●たぬ……たぬ……
ここは獣人戦線、アジアの小国の地方都市。
街を行きかうのは、様々な種族の獣人だ。ご存じ、オオカミやトラ、うさぎの他、最近猟兵に覚醒した少数民族、ウシやカラスの姿もある。
だが、ここは、獣人のサラダボウル……というわけではなかった。
歩道を行きかうウマ獣人とヒツジ獣人が、たまたまぶつかった。すると。
ぽふん。
たぬきが現れた!
「あああ、すいませんすいません!」
「こっこちらこそっ! こちらこそ申し訳なくー!」
ぶつかったはずみで化け術が解け、露わになったのは、たぬき獣人の正体。
そう。この街は、化け術で様々な種族に変わってはいるが、たぬき獣人達ばかりが住む、たぬきシティなのだった。
●たぬ……たぬ……たぬ……
タビタビ・マタタビ(猫勇者一歩手前・f10770)は、『獣人戦線』世界での新たな依頼の説明を始めた。弾んだ口調で。
「ウシ獣人さんとカラス獣人さんが覚醒したね! なんかまた超大国が怪しい動きをしているみたいだけど、新しい仲間が増えてくれれば、どんな敵にも負けたりしないよ!」
そんな折、またしても幻朧帝国が暗躍しているという。
街の重要地点に影朧兵器『逢魔弾道弾』を仕掛け、街をオブリビオンであふれる『逢魔が辻』にしてしまおうという、非道な作戦だ。
予知したからには、もちろん阻止しなくてはならない。
「幻朧帝国のエージェントが潜入しようとしているのは、アジアのたぬき獣人さんの街だよ。このたぬきシティでは、みんな化け術を使って、他の種族に化けているみたい」
まるでお洒落をするように、異なる種族の姿をまとっている。
たぬきは、少数のうえ、ユーベルコードに覚醒していない種族だ。そのため、侵略の自衛策として、ユーベルコードを使える他の種族に化けていた時代があったらしい。現在も、その風習が残っているようだ。
また、これには、化け術の鍛錬という意味合いもあるらしい。
「でも、化け術が得意じゃないたぬきさんもいるみたい。術を覚えたての子どもとかもいるしね。そういう人達向けに、定期的に、化け術教室が開かれてるんだよ」
タビタビの依頼とは、その化け術教室に特別講師として参加して、化け術を鍛えて欲しい、ということだった。
「たとえば、大喜利みたいに『化けるお題を考えてあげる』とか、審査員みたいに『化けた姿を採点』するとか、いろいろな方法で手伝って欲しいんだよ」
訓練を通じて、たぬき獣人達とも自然に交流できるだろう。親交を深める良い機会だ。
そんな平和な街に、今回潜入してくる敵エージェントは、『陸軍少尉・山越結』。ウシ獣人だ。先ごろ猟兵として覚醒したのも、記憶に新しい、あのウシ獣人である。
戦術も性格も豪快で、搦め手よりも正攻法を好む獣人だという。
「潜入任務には向いてないような気もするけど、敵地に潜入するには豪胆さも必要、ってことかな? もしかして猟兵と遭遇した時の事も考えてるのかもね」
たぬきもまた、ユーベルコードに目覚める可能性のある種族の1つだ。
「たぬきさんを助けて、どんどん獣人戦線の戦力を強くしちゃおう! じゃあ、みんな頑張ってね~!」
タビタビは、たぬきの街に向かう猟兵達に、小さな手を振ったのだった。
七尾マサムネ
こちらは、『たぬき獣人』の覚醒に向けたシナリオの1つです。2章構成となっています。
●第1章
とあるビルで開催されている、化け術教室に参加します。
化け術の先生(もちろんたぬき獣人です)と一緒に、生徒さんの化け術の鍛錬に加わります。猟兵は特別講師扱いとなっています。
●第2章
エージェントとして都市に潜入してきた『陸軍少尉・山越結』と戦います。逢魔弾道弾の設置現場をおさえ、その陰謀を阻止しましょう。
1章でたぬき獣人さん達と交流していれば、戦闘にも力を貸してくれます!
●たぬきの街
獣人階梯1~2程度のたぬき獣人さん達が人口の大半を占める街です。
ファッション的に他の種族に化けている人も多いですが、たいていたぬきです。
戦う力のないたぬき族が、ユーベルコードを使用する種族に化けることで、自衛していたことの名残のようです。
それでは、皆さんのご参加、お待ちしておりますたぬ!
第1章 日常
『鍛錬あるのみ!』
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POW : 真っ向から力をぶつけ合い鍛え上げよう!
SPD : 速度や技術を競って磨き上げよう!
WIZ : 戦術や戦略、獣呪術を活用した戦いを試してみよう!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●たぬ……たぬ……たぬ……たぬ……
ここは化け術教室の会場。
講師を務めるたぬき先生が、集まった生徒たぬき達にご挨拶。
「はい皆さん、こんにちは、です。本日は特別講師として猟兵さんをお招きしていますです」
おおー、と生徒達から声が上がる。
「超大国との戦いで活躍したっていう、あの猟兵さん」
「何か緊張するー……!」
改まった雰囲気になる生徒達を、先生がなだめる。
「皆さんそう硬くならずに。せっかくの機会ですし、日頃の鍛錬の成果を発揮しつつ、改善点を見つけてもらうです」
「はい!!」
生徒たぬき達の期待のまなざしが、猟兵達に注がれたのだった。
コルト・トルターニャ
こんにちは。新顔だけど宜しくお願い。
じゃあまずはみんなの化け術見せてもらおっか。
化けた姿になった所で、普段それで何してるかも教えて。
ああ、お耳や尻尾が出ても良いのよ。仲間にも「化けてる奴」ってわかりやすいからね。
大切なのは化けた上で何をするか、何ができるかよ。
じゃあそれ踏まえた上で今日は部分的に化けてみよっか。
お耳を蝋燭に化かせて灯りにしてみたり、服を踊子のものに化かせてダンス大会。
私、髪を蛇に出来るから、みんなで蛇に化けて天井にどこまでぶら下がれるか競争もしましょう。
ウシが逢魔弾道弾を、ねえ。
現地入りしたウシの真似をしてウシに化ける、逢魔弾道弾に化けて既に設置したと誤認させるとかどうかしら。
ずいっ。
教壇にまず立った猟兵は、コルト・トルターニャ(魔女・f44905)だった。
「こんにちは。新顔だけど宜しくお願い」
「「「よろしくお願いします!!」」」
たぬき生徒の元気な返事。
「じゃあまずはみんなの化け術見せてもらおっか。化けた姿になった所で、普段それで何してるかも教えて」
「い、いきなり化けるのですか?」
びくん。コルトの依頼に、生徒達は尻込みした。どうやら恥ずかしい、というか、自信がないようだ。
「ああ、お耳や尻尾が出ても全然良いのよ。仲間にも『化けてる奴』ってわかりやすいからね」
「そういうことなら」
コルトに促され、生徒達は、頭に葉っぱを乗せた。
葉自体に不思議な力があるわけではないようだが、化け術のお決まり事らしい。
ぽこん!
