バルーン・ザ・バルーン!恐怖の罠は【大風船】!!
「アルダワ魔法学園で事件だよ……ちょっと厄介なタイプの、ね」
フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)は常時通り、疑似ARホログラフを繰りつつ、開口一番にそう切り出す。
そして分かっている範囲での――恐らく今回の件に関係するだろう、ある迷宮の一部の簡単な見取り図を表示させながら説明し始めた。
「なんでも……とある手付かずの迷宮へ、一番に制覇しようと攻略に乗り出したアルダワの学生達が内部で行方不明になるらしい。しかも複数のパーティがね」
更に言えば武器やアクセサリー、服の一部などが散乱している為、何か有ったのは確かだと言えよう。
現状を聞いた猟兵達は、最悪の事態を思い浮かべる。
しかしながら、フロッシュの顔には焦りなどはなく、寧ろ割と微妙な物。
何故か……と数人の脳裏に疑問が浮かんだのと同じくして、フロッシュの話が再開した。
「予知ので流れた映像がね――なんというかその、バカらしいというか、でも深刻というか……うん」
曰く。とある学生達のパーティ複数が、『怖いもの見たさ』で迷宮に乗り込んだのだ。
しかし少し奥へ進んだ次の瞬間――メカメカしい職種につかまり、注射をチクッとされたかと思うと、いきなり【バルーン化】して天井まで舞い上がってしまったのだとか。
しかもデフォルメしたまん丸な、可愛らしい物への大変化。
その後……場面が飛んで武器散乱シーンに繋がり、いきなり学生たちが消えていたのもあり、予知したフロッシュ本人も割と困惑している様子。
「被害にあった彼、彼女らが迷宮へ踏み入った理由からするに、多分既に被害は出ている。けど場面が飛んで【消えていなくなる】なんてどうも不思議でさ」
死人が出ているのか、いないのか。それすらふわふわしているが……現状としては、これ以上の被害を生まない様その現場に向かう他あるまい。
「ただ何も情報が無い訳じゃないよ。――1つ。罠に掛かっても一番最後は【バルーン化注射】で終わる事。つまり触手以外の罠に掛かれば回避できる可能性はある」
逆に言うと、触手につかまったが最後、並大抵の方法ではどうにもならないらしい。
無論、他の罠が安全と言う事ではないので、その点は注意するべきだろう。
「2つ。アタシ達猟兵は生命の埒外……【バルーン化】してもある程度は戦えるだろうね」
ただし勝手が違うのは勿論、武器などが散乱していたのも気になる。
飽く迄、慌てる必要はないという事だけであろう。
「罠自体は珍妙だけど、予知できた以上オブリビオンが関わっているのは明白……何が起こっているのか突き止めて――確り企みを潰してね。健闘を祈るよ」
〆にフロッシュは一言告げ、グリモアを起動させる。
こうして謎が謎を呼ぶ【バルーン化】事件が、幕を開けるのだった。
青空
風船の中身を全部ただの空気だと思っていて、物凄く軽かったり中々萎まなかったりするタイプを見る度に、疑問に思っていた青空です。
今回は書いてある通り「膨らむ」依頼でございます。
命に別状は無いものの、迷宮のメカ触手トラップを受けると【ボール系デフォルメ】のバルーンもどきになっちゃいますのでご注意を。
それを念頭においてくださいね?
あと触手トラップは基本的に拘束用で、バルーン化はまた別。
また、その他にも幾つかの罠があると思って下さい。
そしてバルーン化した方は、戦闘自体は普通に可能なものの続く第二章・第三章で「破裂させられる」可能性があります。
無論死ぬ訳じゃありません。ギャグ混じりから大ダメージで倒れるだけです。
……膨らんでいない方は、どの章でも引き続き罠が作動し狙われ続けるので、其処にも留意をば。
また格好良さよりもギャグ重視で、「バルーン化・破裂して元に戻りぐったり」の描写でも良いですよと言う方は、明記するか【▼】をお願いします。
罠の種類はそちらで想定し、プレイングに記載して下さってもOKです。
――さあ冒険に出かけましょう!
第1章 冒険
『触手迷宮クロニクル』
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POW : 罠による妨害を受ける前に破壊する。気合で耐えれば罠にかかっても大丈夫と対策せずに進む。
SPD : 罠を素早く回避して突っ切る。自分の身のこなしなら罠にかかっても脱出できると対策せずに進む。
WIZ : 罠を無力化する手段を用意する。冷静に対応すれば罠にかかっても脱出できると対策せずに進む。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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クロ・ネコノ
また変なのが出たね、…もう行方不明者が出てるって話だし、行かない訳にもいかないけどさ。
[アンジェリカ(f11144)とセットでお願いします]
にしても触手とは厄介な…当てにくいんだよね、こういう奴は。[アンジェリカと背中合わせで触手と対峙しつつ弓を射る]
っと、[接近してきた触手をナイフでいなす]硬っ、さすがに普通のナイフじゃ無理か、厳しいね。
(後ろにアンジェがいるしゴム体質で避ける訳にもいかないしなぁ)
[アンジェの意見を聞いて後ろを振り向いた所でまとめて縛られる]
まあその方が…ッ!
ちょっ…[ゴム体質で抜けようとすると余計きつく絞められ、そのまま注射を打たれる]
【アドリブ・ギャグやられ表現OK!】
アンジェリカ・ヘインズビー
お仕事です、頑張りましょう。
(クロ・ネコノさん(f06406)と一緒にして下さい)
【POW】
クロさんと背中合わせで触手に対処…出来ればいいのですが、罠だと本体がいない以上、叩いても効いてる気がしません。(ハンマーで叩こうとするがあまり効果が無く、逆に別の触手にハンマーを絡め取られる)
…クロさんこれは避けて進んだ方が良いのでは?(と後ろを振り返った所で2人まとめて縛られる)
…!…離して下さい!(もがくが大した効果は無く、注射を打たれる)
【アドリブ歓迎・ギャグなら容赦ないやられ描写でも大丈夫です】
【バルーン化の罠】
単語だけ聞いても摩訶不思議な、そして単語そのままの結果を齎すおかしな罠。
しかもデフォルメされるおまけ付きと来た。
オマケに不明な情報が上乗せされているという始末。
……だが実際行方不明になっている者が出ている以上、そしてオブリビオンが関わっている故に、救助しに行かないという選択肢は、既に無かろう。
そんなある意味勇気のいる罠と事件に対し、果敢にも挑む猟兵は、またいるもので。
――今まさに、捕らえんと迫りくるメカ触手と対峙していた。
「にしても、っと! 触手とはまた厄介な……!」
煌々と紫に光る不思議な【ロングボウ】を手に、同色の矢を2、3と素早く速射して、纏めて触手を壁へバシッ! と縫い留めながら。
猫の耳と尻尾が特徴的なバーチャルキャラクター、クロ・ネコノ(弓矢が得物のゴム鞠猫・f06406)は危うくも落とせたことに安堵しつつ、冷や汗を流して呟く。
「本体がいませんから……叩いている感じが、しないと言います――かっ!」
そんなクロと背中合わせで、巨大な槌【マジックハンマー】を振るい、波打つメカ触手を弾き飛ばすのはアンジェリカ・ヘインズビー(寡黙でサイボーグなバーバリアン少女・f11144)。
人形の様な華奢な外見からは想像もつかない怪力を保ち、サイボーグの利点を活かした小回りを持って、並み居る罠を跳ね除けていた。
事の発端は数分前。
二人が迷宮へ踏み入ってから少し経った時である。
また珍妙で変な罠が出たもんだねと何処か微妙な顔でクロが、奇妙に見えても仕事ですし頑張らなくてはと緊張気味にアンジェリカが。
それぞれ趣違う事を考えながらに、一度の分かれ道と数本の直線路で形成された、単純ながら先の見えない迷宮を進んでいた。
……そして通過を知らせる様なブザーが鳴ったかと思えば、いきなり四方八方からメカ触手が飛び出、二人を捉えんと迫り来たのだ。
普段より共に事件解決へ向かう事も多い彼女達は、すぐさま背中合わせになって触手を迎え撃ち――そして今に至る訳である。
「うねるなっ……て! 当てにくいんだよ、こういうの……はっ!」
バシュッ! と放たれた矢が触手の先端を掠めて弾き、軌道を変えてまた別の触手を打ち、最後に本命である力を溜めていた【注射針パーツ】のある1本を貫く。
ビシュッ! という音が幾重にも重なり、数瞬違いで迫って来ていた数本のメカ触手を尽く穿ち、爆ぜ落とした。
……それでも数本避けられ、その矢が地面や突き刺さった。必然クロが矢を番えるまで決定的な隙が生じ、その間を縫って触手が迫る。
「おっと危ない!」
彼女とて何の仕込みもしていない訳ではない。ナイフを抜き放ち、そのまま触手へ添えていなし、凌いでみせた。
だが――。
「いっ!? 硬ったぁ
……!!」
うねっていようが仮にもメカだ、その硬度は並みならない。クロが得意とする弓矢ならばいざ知らず、持ち込んだナイフでは歯が立たない様子。
「クロさ――っ! せいっ、ていっ!!」
そんな彼女を気に掛けつつも、隙を見せてはならないと切り替え、背中側でハンマーを振るい続けるアンジェリカ。
彼女の戦法は重量を活かした得物を叩きつける、シンプルなものだ。それは単純故に強力であり、メカ触手を全く寄せ付けない。
見る間に千切れ飛び、そのまま壁にたたきつけていく。
「まだまだ!!」
扇風機の様に眼前でハンマーを回せば、竜巻の様な気流が発生し、罠たちの行く手を阻む。
そして追加で鋭いスイングが混じり、偶に巻き起こる風が追加の進撃をも阻んでいるらしい。
