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再会はランウェイで!復活のイエロータイガー!

#アイドル☆フロンティア #戦後 #神格者『イエロータイガー』

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「シャングリラ☆クライシスではお疲れ様でした。さっそくですが事件です」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「霊神や侵略神や星壊神は倒したとはいえ、アイドル☆フロンティアの人々の心から骸の海が全て消えたわけではありません」
 今後もこの世界ではストレスを抱えた人間が骸の海を溢れさせ、凶行に及ぶ事件が発生するだろう。彼らの心を救えるのが、アイドルステージでオブリビオンを倒せる|猟兵《アイドル》だけ、というのも変わらない。まだ暫くは忙しい日々が続きそうだ。

「今回の事件については情報提供者がいます。『ファッションについての悩み』があって、そのせいで心の中の『骸の海』が氾濫している人達を見つけたと、イエロータイガーさんが教えてくれました」
 友情を司る|神格者《アイドル》イエロータイガー。シャングリラ☆クライシスで彼女と戦った猟兵も多いのではないだろうか。最終的に彼女はオブリビオン化を解除され、創造主であるクオリア・シンフォナーからも切り離されて、ひとりの新たなアイドルとしての生を手に入れた。
「『あたしのグロリアス☆ランウェイを使ってどうにかしてあげたいんだけど、良ければ手伝ってくれないか? こういうのって、色んな人の意見があった方が解決しやすいと思うんだ!』……とのことです」
 オブリビオンでなくなったイエロータイガーは改めてアイドルの本懐を果たすため、現在は精力的に活動中の様子。しかし流石にシャングリラ☆クライシスの時のような圧倒的な強さは失われているので、「戦友」である猟兵に協力を持ちかけてきたようだ。

「イエロータイガーさんが召喚するアイドルステージ『グロリアス☆ランウェイ』は、煌びやかなドレスからおしゃれな普段着までありとあらゆる衣装が揃う、ファッションショー特化のステージです」
 ここにファッションにまつわるお悩みを抱えた人々を招き、そこら中にある素敵な衣装を使ってコーディネートしてあげたり、あるいは猟兵自身が素敵なコーデのモデルとしてお手本を見せることで、オブリビオンを浄化しようという作戦だ。
「お悩みを抱えている方々は、どうやら素行に問題のある少年少女のようです。ステージ上では『バッド・ガール』というオブリビオンになります」
 これ以上悩みをこじらせて学業を疎かにしたり、家族との縁を切ろうとしたり、お金欲しさに犯罪に走ったりする前に浄化してあげよう。ひとくくりに「ファッションに関する悩み」と言っても「ファッションセンスに自信がない」「かっこいい・可愛い格好をしたいけど勇気が出ない」「ファッションで自分を変えたい、でもやり方が分からない」など人それぞれなので、個々人にあったアドバイスやファッションを提案するのも大事だ。

「もし、それだけでは浄化できない強力なオブリビオンが現れた場合は、実力行使です」
 グロリアス☆ランウェイの素敵な衣装を使った新コーデを身に纏い、観客席の応援を集めて戦いに挑むのだ。シャングリラ☆クライシスを経てアイドル力に磨きがかかった猟兵なら、今更どんなオブリビオンが出てきても恐れることはあるまい。
「もちろん、イエロータイガーさんもコーディネートと戦闘の両方に参加してくださります」
 アイドル☆フロンティア最強と呼ばれたほど超アイドルパワーは失われていても、いまだ彼女が魅力的なアイドルであることは変わらない。変わらぬ「友情」の信念のもとで、オブリビオンの浄化にも猟兵のサポートにも全力を尽くしてくれるだろう。

「オブリビオンでなくなったイエロータイガーさんと、アイドルとして共闘できる機会です。どうか力をお貸しいただければ幸いです」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、アイドル☆フロンティアへと猟兵達を送り出す。
 オブリビオンの宿業から解き放たれ、ひとりのアイドルとして再誕したイエロータイガーと共に、人々の心を救うためのファッションショーが幕を開ける。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはアイドル☆フロンティアにて、神格者『イエロータイガー』と共にオブリビオンを浄化する依頼です。

 シナリオの舞台となるアイドルステージは、イエロータイガーが召喚した『グロリアス☆ランウェイ』。
 ランウェイの名の通りファッションショーに特化したステージで、煌びやかなドレスから思わず真似したくなっちゃうおしゃれ普段着まで、ありとあらゆる衣装が揃っています。

 1章はファッションにまつわるお悩みを抱えた『バッド・ガール』との集団戦です。
 直接戦って倒さずとも、素敵な衣装をコーディネートしてあげたり、猟兵自身がコーデのモデルになることで、彼女達の悩みを解決することでも骸の海を浄化できます。

 2章はより強力なオブリビオンとのボス戦です。
 こちらは流石に悩みを聞くだけでなく「戦って倒す」必要があるので、ファッションショーらしく素敵な新コーデを身に纏い、観客の応援を集めながら戦いましょう。

 1章、2章ともにイエロータイガーもコーディネートや戦闘に参加してくれます。
 戦友である猟兵(特に面識なくても、彼女にとっては基本的にみんな友達です)との共闘にもオブリビオン化した人々を救うことにも積極的なので、思い思いに交流し連携することで勝率は高まるでしょう。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『バッド・ガール』

