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Soulless Annihirator(仮

#クロムキャバリア #【Q】 #殲滅回路 #『シュウェリン』 #第三章のプレイング、一時受付停止します。申し訳ありません。 #12/15~12/23まで入院になってしまいました。 #リプレイ、間に合いませんでしたらごめんなさい。 #再送していただけるならとても嬉しいです。

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#【Q】
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#殲滅回路
#『シュウェリン』
#第三章のプレイング、一時受付停止します。申し訳ありません。
#12/15~12/23まで入院になってしまいました。
#リプレイ、間に合いませんでしたらごめんなさい。
#再送していただけるならとても嬉しいです。


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「司令官代理、迎撃隊帰還しました」
 その言葉に司令官代理と呼ばれた男――ランツ中佐が顔を上げると、軍服の襟に中尉の階級章をつけた男が、ファイルを抱えながら敬礼していた。
「ミッドウェル中尉、今回はどうだった?」
 ランツ中佐にミッドウェルと呼ばれた男は敬礼を解くと、ファイルを広げて報告を始める。
「機械化部隊は出動した戦車、装甲車が全車大破。キャバリアは小破3、中破2、大破2。ただ人員の被害はでていません」
「またか……」
 ランツ中佐がため息とともに言葉を吐き出した。
 所属不明のキャバリアが第三基地を襲撃するようになって2週間経つ。その間、不明機は3日おきに基地に攻撃をしかけてきていた。今日の戦闘で5回目の迎撃になる。
 その間第三基地が受けた被害は甚大だった。迎撃に出た戦車・装甲車は軒並み潰され、キャバリアも削られるばかりだ。
 しかし不思議なことに人的被害は一切出ていない。けが人はいても戦死者はでていないのだ。
「中尉、残りの稼働戦力は?」
「人的被害は出ていませんし、機械化部隊のほうにはまだ多少の余裕がありますが……キャバリア部隊が問題かと。現在稼働4機です」
「4機か……」
 予備機も含めれば15機あったキャバリアも残り4機。次の襲撃が3日後とすれば、修理を急がせても6~7機動ければ良い方だろう。
「補給は?」
「いまだ返答ありません」
 その返答にランツ中佐が再び大きく息を吐いた。

 予想はしていた。
 第三基地は先日の捕虜交換事件でクーデター未遂を起こした基地だ。『シュウェリン』本国としてはまだ不安を払拭できていないのだろう。余計な力をつけさせたくないのは当然のことだ。
 ――無論、嫌がらせの側面も大いにあると思うが――。
 しかしその言葉は音にせず、ランツ中佐は今日三回目のため息を吐いたのだった。

● 
「第三基地が、そんなことになっているんだよね」
 現状を話し終えた理緒が、集まってくれた猟兵たちに困った顔を見せた。
「予知に引っかかったし、この不明機がオブリビオンマシンであることは確定なんだけど……」
 理緒が言葉を濁す。
 予知できたのは、オブリビオンマシンが第三基地を襲い続け、このままでは基地が潰滅するということだった。
 それは確かに問題なのだがしかし、その狙いが解らなかった。
 『シュウェリン』と『リーゼン』はすでに戦争状態にある。しかも第三基地は前回の作戦で標的にされ『シュウェリン』政府にマークされている。

 そんな第三基地をいまさら潰滅させてどうするのか。

 以前の作戦は第三基地を橋頭堡に『シュウェリン』を攻略するつもりだったのだろうが、今回は明確に『基地を潰滅する』と予知できている。
 つまり『シュウェリンが制圧される』という予知ではないのだ。
 しかも現時点で人員的被害は出ていないものの第三基地は大幅に戦力を削られており、まともに戦える力は残っていない。いまさら潰滅させる理由が解らなかった。
 けれどこのままでは第三基地の全員がオブリビオンマシンの犠牲になってしまうことは確かなことで、それは阻止しなければならない。

 敵の本当の狙いが解らないままみんなを送り出すのは心苦しい、と理緒が告げ、
「それとね……」
 さらに言いにくそうに言葉を紡ぐ。
「この作戦『シュウェリン』政府には未公認なんだ」
 今回は『シュウェリン』政府から依頼を受けたわけではない。
 いや、猟兵への依頼どころか『シュウェリン』政府は第三基地への援軍を渋っているように思える。それは、
「クーデター未遂の件もあって、『シュウェリン』政府の中でも第三基地の扱いで意見が割れてるからなんだよね」
 未遂とはいえクーデターを起こそうとした基地の戦力を増やしたくない。
 それは国の上層部としてはごくごく真っ当な意見である。

