディは、まさに全身武器庫である。

「我は命ず。喰らえ、喰らえ、六魂幡」
 敵の攻撃が来る寸前、ゆかりは呪言の詠唱を開始。身に纏った外套が黒い渦のように広がり、銃弾の雨を受け止める。
 この【六魂幡】に包まれたものは肉体・精神・魂魄に至るまで完全消滅する。標的を蜂の巣にするはずだった鉛玉は、忽然と虚空に消え去った。
「あらゆるものを巻き込み、欠片一つ残さずこの世から消滅させよ。我は命ず――」
「きゃっ?!」「な、なんのつも――」
 広がる外套は人造天使達も黒い渦に巻き込み、すっぽりと包み込んで魂魄ごと消滅させる。骸の海にすら行かせない、存在自体の全否定だ。ひとたび捕らえられれば装甲も防御も意味をなさないため、敵に取れる対策は回避しかなかった。

(結界も一応張っておこうかしら。銃火器類って、あんまり相性よくないのよね)
 外套の隙間を流れ弾が抜けてくる事も考えて、ゆかりはオーラの結界術で自身の守りを固める。【六魂幡】の遠隔操作には制御用の呪言が常に必要だが、それ以外の行動は並行できるのが強みだ。攻防一体のユーベルコードで敵を攻め立てつつ、決して隙は見せない。
「くっ。なるほど、ただの工作員ではないようですね」
 侵入者の脅威判定を改めた人造天使達は【サージ・ウィング】を起動。先程の「ザナドゥ・ヴァルキリー」のように、彼女達もサイキックを使えるように改造されているようだ。バチバチと帯電した翼から電撃が放たれ、飛翔速度が大幅に向上する。

(屋内で最大速度で飛べるものかしら? 六魂幡を広げておけば、自分から突っ込みそうね)
 敵がユーベルコードを使ってきてもゆかりの戦法は基本的に変わらない。黒外套と結界術で電撃を防ぎながら、相手を追い詰めるように【六魂幡】を操作する。工場内部は様々な設備や機械で入り組んでおり、警備員だろうと自由に飛べるスペースはない。
「無から作られたものは無に還りなさい」
「しまっ―――」
 まんまと誘導され渦の中に飛び込んだ人造天使は、悲鳴すら聞こえずに消滅する。かすかに散った電光だけが、彼女らの最期の断末魔だった。まるで獲物を絡め取る蜘蛛の巣のように、あるいは全てを無に帰すブラックホールのように、漆黒の虚無は広がり続ける。

「強制労働させられてる人たちを助け出す前に、人造天使を殲滅しきらないと、安全を確保出来ないものね」
 警備を1人残らず全滅させるまで、ゆかりは呪言の詠唱を止めない。目につく範囲から敵が消え去れば、【六魂幡】と一緒に移動を行う。罪もない労働者達をこれ以上危険には巻き込ませないという、強い意志がそこには感じられた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イクシア・レイブラント
いくらサイボークとはいえ、
これほど過酷な労働では疲弊しパフォーマンスは低下するだけ。
元は人間、限りある命。
雑に切り捨てるなんてあってはならない。
だけど、保護した人たちは気になることも話していた。
ボスに会わされると従順になって帰ってくる…この人造天使も元は労働者だった?

思念接続、[ハッキング]開始。【シャドウペルソナ】を試みる。
もし、プセウドテイに精神をいじられているのなら
治療で正気を取り戻すかもしれない。
敵からの電撃には
シールドビットを自身の[護衛]として展開し[盾受け、時間稼ぎ]を行う。
ただし、これは人造天使が一般市民であった場合の措置。
敵対存在でしかない場合は、武器による攻撃も辞さないよ。



「いくらサイボークとはいえ、これほど過酷な労働では疲弊しパフォーマンスは低下するだけ」
 機械化すれば疲れ知らずというのは幻想で、どんなメカニズムでも適切なメンテナンスなくして性能は発揮できない。
 そうした観点からイクシアが見たメガコーポ秘密工場の労働環境は非常に非効率的で、労働者を無為に浪費しているとしか思えなかった。
「元は人間、限りある命。雑に切り捨てるなんてあってはならない」
 この地獄めいた労働環境を強いているオブリビオンを撃破し、秘密工場を壊滅させ労働者を解放することは、彼女の中ですでに確定事項となった。しかし工場から脱走し保護した人たちは、ここのボスについて気になることも話していた。

(ボスに会わされると従順になって帰ってくる……この人造天使も元は労働者だった?)
 今、イクシアの前に立ちはだかるのはメガコーポ製サイボーグ『人造天使』。この世界のオブリビオンが骸の海を投与して「生産」されることを考えれば、彼女達の素体となった人間はどこから「調達」されたのか――反抗的な労働者を再利用していた可能性も考えられる。
(確かめないといけない。思念接続、ハッキング開始)
 そう考えたイクシアは物理攻撃による目標殲滅を一時的に保留し、人造天使の精神世界に【シャドウペルソナ】によるアクセスを試みる。もし「プセウドテイ」とやらに精神をいじられているのなら、治療で正気を取り戻すかもしれない。

「不正なアクセスを検知しました」「私達の思考を操作するつもりですか? やらせません」
 どういった意図であれイクシアの行為は人造天使達にとっては悪質なハッキングだ。精神を掌握される前にハッカーを排除しようと、帯電した【サージ・ウィング】からサイキックの電撃を飛ばしてくる。コンセプトは先程の「ザナドゥ・ヴァルキリー」に似ているが、威力では上回るか。
(対象の精神を分析……60%、70%……)
 イクシアは自身の護衛として「シールドビット」を展開し、ハッキング完了までの時間稼ぎを行う。念動力で操作された浮遊端末からはサイキックの光盾が発生し、電撃を受け止め拡散させる。思考の半分を精神世界に割いていても、物理領域でも遅れは取らない。

「……なるほど。あなた達は元々そうだったんだね」
 果たして、分身精神体を通じてイクシアが天使達の精神を分析した結果は、幸いと言うべきか不幸にもと言うべきか。
 最初からメガコーポに「製品化」された人造天使は、多様な業務に適応するため設計段階から素体も選別されていた。
「あの奴隷達と同じだとでも思いましたか? なんて無礼な」
「私達はプセウドテイ様にお仕えする天使。地を這う働き蟻とは格が違うのです」
 この工場において労働者側と管理者側には超えられない線引きがある。プセウドテイによる労働者の洗脳は、あくまで労働に強制従事させるために用いられているようだ。それはそれで気分の悪い選民思想だが、オブリビオン化されてないだけマシと見るべきか。