POW   :    たむろする不良
【不良仲間】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[不良仲間]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    イマドキファッション
【着ている服がその時の流行に合ったもの】に変形し、自身の【学力や善性、健康等】を代償に、自身の【各種ステータスと不良仲間との連携力】を強化する。
WIZ   :    不良の溜まり場
レベルm半径内を【不良の溜まり場】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【非常識で素行が悪い者】が強化され、【常識的で素行が良い者】が弱体化される。

イラスト:おおやけさかな

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

儀水・芽亜
ご機嫌よう、イエロータイガー。約束通り、今度は『友』として会いに来ましたよ。
(参照シナリオ:scenario_id=62798)
一緒に世界をオブリビオンから救いましょう。

『グロリアス☆ランウェイ』、今度はこれがアウェイではなくホームとして機能するのですね。
まずは、中身のないワンピースなどの衣装を相手に「ダンス」「アイドルダンス」を披露して、観客からの応援をもらっておきましょう。

さて、皆さんはどんなことに悩んでおられます?
なんて私が言うと進路指導のようですが。

どう見られているか気になる、ですか。
実のところ、人は他人の服装なんてあまり気にしていません。
あなたも、道行く他人の服装に興味を持ちますか?



「ご機嫌よう、イエロータイガー。約束通り、今度は『友』として会いに来ましたよ」
 色とりどりの衣装が並ぶアイドルステージに、颯爽と現れたのは儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)。先月のシャングリラ☆クライシスにて、オブリビオンに堕ちかけていたイエロータイガーを救った彼女は、その時を約束を果たすために駆けつけたのだ。
「やあ芽亜! 来てくれると思ってたよ!」
 その登場を待ちわびていたかのように、イエロータイガーは笑顔で手を振る。今の彼女は歪んだ友情に溺れたオブリビオンでも、クオリア・シンフォナーの被造物でもない。世界の平和と人々の心を守るために戦う、ひとりのアイドルだ。

「一緒に世界をオブリビオンから救いましょう」
「うん!」
 並び立つ2人の視線の先には、オブリビオン化した若者の群れ。ファッションに関する悩みをこじらせ、不良行為に走る『バッド・ガール』達だ。思春期らしいお悩みだが、骸の海が溢れてしまったからには放っておくわけにもいかない。
「こんなカワイイ服、あーしには似合わねーし……」「あーマジムカつく、全部ズタズタにしてやる!」
 同じ悩みを持つ者で集まったバッド・ガールは【不良の溜まり場】を形成し、素行の悪さを隠しもせずに暴れだす。
 この世界のオブリビオンの例に漏れず彼女たちも強敵だが、別に戦って倒す必要はない。ようはお悩みを解決すればいいのだから。

「『グロリアス☆ランウェイ』、今度はこれがアウェイではなくホームとして機能するのですね」
 すでに勝手知ったるものとなったステージの仕様に則り、芽亜はまずパフォーマンスを行う。そこら中にある衣装から中身のないワンピースなどをパートナーに見立て、華麗なアイドルダンスと清らかなソプラノの聖歌を披露すれば、観客席のサイリウムが彼女の色に染まっていく。
「よーし、あたしも!」
 イエロータイガーも芽亜の振り付けに合わせて踊る。能力は多少弱体化したとはいえパフォーマンスのキレは健在だ。
 素敵な衣装とアイドルたちの組み合わせに、観客だけでなくバッド・ガール達も見惚れてしまい、敵意や暴力性が鎮まっていく。

「さて、皆さんはどんなことに悩んでおられます? なんて私が言うと進路指導のようですが」
 話を聞いてもらえそうな雰囲気になったところで、芽亜はバッド・ガールたちに尋ねる。普段は学園の事務職員として学生との交流に慣れていることや、対象を友好的にする【主に向かいて新しき歌をうたえ】の効果もあって、悩みを聞き出すのは難しくなかった。
「着てみたい服はあるけど、周りからヘンに思われないか不安で……」
「どう見られているか気になる、ですか」
 おずおずと口に出されたのは、ありふれたものでも本人には深刻な悩み。さっきまでの不良ぶった態度とはまるで別人のようなしおらしさに、芽亜は少しだけ自分の学生時代を思い出した。もっとも彼女の青春は、普通の学生よりさらに殺伐としていたが。

「実のところ、人は他人の服装なんてあまり気にしていません。あなたも、道行く他人の服装に興味を持ちますか?」
「えっ……確かに、言われてみたらそうかも」
 芽亜のアドバイスはあっさりしていたが、悩みすぎて視野が狭くなったバッド・ガールには効果的だった。オシャレをする時に周りの目を気にしすぎる必要はないし、他人になにか言われることもない。ようは好きな服を着ればいいのだ。
「参考になりましたか?」
「うん! ありがとっ!」
 悩みが晴れたバッド・ガールは骸の海も一緒に浄化され、グロリアス☆ランウェイから退場する。今後はきっと自由なファッションを楽しめるようになるだろう。この調子で芽亜は若者たちの相談にひとつひとつ耳を傾けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

池神・聖愛
イエロータイガーさんからのさんからの情報提供なんですね…!ならば、行かなくては!アイドル☆チェンジ!