今までの挑戦者と違うからか、触手の対応もまだまだ目に見えて遅かった。
「まあ流石に普通の刃物じゃ厳しいよね。……と言うかまだ出てくるの?」
「色んなところからどんどん伸びてきますし、これじゃあジリ貧です……」
されども罠の恐ろしさは止める為にそのものを叩いても意味無いところ。
そして怯む事なく作動し続けるところだ。
取分けアルダワの迷宮は謎が多い為、力任せに全てを破壊して止めるのはあまりに危うい。
またクロには『ゴム体質(エラスティックボディ)』という、宛らゴムのように伸び縮みする不思議な体質を備えるユーベルコードがあるのだが――背後にアンジェリカが居る以上、それを使って避けるわけにもいかない。
「せっ……わぁ?! ゆ、油断しました……」
「アンジェどうしたの!」
「クロさん、ハンマーを盗られてしまって……」
オマケに段々と対応し始めて来たメカ触手が、アンジェリカの一瞬の隙をついて強引な武装解除を決行。
するりと抜き盗られ、手を伸ばすも遠くへ投げ捨てられてしまう。
あまり良い流れとは言えないが、まだサイボーグの特性を活かした徒手空拳でもなんとかなる以上、まだ慌てる事態ではない。
「クロさん、これは流石に……避けて進んだ方が良いのでは?」
その為アンジェリカは落ち着き払って、クロの方へと振り返った。
――もし “武器が無いとどうにもならない事態であれば” 置き得なかったろう、油断からの一幕。
「まあ確かにその方が――うわっ!?」
「ひゃあっ!?」
つられてクロが振り返った時には、もう遅く……二人共メカ触手に捉えられてしまった。
しかも片方づつなら兎も角、両者へいっぺんに巻き付いているのだから、互いの体が邪魔して上手く身動きが取れない。
「ちょっ……うおっ?!」
流石に不味いと『ゴム体質』を発動しようとしたクロは、されどよりキツく絞め上げられて動きを止めてしまう。
「離して、くださいっ
……!!」
怪力を最大限発揮したアンジェリカの抵抗も意味がなく、まったく緩んではくれない。
と思いきや、いきなり拘束が解けた。これまた何というラッキーか。
「おわっと!? ……あれ、どういうこ――あ」
「ど、どういう事で――へ?」
――なんてことは無く。
二人の視界には、それぞれ【もう注射を打った後】の注射針触手が離れていくのが見えた。……絞め上げに気を取られて僅かな痛みに気が付かなかったらしい。
「何かこの、体の中から力みたいなもの――ほ、ほぼぼぼぼ……!」
「へ、変な感触が内側から迫ってきてま――わ、わばばばばば!?」
膨らんでこそいないのだが、身動きがとり辛くなり、しかも少しずつ宙に浮かんでいる。
どうしよう等と悩む間もない、一瞬の空白。
「ほぶぅっ!」
「にょぼぅ!」
次の瞬間にはボムン!! という特徴的でコミカルな音を上げ、二人仲良く【バルーン化】していた。
宛らそれはボールの絵にデフォルメされた二人を描いたかのよう。
そこに手足や猫耳やリボンなどの、立体的パーツがちょこんとついている様な感じだ。
そんな――おもちゃの様な、コミカルな外見に早変わりしてしまっていた。
「どどどどうしましょうクロさん!!」
「あ、普通に喋れるんだ……じゃなくて落ち着いてってアンジェ! 言われたとおり動く事は出来るみたいだから」
「クロさん触手がまた来たんですけど」
「え」
そう冷静に言い含めたクロの発言を無視して、更にメカ触手が向かってくる。
そして触れるが早いか二人をポンポンとお手玉し始めた。
「のわああぁぁ!」
「ひゃああー!?」
痛くはないのだがぐるぐると回され、しこたま目を回した二人はもはや抵抗が出来ず――そのままアタックされて次の階層へ放り込まれてしまった。
……天井に浮かんだ【不気味な魔法陣】を結果的に無視する形で。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネリー・マティス
バルーン化かー……前に似たような目にあったけど、今度はそうはならないよ!
進むのにジャマになりそうな罠や触手は【グラウンドクラッシャー】でどんどん壊していくよ!
……みぎゅっ!?(突然天井が落ちてきて、ぺしゃんこに潰される)うぅ……なに……あうっ、はわぁーーーっ!?(触手に捕まり、よく膨らむようにびろんびろん引っ張られ延ばされる)んんっ……ぷしゅうーーー……(為す術なくまんまるバルーンに)
(ギャグ重視、バルーン化、破裂してぴよぴよぐるぐる目回し歓迎)
ミリア・プレスティール
柔軟な体のおかげで注射針には刺さりにくくはなっていると思いますが触手に気をつけて進みます。
しかし周囲の触手に気を取られるあまりに天井の一部が落ちてきてもよけられずにミリアは押し花の様にされます。
身動きの取れないミリアに触手が迫り、口に空気(又は薬品)を入れられバルーン化します。
風船になったミリアに相棒の手袋に憑依したUDCの『ミトン』はどこからか糸を取り出しミリアに結び付けます。
ミリアが勝手に飛んでいく危険はなくなりましたが、風船をもらった子供の様に『ミトン』にいじられながらすすむことに…
※アドリブ、他の方との絡みOK
――ところ変わってまた別通路。
其処を歩み行く猟兵もまた、何の偶然か二人一組だ。
先の彼女等の如く以前より知り合っていた訳ではないようだが、互いに人見知りする性格ではなかったようで、直ぐに打ち解けあい……簡易的に左右の陣形を組んで警戒しながら進んでいた。
「ミトン、っていうんだねー。その手袋みたいな、イキモノ?」
170は超えていよう筋肉質な長身を誇り、しかし少しアンバランスな――しかして年齢通りの童顔を持つネリー・マティス(大きな少女・f15923)が、斧を担ぎつつ問いかける。
「どちらかと言うと手袋に宿った守護霊みたいなもので……大切な友達です」
対し、宙に浮き何やら楽しげにハンドサインする手袋を傍らに置いた、黒髪と藍色の瞳を持つ少女、ミリア・プレスティール(守護霊持ちのいじられ女子・f16609)は頷きつつ答えた。
「友達かー! いいね、面白いし!」
《グッ!》
ネリーが笑顔でサムズアップすれば、ミトンと呼ばれた手袋もまたサムズアップを返す。
そのやり取りを見たミリアは何だか嬉しくなってちょっと笑い、迷宮無いとは思えないほっこりした雰囲気が2人と1体の間に流れる。
――そしてもう少し進んだ後。
そこでネリーが、ふと思い出したように切り出した。
「今回の罠って受けるとバルーン化しちゃうんだったよね?」
「はい。どんな罠に掛かっても最後の注射だけは受けてはいけない、と」
覚えたとおりだと確信を得たネリーは、次いで自身の胸をドンと叩いた。
「よしっ! 前に似たような目にはあったけど、だらこそ今度はそうはならないよ!」
……なんとまあ、バルーン化に酷似した事態と、はちあった事がある様子。
そんな彼女が事件解決に向かっている偶然。
事実は小説より奇なり、とはよく言ったものである。
(私は、柔軟な体のおかげで注射針には刺さりにくくはなっていると思いますが……)
胸を張って歩くネリーの少し斜め後ろで、考えながらミリアが続く。
彼女は強化人間であり、特殊な流体の様な柔軟な体となっている。それは仮に刃物であっても弾力で沈み込む程なのだが……努々油断は禁物であろうと、一度気合を入れなおした。
「おっと、来たよ!!」
「こんな所でもう……ミトン!」
《ビシッ!》
其処から数分と立たず、とある通路の位置エリアに踏み入った途端、四方八方からメカメカしい意匠の触手が次々飛び出してくる。
ここから本格的に罠による、侵入者への洗礼が始まるのだ。
ネリーはすかさず斧を構え――振りかぶるが早いか縦一閃。豪快に触手を吹き飛ばす。
返す刀で振り上げた刃が数本いっぺんに食い千切り、爆風を巻き起こした。
その間隙にミトンが飛び込み、ミリアは『ダイラタンシーボディ(ダイラタンシーボディ)』のユーベルコードにより身体を特殊な流体……ダイラタント流体の様な柔軟なボディへと変えていく。
ミトンによる鉄拳で開いた隙間に腕を伸ばし、鞭のように振ってそのまま触手を薙ぎ払った。
「まだまだ来るねー……でもわたしの方が強いもんね!!」
ネリーの戦い方は只管に豪快だ。
斧を叩きつけた反動で持ち上げ、また叩きつけては振り上げて、縦振りの乱れ打ちにて肉薄しながら激動、また爆撃。
怪力任せの戦法に見えて、しかし基礎となる斧術の下地が見える辺り、鍛えた者の強さも垣間見える。
メカ触手は勿論、隠されていた簡易的な罠すらも木っ端みじんに粉砕していく。
「もいっぱぁっ!!」
軽くジャンプしてから、今度は両手持ちでの『グラウンドクラッシャー』が発動。
微震とすら言える衝撃が着弾と共に吹き散らされ、迫って来ていたメカ触手は綺麗さっぱり潰されていた。
「ミトン、左お願い!」
《ババッ!》
ミリアとミトンのコンビもまた、軽快且つ重い攻撃を、息の合った連携で繰り出していた。
伸ばして腕でメカ触手を相手取り、また寄ってくれば弾力性を活かして一気に戻しながら“引き寄せる様に殴る”器用な技で打ち据えていく。
かと思えば脚を一瞬伸ばして特異なジャンプを繰り出し、片手を伸ばして其処を支点に一回転蹴り。
捕らえようと迫ってもすぐに定位置へ戻り隙を見せない。
そして今の柔軟な体を持つ彼女でも庇いきれない個所からの攻撃は、絶えずミトンが応戦してくれていた。
宙を飛び交い、メカ触手の間を縫い、すれ違い様にバシバシと叩きいれていくミトンの存在はミリアにとっても、そしてネリーにとっても有難いモノ。
「甘いっ!」
ミトンを捉えようとすれば一旦反動をつけたミリアの拳が直撃。
この戦いの流れは完全に、2人と1体が掌握していた。
