●科学統一政府世界 - ヨーロッパ - 北マケドニア - ビトラ - 中規模な「試練の洞窟」 - 周辺市街
「マシュー様、例の噂は相当広がっているようです。結果、多くの魔女がこの洞窟に入っているとか」
瞼を閉じた衣裳の黒いフード付きローブを身に纏った集団が白を基調とした聖職者の服を身に纏った少年をマシュー様と呼び、取り囲む。
「えぇ。ですがそれもこれまでです」
マシューと呼ばれた少年が頷く。
「ギルガメス様から許可がおり、大量の人員投入が可能となりました。これより、このビトラの『洞窟』内部に魔女狩りを一斉投入し、魔女とそれに与するものを殲滅します」
ヘテロクロミアの赤と紫の瞳が、静かに「洞窟」の入り口を睨んだ。
●現代神秘世界 - ヨーロッパ - 北マケドニア - ビトラ - 中規模な「試練の洞窟」 - 入口付近
「来ていただけましたか」
召集を受け、来訪した「探究者」達を出迎えたのは、「試練の探究者」幹部の一人、ベルゼ・アグネス(吸血の道に堕ちたテンプル騎士・f37910)だ。
「まず、皆さんの尽力により、彼女、ソーリアさんとの和解に成功しました。深く感謝を」
このビトラの「試練の洞窟」に入るなり、突如、襲撃してきた少女は魔女ソーリア(魔女狩り狩りの魔女・AWsA00007)と言う少女だった。彼女は「探究者」を魔女狩りなる存在と勘違いし、襲撃をかけてきたのだ。
この敵対的な人間に対し、禁史・木実(菌糸人間の古い魔術師・f38034)ら「探究者」達は和解の手立てを求め続けた。
最終的には魔女狩り——実際にはそれに扮した騙者・真理(騙り部・f39704)による偽装工作だが「探究者」達さえそれは知らない——が、「探究者」諸共ソーリアを攻撃したことで、誤解が解け、和解することに成功した。
ソーリアの口から語られたのは、ベルゼ達の知らない2016年頃に分岐したと思われる「並行世界」の出来事であった。
ヒュー・エヴェレット3世が提唱した多世界解釈が概ね正しいことは神秘の世界でも、様々な事象から確認されていたが、実際に多くの人間の目に留まる形で確認されたのはこれが初めてのこととなる。
詳しくは|世界説明のページ《別紙資料》を当たってほしいが、簡単に言えば、魔女と呼ばれる存在が統一政府により「生まれつき違法な存在」として処刑されている世界である、と言うことだ。
「我々は既にソーリアさんを含む何人かの魔女と接触することに成功しています。彼ら彼女らは一様に保護……あるいは亡命を希望しており、我々としても強く拒む理由はありません」
何より、今日未明から始まったある事実がその決定を後押ししていた。それが。
「魔女狩りがこの『洞窟』内に大量に送り込まれました。我々『探究者』も彼らの狩りの対象とみなされた様子です」
つまり、魔女と「探究者」が共に魔女狩りと敵対する存在となったわけだ。敵の敵は味方、というほど乱暴な話でもないが、あえて魔女に冷たく当たる理由は「探究者」にはない。
「魔女狩り達は中層に侵入、中層にいる全て魔女を拘束するつもりのようです」
その場で処刑しないのは不思議だが、元より魔女狩りはそう言った不可解な行動を取るのだ、とソーリアは語っていたらしい。
「故に、これより我々も中層に突入。魔女を保護しつつ魔女狩りを無力化します」
魔女狩りは魔女以外に対しては平気で殺傷を仕掛けてくる様子で、「探究者」に対しても殺意全開で来ることが予想される。
「殺さないで済むが最善ですが、そのために、命を投げ出せとは言えません。最悪の場合は、やむを得ません」
とベルゼも殺生を見逃す覚悟を決めたらしい。