 そしてこのことで問題になるのが、クロムキャバリアにおける猟兵の立場である。

 凄腕の傭兵集団。
 猟兵がそう認識されているクロムキャバリアでは、上層部からの依頼なしに猟兵が援軍に来ることはないはずなのだ。
 つまり何の連絡もなく猟兵が基地周辺に現れれば『敵』と判断される可能性が高い。
「だからまずみんなには、第三基地を説得して基地内に入って欲しいんだよ」
 第三基地周辺の地図を表示しながら理緒が言う。
「そしてそこからさらに不明機や基地の現状などの情報も手に入れられたら、今後がちょっぴり有利になる……可能性もある、かも?」
 み、みんなならできるよね!
 最後はちょっと笑顔になって理緒はそう告げると、タブレットを操作してゲートを開き、猟兵たちを送り出すのだった。




第3章 ボス戦 『エクストラ』

POW   :    ソウル・イモレーション
【揺らめく光の翼】から【熱線】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD   :    レッド・エンフェーブル
【サイキックエナジー】を籠めた【両腕の短槍】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
WIZ   :    ブルー・リベレイター
【剣のような短槍】による素早い一撃を放つ。また、【背面のエネルギー噴射】等で身軽になれば、更に加速する。

イラスト:仁吉

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠薄翅・静漓です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「そうか3日目か」
 ランツ中佐がはっと気づいたように声をあげる。
 友軍に包囲されたことに気を取られ、そのことを失念していた。相手は『所属不明機』だ。こちらの事情など関係ない。
「このことが?」
 目の前にいた猟兵に声をかけようとしたが、その姿はすでに遠く、背中でひらひらと手を振っていた。
「第二遊撃隊に『対処をお願いする』か……」
『所属不明機』の目標は基本的に車両とキャバリアだ。そうなれば基地内に引っ込んでいる|第三基地《われわれ》より、屋外に布陣している|第二遊撃隊《あちら》を狙うのは当然だろう。
 そこまで考えるとランツは司令室に戻り、第三基地内の全員に命令を下した。
「司令官のランツだ。|『所属不明機』《ヤツ》が出た。目標はおそらく第二遊撃隊だろう」
 努めて落ち着かせた声が基地内に響く。 
「第三基地は『所属不明機』と第二遊撃隊が戦闘に入るまでは臨戦態勢で待機。戦闘状態を確認し次第、全力で救援に向かう!」
 クーデターの汚名はここで雪ぐ――。
「猟兵には戦闘において完全に自由な裁量権を与える。個々の判断で『所属不明機』に対処してくれて構わない」
 ランツはそう言ってから一拍おくと、
「我々では『所属不明機』に勝てない。第二遊撃隊が潰滅する前にあいつをなんとかしてほしい」
 悔しさと、それ以上の期待と信頼を込めて猟兵たちを送り出したのだった。


 第二遊撃隊のサイレンも第三基地とほぼ同時に鳴り響いていた。
「敵襲!? 第三基地か!?」
 リンデン中佐が思わず叫ぶ。しかしその疑問は天幕に転がり込むようにして入ってきた連絡兵によって解消される。
「司令官! 所属不明のキャバリアがこちらに向かって来ています!」
「所属不明だと!? まさか……」
 リンデンの頭につい先ほど見せられた映像が浮かんだ。
 凄まじいスピードと正確性で第三基地の戦力をそぎ落としている『所属不明機』
「ほんとうにいたのか」 
 映像の中のキャバリアの動きがあまりにも馬鹿げていて信じ切ることができなかったが、目の前にいる猟兵の言っていることはほんとうだったようだ。
 そうなるとこの命令――クーデター鎮圧――はなんだったのか。
「司令、指示を!」
 思考に沈みそうになるリンデンの耳に連絡兵の言葉が弾ける。
「全軍迎撃態勢。迎え撃て。わたしもすぐに行く」
 敬礼を返して天幕から駆け出ていく連絡兵を見送ってから、リンデンもすぐに準備を調えると天幕を出て行った。