「どんどん壊していくよー!!」
「まだまだ来る……でも、もうちょっと頑張ればこれぐらいなら……!」
追加され続ける触手にしかし、2人は血気盛んに突撃しながら、徐々に徐々に前へと進んでいく。
ただその瞳にメカ触手だけを映し。
彼等の相手をすることに確りと集中して。
―――してしまったものだから。
「あれ、何か暗く……みぎゅっ!?」
「いきなり影が……はびょっ!!」
微弱にまかれていた奇妙な煙と、上から落ちてくる追加の罠に全く気が付かず――かなり見事に潰されてしまっていた。
避けるアクションも取れなかった2人とは対照的に、自分だけ普通にミトンは避けていた……と言うより、割と驚いていることから “ギリギリ範囲から逃れていた” というべきか。
哀れ押し花の如くぺしゃんこになった二人だが、それでも猟兵。すぐに復帰して立ち上がって来た。
「あたた。な、なに今の……はうっ?」
「何とか無事――ってしまった!?」
が、勢いが止まったのならば触手の逆襲を受けるのは、もう自明の理な訳で。
「あうっ! おむぁ! はうわあああぁーー!?」
まるで輪ゴムでも扱うかのように、アッチへビヨンビヨン、こっちへビロンビロン。
「まっ! やめっ! みきゃああぁぁーー!?」
特に柔らかい体質なのも手伝って、ミリアは割と思いっ切り伸ばされている。
そうこうしている内にネリーへは注射が、そしてミリアはその構内へとカプセルの様な物が放り込まれ。
先の如く、妙な力の塊が発生したのを感じ取った――のもつかの間。
「んんっ……? んお――ぷゅううぅう~……」
「はおっ……!? ぷわあぁぁ~……」
ボムン! という割と轟く音とは対照的なコミカルさを持った、見事なスーパーデフォルメタッチで描かれた――ようなまん丸キャラバルーンへと変身してしまった。
一瞬で変わってしまった体に慣れるのはそう簡単ではなく、ネリーは最後まで手にしていた斧を落っことしてしまう。
「ち、力は入るけど上手く持てな……っていうか鎧の一部も落ちてる!」
それは肩鎧や首鎧など本当にごく一部で、胴鎧や手袋などはそのまま装備されてはいる。
ここで同じくぷかぷか浮かびながら、ミリアは、情報の中にあった謎の散乱について悟った。
(そうか、だから武装が散乱して……でも……ならなんで人が消えて?)
しかしそう考える間もなくメカ触手達が――ではなく、ミトンが何処からともなく紐を取り出す。
《シャシャッ!》
「ミトン!?」
「わー、何すんの!!」
そして勝手にミリアやネリーに括りつけ、まるで子供が走り回るように、はしゃぎながらジグザグ移動し、また下からポンポンと跳ね上げる悪戯を仕掛けて来た。
「のわー! うわー!」
「ちょっとミトンやめ……わぁー!?」
こうしてどうにか飛ぶことは無くなったのだが――次の階層でミトンが飽きてくれるまで、2人は子供の無邪気な恐ろしさを風船の身になって味わう羽目となった。
――その頭上で瞬く魔法陣に、意識向ける暇もなく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
戸辺・鈴海
ふむふむ、つまりはお腹いっぱいになるまで頂けるという事ですね。
たらふく食べた後の感覚とは実に心地が良いモノですし気になります。
趣旨を勘違いする系フェアリーとして邁進するのも、小さな食いしん坊たる所以かと。
そんなノリで突入しますので、メカ触手を警戒するどころか興味を示します。
味方の制止を気にするどころか、一緒に行こうとばかりに手を引いてしまうでしょう。
頭の中は食欲に包まれているので、ユーベルコードで大きくなっており力尽く万歳状態です。
それではレッツ過剰摂取、必要以上に刺されたらどうなるか味わいましょう。
残さず食べたら凄い事になりそうですけど、心地良ければ問題無いです。
▼▼ギャグ歓迎、絡みOK▼▼
宝海院・棗
【ちゃんと抜ける場合】
「膨らむ感じがどんな感じなのか気になるけどとりあえず行けるところまで行ってみよう!」
スライムスリップによる液体化やスカイステッパーによる多段ジャンプを生かして罠を回避。スピーディかつテクニカルに
「油断はしないようにしないとね・・・」
【罠にかかったら】
回転する円盤で轆轤のように超光速で回転しながらボール状に加工、その後パイプのようなところを猛スピードで転がっていき、満足するまで転がり終えた後に膨らむ感じ
(これが膨らむ感覚なのか・・・)←デフォルメされまくって顔消失でしゃべれないイメージ
ぽんぽん弾んだり転がったりしながら時を過ごしたり
アドリブ、絡み可
目回しやネガティブ描写NG
「せい、はぅ、とっ!」
「よいしょ―!……まだ見えませんかね?」
「うん、まだみたい」
次から次へと飛び出してくる、普通の罠による槍や転ばしにブービートラップなどを回避しながら――これまた2人1組の猟兵が中々のスピードで駆け抜けていく。
……片方はクリスタリアンの少女。
水色の肌と紫色の髪のコントラストが光り、低身長とは裏腹に抜群のスタイルを誇る宝海院・棗(もち・ぷに・とろり。・f02014)が翔ぶ様に、また軽快に。ある時はまるで液体の如く柔軟に。
……片やフェアリーの女性。
青色のツインテールをなびかせ、また黒塗りの箸を武器にしているところからも分かるように食への飽くなき探求心を持つ戸辺・鈴海(味覚を求める来訪者・f00008)が身軽に飛翔して。
危なげなく罠を超えていた。
――そんな二人の顔には、かなりの余裕がある。言い換えてしまえばこの状況を楽しんでいるとすらいえる。
珍妙且つ原理不明、制作意図不明な罠相手だというのにこの胆力。
彼女達はもしかすると、鋼の如き精神力を携えているのかもしれない。
(膨らむ感じがどんな感じなのか気になるけど……とりあえず行けるところまで行ってみよう!)
証拠に避ける事前提ではあれど、好奇心混じりであることも手伝い、より激しくなる罠にも……棗は憶することも無く突っ込んでいく。
つまり当然ながら鈴海もまた――。
(膨らむ――と言う事は、つまりはお腹いっぱいになるまで頂けるという事ですね)
――否、ちょっと違った様子。
食いしん坊万歳の精神、ここにあり……を此処でも地で行っていたらしい。
(たらふく食べた後の感覚とは実に心地が良いモノですし、それがより持続するとなれば、是非気になります)
しかしながら未知が多いこの事件で、己の在り方1つを真っ直ぐ貫く精神性は、とても頼りになる事だろう。
……食欲が暴走しなければ。
兎に角突っ走ったからこそ、棗と鈴海もまたメカ触手ゾーンへと突入。
他のエリアでも猟兵達が暴れ回ったからか……2人へ殺到するメカメカしい触手の数は、彼女等が思っていたよりも少なかった。
だが――いやだからこそか、回されるエネルギーが多いらしく、より鋭く素早い動きを見せている。
ぱっと見、より確実な隙を狙う気か注射針付きの触手はないが、何時出て来るかは分からない。
ならば持つべき心持は1つだ。
「油断はしない様に……しないとね!」
ビュン! と唸ったメカ触手を軽く跳躍して回避した棗は、次いで空を蹴り壁に着地。――僅かに視線を巡らせたあと上空へ飛び出し数本を避け、もう一度空を蹴って床を目指す。
だがその途上を阻む様に、メカ触手数本が、隙間薄くして薙ぎ払って来る。
小柄なだけならば兎も角、体型に恵まれた彼女では流石に……と思いきや、次の瞬間には液体のように成りするんと普通に通り抜け、ちゃんと着地して見せた。
これは『スライムスリップ(スライムスリップ)』――己の体を粘度自在の液体へと変えるユーベルコード。彼女は最初から使用しており、不意打ちにも楽々対処できたのだ。
「ご飯はまだなんですかーー!!」
そうやってスタイリッシュ且つ滑らかに突破する棗とはまた別サイドで、鈴海が猛烈な勢いで走り抜けている。……そう、フェアリーの彼女が【走り抜けている】。
もはや翅と呼んでよいのか分からない、翼の羽ばたきも合わさって、恐るべきスピードが叩き出されていた。
これもまたユーベルコードの一つであり、名を『Esplosione Appetito(エスプロジオーネ・アッペティート)』。その効果は食欲の感情の爆発に合わせ、自身の体をどんどん巨大化させていくというものだ。
彼女の食欲は、沼よりも深い。海よりも広い。何処までも続き何処までも潜る。そんな探究者の爆発力は――計り知れないだろう。
お陰でメカ触手は捕える事も出来ず、ブチブチすっ飛ばされていた。
「うわ、なんか凄いねー……!」
純粋な好奇心と関心から思わずそんな感想が出る棗。……アレでは静止の言葉をかけても絶対止まらないだろう。
それに今は後ろをついて行った方が良い、彼女はと判断し『スカイステッパー』で鈴海が作ってくれた安全地帯の後に続いた。
「さあ食の彼方へレッツゴー!!」
後ろに目が付いているのか、鈴海にすぐ掴まれていたが。
「わっ! ……ま、いっかレッツゴー!」
どっちみち同じだろうし、と棗はポジティブに考え、ノリに合わせてまたこぶしを突き上げた。
そのままズン、ズンと食欲による進撃は続いていく。メカ触手の蹂躙も続いていく。
最早止まらないだろう。
――“カチッ”という音が下から聞こえなければ――
「「あれ?」」
異口同音でビックリの台詞が出た時には、彼女達は回転する円盤の上を走っていた。
どうも侵入者が何らかの手段を取らない限り、その上を延々と走り続けさせる目的を持つ罠らしいが……それよりも別の脅威が迫っている。
それはメカ触手――だけではなく、注射針を持った件の【バルーン化注射】の触手。
こんな状況では抗い様も無い、そして最早逃げようもない。
蒼褪める事必至な絶体絶命である……!