「この作戦の最終目的は魔女狩りを洞窟から退けることです。話によると、魔女狩りは異端審問官なる上官の指示で動いているとのこと。ソーリアさんの話ではここの異端審問官は現場に出てくるタイプだそうですので、魔女狩りを退け、魔女を保護し続ければ、現場に出てくるでしょう」
とは言えそれは|次の章《まだ先》の話だ。今はひとまず、魔女の保護と魔女狩りの排除を試みよう。
「魔女狩りはトゥクルの槍という二股の槍を使って戦うそうです。神秘を嫌う性質からか、マナ現象も使ってこないようですので、一騎打ちなら苦戦する可能性は低いでしょうが、数が多く、また魔女を保護しながらになるため、油断は禁物ですよ」
「まさか本当に並行世界なんてものが絡んでくることになるとは思ってもみませんでした。こうなって来ると、以前に攻略先を決める時に見た第三視点は全てそれぞれ異なる並行世界だったと考えられます。
今はまだその兆候は見られませんが、魔女狩りなどの存在が他の世界に渡り、そこで暴れ始めれば大ごとです。今はまずその第一歩を避けるためにも、この「洞窟」から魔女狩りを退けましょう」
そう言って、ベルゼは話を締め括った。
メリーさんのアモル
大変長らくお待たせ致しました。
『試練の洞窟 -the Cave of Ordeal-』五本目のシナリオが開始となります。
今回のシナリオは「冒険」章。
魔女を保護しながら、魔女狩りを退けて進むことになります。
魔女と魔女狩りについては「世界説明」に追加された新世界「科学統一政府世界」のページをご確認下さい。
「 https://www.anotherworlds06.com/coo/world_triple.html 」
魔女狩り達はマナ現象(ユーベルコード)は使用せず、トゥクルの槍と呼ばれる二股の槍でのみ攻撃してきます。
マナ現象を使ってはきませんが、数が多いことと、魔女を保護しながら戦わねばならない点に注意して下さい。
また、今回より「獲得品」と呼ばれる要素が追加されています。詳しくは獲得品リストページをご確認ください。
「 https://www.anotherworlds06.com/coo/get_list.html 」
最後に、本シナリオでは「保護される魔女側」としても遊ぶことが出来ます。
方法は簡単で、魔女として新キャラクターを作成し、このシナリオに参加するだけ。
基本的に種族「強化人間」であり、プレイングがそれらしければ、魔女であるとみなしますが、プロフィールなどに科学統一政府世界の魔女であることが分かるように書いてあるとよりやりやすくて助かります。
それでは、いざ、魔女を保護しに出発です!
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
一・全
【未来を識る者(二人)】
「できる限りの非殺傷 なら打撃が丸いか」
「非力であろうと 遅かろうと見えてる限り対処は容易い」
「ほう……あの小娘 一手誘導するだけで此方の思惑を三手以上先まで拾い上げるな 面白い」
両目を閉じた一全はしかし 全てが見えているかのように振舞う
強くも早くもないが その動きは正確に相手の攻撃を捌き そして急所への一撃を放つ
惜しむらくは体力が無かったことだろうか
途中から瑠衣を動かす事をメインにして己の体力を温存しはじめる
天見・瑠衣
【未来を識る者(二人)】
「えぇと……できる限り峰打ち あとは痺れさせる護符かなぁ」
「囲まれた だからこそ前に進まなきゃ 止まったら全部終わっちゃう……!」
「何?何なの!?あの人が何かする度に見える可能性が大幅に整理されてる!?こわいよぉぉお!!!」
【IA00001】
ビトラの「試練の洞窟」、その中層に突入する「試練の探究者」達。
その先陣を切るのは、二人の「探究者」であった。
「できる限りの非殺傷、なら打撃が丸いか」
