シャングリラ☆クライシス㉒〜ボナペティ♪ 郷愁グルメ!
『m'aider』
イティハーサが死んでしまった。グリモワールの声も聞こえない。
このままでは、ひとは未来を識る術もなく、歴史を紡ぐこともできなくなってしまう。
『m'aider』
嫌だ。わたしは、愛したものたちが指針を失い、歪んでゆく様を見たくない。
変わらないで。どうかみんな変わらないで。
昔のままでいて。わたしが好きだったあなた達のままでいて。
『m'aider』
「世界」が壊れた時のために、わたしは全ての「過去」を仕舞ってある。
「永遠祭壇」の外にあるもの全て、わたしの「過去」と取り替えてあげる。
時が過ぎる事、変わりゆく事、老いてゆく事に、価値などなかったでしょう?
世界の時間を全て止めて……完全と永遠と安寧を、取り戻しましょう。
『m'aider』
ところで、何故かとてもお腹が空きました。
これでは戦いに集中できないし、なによりとても苦しい。
誰か、美味しい料理を作ってくれないかしら。
――グリモアベース。
「ご飯の時間だよっ!」
グリモア猟兵の蛇塚・レモン(白鱗蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)は、招集に応じてくれた猟兵たちへ宣言した。
「いよいよ最終決戦っ! 予兆を見た人は知ってるだろうけど、霊神『グラン・グリモア』は世界を自らが保管する「過去」と取り替えようとしているよっ! そうなる前にやっつけないといけないんだけど、グラン・グリモアは戦場を『骸の海』で覆い尽くして、その中から様々な理由で今はもう地球上に存在しない『かつて存在した町や村』の光景を引きずり出すと共に、自身の戦闘能力を大幅にパワーアップさせるよ!」
さすがは世界を過去とすり替えようとしている張本人、やることのスケールが違いすぎる。だが、この能力には致命的な弱点があるようで?
「……つまり、もしもこの土地に伝わる『郷土料理』を再現して作り上げて、グラン・グリモアに食べさせることができれば、失われた筈の過去の一片が取り戻されたことにグラン・グリモアは感激してしまい、全ての能力強化を失うよっ!」
いやそうはならんやろ。でも予知でそうなら、ほななるんかぁ〜!
「グラン・グリモアは既に猟兵のみんなとの連戦で何度も再生をしているせいか、エネルギーが枯渇しかけて空腹状態っぽい! 今ならどんな料理でもすぐに飛びつくはずだよっ! がんばってねっ!!」
ならば活用しなければなるまい、この状況をッ!
さぁ猟兵達よ、食材を調理器具は持ったか!?
これから世界の存亡をかけた、一大クッキングバトルが開幕する……!
七転 十五起
飯を食わすでごわす!(使命感)
ラスボス戦に一時のユーモアを添えて。ラスボス戦です(迫真)。
なぎてん はねおきです。
●プレイングボーナス
失われた場所の郷土料理を再現し、グラン・グリモアに食べさせる。
●その他
コンビやチームなど複数名様でのご参加をご検討される場合は、必ずプレイング冒頭部分に【お相手の呼称とID】若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの参加人数及び参加者氏名をプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能ですが、その際は参加者全員のオーバーロード投稿を強く推奨します。出揃わない場合、まとめて不採用になる事をご了承ください)
なお、本シナリオは戦争の進行状況に応じて、全てのプレイングを採用できない可能性があります。こちらも予めご了承くださいませ。
それでは、皆様のご参加をお待ちしてます!
