――|鋼の竜騎が翔ける世界《バハムートキャバリア》、エルロンド地方。その辺境に近い森の入り口に人影がひとつ。
何かに怯えるかのように周囲を気にしながら立つ人影は、足元に無造作に投げ捨てられた袋を手にする。
「これを埋めておけばいいんだな?!」
(然り。さすればお前の願いは叶えてやろう)
叫ぶように言い放った声は、森の奥へと吸い込まれ、低い声ならざる声が還ってくる。
「判った……!」
そう言うと、人影は走り出す。己が応じた事が何を引き起こすのかも、己が“取引”した相手が何者なのかも正しく理解しないままに。
●
「と、言うわけでな。仕事だ」
イウェイン・レオデグランス(狂飆の騎士・f44938)はそう言って肩を竦めた。
とある辺境の村で、“呪い”が蔓延しているのだという。実際起きている状態としては倦怠感と無気力を蔓延させるという内容ではあるが、恐らくは生命力を吸い取っているのではないかと思われる。
“呪い”を生み出したのは、この世界の定常通りに|百獣族《バルバロイ》である。どうやらこの村をかつて護った騎士への復讐という所のようだ。しかも、“呪い”で村の人間たちから奪った生命力は何処かに潜む|百獣族《バルバロイ》へと送られているようなのだ。
「過去に|人間たち《俺たち》が|百獣族《彼ら》にした事は確かに褒められた事じゃあねぇんだが」
それを現代の戦う事と無縁の者達に押し付けていいのか。騎士道とは、贖罪の為の戒めであり、そういう者達を護る為のものであるのだ。
しかし、人間の起こした悲劇の被害者に感化されたのか、他の要素があるのかまでは判りかねるが、人間が協力しているようなのだ。
「|百獣族《彼ら》の牙爪が向くのは、|人造竜騎《キャバリア》に|搭乗できる《乗れる》|騎士《俺たち》であって、戦えない今の人間であっていい訳がない――っていうのが、俺たちの常識だと思ってたんだがなぁ」
そう言うイウェインの表情は苦い。生粋の騎士の家柄ではないが、それでも、騎士たるものの為すべき事、騎士道とは何たるかを叩き込まれた身であるが故に、|百獣族《バルバロイ》に手を貸したと思われる村人が何を思い村に呪いを振り撒く手助けをするに至ったのかが想像できないといった所だ。
「そこは今どうこう言っても詮無い話か。一先ず、今できる事はふたつ」
ひとつは、村を調査して“呪い”の元凶を無くす事。
もうひとつは、手助けした村人を見つけ出して、詳細を聞き出す事。
「とにかく“呪い”をどうにかしない限りは、村人たちを|百獣族《バルバロイ》たちの人質に取られているのと変わらんからな」
それだけでなく、“呪い”による生命力の供給が途絶えれば、|百獣族《バルバロイ》たちも動かざるをえない。荒事はそれからだ。
「後は……何の因果か今回もエルロンド地方なんでな」
と、イウェインは、封蝋で閉じられた書状を人数分取り出す。|人造竜騎《キャバリア》と縁がない猟兵向けに、この事態の平定の為に汎用騎体を貸与するように頼む書状だ。
正規の|人造竜騎《キャバリア》の騎士や|鋼鉄機《キャバリア》の搭乗者である猟兵に比べれば劣る可能性はあるにしても、猟兵の力を持たぬ騎士達よりは戦力たる力を発揮するはずだ。
くれぐれも持ち逃げはするなよと念を押して、イウェインは一同を送り出した。
白神 みや
初めましてのかたは初めまして。 そして、そうでない方はご無沙汰しております。
有名人の子孫っていうか関係者ってだけでも大変そうだよなぁ等と思う|白神《しらかみ》です。
懲りずにバハキャです。|百獣族《バルバロイ》の呪いに苛まれた村を救援するお話です。
一章は、呪いに蝕まれた村の呪いの除去です。
イウェインが説明した通り、可能な行動は2種。
二章、三章は|百獣族《バルバロイ》との戦闘です。
各章のより詳しい状況は、断章に譲ります。
●人造竜騎/キャバリアについて
今シナリオについては、人造竜騎/キャバリアをお持ちでない方については、イウェインがツテを生かして現地の騎士への紹介状をしたためておりますので、そちらで汎用型の人造竜騎が貸与可能となります。なお、汎用型ですので、細かい仕様等には応じられない場合もあります。
プレイング内では「書状で借受ける」程度の表記で充分です。
●お願い
MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
通常/オバロ共に指定日時より前のプレイングはお返しすることとなりますので、ご了承ください。
諸々はタグとMSページに記載しますので、ご確認の程宜しくお願いします。
第1章 冒険
『村・街を調査せよ』
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POW : 手当たり次第にあちこち回り、調査する
SPD : 何か怪しい所はないか、足を使って調査する
WIZ : 聞き込みなどから情報を整理・推測した上で独自に調査する
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●沈黙せし村にて
その村は、無気力に沈んでいた。
本来なら長閑な農村なのだろうが、村人のほとんどが家に篭ってしまっている為、活気が失われてしまっている。
村の中心には質素な騎士の石像が設置されており、おそらくこれが村を護った騎士なのだろう。平素なら恐らく丁寧に扱われていたのかもしれない事からも、本来の村の様子が伺えるだけに、今のこの静けさが重くのしかかる。
その騎士像を見つめる小柄な少年と思われる人影がひとつ。
猟兵たちの視線に気が付くと、慌てたように駆けだしていった。
人影の後を追うか否かと思案しかけた猟兵たちには、騎士像の周辺にいくつか気になる気配も感じられる。恐らくはそちらの方向に“呪い”をまき散らす何かがあるのだろう。
「旅の人かい?」
悩む猟兵たちの背に、荷馬車を駆る行商人と思しき壮年の男性が声をかける。
「この村に長居は止めておいた方がいい。どうにも最近、この村は空気がよろしくない」
この活気じゃ商売にもなりゃしないからな……と、男性はそう言って荷馬車を走らせて去っていった。どうやら“呪い”の影響の深刻さは力なき人々でも勘が良ければ察する事はできる程に深刻な状態のようだ。
人影の後を追うか、“呪い”自体を除去しに行くか。その選択は猟兵たちに委ねられた。
フリル・インレアン
ふええ、この村呪われてますね。
……ふええ!?アヒルさん怒らないでください。
思ったことをポンポン口にするなって、すみませんごめんなさい。
わかったら、そこに正座だって、そこ全然舗装も何もされて……。
ふええ、ごめんなさい。
ふええ、あれからずっと正座をさせられているのですが、いつまで正座してればいいんでしょうか?
あ、もしかしてアヒルさんは推理で百獣族さんの居場所を特定しようとしているんですね。
……あの、アヒルさん今の「あっ」って顔は何ですか?
お説教しているふりをして百獣族さんに気付かれないように推理しているんだと思ってましたよ!!
