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【戦後】書き換え可能な|ステージ《未来》

#アイドル☆フロンティア #戦後

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#戦後


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 アイドル☆フロンティアは先日まで「シャングリラ☆クライシス」の渦中にあった。
 アイドルの無限の可能性を信じて止まない人々にとっては、青天の霹靂であっただろう。
 歌い踊るアイドル達に迫っていた危機は、何とか猟兵達の活躍により安寧を取り戻している。
 だが、それだけで終わるはずもなかった。

 霊神の危機は去り……、しかしこの世界の人々の心に植え付けられた「骸の海」が消え去ったわけではない。
 心の奥に潜む、骸の海。
 ひとたび蓋を開けてしまえば……結局のところ、光があれば闇があるように、アイドルの輝きの裏で心の闇を上手く封じきれないものもまだ多い。
 じくじくと滲みだす、日が陰りだした頃合いに手招きする路地裏の影……老朽化し点滅する街頭のチラつきの僅かな合間にも影響されてしまうものだって少なくないのだ。
 そして今まさに、何らかの「大切な夢」を今まさに諦めようとしている人の心から、「骸の海」が溢れ出そうとしている。
 日々の辛さ、人生の脇道のそこかしこに、そいつはタイミングを見計らい息をひそめて狙っている。
 どうしようもなく溢れ出てしまう程に疲弊した、人々の夢の影から現れて、その者を喰らいオブリビオン化させてしまうという「骸の海」。
 今日もアイドル達は人知れずそうした闇を消し去るために、光り輝く活動を続けているのだ。

 その行方は喜劇か、悲劇か。
 喜怒哀楽を音楽に載せて歌い踊り演じる、ミュージカルとはさまざまな要素を盛り込んだ、それこそ唯一無二の芸術とも言える。
 今回の舞台は、そのミュージカルが行われている小劇場。
 今宵も幕が上がり、流暢な音楽と歌声に乗って役者が演技を始めたところだ。
 台本に台詞は少なく、呼び込みのビラに名前のないレベルの役者が一人、夢を諦めようとしている。
(やっぱり自分には才能がないんだ……このまましがない凡庸な役者として、終わっていくんだろうか)
 まさに、今日の千秋楽を終えたら……と考えるこの役者も今、心の中から溢れ出す「骸の海」を抑えきれなくなっているようだった。

 仮にアイドルステージでオブリビオンを倒したとしても、この人が失意のままに夢を諦めてしまうことは変えられないかもしれない。
 もしもステージ上のパフォーマンスとして「この人の夢を応援し、背中を押す内容」或いは「この人が夢を諦めたとしても、明るい未来へ送り出してあげる内容」の劇やミュージカルを演じ切ることができれば、オブリビオン化から解放されたあとのこの人の心を前向きにしてあげることも不可能ではない筈。
 千秋楽が無事に終わるよう、願うグリモア猟兵からの切実な願い。
「誰にも夢はあります、ですが、必ずしも叶うわけではないのが現実……だとしても、このステージを悲劇で終わらせるわけにはいきません。会場規模は大きくありませんが、だからこそ被害者が出てしまえば連鎖的に一気にまとまって巻き込まれてしまう。そこで貴方には舞台に立っていただいて、物語の結末を書き換えて欲しいのです」
 台本とは別に、予兆という名のシナリオを提示するグリモアによれば、舞台役者の一人がオブリビオン化する悲劇が確定しているとのこと。
 参加を検討している猟兵は、物理的に物語に介入し、これを阻止することが望まれている。
 ……ぽっと出の午の骨が、役者の生命を文字通り救うことが出来るかどうか。
「どうにか物語の舵取りを行い、悲劇の連鎖を止めてください」
 そしてあなたは舞台に上がる。
 その場は瞬く間に輝くアイドルステージと化すだろう。
 観客の声援を味方につけて悲劇を塗り替えるのが、今回の使命だ。
 猟兵が舞台に上がることでしか出来ない、戦いの幕が切って落とされる。


ロミナ毅流
 猟兵の皆様、お疲れ様です! ロミナ毅流です。
 「シャングリラ☆クライシス」お疲れさまでした。
 戦後シナリオとなるこちらで、引き続きアイドルステージにお立ちいただけますと幸いです。
 あなたがステージに立つことで助かる命が今まさにここにありますよ!

 第一章・第二章共に戦闘のシナリオとなっています。
 氾濫した骸の海は夢を諦めようとしている人の周囲さえも巻き込んで汚染し、アイドルステージ上でオブリビオンへと変身させています。多数のオブリビオンと化した人々は舞台の上で様々な「苦難や困難をもたらす敵」の役として振る舞うので、彼らを相手に夢と希望の演劇ショーを始めましょう!

 その後のクライマックスでは、遂に夢を諦めようとしていた本人が変貌したオブリビオンとの対決です! 敵は自身が夢を諦めるに至った苦難や絶望をモチーフにした「物語のラスボス」役として襲い掛かってきます。最高潮の盛り上がりの中でこれを倒し、今にも消えてしまいそうなこの人の夢を守りましょう!

 戦ってもよし、歌っても踊ってもよしの舞台となっております、どうぞ存分にお楽しみくださいませ!
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第1章 集団戦 『オブリビオン・ロッカー』

POW   :    反逆の薔薇
【エレキギター】で楽曲「【反逆の薔薇】」を奏で、曲に込められた【社会への憎悪】に圧倒された対象全員にダメージと畏怖を与える。
SPD   :    闇のイバラ
【演奏によって具現化した「闇のイバラ」】を最大でレベルmまで伸ばして対象1体を捕縛し、【骸の海】による汚染を与え続ける。
WIZ   :    バイオレンス・ロック
【エレキギターの激しい演奏】で【闇色の爆発】を発生させ、レベルm半径内の対象全てを攻撃する。連続で使うたび命中力と攻撃速度が上昇。

イラスト:nitaka

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

輪道・骸丸
あいどる…拙者には縁がないかもしれぬが、できることをやってみせるでござる。
題材は「命を落としたダンサー志望の男ががあの世でも夢を追い続ける物語」。
シャレコーベン、お主のオーケストラをBGMとして奏でるでござる!
『物語は不慮の事故で夢を叶えられなかったダンサー志望の少年。しかしあの世でもその夢を捨てずにダンスを踊り、魂と踊る!』
ゴショウウオ、ダンサバル!拙者(とがしゃどくろ)とバトモンフュージョンでござる!(ゴショウウオの輪を頭上に浮かべた髑髏を纏うダンサー姿に)
オブリビオン共のUC攻撃はお礼参りを込めた情熱ダンスで対抗でござる!
夢を諦めかけた者に送る希望の|舞《ダンス》、とくとご覧ぜよ!