第1章 ボス戦
『霊神『グラン・グリモア』』
|
POW : グラングリモア・メモワール
【指先】で触れた対象と同じ戦闘能力を持ち、対象にだけ見える【記憶の化身】を召喚し、1分間対象を襲わせる。
SPD : グラングリモア・ホワイトタイド
レベルm半径内に【骸の海】を放ち、全ての味方を癒し、それ以外の全員にダメージ。
WIZ : グラングリモア・スティルアライブ
【骸の海に沈んだ「過去」】から、対象の【過去を失いたくない】という願いを叶える【オブリビオン】を創造する。[オブリビオン]をうまく使わないと願いは叶わない。
イラスト:稲咲
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
地球上に存在しない『かつて存在した町や村』の郷土料理ね。なるほどなるほど。
ところで、地球もいろんな世界があって、その中には快楽エネルギー(他人からの好意や性欲)を食糧とする種族もいたりするわけです。ケルディバのサキュバスとかね。
なので聖餐儀式で|いーとみぃ《私を食べて》❤しても大丈夫だ、問題ない。|クリームパイ《人造生命の創造》とか|おさしみ《誓いの口づけ》とか|昆布巻き《着たまま》とか料理にたとえることもできるしね。
では霊神様、|お食事会とイタしましょう。大丈夫必ずや霊神様を満足させますから❤《欲望解放、愛を伝える、魂の契約、ファンを作る、ファンサ》
地球上に存在しない『かつて存在した町や村』と聞いて、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)が真っ先に思い浮かんだのが、俗世と切り離されて独自の風習がまかり通っていた所謂「因習村」であった。
「なるほど、つまり地球と一言でいっても様々な世界が存在するわけで、その中には快楽エネルギーを食料とする種族や因習村も存在してなかったとは絶対に言えないわ。ということで、えっちな因習村はありまぁす! でなきゃ、サキュバスなんて種族は生まれてこないもの♪」
この女、何かをやらかす気だ……!
グラン・グリモアは空腹で動けないので、アリスが仕掛けてくる『料理』をただ凝視するしかなかった。
「はい、と言うわけで♪ いーとみぃ♥ 身も心もひとつになりましょ♪ なーんてね」
アリスは自らの身体に刺し身やらフルーツを持って、セルフ女体盛りを披露した。こいつやりやがった! 本当にやりやがったッ!(なおこれでもマイルドな表現です)
「なんなのですか、これ?」
戸惑うグラン・グリモアにアリスは己の股間に酒を注ぎながら微笑んだ。
「食前酒のわかめ酒です♥ さぁ、では神霊様、お食事会とイタしましょう? 大丈夫、必ずや霊神様をご満足させますから♥ あ、これはサービスの『ツボ押しマッサージ』です♥」
高速で振動する触手がグラン・グリモアの身体を這い回り、拘束し、アリスのわかめ酒にその頭を突っ込ませる。当然、口と鼻は酒の中なので呼吸が出来ない。
「え、ちょっと、ゲボ!? これ度数高……!? ゲホゲホゲホ!?」
よもやアリスの股間で窒息する羽目になるとは、この霊神も思ってもいなかっただろう……。
ナムアミダブツ!
大成功
🔵🔵🔵
スイート・シュガーボックス
これが失われた場所の再現かッ!港町、建物の様式的に日本近海の島かな?何らかの原因で現在は島ごと沈んじゃったみたいだね。
よし、この土地を調べて郷土料理を見つけるよディオちゃんッ!
「ガッテン承知のすけ☆」
見つけた郷土料理を『キッチンカー』で【甘い幸せ彩る調理錬金】。港町らしく海の幸をふんだんに使うのが特徴だね。
近海で採れたお魚のお刺身の盛り合わせにイカそうめん。
そして昆布ダシが決め手の海鮮鍋だッ!
「じゃ〜ん☆この土地の地酒も見つけたし。今は失われた銘酒もウチの『豊穣葡萄』で完璧に再現生成可能だし♪
ほらグランっち、かんぱーい☆」
皆で食べる食事は何より美味しいッ!さあ、召し上がれッ!