腹鼓を合図に、生徒達が|変化《へんげ》した。コルトの前に現れたはの、すらっとしたイケメンオオカミ獣人から、ボールや郵便ポスト、掃除機まで。
皆、たぬき感がどこかに残っていることが多く、完璧とはいえない。けれど、それはコルトも了解済みだ。
「大切なのは化けた上で何をするか、何ができるかよ。じゃあそれ踏まえた上で今日は部分的に化けてみよっか」
「部分的?」
たぬきポストが、耳をぴこぴこ動かした。
「そう。丸ごと別のものになるだけが化け術じゃないでしょう?」
「なるほど、ディテールがしっかりしてれば、全身で化ける時も精度が上がりますね!」
理解が早い。
さっそく、部分化け術の会が始まった。
可愛いお耳を蝋燭に化かせて灯りにしてみたり、服を踊子のものに化かせてみたり。
「んん~難しいです」
「でもでも気合で、えいっ!」
ぽわっ。たぬき灯が教室を照らし、たぬきの陽気なダンス大会が開催される。
「いい調子じゃない? 次は、みんなで蛇に化けて天井にどこまでぶら下がれるか競争しましょう。私、髪を蛇に出来るから」
「やってみるのです!」
コルトも加わって、ぶら下がりスネーク競走、スタート!
判定するのは、たぬき先生だ。
「にしても、ウシが逢魔弾道弾を、ねえ」
「ぐぐ……これも鍛錬です……」
ぷるぷる耐えるたぬき達の中、平然とした顔で、思案するコルト。
「現地入りしたウシの真似をしてウシに化ける、逢魔弾道弾に化けて既に設置したと誤認させる作戦とかどうかしら。今のたぬきさん達ならきっとうまくいくわ」
奮闘する生徒達を見ながら、うん、とうなずくコルトだった。
大成功
🔵🔵🔵
饗庭・樹斉
なんだかのんびりしてそうな気配が…!
普段使いできる練度って応用できれば凄いんだろうし、得意じゃないたぬき達も上達できるようお手伝い頑張るね!
最初は講師として、終わったら勉強する側に回るね。
学び続ける姿勢も大事だしね!
狐七化け狸八化けともいう位だから腕前そのものは皆が上なのでは?
でもビックリしたら解けちゃったり、維持大変だよねー。
そんな訳で精神修養!
衝撃とか驚きにどーんと構えられるようになったら変化も少々じゃ解けなくなる筈で逆もまた然り。
得意な姿に化けておしくらまんじゅうとかの激しい接触や動きがあるのとかやって維持できるように練習、はどうかな?
気付いた事あったら助言忘れず!
※アドリブ絡み等お任せ
「では、次の特別講師の猟兵さんです」
たぬき先生の紹介を受け、教壇に上がったのは、饗庭・樹斉(沈黙の黄雪晃・f44066)だった。
たぬ……たぬ……。お行儀よく座ったたぬき生徒達。
ちょっぴり緊張感もあるかと思いきや、樹斉の予想以上に、のんびり|気配《ムード》に包まれていた。
「ええと、こほん。普段使いできる練度って応用できれば凄いんだろうし、得意じゃないたぬき達も上達できるようお手伝い頑張るね!」
「「「よろしくお願いします~」」」
改まって挨拶した樹斉に、生徒達は元気&呑気に返事をした。
「お手伝い、とは言ったけど、狐七化け狸八化けともいう位だから腕前そのものは皆が上なのでは?」
「でも、短い時間で解けたり、ちょっとビックリしただけで元に戻ったり」
「まだまだ半熟たぬきなのですよ」
「あー、確かに維持大変だよねー」
こくこく、納得する樹斉。
「術自体は出来てるわけだから、あとは持続力かな? そんな訳で僕からのお題は、精神修養!」
必要なのは、動じないハート。
衝撃とか驚きとかにどーんと構えられるようになったら、変化も少々じゃ解けなくなる筈。逆もまた然り。
樹斉は、まず生徒達に、得意な姿に化けてもらうことにした。
すると、皆は階梯高めの他種族や、無機物に|変化《へんげ》。
イケオジ獣人から、ボール、自動販売機まで。これには、思わず樹斉も感心。
『こんな感じです!』
『おっと、しっぽが出ちゃった。って今度は耳が!?』
やはりどこかしら不備があった。けれどそこもご愛敬。
樹斉はもっと不十分なものをイメージしていたので、上々である。
何より、化けた姿なので、ボールだろうと普通に喋れるし、ぽよんと跳ねられる。これなら、樹斉が想定していた訓練も実践できそう。
「じゃあ、化けたままで、おしくらまんじゅうとかの激しい接触や動きがあるのとかやって維持できるように練習してみよう」
「ハイ!」
人型たぬきも無機物たぬきも、一か所に集まって、えいやっ、とおしくら。
「わー耳が出たー」
「しっぽがー」
「むむむ、我慢我慢……!」
ぎゅむぎゅむ。
すぐには出来ないけれど、少しずつ、耐えられる時間を延ばしていく。
そうしてひとしきり指導した後、樹斉は、生徒側に回った。今度は、みんなと一緒にたぬき先生の講義を受ける番。学び続ける姿勢、大事。
「大切なのはイメージ力です。思い込みというか……」
たぬき達と一緒に、こくこく。
化け術の心得に、しっかり耳を傾ける樹斉なのだった。
大成功
🔵🔵🔵
レミースヴトァル・ロテプイトンルート
(階梯0のカラス姿)
カァ…。引き受けてみたはええんやけど、歴戦の猟兵さんたちに紛れて…うち、よかったんやろか?新人もええとこやで…?