●
「ふええ、この村呪われてますね……ッ?!」
「|クエェ!《こら!》」
小声で呟いたと共に可愛らしいぬいぐるみのようなアヒルのガジェット『アヒルさん』につつかれた、大きな帽子が目立つフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)。
「……ふええ!? アヒルさん怒らないでください」
「|クエ、クエックエェ《全く、思った事を口にするんじゃないよ》」
人の言葉を発する訳では無く鳴き声を発する『アヒルさん』とフリルは意思疎通が可能なのだが、ぺこぺこと謝りながら『アヒルさん』に語りかけるフリルの姿は、大道芸めいているのだが、今の村では幸いというべきか“観客”が居ない状態だ。
「|クエェ、クエックエ《フリル、そこに正座》」
「え、そこ全然舗装も何もされて……」
『アヒルさん』がその丸っこい羽根で指し示したのは騎士像の足元。城下や街ならばともかく、一介の農村では当然舗装されているわけでもなく。さりとてこの世界で舗装されていたとしても石畳である。当然ながら正座には向いているわけではない。
「|グァ、クエッ!《ほら、早く!》」
「ふえぇ……」
『アヒルさん』に促されたフリルは、恐らくいつもの『アヒルさん』の推理かもしれないと騎士像の足元に正座する。
「|クエッ、クエクエエ……《まったく、もうちょっと慎重にだね……》」
正座をしたフリルの周りをてちてちと歩きながら『アヒルさん』が鳴く。時折何かを考えるような仕草を『アヒルさん』が見せる事から、いつも通り推理に入ったのだろうとフリルも神妙にその鳴き声を聞く。
「……ふええ、いつまで正座してればいいんでしょうか?」
始まってどのくらい経ったか。たまりかねたフリルが『アヒルさん』へと訴える。その声で足を止めた『アヒルさん』は、フリルの顔を見て首を傾げた。
「え、アヒルさんは推理で百獣族さんの居場所を特定しようとしているんですよね?」
「|……クェッ《……あっ》」
フリルの言葉に、『アヒルさん』はフリルの視線から顔をそむける。
「……あの、アヒルさん今の「あっ」って顔は何ですか?!」
『アヒルさん』の態度に思わずフリルが声を上げて立ち上がろうとするが、長時間正座をしていた足は限界を迎えていて、立ち上がった拍子にぞわぞわとした痺れが指先から足全体に走り、よろめいてしまう。
「お説教しているふりをして百獣族さんに気付かれないように推理しているんだと思ってましたよ!! ……あれ?」
よろめいて転びつつも抗議の声をあげるフリルの視線の先、路の中央あたりに何やら違和感を感じる。掘り返された後を直されたようにも見える、そこを『アヒルさん』と掘ってみれば、そこには鈍く光る黒い石があった。
「……もしかして、コレ、呪いの正体でしょうか……?」
想定とはちょっと違ってはいたものの、|『アヒルさん』の推理《ふええ劇場『名探偵アヒルさん』》は解決への道の一端へとフリルを導いたようだった。
大成功
🔵🔵🔵
カレワド・ルーメ
呪い…我が身にとっても、背負いし人造竜騎にとっても、切り離せぬもの。
ならば些細を繋げれば、おのずと知れた気配が見つかろう。村一つと言えど地を呪う物あるならば、排するのみ。
とは言え…この様な所に騎士として堂々とすれば、無暗な騒ぎになる。
我が外套の魔法にて、姿を隠し…人を頼れぬなら、家畜達から些細を集めん。
問題は…呪物一つで足りるか、それともその一つが難物であるか…心して掛かろう。
(呪詛・呪詛耐性・動物と話す・正体を隠す・認識阻害。を使用)
●
カレワド・ルーメ(探求の騎士・f45404)にとって、呪いというものは非常に密接なものである。
本来彼が駆る|人造竜騎《キャバリア》「アーサソール・クレルヴ」は、嘗ては|無明《むみょう》の|黒竜《バハムート》などという二つ名を背負った騎体であるが、負った呪詛の重さに封印を余儀なくされた騎体である。竜騎の建造を担う鍛冶騎であったはずの騎体が戦闘用に改修された末、数多の|百獣族《バルバロイ》の鏖殺に関わった為か“暴走”とでもいうべき呪いを負い、今は余程の自体出なければ封印されているのだ。
そして、カレワド自身がこの世界では”忌み子“とも言われる半妖精の身であるが故、己と呪いは切り離せぬものであると認識しているのだ。
(些細を繋げれば、おのずと知れた気配が見つかろう)
とはいえ、村人のほとんどは家から出ず、かといって、円卓の騎士に名を連ねる自分が動けば余計な憶測を招きかねない。故にカレワドは、纏う外套の魔力を用いて己の存在を希薄にし、家畜小屋へと足を向ける。|人間《ひと》から話を聞けぬ状況であるのならば、|人間《ひと》と共に生きる|家畜たち《彼ら》に聞けば良いのだ。幸いなことに、カレワドはその才も持ち合わせているのだから。
それからしばしの時を経て。
『――成程、感謝する』
家畜小屋で、|人間《ひと》に対するかのように、カレワドは荷馬車馬へと丁寧に頭を下げる。どうやら“呪い”の影響は|人間《ひと》にのみ影響があるようで、|荷馬車馬《かれ》はそれまで頻繁にあった外出が途絶えた事に若干の苛立ちを抱えていたようだが、不測の事態が起きている事、カレワドがその解決に来ていることを察したのか、幾らかの情報を提示してくれた。
曰く、|人間《ひと》と共に歩いている時に違和感を覚えた事があるという事。そして、そうなった箇所は複数あって、何れも村の入り口近くの|人間《ひと》が頻繁に通る箇所であった事。
(問題は……呪物のうちひとつが難物であるのか、それとも)
しかし、其れは今は些末な問題だろうと判断したカレワドは、村に巣食う“呪い”を一刻も早く除去するため、荷馬車馬から聞いた箇所の中で一番近くへと足を向けた。
大成功
🔵🔵🔵
桂・真志
弟分の所在(f43975)と
所謂、英雄物語の世界か
随分数奇な運命を辿っているようだ
「どの世界にもその世界の事情がある、か」
だが今生きる者が虐げられる謂れはない
どのような形であれ勝敗は決し
勝った方も永遠に罪科を負った
妄執が蘇らなければ終わった話だ
「兎に角倒さねばな」
弟分も何か思う所はあるようだが
俺と同じ思考の帰結をみたのだろう
しっかりした足取りになった
遅れる俺を叱咤までしてくる
「ああ、勿論だ。やりとげよう」
しかし少年を追うのは難しいか…なら
「危物の片付けに専念しよう、所在」
所在の糸はありがたい
妖しいモノを炙り出すには最適だ
ソレの破壊は俺が刃で担おう
「これで幾つだ?」
他も探し出し全て破壊してやるぞ
凶月・所在
兄貴分のまさにー(f43974)と
まさにーは気づいてないみたいだけど
父様も同じくこの場所に来てるみたい
僕も頑張ろ!でもほんとに面白い世界
「この世界にはこの世界の理由、だもんね」
だけど理由があるから仕方ないにはならないんだよ
今は今で、生きる人が此処に居るんだから
まずは皆の為にも原因を取り除いてあげないと
「まさにー。とにかくやれる事からやろ!」
まさに―も色々考えてたみたい
だけどまずは一個ずつなんとかしてこうだよ
「わかった!それっぽい物すぐ見つけるね!」
僕の糸なら追跡力を強化できるから
辺りに広げて変な力を辿るよ
「まさにー。これで五個目だよ」
気配はまだするし、全部きっちり
二人で見つけて壊すんだよ!
●
「所謂、英雄物語の世界か」
「ほんとに面白い世界だよね」
桂・真志(新世界に光望む者・f43974)と凶月・所在(優しい殺人鬼・f43975)は初めて降り立ったこの世界に興味を抱きつつも、村を覆う空気にその表情を硬くする。
(――あ、れ?)
周囲の気配に気を向けた所在は、立ち止まり首を傾げる。“呪い”に沈む中に、猟兵になって再会した懐かしい気配を感じた気がしたからだ。
(そっか、僕も頑張らないと!)