【アドリブ歓迎】
スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)はやる気に満ち溢れている。このステージはさながらバトルクッキングショー! お腹を空かせたグラン・グリモアの異能力は、アイドルステージを活気ある港町へと変えてしまったからだ。
「すごいッ! これが失われた場所の再現かッ! 立派な港町だね、テーマパークみたいだッ! 建物の様式的に日本近海の島かな? 何らかの原因で、現在は島ごと沈んじゃったみたいだね。よし、この土地を調べて郷土料理を見つけるよ、ディオちゃんッ!」
「ガッテン承知のすけ☆」
ズッ友のディオニュソスも意気揚々とメモを片手に街へ繰り出そうとする。
「早く戻ってきてくださいね。お腹が空いて気力が湧かないんです……」
正直、そのまま何もしなくていいとは思うスイートとディオニュソスだが、このまま過去の世界を具現化させておくわけにもいかない。2人はオブリビオン化した漁港の組合員へ取材をすることにした。
「ごめんください! 俺達、猟兵なんですけど、失われた郷土料理を探してて……」
「あれ? これどっかで見たことあるんだけど?」
恐らく二度と復活しないであろう番組のいちコーナー、これもある意味メシ遺産である。
こうして見つけた郷土料理をスイートのキッチンカーで料理開始。
「調理と錬金術を組み合わせた至高にして究極のクッキングッ! 【|甘い幸せ彩る調理錬金《スイートハッピークッキング》】!」
手持ちの食材で、わずか10秒の間に郷土料理を調理してゆくスイート。
「港町らしく海の幸をふんだんに使うのが特徴だね。近海で採れたお魚のお刺身の盛り合わせにイカそうめん。そして昆布ダシが決め手の海鮮鍋だッ! あれ? ディオちゃん、それはなんだろう?」
ズッ友がにこにこしながら持参してきた酒瓶にスイートは身体をかしげる。
「じゃ〜ん☆ この土地の地酒も見つけたし。今は失われた銘酒もウチの『豊穣葡萄』で完璧に再現生成可能だし♪ ってことで、ほらグランっち、かんぱーい☆」
あっという間に遺失された郷土料理で海鮮パーティーのはじまりだ!
「皆で食べる食事は何より美味しいッ! さあ、召し上がれッ!」
グラン・グリモアはひとくち箸をつけた途端、一気に料理を平らげてみせた。
「美味しいです! もう二度と食べられないと思ったので!」
この瞬間、グラン・グリモアも能力が無効化される。感動のあまりに、現在を一時的に過去を置き換える能力がなくなったのだ。
「スイート君、なんかグランっちの身体が透けてきてね?」
ディオニュソスの言葉どおり、料理を食べると骸の海が浄化されて存在が希薄になるようだ。
「そういう事か! どんどん料理を作らなきゃだね!」
スイートは他の猟兵達にもこの事実を伝えると、自身もグラン・グリモアもおかわり要求に精一杯に応えていった。
大成功
🔵🔵🔵
ミルナ・シャイン
失われた場所の郷土料理…なら、平安時代のお食事でいきましょう!何しろわたくしの彼氏はバリバリの平安貴族様ですから!アヤカシエンパイアで平安貴族の宴も何度か参加してますし、どういう料理があるかはだいたい把握してますもの。
フリフリのエプロン姿で料理スタート!
貴族のお食事は食材も多くて豪華なんですのよね。
高く盛った強飯は外せない!
それに鹿の干し肉やアワビの酒蒸し、焼鮭といった副食に須々保里(漬物)、煮物にあつもの(汁物)、くるみやカヤの実といった堅果類等…
デザートの唐菓子と蘇も忘れずに、特に蘇は彼氏の好物ですから!