「やぁーっときましたね! それではレッツ過剰摂取!!」
――相手が鈴海でなければだが。
寧ろ迎えに行く勢いで思いっ切り注射針へ跳び込んでいき、その途上にある余計なメカ触手達をちぎっては投げ、千切っては投げる。
「おっと危ない、危ない」
その前に棗は抜け出し無事着地……したところは、件の円盤の上で。
「うわーなにこれうわー!」
楽しんでいるのか驚いているのか分からない声を上げながら、未だ液体状であったその体のままに転がされていく。
轆轤の如くグルングルンと回りつつ、その勢いからか段々球体状に加工されて行っている。
「もっと、もっとです!もっと!!」
「わーなにこれ楽しいー!!」
あっちでは棗に向かう分まで手繰り寄せて引き入れ、こっちでは罠の筈なのに意味が無く完全に面白遊具な状態。
余りにポジティブな一幕が繰り広げられていた。……恐るべしである。
そして鈴海が、視界内に伸びていた全ての注射へ突っ込み、受け終え。
棗がパイプのようなところを転がって脱出し、生き残っていた注射に不意打ちで刺されれば。
「何か段々と――もほぅ!? ……こ、これぞ、求めていた――満腹万歳っ」
「ぱぅぷ!! ――なるほどー、これが膨らむ感じかー……」
満たされて元のサイズに戻って尚、通路の先が見えない程に膨れ上がった鈴海バルーンと。
デフォルメが利き過ぎてもう顔が無く、水饅頭みたくなったまん丸棗バルーンが。 それぞれ完成してふよふよ空中に浮かんでいた。
……と、そこで棗があることに気が付き、鈴海を押しながら少し移動した。
(何か天井にあるね。魔法陣かな?)
試しにバルーン状態のまま、鈴海に乗っかっていたメカの欠片を弾いてみれば――何と天井に触れた瞬間、ピシュン! とままたく間にで消えたではないか。
これでカラクリがはっきりした。
つまりあの魔法陣が、場面が飛んだ原因なのだ。また消滅したとはどうも思えず……。
(まあ先へ進めばわかるんだろうけどねー)
とまあ棗にしてみればこの状況を楽しむ方が先決なのであり、一先ず満足いくまでポンポンと跳ねたり転がったり、鈴海とぶつかったりしながら時を過ごす。
最後は、残ったメカ触手が押し出すようにして、2人とも下層へ向かうのだった。
――果たして。次に待つ物とは何なのか。
――バルーン化するだけで、効果が切れるのを待つだけで、本当に済むのか。
――数多の謎を抱えながら……バルーン化した一行は次のステージへと歩を進める。
大成功
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第2章 集団戦
『メカふくちゃん』
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POW : 超振動ギアヒレカッター
【高速振動する鋼鉄のヒレ】が命中した対象を切断する。
SPD : ふくちゃんサーチライトビーム
【目】から【ビーム】を放ち、【突然の驚き】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : どくバリミサイル
レベル×5本の【毒】属性の【鋼鉄のトゲ】を放つ。
イラスト:羽月ことり
👑11
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※プレイング受付開始は断章後になります。
〇
【デフォルメバルーン】と化し、何時もと違う勝手に戸惑う猟兵達ではあったが……道のりが少々長かったお陰かそれとも個々の気質故か、各々それなりに慣れてきた様子。
しかし。
その次に見えてきた者で皆の表情が一様に変化する。
其処に居たのは可愛らしい『フグ型ロボット』。
……されども棘をちらつかせたりカッターを出してみたりなど、明らかに此方を【破裂】させる気満々なカラクリを多数体に携えている。
しかもまだ、周りには数々の罠がある始末。
普段通りならば兎も角――多少なりとも、苦戦するかもしれない。
だが退く訳には行かない、そも退く気などない。
気炎燃え上がらせた猟兵達は、逆に奴らを壊して突破しようと、【デフォルメバルーン】のままフグ型メカ・メカふくちゃんを迎え撃つ。
そして彼等もまた、是が非でも破裂させてやろうと目を光らせ、空を泳ぎ跳び込んで来た。
いざ戦闘開始……!!
〇
(お待たせいたしました。プレイング受付を再開いたします)
ミリア・プレスティール
ネリーさんと一緒でお願いします。
攻撃は『ミトン』に任せます。 「私にも何かできることはないかな?」 ミリアが『ミトン』の力になろうと提案すると突然『ミトン』がミリアを握り締めて棒状の風船に!そして所々を捻ったり結んだりしたら剣になったミリアが! 【パフォーマンス】を使ってバルーンアートを作りミリアを武器にしたようだ。 風船剣《エクスカリバルーン》となったミリア(不本意)を『ミトン』が振り回します。
戦闘後は剣から犬のバルーンアートにされて引き続き紐に繋がれて連れ回されます。
ネリー・マティス
ミリアさんと一緒に行くよ!
ふわふわバルーン、慣れてきたよ!たのしーかも!……おっと、オブリビオン!?楽しんでばかりもいられないね……!【怪力】【力溜め】でぐっと力を込め強度を高めつつ、ぽよぽよボディーでカッターを弾く!ふふふ……これこそ筋肉とバルーンの合わせ技だよ!こちらからは回転をかけた【マキ割り斬】で攻撃っ!斬られるのはそっちの方だよ!
次のフロアへと続く、壁面の明かりが照らす道。
……前フロアと比べれば罠も少なく、それがかえって不気味さを煽る迷宮の下り通路。
そこを【デフォルメバルーン化】してしまった事もあり、猟兵達は各々のやり方で慎重に、また気にしない程大胆に。
宙を飛びながら、もしくは転がりながら、奥へ奥へと進んでいく。
だが――迷宮には得てして罠の他にも「敵」が陣取っているモノ。
オブリビオンが関わっている事もあり、次フロアへと足を踏み入れた瞬間、それは起動して襲い掛かって来た。
「プクプクゥ!」
「プククゥ~!」
一見するとコミカルに見えるフグ型機械……その名も“メカふくちゃん”。
空を泳ぐ彼等を見て――まず最初にたどり着いた二名はふわふわ浮きながら、それぞれ感想を漏らす。
「ふわふわバルーンに慣れて楽しいかも、って思ってたらいきなり敵だね!」
「この体じゃうまく動けないのに……!」
自由飛行しながらネリー・マティスが面白げに笑いつつ気合を入れ、ミリア・プレスティールは相棒の『ミトン』に紐を握られながら険しい表情をした。
……外見故にコミカルにも見えるため、多少ながら緊張感に欠けるのは否めないが、放つ空気は切れ味鋭い戦意の氣。
メカふくちゃん達も瞳を光らせ、針を生み出し、ヒレを震わせ跳び出そうと力を溜めている。
「アレって、多分もろに当たったら割れちゃう――よね?」
「かもしれません……なるべく回避する方向で行きましょう」
「よしりょーかい!」
《ビシッ!》
加え。遊びをやめ普通に引っ張り、連れ立ってくれたミトンが補助となってくれたお陰で、2人ともある程度ながら意思通りの飛行が出来る様になっていた。
このアドバンテージは大きいだろう。
と――機械故に読み合い無しで、戦いの火ぶたは唐突に切られた。
「「「プクッ
!!」」」
「来た来た! 受けて立つよー!!」
「ミトンお願い!」
《グッ!!》
次から次へと空中泳いで跳び込んでくる機械の魚に、ネリーは大きく腕を広げ――たつもりになって構え、ミリアは確り全法を指さし――た前提でミトンへ指示を出す。
「ふんぬ!!」
「プクァ!?」
例えバルーン形態になっていようが、そして武器が無かろうがネリーには自慢の怪力がある。
勢いをつけて体当たりすれば、風船状になってなお筋肉質な身体が、両方の性質を持って機械に打ち勝ち……木っ端みじんに砕いでしまう。
「それそれ! それー!!」
また短くとも手足は動く――。
体当たりから弾かれた勢いで、すれ違うようにして腕を目一杯突き出せば、それだけでもう十分攻撃足り得る。
「プクォォォ!!」
予想外の拳と蹴りを食らったメカふくちゃん達は、その衝撃の所為か機械らしからぬ驚愕の音声を迸らせ、砕け散って吹き飛び仲間を巻き込んでいく。
これは一対一ではない。少数対多数の集団戦だ。
故に、仲間が必ずしも助けになるとは限らない。ことこの場に限っては、ネリー達の方には追い風に、オブリビオン側にとっては向かい風になっていた。
《シュバ!シュババ!!》
そしてミトンの暴れっぷりは、前フロアと比べ物にならないぐらい、闘気醸し出し一騎当千を体現している。
大切な友人に襲い掛かるメカふくちゃん達から守るため、上手く動けないならと疾風もかくやのスピードで飛び回っているのだ。
「プギュア!?」
「プクゴン!」
「プモ゛ォ~……!」
掌底や鉄拳のみだからこそ、シンプルに強いを体現し、メカふくちゃんをちぎっては投げ千切っては投げ。
「よい、しょ――このっ!」
「プギ!」
何とか飛行し跳ねながら蹴とばし、少なからずミトンの援護をするミリアを守ろうと頑張るその姿。
先までネリーバルーンとミリアバルーンで遊んでいた、無邪気な姿からは想像もできない……とても、雄々しい物であった。
そうして暫く暴れた後、メカふくちゃん達は次なる行動に出た。
ある個体は光らせていた目の眩さを一気に上げ、また別の個体は音が此方まで聞こえる程にヒレを超振動させている。
恐らくはユーベルコード相当の、内部兵器を作動させようとしているのだ。
「むむむ! ならこっちは
……!!」
それを見たネリーはニヤリと不敵に笑い、そのまま体を縮込めて何やらチャージし始めた。
己の怪力を内へ、内へ向かわせている様な不可思議な動作だが、量産型の機械兵であるメカふくちゃん達はそれを隙だとしか思わず――そのまま高周波カッターとかしたヒレを叩きつけて来た。
彼女の身は未だ【デフォルメバルーン】と化したまま。
このままでは派手に破裂させられてしまう……!