 物語が暗礁に乗りかけている。
 いや、むしろ既に原型は留められていないのかもしれなかった。
 骸の海の氾濫がはじまってしまったのだ。
 宿り主は苦悶に満ちた表情で脂汗を浮かべて、社会の闇と対峙している……とても苦しそうだ。
 影響された者達が、物語に構わず舞台上で暴れ出してしまったのだから、猟兵としてはここで止む無く壇上に上がる他なかった。
(あいどる…拙者には縁がないかもしれぬが、できることをやってみせるでござる)
 輪道・骸丸(髑髏鎧う忍者少年・f36180)が、颯爽と忍術の竜巻に乗ってどこからともなく現れる。
 役者の一人がオブリビオン・ロッカーと化し、ギャリギャリと耳障りなギターを掻き鳴らした。
 治安の悪そうな見た目に変貌している男に対し、果敢に挑もうとする骸丸の姿に、観客からは拍手が沸き起こった。
 骸丸は、上手く立ち回りこの舞台を何とか成功させようと試みた。
「シャレコーベン、お主のオーケストラをBGMとして奏でるでござる!」
 混乱の起きていた舞台を立て直そうと、口上を挙げる。
『物語は不慮の事故で夢を叶えられなかったダンサー志望の少年。しかしあの世でもその夢を捨てずにダンスを踊り、魂と踊る!』
 オブリビオン・ロッカーは、突然現れた新たな登場人物を訝しみながらも、負けじと【エレキギター】で楽曲「【反逆の薔薇】」を奏で、曲に込められた【社会への憎悪】に圧倒された対象全員にダメージと畏怖を与えようとする。
『行くでござるよ!いざ、バトモンフュージョン!』
 対抗するように、骸丸もユーベルコード:バトモンフュージョン・骸を唱える。
 自身の【バトモンとがしゃどくろ】と融合合体し、全ての技能レベルと行動回数を2倍にするが、132秒後【体力大幅消耗】により行動不能に陥ってしまうという弱点もある技であった。
 少ない時間ながら、2倍の行動力によりオブリビオン・ロッカーよりはるかに速く、強く攻撃を放つ。
 短期集中決戦というわけだ。
「ゴショウウオ、ダンサバル!拙者(とがしゃどくろ)とバトモンフュージョンでござる!」
 瞬く間にゴショウウオの輪を頭上に浮かべた髑髏を纏うダンサー姿に転身する骸丸に、湧き上がる観客席。
 お礼参りを込めた情熱ダンスで対抗でござる! とばかりに激しく戦い合う骸丸とオブリビオン・ロッカー。
「夢を諦めかけた者に送る希望の|舞《ダンス》、とくとご覧ぜよ!」
 疾風怒濤の勢いで攻める骸丸に対し、オブリビオン・ロッカーは後れを取ってしまう。
「くっ、小賢しい!」
 【反逆の薔薇】の激しいリズムにも、完璧に……否、勢いを吞むように踊り、躱し、反撃する骸丸にの前に、畏怖を全く与えられずに疲労していくオブリビオン・ロッカー。
 激しいダンスから近接攻撃をすかさず決めると、骸丸はぴゅうっ、と口笛を吹いた。
 それを合図に高速ブレイクダンスを決め、竜巻を起こす!
「ぐあーっ!!」
 オブリビオン・ロッカーは、まきこまれ高く舞い上がると、激しく落下ししたたかに全身を強く打ち……そのまま動きを止めた。
「よっしゃ決まっ……た、ぜ……!」
 そして骸丸もまた、激しい疲労感からステージに倒れ込んだ。
 劇的な対決の行方を見守っていた観客達は、大いに湧き、舞台は大歓声と拍手に包まれたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
あやー、社会への憎悪でっすかー。
そういったものを歌うのもまた歌であり、ロックだとは思いまっすがー……ご自身の憎悪を、ではなく巻き込まれ押し付けられて歌わ“されてる”のなら話は別なのでっす!
ちっともロックじゃないでっすしねー!
圧倒なんてされないのでっすよー?
そもそも、藍ちゃんくんダクセ出身でっすのでー。
社会への憎悪や反逆、これでもかと知ってまっすしねー!
でしたら、ええ。
歌い演じるは絶望的なヴァンパイア社会に反逆した闇の救済者の方々!
希望を捨てずに戦い抜いた彼らの姿は押し付けられた社会への憎しみから皆々様を解放し、ご自身の心を取り戻させてくださるかと!

それにでっすねー。
闇の救済者さんには猟兵ではないどころか、ユーベルコードを使えない方々もいらっしゃるのでっす。
それでも救済者さん達は猟兵任せにするのではなく、藍ちゃんくん達と肩を並べて戦うことを選び。
闇の救済者戦争ではデスギガスにさえ立ち向かったのです!
才能が無いと諦めようとしている役者さん相手にもこの歌劇は響くかと!



「藍ちゃんくんでっすよー!」
 混沌としたステージに響き渡る、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の名乗り口上。
 此度の舞台に立つにあたり、藍は考えていた。
(あやー、社会への憎悪でっすかー。そういったものを歌うのもまた歌であり、ロックだとは思いまっすがー……ご自身の憎悪を、ではなく巻き込まれ押し付けられて歌わ“されてる”のなら話は別なのでっす!)
 オブリビオン・ロッカーが激しいメタルを演奏する場に、一筋の清涼な風を呼び込むように立つ、藍。
 敵は【エレキギター】で楽曲「【反逆の薔薇】」を奏で、曲に込められた【社会への憎悪】に圧倒された対象全員にダメージと畏怖を与えようとしてくる。
 この旋律に巻き込まれる観客は、たまったものではない。
 ダークで鬱屈とした曲調には、藍にも思うところがある。
(ちっともロックじゃないでっすしねー! 圧倒なんてされないのでっすよー?)
 藍は知っている。
 自身がダークセイヴァー出身なので、憎悪という感情の吐露する色は、見慣れているのだ。
(社会への憎悪や反逆、これでもかと知ってまっすしねー! でしたら、ええ)
 舞台に上がるに用意する筋書きは、こうだ。
「歌い演じるは絶望的なヴァンパイア社会に反逆した闇の救済者の方々! 希望を捨てずに戦い抜いた彼らの姿は押し付けられた社会への憎しみから皆々様を解放し、ご自身の心を取り戻させてくださるかと!」
 題目が決まったところで、舞台袖から光ある場所へと歩み進む藍。
 混沌とした舞台に挑もうとする一人の新たな役者に向け、観客から惜しみない拍手が贈られる。
 さあ、物語の続きを改めて始めるとしよう。