平安時代の四大調味料であるお酒、お酢、塩、醤で好みに味付けしてお召し上がりくださいね。
ミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)がグラン・グリモアと対峙した瞬間、周囲の風景がぐにゃりと歪んだ。気が付けば、そこはなんと大昔の日本……どう見ても平安時代の京都であった。
「これはなにかの縁ですね! 失われた場所の郷土料理……なら、平安時代のお食事でいきましょう! 何しろわたくしの彼氏はバリバリの平安貴族様ですから! アヤカシエンパイアで平安貴族の宴も何度か参加してますし、どういう料理があるかはだいたい把握してますもの。その縁がこのような場所を呼び起こしたに違いありません!」
早速、市へ出向いて食材を調達するミルナ。グリモアベースで料理勝負だと聞いていたので、お気に入りのフリフリのエプロンを持参済みだ。
「貴族のお食事は食材も多くて豪華なんですのよね。高く盛った強飯は外せない!」
記憶にある彼氏との宴に出てきた料理の数々、その食材を買い込んだミルナはフリフリエプロンを着用して、いざ調理開始!
「鹿の干し肉やアワビの酒蒸し、焼鮭といった副食に須々保里……お漬物ですね、あと煮物にあつもの……いわゆる汁物に、くるみやカヤの実といった堅果類……それと、デザートの唐菓子と蘇も忘れずに、特に蘇は彼氏の好物ですから!」
しれっと世界の敵の前で惚気話を繰り出すミルナに、グラン・グリモアは気を紛らわすべくザラメをつまみ食いしてしまう。
「うう、空腹過ぎてザラメが胃の中で溶けてゲロ吐きそう」
グラン・グリモアはユーベルコードでオブリビオンを創造して、今にも爆発しそうだ。
「どっかの劇場版主題歌みたいですの!? というか、つまみ食いはダメです! もう少しで出来ますからね? あとそっちのオブリビオンも爆発もめっです!」
「はぁい……」
世界の敵がしょんぼりして、座敷で正座しながら待っている姿はとてもシュールだ。
しばらくすると、豪勢な食事がグラン・グリモアの前に運ばれてきた。
「おまたせしました! 平安時代の四大調味料であるお酒、お酢、塩、醤で好みに味付けしてお召し上がりくださいね」
グラン・グリモアは今は失われた平安時代の宴の御膳を前に、感動のあまり涙をこぼす。
「美味しいです……現代にコレほど完成度の高い平安時代のご飯が食べられるなんて……!」
この瞬間、グラン・グリモアの能力が無効化された。
「今がチャンスですね! えいっ!」
ミルナは特定のユーベルコードを使用することなく、ダイヤモンドエッジによる通常攻撃でブスリと敵の背中を貫くのだった。
成功
🔵🔵🔴
フィーナ・シェフィールド
アドリブ歓迎!
失われた土地の郷土料理ですか?
興味がありますね。
料理のレパートリーも増えそうです。
どのような料理なのか、土地の方に聞いて回りましょう。
材料に調理方法、この土地特有のものがあるはずです。
礼儀正しく、笑顔で丁寧に聞いていきますね。
途中で遭遇したオブリビオンは【天秤の女神】の破魔の歌で浄化します。
「これでいいのかな?」
山菜に地鶏やキノコの出汁を加えて、じっくり炊き上げた山菜ご飯。
苦みを消すための前処理、地鶏の出汁の取り方など、教えていただいた手法を一つ一つ丁寧に行い、心を込めて作ります。
「グラン・グリモアさん…どうぞ、召し上がってください」
未来に受け継ぐべき料理、一つ思い出せましたね。
ソニア・コーンフィールド
お料理の時間!?
あんま自信ないけどヒントあるなら頑張れる…かな?
倒す前提でも空腹なのはよくないし、頑張って探して作るよ!
失われた場所…これは日本のどこかの山奥、かな?
丁度いい感じに村があるから情報収取にレッツゴー!
コミュ力活かして村のお婆ちゃんとかにオススメ郷土料理聞くね―。
ふむふむ、川魚に秋の山菜、炊きたてご飯にちょっと濃いめなお味噌汁…和食!
頑張ればわたしでも作れる…ん?とっておき?
白い水玉模様の真っ赤なキノコを塩漬けにして毒抜き…味はいい…多分大丈夫!
手順聞いて素材準備してUC起動、お料理用のガジェット召喚して聞いたとおりに頑張って調理してみるね。
さあ召し上がれ!