「なら、仕方ないね」
 相手が一般市民ではなく治療不能な敵性存在でしかないと分かったなら、もうイクシアも容赦はしない。展開中のシールドビットに加えてアームドフォートが起動し、分離した主砲がビームビットのように砲撃を開始。同時に精神世界からも【シャドウペルソナ】が攻撃を仕掛ける。
「排除させてもらうよ」
「「なッ……きゃぁぁぁっ!!!?」」
 一転攻勢に転じたイクシアの火力は、人造天使の想定を大きく上回る。そもそも精神へのハッキングを許した時点で、どのみち彼女らに勝ち目はない。回避や逃走の選択肢を強制停止され、メガコーポの尖兵どもは閃光に消し飛ばされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。



「アタシの力が入用かい?」
 違法な奴隷動労がまかり通る、メガコーポの秘密工場。そこに宇宙カブ「JD-1725」で乗り込んできたのは数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)だ。サポートを依頼されて駆けつけてみたが、目に入るのは胸糞悪い所業の数々。
「こりゃ放っておけないね」
「まあ、またしても侵入者が」「いったい何処から情報が漏れたのでしょう」
 警報と共にやって来たのは『人造天使』の警備部隊。見た目は美麗な天使の姿を模していても、中身は戦闘兵器としても運用できるように改造された強化サイボーグだ。労働者達の監視・指導役として、この地獄を維持するオブリビオンの一味でもある。

「あなた達はこれに納得して加担してるわけ?」
「もちろんです。プセウドテイ様の管理の下、メガコーポに奉仕するのは至上の喜び」
 たとえ敵が相手だとしても、戦闘に入る前に多喜はコンタクトを取り、行動原理を理解しようとする。だが理解できたとしても受け容れられる相手とは限らない。メガコーポ至上主義に染まった人造天使の思想は、企業の利益と繁栄のためにそれ以外の全てを踏み躙るものだ。
「低級市民達にもこの喜びを分け与えてやっているのですから、彼らはもっと感謝すべきです」
「そう。ならアタシも容赦はいらないね」
 理解した上で改めて「事件解決」を決意した多喜は、宇宙カブのエンジンを吹かす。対する人造天使達も|機械化義体《サイバーザナドゥ》の内蔵武装を起動し、臨戦態勢に。張り詰めた空気が秘密工場を満たし――その時、唐突に小さなウサギのような霊的存在が、多喜の傍に現れた。

「多喜ちゃん! ここは変身するしかないよ! さあ!」
「いやだー! 変身したくなーい!?」
 それまでのシリアスな雰囲気を唐突にぶち壊すノリで、【荒唐無稽の体現者】により半強制的に変身させられる多喜。
 キラキラした光が工場を照らすと、そこにはピンクでフリフリの魔法少女スタイルに衣装替えした彼女の姿があった。
「……なんですかその格好は?」「私達をバカにしているのですか?」
 それを挑発と受け取った人造天使は【アブソリュート・モビリティ】を発動。広範囲を薙ぎ払うアーム・キャノンの一斉発射で、目標を灰燼に帰さんとする。相手が単なるコスプレしたアラサー女性だったなら一巻の終わりだろうが――。

「ああもう! こうなりゃさっさと終わらせる!」
 爆炎の中から飛んできたのは、やけっぱちじみた叫び声と電撃だった。見た目によらず――と言っていいものか、魔法少女スタイルに変身した多喜の戦闘能力は爆発的に増大しており、見掛け倒しではない本物の「魔法」さえ行使できる。
「「きゃ……ッ?!」」
 電撃により機械化義体をマヒさせられた人造天使達の動きが止まる。多喜はすかさずダッシュで駆け込むと、グラップルによる接近戦を展開。マジカルな衝撃波も併用して手当たり次第に相手を吹き飛ばし、殴り倒し、叩きのめしていく。

「つ、強い……うぐっ……!」
「ざっとこんなもんよ!」
 色んな意味で寿命を削っている魔法少女多喜の猛攻に、人造天使は次々に倒れ、工場のスクラップと化したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

「必ず全員助け出すからね」
彼女の隠れ場所を確保してから走る!

「ああ、醜悪だ」
相棒の悪罵に頷く
天使って名称なのも気分悪い
綺麗でも神々しくもないから不釣り合い
だけどヒトが変えられたモノじゃないなら
そこは安心
殺害じゃなくてただの破壊だ
「壊し甲斐ありそうだね」

とはいえ凄い数が犇めいてる
どっちにしても初撃はお互い数の暴力だね
「攪乱するよ!」
返事と共に白燐大拡散砲詠唱!
此処は広いけどそれでも
戦域をククルカンが埋め尽くしたら
奴等の攻撃はあてずっぽうしか不可能だ
同士討ちも見込める

蟲たちが落としたのを狩れるし
時間が掛かっても俺達は傷を癒せる!
「殲滅にはもってこいだ!やってしまおう!」


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

任せてくれと女性には伝えて、奥へ

「邪悪そのものだな、こいつらは」
ただ工場を回す為に人々を奴隷として扱ってきた奴らに
そして人の尊厳を踏みにじってきたこいつらに
心の底からの嫌悪感と共に言葉を吐き出す
「何が天使だ。全部、ぶっ壊そう」
相棒も当たり前に答えてくれて
二人で何時も通りに武器を打ち合わせて
戦いの始まりだ

「心得た。合わせていくぞ」
細かい打合せは俺達には必要ない
時人の攻撃が戦場を埋め尽くしていくから
俺は反撃の手を潰すのに専念だ
「俺は、護る為に」
言葉で宣言し高速で飛翔する敵の翼に狙いを定める
どれだけ速くとも、厄介な電撃だろうと打たせない
「一匹たりとも、逃がすつもりはない」



「必ず全員助け出すからね」
「任せてくれ」
 救助した脱走者に伝えて、彼女の隠れ場所を確保してから、時人と陸井は走りだす。メガコーポの地下工場の所在が判明したなら、次はそこを叩き潰して全ての労働者を解放するのだ。力なき者の刃となり護るのが彼らの使命なれば。
「――侵入者を発見しました」「企業に仇なす者に滅びを」
 工場に突入した2人を迎え撃ったのは『人造天使』の警備舞台。しかし2人の注目を引いたのは彼女らではなく、工場の過酷な環境とそこで働かされる人々の姿だった。労働者に自由と権利を許さず死ぬまで使い潰す、まさしく前時代の奴隷労働が此処では行われていた。

「邪悪そのものだな、こいつらは」
 ただ工場を回す為に人々を奴隷として扱ってきたメガコーポに、そして人の尊厳を踏みにじってきた目の前の人造天使に、陸井は心の底からの嫌悪感と共に言葉を吐き出す。飽くなき利益と欲望の追求のために、この世界の企業関係者はモラルも人の心も失ってしまった。
「ああ、醜悪だ」
 相棒の悪罵に時人も頷く。ただ外見をそれらしく模しただけの戦闘兵器が、天使なんて名称なのも気分が悪い。綺麗でも神々しくもないので不釣り合いだが、ヒトが変えられたモノではないなら、そこだけは安心か。これからやるのは殺害ではなく、ただの破壊だ。