 舞台上の照明が消え、登場した藍にスポットライトが当たる。
『心を込めて歌うのでっす! あなたに届けと歌うのでっす! 藍ちゃんくんでっすよー!』
 高らかに|藍音Cryね《アイ・ネ・クライネ》を歌い上げる藍。
 【藍ちゃんくんのあるがままの祈りや願い、心】を籠めた【理屈も条理も超越した穏やかで優しい歌】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【悲しみや恐怖、憎しみを癒やし、その原因】のみを攻撃する。
 あるがままの祈りや願い、心。
 まるで黒い渦に飲み込まれたかのような舞台の上、尊い一筋の光に照らされた歌姫の歌唱に、観客達は酔いしれる。
「それにでっすねー。闇の救済者さんには猟兵ではないどころか、ユーベルコードを使えない方々もいらっしゃるのでっす。それでも救済者さん達は猟兵任せにするのではなく、藍ちゃんくん達と肩を並べて戦うことを選び。闇の救済者戦争ではデスギガスにさえ立ち向かったのです!」
 過去の戦いを想い、朗々と物語を紡いでいく藍の堂々とした声は、オブリビオン・ロッカーの畏怖よりも鋭く周囲を切り開いていく。
 そこには理屈もなく、条理を超え、穏やかで優しく温かな音色が響き渡る。
(才能が無いと諦めようとしている役者さん相手にもこの歌劇は響くかと!)
 骸の海が氾濫し、凄惨な舞台になりかけていたこの場に藍の歌声が響くと、オブリビオン化し立っていた役者の面々を癒す。
 嗚呼、ただまっすぐに、精悍なる魂が騎士の如く民となる観客の心を導いていく。
 御旗のもとに集う人々は、迷う眼差しを藍に向け、藍はそれに真摯に応える。
 そして人々の後押しが勇者の背を押すように、より一層の歓声を届けた。
「迷える魂の救済を! そして安寧を! 心の内から高らかに強く清く歌い上げるのでっす! それが、藍ちゃんくんに出来る輝きなのでっして!」
 思いの丈を込めて、堂々と胸を張って歌う藍の魂もまた、尊いものである。
 この歌声と、そこから織りなされる場の空気により、オブリビオンと化した演者は虞から解放され、ぱたり、またぱたりと役者が舞台に横たわっていく。
「馬鹿な……こうも簡単に闇が晴れていくだと……?」
「歌うのでっす! 迷える魂に向かい、愛と光の導くままに!」
 闇は浄化され、光に変わる。
 舞台は徐々に明るくなり……そして輝きだした。
 眩い場所に立っているのはもう、藍だけ。
 オブリビオン化させていた骸の海の濁りから、取り戻された通常が静寂と共に帰ってくる。
 一つ間を置いて、観客からはスタンディングオベーションが沸き起こっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イネス・オルティス(サポート)
『この鎧は一族伝統のものよ、それがどうかしたの?』

アックス&ウィザーズ辺境のどこかにある隠れ里に住む一族の女戦士
〔一族伝統の鎧〕のビキニアーマーを愛用し主に〔巨獣槍〕という槍を使う
”ダッシュ”で近づき”なぎ払い”、”串刺し”等をよく行う

ボン・キュ・ボンのナイススタイルで、ビキニアーマーを普段使いしている
恥ずかしさ耐性のあるイネスは、周りの視線を気にしません
そのビキニアーマー姿の存在感で、無意識に誘惑してしまう事がありますが
イネスにそのつもりはありません

アドリブ・絡み・可 ””内技能
描写はセクシーレベルまで
キャバリアには乗らず生身で戦います(他の人のキャバリアを足場にする等はあり)



 不穏な舞台に上がろうとしているのは、イネス・オルティス(隠れ里の女戦士・f06902)。
 アックス&ウィザーズ辺境のどこかにある隠れ里に住む一族の女戦士だが、此度のアイドル☆フロンティアの戦いには思うところもあった。
 アイドル衣装にするには、そこそこに勇気の要るビキニアーマーを装着したイネスが、今回の戦場に立つにあたり思案した筋書き。
 〔一族伝統の鎧〕のビキニアーマーを愛用した女戦士が、〔巨獣槍〕を装備し勇猛果敢に戦う。
 それは人々の前に立ち、勇気をもって最前線を往く、先導者の姿。
 かのジャンヌ・ダルクを思えば、どこにでもありそうな英雄譚といったところだろうか。
 たまたまその英雄がビキニアーマーだっただけのことだ。
(水着で戦っていたアイドルステージもあったようだし、何の問題もなかろう)
 防御力に難点がありそう且つ目のやり場に少し困りそうな面積であったが、それだけ攻撃に当たらないという証左でもある。
 快活で俊敏な動きをもってすれば、攻撃を喰らう前に相手を倒すことが出来るだろう。
 イネスもまた、そのセオリー通りに「やられる前にやる」だけのことだ。
「いざ、勇気を抱いて戦場へ! 私の前に道を切り開いてみせる!」
 やや演技がかったセリフで、自身を鼓舞していく。
 対するオブリビオン・ロッカーは【演奏によって具現化した「闇のイバラ」】を最大で広範囲に伸ばして対象1体を捕縛し、【骸の海】による汚染を与え続ける技を繰り出した。
 しかし、イネスの瞬発力によりこれは成功しない。
「お前も、お前も! どいつもこいつも羨むほどに眩しい日の元を生きやがって!」
 骸の海の汚染を喰らえば、たちまちに漆黒に囚われてしまう。
 舞台は凄惨たる状況になっていたが、そこに颯爽と現れた女戦士により、急展開を見せる。
『今、伝統の鎧を依り代に伝説再誕』
 イネスは、自身に【ビキニアーマーの神のオーラ】をまとい、高速移動と【武器を振るう事で衝撃波】の放射を可能とするユーベルコード:|薄衣甲冑覚醒 弐《ビキニーアップツー》で活性化を図った。
 しかしこの技は戦闘終了まで毎秒寿命を削るので、早期決着が求められる。
 蝶のように舞い、蜂のように刺す。
 闇のイバラの捕縛を逃れ、隙あらば巨獣槍で攻撃を仕掛けていく。
 茨の鞭を槍で弾き飛ばし、高速移動からの衝撃波を放つイネス。
 勇猛果敢な女戦士の活躍に、観客からは感嘆の声が上がりつづける。
 その声援を背に受けて、更に女戦士の攻撃は熱く激しくなっていくのだ。
 観客の声量と熱意に圧され、オブリビオン・ロッカーは焦りの様相で攻撃を続けるも、全て躱されてしまう。
「いくぞ、とどめだ!」
 今一度大きく槍を振りかぶって、イネスが吼える。
「ぐぎゃあああああ!」
 舞台袖に大きく弾き飛ばされるオブリビオン・ロッカー。
 対するイネスは、舞台中央でスポットライトの元に果敢な構えを見せた。
「さあ、往こう! この先に待つ運命にも必ずや勝利してみせる!」
 小走りで|下手《しもて》に捌けていくイネスに、観客席から称賛の大きな拍手が贈られた。
 それは長く、いつまでも続くかと思われる喝采だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系はばっちこい★状態変化もばっちこい♪
絡みOK、NG無しだよ★

