「人肌恋しい時に最適! ホットワイフのご紹介です」
精巧なスタイル抜群の美女を模ったこのメガリスは五段階に温度調節ができ、抱きしめた人物を温めてくれるのだという。
「だから一体なんなんですヨ!」
ぶちぎれたきわどい姿のコンキスタドールが音読したメガリスの解説書らしきモノを地面に投げうったのはこの直後である。
「カルロス様のメガリスが隠されているって言うから探しに来たのにどういうことですヨ!」
有用なメガリスがあると思って苦労して探した結果見つかったのがこれでは激怒も無理はないのか。
「しかも肌の質感とかおっぱいの柔らかさとか無駄にリアルに作ってるとこがまた腹立つですヨ! こっちはこれからこの厄介な霧の中を脱出しないといけないのに!」
ぐぬぬと呻くコンキスタドールの周囲を取り巻くのは立ち込める霧。そのあちこちにうっすらと人影が浮かび上がっていた。
「という訳で、グリードオーシャンの世界での大きな戦いもずいぶん前のことになるんですが」
その舞台の一つであった終の王笏島には七大海嘯『王笏』カルロス・グリードが沢山のメガリスを隠し保有しており、フェリクス・フォルクエイン(人間の天馬聖騎士・f00171)によるとその一つが近々斬頭であるコンキスタドールの手によって回収されてしまうことがわかったのだとか。
「見つかったメガリスは効果も微妙なんですけどね」
だからと言ってコンキスタドールの手に渡していいという訳でもない。
「現地は幻を見せる霧が立ち込めていて、人影の幻をあちこちに見せる上に視界も悪い様です」
だが、メガリスをコンキスタドールに持ち帰らせぬ為にはまず霧の中を移動し、既にメガリスを確保しているであろうコンキスタドールを発見、捕捉しなくてはならない。
「接触すれば戦闘になるのは当然ですが、このコンキスタドールこと貶める者は手にした斬りつけた相手の姿を模倣するメガリスとは別にこの島で確保したメガリスを用い、自身の使うユーベルコードとは別にもう一つ、レプリカクラフトのユーベルコードを使ってきます」
メガリスがやたら精工であるからなのかは定かでないが、幻惑を見せる霧の中で精巧な偽物を作られるのは場合によっては厄介かもしれない。
「とは言え、メガリスをお持ち帰りさせるわけにもいきませんからね」
回収宜しくお願いしますと頭を下げたフェリクスは転送の準備を始めるのだった。
聖山 葵
涼しい日も増えてきましたね。
そういう訳かは不明ですが、今回は『終の王笏島』に保管されコンキスタドールの手に渡ったメガリスを確保していただくお話となっております。
ちなみに代償はありません。その分効果の方がアレなことでバランスとっております。
尚、希望すれば獲得したメガリスは旅団へ持ち帰ることが出来ます。メガリスを希望の場合、二章のプレイング内に希望する旨をご記載ください。(確保できるのは二章ラストになるため)
ただし、メガリスは一つ、希望者が複数の場合、ダイスで決定させていただきます。
では、ご参加お待ちしておりますね。
第1章 冒険
『幻惑の海霧』
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POW : 幻を心の強さで打ち破る
SPD : 霧を振り払い突破する
WIZ : 心を静めて幻惑を破る
イラスト:砂域
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
カルロスさんが、このメガリスを発見した際の反応が知りたい様な?