ええと、「振袖を着る機会がもうすぐあるのだけれど、どれが似合うかわからない」と。
ならば…「マスタード色の振袖」を合わせましょう!
色黒の方も、黄色系統は似合うんです。バッチリ映えますよ!
ふふ、イエロータイガーさんと一緒に、着付け!大丈夫、アイドルの嗜みでできます!
あ、イエロータイガーさんが用意した『小型の可愛いトラさんバッグ』も持ってもらって…!

自信をもって、胸を張ってほしい。
それが、最後のピースになるから!



「イエロータイガーさんからのさんからの情報提供なんですね……! ならば、行かなくては!」
 シャングリラ☆クライシスで戦い、共に歩みたいと願った友からの要請となれば、池神・聖愛(デリシャス☆マリア・f45161)は居ても立っても居られない。アイドルとしての使命を胸に「グロリアス☆ランウェイ」に飛び込んでいく。
「アイドル☆チェンジ!」
 その一言で彼女は「ふんわり☆フローラルドレス」に身を包んだデリシャス☆アイドルが1人、デリシャス☆マリアに変身。その得意分野は名前の通りお料理やスイーツだが、ファッション関連のお悩みだってバッチリ解決してみせよう。

「ええと、『振袖を着る機会がもうすぐあるのだけれど、どれが似合うかわからない』と」
「そーよ。ヘンなやつ選んで、みんなに笑われたくないし……」
 マリアが聞いた『バッド・ガール』のお悩みは晴れ着に関するもの。特別な機会にしか着ないものだからこそ、選ぶのは慎重になるのも分かる。どうせなら心に残る良い思い出にしたいという気持ちが、さらに悩みを深めさせるのだろう。
「ならば……『マスタード色の振袖』を合わせましょう!」
「ま、マスタード?」
 そこでマリアが提案した色は、あまり和服では耳にしないカラー。だがランウェイから飛んできた実物を見てみると、これが結構悪くない。明るく陽気な印象を与えてくれるし、他の色と合わせても良い。きっと個性的なコーディネートに仕上がるだろう。

「色黒の方も、黄色系統は似合うんです。バッチリ映えますよ!」
「あたしたちも黄色だしね。とびきり素敵なコーデにしてあげるよ!」
 自信たっぷりのデリシャス☆マリアは、イエロータイガーと一緒にバッド・ガールの着付けをする。アイドルの嗜みとして和服の着方も心得ているようで、長襦袢から帯締めまでそつなくこなし、素行の悪い不良少女をたちまち大変身させていく。
「あ、これも持ってもらって……!」
「か、かわいすぎないかな、アタシには」
「ううん、似合ってるって!」
 着付けが済んだらイエロータイガーが用意した小型の可愛いトラさんバッグを渡して、ファンシーな印象も追加する。
 ランウェイの照明に照らされる自分の姿を見て、バッド・ガールは戸惑いと驚きを隠せない様子だ。そんな彼女の背中を、マリアはとんと軽く押した。

「自信をもって、胸を張ってください。それが、最後のピースになるから!」
 どんなファッションでも着こなすのは本人次第。マリアに促されてバッド・ガールがしゃんと背筋を伸ばすと、まるで一輪の花のように、可憐で華麗な振袖ガールがグロリアス☆ランウェイに咲く。それを称賛し応援するように、観客達は黄色のサイリウムを揺らした。
「……ありがとう。アタシ、本番もこれでいってみる!」
 感極まった表情で目元に涙を浮かべながら、退場していくバッド・ガール。オブリビオン化が解けた後も、この出来事を彼女は忘れないだろう。1人の悩める少女を救ったところで、マリアは「さあ次の方どうぞ!」と、その他の悩みにも最高のコーディネートを届けていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!



「キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから」
 そう言って颯爽とグロリアス☆ランウェイに降り立ったのは、仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)の魂に共存する人格のひとつ、美術好きな女性人格の「ネイル」。普段から「バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!」をモットーとする彼女には、今回の依頼はまさに適任だった。
「アンタたちのお悩み、アタシが全部解決してあげるわ!」
 ファッションの悩みを抱えた若者は、彼女からすれば磨かれる前の原石。自分のセンスに自信がない者にも、かわいい格好をしたいけど勇気が出ない者にも、ピッタリのコーデを見つけてみせようと豪語する。自信に満ちた瞳と、爪に塗られた赤いマニキュアがキラリと光った。

「あ、あんたなんかに何が分かるっていうのよ!」
 悩みをこじらせた『バッド・ガール』の中には、他人のアドバイスを素直に受け取れない者もいる。そういう子たちが襲い掛かってきても、ネイルは慌てずに光属性を付与した「ルーンカルテ」をステージに落とし、相手が近付いてきたタイミングで目潰しフラッシュを仕掛ける。
「そうカッカしないの、美人が台無しよ?」
「きゃっ! ……えっ?」
 バッド・ガールの目が眩んだ一瞬のうちに、ネイルは別の衣装に着替えていた。中性的な容姿にスタイルの良さを活かした、スタイリッシュでクールなコーデ。「仲佐・衣吹」を代表して普段から様々なジャンルに挑戦している彼女には、自身をファッションモデルにするのも日常茶飯事だった。