いや、ここには自分の意志で来たんやから、生徒さん達には関係ない!
うちのできることを!
カァカァ。うちはレミースヴトァル。言いにくいやろうから、レミースで。
せやなぁ…せっかくやし、お題出そか。お題は『カラス』。
うち、思うんやけど。化けるにしても、その対象をよく知っとるほうが化けやすいと思うんよ。
で…『カラス』やったら、ええ見本が皆の目の前におるやろ。うちや。
ええんやでー!うちを存分に観察してもうても!(翼をバサバサ)
翼がどう生えとるか、想像だけじゃ、追いつかんし。
「猟兵さんのご教授で、皆さんも化け術の練度が上がってきたのではないでしょうか。というわけでこの調子で、次の猟兵さんをご紹介しますです」
たぬき先生の紹介を受け、新たに教壇に立ったのは、一羽のワタリカラス。
階梯0姿のレミースヴトァル・ロテプイトンルート(抱擁鴉・f45630)である。
少数民族であるカラス、しかも猟兵とあって、たぬき獣人達も興味津々のようだ。
(「カァ……。引き受けてみたはええんやけど、歴戦の猟兵さんたちに紛れて……うち、よかったんやろか? 新人もええとこやで……?」)
レミースヴトァルの心の声など知る由もないたぬき達は、素直に期待の眼差しを向けてくる。
(「……いや、ここには自分の意志で来たんやから、生徒さん達には関係ない! うちのできることを!」)
自分に活を入れると、いざ自己紹介。
「カァカァ。うちはレミースヴトァル。言いにくいやろうから、レミースで」
「はい、レミース先生!」
先生呼び。なんだかくすぐったい。
「先生は何を教えてくれますか?」
「せやなぁ……せっかくやし、化けお題出そか。お題は『カラス』」
レミースは、カァ、とうなずいた。
「うち、思うんやけど。化けるにしても、その対象をよく知っとるほうが化けやすいと思うんよ。で……『カラス』やったら、ええ見本が皆の目の前におるやろ。そう、うちや」
そしてレミースは、派手に翼をバサバサ。
「ええんやでー! うちを存分に観察してもうても!」
「それじゃあ遠慮なく!」
じーっ。
たぬき達の視線を四方から浴びるレミース。できるだけ全身が見えるように、ポーズを決めて。
「翼がどう生えとるかとか、想像だけじゃ、追いつかんし」
「ボクら、尻尾はあっても翼とかクチバシはないから、勉強になります」
そうしてひとしきりカラス観察を終えたたぬき達は、レミースの合図で、いざ実践。
「ほな、いってみよか!」
「たぬ!」
ぼふん!
妖術めいた煙。その中から現れたのは、カラス、カラス、カラス。カラスの群れだ。
レミースを真似た、階梯0、生粋のカラス。
「おおっ、できるやないか。まさにこれは一人前のカラス……んん?」
ぴょこっ。
「……たぬき耳が出とるで」
「ああっ」
レミースの|指摘《ツッコミ》を受け、慌ててたぬ耳を引っ込めるカラスたぬき。
そんなやりとりの中で、レミースの当初の懸念や緊張も、いつの間にか解けているのだった。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と特別講師たぬ
特別講師…何だかカッコいい…(ほわわ
ん、やぶさかツイン☆で教えよう
まつりんと並んで教壇へ
先ずは挨拶、ぺこりとお辞儀をして
ん、まつりんのこんにちはの勢いは化け学の基本勢いで相手を化かす(こく
そしてまつりん主導の実技化け学の実演
双子技、綺麗に出来たら自然にドヤ顔になってしまいそう
ん、今は講師、我慢ガマン(くっ
ふふ、舞妓まつりん、可愛いでしょ?騙されるでしょ?(ドヤっ…(真顔)
まだ不安なたぬ、いるかな?
大丈夫、化かすは己との精神的な勝負でもある
いける、化かせる、と思い込む事が大事
現に、今朝まつりんの分のステーキわたしが頂いたけどまつりん気付いてない(ふふ♪
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)、特別講師なんだって!
やぶさか☆ツインの出番かな?(そわそわ)
やあ、みなさん。
こーんーにーちーわー?(お返事を待つ)
はい、よくできましたー。
おいら、まつりん。
今日はヨロシクねっ♪
では、双子ワザを披露するので、みんな二人一組になってね?
相手に化けてー。
背中合わせで、お互いが見えなくてもー。
(突然くるり)
同じタイミングでターンができます!
え、どうやるのか?
頭の中で歌を歌っておくと、振り付けが揃うんだよ♪
簡単でしょ?
では、次に変身も加えまーす♪
もごもご唱えて……くるりん!