「所在?」
であれば、不甲斐ない所は見せられない。改めて気合を入れた所在に真志が声をかける。
「ん、大丈夫。とにかくやれる事からやろ!」
「ああ、勿論だ」
頷きあって、二人は今を生きる者たちを護る為に、歩を進める。
「まずは皆の為にも原因を取り除いてあげないとだね」
所在はそう言うと仄かに光を放つ鋼糸をその手を起点にして周囲に放つ。所在の|ユーべルコード《ちから》を受けた鋼糸は、狙った獲物を追跡し|殺傷する《こわす》力を発揮する。
「成程。所在の糸なら、妖しいモノを炙り出すには最適だな」
「でしょう? それっぽい物すぐ見つけるね!」
|殺傷する《こわす》対象を“妖しげな力を放つモノ”として、その発生源を追跡する。
「――ん、と。あの道の真ん中あたりに、ありそう」
「そうか」
所在が|ユーべルコード《ちから》を使っている間は、鋼糸を手放すことが出来ない。ならばと、真志が手にした大剣を所在が示す場所へと向けて振るう。剣より撃ちだされた衝撃波により、鈍い音と共に土を踏み固めた道は抉られ、土の狭間から鈍く光る黒い石が顔を覗かせた。
「まさにー、それだよ!」
所在がそう指摘するのと、真志が石へと剣を振り下ろすのはほぼ同時。両断された石からは、それまで所在が追っていた“妖しげな力”が抜けて消えていく。
「まだ、他にもあるみたいだね」
力が消えていくことに安堵して糸を手放しかけた所在だったが、糸が未だ|殺傷する《こわす》対象が在ると伝えてきたことに、少し気を張った声で真志へと言う。
「他も探し出し全て破壊してやろう」
「うん! 全部きっちり二人で見つけて壊すんだよ!」
二人は頷きあって、次の“獲物”へと狙いを定めていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
気の澱みに顔を顰めてしまう
「此処に居たら体も悪くなるよね」
それほどの重さと歪み
「ん、じゃあ往こう」
護るべきを護る為に
悪いモノも見つけたら必ず粉砕するけど
俺達の目的はさっきの子を探す事
白燐同期翔でククルカンを放ち
その瞳で上からあの子を探して見つけて話を
恐らくこの子が撒いてる
でなかったら無気力に支配された所で
逃げるって気力ある行動取れないから
「怒ったりしないから教えて?」
君が叶えたい願いは何だったの、と
対価が伴わないとこういう事はしない
その願いに付け込まれてるって思うから
教師的な説諭は絶対陸井の方が上手いし
俺はその分優しく接するね
「大丈夫…俺達が必ず解決するよ。任せて」
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
漂う無気力に沈む様な静けさ
相棒の言う通りこの淀みなら
こんな状況ならそうもなる
「だからこそ、助けてやらないとな」
此処はさっきの子を見つけて
知ってる事を教えてもらうのがいいか
「じゃあ、俺は地上からいくな」
相棒のククルカンと合わせて
俺は分身を数体出して見つけるよ
退路は断つように、でも
追い込み過ぎないように注意しながら
「安心してくれ、ちょっと話が聞きたいだけだよ」
相棒は俺の方がっていうけど
正直こういうときは時人の優しさの方が良いんだ
俺はどうしても説教みたいになるしね
「願いは大事だ。だけどそれでいいのかも、考えないとな」
だけど今は俺達が居るから
引き返せるって事も教えるからな
●
“呪い”の元凶であると思わしき石の“除去”が進み始めるよりも少し前に時は遡る。
村へと降り立った途端、澱んだ空気に葛城・時人(光望護花・f35294)は顔を顰めた。
「……此処に居たら体も悪くなるよね」
辛うじて絞り出した声に、共に立つ凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)も頷く。
「だからこそ、助けてやらないとな。その前に……」
頷きあった二人には気がかりがあった。それは先刻駆けて行った小柄な人影。
「うん。多分あの子が何か知ってる筈だ」
これだけの無気力に澱む村で、駆けていく事が出来るだけの気力があるのならば。それはこの村を覆う“呪い”について何かを知っている可能性が高いということを、これまでの経験から二人は推測していた。
二人を視線を交わすと、其々にユーべルコードを起動する。時人は視界を共有した|白羽の白燐蟲《ククルカン》を、陸井は陽炎のように存在感を希薄にした分身を喚び出して、駆けて行った人影を空と陸の二方面から追跡をする。
村自体はそれほど大きな村ではないので、その人影を見つけるのは容易かった。時人が|白羽の白燐蟲《ククルカン》の視界を共有したまま、二人は人影を追う。
●
「やあ。ちょっと良いかな?」
村の外れ、畑を見下ろす形になる小高い丘まで来た所で、時人が声をかけた。追いつく事自体は、二人であれば容易い事ではあった。しかし、人通りが殆ど途絶えているとはいえ、村の中ではどのような形で他者の耳へと入るのかが判りかねたからだ。
「――旅人、なのか?」
「安心してくれ、ちょっと話が聞きたいだけだよ」
穏やかな声音で陸井がそう言うと、彼は視線を逸らして村とは逆の、路の彼方を指し示す。
「もっと栄えてる村ならあっちにあるぞ。こんな|村《とこ》よりはまともに休めるさ」
「君だね?」
そう言って話を終わらせようとする彼を制するように、陸井が言う。
声をかけるまでに二人で打ち合わせていたのだが、互いに切り込み役を相棒の方が適任だと思っていた。教師の経験を持つ陸井の方が的確な説諭を出来るだろうという時人の弁で、陸井が切り込んで、時人が受け止めるという方向で行こうと決めたのだった。
その判断は的確だったのか、彼は陸井の言葉に明らかな動揺を見せていた。
「怒ったりしないから、教えて?」
彼の視線を受け止めるように視線をあわせた時人が言葉を重ねる。
彼――ジョンと名乗った――は、この村をかつて護った騎士を先祖に持っているのだが、先祖は村を護った後に|人造竜騎《キャバリア》を降り、騎士である事すらも辞してしまったのだそうだ。
「――|人造竜騎《キャバリア》が、あれば」
「それが、君がが叶えたい願い?」
時人の言葉に、ジョンは顔を上げる。それは、何よりも雄弁に彼の意思を物語っていた。
「|人造竜騎《キャバリア》があれば、こんな暮らししてるわけがないんだッ! それに、もしかしたら……ッ」
平定に来た騎士によって、従騎士に取り立てられる可能性もあるかもしれない。この地方では、そうして|人造竜騎《キャバリア》を駆る騎士へとなる可能性もあるのだから。姿を見せぬ“何か”――恐らくは|百獣族《バルバロイ》であろう――の誘いに、ジョンはそういう可能性を夢見たのだった。
実年齢的にも、精神的にも未だ幼いが故の幻想なのか、執着めいたものなのかまでは、この世界の事情に未だ明るくない二人にはわからない。だが、その言葉が危うさを孕んでいる事だけは理解できる。そして、|そんな願い《それ》が“切欠”だったのだということも。
「願いは大事だ。だけどそれでいいのかも、考えないとな」
「どんな相手かは判らないけれど……その願いに付け込まれてるって、思うよ」
こういう時には何かしらの対価が伴っている筈だ。ジョンには、村人に認められる可能性や、騎士になりうる可能性。ならば、その相手には。二人の言葉で漸くその可能性に思い至ったのか、その表情が強張る。
「今は俺達が居るから」
「大丈夫……任せて」
そう言う二人の言葉に促され、自身が彼等に渡されたものを何処に埋めたのかを語り終わった直後。
畑にほど近い森から、二人にとっては風景との違いに違和感を覚える音が響いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『獣騎ハルピュイア』
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POW : ハルピュイア・ストライク
【飛翔した状態からの超高速突撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【両足爪で掴み、振り回し、叩きつける攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ハルピュイア・ウィングアロー
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【両翼】から【敵をある程度追尾する羽根】を放つ。
WIZ : ハルピュイア・ウィンドエッジ
【獣騎形態】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【毒性のある風の刃】を放ち続ける。
イラスト:三友 茶治
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●森の奥底で
“呪い”の黒石が悉く猟兵達の手でその力を喪った頃。
(――力の流れが、止まったか)
あの人間が、此方の思惑に気付いたのか、はたまた。“其れ”にとっては想定の範囲内ではあるが、森の奥では詳細を伺い知る事が出来ない。
無言のまま、その片腕を天へ掲げると、それに応じるかのように、周囲から羽音が一斉に起こった。
●未だ沈黙に沈む村で
森から一斉に響いた羽音とその主たちは、村に居ても視認する事ができた。
“呪い”の力が喪われた以上、それを|百獣族《バルバロイ》が黙したままにしておくわけがないという事は、例えこの世界に明るくなくても、数多の世界で戦いを重ねている猟兵であれば自ずと予測が可能な状況だ。
とはいえ、村を戦場にするわけにもいかない。出来るだけ森に近い所で戦いになるには、此方が森へと向かうしかないだろう。
●畑を見下ろす丘で
その状況は、他の猟兵が“呪い”の対処を完了したのだろうという事は容易に見て取れた。
村を戦場にするにもいかず、さりとて、少年を狙ってきた場合は。その可能性が、すぐさま森の方へと向かいたいと逸る心を引き留めた。
「解決してくれんだろ。“アイツ”はあの森に居る」
告げられた言葉が、猟兵の背を押す。
●斯くして、合戦が始まる
|人造竜騎《キャバリア》に類するものを持たぬ者は村にある騎士の詰め所で|人造竜騎《キャバリア》を借り受けた後に、所持する者は直接村から森へと向かう。
「お前達が我々の邪魔をする騎士か!」
森にほど近いやや開けた場所で、上空から猟兵達に誰何する声がする。
見上げれば、鳥と人が融合したような|獣騎《バルバ》の群れが飛んでいた。どうやら、“呪い”を振り撒いた|百獣族《バルバロイ》に関わりがあるようだ。彼等を退ければ、少年を唆し村を“呪い”に沈めた|百獣族《バルバロイ》が出陣してくるだろう。
人間の身では|獣騎《バルバ》と成っている彼等とは、その体躯からしても不利となる。|人造竜騎《キャバリア》は勿論、この世界由来ではない|鋼鉄機《キャバリア》、もしくはそれに類する存在であれば、その体躯を利用して渡りあえだろう。
先ずは、元凶をこの戦場に引き出す為の戦いが、始まる。
凶月・所在
兄貴分のまさにー(f43974)と
「ほんとにこれ乗っていいの!?」
書状で借受けれるって聞いたから
次の戦いにも必要だしって来たけど
ライオン型でおっきくってかっこいい!