「ふふふ――甘ーい!!」
「プクッ!?」
だがこれも忘れてはいないだろうか……今の彼女の体は風船の弾力と、筋肉の硬度を合わせた高い防御力を誇っているという事に。
結果、逆にカッターは弾かれ、折られる物すら出ている始末。
それを見たネリーは何かに“ピン”と来たらしく、すぐさま飛び込んでキャッチする。
そのままコマの如く、球体を活かした猛スピンをかけて――
「そりゃあああぁぁっ!!」
「「「プガ
……!!!」」」
お返しとばかりにユーベルコード『マキ割り斬(マキワリザン)』を発動。手に持った平刃を敢えて斧と定義し、そのまま振り切って切断したのだ。
咄嗟の起点でメカふくちゃん達は半分以上、ごっそりと減らされていく。
「はっはっは、どーだぁ!!」
「わっと……!」
そしてミリアの方もまた、反撃の兆しを見せていた。
こちらのメカふくちゃん達が繰り出してきたのは、何と“目からのビーム”。
予想は出来ていても、しかし本当に繰り出されると流石に度肝を抜かれてしまう。
その驚きにより動きを止めてしまう……のだが、それはあくまでミリアのみ。
ミトンは対象に含まれず、そのままミリアにぶら下がっていたひもを引っ張り退避していく。――そうして退く傍ら、ミリアは思い切ってこう声をかけた。
「ミトン……私にも何かできることはないかな?」
それは些細な干渉しか出来ず、半ば見守る形になっていた故の、決意。
破裂させられる危険を承知で乗り越え、ミトンの手助けをしたいと申し出たのだ。
友人なのだからこそ、自分もまた戦いたいという決意の言葉……それを聞いたミトンは一瞬固まり。
そしてミリアの方を向く――。
「むぎゅぅ!?」
――そして思いっ切り握って棒状にした。
余りに唐突で、もしネリーが此方を見ていたら思わず目を点にしていただろう。
『ダイラタンシーボディ(ダイラタンシーボディ)』の効果が続いていたからか、かなり綺麗な棒状と化したミリアの周囲を、何だか楽しそうに回るミトン。
「ちょ、なんでぇ……むぶゆ! ぶゆゆ!!」
そのまま捻って結んで伸ばして折って。アートでも作るかのように、メカふくちゃん達のビームを回避しながら動けば、あっという間にそれは出来上がった。
(わ、私……何か剣みたいになっちゃってないー!?)
名付けるならば、そう――風船剣《エクスカリバルーン》が……!
邪悪を断ち切る(かもしれない)聖剣となったミリアを握り、ミトンは更なる大暴れを開始した。
宛らそれは騎士の如く。敵陣へと勇猛にツッコミ、華麗に剣を振るい、敵を寸断……と言うより威力で叩き千切っていく。
「プギアー!」
「うわぁー!?」
「プギョー!」
「わぉあー?!」
「プギハ!」
「にゃあああ!」
メカふくちゃん達の悲鳴。そして不本意にも武器にされたミリアの声が重なり、なんとも言えない合唱を奏でている。
一通りミトンが満足する魔で暴れた頃には……もう既に、メカふくちゃん達は跡形もなく消え去っていた。
やがてネリーの方もぶった切り終わり、余裕しゃくしゃくの表情でふわふわ近寄ってくる。
「あ、そっちも終わったん――ってどうしたのミリア!」
まあ流石の豪胆な彼女でも、仲間がいきなり剣になっていればそりゃ驚くだろう。
「だ、大丈夫ですネリーさん……ミトンの悪戯で」
それに対し、ミリアは苦笑いのまま何とか平気だと確りと返した。
「――ってむぴゃああああ!?」
……のもつかの間。
ミトンはまだ弄り足りないらしく、ほどいて伸ばして結んでいって、あっと言う間に――今度はミリアを『犬型バルーンアート』へと変貌させてしまう。
《ビューン!!》
「わにゃあああぁー……!」
「あ、待ってよー!!」
そして、最早ミトンの方が引き摺る飼い犬よろしくな勢いで走り出し、絶叫の尾を引いてミリアもまたかっ飛んでいく。
慌ててネリーも追い駆け――まず一組の猟兵が、このフロアを突破したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クロ・ネコノ
なんとか動きに慣れてきたけど、この体にカッターや棘は不味いね。
[アンジェリカ(f11144)とセットでお願いします]
とりあえず弓…この体で矢を射るの無理じゃない?
アンジェもハンマーが無いし、攻撃は最小限に突破した方が良いかな。
このロボット達…棘、あとヒレにカッターがあるみたいだけど、腹部は特に何も無さそうだね。
どうにか下を通っていけばとりあえずは最悪の事態は免れるかな…矢を出して壁に引っ掛けながら下降して、後は床を擦るように移動しよう。
(上から降る棘から必死に逃げ回り、ビームに驚かされ、尖ってはいないが硬い腹に何度も踏まれながらも先に進む)
【ギャグやられ表現OK!、ただできれば破裂は第3章に】
アンジェリカ・ヘインズビー
…地下迷宮に来るたび碌な目に合ってない気がします。
(クロ・ネコノさん(f06406)と一緒にして下さい)
元の姿なら大した相手では無いと思うのですが、この状態であれに突っ込む気は無いですよ、
ハンマーも無い以上私の武器はこの靴位しかありませんし。
クロさんの案で行きましょう、それが1番良さそうです。
(何度も敵に踏まれた後で)…絶対後で叩き潰します。
【アドリブ歓迎・ギャグなら容赦ないやられ描写でも歓迎です・せっかくなので破裂は最後の章で】
何とか攻撃につなげて突破した1組の猟兵達に続き、またもう一組の猟兵が……次のフロア目掛け猛進を続けていた。
クロ・ネコノ、アンジェリカ・ヘインズビーの両名である。
だがその動きや挙動は中々の物であれど、表情には若干の焦りが見られた。
上手く“メカふくちゃん”達の追跡を躱しながらも、クロは己の手を握ったり開いたりしつつ、苦い表情を浮かべた。
(この体で弓引くのって……無理だよね。アンジェのハンマーもどっか行っちゃってるし)
今し方の思考通り――クロは弓使いであるために【デフォルメバルーン】状態ではうまく弓など引けず。
アンジェリカはハンマー使いだが、同じく今の状態では手足の長さもあって、振り回すにも難儀するだろう。
……もとより武器は先の罠のどさくさで紛失させられており、手元に呼び戻す術もない現状、パッと取り出す事すら出来ない。
「うぅ……地下迷宮に来るたび、その、碌な目に合ってない気がします……」
「き、気のせいだって! ほらアンジェ確り、フグが来るよ!」
自信ない事をどうにか呑み込んで発破を駆けつつ、どうにか慣れて来たバルーン化の不思議な挙動を活かしつつ、空中にてひらりメカふくちゃん達のビームを躱す。
「うーん。ほぼ何も出来ない以上、攻撃は最小限に突破した方が良いかな」
「けどクロさん、針とかビームとか、あとカッターが……」
「あ……アンジェごめん!」
「きゃっ……! あ、クロさんソッチも!」
「おっとと!? ――ありがと! 危なかった!」
グイッと掴んで思いっ切り息を吐き、宙を移動して見せれば、一瞬遅れて眼下を針の弾幕が通り過ぎ。
更にアンジェリカの声でそのまま二人が少し離れれば、その間をビームが通り過ぎ。
くるりと回転して鋼鉄のヒレカッターを回避して見せる2人。
危い所だったが、どうにか事なきを得ていた。
「……その前にこれ下に行かないとダメだね。どうしても狙い撃ちされる……!」
そこそこ大きめのメカふくちゃん達は、目からビームを撃ち、背中から針を放ち、また見た目通りの部位からヒレを振るう。
――全て上側に集中しているともいえる為、この弱点を利用しない手は無い。
元より素の頑強さに多少の不安が残るのならば……受け止める事はおろか、掠るのも危険かもしれないのならば、全力で避けた方が良いかもしれない。
故に、クロは回避しながら数瞬ばかり思案し、矢を取り出す。
「アンジェ。取りあえずこれで引っ掛けて床すれすれまで行こう! そうすれば何とかなる筈だから!」
「は、はい分かりました!」
密集しないよう二手に分かれ、前に進みつつ壁に引っ掛けては、斜め下へとクロとアンジェリカは急く。
床を擦るほどの位置までどうにか到着し、後はそのまま進むのみだ。
最悪の事態は免れたと言えよう。
――とはいかないのがアルダワの迷宮であり。
下にいるならばそれはそれで、と切り替えたメカふくちゃん達により、二人は全フロアとまた別の、怖ろしき阿鼻叫喚な目に遭遇していた。
「プクプクゥ!」
「プ・プクク!」
くるりと反転して器用に背中を向け泳いだかと思えば、クロへ向けて雨霰と毒属性の鋼鉄針が降り注いでくる。
「わとっ!! うわわ!! ちょ、あぶっ……ぬわ!!」
しかも避けた先にも針の雨が待ち構え、何とか転がればまた針の雨が襲い掛かり……とあっちこっちで針パーティー。
「よしなんとかむぉおお?! あ、アブな――ってはぶ」
遂には目の前数センチに針が突き刺さり、それにぶつかって数m弾き飛ばされ……たかと思えば別の所の針山にぶつかって跳ねとぶ。
「へぶ! これ待ってなんかほぶ! 止まらなのぶらぁー!?」
【デフォルメバルーン】となった体型の振りと、思いのほかついた勢いが合わさって、容易に止められない最早あっちこっちを飛び回るピンボール状態。
……その御蔭か、メカふくちゃん達も狙いを定められずにいたが、クロ本人はそんなことに気を回す余裕などない。
運よく隙間を抜けて飛び出るころには、またもや目を回してしまっていた。
「クロさんっ……今行きます!」