「どう? イケてるでしょ?」
「ひゃわっ!?」
 華麗な早着替えに見惚れたバッド・ガールに、ネイルは脱いだ外套を投げつけて。【影も形も】を使って彼女と自分の姿を透明にすると、彼女に似合うコーディネートを即興で編み出す。服、持ち物、髪型、メイクにアクセサリー――足元から細部にまで拘ったファッションを、アイドルステージの力も借りて実現する。
「スリー、ツー、ワン!」
 ぱっと外套を取り払うと同時にユーベルコードを解除すれば、出現したバッド・ガールは見事に大変身を遂げていた。
 本人の憧れを否定せず、素材の良さを引き出したアイドル風ファッション。その可憐さに観客席も大きな盛り上がりを見せる。

「これが……あたし?」
「そうよ。可愛いじゃない」
 鏡を見て唖然とする少女に微笑みかけて、ネイルは他のバッド・ガールも次々に変身させていく。身のこなしの軽さを活かし、敵の虚を突きながら「華麗に美しく」戦うのが彼女の十八番で、このアイドルステージとは非常に相性がいい。
「こんなところかしらね」
 素敵なコーデでお悩み解消されたオブリビオンたちが消えていくと、我ながらいい仕事をしたと、ご機嫌で愉快に笑うネイル。彼女の活躍によってまた多くの骸の海が浄化されれ、グロリアス☆ランウェイは終盤に近付きつつあった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
イエロータイガーのお嬢さん、元気そうで何よりなのでっす!
ではでは一緒にオンステーッジ! なのでっすよー!

あやー、素行に問題のある方々でっすかー。
そういう方々は時に不良であることそのものに縛られちゃうんでっすよねー。
彼ら彼女らのUCがまさにその証なのでっしてー。
ワルとしてのファッションで満足してらっしゃるなら、方向性も定まってる以上、ここまで悩まないやもでっすしー。
というわけっで!
タイガーのお嬢さんに加えて、コラボ先のおしゃれなモデルさん達もお呼びして、ファッションショーなのでっす!
敢えて流行や少年少女な皆々様にお似合いするのを勧める形ではなく!
色んな容姿の藍ちゃんくん達が色んな服を着こなすことで、一人ひとりの反応を引き出してきまっしょう!
心は誤魔化せないでっすからねー!
やや、この服やアクセにご興味ありありでっすかー?
でしたら、ええ、着てみましょうなのでっす!
藍ちゃんくん達にメイクもお任せあれなのでっすよー!
コミュ力&勢いで背中を押しちゃおうなのでっす!



「藍ちゃんくんでっすよー!」
 元気いっぱいに名乗りを上げて、グロリアス☆ランウェイに降臨する紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)。シャングリラ☆クライシスの熱気もまだ冷めやらぬ中、骸の海を氾濫させた人々を救うために、今日も藍ドル継続中だ。
「イエロータイガーのお嬢さん、元気そうで何よりなのでっす!」
「お互いにね! また会えて嬉しいよ!」
 イエロータイガーから見た藍は、シャングリラ☆クライシスで何度も競いあい、そして自分を救ってくれたライバルにして戦友。再会できたことはもちろん、今度は仲間として共に世界のため戦えるのは、彼女にとって大きな喜びだった。

「ではでは一緒にオンステーッジ! なのでっすよー!」
「おーっ!」
 2人の掛け声と共にステージはライトアップされ、色とりどりの衣装が並ぶ。ランウェイの名に恥じぬファッションショーの準備は万端。その光景とカワイイ2人を見た『バッド・ガール』たちは拗ねたように、あるいは眩しそうに目を細める。
「ふんっ、こんなキラキラしたやつ、やっぱりアタシらに似合うわけないし……」
「あやー、素行に問題のある方々でっすかー。そういう方々は時に不良であることそのものに縛られちゃうんでっすよねー」
 藍の言う通り、彼ら彼女らのユーベルコードがまさにその証だった。同じ不良仲間と【不良の溜まり場】を作ったバッド・ガールたちは、非常識で素行が悪い者を好み、常識的で素行が良い者を嫌い、言動もファッションも余計にひねくれていくのだ。そのうえで不良であることを心の底では「良し」とできていないのが複雑な思春期だ。

「ワルとしてのファッションで満足してらっしゃるなら、方向性も定まってる以上、ここまで悩まないやもでっすしー。というわけっで!」
 藍は【縁・逢い】を発動し、イエロータイガーに加えてコラボ先のおしゃれなモデルさん達もお呼びして、ファッションショーの開催を宣言する。ランウェイに用意された多種多様な服に合わせ、モデルも個性豊かなタイプが揃った形だ。
「敢えて流行や少年少女な皆々様にお似合いするのを勧める形ではなく! 色んな容姿の藍ちゃんくん達が色んな服を着こなすことで、一人ひとりの反応を引き出してきまっしょう!」
「よーしっ! そういうことなら、気合い入れていくよっ!」
 服もモデルもこれだけの組み合わせを提示できれば、きっとバッド・ガールそれぞれに「刺さる」ファッションを提示できるはず。藍とイエロータイガー達はランウェイの上を入れ替わりながら歩き、登場のたびに異なるコーディネートを魅せつけていく。

「あっ。今の、カワイイかも」「わっ、カッコいい……」
 最初のうちはツンケンしていたバッド・ガール達も、素敵なモデルたちとファッションの数々に反応を隠しきれない。
 いくらワルぶってようが、オブリビオン化するほど悩んでいたのは、それだけオシャレに興味があったということだ。
「やや、この服やアクセにご興味ありありでっすかー? でしたら、ええ、着てみましょうなのでっす!」
「あ、アタシは別に……!」
 そういう反応を示した子を藍は見逃さない。にっこり笑顔で【不良の溜まり場】から連れ出し、気になる服を実際に着せてあげる。嫌がる素振りを見せる子はいても、本気で拒否する子はいない。顔を背けても目を逸らすことはできない。

