1
シャングリラ☆クライシス⑳〜Dガール🐲フロンティア

#アイドル☆フロンティア #シャングリラ☆クライシス #第三戦線 #侵略神『ヴァラケウス』 #アイドル🐲フロンティア #後半戦は時間の都合で無しになりました

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アイドル☆フロンティア
🔒
#シャングリラ☆クライシス
🔒
#第三戦線
🔒
#侵略神『ヴァラケウス』
#アイドル🐲フロンティア
#後半戦は時間の都合で無しになりました


0




●アイドル🐲フロンティア~|光の道《アイドルロード》~
 猟兵達の活躍によりヴァラケウスの纏っていたパラダルクの外殻は打ち砕かれた。
 しかし、ヴァラケウスはまだ退く気配をみせない。

「やはり、紛い物のドラゴンロードの力ではこの程度であったか。
 ならば、我自らのユーベルコード『侵略機動』で相手するしかあるまい」
 ヴァラケウスは『侵略機動』の力を己が周囲に巡らせる。
 巡らされた力は組み上げられ、1つの小さな疑似世界を作り上げた。
「これは『侵略機動』で作り上げた疑似世界『ドラゴン界』だ。
 この『ドラゴン界』でお前達猟兵を蹂躙してやろう」
「お、お待ちください、ヴァラケウス様」
 ヴァラケウスが『ドラゴン界』を起動させようとした瞬間、待ったが入った。

「なんだお前か、ドラグナーガールよ。
 パラダルクの外殻と共に滅んだと思ったが、随分と縮んだようだな」
 フッと鼻で笑うヴァラケウスに畏まり首を垂れるドラグナーガールはアイドルに付き従うスターフェアリーのように小さくなっていた。
「ヴァラケウス様がお手にされているダイスが残った事で消滅を免れたようでございます」
「ほう、そうか。
 そういえば、このダイスとやらはパラダルクの外殻から作り出していたな。
 それで、元々戦闘力のないお前が、
 我がこうして掌を握りしめれば粉々に散りゆくであろうお前が、
 我に意見しようというのは、どういう領分かと聞いているのだ?」
 ヴァラケウスはダイスを一つ摘まみ上げ、グッと力を籠める。
 ピシリとダイスに罅が入ると、畏まるドラグナーガールの身体に罅が刻まれた。
「はい、わたくしには他のドラグナーガールのような戦闘能力はございません。
 ですが、わたくしの原形はパラダルク様の『享楽支配』でございます。
 わたくしはこの命を賭すことで一度だけ『享楽支配』を使用することができます」
 ドラグナーガールは畏まったまま今自身ができることを述べた。
 たった一度とはいえ『享楽支配』が使える事はヴァラケウスにとっても大きい。

「ほう、それでお前は一体何のドラグナーガールになるつもりだ?」
 しかし、ヴァラケウスは自身の有用性を説き、命を長引かせようとする命乞いは無駄だと言わんばかりに、その先の考えを聞く。
 ヴァラケウスは侵略神だ。
 敵味方を問わず、多くの命乞いを聞き無下に侵略し続けてきた神である。
 ただの時間稼ぎの命乞いなら、ここで言葉に詰まり黙してしまう。
 自分で言っているのだ、貴重なたった一度の自身の有用性を。
 その貴重な一度の使い道をヴァラケウスは問う。
 お前はいつ死ぬつもりなのだ?とヴァラケウスは問いた。
「畏れ多くも、貴方様の『ドラゴン界』でございます」
 ドラグナーガールは即答した。

 本来、このような事を提案すれば打首に決まっている。
 主君の能力を乗っ取ると、この配下は言っているのだ。
 だが、ヴァラケウスは掌に乗せた|ダイス《いのち》を握り潰すことなく続きを聞く。
「フハハ、このままでは我は猟兵に敗れると、お前は我に進言しているのは分かっている……ようだな。
 ならば、お前の策を我に示せ」
「はい、ヴァラケウス様の『ドラゴン界』は縦横無尽に動けるとしても、疑似世界である為にどうしても動きに法則性が生まれてしまいます。
 ヴァラケウス様がいかに制御なさっていても、急加速や急停止する機構がなく急な動きの変化が付けにくいのでございます。
 逆にそういった機構を付ければ、その動きから動作が読みやすくなるといいます。
 ですが、わたくし共が狙うのは猟兵ではなく、猟兵達に力を与えているアイドルステージでございます」
「敵そのものを狙うのではなく敵に庇わせれば、こちらの攻撃は当たるのだな。
 お前の策と覚悟は確かに受け取った。
 ここにお前が命を散らすことを許可する」
 ヴァラケウスの言葉にドラグナーガールは立ち上がる。
 そして、その身から光の粒子が零れていく。