悲鳴を聞きつけたアンジェリカは一旦少しばかり通路を戻り、逆に針を利用して思いっ切り勢いをつけクロの元へと一直線。
すい、すいとメカふくちゃん達の追撃をかわし、そのままクロの目の前までたどり着いた。
「クロさん、クロさん無事ですか?」
「うにゃ……な、なんとか……」
グルグル眼になりながらサムズアップする彼女の様子に、アンジェリカはほっと溜息をついた。
「良かった、やっぱり二人で協力して――ぱびゅ」
「ばびゅ? ってアンジェがー!?」
……のが悪かった。油断したところにメカふくちゃんのボディプレスが降ってきて、ものの見事にアンジェリカは潰されてしまう。
お陰で思いっ切り伸び切った、ちょっとお間抜けな表情を強引に作らされてしまう。
そして盾に潰れたという事は勿論――。
「はにゃーーー!!」
そのまま上下にバインバイン。止めることなど到底できず、更に稲妻の様な激しさと、何処か気の抜ける悲鳴が新たなハーモニーを奏でだす。
「ア、アンジェ……私が止めないと――ってうおおおっ!?」
駆けつけようと体ごと動かした瞬間、クロの目の前にビームが幾条も着弾。
思わぬ不意打ちに驚いたものの、それでも……と体を動かせばまたビームが飛来しオーバーリアクションで避けざるを得ない。
だが、回避する事には成功した。
「よし何とかなっタギュ!!」
――そうビームの回避は。驚き慎重さが消えた隙を狙って、メカふくちゃんがまたもやボディプレスを慣行。
クロもまた潰され、アンジェリカ宜しくあっちへボンボンこっちへバンバン、おもちゃの如く跳ねまわった。
「アアアアアアンジェェー! ……ばん!?」
「クククククロさあぁぁー! ……べん!!」
最後は両者が正面衝突することによって、むんにょり形を変えて吹っ飛び、そこでどうにか勢いが止まってくれた。
「うああ目が……これはまずい、急がないと!」
「このままだと……予期せぬダメージがっ……!」
もうこれ以上やられてはたまらないと、クロもアンジェリカも慌てて前方へ進みだす。【上に何が居るのか】また【どんな布陣を敷いているのか】を見ることなく。
……その結果。
「ぎゅぺ、なぎゅ、ほぼ、むぎゃ!!」
「とぼ、きゅぷ、ぺぼむ、はばん!!」
当たらないならいっそこっちだとばかりに逆襲を開始したメカふくちゃん達の、『ボディプレスの雨霰』により何度も何度もムギュリコと潰され。
その度デフォルメされていることもあり、マンガタッチなギャグ顔を披露してしまう2人。
結局——メカふくちゃんの内1体がミスをして、巻き込んで次のフロアへと弾き出すまで、2人は何度も潰されまくり。
(うぐぅ……! この鬱憤、晴らしてやるからねホント……!)
(……絶対に後で叩き潰します……!)
まだしつこく追ってくる気配を感じながらも、クロとアンジェリカはボスフロア目掛けて飛び出していく。
――そのまん丸となった体の中へ、確かな戦意を抱えながらに。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『スチーム・エレメンタル』
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POW : スチーム・ジャイアント
【体内の水を気化、膨張させることで巨人 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : アンステーブル・エンハンス
【炎の魔力 】【水の魔力】【風の魔力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : スチーム・ブラスト
【大きく振りかぶって 】から【強烈な平手打ち】を放ち、【巻き起こる熱風】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:透人
👑11
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※プレイングは断章を記載するまでお待ちください※
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メカふくちゃん達の追撃や妨害を躱し、何とか最奥のフロアまでたどり着いた猟兵達。
しかし……何故だろう、何処か蒸し暑い。
それもその筈。迷宮の主は、赤青の熱流を身に纏う「蒸気の精霊」だ。この霧が如くな蒸気も、発声していて当たり前と言えよう。
そして驚く事に天井には、行方不明になったのであろう、アルダワ魔法学園の生徒たちが現在の猟兵と同じ【デフォルメバルーン】状態になって浮いているではないか。
……しかも、今現在の猟兵達よりも膨れている。
充満する蒸気と熱気に当てられたのか、それとも精霊――スチーム・エレメンタルが直接何かしら悪戯したのか。
気絶しているらしく、呆然と言った表情で皆がぷかぷか浮かんでいる。
件のスチーム・エレメンタルはと言うと、何やらキャッキャとはしゃぎつつ、レバーの様な物を引いたり押したりしていた。
その度に【見覚えのある魔法陣】が幾つも出現し……次の瞬間またも驚きがやってくる。
何故ならば、そこから手放したはずの猟兵達の武器が落ちて来たのだから。
―――なるほど。
つまりあれは元々『転移の罠』だったのだろう。それを蒸気の精霊がバルーン化の罠と併用して、無意識の内に利用していたのだ。
バルーン化した生徒達の間をすり抜けつつ、本当に楽しそうに、そして意地悪く笑う精霊。
オモチャが手に入った子供の如く無邪気で……だが、これ以上傍観は出来ない。
何処からともなく針を取り出し、ニヤリと笑って突き刺そうとしている。
何が起こるか分からない以上、許すわけにはいかない。何より後ろからもメカふくちゃん達が追い駆けてきている。
猟兵達は意を決し――スチーム・エレメンタルの待つ部屋へ跳び込んでいく……!
〇
※お待たせいたしました。
ただいまよりプレイングを募集いたします。
クロ・ネコノ
あれが元凶だね、覚悟してもらおうか
[アンジェリカ(f11144)とセットでお願いします]
弓を使わないで戦う方法を考えたんだ、痛いのは嫌だけど多分コレしかないと思うんだよね…。
アンジェにハンマーで打ち出してもらう、【ゴム体質】も利用して力を受け止めて、後はもうその勢いでオブリビオン目掛けて突っ込む!
私達が受けたボディプレスを君も味わえ!(自分と壁でオブリビオンを挟むつもりで勢いよく体当たりします)
【ギャグやられ表現OK!】
アンジェリカ・ヘインズビー
でましたね、オブリビオン。
(クロ・ネコノさん(f06406)と一緒にして下さい)
武器があるなら戦えます。
…クロさんに【ハンマークラッシャー】を使用して打ち出します。
駄目だった場合は【スカイステッパー】で空中を蹴って跳躍しながら(バルーンなのでぽいんぽいんと跳ねながら)精霊に接近、ハンマーを振るって学生達から引き離した後【ハンマークラッシャー】で攻撃します。
【アドリブ歓迎】
どうにかたどり着いた最奥の間にてクロ・ネコノとアンジェリカ・ヘインズビーの目に入ったのは、正に“物理的な意味で”一触即発な光景だった。
「でましたね……黒幕の、オブリビオンが」
「うん、確かに。此処までのメカとは違う……アレが元凶だね」
今も楽し気にくるりと踊り、刺そうか刺すまいかと悩むスチーム・エレメントは……一見すれば仲間内の種族が一つ・フェアリーのようにも見えなくもない。しかし場所が場所故、そしてやろうとしている行い故に、惑わされても居られないのが現状である。
猟兵だからこそ喜劇の様な一幕で済んでいるのだし、これ以上生徒達に危害を加えさせるのは見過ごせないだろう。
……武器自体は上から魔法陣より転移させられ、その御蔭で戻って来たのだが、未だ【デフォルメバルーン化】は継続中だ。
クロは矢は持てても弓など到底弾けず、アンジェリカのハンマーの軌道も固定される。よって戦闘方法は限られてしまう。
だからこそ別の強みを生かすべく、とっくに慣れきったバルーン状態で軽やかに空を飛びつつ、前後に並んで狙撃手が如く……目標へと狙い定めている。
「『エラスティックボディ』も何時も通り、いつでも行けるよアンジェ」
「はい……信じます、クロさん」
背中を預けるクロ。
その背を見据えたままハンマーを振りかぶるアンジェリカ。……彼女等が今取ろうとしている策こそ、見たまま“ハンマーで打ち出す”事であった。
無論、全く痛くない訳ではない。だが、先制攻撃の一打として、そして彼我の距離などを考慮に入れて、彼女達が今取れる順当な手段であるのも事実。
「さあ思いっ切りやっちゃって!」
最後の一押しとなるように叫び、それを合図として掛かっていた躊躇いのモヤをアンジェリカは振り切る。そして――。
「せぇっ!!」
「ふんっ……!」
アンジェのハンマーによる一閃を受けたクロが、気合の声と共に『ゴム体質』を活かして反動諸共力に変えて溜め込み……刹那、砲弾の如く飛び出した。
「《!?》」
たまらないのはスチーム・エレメントだ。先程まで上機嫌でおもちゃの様になっていた生徒達を愛でていたというのに、其処へ行き成り叩き込まれる戦意と弾丸。
明らかに反応が追い付いていない。
「私達が受けたボディプレスを――君も味わえ!」
その一言を体現するべく、エレメントへと体当たりを食らるべく。そして敵連れたまま挟み込もうと、勢いよくエレメントと突っ込んでいく……!