「何が天使だ。全部、ぶっ壊そう」
「壊し甲斐ありそうだね」
 陸井が言えば時人も当たり前に答えて、2人で何時も通りに武器を打ち合わせれば、それが開戦の合図となる。1体たりとも逃すつもりはない――とはいえ凄い数が犇めいてる。これだけの規模の工場で全ての労働者に監視の目を光らせるためには、必要な人員は10や20ではきかないだろう。どちらにしても初撃はお互い数の暴力になる。
「攪乱するよ!」
「心得た。合わせていくぞ」
 細かい打合せは彼らには必要ない。陸井の返事と共に時人は【白燐大拡散砲】を詠唱すると、純白の羽毛と翼を持つ蛇のような蟲――白燐蟲「ククルカン」の大群が発生し、戦域を埋め尽くしていく。その光景はまるで天の川が地上に現出したかのようだった。

「未知の生体反応。これは一体?」「狼狽えてはなりません。たかが虫けらです!」
 サイバーザナドゥには存在しない白燐蟲の群れに、人造天使たちは【マグナ・ガンレッグ】を起動。脚部を銃火器に変形させて攻撃力を強化し、数にものを言わせて弾幕を展開する。これだけ標的が無数にいれば、どこを向いて撃っても必ず当たる。
「ククルカン敵を討て! そして光で皆に癒しを!」
 しかし見方を変えると彼女らの攻撃はあてずっぽうしか不可能ということ。蟲の大群に視界を遮られ、同士討ちを起こすリスクもある。それを見込んで時人はククルカンに人造天使を包囲させ、腕でも脚でも胴でも翼でも、当たり構わず|機械化義体《サイバーザナドゥ》に食らいつかせた。

「くっ……この……!」
 無数のククルカンにまとわりつかれた人造天使は、顔をしかめて【サージ・ウィング】を起動。サイキックの電撃を帯びた翼で蟲を振り切り、電撃で撃ち落とそうとするが――その動きを見逃さなかった陸井が短刀銃『護身』を構え。
「俺は、護る為に」
 言葉で宣言し、高速で飛翔する敵の翼に狙いを定める。放たれた【戦文字「切裂弾」】は過たず目標にヒットし、鋭利な切断力で敵から飛翔能力を奪う。翼を断たれた天使は「きゃっ!?」と悲鳴を上げ、重力に引かれて堕ちていく。

「文字も弾も、いくらでもあるからな」
 陸井は矢継ぎ早に戦文字の弾丸を連射し、敵の反撃の手を潰すのに専念する。どれだけ速くとも、厄介な電撃だろうと撃たせない。撃墜して地上に叩き落としてしまえば、後は時人と白燐蟲が狩り尽くす。長年組んできたコンビらしい、お互いのやり方を知り尽くした連携プレーだ。
「このっ、やめなさ……ぎゃっ!?」
「往生際が悪いね」
 蟲たちが喰らいついた人造天使の首を、大鎌「黒月」で刎ねる時人。破れかぶれで敵が銃撃を放ってきても、彼らはククルカンの白燐光で傷を癒せる。時人のレベルなら【白燐大拡散砲】の効果は数時間持続するので、長期戦になっても彼らの優位が崩れることはない。

「殲滅にはもってこいだ! やってしまおう!」
「一匹たりとも、逃がすつもりはない」
 蟲による攻撃と撹乱と回復、切裂弾による反撃と飛行の阻害。敵の勝ち筋と離脱手段を全て封じた上で、時人と陸井は敵を各個撃破していく。純白の燐光で埋め尽くされた戦場は、人造天使たちにとって逃れようのない死地となった。
「「も……申し訳ありません、プセウドテイ様……!!」」
 主への謝罪を最期に叫んで、斬撃あるいは蟲の牙に散っていく人造天使。地下工場の制圧は順調に進んでいた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
洗脳効果を持った奴がボスなのかな……それならなおのことこの工場をさっさと潰さないといけないね…

…で、サイボーグの天使かぁ…前のヴァルキリーといいこの工場は警備を空中に飛ばすのがトレンドなのかしら
…重火器を術式障壁で防いで…その障壁の表面に浸透破壊術式【ベルゼブブ】を潜ませた紋様を展開して敵に浸透…
…【ベルゼブブ】の効果によってセンサーを改竄…周囲の人造天使を敵と認識させて同士討ちを狙おう
…混乱しているところに【空より降りたる静謐の魔剣】を発動…斉射して倒して行くとしようか…



「洗脳効果を持った奴がボスなのかな……それならなおのことこの工場をさっさと潰さないといけないね……」
 脱走した労働者の供述から、地下工場を管理するオブリビオンの能力を推察するメンカル。反抗的な人間を強制的に従属させられるのであれば、全ての労働者が心までメガコーポの奴隷になるのも時間の問題だ。人権を無視して酷使された心身の安否が気にかかる。
「この工場内にある全てはメガコーポの占有物です」「侵入者は直ちに排除致します」
 奥に進もうとする彼女の前に、立ちはだかるのは『人造天使』部隊。白い翼で工場内を飛び回る姿は優美だが、あくまで工業的に改造された紛い物の天使に過ぎない。ガコンと音を立てて変形する|機械化義体《サイバーザナドゥ》の脚部から、物々しい銃火器が顔を覗かせる。

「サイボーグの天使かぁ……前のヴァルキリーといいこの工場は警備を空中に飛ばすのがトレンドなのかしら……」
 似たようなコンセプトの敵が立て続けに出てくる理由を想像しつつ、メンカルは幾何学的な紋様の浮かんだ術式障壁を展開。その直後、人造天使たちによる【マグナ・ガンレッグ】の一斉射撃が始まった。凄まじい数の鉛玉の雨が、轟音と共に叩きつけられる。
「そんなバリアなど」「すぐに叩き壊してあげます」
 人造天使の武装は目的に応じて性能を変化させられる。威力重視の機体と連射力重視の機体で同時攻撃を仕掛けることで、メンカルの障壁を破るつもりだ。構成する術式は未知のものだが、これだけの火力を受けて長くは保たないはず――。

「――……っ! この反応は!?」
 しかし、ふいに人造天使のセンサーは別の敵性反応を検知する。隣接距離に突如出現したその反応に向かって、彼女は咄嗟に照準を変更。直ちに撃墜すべく銃撃を浴びせるが――その相手とは、仲間であるはずの同じ人造天使だった。
「きゃっ?! な、なにを……!」
 同様の事態は他の機体間でも起きていた。冷静な判断力があれば何らかのハッキングを受け、敵味方の認識に異常をきたしたと推察できるだろう。だがいつの間に? あの侵入者の女に電子戦を仕掛けるような素振りはなかったはず。