そう呟くのは前回の戦いでもソーリアを止めるために活躍したとある永久機関の研究過程で扱われていた実験体にて完全適合者、一・全(崩則術士・f45542)である。
「えぇと……できる限り峰打ち。あとは痺れさせる護符かなぁ」
そんな全より前に出て日本刀を構えるのは天見・瑠衣(泣き虫の刀使い・f37969)。涙を湛える時、その瞳に未来を映し出す特異体質の持ち主たる討魔師だ。
「止まれ、何者だ!」
そんな先陣を切る二人を魔女狩りの徒達がトゥクルの槍を構えて見咎める。
「さぁ 事象の行く末を見届けるとしよう」
両目を閉じたままの怪しげな全は、刀を持ち明らかに危険度が高そうな瑠衣より先に攻撃を受ける。
現実改変能力に当たる異能たる「魔法」を操る魔女にとって、見るからに危険物を持っているだけの存在より、何をするか予測がつかない方が恐ろしかったのだ。
「非力であろうと、遅かろうと見えてる限り対処は容易い」
全が人格を切り替え、ラプラスの悪魔を呼び出す。
彼のラプラスの悪魔としての側面が周囲の「洞窟」内に満ちるマナと反応し、マナ現象『|因果的決定論《ラプラスノアクマ》』として成立する。
トゥクルの槍が振り回される。
先端が尖っておらず、棍棒のようになっているトゥクルの槍は突き刺すのではなく殴打するために使う武器である。
三人の魔女狩りの徒による薙ぎ払いは広範囲をカバーし、回避できる隙は僅かしかない。
しかし、僅かでも存在するならば。
あらゆる要素は観測・解析され、ラプラスの悪魔が道筋を示す。
「な、なんだ!?」
最小限の動きで確実に攻撃範囲の隙をついて魔女狩りの徒をすり抜けた全。それは文字通り、攻撃をすり抜けて接近してきたかのよう。
気が付けば肉薄されていた魔女狩りの徒は、正確に杖を振り回して、魔女狩りの徒の急所への一撃を放つ。
当然、瑠衣も見ているばかりではない。対象を麻痺させる符を投擲し敵に貼り付けて、敵の動きを奪う。
「今のは、魔法か?」
後方で様子を見ていた少し偉そうな魔女狩りが、隣の魔女狩りに問いかける。
「情報基盤の励起を確認。こいつらは魔女ではない」
「なら、囲んで倒せ。どういう手品か知らないが、囲んで問題ない」
後方の魔女狩りが命じると、魔女狩りの徒が二人を囲むように動き出す。
「囲まれた。だからこそ前に進まなきゃ、止まったら全部終わっちゃう……!」
そんな状況であえて一歩前に踏み出すのは瑠衣。
涙を湛えた先の視界が未来となる瑠衣は自身が後退すると、未来の自分が自分の視界の外に移動してしまう関係で、自身の安全を確保出来なくなる。
故に、どれだけ怖くて、どれだけ恐ろしくても瑠衣は命の安全を確保するために前進するしかないのだ。
「なんだこいつ、向かってくるぞ」
「恐るな、囲んで倒せ」
まっすぐ向かってくる瑠衣を魔女狩りの徒は再包囲し、トゥクルの槍で薙ぎ払う。
今度は先ほどと逆の構図だ。
単に攻撃を回避して接近してくる全よりも、符による遠距離攻撃が可能な瑠衣の方が脅威度が高くなったのである。
「あの力は……利用できるかもしれないな」
当初こそ、瑠衣に攻撃する魔女狩りの徒の薙ぎ払いを回避しながら攻撃を叩き込んでいた全だったが、瑠衣の動きを見て、ふと思いつく。
杖を振るって、ラプラスの悪魔としての力を振るう全。
すると、瑠衣の動きが目に見えて良くなっていく。
「ほう……あの小娘。一手誘導するだけで此方の思惑を三手以上先まで拾い上げるな 面白い」
「何? 何なの!? あの人が何かする度に見える未来が大幅に整理されてる!? こわいよぉぉお!!!」
一方の瑠衣は見たこともない現象が生じているものだから、いつもよりなお怖くて怖くて仕方ない。
とはいえ、戦闘は明らかに二人有利に進んでいた。