ハイ、サムエンのアイドル、舞妓さんでっす♪
あんまり頑張ると寿命減るから、ほどほどにねー♪(にぱー)
こっそり、ちろーり。
木元・祭莉(銃弾を次から次へと叩き落とすなにかの達人・f16554)は、ドアの隙間から、化け術教室の様子をうかがっていた。
そわそわそわり、落ち着かない。いい意味で。
「アンちゃん、特別講師なんだって!」
「特別講師……何だかカッコいい……」
素敵ワード降臨。
漢字四文字の言霊に、木元・杏(モフという魅惑の言霊・f16565)は、思わず、ほわわ……となった。
「ここはやぶさか☆ツインの出番かな?」
「ん、やぶさかツイン☆で教えよう」
作戦会議。双子パワーで化け術を鍛える、ナイスな作戦。
「では、次の猟兵さん、お願いしますです」
たぬき先生の呼び込みで、祭莉と杏が教室にご入場。
拍手で迎えられつつ、2人並んで教壇へ。先ずはぺこりとお辞儀。
そして祭莉が、たぬき生徒にご挨拶。
「やあ、みなさん。こーんーにーちーわー?」
「「「!!!?」」」
教室に響き渡る祭莉ボイス。
化け術が次々解けて、部屋じゅう煙だらけ。
「ん、まつりんのこんにちはの勢いは化け学の基本。勢いで相手を化かす」
こく。
杏の言う通り、たぬき生徒達……しかも先生まで……祭莉の元気ボイスにあっけに取られている。
「「「こ、こんにちわー……」」」
気を取り直して、挨拶を返すたぬき達。
「んー? 声が小さいぞー? もう一回、こーんーにーちーわー?」
「「「こーんーにーちーわー!!」」」
良いお返事が来たので、祭莉は、にぱぱ、とお日様スマイル。
「はい、よくできましたー。おいら、まつりん。今日はヨロシクねっ♪」
「わたしはアンちゃん。よろしくお願いするたぬ」
「「「よろしくお願いします!!」」」
たぬき達のテンション度が、ぐいっ、と引き揚げられた。
こほん、と祭莉は咳払い。何度も言うが、今日は特別講師。雰囲気出していきたい。
「では、双子ワザを披露するので、みんな二人一組になってね?」
「はい!」
たぬき達が上手い具合に組を作れたところで、次の指示。
祭莉と杏も、双子ペアを改めて結成。
ここからは、祭莉主導の実技、化け学の実演。まずはお手本。
「相手に化けてー。背中合わせで、お互いが見えなくてもー」
突然くるり。
「同じタイミングでターンができます!」
「「「わー!?」」」
たぬき達、びっくり。
ドヤァ……綺麗に双子技が決まったので、杏は自然とドヤ顔になりそう。しかし。
「我慢ガマン」
くっ、と噛み締め堪える杏。特別講師なので。
シンプルに凄かったので、たぬき生徒が、挙手して祭莉にご質問。
「い、今のどうやったんですか?」
「頭の中で歌を歌っておくと、振り付けが揃うんだよ♪ 簡単でしょ?」
祭莉がさらっと言ったので、たぬき達は「おお……」と尊敬の眼差しになった。
と、いうわけで、たぬき達も双子ワザにチャレンジ。
頭に葉っぱを乗せて、同じ姿にいざ化け術。タイミングを合わせて、くるっとターン!
「うむ、なかなか」
先生目線で、たぬたぬの奮闘を見守る杏。ぐれいと・たぬきズ・てぃーちゃー・あん。略して『GTTA』。
お題をこなすたぬき達の中、杏は、まごまごしているたぬきズを発見。
「ん、そこのたぬきさん、どうしたの?」
「何の歌にしようかなかなか決まらなくて……」
「そこからだった」
スタート地点で足踏みしているたぬきズには、選曲のお手伝い。杏先生、頑張る。
まつりん特別講師……すなわち『MTK』も、皆の頑張りに花丸をプレゼント。
「さあ皆さん出来ましたかー? では、次に変身も加えまーす♪ もごもごもごっと……ハイ、くるりん!」
祭莉|変化《へんげ》!
「ハイ、サムエンのアイドル、舞妓さんでっす♪」
おおー、と、またもやたぬきの歓声。
「ふふ、舞妓まつりん、可愛いでしょ? 騙されるでしょ?」
杏が真顔で言った。しかし溢れるドヤっ……感は隠しきれていなかった。
そしてたぬきもいざ実践。どろん、と変身、舞妓たぬきがご降臨。
「これは……よいもの」
ずらり並んだ舞妓たぬきズに、杏は感心。
ぬいぐるみが欲しくなる愛らしさ。これで敵を魅了する作戦も十分ありかもしれない。
ぽこぽん! 次々変化するたぬき達。祭莉は一足先に舞妓さん解除。
「あんまり頑張ると寿命減るから、ほどほどにねー♪」
「えっ」
にぱー、と笑顔でオソロシイ事を口走る祭莉。
たぬたぬと実践訓練するたぬき達の様子を、厳しい?まなざしでチェックする杏。
「まだ不安なたぬ、いるかな?」
「まだ不安です」
正直なたぬきがいた。
そんな生徒に、杏はきりりと指南。
「大丈夫、化かすは己との精神的な勝負でもある。いける、化かせる、と思い込む事が大事」
「なるほど」
「現に、今朝まつりんの分のステーキわたしが頂いたけどまつりん気付いてない」
「え? アンちゃん何か言ったー?」
ふふ♪
祭莉が、別たぬきの指導に夢中な間に、ちゃっかり暴露する杏だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『陸軍少尉・山越結』
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POW : その角は闘う強き者の証
最大100トンの物品を運搬可能になり、攻撃命中時に対象の防御効果を貫通する【長く頑丈な猛牛の角】を得る。
SPD : その鎚は雷霆を従えて
【雷を帯び加速する巨大ハンマー】で敵を近接攻撃し、【炸裂する電撃と浸透する衝撃】で装甲を破壊する。敵の攻撃を受けた直後に当てればダメージ7倍。
WIZ : その弾幕は歩みを阻む
【片手で振り回せるガトリングガンの弾幕】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。
イラスト:kj2
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠押出・ハリマ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●モー……からの……たぬ!