UCは集団召喚系か範囲攻撃系を優先して使うよ♪
状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★

後はMS様におまかせするね♪



 新たにステージへと上がろうとする猟兵が居た。
 クローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)は、このステージを少しつまらなさそうに眺めていたが、オブリビオンの登場に興味を示して立ち上がったのだった。
「クローネちゃん、これから面白いショーを始めちゃおうと思うんだよね♪」
「貴様も俺の邪魔をするって言うのか! メタルで刻んでくれる!」
 オブリビオン・ロッカーは上手く行かない進行に苛立ちを隠せずにいる。
 観客も今一歩盛り上がってくれない。
 しかし、クローネがステージに上がった瞬間、歓声が沸き起こった。
 それが、更に拍車を掛けてオブリビオン・ロッカーを激高させてしまったようだ。
「響け、 バイオレンス・ロック!」
 【エレキギターの激しい演奏】で【闇色の爆発】を発生させ、広範囲内の対象全てを攻撃する。
 連続で使うたび命中力と攻撃速度が上昇するこの技で、クローネを返り討ちにしてやろうと目論むオブリビオン・ロッカー。
(連続で使わせなければ、クローネちゃんに勝機アリってことだよね★)
 二人のバトルステージが開幕し、観客達が見守る。
『酸の雨で溶けてなくなりたいなら、どうぞご自由に?』
 クローネ側も颯爽とユーベルコード・|ワタシの悪魔兵の酸性雨《ブラック・デモノイド・アシッド・レイン》の詠唱を始めた。
 これは、自身が装備する【ネクロオーブ】から【召喚した|悪魔兵《デモノイド》が酸の雨】を放ち、167m半径内の敵全員にダメージと【服破り】と【毒】の状態異常を与える技だ。
 舞台上に恐ろしい見た目の|悪魔兵《デモノイド》が突如として現れ、観客に驚きをもたらしたかと思いきや、どこからか酸の雨が降り注ぐ。
 クローネはこれに濡れずに、オブリビオン・ロッカーにダメージを与え続ける。
 それと同時に、オブリビオン・ロッカーの服が破れて溶けていくではないか!
 観客からは嬉しくなさそうな悲鳴が上がっていた。
「くっ、なんだこの雨は……!」
「粋な舞台演出でしょ♪ 傘があれば鼻歌を歌っちゃうところだね♪」
 Sing in the rain、とするには少々暴力的な酸の雨により、オブリビオン・ロッカーは毒をも喰らってしまい、連続での演奏が困難になってしまった。
 その間にも、酸の雨は降り続け、舞台上のオブリビオン・ロッカーだけを不思議に濡らしていく。
 その周囲をクローネと|悪魔兵《デモノイド》が舞台を舞うと、観客からは拍手の合いの手がリズムに乗って鳴り響き、物語はクライマックスへと突入する。
 オブリビオン・ロッカーが手にしていたギターも溶けはじめ、いよいよ演奏どころではなくなってしまったのだ。
「ふんふん♪ メルトの雨降り注ぎ~悪人の衣は剥がれ、失うものはもう何もない♪」
「ぐっ……!」
「そして雨を呼んだ旅人は願ったのです、嗚呼、太陽が恋しい★」
 スポットライトがオブリビオン・ロッカーを映し出そうとするが、対象はそこから慌てて逃げ出してしまう。
 あられもない姿を壇上で晒すわけにも行かず、哀れなオブリビオン・ロッカーはたちまち舞台袖へ逃げてしまったのだ。
「こうして悪は滅び、旅人は次なる舞台へと去って行くのでした♪」
 クローネもまた、舞台袖へ堂々とした足取りで捌けていく。
 猟兵の活躍するところに、悪の栄えた試しなし!

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルト・ラムバルド(サポート)
キャバリアを使用できる環境なら愛用のキャバリアを操縦します
そのとき装備してるキャバリア用の剣と槍を振るい敵群を蹴散らします
キャバリアの操縦技術は優れています
キャバリア使用不可なら生身とその時の装備してる物で戦いますが残念ながら生身だとそんなに強くありません
それを補助するのが己のハイカラなオーラとセンスと瞬間思考力とUCによる謎の召喚術で頑張ります



 キャバリア使いのベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)は迷っていた。
 このステージの広さで、愛機を駆ることが出来るかどうか……絶妙に悩ましい大きさの舞台。
 そして相手は集団敵。
 骸の海を流し込まれた役者達が次々とオブリビオン化し、それを率いるオブリビオン・ロッカーが待ち受けている。
 多少大人げないとは思うが、ここはやはり全力で挑むべきか、否、舞台役者達に敬意を払って生身で赴くべきか……顎に手を当て唸っていると、空気を読まぬオブリビオン達がギャアギャアと捲し立ててきた。
「ふむ。そういうことであればやはり! 全力をもって賭すのが騎士道というものよな」
 ジャキン! と金属音がしたかと思うと、ベルトはキャバリアの操縦を始める。
 愛機の状況はすこぶる良好だ。
 手慣れた操作でやや手狭な舞台に、ガシャンとあがり恭しくお辞儀を一つ。
「どこのどいつだ、返り討ちにしてやる!」
 オブリビオン・ロッカーが手にしたギターをギャリギャリと爪弾くと、開戦の幕が開く。
 どこからともなく煌びやかなライトが照らし、ベルトとオブリビオン・ロッカーを鼓舞するような光が二人を包み込む。
 そして同じく、どこからともなく沸き上がる観客達が歓声を上げていた。
 通称アイドルステージがここに爆誕したのである。
 勝者になるためには、観客の声を味方に付ける必要があることを、ベルトは承知している。
「やはり、戦いとは何かを背負ってこそ輝くもの……征くぞ!」
「かかってこいやああああああ! 返り討ちにしてくれるわ!」
 オブリビオン・ロッカーは【エレキギター】で楽曲「【反逆の薔薇】」を奏で、曲に込められた【社会への憎悪】に圧倒された対象全員にダメージと畏怖を与えようとする。
 しかしこれは、キャバリアに搭乗しているベルトにはあまり効果的ではない。
「耳障りな音だ、楽器に対し失礼ではないかね?」
「反逆の薔薇は俺のベストナンバーだ! 耳かっぽじってよく聞きやがれ!」
「愛機を駆るとは、こうやるのだ!」
 ダメージを回避し、畏怖の懸念も払ったベルトは、軽々とキャバリアを操り、反撃に出る。
 その優雅な一連の動作に、観客達は何が起こるのかと期待を胸に抱く。
「それではお見せしよう……そうだな、折角の舞台だ、座長はいるか!」
 辛うじてオブリビオン化を免れた一人の役者が、ベルトの視線に反応し立ち上がった。
『オーダーを頼む…我が君よ!さぁ早く!』
 ユーベルコード:|イエス・マイ・ロードorレディー《シュクンノタメニケンフルウキシ》を発動させるには、他者からの命令が必要だ。
 承諾すると【全身を覆う眩く輝くカリスマオーラ】が出現し、命令の完遂か24時間後まで全技能が「100レベル」になる。
「では、飛び入り参加の役者殿、この舞台を是非とも無事に完成させ大団円に導いてくれ……!」
「イエス!」
 カッ、と音がするような程に眩く輝くカリスマオーラが、ベルトのキャバリアを照らす。
 舞台の構成、装置の配置、照明の種類などの情報を一瞬のうちに一挙に取り込んで、『演者』として騎士道を貫き白馬のように愛機を素早くターンさせて、全技能を以てオブリビオン・ロッカーに突進した!
「だいたいなんだよその姿は! 卑怯だろうが!」
「言っただろう、騎士として全力で挑むと……これが我が装備よりの一撃である、喰らうがいい!」
 キラリと剣と槍が煌いたかと思うと、それは一瞬の出来事。
 オブリビオン・ロッカーが手にしていたギターが瞬時にバラバラに解体された……!
「!?」
「君も同じ姿になりたくなければ、白旗を揚げるといい」
「馬鹿言うんじゃねえ、そんなもん──」
 もう一閃。
 今度は、オブリビオン・ロッカーの上着だけが器用にも数センチの布切れに切り刻まれてはらはらと落ちていく……。
 そしてキャバリアが全出力で翻り、その剣と槍の先端をオブリビオン・ロッカーの眼前に突き付ける。
 ……その距離、僅か片手で足りる数センチ程。
「ひいいいいッ!」
「さあ、降伏するがいい、私には君が少しは『賢い者』に見えているのだがな?」
「わ、わかった、わかった! こんな化け物相手にまともにやり合えるわけがねえ! 俺の負けだ……」
 化け物とは失礼な、と愛機の出力を僅かに下げながらも、ベルトはオブリビオン・ロッカーを威圧する。
「誓うがいい、この舞台から去り、人々の恐怖を拭い去ると!」
 しかし、オブリビオン・ロッカーは腰が抜けてしまい、動くことが出来そうにない……。
 致し方なし、と手向けていた剣と槍を下ろししまい込むと、ベルトは高らかに勝利宣言を挙げた。
「こうして悪の目論見は阻止された! 皆の者、ここに平和を宣言する!」
「ウオオオオオオオオオ!」
 観客から湧き上がる拍手喝采、大歓声。
 骸の海に飲み込まれつつあった役者達も解放され、これにて第一幕が完結となった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『オブリビオン・アイドル』