「心は誤魔化せないでっすからねー!」
 彼女たちの本音に向き合い、コミュ力と勢いで背中を押しちゃおう、というのが藍たちの作戦だ。コラボ相手のモデルたちの技能も借りて、素行不良な少年少女の内なる憧れをカタチにする。その手腕は「変身」と言っても良いレベルだ。
「藍ちゃんくん達にメイクもお任せあれなのでっすよー!」
「わ、わぁ……!」
 まるでガラスの靴をはいたシンデレラのように、華麗に様変わりするバッド・ガールたち。誰よりも本人たちが自らの変わりように驚き、そして喜びを隠しきれずにいる。ずっと憧れながらも手を伸ばせなかったものを今、彼女らは身に纏っている。

「ありがとう……嬉しい!」
 悩みを解消された若者たちは自分のファッションをぎゅっと抱きしめて、グロリアス☆ランウェイから退場していく。
 無事に骸の海を浄化できて、藍もイエロータイガーも満足げ。しかし、ステージに幕を下ろすにはもう少し早いようで――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『フォビア・クイーン』

POW   :    ハフェ・フォビア
自分の体を【勢いよく接触】させる攻撃で、近接範囲内の全員にダメージと【何らかの恐怖症】の状態異常を与える。
SPD   :    アストラ・フォビア
自身が装備する【背中の蜘蛛足の先】から【雷】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【何らかの恐怖症】の状態異常を与える。
WIZ   :    アラクノ・フォビア
【どこか】から、戦場全体に「敵味方を識別する【巨大毒蜘蛛の群れ】」を放ち、ダメージと【何らかの恐怖症】の状態異常を与える。

イラスト:mimizuki

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は車井・灯です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「私もみんなみたいにオシャレがしたい。だけど怖いの」

 猟兵達のコーディネートやアドバイスにより、ファッションの悩みを抱えたオブリビオンのほとんどは浄化された。
 だが、その中でまだ1人だけ残っているオブリビオンがいる。バッド・ガールよりも深く悩みとストレスを抱え込み、より強大なオブリビオンと化してしまった者だ。

「もし似合わなかったら? みんなに笑われたら? 今よりヒドいことになったら? それならいっそ、オシャレなんてしないほうが……」

 悩みを拗らせるあまり「ファッションに対する恐怖症」まで抱いてしまった少女は『フォビア・クイーン』と化す。
 ここまで来ると普通に相談に乗るだけで浄化するのは不可能だろう。アイドルとして「戦って倒す」ことで骸の海を祓うしかない。

「ここがクライマックスだね! やろう、みんな!」

 猟兵達に檄を飛ばすイエロータイガー。グロリアス☆ランウェイは現在も召喚中だ。
 ここにある素敵な衣装を使った新コーデを身に纏い、観客席の応援を集めて戦えば、きっとフォビア・クイーンにも勝てるはず。

 ファッションは人の心を豊かにするもの。決して人を苦しめるものではない。
 少女の心の闇を晴らすべく、猟兵達はランウェイに立つ――。
儀水・芽亜
それではいきましょう。
たまには姫コーデもいいでしょう。久々のゴスロリ調でいきますよ。

私の強みは、ユーベルコードそのものが観客を魅了する「パフォーマンス」になることです。
「全力魔法」感動の「属性攻撃」「精神攻撃」「楽器演奏(竪琴)」「歌唱」でパッション『マタイ受難曲』。
ユーベルコードとしての効果は「ランウェイ」上だけに留めて、観客席には曲だけが届くように。
曲の性質上、踊りは無しの方がいいでしょう。

巨大毒蜘蛛とオブリビオンには、荘厳な聖歌で圧倒してダメージを与えます。
イエロータイガー、うまく曲に乗って黄金三角のオーラを叩き込んでください。

あなたはもっと自分を信じてください。選んだ服を着こなせると!



「それではいきましょう」
 そう言って芽亜が纏った新コーデは、学生時代以来となる久々のゴスロリ調。黒を基調とした可憐なドレスが、いつもと違う彼女の魅力を引き立てる。手には竪琴『Playland In Sleeping』を携えた佇まいは、ダークファンタジーのように幻想的だ。
「たまには姫コーデもいいでしょう」
 その言葉を肯定するようにサイリウムが揺れる。観客を味方につけながら彼女が向き合うは『フォビア・クイーン』。
 ファッションに対する恐怖症を抱いたオブリビオンの少女は、彼女のコーデを恨めしそうに、あるいは羨ましそうに見つめている。

「やめて……そんなの見せないで!」
 否定の絶叫と共にフォビア・クイーンは【アラクノ・フォビア】を発動。どこからともなく出現した巨大毒蜘蛛の群れが、かさかさと足音を立てて芽亜に這い寄る。その毒牙は肉体を蝕むだけでなく、精神さえも蝕み何らかの恐怖症を発症させるのだ。
「来たれ娘たちよ、ともに嘆け。見よ-誰を?-花婿を、彼を見よ-どのような?-子羊のような!」
 対して芽亜は【パッション『マタイ受難曲』】を発動。竪琴を爪弾き音色を奏でながら、たおやかな歌声をステージに響かせる。それは音楽という芸術を魔術の域にまで昇華させたフリッカーの力。フリッカースペードである彼女は特に声を操ることに長けている。