とは言え、参りましょう。
『FLS』で全『祭器』を召喚、『FTS』から「アイマスク」を取出し着用しまして。
【綰閒】を発動、全『祭器』を体内に納め、全機能を身体能力として使える状態にしますねぇ。
視覚中心の幻覚であれば、自身の視界を塞いでしまえば影響は受けませんし、『FPS』の探査能力を身体能力として用いれば、視界を用いずとも問題の無い形で周囲の情報を把握出来ますぅ。
後は、霧の影響で見落としがちな、地形で形成された『自然の罠』を警戒しつつ、貶める者さんを探しましょう。
何処かから叫び声が聞こえてきそうな気はしますが。
「カルロスさんが、このメガリスを発見した際の反応が知りたい様な?」
グリモア猟兵の説明を思い出してであろうが、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の第一声は聞いている人間が居れば何人かの共感は得られたと思う。既婚者で嫁が居るのに、精巧なスタイル抜群の美女を模ったメガリスでおまけに名はホットワイフである。
「とは言え、こうしている訳にもいきませんし参りましょうかぁ」
幻を見せる霧が立ち込めているとはいえコンキスタドールは既にメガリスを確保済みなのだ。るこるは|浮遊する16枚の札《FLS》を用いて祭器の数々を召喚すると、|浮遊する6基の宝玉《FTS》からアイマスクを取り出し、装着。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、至尊なる器の結合を此処に」
祈りを捧げれば祭器の数々はるこる自身の体内へおさめられ、全機能を身体能力として使えるようにしてから歩き出す。
「視覚中心の幻覚であれば、自身の視界を塞いでしまえば影響は受けませんしぃ」
加えて|浮遊する涙滴型の水晶《FPS》の探査能力を身体能力として用いれば、視界を用いずとも問題の無い形で周囲の情報を把握出来るという訳だ。
「後は霧の影響で見落としがちな、地形で形成された『自然の罠』に気を付ければ大丈夫そうですねぇ」
アイマスクで目隠しされているというのに危うさは一切なくるこるは霧の中を進んでゆく。
「何処かから叫び声が聞こえてきそうな気はしますがぁ」
あれだけ平静さを失って怒っていたのだ。まだ我に返らず怒っていてもおかしくなく、耳を澄ませながらるこるは捜索を続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
印旛院・ラビニア
「体温調節できるメガリスねぇ。赤外線とか体温で敵を感知する相手向けの囮くらいしか。……本来の使い方は別だろうけど、今の僕がもらってもなあ」
などと言いつつ島を進んでくよ
「コレが幻ね。ソグマ、頼んだよ」
UCで【破邪の戦乙女】を召喚。【破魔】【破邪】で幻を散らして進むよ
「それはそうとコンキスタドールは倒さないといけないからね。行くよ、ソグマ」
その他アドリブ連携等お任せします
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
まずは目標の探知が最優先ね。
幻を見せる…と言っても実体そのものは残るようだから、触ればわかるわね。
ということで
「来たれ、我が現身たち」
ユーベルコード【錬成カミヤドリ】で蒼金剛石を155個展開。
周囲に広がるように移動させる。
何かが触れれば、大体の場所は把握できる。
他の金剛石ズも集中させ、[心眼]で見極めましょう。
「み・つ・け・た・・・そこね?」
「まずは目標の探知が最優先ね」
転送されるなり霧に包まれても動じず、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は前方を見据え手を伸ばす。
「幻を見せる……と言っても実体はない。幻そのものは残るようだから、触ればわかるわね」
すり受けて突き込まれた自分の腕を引っこ抜くと、そのままおろし。
「ということで……来たれ、我が現身たち」
|蒼金剛石《自身の本体》を155個複製したヴィオレッタはそれらを念動力で操ると広く展開させた。
「何かが触れれば、大体の場所は把握できるのだからあとは時間の問題でしょ」
広範囲を死角に頼らぬ何らかの形で探査できる猟兵を前にすれば|幻を見せる霧《この手のもの》は無力である。
「体温調節できるメガリスねぇ。赤外線とか体温で敵を感知する相手向けの囮くらいしか。……本来の使い方は別だろうけど、今の僕がもらってもなあ」
そんなヴィオレッタが歩き始めるより少し前、印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)はぼやきつつ転送された場所から歩き出していた。
「コレが幻ね。ソグマ、頼んだよ」
他の二人と同様に周囲を包む霧の中にあった幻に目を留めれば、カードから破邪の戦乙女を召喚して攻撃を命じ。
「何らかの力は働いてるみたいだし、やっぱりまるっきり無意味にはならないよね」
明らかに霧が見せる幻に変化があったことを見てとれば、ラビニアは更にソグマへ命じる。
「ソグマ! 霧に宿る力を引き剥がせ! スルーズグリーズ・ブレイク!!」