「『ドラゴン界』より生れ出るドラグナーガールはお前ではないのだな」
 ドラグナーガールは光の粒子と化しながらもこくりと首を縦に振った。
 『享楽支配』は万物をドラグナーガールに変える力であり、自身が変身する類ではない。
 子を産む母のような存在なのだ。
「パラダルクの奴には勿体ない女であった」
「どうかご武運を――」
 ドラグナーガールの身体は完全に光となり、そして光は周囲の『ドラゴン界』へと溶け込んでいった。
 それと同時にヴァラケウスの持っていたダイスは砂と化して散っていく。

●アイドル🐲フロンティア~|光の道《アイドルロード》~
 今度は『ドラゴン界』がフリーズしている最中にフリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)はその場にいた猟兵を集め緊急ブリーフィングを開く。
 魔法少女やヒーローの変身・名乗りシーンが妨害されないのと同様に、敵の漫才や葛藤シーンも邪魔されないというよりはグリモア猟兵が前線にいるので、こういう時間は作戦会議に都合がよかった。
「ふええ、今度は何だか疑似世界に変わってしまいました」
 いつも通りのダメダメなフリルに代わり、説明すると……。
 『プラネット・ドラゴンロード』形態を打ち破った猟兵達は、いよいよヴァラケウスとの決戦に挑むことになった。
 ヴァラケウスは『侵略起動』のユーベルコードによって疑似世界『ドラゴン界』を作り出し、猟兵達に挑んでくる。
 こちらで作戦会議をしている間の向こう側のちょっとしたドラマで作戦が変更され、猟兵達に力を与えているアイドルステージが狙われることになってしまったのだ。
 そして、そうこうしている間に……。
「ふええ!?今度はドラグナーガールさんに変身してしまいました。
 とても大きいですし、どうしたらいいんですか?」
 フリルがいる必要があったのだろうか不明ではあるが、猟兵達とヴァラケウスの決戦の前半戦が開始される。


トルシ
『シャングリラ☆クライシス』
 ⑳侵略神『ヴァラケウス』〜ステージVS侵略機動 の戦場になります。

 今回は前半戦の位置づけとして、ヴァラケウスとの戦闘ではなく縦横無尽に動き回りアイドルステージに攻撃を仕掛けてくる『ドラゴン界』をどうにか止めていただきます。
 しかも、この『ドラゴン界』はなんやかんやがあって、なんとドラグナーガールになっています。
 ドラグナーガールとしての意思があり、ヴァラケウスの大まかな指示に従い、咄嗟には自身の判断で行動ができます。

 ボス敵の『侵略神『ヴァラケウス』』のフラグメントになっていますが、ヴァラケウスが戦闘するのではないので、ヴァラケウスのユーベルコードへの対策は不要になります。
 その為、プレイングボーナスの後半部分は削除となっています。

 プレイングボーナス……アイドルステージの破壊を阻止する。

 それではヴァラケウスとの戦いの前半戦頑張っていきましょう。
25




第1章 ボス戦 『侵略神『ヴァラケウス』』

POW   :    ヴァラケウス・ブレイク
自身の【竜炎の放射】でレベル×100km/hで飛翔し、射程無限・直線上の全てを切断貫通する【漆黒の衝撃】を放つ。
SPD   :    侵略機動・蹂躙突撃
【全身】から【漆黒の破壊オーラ】を噴出しながら、レベル×5km/hで直進突撃する。2回まで方向転換可能。
WIZ   :    侵略機動・精神侵食
【漆黒のドラゴン界を纏う姿】に変身する。隠密力・速度・【竜炎】の攻撃力が上昇し、自身を目撃した全員に【絶望】の感情を与える。

イラスト:hina

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
【龍狼師団】
確かに意思を持たれるのは厄介だけど
守ればいいならまぁまだマシ…かな