 ガヅン!
 金属のひしゃげる音がしてまた一台の戦車がその動きを止めた。
 所属不明のキャバリアは、ランツ中佐の予想通り平地に布陣し基地を半包囲していた第二遊撃隊に向けて攻撃の矛先を向けていた。

「なんなんだこいつは!?」
 前線の兵士が思わず声を上げる。
 第二遊撃隊の攻撃が悪いわけではない。普通のキャバリアなら分厚い弾幕に阻まれ近づくことすら困難だっただろう。しかし『所属不明機』はその悉くを躱して陣に侵入し、攻撃直後の隙を突いて車両を潰していっていた。
 『所属不明機』はさらにキャバリアに近づくと槍を叩き込んで動きを止めつつ、遠距離から狙う戦車に対しては熱線を撃ち放ってその砲塔を吹き飛ばす。

 前線で指揮を執るべく出てきたリンデン中佐はその光景を目の当たりにして、先ほどの映像が真実であったことをあらためて思い知らされた。
 第三基地はあんなものと戦っていたのか。ではクーデターという話はなんだったのだ。
 リンデンの頭にまた先ほどの疑問がよぎった。
 しかしここはもう戦場だ。悩みは迷いは隙を生み、この状況での判断の遅れはそのまま自軍の被害に直結する。
「全軍、第三基地の包囲を解け。一時退く」
 現状奇襲を受け、いまだ蹂躙されている途中だ。無理な交戦は被害を大きくすることになるだろう。
(とはいうものの、あの敵からの撤退は容易なことではないな)
 どうやっても一定の被害は出てしまうだろう。リンデンが、ぎり、と奥歯を噛みしめた瞬間、
「司令、第三基地から連絡です!」
 通信兵が喜色を交えた声を上げた。
「『貴軍の撤退を援護する。あとは猟兵に任せて速やかに下がられたし』とのことです!」
 第三基地が――?
 クーデターの疑いをかけられ不当に貶められても、第三基地は第二遊撃隊を『友軍』として扱ってくれるという。
 リンデンは内心で最大限の感謝をしつつ、部下の前では冷静を保ち、
「よし。第三基地の部隊と連携して撤退する。あの機体は猟兵に任せろ。ここは逃げに徹する。

 『所属不明機』が横合いから現れた第三基地の部隊に気を取られた隙に、第二遊撃隊は撤退を開始した。
 どちらを喰うか。そんな逡巡をするように『所属不明機』が動きを止めたところに、猟兵たちが立ち塞がる。
 猟兵vs『所属不明機』直接対決の火蓋が切って落とされようとしていた。

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●MSより
 今回はボスとの純戦シナリオになります。
 シンプルにボスを打ち倒してください。
 ただし広域殲滅兵器・UCなどは第三基地、第二遊撃隊にも被害を及ぼす可能性があります。お気をつけくださいませ。
ファルコ・アロー
よーやくお出ましですか、今回ばかりは第三基地の連中もてめーを待ちかねてたでしょーよ。
真犯人が監視部隊の目の前に来てくれたんですからね、とりあえず疑いは晴れるってモンです。
ボクにとっても的はてめーです。
何がしてーのかは知らねーですけど、それはぶん殴ってからゆっくり聞かせてもらうとするですよ!

さて、ボクはキャバリアには乗らねーです。
前情報通りなら攻撃されずに近寄れそーですね。
まぁボクの高性能さに気付いて襲って来るなら仕方ねーです、突撃してぶっ飛ばすですよ!
バリアで熱線を防ぎつつ低空を飛んで、手足に体当たりしてやるです。
パイロットが乗ってたらとっ捕まえねーとですしね、意趣返しと行くですよ!


