ふわしゅわ、デカもこ、わたがしレッスン
夏祭りといえばやっぱり、ずらりと並ぶお祭り屋台。
そして今日もわくわく心躍る、色々な屋台がたくさん用意されているのだけれど。
でも、今回はいつものお祭り会場とはちょっぴり様子が違っていて。
何より、屋台で美味しいものを食べ歩くのではなくて、美味しいものを作る方。
そう、真夏のある日、祭りをこよなく愛するとある組合が催したのは――屋台体験企画!
あるところは、じゅうじゅうと香ばしくて食欲をそそる、屋台の焼きそばを。
またあることろでは、ころころくるくる、熱々まんまる、屋台のたこやきであったり。
ふわふわひんやり涼やかなかき氷であったり、つやつや甘やかなりんご飴。
そんな数々の定番屋台は勿論、ちょっぴり変わったものまで、本当に色々と。
その設営の注意事項から、作る工程などを教えてもらえば、実際に体験させて貰えるという企画であるという。
中には、尻尾もびくりと震えちゃう、お化け屋敷なんていうのもあるのだけれど……。
「俺ね、俺ね、わたがし、だいすき!!」
催しの参加者としてやって来た、火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)が迷いなく選んだのは、わたがし屋台体験!
いかに大きく、うつくしく、ふわっふわにわたがしを作るかを学ぶ体験である。
そしていざイベントが始まれば、お耳もぴこり、尻尾をゆらりら。
「がんばり、ます。宜しくお願いします!」
ぺこりと、元気よく礼儀正しく、さつまはご挨拶。
大好きなわたがしを作れるとなれば、さつまはわくわくきらきら、張り切って体験開始!
わたがし機のスイッチをぽちりと入れれば、ぶーんと機械が動き出して。
少し数秒間おいて、きちんとあたたまるまで待って。
そろりと少しずつざらめをいれれば、すぐに白くてふわふわなわたのような飴ができてきて。
「わぁ、ふわふわ、雲、みたい!」
感激の声をあげつつも、しゃきんと構えるのは、わたがしを纏わせる棒です!
そんな棒をそうっと入れてみて、くるくる回してみるのだけれど。
「わたがし、むずかし……?」
上手く棒には巻き付かずに、手の方がベタベタのわたがしまみれに。
それでも頑張って、再びチャレンジしてみるのだけれど。
「ぺっそぺそ……」
よく屋台で売っているようなふわふわじゃなくて、今度はぺっそぺそなわたがしに。
でもそれでもさつまはめげずに、もう一度。
組合のわたがし先生に、やり方やコツをしっかりと改めて教えてもらって。
実際に見本もみせてもらいつつ、頭の中でもシミュレーションしてから。
いざ真剣にきりり、気合十分、再チャレンジです!
最初は割りばしでぐるっと1周して、掬い取るように巻き付けてから。
その後は割りばしを水平にして、割りばし自体をくるくるくるっ。
一度コツをつかめば、存外器用なこともあって。
「作って、食べれるの、嬉し」
まんまる上手に棒に巻き付けられれば、満足そうに尻尾をゆらゆら、すぐにふわふわにできるように。
屋台といえば商売なのだから、均一で程よい大きさのものをいくつも作るものだと教わりながらも。
でも、折角の機会だからついでに、巨大なわたがしを作るコツも、わくわく教われば。
「わわ、売ってるの、あまり、みかけない、けど、超特大サイズ……!」
――あこがれのやつ!
そう瞳をキラキラ輝かせて、さつまもいざ、ビッグふわふわまんまるわたがし作りに挑戦してみます!
そして、自分の顔がみえないくらいのおおきなわたがしをくるくるーっと。
器用に棒に上手にそっと巻き付けていけば、憧れの超特大サイズだってお手の元!
でもまだまだ、さつまのわくわくなわたがし作りの情熱は、とどまるところ知らずで。
定番のまんまるいわたがしだけでなくて、春色や夏色わたがしなど、カラフルにしてみたり。
ちょっぴり、より難易度の高い、他の形にしてみたりと。
職人から学ぶのは、屋台を出した際に集客する為の技も。
それもばっちり真剣に話をうんうんと聞いて、色々と吸収し習得していけば。
「俺、大きい、かわいい形の、作てみたい……!」
さつまが再び作り始めるのは、先程と同じ、超特大わたがし……?
いいえ、超特大わたがしは、さつまが今作っているものの通過点に過ぎないのだ。
上手に満遍なくふわふわと、わたのように出てきた飴を、棒でくるりと掬うように絡めてから。
楽し気に尻尾を揺らしつつ、さつまは試行錯誤し工夫を重ねて、作ってみることにするのだった。
「おばけさん、にがて、だ、けど……わたがし、なら、こわくない、ね!」
――かわいく、できた、かなっ! なんて。
ご対面するのはそう、めっちゃ大きくてもこもこゆるかわな、おばけわたあめです!
本物おばけは、尻尾もお耳も思わずぺそりとなってしまうくらい、苦手だけれど。
わたがしだったら甘くてふわしゅわ、美味しいし。
それにきっとおばけさんは、大きい方が可愛くて格好良くて素敵だから。
そして……今度の祭りの時、是非手伝ってくれ! なんて、引っ張りだこ。
体験が終わる頃にはさつまは、組合の人もお墨付きの、立派なわたがし職人に……!
成功
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