「ちょっ!?」
――その途中でひらりと交わされた。結果、クロだけが思い切り壁に激突する羽目になる。……のだがしかし。
「のわあーっともういっちょ!!」
「《!!??》」
勢いが死ななかったことが功を奏し、避けたと思ったのも束の間。“より勢いを増して”跳ね返ってきたクロは、見事エレメントにぶち当たり……先ずは生徒達から確り遠ざけてみせた。
「ふぅ。不幸中の幸いだね……けどよし、勢いに乗ってこのまま!」
ともあれファーストアタックが成功したのは事実。アンジェリカもこちらに向かっているし、後は手持ちの矢をどうにか活かし、敵にとっての痛恨の一撃を叩きいれるサポートに徹しよう。
そう考えたクロはもう一度反動をつけるべく壁に己をめり込ませた。
……瞬間、表情が凍る。
「あっ」
何故なら目の前を《メカふくちゃん》達の群れが通って行こうとしているからだ。しかも先までの影響が針がそのまま飛び出ている状態である。
「待って待ってヌワアアアァ!?」
つまり待ち構えるのはただ一つ。
「あば!? ――ぶしゅうぅぅぅうー……!」
パァン! とした破裂から、芸術の様な空飛び交い……ギャグアニメにも見た“お約束”である。
毒は受けなかったものの、跳び込んだ勢いもあって凄い勢いで宙を待っていた。
「クロさぁぁん!?」
「《!!》」
「あ……くぅ……っ!」
行き成りの破裂音に慌てるアンジェリカ。
だがスチーム・エレメントはその隙に飛び込んで来ようとしていた為、何とか切り替えて『スカイステッパー』で距離を取る。
ぽいん、ぽいんと普段よりもコミカルだが、普通に飛ぶよりはずっと早い。
また――見ればエレメントはまだ生徒達の方をチラチラ見ており、離せはしたものの向こうに構おうとしているのは自明の理だった。
(な、ならもっと離さないと……!)
後ろでまだまだピュウゥゥーと飛び回るクロも気がかりだと、アンジェリカは半ば強引に『スカイステッパー』で接近。
「ていっ!」
「《!
……!!》」
ハンマーを一振り、二振りして自分の方へと強く引き付けた後、渾身の『グラウンドクラッシャー』を叩き込むべく敢えて隙を作る。
見事に引っ掛かり、熱水の平手を打ち入れようとエレメントは真っ向迫って来た。
千載一遇のチャンスを前に、アンジェリカもまた突撃する……!
「《♪》」
「へ?」
刹那、己から聞こえる“ぷすっ”とした軽快なサウンド。
「わにゃ!! ほぷぅぅぅう~……!」
それが逆カウンターで針を刺されたのだと気が付いた時にはもう遅く、結果クロの後を追うようにしてアンジェリカも空へと勢い良く舞い上がる。
「ふにぃ……」
「はにゅ……」
こうして二人はぱさり、とペラペラになった体を折り重ねるようにして、仲良く床に着陸するのだった。
「《!?!??》」
――ちなみに。
あんな勢いの乗った獲物を迎撃した所で止まる訳もなく、エレメントの脳天に思いっ切りすっぽ抜けたハンマーがぶち当たっていたが、2人は知る由もない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネリー・マティス
【ジャンプ】して【気合い】をこめた【捨て身の一撃】!大きく膨らんだ体を武器とした【グラウンドクラッシャー】で押しつぶすよ!
……えっ?うわあーーーっ!(エレメンタルが巨大化していき、転げ落ちる。そして巨大な両腕で挟まれ、持ち上げられる)
……んうっ!?……むうーーーっ!?(口づけでたっぷりの蒸気を吹き込まれる。ひと吹きごとに何倍、何十倍にも膨らんでいき、そして……)
(アドリブギャグやられ歓迎!)
戸辺・鈴海
ちょっと欲張り過ぎましたが間に合いましたでしょうか。
ふむふむ、室内なのに気球が並んでいるかの様です。
あれだけ満腹になれば動けなくても仕方ないですね。
これはまだ膨らむ余地があるという事かもしれません。
仕掛けてくるかを見る為にも、体当たりで挑発してみます。
ユーベルコードはを撃つ位置を気を付ける必要が有りますね。
食べ物と違ってコレは消化出来ないというのが難儀でしょうね。
どれだけ膨らめるか不明瞭ですけど、限界が無い訳では御座いません。
手先足先までパンパンになる程度なら、バウンドしながらて動けます。
しかし顔まで膨らめば厳しいです、視界や思考が定まらなくて抵抗も出来ないですし。
▼▼ギャグ歓迎、絡みOK▼▼
「なんか凄い事になってるけど……オブリビオンなら確り叩きのめさないとね!」
【デフォルメバルーン】となった生徒達が天井に浮かんでいる様を見て、自分の斧を何とか取り返せたネリー・マティスは独り言ちた。
生徒達からスチーム・エレメンタルはとうに離れている以上、遠慮する必要などないだろうと、突撃した勢いそのまま斧を豪快に振るう。
「《!!》」
ブウン! と空を切る重い音こそするが、やはりリーチの短さがネックになっているのか届き切らない。射程範囲に収めても向こうの方が素早い。
「むぅ……このままじゃ、埒が明かないかな」
エレメンタルもまた、数の減ったメカふくちゃん達の妨害を受けても平然としているネリーに対し、ただの攻撃では意味がないと感づいた様子。
だが決定打を与えられないのはネリーとて同じ。どうするべきか――。
「ふむ、ちょっと欲張り過ぎましたが……間に合いましたでしょうか?」
と、膠着しかけたその時。もう一人の猟兵がふわふわ……否、最早ゴロゴロと転がるような勢いで姿を現した。
迷宮の上層で【バルーン化注射】の罠に水から飛び込み、多くを一手に引き受けるという大役を果たしたフェアリー、戸辺鈴海だ。転がるままに武器を拾い上げ、やはりバルーンな体に慣れたらしく、そのまま部屋の状況を冷静に確認。
天井付近には依然としてバルーン化した生徒達がいる――室内なのに気球が浮かんでいる様な光景は可笑しみもあるが、ともあれ今は彼らの安否を優先すべきだ。
「あそこまで満腹になってしまっては、上手く動けなくとも仕方ないですからね」
似た様な状況ながら、常にそれを追い求めているからこその余裕ある発言を踏まえ……鈴海は箸型の特徴的な武器を構えてみせる。
「加勢しましょう、2人ならばぐっと楽になる筈ですよ」
ボーンとトンデモないサイズになっている鈴海の登場に、ネリーもエレメンタルも流石に驚いた。だが味方であるからか、助太刀の言を受けネリーはすぐ向き直る。
「ありがと! よーしやるぞー!!」
仲間がいるからこそできる技が有ろうと、先ずは先程通り、斧を振り回してエレメンタルに攻撃を仕掛けていく。命中こそしないがそんな事はとっくに想定済みだ。云わばこの攻撃は網に追い込むための物だから。
「さぁさ、眼前に広がる無数の箸の軌道を見極めてご覧なさい」
命令と共に飛ぶ無数の箸、ユーベルコード『Infinito Assedio(インフィニート・アッセーディオ)』が、スチーム・エレメントが避けたその先へ飛来する。
たまらず身を翻せば今度は待ち構えていた斧が一閃。逃げるエレメンタルを追って二度三度振えば、避けた先にまた箸の雨が襲い来る。
……もし片方だけであれば、ネリーは追い付くことなど不可能だったろうし、鈴海また生徒達を巻き込まないよう箸を放つのに手間取ったはず。
二人で協力・連携したからこその、袋小路への追い詰めだ。息の合い様に溜まらずエレメンタルは猛烈な蒸気を吹き出して逃げていく。
「逃がしませんよ」
待ってましたとばかりに再び襲来する箸の大群。紙一重で避けるが――しかしこれは“囮”だ。
本命は、ネリーは、スチーム・エレメンタルのその上に居る。
「むぅぅぅ……喰らえぇー!!」
思い切りジャンプしてから、捨て身もかくやの一撃……ボディプレスを撃ち込もうとしているのだ。気合十分なそのプレスは、ユーベルコード『グラウンドクラッシャー』の特性ものり、彼女自身が一つの武器と化している。
このタイミングはもう避けられない。――とった―――!