イクシア・レイブラント
どうやら第二遊撃隊も状況を理解してくれたようね。
両軍が安心して手を取り合うためにも、まずは安全確保が必要ね。
鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する。

シールドビット展開、[護衛]のように追従させて[推力移動、滑空]で低空飛翔。
【強襲支援】で敵を妨害して[時間稼ぎ]し味方機の撤退を支援。
接近したら大型フォースブレイドを[武器巨大化]して[なぎ払い]し、
レッド・エンフェーブルは[武器受け、盾受け]で防御し、[空中機動]で回避する。

規則的な襲撃。区別なく兵器の無力化を狙う行動プロセス。
あなたはあなたで設定された役割を実行しているだけなのかもしれない。
だけど、これ以上の破壊活動はさせない。ここで討つよ。




 ガッ、ゴッッ! チュイン。
 目にもとまらぬ槍の二連撃にキャバリアが沈み、|もや《・・》から放たれた熱線が戦車をまた1台大破させた。
 もう何台の車両が潰されただろう。
 凄まじいスピードでの奇襲に第二遊撃隊の反応は一瞬遅れた。その僅かな隙が被害を広げていた。
 第三基地からの援軍は素早く撤退が進んでいるが、食い込まれた側面部隊の被害はかなりなものになっている。
 そんな現場に向けてファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は生身のまま歩みを進めていた。
 もちろん作戦だ。
 これまで聞いていた|『所属不明機』《首なしキャバリア》の動きからして、こちらはキャバリアなどに乗らない方が接近しやすいと判断したからだ。

 ファルコは一定の距離まで近づくと、大きく息を吸い込んで瞳を鮮やかに輝かせると、光り輝く戦闘機へとトランスフォームして一気に加速をかけた。
「シールド全開……最大戦速ぅ!」
 全身を包むようにシールドを展開し、その輝きに包まれた姿はまさに|光の矢《レイ・アロー》。そしてその矢は今まさに戦車を貫こうとしていた『所属不明機』の槍を弾き飛ばした。


 鳴り響いたサイレンとほぼ同時に、第三基地のハンガーからはイクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)が第二遊撃隊への援軍に出撃していた。
 鎧装を纏っているとはいえイクシアもまた生身と言っていい。そのためこちらも『所属不明機』のターゲットならず、その側まで接近することに成功していた。
 そんなイクシアの目の前で、ファルコが『所属不明機』の槍を弾いた。それを見て、
「鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する」
 イクシアも静かな宣言とともにシールドビットを展開すると、ファルコとは逆側の低空から『所属不明機』に強襲を仕掛けた。
 それに気づいた『所属不明機』が熱線を放つが、シールドビットがその悉くを受け止める。そしてさらに瞳を輝かせると、
「援護します。今のうちに撤退してください」
 凜とした声で第二遊撃隊に向けて言うと、自身はエクスターミネイターとともに『所属不明機』に対して砲撃を撃ち込んでいく。
 イクシアの援護に第二遊撃隊の撤退の速度が早まる。
 そこにファルコも加わって効果的な一撃離脱を繰り返し『所属不明機』を防戦に追い込むと、その隙に第二遊撃隊は安全圏への待避を果たした。

 撤退を確認した2人は、あらためて『所属不明機』に向かい合い――。
「よーやくお出ましですか、今回ばかりは第三基地の連中もてめーを待ちかねてたでしょーよ。」
 真犯人が監視部隊の目の前に来てくれたんですから、とりあえず疑いは晴れるってモンです。
 人型に戻ったファルコが『所属不明機』を見据えて言う。
 時間稼ぎをし、『所属不明機』の襲来を待って第二遊撃隊にぶつける。策は概ね成功した。
「どうやら第二遊撃隊も状況を理解してくれたようね」
 イクシアが撤退していく第二遊撃隊を横目に見ながら答えた。そして『所属不明機』に視線を戻し、
「両軍が安心して手を取り合うためにも、まずは安全確保が必要ね」
 剣呑に瞳を光らせた。
 するとそれに応えるように『所属不明機』のリングが真っ赤に光り、槍先がファルコとイクシアに向けられた。
「ボクにとっても的はてめーです」
 それにボクの高性能さに気付いて襲って来るなら仕方ねーです。
 突き刺さるような殺意を浴びながら、そう言いたげにファルコがにやりと笑った。
 その隣でイクシアは殺気をゆるりと受け流し、冷静な瞳で『所属不明機』を捉え続けている。
 時が止まったような緊張感が周囲を包みこみ、ぶつかり合う気が他を寄せ付けないフィールドを形作っていた。
 そんな緊張の時間がどれくらい続いたのか。