「私の強みは、ユーベルコードそのものが観客を魅了するパフォーマンスになることです」
「っ……?!」「「ギギィッ?!」」
 優れた演奏技術と歌唱力が荘厳なパッションを沸き上がらせ、フォビア・クイーンと巨大毒蜘蛛を精神的に圧倒する。
 同時にユーベルコードとしての効果はランウェイ上だけに留めて、観客席には曲だけが届くように。曲の性質上踊りは無しで、純粋な音楽の力だけで人々に感動をもたらす。それにより高まる応援がユーベルコードをさらに増幅するのだ。
「イエロータイガー、うまく曲に乗って黄金三角のオーラを叩き込んでください」
「オッケー! こんな素敵な曲を聞かされたら、あたしもテンション上がっちゃうよ!」
 芽亜の楽曲に応じて、イエロータイガーは三角形のオーラをフラクタルに分裂させ、流星群の如くキラめかせて放つ。
 怯んだ敵に追い討ちをかけるだけでなく、荘厳なる聖歌のメロディに合わせた幻想的な演出が、ステージをさらに盛り上げる。

「くっ! す、すごい……はっ?!」
 フォビア・クイーンの口から思わず漏れる感嘆の言葉。配下の毒蜘蛛が次々に消されていっても、黄金に煌めく聖歌に耳を塞げず、芽亜のファッションから目を離せない。恐怖にも勝る感動が心を引き付けてやまず、かつてあった純粋な喜びを呼び覚ましていく。
「あなたはもっと自分を信じてください。選んだ服を着こなせると!」
 勇気をもって一歩踏み出せば、きっとファッションは怖いものではないと分かるはず。芽亜の曲はフォビア・クイーンへのエールでもあった。骸の海に蝕まれた心が再び輝きを取り戻せるように、彼女は竪琴爪弾く指先に力を込めた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キノ・コバルトリュフ
マッシュルーム!みんな出ておいで!総力戦だよ!!
キノキノ、みんながいて心強いね。
シメジ?何体か足りないような?
急用があってこれなかったの?
エノキ、仕方ないね。
マイタケ、来てくれたみんなで楽しんじゃおう!



「マッシュルーム! みんな出ておいで! 総力戦だよ!!」
 グロリアス☆ランウェイで『フォビア・クイーン』との決戦が始まると、キノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)は【バトルウィズフレンズ】を発動。見た目も大きさも様々な星霊をステージ上に喚び出す。
「な……なんなの、こいつらは?」
 雨後のタケノコのようにわらわらと湧いてきた星霊にフォビア・クイーンは困惑。ピュアリィ「キノコつむり」にして星霊術士であるキノは、ゆくゆくは「キノコヘイム」を建設すべく精霊建築の技を磨いている。その才はピュアリィの中でも屈指のものだ。

「キノキノ、みんながいて心強いね。シメジ? 何体か足りないような?」
 普段から一緒にいるバルカンのバルくん、フェニックスのフェニくん、スピカのスピちゃんからグランスティードのグラりん、そして特定の精霊建築の時しか出てこない珍しい子まで、実に多彩な星霊がキノの呼びかけに応えて集まったが、彼女が見た所ではそれでも何体か欠員がいるらしい。当人、もとい当霊たちに話を聞いてみると――。
「急用があってこれなかったの? エノキ、仕方ないね」
 時期が悪かったり星霊にだって用事はある。残念だけれど忙しいなら仕方ないと、キノはすぐに気持ちを切り替える。
 それでも164体もの星霊がはるばるアイドル☆フロンティアまで来てくれたのだ。ステージを盛り上げるには十分だ。

「マイタケ、来てくれたみんなで楽しんじゃおう!」
 キノの号令で星霊たちは一斉に踊り、歌い、各々の術を披露する。その賑々しいパフォーマンスは観客席にまで届き、サイリウムの応援という形で返ってくる。これだけ数がいれば誰だって1体くらいは「いいな」と思える星霊がいるはずである。
「や、やめて……!」
 フォビア・クイーンは背中の蜘蛛脚から雷を放ち、【アストラ・フォビア】で星霊達を一網打尽にしようとするが――みんなの術を組み合わせて防御すれば、雷なんてびくともしない。極まれば都市国家さえ建築する星霊術の力は、ただの賑やかしではないのだ。

「キノ! これがキノの星霊の力だよ」
「ッ……!!?!」
 頭のキノコ笠を得意げに揺らしながら、キノがぱんと手を叩くと、星霊達は一斉攻撃を開始。光や炎や雷など、様々な術技が混ざりあった七色のキラめきがアイドルステージを華々しく満たし、フォビア・クイーンを吹き飛ばす。この世界のオブリビオンがいかに強力と言っても、これは流石に大ダメージだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

池神・聖愛
最初の一歩は怖いもの。それは、誰だって同じだけれど。
その高さは、人によって違う。平坦な人もいれば、とてつもなく高くなってる人も。
あたしができるのは、ここで戦って倒して背中を押すこと!

そう、クライマックスまで全力で!
アイドル早着替え!パンツスタイル!
そう、青の濃いデニムパンツに、白のシャツを合わせて。
観客席に向かってウインクもしてみたり!