POW   :    コール・オブ・ダークネス
【精神をかき乱す歌声】を放ちダメージを与える。命中すると【オブリビオン化エネルギー】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる。
SPD   :    ブラッククロス・リベレイター
視界内に【黒き十字の閃光】を召喚する。[黒き十字の閃光]はレベル秒間存在し、レベルm半径内の全員に【「骸の海」流出】の精神異常を与える。
WIZ   :    暗黒の歌声
視界内の任意の全対象を完全治療する。ただし対象は【心の内に秘めた「骸の海」】に汚染され、レベル分間、理性無き【オブリビオン】と化す。

イラスト:稲咲

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 骸の海を流し込まれた役者達が我に返り始めると、どこからか闇のオーラを纏ったアイドルが一人、舞台に立ったではないか!
 成程、全てを操っていたのはこのアイドルということらしい。
 完全なる演目完結に向けて、再び猟兵達が舞台へ上がることになった。
木元・祭莉(サポート)
「よっし、おいらに任せといてー♪」

グラップラー×サウンドソルジャー、人狼少年です。
前衛肉弾派で、積極的に行動します。
まだまだ未熟なアホの子ですが、やる気だけは人一倍!

あまり悩まずさっと決断して、臨機応変に切り替えて、いつも楽しそうにテンション高く行動します。
本人マジメでも、結果コミカルになりがちです。

ユーベルコードは、地味に戦闘力底上げに使うことが多いです。
最後は、グラップルの正拳一撃で締めるのが理想形。

多少の怪我は耐性のおかげで気付かず、肉を切らせて骨を断つ、がモットー。
いつも笑顔で、後先考えず。でもちょっとビビリ。

あとはおまかせで。よろしくおねがいします!



「よっし、おいらに任せといてー♪」
 木元・祭莉(銃弾を次から次へと叩き落とすなにかの達人・f16554)がステージを見ると、そこには骸の海を操り演者をオブリビオン化させようとしている悪の魔の手である、オブリビオン・アイドルが立っていた。
 派手な衣装に身を包み、ギラギラとした光を受けながら、悪行を働くにはあまりに場違いな舞台である。
 先程まで耳障りなギターの音色が響いていたかと思ったが、そちらは倒された模様。
 祭莉は無礼を承知でオブリビオン・アイドルに指をさし、宣言する。
「おいそこのお前! おいらが相手だ、勝負しろ!」
「ふふん、随分と威勢のいい小僧じゃないか、来な! 返り討ちにしてやるよ!」
 二人が舞台に立ったその場が、アイドルステージへと変貌していく。
 光るペンライトを手に持った観客概念が多数見守る中、二人の戦いの火蓋が斬って落とされた。
 まず、開幕からオブリビオン・アイドルが攻撃を仕掛けていく。
「聞きな! コール・オブ・ダークネス!」
 【精神をかき乱す歌声】を放ちダメージを与えようとマイクを構えた。
 命中すると【オブリビオン化エネルギー】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる技である。
 祭莉はこれを回避するために獣人の耳を塞ぐ。
 サウンドソルジャーでもある祭莉は、音への対処法には詳しいのだ。
(これだと両手が塞がっちまうから、ある程度しか凌げないけど……対処するにはやっぱり目には目を、ってところか)
 ほんの一瞬の呼吸で歌声が途切れる、その瞬間を狙って反撃を試みようとし様子を見る。
『みんなの気持ち、この拳の中に』
 ユーベルコード:|心の光芒を束ねて《オモイ・ヒトツニ》を念じてタイミングを待った。
 全身を【おひさまのような輝ける白炎】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【心の傷や、敵に感じる義憤や誠意やもふもふ】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する技である。
「くっ、何だ……眩しい!」
 タイミングを合わせるまでに負っていた時間に受けたダメージを攻撃回数に転換しようとする祭莉。
 この狙いは何とか思い通りに発動し、俊敏に動き回れるようになったところで、間合いを一気に詰めて物理攻撃を仕掛けていった。
 オブリビオンの力を操るアイドルと、人狼サウンドソルジャーの音撃がぶつかりあい、波紋を呼ぶ。
 観客達は不思議な音の響きにテンションを上げて歓声を上げていく。
 様々な音が混ざり合い、舞台を彩って……最終的に立っていた方が勝者というところか。
 祭莉の装備した拳の威力を高める、琥珀製の戦闘用ナックルリングから繰り出される拳、オブリビオン・アイドルのマイクから拡散される邪悪な歌声、どちらも五分の威力のようで、消耗戦が予想された。
「ってことは、より観客の応援を集めたほうが勝ち、だなっ?」
 動きだけなら、テクニカルに視線を集める祭莉がやや有利といったところか。
「あたしの歌の何が劣ってるって言うんだ!」
「あんた、ダンスはあんまり得意じゃなさそうだな、ならおいらのほうが素早く動ける分有利だよ!」
 動きに派手さを盛り込んで、拳を何度も叩きつける。
 観客達もダイナミックな祭莉の様子に湧き上がって、歓声が一層大きくなった。
 これを受けて更に連続攻撃を仕掛けていく!
「くっ、きゃああああ!」
 呼吸に乱れが生じた隙を突かれて、オブリビオン・アイドルがノックアウトされた。
「へへっ、おいらの勝利だよ!」
 最後に足を大きく使ってジャンプしてみせる祭莉に、観客の声援が上乗せされて飛んでくる。
 ぶんぶん腕を振ってそれに応える祭莉は満面の笑みを湛えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

紫・藍
あやー。
ラスボス、でっすかー。
ラスボスというのも演劇においてとっても大事な役どころではあるのでっすがー。
誇りを持って演じるのなら良いのでっすが、妥協としてのラスボス役になってまっせんかー?
ご自身が夢を諦めるに至った苦難や絶望をモチーフとしたラスボス役。
つまりでっすねー。
ラスボス側に回ってしまえば、自分はラスボスと戦わないでいい。
そんな甘えや逃避からのラスボス訳になってませんかー?
そのような逃げ腰のラスボスでは精神をかき乱せはしないのでっす!
だいたいでっすねー。
ともすれば主役よりも大変でっすよ、ラスボスとしてあるというのは。
誰もが自分の人生の主役と言うように、主役は一人でも成り立つのでっす。
でも。
ラスボスは常に誰かと対峙するもの。
本気で向かい合い、立ち向かわれる役なのでっす。
その覚悟がおありでっすか?
敢えて言いましょう。
今、この場におけるラスボスとは誰か。
それは即ち!
藍ちゃんくんでっすよー!
全身全霊の歌にて、魂を揺さぶるのでっす!
感極まってタッチもできないでしょうし、洗脳治癒不発かと!