 ぴしり。

 不意に空間がひび割れたようなイメージが2人と1機の間に奔った。
 その弾けるようなイメージにファルコは瞳を輝かせると再び戦闘機型に変身して、『所属不明機』へと一直線に突っ込んだ。
「何がしてーのかは知らねーですけど、それはぶん殴ってからゆっくり聞かせてもらうとするですよ!」
 光速とも思えるような一撃を『所属不明機』は交差させた槍で受け止めた。虹色の火花が散り、軋むような力比べの末……。
 がきぃん!
 わずかに打ち勝ったのはファルコだった。
 交差させた槍が弾け、無防備になった胴体にファルコの機体の先端が迫った。
 しかし『所属不明機』も胴体を撃ち抜かれる致命傷を避けようと強引に身体を捻った。狙いをズラされたファルコは即座に敵の右腕に目標を変えると、関節を抉るように削り取って上空へと急上昇していく。
 びきり、と『所属不明機』の関節が嫌な音を立てる。

 そんな一瞬の交錯の後、ファルコの突撃の威力を逃がしきれず体勢を崩した『所属不明機』にイクシアが追い打ちをかけた。
 動きの鈍くなった右腕に狙いを定めたイクシアが大型フォースブレードを振りかぶると、その身に纏っていた煌めきが刃に集まり、サイキックエナジーの刃がさらに大きさを増していく。
 攻撃に気づいた『所属不明機』も、両腕の槍にサイキックの光を輝かせながら迎撃を図った、が。右腕の動きがわずかに遅れた。
 そのわずかな隙をイクシアは見逃さず、左右の連携が崩れた槍の間に飛び込んでいく。
 掠めるように槍を躱せば、穂先を捌いたフォースブレイドの刃がサイキックの火花を散らし、槍を受け止めたシールドビットが自らを犠牲にしつつイクシアを護る。そして――。
 イクシア渾身の力をもってなぎ払われたフォースブレイドは、ついにその右腕、肘から先を切断した。
「あなたはあなたで設定された役割を実行しているだけなのかもしれない。だけど、これ以上の破壊活動はさせない。ここで討つよ」
 規則的な襲撃。区別なく兵器の無力化を狙う行動プロセス。そこに悪意あるプログラムの気配を感じつつイクシアは『所属不明機』にそう告げると、こちらもまた上空へと一時の離脱を図った。

 それと入れ替わるように再度ファルコが、今度は低空からの突撃をかける。2人の連携が織りなす三連撃。
 『所属不明機』の手前で超低空まで急降下しての突撃は当然察知はされているのだがイクシアの攻撃で吹き飛んだ右腕が隙となってファルコの突撃を許していた。
 それをカバーしようとしたのか放たれた背中の|もや《・・》からの熱線も、その全てがバリアで弾き返された。
「パイロットが乗ってたらとっ捕まえねーとですしね、意趣返しと行くですよ!」
 その言葉に応えるように上空に離脱していたイクシアも反転しエクスターミネーターを構えると、瞳を輝かせ、
「エクスターミネイター展開、索敵完了。強襲支援を実行する」
 静かに呟くと『所属不明機』に向けて一斉砲撃を開始した。降りそそぐ砲撃と立ちのぼる砂煙がジャミングとなって視界を塞ぐ。
 そして援護を受けたファルコの機体が、今度こそ『所属不明機』をとらえた。
 だがしかし。
 上空で合流した2人は確かな手応えを感じ、砂煙が収まった先に『所属不明機』の姿はなかった。
 眼下に残るクレーターは衝撃の強さを物語っていたが、『所属不明機』はなんとかこの場を離脱したようだった。
 そしてなんとか感知した敵機の場所には、別の猟兵が向かっている。
 2人は今の状況を判断した結果、撤退した『シュウェリン』の二部隊を援護に回ることに決め、残る猟兵にあとを託したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桐嶋・水之江
首がないわね?
デュラハンでもあるまいし
パイロットはいるのかしら?