そして…カワカワ☆ヨーヨーから【メラメラ☆フレイム】!
黄金の炎は、あなたを助けるために燃え盛る。
そしてこれは…イエロータイガーさんには燃え移らない。あたしが、そうしているから!

あたしは、イエロータイガーさんと一緒に戦えて、嬉しいの。



「最初の一歩は怖いもの。それは、誰だって同じだけれど、その高さは、人によって違う。平坦な人もいれば、とてつもなく高くなってる人も」
 ファッションに恐れを抱く『フォビア・クイーン』の気持ちは、聖愛にもわかる。好きな服を着てみたい、自分を変えたいと思っても、なかなか行動に移せない子だっているだろう。骸の海が氾濫するほどに深刻な悩みを、甘く考えることはできない。
「あたしができるのは、ここで戦って倒して背中を押すこと!」
「その通りだね。アイドルらしくキメちゃおう!」
 彼女の決意にイエロータイガーも同意し、並んでフォビア・クイーンと対峙する。踏み出す勇気を骸の海が妨げているのなら、それを祓うのが自分たちの使命だ。2人の意志に呼応するかのように、グロリアス☆ランウェイは新たなコーデを提供する。

「そう、クライマックスまで全力で!」
 キラキラした星くずの演出とともに、デリシャス☆マリアはアイドル早着替えでパンツスタイルに変身。黄色を基調にした普段のフローラルドレスから、青の濃いデニムパンツに白のシャツを合わせた活動的なファッションで、印象をがらりと変えてみせる。
「どう? こういうのも良いよね!」
 スタイリッシュにポーズをキメて、観客席に向かってウインクもしてみたり。すっかり彼女のファンになった観客から大きな歓声が返ってくる。視線ひとつで皆を虜にする天性の魅力に加えて、どんなコーデにも対応する着こなし力は流石アイドルだ。

「や、やめて……そんなの眩しすぎる……!」
 そんなマリアの姿を見て、憧れと恐れの狭間で揺れ動くのはフォビア・クイーン。光が強ければ影も濃くなるように、恐怖にかられた彼女は【ハフェ・フォビア】を発動。キラキラなアイドルにも自分と同じ恐怖症を植え付けようとする。
「いっきまーす!」
 しかし恐怖を呼び起こす蜘蛛脚に接触させる前に、デリシャス☆マリアはユーベルコードを発動。マカロン型の「カワカワ☆ヨーヨー」から燃え盛るアイドルパワーを放ち、黄金の【メラメラ☆フレイム】でフォビア・クイーンを包んだ。

「きゃっ! こ、これは……!?」
「黄金の炎は、あなたを助けるために燃え盛る」
 フォビア・クイーンからステージに燃え移った【メラメラ☆フレイム】は、ランウェイ全体を黄金に燃え上がらせる。
 恐怖も不安も絶望も、骸の海ごと全部燃やし尽くしてしまおう。クライマックスにふさわしいド派手な演出兼攻撃だ。
「そしてこれは……イエロータイガーさんには燃え移らない。あたしが、そうしているから!」
「ナイスだよ、デリシャス☆マリア!」
 延焼分も含めて炎のコントロール権はマリアにある。彼女を信頼してイエロータイガーは炎の中で舞い踊り、これまで以上のパフォーマンスを魅せつけながら、三角形のオーラでフォビア・クイーンに追撃する。目がくらむほど眩しいのに一瞬も目を離せない、ふたりのアイドルの黄金の共演だ。

「あたしは、イエロータイガーさんと一緒に戦えて、嬉しいの」
「あたしもだよ。キミとこうして共演できて、最高の気分だ!」
 敵同士として競い合う中でライバルとして友情を育み、いまや戦友となったデリシャス☆マリアとイエロータイガー。
 その喜びとパッションを、彼女たちはファッションとパフォーマンスで表現する。くるくると揺れるヨーヨーが熱気を高め、フラクタルな輝きが天空までも埋め尽くす。
「っ……なんで……怖いのに、目が離せない……!」
 黄金の炎と光に身を焼かれるフォビア・クイーンの心は、これまでにない動揺に満たされていた。恐れるあまり本人も忘れかけていた純粋な感情――骸の海に染められたファッションへの想いを解き放つべく、アイドルたちは戦い続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
歌うのでっす。穏やかで優しい歌を。
おしゃれとファッションへの恐怖を癒やすのでっす!
恐怖症を与えてこようにもそれもまた癒やしちゃうので!
藍ちゃんくんもタイガーのお嬢さんも平気なのでっす!
或いはお嬢さんでしたらそもそも移動阻止で近づかせないでっしょかー!
近接攻撃相手には距離を取れてめっぽう強いでっすしねー、アイドル・ブリリアンス!
流石なのでっすよー!

オシャレがしたいけど怖い。
そのジレンマはおしゃれとは何かよく分かっているからなのでっす。
おしゃれとは変わること。
自分を変えること、見られ方を変えること。
もしもの恐怖は悪い方に変わってしまうのではという恐れなのでっす。
おしゃれをしない。それは変わらないこと。
悪くはならないかもでっすがー……変わらないからこそ、おしゃれをしたいという思いも、恐怖も変わらないまま、なのでっす。
ですので、ええ。
|不変《オブリビオン》でなくなり生まれ変わったタイガーのお嬢さんと!
変革を歌う藍ちゃんくんのライブで!
変わることに夢を見ていただくのでっす!
藍ちゃんくんでっすよー!