「乗った事ないけど…任せて任せて!」
操縦もざっくり聞いたし
まさにーもとにかく乗ってみよって言って
乗り込んでさっそく行くんだよ!
「まさにー、聞こえてる?」
別の人造竜騎だけど通信も問題なし!
まさにーは慣れないみたいだけど
こういうのは基本的にフィーリング!
「ガっといってギューンなんだよ!」
多分これで絶対ばっちり!
戦いはまさにーとライオン型の機動力で翻弄して
ボスが出てくるまで螺旋切断で倒していくね
「ごめんね。君達に恨みはないけど、殺すから」
桂・真志
弟分の所在(f43975)と
「…で、どうすれば良いんだ?」
途方に暮れる
バイクなんかと同じにならんだろう
所在は全力で喜んでいるが
困り顔の俺を後目に所在は操縦法を聞いて
早々搭乗している
俺はしっかり聞きたかったが
時間がない
覚悟を決めるしかない、な
移動は出来るが少々おぼつかないな
そこに飛んできた所在の言い方につい笑いが漏れた
案ずるより生むがやすし、か
「判った。ガッといってギューンだな」
何とか様になったし急ぐぞ
近付くと大量の敵
「よし、黒炎蝕焼斬で大量破壊を狙う」
この機体でやるなら数を巻き込めるはずだ
声は此方からも問題なく届くな
「お前は弾き飛んだのを殺れ!」
奮戦を約束しよう
「邪魔は無意味だぞ。圧し通る!」
●
「ほんとにこれ乗っていいの!?」
|百獣族《バルバロイ》達と会敵する前。
騎士の詰め所で凶月・所在(優しい殺人鬼・f43975)が歓声のような声で興味に目を輝かせていた。未だ村は“呪い”の影響が抜けきれておらず、この異変に対応する為にやってきて、結果的に“呪い”を共に被る羽目になった騎士が淡々と示した汎用型の|人造竜騎《キャバリア》。見知った世界とは異なる文明の片鱗に、所在の興味は尽きない。
「……で、どうすれば良いんだ?」
その一方で、桂・真志(新世界に光望む者・f43974)は困惑していた。故郷の|闇を超越した世界《サイキックハーツ》でも、猟兵になってから足を向けた世界でも、|自動二輪《バイク》に乗る機会はあった。しかし、今目の前に在るのはちょっとした家屋程の高さの――真志の感覚でいうなら、ロボット、なのだ。
正直に言えば、もっときちんとした形で操縦方法を聞きたい所だ。しかし、状況はそれを許してくれない。|百獣族《バルバロイ》達は、この村を目指して迫っているのだ。
(――覚悟を決めるしかない、な)
こうして、二人は初めて|人造竜騎《キャバリア》で|出陣する《出る》事になったのだった。
●
「まさにー、聞こえてる?」
「あ、ああ……」
要領を掴んだ所在と対照的に、真志の方は対象覚束ない動きで進みつつ、応じる。
「まさにー、こういうのは基本的にフィーリング! ガっといってギューンなんだよ!」
真志のそんな動きから察した所在はそう言って、その|人造竜騎《キャバリア》が応援するかのようなポーズをとる。見た目こそ厳つい|人造竜騎《キャバリア》だが、その動きは明らかに日頃の所在のものであったので、真志の表情が笑みに緩む。
「判った。ガッといってギューンだな」
竜騎の操縦座の裡で頷くと、この世界特有の長剣型の操縦桿を操作する。緊張が多少なりと抜けたからだろうか、|人造竜騎《キャバリア》は意図を汲み取るかの如くスムーズに動いた。
「何とか様になったし急ぐぞ」
「うん! 村に近寄せちゃいけないしね!」
そう互いに声をかけたって二人は羽音の聞こえる方へと急ぐ。
●
「お前達が我らの策を妨害する者たちか!」
ほどなくして、二人の頭上から誰何する声がする。視界を天に向ければ、翼もつ|獣騎《バルバ》の群れが舞っていた。
どうやら彼等が羽音の主であり、村を呪いに沈めた存在へと繋がる者のようだ。
所在の駆る|人造竜騎《キャバリア》が鋼糸をその手にするのと、真志の駆る|人造竜騎《キャバリア》が黒炎を纏って前に出るのはほぼ同時だった。彼等を斃さねば、村が犠牲になるかもしれない。その想いが二人を突き動かしていた。
「所在、お前は弾き飛んだのを殺れ!」
黒炎を纏った|人造竜騎《キャバリア》が、その声と共に地を蹴る。そのまま|獣騎《バルバ》達へ届きそうな高さまで舞い上がると、彼等を巻き込むように地へと突き刺さるように降りてくる。
黒炎から逃れた|獣騎《バルバ》は、所在の|人造竜騎《キャバリア》から放たれる鋼糸が巻き込んで粉砕していく。
「邪魔は無意味だぞ。圧し通る!」
「ごめんね。君達に恨みはないけど、殺すから」
二人の連携に、|獣騎《バルバ》達は徐々に森の方へと押し戻されていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふえ?私たちもキャバリアで出動だ!
って、アヒルさん私たちはキャバリアを持っていませんよ。
ここにはレンタルがあるから大丈夫ですか?
伝説の生物「アヒル」を模したキャバリアがきっとある筈って、どこからツッコめばいいんですか?
「アヒル」さんは伝説の生物じゃないですし、そもそも私はキャバリアを操縦できませんよ。
アヒルさんは……無理ですよね。
どうするんですか?
こうなったら、ぬいぐるみの魔法で我慢するって、私たちに他の手はないですよ。
獣騎さんの攻撃はとにかく逃げて、初撃を躱せば次は当たりませんのでその隙に攻撃です。
●
「ふえ? 私たちもキャバリアで出動……って、アヒルさんっ」
頭上の彼方で響く羽音をBGMに出陣する|人造竜騎《キャバリア》を見送る形になったフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は、自分も続こうとして、『アヒルさん』の顔を見る。
「私たちはキャバリアを持っていません!」
そう。この世界の出ではないし、|鋼鉄機舞う世界《クロムキャバリア》の出身でもないフリルは|人造竜騎も鋼鉄機《どちらのキャバリア》も持ち合わせてはいないのだ。
「|クエッ《大丈夫》。|クエェクエッ《レンタルできる》」
『アヒルさん』がどこからともなく、書状を出してくる。フリルの代わりに受け取っていたらしい。
「|クエクエ、クエエクエ「クエッ」クエクエエエクエッ《きっと、伝説の生物「アヒル」を模したキャバリアがある筈》!」
「どこからツッコめばいいんですか?! そもそも私はキャバリアを操縦できませんよ!」
「アヒル」は伝説の生物なのかという所から既に問題ではあるのだが、そんなことを言っている場合でもなく。|人造竜騎《キャバリア》、借りないのか? と見上げる『アヒルさん』の視線が突き刺さりながらもフリルは先行する|人造竜騎《キャバリア》の後を追って走りだす。
●
|人造竜騎《キャバリア》に踏まれたり|獣騎《バルバ》に潰されない位置で、フリルは立ち止まる。
「こうなったら、ぬいぐるみの魔法で……」
そう言うフリルに向けて、相変わらず何か言いたげに見上げてくる『アヒルさん』。
「私たちに他の手はないですよ」
『アヒルさん』の視線を受けて、半ば自棄気味にフリルは応じると、|ぬいぐるみの魔法《ユーべルコード》を発動させる。|人造竜騎《キャバリア》の半分ほどの大きさではあるが、十分大きな――そして可愛らしい二足歩行のくまのぬいぐるみが召喚される。その手には、可愛らしいステッキが握られている。
「……くっ! こんな子供騙しで!」
フリルの動きにあわせてぬいぐるみがステッキを振り回し迎撃する様は、戦場の空気とは真逆のかわいらしさなのだが、意外な事に翼持つ|獣騎《バルバ》達は狼狽えており、それなりの数の|獣騎《バルバ》を退ける事に成功したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
「後は俺達に任せてくれ」
相棒と少年に声を掛けてから
受け取っていた紹介状を持っていこう
紹介状のお陰ですんなり借りれた
後は乗り込んで戦いに向かうだけだが
俺も流石に人造竜騎は初めてなんだよな
バイクは日常的に使うし、あとは
「ヘリの運転くらいなんだよな、俺」
時人が怪訝な顔をしてるけど
そんな難しい物でもないんだけどな
人造竜騎自体の操作はバイクみたいだ
身体を脚で支えて、ハンドルを握って
少し動かして慣れさせたら
相棒と腕を打ち合わせて戦場へ
「あぁ、往こうか」
敵の数が多くとも関係ない
俺のUCで縛り上げて、相棒が吹き飛ばして
後は二人で人造竜騎のまま蹂躙できる
「一匹も残させないからな!」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
コトが終わるまで隠れてと少年に言い置き
紹介状を片手に急ぐ
人造竜騎借りるね
「世話になるね、ありがとうだよ!」
この型は初めてだけど普通に騎乗もあるし
「バイクに車、何なら戦争でF1も乗ったし」
えぇ?ヘリ…?