これで第二遊撃隊も納得するしかないでしょうね
彼らは生き証人だからしっかり生還して貰わないと
もしもここで第二遊撃隊が全滅でもしたら、ますます話しが拗れるわよ?
その方が都合が良い人もいるんでしょうけれど

それじゃあ私はカナリアで行きましょうか
首無しは熱線…つまりビームを撃ってくるようだから、ビームを弾くカナリア装甲のこの機体なら危なげなく戦えるわね

引き付けるにしても、キャバリアに乗っていればあっちの方から追いかけてきてくれるでしょう

素早い敵の動きを封じるには広範囲に散る攻撃が有効ね
ホバーで逃げ回りながらメガビームキャノンの拡散モードを連射よ
槍はプラズマガントレットで防御して殴り返すわ
これで痺れてくれたらありがたいんだけれどね

何にせよ槍の間合いに入ったらチャンス到来
水之江の氷柱をしこたまぶち込んであげるわ
この距離でこの数、しかも誘導性有
躱せるかしら?

氷漬けにしたら私達の勝ちよ
後は煮るなり焼くなり…コクピットを調べるなりお好きにどうぞ




 自らの愛機の一機である【カナリア】が土煙を巻き上げ、大地を滑るように移動していた。
 そのコックピットでは桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)が吹き飛ばされてきた『所属不明機』から目を離さずに、第二遊撃隊へ向けて、
「これで第二遊撃隊も納得するしかないでしょうね」
 そう言ってくすりと微笑んだ。そして。
 それに彼らは生き証人だからしっかり生還して貰わないと。そう小さく呟いたあと、
(もしもここで第二遊撃隊が全滅でもしたら、ますます話が拗れるわよね ……その方が都合が良い人もいるんでしょうけれど)
 心の中でため息をつきながら、こんどこそしっかりと『所属不明機』を見据えた。
(首がないわね? デュラハンでもあるまいし)
 その見た目に軽い興味を惹かれながら、水之江は、
(パイロットはいるのかしら?)
 と思った。
 水之江から見て『所属不明機』の動きはあきらかに不自然だった。
 防御よりも回避を優先し、攻撃は高速での一撃離脱戦法。戦術としてこれは解る。
 それに首がないからパイロットがいない。などと言うつもりもない。ただ……。
(明らかに人の領域を超えているのよね)
 動きが早すぎるのだ。
 水之江がどう計算しても、あの動きでは中のパイロットが耐えられるとは思えなかったのだ。
 しかも目の前でこちらに向き直る『所属不明機』は、そこそこにダメージを負ってはいるようだが、戦意、いや殺意に衰えは見えなかった。
 ふつうならあれだけのダメージを負えば動きにも変化が出てくるものだ。
 しかし『所属不明機』にそんな素振りはない。何ごともなかったように――実際にはダメージの影響はあるのに――こちらへと槍を向け、戦闘態勢を取っている。

 水之江に向けられていたその槍先が動くよりも先に、背中の|もや《・・》が揺らめくと、そこから放たれた熱線が水之江とカナリアを襲う。
 しかし水之江はそれに対して、なんの反応も起こさなかった。
 戦車を一撃で屠る熱線を前にしても、紫の瞳にはなんの動揺もない。そして。
 カナリアの機体に直撃した熱線が弾けるように霧散した。
「そんなもので……」
 言いかけた水之江が言葉を飲む。
 ボディに僅かだが焦げのような傷がついていたのだ。
「ゴールド・オリハルコニウムの装甲に傷が……!」
 実体弾以外のエネルギー伝達を遮断するはずの桐嶋技研のゴールド・オリハルコニウムに熱線で傷を付けた。
 これだけでも相手の攻撃力の凄まじさは窺える。
「少し舐めていたかしらね?」
 水之江はそう呟くと、相手から距離を取るようにカナリアを下がらせる。
 当然作戦だった、退くわけではない。車両を追いかけるという相手キャバリアの特性を利用したのだ。
 敵は当然のように開いたカナリアとの距離を埋めようと真っ直ぐにこちらに向かってくる。
 もう第二遊撃隊には興味がない。そう言いたげな動きでカナリアに迫ってきたのだ。
 その勢いをいなすように水之江は脚部のホバーを噴かしてカナリアを全力で後退させる。
 相手キャバリアは引き付けるまでもなく、カナリアに乗っている水之江を追いかけてきてくれた。
 一瞬開いた距離に水之江の瞳が獰猛な光を放った。
 距離は十分――。
 水之江はカナリア両肩部のメガビームキャノンを素早く拡散モードにセットすると、角度を変えて立て続けに3回引き金を引くと、放たれたビームが細かな拡散粒子の壁となって『所属不明機』に襲いかかった。
 いくら高速を売りにしている機体とはいえ、自分を中心に放たれた面での攻撃を躱しきることは不可能だ。 
 だからこそ水之江は第二遊撃隊を巻き込まないよう距離を十分にとってからの三連斉射を選んだのだ。