「あやー。ラスボス、でっすかー」
 紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は再び舞台を見て、ため息を零す。
「ラスボスというのも演劇においてとっても大事な役どころではあるのでっすがー。誇りを持って演じるのなら良いのでっすが、妥協としてのラスボス役になってまっせんかー?」
 舞台には演目があり、大なり小なり役者が役を演じることになっている。
 どんな役にも『意味』のある台本であれば、役の規模に関わらず、欠かせぬ存在であるはずだ。
(ご自身が夢を諦めるに至った苦難や絶望をモチーフとしたラスボス役)
 その中でも、ラスボスという役は勿論、大役である。
 しかし、だからこそ、その役がどういう存在であるのかを改めて考え直す必要がある、と藍は考えたのだ。
「つまりでっすねー。ラスボス側に回ってしまえば、自分はラスボスと戦わないでいい。そんな甘えや逃避からのラスボス訳になってませんかー?」
「回りくどい言い方をするな! あたしはこの舞台に立って輝くライトの下で、お前達を粉砕するのが役目なんだ!」
 オブリビオン・アイドルは、ある意味舞台の中央でライトを浴びることそのものに酔っているのかもしれなかった。
 それは、役者として抱いてはいけない感情というわけでもないが、それ一辺倒に支配されてしまうようでは本末転倒だと言える。
 かつかつと舞台袖から歩き現れた藍に、自分の出番を邪魔される気がしたのか、それを恐れたからか、オブリビオン・アイドルは吼える。
「だいたい、お前達が上がってこなければ、この舞台はこのまま混沌の渦に巻かれて骸の海に呑まれ、遅かれ早かれ決着が付く筋書きになっているんだ、邪魔をするな!」
「だいたいでっすねー」
 ふむん、と腰に両腕を当てて|下手《しもて》に立つ藍は、言葉を選んで尚、オブリビオン・アイドルに問うていく。
「ともすれば主役よりも大変でっすよ、ラスボスとしてあるというのは。誰もが自分の人生の主役と言うように、主役は一人でも成り立つのでっす」
「……小難しいことを言って混乱を呼ぼうったって、そうはいかないよ! あたしの攻撃で演目をジ・エンドにするまでは、この舞台の幕は降りないのさ!」
「でも。ラスボスは常に誰かと対峙するもの。本気で向かい合い、立ち向かわれる役なのでっす。その覚悟がおありでっすか?」
 うっ、と言葉に圧倒されてしまうオブリビオン・アイドル。
 その時点で、ラスボスの器ではないことを自ら証明してしまったに等しい。
 頭を振って、喚く。
「お前たちのような、演目に邪魔な存在を綺麗さっぱり消し去ることも、あたしの役目だ!」
 観客達は、黙ってこのやりとりを見届けようとしている。
 ……つまり、既に藍とオブリビオン・アイドルの掛け合いは、それだけで演技として『見つめられて』いるのだ。
「敢えて言いましょう。今、この場におけるラスボスとは誰か。それは即ち!」
 びしり、と天を指さし、藍は次に己自身を指さした。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
「馬鹿な、ラスボスの座を狙っているだと!?」
 ちっちっち、とその指を振り、改めて自身を指さす藍。
「どちらがラスボスに相応しい存在なのか、戦って決めようじゃないか……!」
 激高したオブリビオン・アイドルが先手で動く。
「響け! コール・オブ・ダークネス!」
 【精神をかき乱す歌声】を放ちダメージを与え、命中すると【オブリビオン化エネルギー】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる技を発動させたのだ。
 オブリビオンと化しているとはいえ、アイドルを名乗るだけの声量で、激しいロック調のナンバーを歌い上げるが、それだけではこの技は成り立たない。
 それではこちらも、とばかりに、藍もまた全身全霊の歌にて、魂を揺さぶるのでっす! とマイクを握りしめる。
『藍ちゃんくんでっすよー! ご自身の胸の鼓動が聞こえまっすかー? それが皆々様の音楽なのでっす!』
 |君の知らない君自身《アイシンク・ゼアフォー・アイアム》。
 自身の【口や身振り手振りといった全身全霊】から極大威力の【聴覚や感情の有無に関わらず魂に響き渡る歌】を放つ。
 使用後は【心なき存在や無機物、現象さえも感極まった】状態となり、一定時間行動できない。
 藍の歌声はオブリビオン・アイドルのそれとは全く異なる、清涼感に満ちたナンバーであった。
 その上、思いの丈を載せた歌声は、まるでマイクで増幅されずとも圧倒的な声量を持ち、観客達の見守る隅々まで響き渡る。
「な、なんだ……この歌……ううっ」
 オブリビオン・アイドルは速攻でこの藍の歌声の効果に呑まれて、自身の歌を紡ぎ続けることが出来なくなってしまう。
(感極まってタッチもできないでしょうし、洗脳治癒不発かと!)
 そう、オブリビオン・アイドルの歌にはそれそのものだけでは効果は薄く、対象に触れなければならないのだ。
 藍の歌をまともに浴びてしまったために、身動きが取れなくなってしまっては、付与効果は発動出来ない。
 観客席は勿論、藍の歌声に触れた瞬間から大歓声に包まれている。
 このアイドルステージに於いて、観客を味方につけることの重要性がどれほどのものか、オブリビオン・アイドルも知っているはず。
 圧倒的アウェーの空気に変わってしまうと、上手く歌う事も儘ならず、オブリビオン・アイドルは立ち尽くした。
 それを見ても尚、歌い続ける藍は、さすがの威厳といったところか。
「ラスボス……あたしはその器にないっていうのかい……」
 打ち震える。
 それ程までに藍の歌は圧倒的で、アイドルとしての技量でも敵わないと解ってしまった。
 オブリビオン・アイドルは、その場に崩れ落ちる。
「自分を信じて歌い上げる、それもアイドルにとっては大事な素養なのでっす!」
「自分を……信じる……あたしは……何を信じて歌えばよかったのか、もうわからない」
「であれば! 最後まで藍ちゃんくんの歌を聴いていってくださいな! ラスト、ワンモア!」
 コールに合わせて、サビを繰り返し歌い上げる藍。
 ラストバトル勝者の紡ぐ歌が、舞台を大団円に導いていく──。
 観客達は大いに感動し、涙するものまでいたようだ。

 歌い終わり、ぺこりとお辞儀する藍に向かい、スタンディングオベーションの拍手喝采が鳴り響く。
 今回の舞台も、大成功のまま幕を閉じることとなった。
 当然のようにアンコールの声も挙がる。
「ではでは、もう一曲だけ披露させていただくのでっすよー!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャイニー・デュール(サポート)
『拙者は剣士でござります故!』
ウォーマシンの剣豪×クロムキャバリアです