魔槍の一振りに霧は断ち切られ少しではあるものの視界が開けた場所をラビニアは進んでゆく、そして。
「み・つ・け・た……そこね?」
こうして三人がかりで探していったなら、猟兵たち同様に霧に視界を遮られていたコンキスタドール、貶める者が三人の誰かに見つかってしまうこと自体はもう必然だった。
「ひ、人の声?! しまった、怒りに我を忘れてやらかしたですヨ!」
ヴィオレッタが補足した今更ながらに後悔する貶める者は、自身と同身長くらいのスタイル抜群の美女を模ったメガリスを抱きかかえたまま苦々しい顔をしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『貶める者』
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POW : 実はこんな服を着る趣味があったのですヨ
いま戦っている対象に有効な【恥ずかしい衣装かエッチな衣装】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD : ワタシが盗んだことになってる下着たちですヨ
召喚したレベル×1体の【女性用下着】に【伸縮自在かつ触れることで体力吸収する紐】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ : 貴方の姿、いただきますヨ
【斬りつけて得た他者の体の一部】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【自身を体の一部の持ち主そっくり】に変化させ、殺傷力を増す。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠フェリクス・フォルクエイン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「見つかってしまったとは言っても周囲はこの霧。ワタシだってこのメガリスを見つけるのは苦労したんだからここは押し通らせてもらうですヨ!」
片腕で美女を模ったメガリスを持ってるためか、割と戦いづらそうに見えるがそれでも貶める者は活路を開こうというのか槍のメガリスを構えた。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
回収が目的なら、収納用の魔道具等は持ってこられた方が?
『FAS』で飛行、『FPS』で敵方の位置を把握しまして。
【壊霞】を発動、戦場の霧に紛れる様に『乳白色の霧』を形成しますねぇ。
『FPS』で対象を絞り、貶める者さん個人を対象とすれば、範囲から逃れるまで偽物を作っても無意味ですし、『行動拘束』が有る以上逃走も困難ですぅ。
『衣装』を着せられても、この霧の中では殆ど判りませんので、後は『FBS』を回り込ませ、貶める者さんのみを狙い[切断]しますねぇ。
メガリスの方は「希望者がいなければ」でしょうかぁ?
『女神様の聖域』に捧げておけば、ヤドリガミ等になって動き出すかもしれませんし。
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
他の人と協力して事に当たるわね。
まずは相手から[目立たない]ように隠れることからスタート。
接近戦は苦手なのよ。
だから目標を見失わない程度に距離を取って好機を待つ。
上手く側面か背面を取れたら弓矢で狙撃。
[スナイパー]+[誘導弾]も活かすけど、一歩踏み出してユーベルコード【撃ち貫く奔流】。
「疾く来たれ、そして貫け」
足を止めて可能な限り連射。
こちらに向かってきたら攻撃は一時中止。
[逃げ足]でまた距離を取る。
そしてまた隠れて、好機を待つ。
倒れるまで続けるわね。
印旛院・ラビニア
「せっかくエッチな衣装を着てもらっても、この霧じゃねぇ」
とりあえずはクリーピングコインくん達を放ってUC発動!人海戦術で攻撃を仕掛けるよ。
「霧なんだって言うのさ!サイバーヤクザやサイバー忍者に赤外線アイは通常装備だよ!」
メガリスの機能で優秀なデコイになって敵の策略に引っ掛かるフリをして、注意深く感覚共有した部下達の聴覚も駆使して【聞き耳】をして相手の移動音や攻撃音を探るよ。何体か攻撃受けても、その間に動きや音のパターンを【学習力】で覚えて動きを【見切る】よ
「これでもう、君は丸裸だよ。見えないのが残念だけど」
部下をコインに戻してパワーアップを削いだら、相手の動きを見切った上でサーベルで斬りかかる
「回収が目的なら、収納用の魔道具等は持ってこられた方が?」
いざ強行突破せんと言う態の貶める者に夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が投げかけたのは、ある意味でごもっともな指摘だった。
「容量オーバーですヨ! こんなかさばる上にしょーもないモノだとか、こっちだって想定外ですヨ!」
ただ、貶める者としてもある程度の想定はしていたらしい。それでも創造の斜め上を行かれた結果が今であり、るこるの忠告も貶める者を激昂させるだけであったが。
(それはそれとして、あんな大声をあげて大丈夫なのでしょうかぁ?)