「それは流石にあんま普通じゃないと思う」
陸井は何気にお大尽情報出してくるから
何年経っても時々ビビるなあ
動かすのは陸井ほどじゃないけど直ぐ慣れた
「よし、じゃ往こう!」
武器の代わりに竜騎の腕を打ち合わせて
全速で走る!
敵は山ほどいるけど
多いだけなら対処のしようはある
加速しながら大拡散砲を放つ!
勢いで弾かれて墜ちるのや
陸井のUCにヤラレるの踏みつけ掻き切って
暴れまわってやるよ!
●
「後は俺達に任せてくれ」
「コトが終わるまで隠れてるんだよ」
凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)と葛城・時人(光望護花・f35294)の言葉に、少年は頷いて応えたのを確認して、二人は|人造竜騎《キャバリア》が置かれている砦へと駆けていく。
村からやや離れた所にいる自分たちはおそらく遅れを取っている可能性がある。他の猟兵たちも来ている筈だから、成す術もなく村が被害を被る事はないだろう。それでも、その可能性が僅かでも起きない為にと、二人は急ぐ。
以前訪れた辺境では、騎乗できるタイプの|人造竜騎《キャバリア》があり、其れを借りることができたのだが、今回はこの世界においてスタンダードな型である搭乗型のものしかないようだった。
時の悪戯で年若く見える二人だが既に成人しており、更に他の世界の危機に際してF1カーに乗る機会もあった。|鋼鉄機舞う世界《クロムキャバリア》へも訪れた事だってあるのだが、その時は|鉄鋼機《キャバリア》に乗ることなく事態に対処していた。だが、この世界で|獣騎《バルバ》たちと渡り合う為には、|人造竜騎《キャバリア》に乗る事はどうやら避けられない。二人の感覚で言うなら“巨大な獅子の兜の西洋甲冑”という印象を与えるそれを、借り受ける事となった。
「バイクは日常的に使うんだが、ヘリの運転くらいなんだよな、俺」
「えぇ? ヘリ……?」
乗り込む前、|人造竜騎《キャバリア》を見上げながらぽそりと呟いた陸井の意外な発言に、同じように借り受けた騎体に乗り込もうとしていた時人が驚愕に言葉を喪って動きを止めた。
「それは流石にあんま普通じゃないと思う」
気を取り直した時人は、苦笑を浮かべながら|人造竜騎《キャバリア》へと乗り込む。長い付き合いの相棒だが、時々予想もしない情報が零れ出てくるのだから、いい意味で油断がならないんだよなと思いながら。
●
なるべく村から離れた所で敵と対峙できるよう、動作の確認をしながら移動を始める事にする。
これまでの経験のお陰か、操作になれるのは然程苦ではなく操作を把握することが出来、戦いの気配も濃くなっていく。
「よし、じゃ往こう!」
「あぁ、往こうか」
武器の代わりに|人造竜騎《キャバリア》の腕を打ち合わせ、進む速度を速める。
「人間に与するもの達を通すな!」
二人の接近を察知した|獣騎《バルバ》が、仲間たちへと警戒の声を上げる。
この世界の深い事情は分かりかねるが、知りうる情報からすると彼等もまた被害者なのかもしれない。しかし、今生きる人々が贖うものなのか。色々と過るものはあるが、それでも、二人はあの少年に言ったのだ。任せろ、と。
「多いだけなら! |白羽の白燐蟲《ククルカン》!」
|獣騎《バルバ》の翼から放たれた羽の嵐を、時人が放った|白羽の白燐蟲《ククルカン》の群れが受け止める。その光の合間を縫って、陸井の戦文字が|獣騎《バルバ》たちを地へ落とさんと彼らへ絡みつくように広がっていった。地に落ちた|獣騎《バルバ》は、普段使う武器と同じ|型《タイプ》の|人造竜騎《キャバリア》用の武器で以てして撃破していく。
「一匹も残させないからな!」
例え慣れぬ|人造竜騎《キャバリア》に乗っていようとも、これまでに積み上げた経験による冴えは衰えず、|獣騎《バルバ》は少しづつその数を減らしていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カレワド・ルーメ
竜騎を借り受け、森へと飛び立たん…騎を取られる守衛騎士達には迷惑をかける。
………翼持つ獣騎か、厄介な。段取りも良い、備えていたか…ならば逃す訳にはいかず。
「我、騎士として、この場にて決着を付けん!」
空を自在に舞い、徒党を組む獣騎相手に困難な誓い…それ故に込み上げる力と知覚は、如何なる動きにも応える程に十全である。
………「誓ったぞ、逃がさんとな!」
空中近接戦とは言え、相手の独壇場で戦った故、借機を随分と傷つけてしまった…
「…また借り物に無理をさせてしまった」
思わず口に出た…この後に相手の首領も居るであろうに…反省せねばならん。
#借機の内容指定はせず、戦闘の様子に合わせお任せします。
●
「迷惑をかける」
言葉少なくそう告げるとカレワド・ルーメ(探求の騎士・f45404)は戦場へと急ぐ。このような場で、|かの呪詛騎《「アーサソール・クレルヴ」》の力を借りれば恐らくは当初の最悪な事態を上回る最悪――災厄というほうが良いかもしれない――を引き起こしかねない。そんな判断の元、|人造竜騎《キャバリア》を借り受ける事にしたのだった。
カレワドが|獣騎《バルバ》たちの姿を視界に捉えることができたのは、森の入り口にかなり近い所だった。先行した猟兵たちが食い止め押し留めた結果なのだろう。
(それにしても、厄介な。恐らく事態に備えていたな)
|獣騎《バルバ》たちの手際の良さに、騎士としての知識がそう告げる。事前に伝えられた情報からすると、彼らは未だ前哨戦に過ぎないはずだ。
(……ならば逃す訳にはいかず)
戦槌を|獣騎《バルバ》たちへと向け、カレワドは告げる。
「我、騎士として、この場にて決着を付けん!」
それは、この世界の騎士たる者としての宣誓であり、ユーべルコードたる力の発露。
「地を這う矮小な人間が!」
地に立ち誓いを謳う|人造竜騎《キャバリア》を、|獣騎《バルバ》たちは嘲笑う。確かに地に立つ|人造竜騎《キャバリア》単騎で、空舞い連携する|獣騎《バルバ》たちに挑むのは、厳しい戦いであろう。しかし、それ故に、誓いはカレワドに力を与える。常の|人造竜騎《キャバリア》では出せぬであろう膂力で地を蹴り、その戦槌で|獣騎《バルバ》を地へと叩き臥せる。
「――誓ったぞ、逃がさんとな!」
その言葉と共に、未だ空に舞う|獣騎《バルバ》へと向かい、カレワドは駆ける。
●
「……また借り物に無理をさせてしまった」
翼もつ|獣騎《バルバ》の大半を叩き臥せ、大破に近い状態で僅かに残った|獣騎《バルバ》も、主に注進するためか、森へと引き上げていく。それを見送りながら、|人造竜騎《キャバリア》の操縦席でカレワドは呟いた。
相手が優位の戦場であったのは確かだが、借騎であるにも関わらず随分と無理をさせてしまった。未だ首領が残っているにも関わらずだ。
(後で守衛騎士達には謝らねばならんな)
息を吐きつつカレワドがそう思った時、森が揺れるような咆哮が轟いた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『武熊公』バルーサビヨーネ』
|
POW : ポラリスシールドバッシュ
【大盾】に【絶対零度の冷気】を籠めて近接攻撃し、ダメージを与えた対象をレベル×1回転させる。
SPD : ポラリスアーマー
自身の装備する「【鎧】」を変形させ、防御力・回避率・状態異常抵抗率・回復力のいずれかを10倍にする。
WIZ : ポラリスブレス
【口】から、戦場全体に「敵味方を識別する【凍て付くブレス】」を放ち、ダメージと【凍結】の状態異常を与える。
イラスト:イプシロン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ジェラルディン・ホワイトストーン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●その応報の是非は|何処《いずこ》
森の奥から咆哮が轟く。
「ただ己らの義憤のみで我々に刃を向けるか」
姿を顕したのは、白い氷華を纏いし黒鋼熊騎。
「あの騎士とやらが何をしたかお前達は知っているのか」
人造竜騎に乗る猟兵たちだけでなく、距離を置いて生身で立つ猟兵まで、順番に顔を見据えるかのように視線を向けつつ、黒鋼熊騎は続ける。
「我ら|極星《ポラリス》の民を、|獣騎《バルバ》にはならぬ弱き者まで残らず惨たらしく手にかけた事実を、是とするか!」
慟哭さながらの咆哮が、空気を震わせる。
黒鋼熊騎の言う“事実”についての真偽を示せる者は今此処にはいない。例え真実だったとしても、今の黒鋼熊騎を見逃せば、悲劇の連鎖が続くだけだ。何より、今の黒鋼熊騎は、|過去の残滓《オブリビオン》である。現在を過去に塗りつぶされるわけにはいかない。
黒鋼熊騎はその手の大盾を構え、朗々と名乗りを上げる。
「我は|極星《ポラリス》の民。『武熊公』バルーサビヨーネ! 我が応報を否定するのであれば、その武を以て止めて見せるがいい!」
過去の復讐か、現在の贖罪か。
“呪い”を巡る戦いは、終局に向けて走りだす。
ヘルゲ・ルンドグレン
遅ればせながら参上!