「何を怯んでいる! 敵はたった二人だぞ。数で圧殺しろ」
増援を呼びながら後方の魔女狩りが叫ぶ。
幸いにして、魔女狩りの注目は二人が集めているようだ。この状況は利用可能だろう。
大成功
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騙者・真理
◎
「魔女たちが、逃避中に必ず魔女狩りと遭遇する。 はたしてそうだろうか?」
|証明は不可能《悪魔の証明》だ。
「ならば魔女たちは魔女狩りに遭う事無く脱出できるだろう。 |悪魔《私》が|認めよう《証明する》」
「魔女狩り以外の脅威も存在する筈、それこそ体力や地形、自己満足・・。」
少し首を捻り、何かを思い付いたと言わんばかりに手を打ち合わせる。
「彼の者は勇者と成り得ない。 はたしてそうだろうか?」
|証明は不可能《悪魔の証明》だ
「|悪魔《私》が|証明し《認め》よう。仲間を率い逃避を決意した魔女こそ勇者であると」
少し笑いながら、最後の言葉を口にする。
「決め台詞は最後まで取っておきなさいよ?」
ビトラの「試練の洞窟」。その中層。そこに人知れず降り立つのは証明の悪魔、騙者・真理(騙り部・f39704)だ。
「魔女たちが、逃避中に必ず魔女狩りと遭遇する。はたしてそうだろうか?」
|証明は不可能《悪魔の証明》だ、と真理は語る。
「ならば魔女たちは魔女狩りに遭う事無く脱出できるだろう。|悪魔《私》が|認めよう《証明する》」
真理の持つ証明の悪魔としての力が発動する。
これで魔女の安全がある程度確保されたはずだ。
と言っても、魔女は真理の使う証明の悪魔としての力と極めて類似した現実改変能力を使う存在である。現実改変能力同士は競合した時、時空が軋みを上げ、拮抗する。結果、時に片方が勝り、時に片方が敗れる。彼らの魔法が複合することで、真理の持つ証明の悪魔としての力を上回る可能性がある。
故に、引き続き魔女を保護するための努力は続ける必要があるだろう。何事にも銀の弾丸はないのである。
「魔女狩り以外の脅威も存在する筈、それこそ体力や地形、自己満足……」
だからというわけでもないかも知れないが、少し首を捻り、何かを思いついたとばかりに手を合わせた。
「彼の者は勇者と成り得ない。はたしてそうだろうか?」
|証明は不可能《悪魔の証明》だ、と真理は語る。
「|悪魔《私》が|証明し《認め》よう。仲間を率い逃避を決意した魔女こそ勇者であると」
その宣言により、ある魔女がふと覚醒する。
「やっぱりこのままじゃダメだ。〝向こう側〟を目指そう!」
彼は「洞窟」に逃げ込んだ、とある魔女の寄り合い所帯の一人だった。
「と、突然どうしたんだよ。〝向こう側〟って所詮噂だろ? そんなのを信じてこの隠れ場所から逃げるっていうのか?」
彼らは現代神秘世界のことを噂では知っているもののまだ信じきれずにいた。
「あぁ。このままじゃこの『洞窟』全体を狩り回ってる魔女狩りに見つかるのが落ちだ。噂だとしても、他に逃げ場がないなら、それを信じて、行くしかないと思う」
「そ、そうか」
彼の言葉にはえも言われぬ強者感があった。
真理のマナ現象『|悪魔の証明《デモンズプロバディオ》・|勇者の選定《ブレイブハート》』によるものだ。
リーダーとしての頭角を表した彼はそのまま数人の魔女を率いて、現代神秘世界の出口がある方へと歩き出した。
その様子を見て、真理は笑いながら言葉を発する。
「決め台詞は最後まで取っておきなさいよ?」
その言葉の通り、彼はきっと現代神秘世界側の外に出た時、決め台詞を口にするのだろう。
彼もまた、新たな物語の主役となって行くのかも知れない……。
大成功
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