霧で視界が効かないというのにアレでは声でおおよその居場所がわかってしまう。|3対のオーラの翼《FAS》で空にあるるこるは|浮遊する涙滴型の水晶《FPS》で貶める者の位置を補足しているので今更ではあるのだが。
(ある意味では都合のいい状況かもしれないわね)
接近戦は苦手とするヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は霧の中に潜みつつ、貶める者の声がした方へと顔を向ける。一言も声を発さないのも目立たぬようこうして霧の中に隠れているからであり。
「しかし、忌々しい霧なのですヨ! 隠れて逃げられるという一点についてはありがたいですケド」
先ほどやり取りを交わしたるこるの正確な位置もわからないのであろう。貶める者は身構えたまま首を巡らせ。
「せっかくエッチな衣装を着てもらっても、この霧じゃねぇ」
「その通りですヨ。貶めようがなくてワタシも――」
次の瞬間、貶める者の言葉は途絶えた。言うまでもなく、印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)が横から口を挟んだからだった。
「新手ですかヨ?!」
霧でラビニアの姿を視認できていないが故に今初めてその存在に気づいた感じなのであろう。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『霧の加護』をお与え下さいませ」
貶める者が動揺する中でるこるは祈りを捧げれば幻を見せる霧に乳白色の霧が混ざって貶める者を拘束にかかり。
「な、動け……いつの間にですヨ?!」
「さあ、おいでよ! 僕の部下達!」
貶める者がるこるの術中にはまったところでラビニアが放った|主人に従い戦う、意志ある「空飛ぶ金貨」の大群《クリーピングコインくん達》をヤクザやニンジャの集団へと変える。
「「ドーモ、ハジメマシテ。貶める者=サン。クリーピングコインです」」
一斉にガッショウしオジギする元クリーピングコインなニンジャ達。
「スッゾコラーッ!」
威嚇するヤクザ達。
(仕掛けるなら今の内ね)
大量に戦力を用意した後、ラビニアがどう出るかを察したヴィオレッタは手にした合成弓の弦を引き絞る。
「疾く来たれ、そして貫け」
そんなヴィオレッタの声を貶める者の耳が拾ったかは定かでない。ただ、ヴィオレッタの弓へ無限に供給される貫通弾は即座に貶める者目掛けて放たれた。
「みぎゃーっ!」
拘束されていては逃げることも避けることも能わない。
「これは当面様子見に回った方がよさそうかな。それはそれとして……いつも思うけど、どこから寿司を見つけてくるんだろ」
貶める者の悲鳴が響く中、味方に撃たれる可能性を考慮して即座にヤクザやニンジャたちを嗾けるのを見合わせたラビニアはニンジャの一人が供して来たスシをもぐもぐ咀嚼しながらヴィオレッタのターンが終了するのを暫し待ち。
「そろそろいいかな? こほん」
咳払いしてから改めてヤクザとニンジャたちを嗾ける。
「霧なんだって言うのさ! サイバーヤクザやサイバー忍者に赤外線アイは通常装備だよ!」
本来であれば、ラビニアはメガリスの機能作られた優秀なデコイを利用した敵の策略に引っ掛かるフリをする予定であった。だがしかし、身動きが取れないところを貶める者が一方的に撃たれた現状況ではわざわざそれをするまでもなかった。逃げも隠れも動くことも出来ない上に霧に身を隠せないとなれば、貶める者を待っているのはただ袋叩きに遭う未来でしかない。
「これでもう、君は終わりだよ。見えないのが残念かどうかは不明だけど」
「ちょ、弱い者いじめよくないで」
「「イヤーッ!」」
残酷な光景が展開されることを鑑みるなら、むしろ見えないことは救いであるのだろうか。貶める者の言葉はニンジャたちの声にかき消され。
「『衣装』を召喚する暇も与えませんでしたねぇ。とは言え『衣装』を着せられても、この霧の中では殆ど判りませんので」