「歌うのでっす。穏やかで優しい歌を」
 おしゃれするのが怖くてファッションを否定してしまう。そんな『フォビア・クイーン』のために、藍が捧ぐのは【藍音Cryね】。あるがままの祈りや願いを込めた、藍に澄みきった歌声が、グロリアス☆ランウェイの隅々まで響き渡る。
「おしゃれとファッションへの恐怖を癒やすのでっす!」
 このユーベルコードは敵を傷つけるものではない。哀しみや恐怖、憎しみを癒やし、その原因を浄化するための歌だ。
 たとえその原因が骸の海によるものだったとしても、歌の力は理屈も条理も超越する。そこにアイドルパワーが加われば尚更だ。

「や、やめて……そんな歌、聞かせないで……!」
 しかし深い恐怖や絶望に囚われた者にとって、優しさは時に苦痛となる。差し伸べられた救いを拒絶するかのように、フォビア・クイーンは【ハヘ・フォビア】を発動。勢いよく体当たりを仕掛けて歌の邪魔をしつつ、自分と同じ恐怖症を与えようとするが――。
「それもまた癒やしちゃうので! 藍ちゃんくんもタイガーのお嬢さんも平気なのでっす!」
 藍の【藍音Cryね】はオブリビオンだけでなく味方や自分自身にも作用する。クイーンに接触されても歌のクオリティは落ちず、表情は恐怖のカケラも感じさせない笑顔のまま。むしろ近付いてきてくれるなら好都合と、至近距離で歌声を届け続ける。

「悪いけど、パフォーマンス中のアイドルにはお触り厳禁だよ!」
 一方のイエロータイガーは、全身に無数の三角形のオーラを帯び、黄金のキラめきでフォビア・クイーンの行動を妨害する。藍の歌に合わせてダンスを踊りながら、【ハヘ・フォビア】を食らう前に移動阻止で近づかせない。オブリビオン時代ほどの力はないと言っても、流石はトップアイドルだ。
「近接攻撃相手には距離を取れてめっぽう強いでっすしねー、アイドル・ブリリアンス! 流石なのでっすよー!」
「まあね! 藍だって流石だよ、そのまま歌い続けて!」
 シャングリラ☆クライシスでも戦い、互いの実力を認めあったふたり。そのパフォーマンスは互いの良さを引き立て、観客席を大いに盛り上げる。彼らからの応援のパワーを上乗せすることで、藍の【藍音Cryね】はさらに威力を増した。

「オシャレがしたいけど怖い。そのジレンマはおしゃれとは何かよく分かっているからなのでっす」
 そして楽曲が間奏に入ると、藍は改めてフォビア・クイーンに語りかける。彼女がオブリビオン化するほどオシャレに恐怖を抱いている理由を彼は理解していた。それは根本的にはファッションではなく「変化」そのものに対する恐怖だ。
「おしゃれとは変わること。自分を変えること、見られ方を変えること。もしもの恐怖は悪い方に変わってしまうのではという恐れなのでっす」
 その指摘に「ッ!!」とフォビア・クイーンの身体が震える。自覚していなかった恐怖の本質を、正確に言語化された驚き。それを否定することはできないだろう。おしゃれという変化に挑むための勇気を、彼女はこれまで持てなかった。

「おしゃれをしない。それは変わらないこと。悪くはならないかもでっすがー……変わらないからこそ、おしゃれをしたいという思いも、恐怖も変わらないまま、なのでっす」
 このままでは彼女は葛藤と恐怖に苛まれたまま、オブリビオン化してからも一生辛い思いをしなくてはならない。自ら変化を望まない限り、苦しみが終わることもないのだ。それは己自身の心が生み出した牢獄――扉を開く鍵は、彼女自身が持っている。
「ですので、ええ」
「|不変《オブリビオン》でなくなり生まれ変わったあたしと!」
「変革を歌う藍ちゃんくんのライブで!」
「「変わることに夢を見ていただく(よ)のでっす!」」
 フォビア・クイーンの中にもある「憧れ」と「希望」そして「未来」を体現するように、輝かしいパフォーマンスを披露する藍とイエロータイガー。それは柔らかな秋の日差しのように、あるいは道を照らすスポットライトのように、ひとりの少女を包み込む――。

「藍ちゃんくんでっすよー!」
 決めゼリフとともに黄金のキラめきが舞い、グロリアス☆ランウェイのフィナーレを告げる。万雷の拍手がステージを震わせ、皆の心には歌の余韻が残る。このステージに招いた全てのオブリビオン、そしてフォビア・クイーンの中にも。
「……ありがとう……わたし、今ならきっと、変われる気がする……」
 憑き物が落ちたように晴れやかな笑みを浮かべ、恐怖の女王と呼ばれた少女は現実世界に帰っていった。これから彼女がどんなファッションに挑戦するかは、また別の物語。けれど、きっとその先には明るい未来が待っているだろう――。



 ――かくしてイエロータイガー協力のもと開催されたグロリアス☆ランウェイステージは、大団円で幕を閉じる。
 ステージに立った猟兵たちのパフォーマンスは人々の心に深く刻まれ、ファッションに悩む多くの若者たちの心を救ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年10月20日


挿絵イラスト