真面目な性格ですが勘違いや空回りも多く、かつ自分がズレているという自覚もありません
正々堂々とした戦い方を好みますが、それに拘泥して戦況を悪化させたりはしません

ユーベルコードは所持する物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
公序良俗に反する行為は(そういう依頼でない限り)しません

サムライというものに憧れていますが、正しい知識はありません
銃を使うことを嫌っているわけではなく、必要に応じて刀と内蔵兵器を使い分けます
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 どことも知れぬ朽ちた製造所で目覚め、放浪の末猟兵となった白髪の少女型機械人形、シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)もまた、立ち上がった。
 ここまでは見ているだけしか出来なかったシャイニーであるが、オブリビオン・アイドルの登場には黙っておられず、急ぎ階段を上り舞台袖から鬨の声を上げ登場する。
『拙者は剣士でござります故!』
 真面目な性格で勘違いや空回りも多く、かつ自分がズレているという自覚もないシャイニーは、気の利いた演技とまでは出来ないまでも、猟兵として、剣士として場に立つことなら出来る、とやってきた。
 我が名は、と先に名乗り、オブリビオン・アイドルに真正面から挑んでいく。
 正々堂々とした戦い方を好む剣士が故の振舞だったが、これが案外と芝居がかっているように見えたらしく、観客の興味を惹いた。
 周辺が、一転してアイドルステージへと変わっていく。
 観客席は歓声をあげ、光るペンライトを手に、舞台の行く末を見守っている。
「あたしの独断場を邪魔する気概があるやつが、まだいるってのかい! どこからでもかかってきな、返り討ちにしてやるよ」
 オブリビオン・アイドルは『ブラッククロス・リベレイター』を宣言し、視界内に【黒き十字の閃光】を召喚した。
 [黒き十字の閃光]は一定秒間存在し、一定半径内の全員に【「骸の海」流出】の精神異常を与えようというのだ。
「その手は食わん、こちらも行くぞ!」
 瞬時にキャバリア、オーバーボディ:ブロッケンに搭乗すると、シャイニーも攻撃態勢に入った。
 実直な剣士然としてはいるが、拘泥して戦況を悪化させたりはしない適切な判断力も持ち合わせている。
「喰らえ、連続斬奥義!」
 見事なタイミングでユーベルコードを発動させるシャイニー。
 この技を使用すると、【絆の力】を宿した【愛用の武器】で、「自分や仲間が取得した🔴の総数×1回」攻撃する。
 攻撃回数こそ少ない発動ではあったが、この一撃がオブリビオン・アイドルにクリティカルヒット! 骸の海の流出を最小限に抑え込むことに成功した。
「ぐっ、なんて威力だ……」
「我が刀はサムライの魂を帯び輝くものである!」
 愛機のキャバリアが、装備した刀を翻し再度の攻撃へと転じていく。
 観客達は、シャイニーの立ち回りを一つの演技として楽しんでいるようで、声援が上がる。
 アイドルステージでは観客を味方に付けることも重要な勝利条件となる、現状シャイニーはその点で優勢であった。
 オブリビオンのアイドルと、サムライ魂を持った剣士の対決……この異種格闘じみたステージに湧く歓声を背に受けると、不思議と活力がみなぎってくるのを感じるのだ。
 しかし慢心することもなく、ただ実直に刀を振るうキャバリアを操縦するシャイニー。
 魂の形の違いだけで、勝敗が見えてくるようでもある。
 オブリビオン・アイドルは、どうやっても歪んだ心を隠すことが出来ず、苦心した攻撃を飛ばすが、どれも真面目に正面から打ち消されてしまう。
「まだやるか、既に勝ち筋は見えているが」
 息が上がっているオブリビオン・アイドルを相手に、ただまっすぐに構えを取ると、次の一撃で決めるとばかりに刀を握り直した。
「……いや、あたしの負けだ。あんたは強い……それに、こんなにも骸の海が利かない相手とやり合うのは無理筋だってことが痛い程わかっちまった」
 完敗を悟り、オブリビオン・アイドルはがくりと肩を落とした。
「こちらとしても、無為に命を奪おうというわけではない」
 静かに刀を収めると同時にウオオオオオ、と観客達が二名の役者に拍手と歓声を送り、舞台は閉幕と相成った。

成功 🔵​🔵​🔴​

城田・紗希(サポート)
基本的には考えるより行動するタイプ。
でもウィザードミサイルや斬撃の軌跡ぐらいは考える。…脳筋じゃナイデスヨ?
暗器は隠しすぎたので、UC発動時にどこから何が出てくるか、術者も把握していない。

逆恨みで怒ってる?…気のせいデスヨ。UCの逆恨みじゃアルマイシ。
ちゃんと説明は聞いてマシタヨ?(地の文と目を合わせない)

戦闘は、範囲系ユーベルコードなら集中砲火、単体攻撃なら可能な限りの連続使用。
必要に応じて、カウンターでタイミングをずらしたり、鎧破壊で次の人を有利にしておく。

……防御?なんかこう、勘で!(第六感)
耐性……は、なんか色々!(覚えてない)