※アドリブ絡み等お任せ
フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)とソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)は偶然にも同じ「失われた場所」へと迷い込んでしまう。
「ここで失われた土地の郷土料理を作るのですか? 興味がありますね。料理のレパートリーも増えそうです」
フィーナはワクワクしながら周囲に広がる山奥の集落の光景を見渡す。一方、ソニアはグリモアベースでの説明を受けてやってきたはいいものの、料理の腕に不安を抱えている様子。
「え、お料理の時間!? あんま自信ないけど、ヒントあるなら頑張れる……かな?」
チラリ、とフィーナの顔を窺うソニア。そんな彼女のドラゴンの手をフィーナは優しく包みこんで微笑んだ。
「一緒に頑張りましょう? 二人なら作業効率もアップですし、その分たくさん品数が出来そうです」
「そうだね! それに、倒す前提でも相手が空腹なのはよくないし、頑張って失われた郷土料理を探して作るよ!」
こうしてフィーナとソニアはタッグを組んで、過去の世界の住人達に郷土料理の聞き込みを開始した。
情報収集は2人別れて行われた。まずフィーナはお年寄りの多いこの集落で欠かせないのは礼儀作法だと考えた。よそ者がいきなり現れて物を尋ねるのだから、第一印象が重要だ。ゆえにフィーナはとびきりの笑顔と相手への敬意を払って会話を心がける。
「なるほど、そんな調理法があるのですね。味噌漬けイノシシ肉の燻製蒸し焼き……味噌漬けしたお肉を塩抜きしたあとに一夜干ししてから香草でスモークすれば、寄生虫対策になることを先人の方々は感覚で理解していたのですね。あ、ジビエは必ず火を通さないといけませんね、わかりました」
医学的な知見など広まっていなかったであろう未開の山間部の集落で、保存食として行われた調理法は現代の医学知見において適切だったと思い知る。途中、グラン・グリモアが繰り出すオブリビオンにはユーベルコード『|交響詩『天秤の女神』《ユースティティア》』で撃退・浄化してみせる。
一方、ソニアはその人懐っこい性格を活かしてお年寄りにうまく取り入った。
「飴ちゃん食べるかえ?」
「うちの畑で採れた梨食べな?」
「うわわ! お料理する前にわたしが満腹になっちゃう! そうじゃなくて、今はおじいちゃんおばあちゃんが知ってる郷土料理を教えてよ!」
「ふむふむ、川魚に秋の山菜、炊きたてご飯にちょっと濃いめなお味噌汁……和食だ! ねぇ、それって頑張ればわたしでも作れる……?」
ソニアはご老人達から手取り足取り調理法を教授される。そんな中、ひときわ変わったレシピが耳に入ってくる。
「……ん? とっておき? 白い水玉模様の真っ赤なキノコを塩漬けにして毒抜き……どれどれ? あ、美味しいかも……多分大丈夫!」
こうして、持ち寄った料理の情報を持ち合わせ、フィーナとソニアは合作で料理を開始。
フィーナは山菜に地鶏やキノコの出汁を加えて、じっくり炊き上げた山菜ご飯に、苦みを消すための前処理を施した地鶏の出汁の取り方など、教えてもらった手法を一つ一つ丁寧に行い、心を込めて作る。そして味噌漬けイノシシ肉の燻製蒸し焼きも忘れない。ソニアも教えてもらった奇妙な柄のキノコの塩漬けと山菜と川魚の天ぷらを作った。
「料理のスキル不足はユーベルコードで解消だよ! ドラゴンガジェット・イグニッション! とっておき、見せてあげるね!」
ユーベルコードで全自動調理器具を開発すれば、どんなに複雑な調理でも楽々簡単だ。
「さあ、出来立てを召し上がれ!」
「グラン・グリモアさん……どうぞ、召し上がってください」
勧められるがままにグラン・グリモアは料理を口にする。すると、世界の敵は全身を激しく震わせながら絶叫した。
「美味しいぃぃー!」
この瞬間、敵の無敵能力が無効化される。
「未来に受け継ぐべき料理、一つ思い出せましたね」
フィーナは優しい言葉をかけながらも、攻撃は容赦しない。彼女の歌は魔を祓う。グラン・グリモアは料理に感動しながら浄化されてダメージを受け続ける。更にソニアのガジェットが変形し、グラン・グリモアを熱々の巨大中華鍋に投入!