「……気付いたとしても、もう手遅れだけどね……」
 仕込みは最初から済んでいた。メンカルの防御障壁の紋様には浸透破壊術式【ベルゼブブ】を潜ませてあったのだ。
 ただの模様だと思って紋様を見た人造天使は、視覚情報を通じて術式に感染し、まんまとセンサーを改竄された。後はご覧の通りだ。
「次々に敵の反応が増えている……?」「おかしい、一体どこから……!」
 誰が本当の敵かも分からず同士討ちを繰り広げ、人造天使たちは混乱している。その間にメンカルは悠々とユーベルコードを詠唱。冷気を発する氷の魔剣が数百単位で彼女の周囲に出現し、空中で矢のように切っ先を敵陣へと向ける。

「停滞の雫よ、集え、降れ。汝は氷刃、汝は驟雨。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣」
 詠唱完了と同時に発動する【空より降りたる静謐の魔剣】の斉射は、混乱の渦中にある標的へと次々と突き刺さり、命中箇所から凍結を引き起こした。機械化された四肢も胴体も天使の翼も、全ては蒼氷に覆われ物言わぬ氷像と化す。
「「――……!!!」」
 そのまま地上で凍りついたまま制止するか、あるいは空中から落下して砕け散るか。いずれにせよ彼女らが動くことは二度とない。敵の制圧を完了したメンカルは障壁と【ベルゼブブ】を解除し、ゆったりした足取りで工場の奥へと進んでいった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
束縛系の天使ってもの悪くないわね!

新たな美少女の登場で滾ってきたでござる…身体が軽いわ!具体的には3倍ぐらい!
とりあえず捕獲用に流体金属投げつけたり力づくで生け捕りにしてやろうぜ!

こいつらも企業の奴隷で自由が無いんでござるよね…拙者悲しいよ…
自由にしてやらねば…という訳でハッキングでブレイン|ハック《書き換え》してやろうぜ!名誉・自由・祖国…全ての物の上にあれでござる
それからリリースでござる、さあ行きな…頑張ってサイバーザナドゥに機械化ドイツ帝国を建国するんでござるよ…

野に放った後?知らんけど?適当にポリスメンが討伐してくれるんじゃない?
工場制圧しに来たんだからそれ以外は気にするなよ!



「束縛系の天使ってもの悪くないわね!」
 工場に突入するなり出てきた『人造天使』の集団に、エドゥアルトは興奮を隠せない。もちろんソレは本物の天使ではなく、メガコーポが開発したサイボーグなのだが。中身がどうだろうと彼にとっては見た目が一番重要なのである。
「新たな美少女の登場で滾ってきたでござる……身体が軽いわ! 具体的には3倍ぐらい!」
 ザナドゥ・ヴァルキリー戦に引き続いていよいよ変態性――業界用語で言う【紳士】ぶりを隠そうとしなくなってきたエドゥアルトは、ウキウキでこいつらをオモチャにするプランを考える。ある意味メガコーポよりもモラルのない存在がここに降臨した。

「デュフフフ! ドゥフフフ! ゲヒヒヒヒ!」
「な、なんですかこの男は」「不快です、消えなさい!」
 不気味な笑いから邪念を感じた人造天使たちは、最大火力の【マグナ・ガンレッグ】で殺処分を試みるが。変態という名の【紳士】エドゥアルトは異常な俊敏性で銃弾を全回避し、流体金属「オウガメタル・Spitfire」を投げつける。
「とりあえず力づくで生け捕りにしてやろうぜ!」
「「きゃぁ!?」」
 流体金属は空中で網状に広がって人造天使たちに覆いかぶさり、身動きを封じる。殺傷力はないとはいえサイボーグの怪力でも破れない代物だ。じたばたと藻掻く可憐な美少女たちの元に、ウキウキの足取りでエドゥアルトが迫る――どちらが悪人なのか分からない絵面だ。

「こ、殺しなさい」「何をされようとも我々は本社を裏切りません」
「こいつらも企業の奴隷で自由が無いんでござるよね……拙者悲しいよ……」
 虜囚の身となってもあくまでメガコーポへの忠誠を貫こうとする人造天使たちに、エドゥアルトはほろりと涙。完全に製品として改造された彼女らには「企業への貢献」というプログラムが脳髄に植え付けられているのだろう。敵とはいえ哀れな存在である。
「自由にしてやらねば……という訳でブレイン|ハック《書き換え》してやろうぜ!」
「や、やめなさ……あぁッ!?!」
 同情を寄せる素振りだけしつつ、エドゥアルトは彼女たちのハッキングを開始。電脳魔術で頭の中身を直接書き換えて、メガコーポへの忠誠心も奴隷根性も綺麗さっぱり消し去り、まっさらになった脳に新しい命令を書き込んでいく。

「名誉・自由・祖国……全ての物の上にあれでござる」
 第二次世界大戦あたりの軍国主義あたりをモチーフにした思想・理念を与えられた人造天使は、企業ではなく国家に仕える忠実な兵士に。「失われた祖国の復活」という命令をインプットしてから、エドゥアルトは彼女たちをリリースする。
「さあ行きな……頑張ってサイバーザナドゥに機械化ドイツ帝国を建国するんでござるよ……」
「「ヤーヴォール!!」」
 元の人格も完全に消えるレベルでブレインハックされた人造天使は、一斉に敬礼して工場の外へと飛び立っていく。
 メガコーポの奴隷として一生を終えるはずだった彼女らは、これから新たな使命と愛国心を胸に戦うのだろう――。

「野に放った後? 知らんけど? 適当にポリスメンが討伐してくれるんじゃない? 工場制圧しに来たんだからそれ以外は気にするなよ!」
 この辺りは無人の未開発地区だし、民間人に危害を加えるような軍規もインプットしてないので、まあ大事にはならないだろう。遊ぶだけ遊んで後片付けが雑なところは心配になるが、すでに天使には興味を失ったらしいエドゥアルトは、スタスタと工場の奥に向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『プセウドテイ』

POW   :    積まれし祈念、今ぞ裁きと化す
偽物の【祈りが生む空間の歪み】を創造し、戦場上空に浮かべることで、【骸の雨】による連続攻撃能力と超再生能力を得る。
SPD   :    信じるほどに、滅びは深まる
自身の【これまで集めた信仰心】を代償に、1〜12体の【オブリビオン】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    我が与えるは、福音か災厄か
【全身から電脳波】を放ちダメージを与える。命中すると【相手の生命力と正気】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる。

イラスト:須田デジタル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠薄翅・静漓です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『……防衛戦力の97%が沈黙。当施設の運営継続に深刻なリスクが発生』

 警備部隊の『人造天使』を撃破した猟兵たちは、地下工場のシステムを統括する中枢フロアに足を踏み入れる。
 そこにあったのは巨大な人間の頭部を模した機械。青く光るカメラアイで猟兵たちを見て、厳かに言葉を発する。