 基本的には考えるより行動するタイプだと、自分では思っている。
 城田・紗希(人間の探索者・f01927)は、その思いを抱いた通りに、考えるよりも先に舞台袖に向かっていた。
 オブリビオン・アイドルの登場により、観覧していた演目はめちゃくちゃになってしまった。
 骸の海の流出も避けたい……となれば、出来ることをやるだけ、と思ったら、体は即行動をとっていた。
「ちょっと待った! あなたの思惑通りに事を運ばせるわけには行きません!」
「ちっ、またしても邪魔者が現れたか……来な、返り討ちにしてやるよ!」
 オブリビオン・アイドルの待つステージまで進んで、紗希の見ていた景色は一変する。
 戦闘が始まる……開幕を予感した舞台は、アイドルステージへと変貌を遂げたのだ。
 混乱に塗れていた観客席も綺麗なペンライトの海に代わり、歓声が届けられている。
 アイドルステージは、観客を味方に付けることが何よりも重要な要素となる。
 もとより、舞台に上がったのだから、多かれ少なかれ人の目は意識することになるのだが。
 何も考えずに壇上に現れたわけでは、多分、恐らく、決して、無い……はず。
(でもウィザードミサイルや斬撃の軌跡ぐらいは考える。……脳筋じゃナイデスヨ?)
 元来の舞台より遥かに広く高くクリアなステージで、どう立ち回るべきか……紗希は舞台に立ってから、超高速で考え始めた。
 なるようになれ、と思うことも多いが、とにかく相手の出方を待つだけではいけない、と隠し持っている暗器の存在をいくつか確かめた。
 ……何がどこに仕舞われているのか既に把握していない程度には、あれやこれやを装備している。
 いざとなれば、猟兵としての身体能力で何とか出来るに違いない。
「どいつもこいつも、あたしの舞台を邪魔する奴等ばかりだ! そんなにオブリビオンが怖いっていうんなら、真正面から相手してやろうじゃないか! そしてお前も、お前らも、皆骸の海に沈むがいい!」
(逆恨みで怒ってる? ……気のせいデスヨ。UCの逆恨みじゃアルマイシ。ちゃんと説明は聞いてマシタヨ?) 
 相手の説明口調を聞き流して、とりあえず身構える。
 オブリビオン・アイドルが先制攻撃を仕掛けてきた!
「響け、コール・オブ・ダークネス!」
 【精神をかき乱す歌声】を放ちダメージを与えようとしてくる。
 命中すると【オブリビオン化エネルギー】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できるようだが、これは紗希には届きにくい。
 何となくで聞き流している上に、接触しようとする手も受け流されてしまった。
(……防御?なんかこう、勘で!(第六感))
 適当にあしらっているのが功を奏したらしい。
 特に幸運のステータスが効果的に働いているようだった。
(耐性……は、なんか色々!(覚えてない))
 受け流し、見切り、カウンターといったあたりの技能が冴えて、精神ダメージはほぼ無効の動きが出来ている。
 よし、と手にした武器を握りしめて、紗希はユーベルコード:|不可視の攻撃《ミヅライコウゲキ》を繰り出した!
『武器はまだあるよー?』
 【隠し持った複数の暗器】で対象を攻撃する。
 攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる技で、今回は……攻撃力を選択! 一対一の対決なら、手数は暗器に任せて、一撃の攻撃力を高め、片っ端から当てていこうという作戦だ。
 ……決して何も考えていないわけではない、ハズ。
 単体攻撃なら可能な限りの連続使用で、わんさかと出てくる暗器でとにかく攻撃を試みていく。
 フック付きワイヤーでオブリビオン・アイドルの手足を絡めとり、頑丈なナイフを投げつけ、その隙を突いて手にした愛用の刀:紅時雨で斬り付けていく。
 奇術師のような立ち振る舞いと、合間に展開する剣戟に、観客席は大いに湧いた。
「おのれちょこまかと……あたしの歌を聴きな!」
(そう言われても、困るだけなんですよね~)
 相変わらず聞き流して、暗器と刀による攻撃を重ねていくうちに、オブリビオン・アイドルはダメージが積み重なり、動きが鈍くなっていた。
 そこをすかさずワイヤーで括って……。
「うーん、とりあえず勝負あったっぽくないですか?」
 まだまだ暗器が飛び出してくる様子に、オブリビオン・アイドルは激高した。
「あんたのそれ、いつまで出てくるんだい!?」
「いやあ~暗器は隠しすぎたので、UC発動時にどこから何が出てくるか、術者も把握してないんですよね、これが」
 こんなのもありますよ、とばかりに攻撃力は帯びてなさそうなうちわや財布まで出しては仕舞っていく。
「くっ、こんなおちゃらけた相手に必死に歌うのが馬鹿らしくなってくるよ……」
 観客からは、紗希のトンデモっぷりが好評のようで、たくさんの歓声が飛んできている。
 アイドルステージの勝敗を決めるのは、観客の反応でもあるのだ。
「ってことで、勝負あった、ですね!」

成功 🔵​🔵​🔴​

熊ヶ谷・咲幸(サポート)
お騒がせ☆アイドル×力持ち、12歳の女の子です。

戦闘時など、アイドル⭐︎フロンティア以外ではコンパクトを力技で【こじ開け】て変身します。そのせいかリボンが絡まるなど不完全な変身も
変身時に出現したキラキラエフェクトはしばらく物質化しており、攻撃を防いだり掴んで投げたり出来ます
がむしゃらに頑張るタイプで【怪力】による正面突破や力技がメインですが、力をコントロールできなかったり等でドジをすることもしばしば。【奇跡のドジ】でいい方向に向かうことも

ユーベルコードは指定した物や公開されている物をどれでも使用します。また、公序良俗に反する行動はしません。

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 アイドルステージに立つ、それはアイドルとして憧れであり、当然の目標だとも言える。
 熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)は、アイドルフロンティアの戦いを駆け抜けてきた猟兵の一人だ。
 ステージに立つことも、だいぶ慣れてきたように思うのだが……持ち前の明るさでは回避出来ないドジっぷりなど、まだまだ修行の身でもあった。
 今日も変身コンパクトを抉じ開けて、何とかアイドルの姿になれたのはいいが、いくら魔法の小道具とはいえ、いつか壊れるのではないかという気もしなくもない。
(しかし、コンパクトは咲幸の怪力にも常に耐えており、やはり魔法の力はすごいのだなーと今日も関心するなどしている)
 それにしても、同じアイドルとして此度のステージはいただけない。
 オブリビオンのアイドルが立つ、それそのものは問題ないだろうが、骸の海を使って騒動を起こしているとなれば、話は別だ。
 咲幸が変身し壇上に上がると、キラキラと周囲がアイドルステージに変貌していく。
 オブリビオン・アイドルと咲幸が共に、ステージの上で観客にアピールするターンになった。
 観客席は満員御礼、ペンライトの美しい海が広がっている。
「悪事を働くオブリビオン、観念しなさい!」
「あんたもアイドルならわかるだろう? このステージ、あたしが頂点に立つのさ!」
 暗黒の歌声を放つ、オブリビオン・アイドル。
 視界内の任意の全対象を完全治療する。
 ただし対象は【心の内に秘めた「骸の海」】に汚染され、一定時間、理性無き【オブリビオン】と化すという恐ろしい技であった。
 壇上に居た演者を巻き込もうとしている……! 咄嗟に咲幸は事態を把握し、こちらもとばかりにユーベルコード:チアフル☆リーインカーネーションを発動させた。
『|骸の海《おうち》に帰って反省してください!』
 【地面に骸の海に繋がるドラゴン界を生成して】から、物質を透過し敵に【骸の海に送り、行動不能】の状態異常を与える【浄化の力を込めたパワーボム】を放つ技だ。
 何としてでも被害を抑えたい……その想いで発動させたのだが、これが奇跡のドジっこスタイルによりとんでもない方向に力を発揮することになってしまった。
 オブリビオン・アイドルの歌声が届く前に、地面にドラゴン界が生成され……オブリビオン・アイドルを透過し……一瞬通り過ぎようとしてから慌てて戻る羽目になりつつも、がっしりと敵を掴んで行動不能に陥らせて。
「ふんっ!」
 瞬間の一撃は、恐ろしく力のこもったものとなった。
 浄化の力を込めたパワーボムが、アイドルステージの中央で炸裂し……体をしたたかに打ち付けたオブリビオン・アイドルはたった一撃で昏倒してしまった。
「あ、あわわ、わ、やりすぎちゃいました……!」
 あまりにも鮮やか過ぎる出来事に、観客席も呆然としたが……オブリビオン・アイドルが鈍い音を立てて倒れ込んだのを確認し……やっと事態が把握出来たようで、一瞬の沈黙ののち大歓声と拍手の嵐が巻き起こった!
「あ、あっはははははは……どーもどーも……」
 照れ笑いで観客に応える咲幸。
 花も恥じらう年ごろの乙女が炸裂させたパワーボムの華麗すぎる一瞬は、敏腕カメラマンの手により鮮明に写真に収められていたようで、翌日『スポーツ新聞』のトップを飾ることとなったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年11月21日


挿絵イラスト