「オブリビオン・チャーハン攻撃だよ! いっけー!」
そのまま油で敵を鍋底で滑らせながら、超強火でしっかりと炒め上げてゆくのだった。鍋のあおりでグラン・グリモアが何度も宙に浮かび上がってゆく……!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
疾駆する者発動中
「ご主人サマー☆料理だぞ☆料理タイムだぞ☆」
ええー…
「任せて☆メルシーならやれるぞ☆」
んじゃおめーに任せるぞ
【料理】
「失われた古代ジャパニアの郷土料理を披露だぞ☆」
という訳で焼きまんじゅうからおっきりこみ
炭酸饅頭になまずの天ぷら
じり焼き
ゆずまき
おい、これはお好み焼き?チヂミか?
「これはぎゅうてんだぞ☆お米は贅沢品だったからこうした小麦料理はご家庭での名品だったんだぞ☆」
折角なのでグリモアと一緒に相伴に預かる
しっかりと食レポするぜ
食事が終わりご馳走様したら
…やるか
【念動力・属性攻撃・弾幕・二回攻撃・切断】
UC発動
超絶戦闘開始!
超絶速度で飛び回り念動光弾を叩き込み鎌剣で切り刻む!!
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はこの戦場が特殊な状況であることを今更ながら悟った。目の前の景色がどこか見慣れたような、それでいて記憶にない場所へと変わっていた。
「ご主人サマー☆ 料理だぞ☆ 料理タイムだぞ☆」
「ええー……」
戦闘じゃないのかよ、と怪訝な表情を浮かべるカシムに、相棒のメルシーがドヤ顔で告げた。
「任せて☆ メルシーならやれるぞ☆」
「んじゃ、料理はおめーに任せるぞ」
ということで、メルシーはこの土地の失われた郷土料理を作るべく、行動を開始。
「ここは懐かしいね星 失われた古代ジャパニアの首都だぞ☆ つまりメルシーの生まれ故郷の郷土料理を披露だぞ☆」
手早くメルシーは焼きまんじゅうとおっきりこみうどんの生地を練り上げてゆく。
「炭酸饅頭になまずの天ぷら、じり焼き、ゆずまきもあるよ☆」
「おい、これはお好み焼き? いや、チヂミか?」
カシムは平べったい粉もの料理に目を凝らす。メルシーはそのどれでもないと答えた。
「これはぎゅうてんだぞ☆ お米は贅沢品だったからこうした小麦料理はご家庭での名品だったんだぞ☆」
というわけで、出来上がった料理をグラン・グリモアの前へ運ぶメルシー。何故かカシムも同じ卓の席について御相伴に預かる。
「うん、焼きまんじゅうとおっきりこみは何度も食べてるが、やっぱうめぇな。これは失われてるわけじゃないからいつでも食えるが……他の料理はなんだかワイルドだな!」
「いかにも昔ながらって味わいです……美味しいです……!」
グラン・グリモアが感銘を受けている。今なら致命傷を与えられるはずだ。
「んじゃ……やるか」
カシムはユーベルコードで一気にマッハ49まで加速すると、グラン・グリモアを雷が迸る打刀で超絶音速連続斬撃を繰り出した! メルシーはカシムの動きを援護するように、上空から念動弾幕を展開して爆撃!
あっという間にグラン・グリモアは血塵すら残さず世界から消滅していってしまった。
世界の敵の最期は、あっけないものであった……。
<了>
大成功
🔵🔵🔵