『我が「プセウドテイ」の聖域に侵入し、我が天使たちを殺戮したのは汝等か』

 それはメガコーポが修復・再起動させコントロール下においた、旧時代の戦闘兵器だった。
 最大の特徴は、電脳波で己を「神」と錯覚させ、支配した人間の「信仰心」をエネルギー化する、サイバーザナドゥの技術水準で見ても特異な機能を有していることだ。

『我は汝等に贖罪の機会を与える。我に従い、我を崇め、我に奉仕せよ』

 プセウドテイの言葉と共に発せられる電脳波が、猟兵たちの脳を揺さぶる。
 こうやって工場の労働者にも洗脳を行うことで、反抗心を挫き従順にさせてきたのだろう。
 奴隷が増え信仰心が高まるほど、彼自身の力も増していくというわけだ。

 まさしくこのプセウドテイこそが、地下工場の管理システムと支配体制の要。
 これを破壊すれば工場の復旧は不可能となり、人々も解放される。

 労働者たちの地獄を終わらせるために、猟兵たちは企業に操られし偽りの神と対峙する――。
村崎・ゆかり
作り物の天使の次は偽物の神様ってわけ? ここを使ってるメガコーポってどこよ? そっちも潰したい。

メガリス『六合無窮』から供給される霊力を注ぎ込んで、「全力魔法」重力の「属性攻撃」「禁呪」で盤古幡。
重力千倍で、偽神だけじゃなく、空間の歪みにも効果を及ぼす。さあ、高重力で潰れて自壊するといいわ。
あなたみたいな奴が一番嫌いなのよ、あたしは。

降り注ぐ骸の海は「オーラ防御」「結界術」「霊的防護」「魔力防御」「呪詛耐性」「環境耐性」「狂気耐性」を総動員して防ぐ。
心の中に骸の海を流し込まれるのに比べれば、この程度軽いものよ。

そろそろ構造の脆いところが悲鳴を上げて壊れる頃じゃないかしら? 手加減はしないわよ。



「作り物の天使の次は偽物の神様ってわけ?」
 地下工場を支配する『プセウドテイ』を発見したゆかりは、眉をひそめながら呟く。己を神と称する機械の下で仕えるのは人造の天使たち――この組み合わせをメガコーポも意図していなかったとは思えず、だとすれば悪趣味としか言いようがない。
「ここを使ってるメガコーポってどこよ? そっちも潰したい」
『知る必要はない。汝らはただ従えばよい』
 工場で働かされている数多の一般市民と同じように、プセウドテイは猟兵にも服従と崇拝を求める。従順な信者を増やすことで彼とメガコーポは力を増すのだ。すでに労働者たちから搾取した「祈り」のエネルギーによって、彼の周囲の空間には歪みが生じ始めている。

「深き闇の底にて分かれては絡まる原初の力よ」
 電脳波による洗脳を受ける前に、ゆかりは禁呪【盤古幡】を詠唱。メガリス『|六合無窮《りくごうむきゅう》』から供給される莫大な霊力を注ぎ込むと、黒い球体に変化した式神が泡のような音を立てて分裂増殖し、分子模型状になって術者の周囲を包む。
「|現世《うつしよ》に顕現し、全てを捕らえ大地に縛り付けよ! 疾!」
『ヌゥ……!?』
 両手で印を組み一喝すると、黒球は中枢フロア内の重力を増大させる。上からのしかかる不可視の重圧に、浮力を保てず墜落するプセウドテイ。発動後も重力は無限に増大を続け、巨大な機械の頭部がみしみしと床にめり込んでいく。

「さあ、高重力で潰れて自壊するといいわ。あなたみたいな奴が一番嫌いなのよ、あたしは」
 千倍に達した重力はプセウドテイだけでなく、空間の歪みにも効果を及ぼす。本来なら恒星規模の質量で観測できる事象を、個人の術理をもって実現させるとは。ゆかりがそれを解禁したのは、目の前の偽神を完膚なきまでに叩き潰すために他ならない。
『まさか重力操作とは……神である我を地に堕とした不敬、万死に値するぞ』
 強制的に這いつくばらされながらも、プセウドテイは【積まれし祈念、今ぞ裁きと化す】を発動。歪んだ空間の向こう側から「骸の海」の雨を降らせる。サイバーザナドゥにおける其れは世界を汚染する元凶であり、オブリビオンを創造する原料――ゆかりを汚染しながら自身のダメージを再生するつもりか。

「心の中に骸の海を流し込まれるのに比べれば、この程度軽いものよ」
 しかしゆかりはオーラの結界を張り、体得した数々の霊的な防御術に加え、鍛えた耐性を総動員して骸の雨を防ぐ。
 つい数ヶ月前にアイドル☆フロンティアで大規模な戦争があったばかり。骸の海の汚染にもすっかり慣れた様子で、降りしきる雨の下でも平然としている。
「そろそろ構造の脆いところが悲鳴を上げて壊れる頃じゃないかしら? 手加減はしないわよ」
『ぐッ……おぉ……!!!』
 なおも増大し続ける重力が空間の歪みを矯正すると、骸の雨は止み、プセウドテイの再生も止まる。元々これは旧時代の兵器をメガコーポが現代の技術で修復したものだ。頭部のみのボディは完全体とはいえず、負荷に耐えきれなくなった箇所から徐々に崩壊を始めていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イクシア・レイブラント
人造天使を従えるは中枢たる機械仕掛けの神。
もっともらしい上下関係ね。
電脳波に襲われても、愛する人を心に浮かべ
[落ち着き、狂気耐性、邪心耐性]で耐え、宣言する。
私はあなたの手駒じゃない。
鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する。

ドローンを展開、全周囲を[撮影、索敵]することで
召喚される複数のオブリビオンに対応。
[瞬間思考力、戦闘演算、空中機動]で回避し[レーザー射撃]で迎撃。
さらに[推力移動]でプセウドテイに接近して
【決戦武装、解放】、大型フォースブレイドを[武器巨大化]させて全力で[なぎ払い]。
人らしく生きるために。あなたをここで討つ。



「人造天使を従えるは中枢たる機械仕掛けの神。もっともらしい上下関係ね」
 こいつがボスなら部下が天使だったのも納得ではあると、イクシアは『プセウドテイ』を見る。メガコーポが修復・再起動させた偽りの神は、洗脳作用のある電脳波により人々を支配し、労働力だけでなく信仰心までも搾取してきた。
『汝も我に従うがよい。労働こそが汝等の贖罪となる』
 プセウドテイは猟兵達にも服従を求め、さも己が絶対の神であるかのように振る舞う。しかし電脳波に襲われても、イクシアは信仰よりも深く想うもの――愛する人の姿と言葉を心に浮かべ、狂気と邪心に落ち着いて耐え、宣言する。