百鬼さんには負担かけちゃうけど、よろしくね

ステージを守る態勢を取りながらも
人型を取ってるなら状態異常も少しは効きやすいかもしれないから
高速詠唱、多重詠唱で氷、雷魔法に更にホーミングを乗せて攻撃
凍結や感電による足止めを狙いつつ

なるべく速攻しかけるね
敵意を糧に紅色鎌鼬発動
何百でも何千でも任意増殖可能な鎌を生成、空中浮遊させ
自在に操る事で斬撃による攻撃にも
密集させて足止めの盾にも流用

ドラグナーガールさんが動き回っても
僕の意思で追いかける事も出来る
それでも、僕はやっぱりサポート向きだからね

シャオさん、鉄馬君!
後はお願い…!


百鬼・智夢
【龍狼師団】
大丈夫…何人でも、必ず…私が、護ります
巫女の…いえ
一人の猟兵の、誇りにかけて…

リアムを媒介に呼び出した善霊さんに
私を含めた全員に霊的防護をかけてもらい
更に破魔を宿した祓い札を霊力を用いて浮遊させ
ステージと自分を守る為の強力な防壁を作ります

そうして重ね掛けした守りの中で赦裁の祈りを発動
祈りを捧げる事で全員への攻撃全てを無効化

悪霊さん、黒死蝶さん
お手伝いをお願いします…!

悪霊と黒死蝶は呪詛による苦痛や金縛りで
ドラグナーガールさんの足止め兼攻撃を狙います

私の役目は、あくまで護り
澪君はサポートに回るようなので
今回の攻撃の本命は…

シャオさん、鉄馬さん…後は、よろしくお願いします


不知火・鉄馬
【龍狼師団】

俺とシャオは元々攻撃の方が得意だからな
澪と百鬼が護りと援護を担ってくれる分
いつも通りに動きやすくて助かる

子龍形態のままの紫龍~焔~シエンに掴まり空中戦
閃雷を武器として扱い
鋭い電撃による範囲攻撃、マヒ攻撃で足止めを狙うぜ
更に念のため帯電流のオーラ防御も纏い
俺に触れただけでも感電するようにしておき
進行方向を塞ぐ事で誘導するように

更に合間に攻撃も兼ねて散雷を投げるが
同時に避けられたとしても
それによって地に刺さった散雷の位置が仕込みになるように

シャオと共にさり気無くドラグナーガールの位置を誘導し
散雷で囲んだエリアに立ち入った瞬間誘う雷花発動
鋭い電撃で感電による足止めも兼ねた極大ダメージ


シャオ・フィルナート
【龍狼師団】

俺と鉄馬さんの役目は…足止めと、火力…
だから…相手が違っても、いつも通りに…

百鬼さんの護りがある分攻撃に専念
氷の翼で空中浮遊しつつ
氷麗ノ剣で水流を発生させ攻撃したり
翼から氷の羽を弾丸のように飛ばす援護射撃
剣自体の斬撃による早業の暗殺攻撃で攻撃

ドラグナーガールが人型とはいえ
元がドラゴン界だからね…
どこまで効果あるか、わからないけど…
死星眼の催眠術、生命力吸収でも
弱体化と足止めを狙うね…

鉄馬さんのUCに畳みかけるように俺も指定UC
何のために、水流でお前を濡らしたと思う…?
水は、電気も通すし、凍るから…

蒼魔発動
鋭い冷気による凍結攻撃でダメージと足止め
威力増強が無くても…十分でしょ…




 ドラゴンロード『パラダルク』の外殻を纏い|光の道《アイドルロード》へと降臨した侵略神『ヴァラケウス』。
 しかし、猟兵たちの活躍によりパラダルクの外殻は破壊された。
 ならばと己がユーベルコード『侵略機動』で作り上げた『ドラゴン界』を、さらにパラダルクの『享楽支配』のユーベルコードから生まれたドラグナーガールの命と引き換えに意思と肉体を与え、変則的な動きに状況判断力を与えリベンジマッチに燃えるヴァラケウスであった。