たぬきシティの裏路地、怪しく蠢く影1つ。
その正体は、幻朧帝国のエージェントである『陸軍少尉・山越結』。簡素な変装のみで、ウシ族であることを殊更に隠すことはしていない。
「化けだぬきの街で助かったさね。アタシを怪しむものなんていやしない。さあて、場所は定まった。あとは仕上げといこうじゃないのさ」
山越結が取り出したのは、『逢魔弾道弾』。忌まわしき影朧兵器。
「さあ、この化けだらけの街を、いっそう派手に化けさせてやろうじゃないかね!」
『あーもう限界ー』
「あん?」
にゅっ。
突然、逢魔弾道弾から耳が生えた。たぬきの。
いや、それ以前に口を利いている。
ぽむん!
煙とともに現れたのは、たぬき獣人。
「偽物!? お前、いつから弾道弾に化けて……!」
「猟兵さんのお陰で、だいぶ長く化けられるようになったと思うんだよ。どうだいみんな!」
「いいんじゃないかな!!」
ぽむぽむぽむん!
溢れる煙。
あちこちの無機物が、たぬきの正体を現していく。
「ハッ、ワタシの作戦はバレバレだったってわけかい。ユーベルコード以下のお遊びだと、化け術を侮りすぎてたようだね」
「逃がさないぞ、猟兵さんと術の練習もしたんだ!」
「ボクらだって戦えるってところを見せてやる!」
猟兵に加勢する、たぬき獣人達。
その姿は、実に勇敢であった。
レミースヴトァル・ロテプイトンルート
(来たときは階梯0)
やっぱり化け術は頼もしいわ。こうして、敵の思惑ぶっ潰せるんやし。
しかし、ウシ。戦友にウシおるんやけど、また違うタイプやね。
カァ…いくで!カラスのまま、宙から近づきつつ。【トリニティ・エンハンス】で強化するは状態異常力!
たぬきさんら、いったん離れるんや!
パンデミック・マシンで錬成した目潰し毒、発射!
さらに、そこへ…階梯5の姿に変身してからの急降下、黒烏の太刀抜刀での突き刺しや!
その後、すぐに階梯0に戻るけどな。相手、目潰しされたら音で判断してくるやろし、攻撃対象をうちのままにしときたいでな。翼の音させやんと。
その方が、たぬきさんらは安全やしな!
階梯0、カラス姿のレミースヴトァル・ロテプイトンルート(抱擁鴉・f45630)は、たぬき獣人達を、感嘆の眼差しで見つめていた。
「やっぱり化け術は頼もしいわ。こうして、敵の思惑ぶっ潰せるんやし」
ならば自分も猟兵として、戦闘力を発揮しなければ。
山越結。それが打倒すべき敵の名だ。
「しかし、ウシ。うちも戦友にウシおるんやけど、また違うタイプやね」
巨大ハンマーを担ぎ、不敵な気配をまとう山越結。
外見通りの豪胆さの持ち主のようで、任務を妨害されても、焦りはまるでみられない。強敵の予感。
「そっちのカラスは猟兵かい? 全く、覚醒しちまうとは厄介だね」
「誉め言葉と受け取っとこか。カァ……いくで!」
カラス姿のまま、レミースは突撃した。
宙から接近を試みつつ、魔力を励起する。渦巻く炎と水と風が、その身を包む。強化するは、状態異常力!
「たぬきさんら、いったん離れるんや!」
レミースの合図で、敵を包囲していた獣人達が離脱した。
射線があいたところで、即座にパンデミック・マシンで錬成した目潰し毒を発射する。
「ちっ、視覚が……!」
ただの毒ならば山越結も大したことはないだろうが、これでユーベルコードの魔力を帯びたものだ。さすがに余裕を保っていられない。
相手がふらついたところで、レミースは次の攻撃に移った。
「わっ、化け術!?」
「ちょっと違うんやけどな!」
たぬき達を前にレミースが披露したのは、階梯5の姿。赤毛の女性に変身して、急降下を敢行する。
我が身を鞘とした『黒烏の太刀』を抜き放つと、落下速度も合わせた、突き刺しを繰り出す。
「ぐあっ!!」
山越結の悲鳴を聞きながら、瞬時に離脱、|階梯0《カラス》に戻るレミース。
「カァカァ」
「ち……全く、腹の立つ鳴き声だね!」
ぶん! ハンマーを振るう山越結。空を切るが、決して的外れな方向ではない。
(「やっぱり音でこっちの場所を判断してきたな」)
バサバサ、殊更に大きく羽ばたき、翼の音を戦場に響かせるレミース。敵のターゲットを、たぬきではなく、自分自身に固定させるためだ。
「迂闊だね。音で居場所はバレバレだよ!」
視覚を封じられながらも、山越結は、力を発動した。全身の筋肉を増強させ、双角もまた長大にそそり立つ。
「もらったよ!!」
ズン、と繰り出される大角。だが間一髪、体を捻ってかわし、致命傷を避けるレミース。
思惑通り、たぬき達を傷つけずに済んだことに、安堵するのだった。
成功
🔵🔵🔴
コルト・トルターニャ
本命はあなたね。……滅茶苦茶強そうだわねこの方。
UC使うわ。雪女の着物を着て吹雪を盾にして銃弾を逸らし防ぐわ。
それで視界を遮られている間に【箒飛行】で攻撃範囲から抜け、
蛇の髪に切り替えて、噛んだり攻撃の身代わりにしたり、
至近距離ならミダスの手で掴んで黄金像にして動きを止め、あわよくばそのまま黄金像にするわ(【鎧砕き】)。
生徒の皆様、良かったら力を貸して!
できればあのガトリングを何とかできる奴に化けるのを……!
盾に化けた狸を他の狸が持って防ぎながら進撃してくれたり、
私に誰か化けて攪乱して狙いを定め辛くしたりとか!