「私はあなたの手駒じゃない。鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する」
『愚かな。人形風情が我に歯向かうか!』
 毅然とした拒絶にプセウドテイは怒りを示し、これまで集めた信仰心を代償に12体のオブリビオンを召喚する。その姿はどれも人造天使のような「神の使い」を模しており、不届きな「異教徒」に神罰を下さんと剣や槍などを構える。
「信じるほどに、滅びは深まる」
「滅びるのはあなたの方よ」
 イクシアも強行索敵型デコイドローン展開、全周囲を撮影・索敵することで複数のオブリビオンの動きに対応する。
 ボス直属の親衛隊とも言える奴らの戦闘力は、人造天使やザナドゥ・ヴァルキリーより上かもしれない。だが、ここまで来て臆するはずがなかった。

「スラスター出力全開。目標をロックオン」
 イクシアは「|加速する景象《パーソナルタイム・アクセラレーター》」で思考加速と反射神経の効率化を行い、反射速度の向上とサイキックスラスターの機動力を活かして四方八方から迫る天使型オブリビオンの攻撃を回避し、アームドフォートのレーザー射撃で迎撃していく。
「がはぁっ?!」「ぷ、プセウドテイ様……!」
 一太刀も浴びせられずに撃墜されていくオブリビオンの群れ。12体のうち半数を退けると、イクシアはさらにスラスターの推力を上げ、全速力でプセウドテイに接近する。意志の力を翼に変える、彼女を止めることは誰にもできない。

「……リミッター解除。決戦武装、ファイナル・モード」
 目標を目前に捉えれば、イクシアは【決戦武装、解放】を発動。大型フォースブレイドを決戦形態に変形させ、威力と射程を3倍に増幅する。膨大なサイキックエナジーにより構成された巨大な光の刃が、驚愕する偽神の前で振りかぶられ――。
「人らしく生きるために。あなたをここで討つ」
『や、やめろ―――!!!!!!』
 制止の声も虚しく、全力で振るわれた最終武装の一閃は、残りのオブリビオンもろともプセウドテイを薙ぎ払った。
 眩き翡翠色の斬撃は中枢フロアの端まで到達し、裂けた壁の向こうから光が覗く。それは機械仕掛けの神からの解放を示すように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
なんで最後は禿たオッサン顔なんだよ美少女になれよ!

イイ感じに美少女だらけだったのにガッカリでござる!何とかせにゃだぜ!
この粗大ごみ野郎をどうすればよい?頭を書き換えて所作を美少女っぽくすれば多少マシになるか…?|気合を入れて《耐久力やら色々上げて》近づきつつ強引にハッキングでござる!君の心に今すぐアクセスッ!

全然ダメだわガワがキモすぎて全て台なしでござる
なんてこったこれが兵器... 何も生み出すことのできない悲しい存在…二度と人の役に立ちたいなんて思い上がるんじゃねえ

こんな産廃爆破してやる!頭の隙間から手榴弾をシューッ!
書換えでフィギュア量産職人に仕立ててもよかったかもなァ…まあええかこんな奴



「なんで最後は禿たオッサン顔なんだよ美少女になれよ!」
 最初はザナドゥ・ヴァルキリー、工場では人造天使。見た目は可愛い女の子オブリビオンとの遭遇が続き、ここまで相当好き放題しながら依頼をこなしてきたエドゥアルト。そして満を持して出てきた敵の大ボスに、彼は落胆と失望を隠そうともしなかった。
「イイ感じに美少女だらけだったのにガッカリでござる! 何とかせにゃだぜ!」
『欲望に塗れた愚かな人間め。悔い改めるがいい』
 管理者『プセウドテイ』は偉そうに言っているが、色気もクソもないメカヘッドが何を喋ったところでエドゥアルトの琴線にはまったく触れない。むしろコイツがあの美少女たちを配下に従えていたと思うと、余計にムカついてきた。

「この粗大ごみ野郎をどうすればよい? 頭を書き換えて所作を美少女っぽくすれば多少マシになるか……?」
 モチベーションを保つためになんとか気合を入れて、プセウドテイに接近するエドゥアルト。強引にハッキングを仕掛ける気のようだが、当然敵も簡単にアクセスを許さないだろう。他人の頭を書き換えるのは奴の得意分野でもある。
「積まれし祈念、今ぞ裁きと化す」
 労働者たちから集めた偽りの祈りのエネルギーが、空間を歪めて骸の海を降らせる。生身の人間では長くは耐えられない、高濃度の汚染物質の雨だ。洗脳した信者の信仰心を力に変換するユーベルコードは、まさしく邪神めいていた。

「君の心に今すぐアクセスッ!」
 しかし【ひとりぽっちのドリームチーム】を発動したエドゥアルトの身体は、サイボーグ化された人間の耐久力を越えていた。骸の雨を浴びても平然とプセウドテイに近付き、有線で繋がれるほどの至近距離からハッキングを試みる。
『ぐ……な、なんだ……ちょっと、なにするのよ!』
 電脳防壁を突破したエドゥアルトの不正アクセスは、プセウドテイの言語プロトコルやモーションデータに介入し、美少女チックな仕草や言葉遣いを強要する。ユーベルコードによりハッキング技能も強化されているからこそ可能な、無駄に凝った所業である。

『もう、やめてよね! フザけた事をしてないで、さっさと元に戻しなさい!』
「全然ダメだわガワがキモすぎて全て台なしでござる」
 言動だけはちょっと高慢な女の子らしくなったプセウドテイだが、いくらハッキングでも見た目は弄りようがない。
 目を閉じていれば美少女でも、やってるのが女子力以前の存在では、むしろギャップで薄気味悪さが増しただけだ。
「なんてこったこれが兵器……何も生み出すことのできない悲しい存在……二度と人の役に立ちたいなんて思い上がるんじゃねえ」
 自分でやったクセに勝手に失望して勝手に憐れんで勝手にキレるエドゥアルト。美少女になれないなら用はないと、「芋煮ハンドグレネード」のピンを抜き、敵の頭部の隙間めがけてシューッと投擲。フザけているようにしか見えないのに、狙いは絶対に外さない。

「こんな産廃爆破してやる!」
『きゃああぁぁーーっ!!!?』
 ほのかに匂う芋煮臭と共に、爆音と衝撃が戦場に轟く。内部に直接ダメージを受けたプセウドテイは、甲高い悲鳴を上げてフラフラとよろめく。よっぽどハッキングの影響が強かったのか、美少女的な仕草が抜けきっていないようだ。
「書換えでフィギュア量産職人に仕立ててもよかったかもなァ……まあええかこんな奴」
 あのヴァルキリーや天使のような物をひたすら作り続ける機械としてなら生かしておいても良かったかもしれない、と一瞬考えたエドゥアルトだったが、次の瞬間にはもう完全に興味を失ったようで。さっさとクズ鉄に戻れとばかりに手榴弾のおかわりを投げ込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
なるほど……神を自称するから天使を作ってたのか……形から入るタイプなのかな?
人工的に神や信仰を作って利用するのは如何にも末法な世界と言った手法だね……逆説的に「神」を倒してしまえば御破算になるわけだけど……