 しかし、そんな彼に戦いを挑む猟兵のチームがあった。
 ――龍狼師団――
 これはその旅団に所属する4人の精鋭たちの闘いの記録である。


「ドラグナーガールよ。
 猟兵共に力を与えるアイドルステージを狙うのだ」
 ヴァラケウスは今は亡き享楽支配のドラグナーガールより授けられし策に則り、ドラゴン界のドラグナーガールにアイドルステージの襲撃を命じる。
 翼を羽ばたかせ急速にアイドルステージに急接近するドラグナーガールは大きく息を吸い込むと灼熱のブレスを浴びせかける。
 ただ単調にアイドルステージを削っていくよりも明確な攻撃手段としてドラゴン界の力を行使できるドラグナーガールの攻撃は凄まじい威力が籠められていた。
 アイドルステージなど観客席諸共に一瞬で焼け野原にしてしまうかの炎が近づく中、アイドルステージは暗転し観客席は静まり返る。
 炎の熱気が迫りくる中、観客席のサイリウムとなったファン達は灯を消し、固唾を飲んでステージに視線を向ける。

「大丈夫…何人でも、必ず…私が、護ります
 巫女の…いえ
 一人の猟兵の、誇りにかけて…」
 静寂の中に響く少女の声は暗転したステージを見守る観客たちに安らぎを与える。
 そして、ステージ中央にスポットライトが一斉に照射されると、そこには大事にテディベアを抱きしめ祈りを奉げる百鬼・智夢(慈愛の巫女・f20354)の姿が現れる。
「誰にも、手出しはさせません…!」
 膝をつき【赦裁の祈り】を奉げる智夢が立ち上がると、大事に抱かれていた『テディベア・リアム』の瞳が青く輝く。
 すると、暗さの残る観客席に薄っすらと幽霊たちが漂い始める。
「大丈夫…怖くないです…」
 智夢の言うように漂い始めた幽霊からは怖さはなく見守られている安心感がある。
 そして、空から迫りくる炎を遮るように会場を光の防護壁が覆うとともに、アイドルステージは明るさを取り戻す。

 光の防護壁に灼熱のブレスを防がれたドラグナーガールは旋回し、鋭い爪で防護壁を引き裂かんと構えアイドルステージへと突撃していく。
 敵の守りに合わせ攻撃手段を変える思考は意思を持ったことによる強みだ。
 攻め手を変えてきたドラグナーガールにアイドルステージは……。

「僕はやっぱりサポート向きだからね。
 いっくよー!」
 ステージ端に現れた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は端から端へと駆け抜ける。
 すると、澪の駆け抜けた後から次々と花火が打ちあがった。
 黄色と青とが交互に打ち上げられる魔法の花火に込められた効果は状態異常だ。
 感電と凍結の魔法の花火は誘導弾のようにドラグナーガールを追い、弾幕のように足止めしていく。
「わ…私も、悪霊さん……!?」
 ステージ中央に立った智夢は援護射撃にと悪霊と黒死蝶を呼び出そうとしたところ、突然ぎゅっと手を握られた感覚に言葉が詰まってしまった。
(百鬼さん、ステージの上だからあまり怖いのとかは避けた方がいいよ)
 ステージ端から中央へと走ってきた澪はマイクに拾われないように智夢にアドバイスをする。
 どさくさに手を握ってしまったが、それはある心配からきていたことだがその予感は的中していた。
 智夢の手には多くの汗が握られていた。
 アイドルステージの守りに序盤のソロと大人しい智夢にかなりの負担がかかる行為だ。
(それでもここまで百鬼さんはやり遂げた。
 なら僕は彼女のサポートをするんだ)
 澪は力強くそれでも優しく智夢の手を握りしめる。
 それが合図のように智夢は言葉を紡ぐ。
「幽霊さん、黒蝶さん
 お手伝いをお願いします…!」
「僕は【紅色鎌鼬】いっくよ!!」
 智夢の呼び出した悪霊や黒死蝶の合間を縫うように澪の無数の紅色の鎌が飛んでいく。
 紅い三日月のような鎌がドラグナーガールの翼を切り裂き、悪霊と黒死蝶が舞いドラグナーガールに呪詛の苦痛と金縛りを齎す。

 ステージ中央に手を繋ぎ立つ澪と智夢は手を上空へ差し向ける。
 盛り上がってきたところで今回のステージの本命の登場だ。
「「シャオさん、鉄馬君!
  シャオさん、鉄馬さん…
  後はお願い…!
  後は、よろしくお願いします」」
 上空に向けられたスポットライトの光が肩を合わせて並び立つ不知火・鉄馬(戒めの正義・f12794)とシャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)の姿を照らし出した。
「任されたぜ!!」
「…ああ、俺たちで決めるね…」