 しかしそれでも『所属不明機』は怯まない。
 所詮散弾――。
 そういうように機体がさらに前進し、槍を構えてカナリアに襲いかかってくる。
 しかしその動きも水之江は読んでいた。
 ペダルを一段踏み込み、|操縦桿《スティック》を急激に倒す。カナリアが横に滑るように動きながら『所属不明機』の槍を【プラズマガントレット】で受け止めた。カナリア装甲が火花を上げながら槍の穂先を流す。
 そして『所属不明機』の攻撃が伸びきったところを狙い、槍の横腹をめがけて水之江がガントレットの拳を打ち込んだ。
 槍を粉砕する勢いで打ち込まれた一撃を『所属不明機』はなんとか受け止めたが、激突した拳から放たれた高圧電流が『所属不明機』を包み込んだ。
 さらに物理的な衝撃を伴った強烈なスパークが拳と槍の間に発生し、2機を弾き飛ばす。

 攻撃をしかけたカナリアのモニターにガントレットへのダメージが表示されていく。
 高圧電流からのバックラッシュだけではない。やはりあの槍にはなにか特殊な強化が施されているようだ。
 そしてなにより。
 ダメージからの回復が早い。
 攻撃を仕掛けた側のカナリアですら、いまだダメージコントロールが済んでいないというのに、『所属不明機』は全身から煙を立ちのぼらせながらももう戦闘態勢に入っている。
(あの機体、やっぱり……)
 水之江の仮説が正しさを増してきた、そんな気がした。
 あれだけの高圧電流を受けて、この速度で立ち直れる人がいるだろうか。答えは否だ。
 機体自体は保っても、中の人が保たないだろう。少なくとも水之江の知る限りではそんな人間はいない。

 しかし水之江はその仮説を頭の中で紡ぎきることができなかった。その理由はもちろん『所属不明機』が攻撃を仕掛けてきたからだ。
「考えてる場合じゃないわね」
 相手の槍は確かに速い。しかし猟兵たちの武器捌きに比べればリズムが単調だ。スピードだけなら捌くことは不可能ではない。
 近距離で放たれた三連突きを、一段目と二段目をガントレットで弾き、多少スピードの落ちた三段目はカナリアの上体を捻り装甲から火花を散らしながら躱すと、水之江は機体をさらに前に踏み出させた。 
「この距離でこの数、しかも誘導性有。躱せるかしら?」
 紫の瞳がアメジストの輝きを放つ。
 それと同時に数百本の氷柱が2機を囲むように宙に出現すると、『所属不明機』へ向けて撃ち込まれた。
 察知した『所属不明機』が後方に飛んでその場を離れるが、|水之江の氷柱《ミズノエアイシクル》はそれに合わせて軌道を変えると、着地した機体へと殺到していった。

 氷煙が収まったあとにはきらきらと輝く首なし氷像ができあがっていた。
 水之江はカナリアを『所属不明機』にゆっくり近づけると、
「氷漬けにしたら私達の勝ちね。後は煮るなり焼くなり……コクピットを調べるなり、わたしの好きにさせてもらうわ」
 勝者の特権よね。水之江の興味はすでに機体の解体へと向いていた。しかし。

 びしり。

 嫌な音が水之江の耳が捉えた。
 次の瞬間、噴き上がった水蒸気が周囲を包む。
 水之江は飛ぶようにカナリアを後退させると、すぐに周囲をスキャンしたが……。
 水蒸気による熱と霧がジャミングとなって機器の目と耳を潰していた。これでは追跡もできない。
 そしてようやく収まったその後には、砕け散った無数の破片が残されているばかりだった。

 しかしそんな中。水之江の興味をひいた欠片があった。
 装甲など機械的な破片に混ざって、明らかに生体系の部品――切れ端といってもいい――がひとつ。
「これは……」
 ますます嫌な予感、というか気に食わない予感を覚えつつ、破片を採取すると、水之江はカナリアのコックピットへと戻っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​