……【起動:応用術式『星符』】から【汝、意のままに動く事能わず】を発動…
…電脳波の狙いを改竄して当たらないようにするよ…
…これで時間を稼いでいる間に遅発連動術式【クロノス】を使って重奏強化術式【エコー】を多重発動……
…威力を強化した雷撃の術式でプセウドテイに攻撃を仕掛けるとしようか…




「なるほど……神を自称するから天使を作ってたのか……形から入るタイプなのかな?」
 人造の天使を従える機械仕掛けの神。ありきたりな構図ではあるが、こういう形式は宗教において侮れない影響力を持つ。昔から神像や宗教画が布教に利用されてきたように、ビジュアル的な説得力は一般人の洗脳にも大いに役立ったに違いない。
「人工的に神や信仰を作って利用するのは如何にも末法な世界と言った手法だね……逆説的に『神』を倒してしまえば御破算になるわけだけど……」
 地下工場の運営も労働者の管理も、全て『プセウドテイ』の存在ありきの支配構造になっているなら、やるべき事は明快だ。神の死をもって人々を洗脳から解き放つべく、メンカルは黎明剣【アウローラ】を片手に術式を紡ぎ始める。

『我が与えるは、福音か災厄か。汝、我に従うべし』
 厳かな調子でプセウドテイが命じると、巨大な頭部から電脳波が放射される。人々から生命力と正気を奪い、盲目的な信者へと洗脳してきたのは、まさにこのユーベルコードによるものだ。無論、その効果は一般人だけでなく猟兵にも通じる。
「……【汝、意のままに動く事能わず】」
 攻撃を受ける前にメンカルは空いていた片手で1枚のカードを取り出し、術式名を宣言。すると圧縮封印されていたユーベルコードが瞬時に発動し、プセウドテイのモーションが改竄される。突如発生した照準システムの異常により、電脳波は誰もいない方向に飛んでいった。

『この我をハッキングしただと……不届きな!』
 単純に敵の攻撃を予測して避けるのではなく、予測通りに"敵を動かして"隙を作る現実改竄術式。それがメンカルの【汝、意のままに動く事能わず】だ。怒ったプセウドテイは再度電脳波を放つが、カラクリを理解した上で対処しなければ、何度やっても当たりはしない。
「紡がれし迅雷よ、連なり、重なれ」
 これで時間を稼いでいる間に、メンカルは雷撃の術式を詠唱。遅発連動術式【クロノス】で起動を遅らせていた重奏強化術式【エコー】を同じタイミングで多重発動させ、指数関数的に威力を強化する。【起動:応用術式『星符』】でユーベルコードをカード化していた事といい、ここに来る前から彼女は決戦の準備を整えていたのだ。

「……そろそろ仕掛けるとしようか……」
 全ての術式展開が完了したところで、メンカルは黎明剣の切っ先を敵に突きつける。濃紺の刀身を持つ術式制御用の長剣は、使い手の魔力に応じて色彩を変化させ、夜明けの如き東雲色を経て白色に輝き――鮮烈なる稲妻を迸らせる。
「機械仕掛けの神が雷に打たれて滅ぶ……形を重視するタイプにはお似合いの最期じゃないかな……」
『が、あぁぁぁぁァァッ!!!!!?!』
 何重にも増幅された凄まじい規模の電圧は、プセウドテイの躯体を貫き、電脳の芯まで焼き焦がす。
 その絶叫にもはや神としての威厳など微塵も感じ取れはしなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

「人造天使の次はコレか」
名前から偽神と明記されてるのに
人間が操られて奴隷化されるのは激烈に強いからだ
「この手の位階、オカルト系で見た事あるけど」
序列一位の悪魔の名前

此処が全部機械化されても結局
人間への精神干渉が一番重要って判るけど
「悪辣にも程ある」
斟酌なく壊すのが正しい
ナンバリング残八体が居ないのも幸いだね

「倒産させてやろう」
何時も通り陸井と武器を合わせ挑むよ

適当な言葉紡いでるけどどうせプログラムの産物
「俺達には通じないよ」

本物だって今まで星の数も見て来たし
俺たちは八百万の神がいる所の出
「偽神なんかの言葉に惑わされないから」
勿論喰われないよう全ての防御系技能は励起

「光使でいく!」
真の姿を開放し錫杖で真っ直ぐ偽神を指し示そう
「陸井!発動に併せてくれ!」

この技は発動したら止められない
時間は掛かるけど…その時間分相棒を護れる

「覚悟!」
縦横無尽に避け刺突し庇い陸井の盾となろう

時が来れば降り注ぐ光使と陸井の龍が
前時代の遺物を瓦礫に埋める

「さ、あの子拾って残りも解放だ!」


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

「片っ端から模造品って事だな」
機械仕掛けの天使に聖域に神
挙句の果てに強力な洗脳だからな
「あぁ、成程」
相棒の言葉にもしっくりくる
やってる事も含めて
こいつは神じゃなく悪魔だ

しかも自分のエネルギーにする為
人を信仰って名前の精神干渉で縛って
家畜同様に扱うんだからな
「最悪のシステムだ」
だけど序列一位っていうなら
こいつを倒せば終わりだからな

「ぶっ潰してやろう、だな」
時人と武器を合わせて前へ出る

「お前にする贖罪なんか俺達には無い」
これはきっと相棒も同じ事を考えてる
こんなのよりも強大で巨大で
本当に神としか言えない物にも相対してきた
こんな所で電脳波に屈する事はないから
「お前なんかに、折れる心はないよ」

「分かった!」
相棒の言葉に頷いて返しながら
準備する技を見て、俺も決める
「合わせていく、相棒」

時人が俺の身を護ってくれる間
俺は宙に大きく、四つの龍が繋ぐ死の文字を描き
光使が降り注ぐのに合わせて装填してから放つ

只の鉄屑に屠った後は残りの人達を助けよう
「全員助けて、それで勝利、だもんな」



「人造天使の次はコレか」
「片っ端から模造品って事だな」
 警備を突破した時人と陸井が、中枢区画にて対峙したのは古代兵器『プセウドテイ』。強烈な洗脳能力で労働者たちに己を「神」と錯覚させ、メガコーポ地下工場の支配体制を管理してきた元凶だ。こいつを破壊しない限り、地獄から人々が解放されることはない。
「この手の位階、オカルト系で見た事あるけど」
 時人が思いだしたのは西洋のオカルティストの文献に登場する悪魔の階級。その序列一位にあたるプセウドテイとは「偽神」を意味するという。それを聞いた陸井は「あぁ、成程」と、しっくりきた様子で目の前の機械頭を見上げた。