コルト・トルターニャ(魔女・f44905)は、対峙した敵エージェント……『山越結』の実力を推し量っていた。
「本命はあなたね。……滅茶苦茶強そうだわねこの方」
「猟兵の介入も織り込み済みさね。邪魔者は実力行使で排除するまで!」
フンっ、と鼻息荒く。
山越結は、ガトリングガンを駆動させた。ウシ獣人のりょ力を発揮、まるで拳銃のように大きな銃身を扱うと、コルトをロックオン。
対するコルトも、ユーベルコードを発動。凍てつく魔力を帯びた雪女の着物をまとうと、吹雪を盾に、襲来する銃弾を逸らし、着弾をかわしていく。
銃弾の嵐と吹雪の盾。二つの力がぶつかり合う。
異能同士の衝突は爆発を生じさせ、山越結から視界を奪う。
「やったかい!?」
山越結の問いに不正解を告げるように、爆煙を破って、コルトが飛び出す。箒に乗って飛翔する姿はまさに魔女。
「ちっ、空に逃げるとは小癪だね!」
銃口を上方へ向けて、制圧射撃を継続する、敵エージェント。コルトは、蛇の髪に切り替えると、石化の魔力で銃弾の勢いを削いでいく。
「生徒の皆様、良かったら力を貸して!」
「ぽこ!?」
コルトの呼びかけに、戦いに見入っていたたぬき獣人達が、我に返る。
「できればあのガトリングを何とかできる奴に化けるのを……!」
「任せてください!」
ガトリングの射撃音のお陰で、こちらの会話は、敵には届いていない。
「授業を思い出して!」
「やってやるたぬ!」
ぽこん! 盾に化けた仲間を、別のたぬきがしっかと構えると、弾雨の中に飛び込んでいく。
『いたたたっ! ……あれ、思ったほど痛くない? そう、ボクは盾!』
思い込む心が、実際に反映したらしい。耐久力も、コルトとの訓練で鍛えられている。攻撃に耐えつつ、進撃。
「うっとうしいたぬきども……そこにいたね、猟兵!」
コルトを発見した山越結が、狙いをたぬきからそちらに切り替える。
「もらっ……何!?」
トリガーを引くのを躊躇する山越結。視界には、コルトが何人も映り込んでいたからだ。
「私はここよ」
「いいえ、私が本物よー!」
「ちいっ、また化け術かい……!」
コルトに化けたたぬき達が、山越結を大いに攪乱する。
その間に、本物のコルトは、敵の至近に迫っていた。
ミダスの手で掴まれ、光に包まれた山越結は、黄金像と化して動きを止める。
「うん、なかなか立派な像ね」
コルトは、ウシの黄金像を愛でながら、たぬき達の奮戦に感謝するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
たぬ達、ないす化け活
まつりん、わたし達も負けてられない
たぬ達とも連携して牛姐さん倒そう
たぬ、牛姐さんと結構一緒にいた
姐さんのちょっとの隙とか弱点とか少し気付いたかな?
ならば、その箇所とは違うとこを、姐さんにも聞こえる大きな声でわたし達に教えて?
わたし、そこに向けてうさみん☆を突撃
うさみん☆の攻撃で姐さんのハンマー攻撃誘発させよう
上手くいけば、姐さんを化かせた
弱点は嘘
うさみん☆も攻撃とみせかけメダルを貼っただけ
ん、UC発動
耳打ちしてもらった本当の弱点や隙をさらけ出すよう、うさみん☆は動いてね
まつりん、今!
やぶさかツイン☆で急所を狙い撃つ
これでGTTAの講義は修了
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)、牛さんだよ!
何に化けるんだろ、焼肉かな?
さて、取り出しましたるこの毛布。
如意なる棒に引っかけて。
さあおいで、シャトーさん。
ただの怪力じゃ、おいらは突き刺せないゼ?(見慣れてるからネ☆)
たぬさん方、盛大な拍手をお願いいたしますー。
突進してきたら、オーレ!
ひらり空中横転からの、しっぽ刈り落とし!
転身してきても、オーレ!
ふわり目眩ましからの、蹄足払い!
拍手歓声弾幕も最高潮、そろそろいい焼き加減かな?
アンちゃんの合図に、こちらもダッシュで接近。
死角に回り込んで、シャトーさんの急所に、鮮紅百烈拳だー!
素敵なステージだったね、共演者に拍手をー♪(みんなでパチパチパチ☆)
猟兵&たぬき獣人VSウシ獣人エージェント。
化け術教室の成果が試されるこの戦いに、木元・祭莉(銃弾を次から次へと叩き落とすなにかの達人・f16554)と木元・杏(ぐれいと・たぬきズ・てぃーちゃー・あん・f16565)達も参戦した。
「アンちゃん、牛さんだよ! 何に化けるんだろ、焼肉かな?」
「そうさね、ワタシは脂がのって美味し……ってフザケテんのか!!」
山越結のノリツッコミが祭莉を襲った。
当初の余裕は失われている。杏は、ぐっ、とサムズアップで、たぬき獣人達の活躍を讃えた。
「たぬ達、ないす化け活」
「先生達の授業のお陰です」
「ありがたや」
ぺこり、と行儀よくお辞儀するたぬき達。
「まつりん、わたし達も負けてられない。たぬ達とも連携して牛姐さん倒そう」
「牛姐さんってのはワタシのことかい?」
ハンマーを担ぎ直す山越結。
「焼肉よりかは大分マシか。というわけで、まずはオマエからだよ焼肉人狼ボウズ!」
「えっ、おいら?」
示したのは祭莉の方。
山越結が、フンッ、と全身に力を込めると、地面が、めりッ、と陥没した。
元々頑強だった肉体が、更に一回り大きくパンプアップ。それどころか、特徴的な角が大きく長く変化したではないか。
まさに闘う牛。対する、祭莉の戦闘スタイルは……。
ふぁさぁっ。
「さて、取り出しましたるこの毛布」
「??」
意外な祭莉の行動。たぬき達はもちろん、山越結も疑問符ぷかり。
「これを、如意なる棒に引っかけて。さあおいで、シャトーさん。ただの怪力じゃ、おいらは突き刺せないゼ?」
見慣れてるからネ☆
日頃の経験、何一つ無駄な物などないのだ。うん。
「さあ、たぬさん方、盛大な拍手をお願いいたしますー」
ふわり、白い炎をまとって、たぬき達を盛り上げる祭莉。
「闘牛士気取りかい? そんなものッ」
山越結が、地を蹴った。重量に似つかわしくない敏捷さを発揮し、祭莉を追い詰める!