「《!!!!!》」
「え? ってうわわぁー!?」
だが突如としてスチーム・エレメンタルの姿が一変。どんどん、どんどん巨大化していく。体内の水が超絶的な勢いで気化し、傍聴しているのだ。
蒸気と熱水の精霊であるエレメンタルの体は今や、一身に引き受け巨大ボールとかした鈴海よりも更にデカい。
ネリーから見れば巨人以外の何物とも形容できないだろう。圧倒的なサイズ差を前に『グラウンドクラッシャー』は止められ、そのまま両腕で捕まえられてしまう。
そしてそのまま叩きつける――こと爆せず驚くべきことに。
「《~♪》」
「んむぅっ
……!?」
なんと物理的に熱烈な口付けを交わしたではないか。だが、当然ながらネリーへの愛情をそのまま表現したわけではない。
証拠に、エレメンタルは仕切り頭部を上下させ、何かをしている様子。――その何かはすぐに眼に見える形であらわれる。
「むぅ! むうっ! むうう~~~!?」
そのひと振りごとにボン、ボン、ボボン! とネリーがドンドン膨らんでいく。そう……蒸気の息を彼女の中に吹き込んでいるのだ。
ひと吹きで何倍、また続けて何十倍にも膨れ上がっていくネリーはもはや抵抗できず、可愛らしくなった手足をパタパタさせるのみ。
そしてほぼ膨らまなくなり、とうとう――。
「んぶぅ――うぅーーーばぉあっ!!!」
バアァァン!! と大音量をと煙を巻き上げ、ド派手に破裂してしまった。……ぺらっぺらになったネリーが床に舞い降りていくあたり命に別状はない様だが、これ以上の戦闘続行は難しかろう。
「なんと……!」
その光景を見た鈴海は、いたく感動したような表情に早変わりしている。
ただ膨らんでいるという不可思議な現象である以上、食べ物とは違い消化できないため、其処等へんはとても難儀だと実は内心考えていた鈴海。
だがその一方で《何処まで膨らめるのだろう》という、満腹への欲求と好奇心はこのに来るまでにどんどん募りつつあったのだ。
――そして目の前で繰り広げられたトンデモな一幕――。
数瞬ばかり思考した後、鈴海は1つ答えを出し、そのまま巨大なエレメンタルへと、此方も巨大な身体で体当たりを慣行した。
「《!?》」
「んむぅ……」
追うようにエレメンタルが鈴海を掴み、そのまま息を吹きいれて巨大化させていく――のだがフェアリーである彼女には羽がある。
その勢いのまま離脱してバウンドし、更なる体当たりで挑発も兼ねながら、より生徒達から遠ざけていっている。
なるほど……つまり彼女の己の欲求と猟兵としてやるべきことを天秤にかけ、両方を満たせるやり方を実行したらしい。手足が膨らんでも羽があればバウンド可能なため、両方しっかり身を結ぶやり方だと言えるだろう。
……言えるのだが。
「《!!》」
「むっ……」
息を吹き込まれるたびに視界も、そして満腹感で思考も阻害されるのは言うまでもない事であり。
「《? ~♪》」
「あむ……!」
結果、数回目の対峙で確り捕まってしまう。そしてそのまま息をドンどこ吹きこまれて行き―――。
「むぉ、むうっ、ふおぅっ! おぉ………あ――あぷぃっ!?!」
そのままネリー同様に大爆発。しおれた風船そのものの様にひらひらと床へ落下していく。
鈴海もまた戦闘不能になってしまった。
――しかし。
「《!!???》」
何という不幸か、超破裂で宙へ飛び出し壁面で不安定になっていた斧による打撃1ダメージ。
壁面へぶつかって反射してきた箸による2ダメージ。
そして巨大化が解けた反動による3ダメージで、エレメンタルもすでにボロボロになっていた。
怪我の功名……しかして、運含めた実力の証。
決着の時は近い。
大成功
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ミリア・プレスティール
丸いバルーン状態に戻ったミリアは『ミトン』にバレーボールのアタックのように飛ばされて巨体化したエレメンタルに【捨て身の一撃】を敢行しますが相手もミリアを跳ね返しラリーの応酬が始まります。徐々に打ち合う距離が縮まり、お互いが同時にミリアを叩いたことで掌の中でミリアは破裂!そのままひらひらと床に落ちますが『ミトン』はそのままエレメンタルと殴り合いに移行!破裂状態から回復したミリアの上に『ミトン』と殴り合うエレメンタルの体が…!
部屋に舞う蒸気の勢いが弱まり、それは主の状態を、如実に示しているかのよう。
その主たるスチーム・エレメンタスは、ここから漸く猟兵達を退けた、と油断しゆらゆら宙を飛んでいる。
「弱っている、みたいですね……」
《ブンブン!》
それを影から見やりつつ。
やる気十分のミトンに連れられ、通常の丸いバルーンな【デフォルメバルーン】状態に戻ったミリアが呟いた。
何度も攻撃を続けられてスタミナを削られ、また偶然の合わせ技でダメージを負い、ユーベルコードの負荷もあってかスチーム・エレメンタル討伐まであと一押し。
――これを逃さない手は無かった。
故に、ミリアは今手元にある手段の中で、一番トドメに向いている手段を用い応用し、確実に叩き込もうと模索する。
いや……模索する間でもなく、既にその“キーパーソン”はすぐ隣に浮遊していると気が付いた。
一度目を閉じて覚悟を決め――ミリアは、親しき友へとへ告げる。
「ミトン、お願い!」
《グッ!》
何が言いたいのかを以心伝心で察し、サムズアップしてから片方の手にミリアを乗せ、もう片方の手を後ろへと下げていく。
それはまるで、とあるスポーツの“決まり手”を齎すポーズにも似ており。
止まった、と思った瞬間……その一撃がうなりを上げた。
「やああああっ!!」
「《!!!》」
そのまま、ミリアの捨て身の一撃による、バレーボール・アタックだ。
慌てて振り返るエレメンタルだが、この距離では受け止める事も、そして避ける事もままならない。
ならば! ――と、先と同じく巨大化していく。一体何をするつもりなのか……!
「《!》」
「はぷん!!」
打ち返した。
綺麗なレシーブで撃ち返していた。そのまま追撃の一打で跳ね返す。
そのままボールとかしたミリアが向かう先は、ミトン。このまま受け止めて貰えばひとまず安心だ。
《ブゥン!》
「ひゃぽ!!」
……とはいかず、寧ろノリノリでミトンの方も弾き返した。
こちらも美麗のフォームで勢いを乗せた辺り、思わずなのか敢えてなのかが分からない。
「《!》」
「ぅぱん!」
そしてまたエレメンタルも撃ち返し。
《ガガッ!》
「ひゃ!!」
ミトンも対抗して打ち返し。ミリア本人にとっては堪らない、ラリーの応酬が展開されていく。
ばしん、べしん、軽快な音が最奥の間に響き互いに打ち返し合う様は、正々堂々のスポーツにも似たり。それを連想させるほどの熱いバトルだ。
……ボールがミリアでなければだが。
しかも段々とラリーが続くたびに、ミトンとエレメンタルの距離が縮まっていく。
数十メートルから十数メートル。十数メートルから数メートル。……遂にはもう目と鼻の先まで接近してしまう。
「やめぷ! これじょまろ! 近寄るとへぶ! わたしがも!」
ばっつんばっつん、ボール役にさせられるネリーの声が、慣れたのか漸く上げられるも、時すでに遅し。
ムキになったまま大きく振りかぶったミトンとエレメンタルの掌が、ほとんど同時に振り下ろされ―――。
「むぎゅ――み、みゅぱんっ!?!」
そのまま耐えきれずボバァン! と大破裂。気の抜けた風船宜しく、ひらひらとミリアは床に落ちた。
――その彼女本人が、この場の試合の結果を決めた。
「《!?》」
「むぎゅ」
なんと最後の最後まで運が無く、ぶつかり合おうとした直後にスチーム・エレメンタスが踏ん張ろうと地を踏んだ瞬間。
其処に居たミリアを踏んずけてしまい、盛大に滑ってもろ手を挙げ倒れ込んでしまう。
その隙を見逃すことなど出来ようか。
《グォッ!!》
「《!―――》」
達人もかくやな切味を持ったワン・ツーパンチが炸裂し、ダメージと負荷を受け続けていたスチーム・エレメンタスはとうとう限界に達する。
渾身の右ストレートを受け、そのまま猟兵達の結果をなぞるが如く、ひと際大きく――また盛大に爆発並の、大破裂!
そのまま充満していた蒸気が流れるとともに、跡形もなく……消えて行った。
後に残るのはペラペラになった猟兵達と、徐々に降りてくる生徒たちと、両手を上に突き上げているミトンのみ。
……こうして紆余曲折合ったものの―――行方不明者たちを見つけ出し、オブリビオンを妥当し、どうにか事件は解決したのであった。
――余談だが。
空気が抜けるのが矢鱈遅かったせいか、バルーン化が解けない生徒達を抱え、先に回復した猟兵達は地上へと戻る事となる。
その際にまた一悶着あったか、それとも華麗に脱出したのかは……本人らの身がしる所だろう。
……本当、お疲れ様であった。
大成功
🔵🔵🔵