魔を操る騎士、ヘルゲ・ルンドグレンとその愛騎ウロボロス!
義によって助太刀するわ!
勿論、かつての人の行いを是とするわけではない……だけど、今の貴方を放って罪なき人々が苦しむ悲劇を繰り返すわけにはいかないのよ!
そちらが単騎ならこっちは数で勝負!
おいで、ゴーレムたち!
如何にもヤバそうな近接戦に付き合うつもりはなくてね!
ゴーレムたちの一部を近接攻撃の盾にしつつ、残りのゴーレムたちで包囲攻撃!
アタシたちもそのゴーレムたちの動きに紛れて動きながら、魔力弾を撃ち込んでいくわよ!
●
「遅ればせながら参上!」
その声と共に姿を顕したのは、 |黒蛇の妖精竜騎《ウロボロス》を駆る魔導騎士、ヘルゲ・ルンドグレン(魔導騎士・f44787)だった。
「新手が来たのか」
「ええ。魔を操る騎士、ヘルゲ・ルンドグレンとその愛騎ウロボロス! 義によって助太刀するわ!」
睨め付けるような黒鋼熊騎の視線を、コクピット越しに受け止めながら、ヘルゲは名乗りを上げる。
この世界で生まれ育ったヘルゲは、当然ながら|百獣族《彼ら》が人間にどのような行いの末に絶滅させられたのかを知っている。故に、人の所業を是とは言えない。しかし。
「……今の貴方を放って罪なき人々が苦しむ悲劇を繰り返すわけにはいかないのよ!」
等しく背負った咎を風化させぬよう、騎士は騎士たる道を以て贖罪を負うているのだ。それは、このような悲劇の輪廻を止めるため。故にヘルゲは|黒蛇の妖精竜騎《ウロボロス》の魔力炉へ己の魔力を注ぐ。
「我ら悉くを滅した者達、そこに連なる者が何を言うか!」
「それでも、よ! おいで、ゴーレムたち!」
ヘルゲが|黒蛇の妖精竜騎《ウロボロス》の魔力炉に満ちた魔力を利用して、|土像兵《グランドゴーレム》を喚び出せば、黒鋼熊騎もまたその手の盾を構えて迎え撃たんとする。
「我|単騎《ひとり》に群れであたるか」
「卑怯とか言っちゃう?」
「|土像兵《ゴーレム》は使い魔にすぎん。ならばそれは策であるな」
黒鋼熊騎は、ヘルゲの|土像兵《グランドゴーレム》たちの攻撃を大盾で受け止め、薙ぎ払う。くるくると回転しながら吹き飛ばされる|土像兵《グランドゴーレム》はヘルゲが呼喚び出した数としてはあまりにも少ない。
「如何にもヤバそうな近接戦に付き合うつもりはなくてね!」
攻撃を受け止めさせた残りの、未だ無傷な|土像兵《グランドゴーレム》たちが一斉に黒鋼熊騎へと攻撃を重ね、その合間を縫ってヘルゲも自分の魔法で攻撃を重ねていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、大きな熊さんです。
私のぬいぐるみの魔法でも勝てそうにもないですよ。
ふえ?古今東西、強大な敵に打ち勝ってきたジョブがあるって、アヒルさん何を言っているんですか。
勇者、騎士、そして魔法少女――魔法少女フルフリ☆フリルに変身だ!
って、この世界はその体格差をちゃんと埋めるのがルールですよ。
それで、どうするんですか?
ふえ?強大な敵には必殺技で挑むから、ダメージを与えて魔力を溜めるんだって、熊さんが守りの姿勢に入っちゃいましたよ。
これじゃダメージが入らないじゃないんですか?
|クリティカル《急所突き》なら防御力は突破できるって、それ結構大変ですよね。
それに必殺技の隙は……。
気合で頑張れなんですね。
●
「ふええ、今度は大きな熊さんです」
|人造竜騎《キャバリア》に乗らざるフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は、黒鋼熊騎を見上げてそう零した。
「|クエクエックエ、クエエ!《何を怯んでるんだ、フリル!》」
お供のガジェット、『アヒルさん』が発破をかけるようにフリルへ訴える。
「そんなことを言ってもですね、私のぬいぐるみの魔法でも勝てそうにもないですよ」
フリルが喚び出すぬいぐるみは黒鋼熊騎の半分にも満たないのだ。流石に地に立つもの同士となれば、その体格差は歴然とした不利にしかならい。
「|クエエ。クエクエッ、クエクエエクエックエッ《フリル。古今東西、強大な敵に打ち勝ってきた存在がいるじゃないか》」
「……アヒルさん、何が言いたいですか?」
『アヒルさん』がまるで生徒を諭す教師のようにフリルへと語りかけてくるが、フリルには『アヒルさん』の意図を理解できずに首を傾げる。
「|クエエ、クエ、クエックエクエ――《勇者、騎士、そして魔法少女――》」
「魔法少女フルフリ☆フリルに変身だ――って、この世界のルールは判ってますか?!」
|百獣族《バルバロイ》は、フリルより遥かに巨大な|獣騎《バルバ》へと姿を変えるのだ。先刻の翼もつ|獣騎《バルバ》たちはどうにか乗り切ったが、流石に黒鋼熊騎を相手にそれは厳しいはず。戸惑うフリルへ、『アヒルさん』はフリルに耳打ちで策を授ける。
「気は済んだか」
そんなフリルと『アヒルさん』へ黒鋼熊騎の重々しい声が落ちる。
「偽りの|獣騎《バルバ》にも成らず我に立ち向かう武勇は見上げたものだが……」
そう言いながら、黒鋼熊騎の纏う鎧が変形していく。
「――言ってた通りになっちゃったじゃないですか……!」
ため息をつきながらフリルは|魔法の杖《フルフリステッキ》を手にし、振るう。
「そんな簡単に|クリティカル《急所突き》が出るわけがないじゃないですかーーー!」
「|クエクエ☆クエエ、クエクエー!《フルフリ☆フリル、がんばれー!》」
涙目になりながらフリルは黒鋼熊騎へ攻撃を重ねていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カレワド・ルーメ
「我らの祖に咎ありて、汝の応報に是非はなし。ただ我ら、悔恨の標たる事を望まれれば」
鋼の竜が前へと歩む。
「エルロンドがアストラトのカレワド。略式にて失礼するが…貴殿に決闘を申し上げる」
仰々しくも武器を構え、鋼鉄の瞳が見据える。
「騎士として、勝敗のみが今日の是非を裁くと誓う…いざ!」
されど手負いの竜騎と万全の武者の戦い、何合も交えること能わず。故に勝機は瞬間にのみ。
空より戦槌を打ち付けようと、あの大盾を割ること叶うまい…だが、爪であれ何であれ、反撃は盾が基点であろう。
ならば跳ね除けられる合間に槌を捨て、剣にて回り込み斬る…二度は無し、いざ賭けん…!