しかし|闘牛士《マタドール》祭莉は、相手の突進のタイミングに合わせて、
「オーレ!」
ひらり空中横転。
からの、しっぽ刈り落とし!
「何ィ」
「わーっ! スゴイ!」
山越結の戸惑いの声と、たぬき達からの歓声が、祭莉に同時に浴びせられる。
「まさか今のをかわすとはねッ!」
自慢の突進を避けられたことに、山越結は驚きを隠せない。
だが、すぐに態勢を立て直して転身、再度祭莉に向かっていく。
「もいっちょ、オーレ!」
「な……!」
ふわり目眩まし。
からの、今度は蹄足払い!
再びたぬき達の拍手が、祭莉を称える。
その音に紛れて、杏は、たぬき達に耳打ち。
「たぬ、牛姐さんと結構一緒にいた。姐さんのちょっとの隙とか弱点とか少し気付いたかな?」
「はい、割と見てました」
「巻き込まれたら大変なので。あいつの弱点は……」
ひそひそひそり。
「ならば、その箇所とは違うとこを、わたし達に教えて? 姐さんにも聞こえる大きな声で」
「へ? わ、わかりました!」
たぬき達と、ぽふ、と拳をタッチすると、杏は、自らも戦いに臨んだ。
「ええと……そいつの弱点は、右膝ですー!」
「さんきゅー、たぬ」
杏はそれに従い、うさみん☆を突撃させた。
「ちっ、喰らったかい。けど、かすり傷にもならないね。ワタシの弱点がそんなところにあるわけないだろ!」
はん、と笑うと、山越結は、自慢のハンマーをスイング。ほとばしる雷。
電撃にさらされつつも、なんとかクリーンヒットをかわす、うさみみメイドさん。そして、杏も余裕の面持ち。
強敵を翻弄する杏と祭莉に、たぬき達の声援は、ボリュームを増すばかり。
拍手歓声弾幕も最高潮、祭莉の白炎も絶好調。
「そろそろいい焼き加減かな?」
祭莉が、杏に目配せ。
杏も、こくりとうなずく。
「さっきの弱点は嘘。うさみん☆も攻撃とみせかけメダルを貼っただけ」
「? どういうつもりだい?」
「ん、ユーベルコード発動」
杏がぱちんと指を鳴らすのに合わせ、うさみん☆が動いた。
すると、山越結も、全く同じポーズを取る。
「体が勝手に!? 一体どういう効果なんだい?」
よいしょ、ほいせ、とシンクロポーズ。しかし本当の狙いは、きちんとある。
たぬきに耳打ちしてもらった、山越結の真なる弱点をさらけ出す事。
「そう、本当の弱点は、尻尾の付け根。まつりん、今!」
杏の合図を受けて、祭莉も、ダッシュで接近。たぬきのエールが力になる!
敵の死角に回り込んで、急所めがけて、鮮紅百烈拳!!
『灯る陽光』、しかと構えて。杏も加わり、やぶさかツイン☆が、同時に急所を狙い撃つ!
「なっ……!」
杏達の合体攻撃に耐えきれず、吹き飛ぶ山越結。
「素敵なステージだったね、共演者に拍手をー♪」
「これにてGTTAの講義は修了。あとは皆の心がけ次第」
優雅な礼をして見せる祭莉と杏に、たぬき達から一層の拍手が送られたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
饗庭・樹斉
色々ためになったなー…たぬき先生の講義。
授業で皆の化術もより上達してるし、すっごい強そうなウシ相手でもどうにかなる!
絶対勝てると信じて頑張っていこー!
たぬきの皆と連携。
化け術で撹乱して貰いつつ、天雲で積極的に斬りかかりガトリングの狙いは僕に集中させるね。
銃弾は天雲の刀身盾にしたりして直撃は避けたいかな。
その間もUC起動し観察、丁度いい感じの波長とかを読み取れたら呪詛を剣に纏わせ一気に攻める!
脱出も侵入も出来ないなら倒すだけだからね!
皆も一気に叩いちゃおう、と呪歌と呪詛の波長たぬき達に伝えて変化交えて一斉攻撃を。
強い力も惑わせて直に受けなければ結構なんとかなるものだよねー。
※アドリブ絡み等お任せ
授業と実践を通して、成長したのは、たぬき生徒達だけではない。
饗庭・樹斉(沈黙の黄雪晃・f44066)もまた、今回の一件を通じて、より知識を深めていた。
「色々ためになったなー……たぬき先生の講義」
授業を経て、たぬき達の化術もより上達している。
「これならすっごい強そうなウシ相手でもどうにかなる! 絶対勝てると信じて頑張っていこー!」
「「「やるぞー!!」」」
たぬき獣人達が、樹斉に合わせて、声を上げる。
「ちっ、小賢しい戦法を使う連中だね。そんなものはワタシの力で圧し潰してみせるさ!」
ハンマーとガトリング、重量級の武器を振りかざして、武力を誇示する山越結。
少し前までのたぬき達なら怖気づいていただろうが、今は違う。樹斉という頼もしい味方と、自信がついている。
「いくぞー!」
「本物見破れるかな?」
ぽこぽこぽこん!