「機械仕掛けの天使に聖域に神、挙句の果てに強力な洗脳だからな。やってる事も含めて、こいつは神じゃなく悪魔だ」
 命名者もなかなか皮肉だが的確な名を付けたものだ。そんな悪魔の如き機械が今日まで誰も破壊できず、人間が操られて奴隷化されるのは、プセウドテイ自体が激烈に強いからだ。こいつは自分のエネルギーにするために人を信仰という名の精神干渉で縛りつけ、家畜同様に扱ってきた。
「最悪のシステムだ」
「悪辣にも程ある」
 ここサイバーザナドゥでは人間の肉体を含めた全てを機械化するのが当たり前になっているが、唯一機械化できない領域――人間の精神への干渉が結局は一番重要だと判る。だからこそ不快極まりないと、陸井も時人も顔をしかめた。

「だけど序列一位っていうなら、こいつを倒せば終わりだからな」
「斟酌なく壊すのが正しい。ナンバリング残八体が居ないのも幸いだね」
 悪魔の階級にはプセウドテイを含めて九階級が存在するが、他の八階級に該当する古代兵器は今のところ確認されていない。そもそも製造されなかったのか、メガコーポが発掘・修復できたのがこいつだけだったのか、真相は定かではないが、どちらにせよ好都合。
「倒産させてやろう」
「ぶっ潰してやろう、だな」
 時人が差し出した錫杖に陸井がガンナイフを合わせ、キンッと金属音を鳴らし前へ出る。いつも通りのやり取りに、息のぴったり合う相棒。この2人が揃えば偽神如きに負けるはずがないと、安心感さえ覚えるほどの阿吽の呼吸だった。

『悔い改め、我に跪け』
 不遜にも神の前に立った侵入者どもに、プセウドテイは電脳波を浴びせる。まるで本物の神のように適当な言葉を紡いでいるが、所詮それはプログラムの産物に過ぎない。反抗的な労働者が現れるたびに、こうやって洗脳を施してきたのだろうが――。
「俺達には通じないよ」
「お前にする贖罪なんか俺達には無い」
 時人も陸井も考えている事は同じだった。八百万の神がおわす処の出である彼らは、本物の神を星の数ほど見てきたし、こんな物よりも遥かに強大で巨大な存在にも相対してきた。様々な経験を通じて鍛えられた彼らの精神は、こんな所で電脳波などに屈することはない。

「偽神なんかの言葉に惑わされないから」
「お前なんかに、折れる心はないよ」
『愚かな……積まれし祈念、今ぞ裁きと化す。信じるほどに、滅びは深まる』
 2人の強固な精神防御技能を突破できなかったプセウドテイは、ユーベルコードによる実力行使に出る。搾取した祈りのエネルギーが生みだす空間の歪みから、降り注ぐのは骸の雨。汚染された戦場に12体のオブリビオンが召喚された。
「光使でいく!」
 対して時人はオーバーロードにより真の姿を開放し、錫杖で真っ直ぐ偽神を指し示す。オブリビオンの源泉たる骸の海が降り続ける限り、ヤツは連続攻撃能力と超再生能力を得る。小刻みにダメージを与えても回復されてしまうなら、強力な大技で一気に破壊する――彼の作戦を即座に理解し、陸井も「分かった!」と頷きを返した。

「陸井! 発動に併せてくれ!」
「合わせていく、相棒」
 時人が準備する技を見て、陸井も使用するユーベルコードを決めた。矢立から愛用の筆を取り出して、空中に文字を描き始める。書道使いである彼の書き記す戦文字は、画数に応じて威力を増す一方で、書き上げるのに時間がかかるリスクもあった。
『やらせると思うてか』
 無論、準備が整うまで待ってやるほどプセウドテイは寛大ではない。電脳波で指示を受けたオブリビオンの群れが、骸の雨を浴びながら猟兵たちに襲いかかる。これまで労働者から集めた信仰心を惜しみなく使って喚び出した、精鋭中の精鋭だ。

「覚悟!」
 迫りくるオブリビオンの攻撃を時人は縦横無尽に避け、錫杖の先で刺突を食らわせ、執筆中の陸井を庇う盾となる。
 彼のユーベルコードも一度使用すれば中断できず、効果が発揮されるまでタイムラグがある。現在のレベルだと3分弱といったところか。
(時間は掛かるけど……その時間分相棒を護れる)
 時人は準備時間中でも自由に動けるが、陸井は書くことに専念する必要がある。ゆえに時人ひとりだけで敵の攻撃に耐える必要があるが、むしろ彼はその役割を誇らしげに担っていた。学生時代から彼らはずっと、護るための戦いを続けてきたのだから。

「よし……もう一息だ」
 時人が身を護ってくれる間、陸井は宙に大きく四つの龍が繋ぐ死の文字を描く。一撃必殺の威力を実現できるよう、とめ、はね、はらいにも気を遣って丁寧に。ここまで彼が書道に集中できるのも、相棒を深く信じているからこそだ。
「できたぞ、相棒」
「よし! 光使となりて来い! ククルカン!」
 完成した【戦文字「死龍葬弾」】をガンナイフに装填する陸井。同時に時人のユーベルコードも発動の時が訪れる。
 其は【天より来る百億の光使】。骸の雨を燦然たる光で切り裂いて、擬似的に翼人化した白燐蟲の軍団が降臨する。

「これで終わりだ!」
「さぁ……受けてみな」
 降り注ぐ光の御使いは時人が錫杖で指し示した先――プセウドテイへと殺到し、光の剣と魔法で総攻撃を仕掛ける。
 合わせて陸井も『護身』のトリガーを引き絞れば、戦文字の力を凝縮した弾丸が、漆黒の龍と化して撃ち出される。
『ば、馬鹿な……!』
 射線上にいたオブリビオンたちが、抵抗すらできずに消し飛んでいく。プセウドテイとて許された猶予は絶望のみ。
 百億の光と死龍葬弾。不撓不屈の『護』の意志を体現した渾身のユーベルコードが、前時代の遺物を瓦礫に埋める。

『祈りが……聞こえぬ……何故だ……我は……神……』
 信者や眷属を欺く為の妄言を、いつしか己自身でも信じ込んでいたのか。機械仕掛けの偽神はただの鉄くずと化す。
 同時に中枢区画のシステムがシャットダウンされ、全ての機械が稼動停止する。それを見た時人と陸井は笑顔でハイタッチし。
「さ、あの子拾って残りも解放だ!」
「全員助けて、それで勝利、だもんな」
 外で待っている脱走者も、まだ工場にいる労働者も。ここで働かされていた全ての人間に、地獄の終わりを伝える。
 ひとりの取りこぼしもないように、彼らは工場中を隅々まで調べ尽くし、残された人たちを救い出していった――。



 かくして、ひとりの脱走者から始まった事件は終結する。
 巧妙に隠されてきたメガコーポの違法労働施設は完全に破壊され、罪なき労働者は地獄から解放されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年11月22日


挿絵イラスト