たとえ衣装の召喚を許しても貶める者に勝ち目などなかったのかもしれない。倒れ伏した貶める者の近くへとるこるが歩み寄れば、件のメガリスも貶める者の側で横たわっていた。貶める者が拘束されたときに支えを失って倒れていたようだ。その為に猟兵たちの攻撃に巻き込まれることもなく無事だったようでもあって。
「あとはメガリスを回収するだけね」
「誰か欲しい人は居る? 今の僕が貰ってもあれなんだけど――」
ヴィオレッタの呟きを聞いてラビニアが尋ねると、他に希望者が居なければとるこるは言うも。
「何を勝手に終わったことにしてるですヨ!」
がばっと顔を上げた貶める者がメガリスを引き寄せながら立ち上がる。
「危ないところでしたヨ! なんだか勢いでワタシまで倒された気になりかけたですヨ!」
もしこの時点で決着となっていればるこるがメガリスを持ち帰ることになっていたであろうが。
「『女神様の聖域』に捧げておけば、ヤドリガミ等になって動き出すかもしれませんが――」
もうかなりボロボロではあるが、貶める者の手からメガリスを回収しないことには持ち帰って試すことも無理そうではあった。
大成功
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風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可
約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るためにここにいる。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。
「……眩しくなくていいな」
物珍しそうに周囲を見回して風雷堂・顕吉(|吸血鬼《ヴァンパイア》|狩人《ハンター》・f03119)はポツリと漏らす。ここはと言った主語が抜ける程度に口数も少なく、霧がいくらかの日差しを遮っているにも関わらず、かけたサングラスは外さない。
(あの場所とはずいぶんと景色も違うようだが)
顕吉はダークセイヴァーの世界でヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピールだった。とは言え、グリードオーシャンの世界に来るのはこれが初めてという訳ではない。ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るにグリモア猟兵と誼を通じておいても損はないと要請に応じ、応援に駆けつけることは多々あって、その中にはこのグリードオーシャンの世界に足を運んだこともあったのだ。とは言え、島によって環境も千差万別のこの世界、顕吉が初見かと思うような反応をしても全く不思議はない、ただ。
「新手ですかヨ! 厳しい状況になって来ましたが、窮地こそ好機!」
ここを切り抜けて逃げのびてやるですヨとメガリスの槍を構える貶める者からすれば顕吉は追い詰められたところで自身の命を奪いかねない相手。
「この霧だらけの島にはまだ慣れてないというなら――」
この地になれていない様子を見せたことで乗じる隙があると見たらしい。メガリスを脇に抱えて地を蹴って。
「へぶみょっ?!」
顕吉の放った吸血蝙蝠の群れに呑まれた。蝙蝠は超音波を使い視認に頼らず相手の位置を把握できる上、群れとしてある程度広がっているのだから貶める者がこれから逃れるのは難しく。付け加えるなら吸血蝙蝠たちが狙うのは獲物の血液だ。いくら人型であろうと血の通っていないメガリスには見向きもせずに貶める者に群がった。
「……終わったか」
そうして集った吸血蝙蝠たちが散れば後に残ったのは倒れ伏す貶める者と側に横たわるメガリスのみ。メガリスの方は引き取り先がほぼ決まっていたことを鑑みれば、該当する先に戦っていた猟兵の一人が持ち帰ることとなるのであろう。顕吉からすれば役目は終え、ここに留まる理由もない。そもそもがここは霧があるとはいえ、ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は顕吉にとって日差しが強すぎるのだ。敵を倒しても変わらず幻を見せる霧の中、|転送《迎え》を待って顕吉は目を閉じた。
成功
🔵🔵🔴