次々化け術を披露して、周囲の物体や、樹斉の姿に変化していくたぬき達。
「フン、違和感あるものを叩き潰していくだけさね!」
豪快にハンマーを振るう山越結。
一方で、樹斉には、ガトリング射撃。たぬきよりも樹斉の方に攻撃力を集中させている。
化け術の攪乱という援護を受けながら、樹斉も、大剣『天雲』で斬りかかった。
一旦相手の制圧射撃に巻き込まれれば、攻めるも退くも難しい。銃撃の結界に閉じ込められたようなものだ。
天雲で銃弾を弾きながらも、敵を注視する樹斉。
「防戦一方じゃないのさ。たぬきどもを目くらましに使ってこの程度なのかい?」
連射の騒音の中でも、山越結の豪快な笑い声ははっきりと響く。
無論、樹斉はただ防御に専念しているわけではない。相手の隙を狙っている……というより、相手を見定めているのだ。
そして、その時は来た!
「読み取らせてもらったよ!」
剣に呪詛を纏わせ、一気に敵に切り込む樹斉。
「脱出も侵入も出来ないなら倒すだけだからね!」
「何ッ、その剣気は……!」
樹斉の刃に宿した呪詛の脅威を見抜いたのだろう。たじろぐ敵を、逃す手はない。
皆も一気に叩いちゃおう、樹斉の呼びかけとともに、呪歌と呪詛の波長が、たぬき達に伝えられた。
「今度はこっちの番だー!」
たぬき達が、攻勢に転じた。樹斉も加わり、一斉攻撃!
「くっ、やるね……!」
「強い力も惑わせて直に受けなければ結構なんとかなるものだよねー」
劣勢に追い込まれた山越結を見て、ほっ、と安堵する樹斉だった。
大成功
🔵🔵🔵
火狸・さつま
狐姿にて参戦
人語は話せず狐鳴き
動物と話すと読心術で意思疎通
俺、狸さんとは仲良し共存してる狐一族、だから
善良な狸さん困らすやつ、許さない!
傷つけよう、だなんて!
おしおき!!
きぅ!
先制攻撃、雷火の雷範囲攻撃
早業、2回攻撃
こヤーん!!
狐力!
流れるように攻撃を繰り出し
雷と炎の範囲攻撃で、弾幕をも撃ち落とし防ぎ
味方も同時に癒やす
きゅ!きゅャ!こャ!
(そんなの、振り回して、狸さん達にあたったら危ない!から!だめ!!)
敵味方の動きを見切り
狸さんをかばったり
人姿に変化して彩霞でも攻撃したり
人姿と狐姿を変幻自在に上手く使い分けて
翻弄しつつ戦う
化け術の有用さ、思い知らせてやる!
受ける攻撃はオーラ防御か激痛耐性
「ちッ、猟兵だけでも厄介だっていうのに、たぬきまで……ん?」
たぬき獣人達に翻弄されていた敵エージェント、山越結が、不意に言葉を途切れさせた。
「……アンタ、たぬきかい?」
「こヤーん!(たぬきっぽい色の狐!)」
山越結の視線の先、威嚇態勢のふわもこ狐の正体は、火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)だった。
「意志は通じるようだね。猟兵のようだが」
「こヤぁーん」
獣人も動物のうち。
動物と話す技術と読心術があれば、敵味方とも問題なく意思疎通は出来る。
さつまは、たぬき達にこくこくうなずく。
(「俺、狸さんとは仲良し共存してる狐一族。だから」)
きっ、と山越結を睨むさつま。
(「善良な狸さん困らすやつ、許さない! 傷つけよう、だなんて! おしおき!!」)
「闘志だけは一人前じゃないか。けどこっちも余裕はないんだ。手加減は出来ないよ!」
「きぅ!」
先に仕掛けたのは、さつまだった。
尻尾に紋様が浮かび上がるのを合図として、雷鳴が轟いた。山越結へと、無数の雷が手を伸ばす。
「こヤーん!!」
流れるように、畳みかけるユーベルコード。灯った狐火が黒雷と重奏し、山越結を打ちのめす。
「くそ! こんなもの、全て撃ち貫いてやるさ!」
山越結のガトリングが、唸りを上げた。
だが、雷と炎の同時範囲攻撃が、制圧射撃に抗い、無効化していく。
そして、さつまの狐火がもたらすのは、破壊だけではない。
「わ、ぽわぽわ!?」
「疲れと傷が治ってる! 癒し……」
狐火を浴びたたぬき獣人達が、回復していく。
そうはさせじと、山越結はガトリングの銃口を、たぬき達へと向けた。
「きゅ! きゅャ! こャ!」
(「そんなの、振り回して、狸さん達にあたったら危ない! から! だめ!!」)
弾幕とたぬき達の間に割って入る、さつま。しかしその姿は、狐ではなく。
「な……人型にも化けられるのかい!」
蛮刀『彩霞』を振るい、弾丸を切り払うさつまの勇姿に、あっけにとられる山越結。
それはたぬき達も同様だ。
「化け術!?」
「狐さん、凄い!」
さつまは、狐姿と人姿を使いわけて狙いを定めさせず、むしろ敵を翻弄し、攻め立てていく。
「化け術の有用さ、思い知らせてやる!」
まさに化け術戦闘。
そこにたぬき達も加わり、一斉攻撃!
「くっ、たぬきと侮ったのが運の尽きだったってわけ、かい……」
遂に、ずん、と倒れる山越結。
さつま達の勝利だ。それを確信した瞬間、たぬき獣人達から歓声が上がったのだった。
「お見事な活躍でした、皆さん……ほろり」
物陰から一部始終を見守っていたたぬき先生が、姿を現した。感動している。
「生徒の皆さん、成長しましたですね……猟兵の皆さんのお陰です」
「ありがとうございますー!」
ぺこり。
先生に続けて、生徒達も猟兵達にお礼を告げる。
化け術だけでなく、|術者《たぬき》自身の心身も鍛えられたようだ。面構えが違っていた。
化け術マスター、そして猟兵への覚醒に、また一歩近づいた証であった。
大成功
🔵🔵🔵