(操縦、騎士道、地道な努力、決闘、カウンター提出)
●
「我らの祖に咎ありて、汝の応報に是非はなし」
その言葉と共に、他の|人造竜騎《キャバリア》に比べると騎体の損傷が目立つ|人造竜騎《キャバリア》が進み出る。戦槌を手にしたその|人造竜騎《キャバリア》を駆る騎士の名は、カレワド・ルーメ(探求の騎士・f45404)。
「ただ我ら、悔恨の標たる事を望まれれば」
手にした戦槌を眼前に掲げて、カレワドは告げる。
「エルロンドがアストラトのカレワド。略式にて失礼するが……貴殿に決闘を申し上げる」
それは略式とはいえ、古えの決闘の作法に則ったもの。
「我らの屍の上で繁栄せし地の騎士か。敢て最前へ切り込むが故の損傷――正しく神に力を授けられていれば良き戦士と成れたであろうに」
黒鋼熊騎はカレワドの借騎の損傷を一瞥し、その立ち回りを推察したようだ。それは恐らくは武人であるが故の賞賛の言葉。だからこそ、なのだろう。
「その申し出、請けよう」
大盾を構えつつの受諾の言葉は、簡潔であり厳粛に。|獣騎《バルバ》と|人造竜騎《キャバリア》の鋼鉄の瞳が交錯し、|聖なる決闘《トーナメント》の流儀に則った、一対一の戦いが始まる。
「騎士として、勝敗のみが今日の是非を裁くと誓う……いざ!」
戦槌を掲げたままで、カレワドは誓いを告げ、駆ける。
(此方は手負い……流石に万全の武者の戦い、何合も交えることは)
騎体に無理を強いている事は重々理解をしている。それも、相手にするのは此方の損傷具合で立ち回りを推察できる程の武者である。ならば、勝機を見出せるのは一瞬であろう。
間合いに入り攻撃を受ける事も厭わずに攻撃を加える。確かにそれは平素からカレワドが取りがちな戦術であり、主のみならず師からも、幾度も窘められる立ち回りである。しかし、其れ一辺倒の戦いをするのではないのが、カレワドである。
(……二度は無し、いざ賭けん……!)
白い氷華を纏った黒い大盾が、構え振り抜かんとした戦槌にめがけて振り下ろされんとしたその時、その勢いのままカレワドは戦槌を投げ捨てた。そのまま流れるように、|人造竜騎《キャバリア》の腰部に佩かれていた剣を鞘走らせる。
「――な?!」
大盾をすり抜け肉薄しての一閃は、黒鋼熊騎の身体に確かな傷を刻みつけていた。
大成功
🔵🔵🔵
桂・真志
弟分の所在(f43975)と
あくまで復仇を叫ぶか
恐らく理を説いてもあの者の耳には届かんな
「亡者の時は停止している」
当たり前だ
本来死ねばそこで全ては終わるのだから
だが必ず倒さねば
「何故なら、死者が生者を恣にして良いものでは」
決してないからだ、という俺の言葉は
言い方は違うが弟分の声と綺麗に重なった
「そうだな、いこうか」
だが無言で打ち掛かるのは無礼だな
あの男はきちんと名乗っている
俺は桂真志という、と名乗りをあげてから
語りかける
「水底より無慈悲に呼び出された事は悲劇だと思う」
それは何の責任もない事だ
「…だが今更、武を以て非を鳴らすのは単なる暴虐だ」
と告げよう
「最初のやり方も、だ。あなた方は正々堂々が旨ではなかったか」
そこを見るだけでも解る
元の、民を守る正しき騎士ではないのだ、と
「骸の海より呼び返された時点であなたは変質している」
故にこの戦いの正義は我らにあり、と
「所在!」
火蓋が切られたら後はただ死ぬのが何方かという話だ
殺戮・極はこのガワ越しでも作用するようだ
「あなたを殺し安寧を築いてみせよう!」
凶月・所在
兄貴分のまさにー(f43974)と
復讐ってほんとに難しいお話だと思うんだ
当人からしてみたらとっても正しい事で
される側からしてみたら理不尽な事が多くて
今の僕達から見たら相容れない事で
だけどどこからも正義があって
だからなんて声をかければいいのかわからなくって
でもまさにーの言葉が迷いを払ってくれて
「そっか…ほんとなら、終わってる事、だよね」
僕が今しないといけないのは何よりも
今を生きる人達を助ける事、だから
「今を生きる人達を蔑ろにして良い訳は、絶対、ないんだよ!」
ちょっとだけブレそうだった切っ先も
しっかり敵を見据えられるから
「うん、いくよ、まさにー」
何時も通り切り込もうとしたけど
まさにーが名乗りを上げてるから
慌ててつんのめって僕もするんだよ
「僕は、凶月所在」
まさにーが言葉にしてくれて
僕も落ち着いて前を向けるから
殺す結果は変わらないんだけど、だけど
「僕達は、その暴虐を止めるからね」
「合わせるね、まさにー!」
殺戮の流儀はこの戦いでも効くみたい
まさにーと二人で、不死の全力で
「僕は、守る為に…殺すから」
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「亡者の時は停止している」
黒鋼熊騎の叫びに、桂・真志(新世界に光望む者・f43974)は|人造竜騎《キャバリア》のコクピットで思わずそう零していた。
目の前の黒鋼熊騎は、既に遥かな過去に死した――|人間《ひと》により絶滅せし存在。即ち、|過去の残滓《オブリビオン》なのだ。どれほど復仇を叫び、それが真実だとしても、過去が覆ることはあり得ない。
(――恐らく理を説いてもあの者の耳には届かんのだろうな)
そんな思いで|人造竜騎《キャバリア》のコクピットの裡で息を吐いた真志の傍ら、同じく|人造竜騎《キャバリア》のコクピットの裡で凶月・所在(優しい殺人鬼・f43975)は深呼吸をして、呟く。
「そっか……ほんとなら、終わってる事、だよね」
真志の言葉を聞く迄、所在は黒鋼熊騎の叫びに複雑な思いを抱えていた。当人にしてみればそれは正しい行い、もしくは彼が言う通り応報であるのかもしれない。しかし、この世界の“今”を生きている者がそれをただ受け入れる事など出来るわけがあろうか。
過去のものであるという事は、ある意味では“終わっている”。死したものであれば、猶の事。
「何故なら、死者が生者を恣にして良いものでは」
「今を生きる人達を蔑ろにして良い訳は、」
二人の言葉と意思と言葉が、重なる。
「決してないからだ」
「絶対、ないんだよ!」
武人たる黒鋼熊騎は二人のその言葉を受け止め、なお揺るがない。その手の大盾を構えて、告げる。
「ならば、その武を以て示すがいい」
敵に肉薄せんと|人造竜騎《キャバリア》を進めようとした所在を制するように、真志は己が駆る|人造竜騎《キャバリア》が手にしていた大剣を地に突き立てる。
「無言で打ち掛かるのは無礼だな。俺は桂真志という」
「――っとと。僕は、凶月所在」
黒鋼熊騎は先刻姿を顕した際に名乗りを上げた。それならば、此方もそうしなければと、真志は自然と思い至ったのであった。その名乗りに、慌てた所在は一瞬バランスを崩しかけたが、転ぶことなく静止し、真志に追従して名乗る。
「水底より無慈悲に呼び出された事は悲劇だと思う。……だが今更、武を以て非を鳴らすのは単なる暴虐だ」
地に刺した剣を改めて手にし、構え直した真志は落ち着いた声音で続ける。手にした剣が陽炎のように揺れる不可視の殺意を纏った。
「最初のやり方も、だ。あなた方は正々堂々が旨ではなかったか」
今回のやり方は、|聖なる決闘《トーナメント》の定めに従い|極星《ポラリス》の民を守る戦士であるならば、選ぶものであろうか。彼がこれを“そう”なのだと思っているのであれば。
「骸の海より呼び返された時点であなたは変質している」
断罪の言葉と共に、真志は陽炎揺れる大剣を振るう。真志が戦う姿勢を見せた時点で防御に徹するよう鎧を変化させた黒鋼熊騎は、その攻撃を受け止めた。重い鋼の音と共に、衝撃が操縦剣越しにも伝わる。
真志に追従するように所在がその周囲に鋼糸を巡らせながら続ける。
「僕が今しないといけないのは何よりも、今を生きる人達を理不尽から助ける事、だから」
月光のような光を纏った鋼糸が揺れて、周囲を取り巻く。
「あなたからしてみたらとっても正しい事なんだろうけど、僕達は、その暴虐を止めるために」
――殺すね。
その言葉を口にするよりも明確に、鋼糸が明確に黒鋼熊騎へその殺意を向ける。
「先に非道に手を染めたのは|人間《ひと》ではないか!」
二人の殺意を受け止め、黒鋼熊騎は吼える。