 氷の翼で飛翔するシャオは『氷麗ノ剣』を振るい水流をドラグナーガールに浴びせかける。
「…中の人も熱そうだし…これで涼んでいくといいよ…」
 おびただしい量の水を浴びせ、背中の氷の翼から氷の羽を飛ばし、手にした氷麗ノ剣で斬りつけシャオは次々と攻撃を決めていく。
「…これも百鬼さんと澪さんの…おかげだね…」
 想定していたよりもドラグナーガールの動きがかなり鈍っていた。
 チームで予測していたようにドラグナーガールに状態異常は効いていた。
 人の姿を取り思考や感覚を得るということは、メリットではあるが逆を返せばそこが弱点になりうるのだ。
 ただの疑似世界のドラゴン界なら凍結や感電したところで動きが止まることはない、そのままの推進力で進めばいいのだから、そして呪詛や金縛りなど精神に干渉するものは効いていないだろう。
「…そろそろ…終わったかな…?」
「ああ、待たせたな」
 シャオが呟くと上から声がする。
 子龍形態のドラゴンランス『紫龍~焔~』に掴まった鉄馬が降りてくる。
「シエン、ひとっ飛びサンキューな。
 あと、澪も台座役立ったぜ!!」
 アイドルステージに手を振っている鉄馬の姿にドラグナーガールは困惑していた。
 それもその筈、だってドラグナーガールの瞳にはたった今、手にした槍で一突きにしようとしてくる鉄馬の姿も映っているのだから。
「…これはもう…不要だね…」
 片目が金色に輝いていたシャオの瞳がもう片方の藍色の瞳と同じ藍色に戻った。
 シャオの右目は金色に覚醒させると『死星眼』と呼ばれる催眠眼になる。
 それによってドラグナーガールはシャオと鉄馬の二人と戦っていると錯覚させられていたのだ。
 その証拠に催眠術をかけられていない者には二人が登場した以降、鉄馬の姿は映っていなかった。
 そして、催眠が解けることでドラグナーガールが視認したのは周囲に短剣の刺さった澪の【紅色鎌鼬】が浮いているということだった。
「俺に時間を与えたのが、テメェの敗因だ!!」
 鉄馬がパチンと指を鳴らすと共に龍の姿をした巨大な雷がドラグナーガールに落ちる。
 ドラグナーガールの周囲を浮かぶ『散雷』という短剣によって、座標を空中に固定していたことで地上のアイドルステージには被害が出ていない。

「くっ、何故だ?
 なぜドラゴン界の中にいる我にまで雷撃が届いているのだ?」
 ドラグナーガールとなったドラゴン界の中にいたヴァラケウスにまで鉄馬の雷は届いていた。
 それを不思議がるヴァラケウスにシャオは答えを示す。
「何のために、水流でお前を濡らしたと思う…?
 散々…水で濡らして…飲ませたのは…このため…。
 水は、電気も通すし、凍るから…」
 シャオの周囲の気温が一気に下がった。
「…鉄馬さん、悪いね…。
 止め…もらっちゃうよ…」
「好きにしな」
 手を振る鉄馬に一瞥するとシャオは氷麗ノ剣を構える。
「…俺が、【蒼魔】と呼ばれるに至った所以…教えてあげようか…」
 先ほどまでは水を浴びせるために水流を出していた氷麗ノ剣だが、今度は圧倒的な冷気を帯びる。
 触れたものを凍てつかせながら、シャオはドラグナーガールとなったドラゴン界に飛び込む。
 そして、一刀を振るうことで中にいたヴァラケウス共々ドラグナーガールを氷結粉砕した。

「シャオさん、鉄馬君!
 最後の挨拶が残ってるよ!」
 アイドルステージの中央で智夢と二人を見守っていた澪は二人を呼ぶ。
 ステージ中央に降り立ったシャオと鉄馬に大勢のサイリウムとなったファンの歓声が二人を迎えていた。
 4人は一列に並び一斉に一礼をした。
 その瞬間、ステージの観客の歓声は最大値へと昇るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年09月30日


挿絵イラスト