「力持たぬ者すら殺意に染め上げ、悉くを死に至らしめた! その非道に相応の行いで返すのは応報ではないか!」
「それが、変質していると言っているんだ」
激昂する黒鋼熊騎と逆に、その攻撃を大剣で受け止める真志は冷静に言葉を返す。
二人が其々に纏う殺意は、その身が頽れる事を許さず、更には二人の戦う力を増幅させるもの。それは彼等自身だけでなく、操縦する|人造竜騎《キャバリア》にも影響する。
「所在!」
「合わせるね、まさにー!」
|人造竜騎《キャバリア》越しに声を重ね、二人は攻撃を重ねあわす。
「あなたを殺し安寧を築いてみせよう!」
「僕は、守る為に……殺すから」
鋼糸に穿たれ、大剣に打ち据えられた黒鋼熊騎が轟くような咆哮をあげた。
大成功
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葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
その慟哭と気持ちはわかる
だけど肯定は出来ない
してはいけない
何百年も前の断罪を
今を生きる無辜の民が受ける謂れはない
搭乗口を開け身を晒す
危険かもだけど
彼も元は騎士道を貴ぶ者だから
信じて良いと思ったんだ
見据えて呼びかけるよ
前相談もなく陸井も同じようにして
二人で生身の体で相対している
やっぱり即攻撃はしてこないね
流石はこの世界の武人だって思う
「武熊公!俺の名は葛城時人!」
能力者にして猟兵だと続けて一度目を伏せ
「貴公と極星の一族に心からの哀悼を」
その上で大喝を
「だけど、俺達は引く気はない!」
今度は真っ直ぐ視線を合わせて相棒と呼応し
「力なき者の盾となる己が誓いを以て貴公と戦う!」
と宣言を
再搭乗も待ってくれた事に陸井と謝辞を送り
自分に白燐奏甲、高速・多重詠唱で陸井にも
後は俺はただ全力でキャバリアで戦う
全身全霊でただただ正々堂々と
彼の間違いは再生されてしまった事だけ
それも彼のせいじゃない
その間違いを知って犯した者に何れは断罪を
彼の分も復仇を誓おう
「貴公も氏族の名前も忘れないよ」
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
強い彼の意思に
言葉に嘘はないと感じる
それは在った事であり
復讐は彼にとって正当な物だ
だけどそれは絶対に肯定できない
肯定は虐殺を見過ごす事で
そしてそれ以上に
無辜の民が受けるべき復讐ではないから
だから今俺がすべき事は解る
頭からの否定でも肯定して受け入れるでもない
彼を一人の武人として、そして騎士として
向かい合う為に言葉で相対する事
相棒も同じことを考えていたのか
搭乗口を開けてほぼ同時に生身で相対している
その事にも安心を覚えながら
強く声を張り上げていくよ
「武熊公!俺は凶月陸井だ!」
共に名乗って、その後は相棒の言葉に続けるように
「そして哀悼と共に、貴公の強き意思に応える為に!」
俺達の思いをぶつける
「俺達は護るべくを護り!」
騎士の戦いで思いを貫き通す為に
再度乗り込むまで待ってくれる事にも
感謝を伸べつつ、いざ尋常に勝負
能力者として猟兵として、騎士として
互いに触れるほどの至近で打ち合い
能力者として最大の力を竜騎の手に纏い
今へと捻じ曲げられてしまった思いを断ち切る
「本当に、強いよ」
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二騎の獅子型の汎用|人造竜騎《キャバリア》の搭乗口がほぼ同時に開き、操縦者がその身を晒す。葛城・時人(光望護花・f35294)も、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)も、特に示し合わせた訳でもなかった。
騎士道とは名づけられてはいなかったかもしれないが、其れに即しているであろうもの――|聖なる決闘《トーナメント》の掟を貴ぶ者であるのならば、そうしてもそこに危害を加える事はないだろう。何よりも、そうしなければならぬと、そうして誠実さを示さねばならぬと、そう感じたが故である。
「武熊公! 俺の名は葛城時人! 能力者にして猟兵だ」
「同じく。俺は凶月陸井だ!」
先に名乗りを上げたのは、時人。次いで陸井が名乗りを上げる。その体躯の差故に意識して声を張る事にはなっているが、戦場を吹く風に搔き消される事無くその声は戦場によく通った。
「貴公と|極星《ポラリス》の一族に心からの哀悼を」
二人其々に目を閉じ、哀悼の意をその姿勢からも示す。武熊公たる黒鋼熊騎が、このようになる程の理不尽に晒されたというのは事実なのだろうと、その慟哭に感じたのだ。それでも、二人は顔を上げて黒鋼熊騎を見据える。
「だけど、俺達は引く気はない!」
例え悲劇が事実であり、応報が正当なものであったとしても、その断罪は今を生きる無辜の民に与えられるものではないだろう。この世界について二人が識る事は少ない。それでも、この行いを肯定してはいけないという事は理解している。
「力なき者の盾となる己が誓いを以て貴公と戦う!」
「哀悼と共に、貴公の強き意思に応える為に!」
告げる誓いは朗々と重なり響く。
「ならば、我らが掟に則り、汝等が意を示すがいい!」
誓いに応じるは咆哮。其れは対話で以てその意を論じる時は既に終わり、此れよりはその武と技で以て示す時であると告げる鬨の声だった。
二人は視線を交わして再び|人造竜騎《キャバリア》の裡へと帰る。
「此方が乗り込むまで待ってくれた事に感謝を」
「その在り方に、改めて敬意を送るよ」
「万全でない戦士を相手に武を誇る事などせぬだけの事だ」
其れは神に選ばれたる|獣騎《バルバ》へ転じるちからを持つ者として、そして、嘗て暴虐を尽くした|人間族《ひと》の如くにはなるまいという矜持か。ならばそれに応じる事こそが、この戦いの結末なのだろう。
「『ククルカン、俺に力を!』」
時人の声に応じるように|白羽の白燐蟲《ククルカン》が二人の周囲を舞い踊る。その輝きを合図とするように、陸井の駆る白燐の輝きを纏う|人造竜騎《キャバリア》と、氷結華を纏う黒鋼熊騎が滑るように進み出て武器を振るう。
黒鋼熊騎のブレスの影響もあり、二人は数合打ち合う毎に入れ替わって武器を振るう。扱う武器の違いもあり、異なる立ち回りをする、黒鋼熊騎を翻弄する事になった。
「本当に、強いよ」
受けた武器の重さが|人造竜騎《キャバリア》の操縦桿越しに伝わる感覚を感じながら、陸井は呟く。
「それでも、俺達は護るべくを護る!」
その言葉と共に、陸井は|人造竜騎《キャバリア》の武器を手放し、徒手にてその懐へと滑り込む。
「『この一撃で終わりだ……』」
徒手でありながら、水の術式を纏ったその掌が、自身の術式諸共に黒鋼熊騎の腹部で弾けた。
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黒鋼熊騎が、さながら外装が剥がれるように崩れ落ちていく。
(間違いは再生されてしまった事で、それだって、彼のせいじゃない)
術式が断裂した事により傾ぐ陸井の|人造竜騎《キャバリア》を支え、その様を見つめながら時人は思う。過去と成り骸の海に沈む彼等がこのように再生されるのは如何なる所以であるのかは、未だ判らない。
「――その間違いを知って犯した者に何れは断罪と、復仇を誓おう」
「既に人間どもの間には、我らの事すら正確に残っていないのだ」
それは、あの子供を唆した時点で、武熊公は気づいていた。彼等にとっては、今や一括りの|百獣族《バルバロイ》に過ぎないのだと。
「あの村が生命力を吸われ尽くして村が滅んだとしても、あの子供の行いが露呈して破滅を迎えていたとしても――」
その先が紡がれるより先に、武熊公の姿も、黒鋼熊騎と同様に消え去っていた。
その名残を打ち消すかのように一陣の風が吹き流れていく。
「貴公も氏族の名前も忘れないよ」
手にした錫杖の鎖を揺らす風の行く先を見つめながら、時人はその彼方に去ったであろう武熊公へ言葉を紡いだ。
大成功
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