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魔女狩り語り

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 ――とある村に蒔かれた災厄の種。
 村に住む、一人の少女が原因不明の病に罹り、命を落としてしまいます。
 貧しい村では治療を施す薬も乏しく、医者も手の施しようがないと匙を投げ、それでも少女はもがき苦しみながら救いを求めるも、望みは叶わず天に召されて逝きました。
 そしてその少女の死から、村の様子が一変してしまい、まるで少女の後を追うように、幾人もの村の娘たちが次々に謎の死を遂げていくのです。
 その原因は、村人たちのとある疑念によって生じたものでした。

 ――彼女たちは皆、魔女に取り憑かれてしまった、と。

 村の外れにある誰も住んでいない教会で、少女たちはそこに集まり何かをしていたと、そんな噂が囁かれるようになりました。
 半ば廃墟と化した教会は、魔女の住み処になっているのだと。村では長い間そう伝えられてきて、誰もその教会には恐れを為して近付こうとはしませんでした。
 ところがその口伝に興味を持った一人の少女が、友人たちと一緒に禁断の魔女に遭いに行ってしまったらしいのです。
 少女が死んだ後、村人たちは他の娘たちにその真相を問い詰めます。すると彼女らは、突然暴れて錯乱し、そうかと思えば急に意識を失って、そのまま帰らぬ人になりました。
 この異常ともいえる状況に、全ては魔女の仕業だと、村人たちは口を揃えて煽り立て、魔女に対する憎しみの芽が、彼らの心を蝕むように広がっていってしまうのです。
 まるで、魔女の呪いにかかったかのように――。

「そうして疑念の火種は村全体を巻き込んで、全く関わりのなかった娘たちにまで、疑いの目が向けられるようになってしまったわ」
 ノエマ・アーベント(黄昏刻のカーネリア・f00927)が予知で視たものは、闇に覆われたダークセイヴァーの地において、村人たちが魔女を巡って諍いし合う光景でした。
 少女のせいで村には魔女の呪いが蔓延って、死の恐怖に怯える日々を送るだなんて。それにもしかして、娘の誰かに魔女が乗り移っているかもしれないと。村人たちは無関係な罪なき娘までもを弾劾するような、そんな事態が発生してしまっているのです。
「村人たちがそう思うのは、今まで誰も魔女の姿を見た者がいないから。あくまで噂話の域を出ず、魔女を恐れるあまり、存在自体を無意識的に遠ざけようとしていたのかも」
 けれども噂話に興味を抱いた若き乙女たちが、村の禁忌を破って魔女と契りを交わしてしまったのでしょう。それは村にとってのパンドラの箱を開けたということです。
 このままでは村人たちは互いに疑心暗鬼になってしまい、暴走した負の感情は、彼らを狂気の世界に駆り立ててしまいます。
 だから猟兵たちの力で村人たちを止め、事件の背後に潜む謎を解き明かし、災禍の芽を摘み取ってほしい――ノエマは猟兵たちに乞うように、掌の中のグリモアを、空に掲げて展開させて。黄昏色の光が彼らを包み、転送されて向かうは闇に支配された世界。
 そこでは一体どんな物語が、猟兵たちを待っているのでしょう――。


朱乃天
 お世話になっております。朱乃天(あけの・そら)です。
 ダークセイヴァーのある村で、一つの事件が起きました。
 村人同士の揉め事が加熱しそうな勢いですが、それを皆さまの力で解決して頂きたく思います。

 まず第一章では村人たちへの対応や、魔女の住み処を調査することから始めます。
 その後の展開は、話が進むごとに情報を追記していきます。

 今回のリプレイは、オープニングのように童話のような文体で執筆させて頂く予定です。そうした雰囲気も、楽しんで読んで頂けたらと思います。

 それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしています。
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第1章 冒険 『村のはずれに暮らす魔女』

POW   :    村人に力を見せつけて暴走を止める

SPD   :    村人から話を聞く/魔女の家に忍び込む

WIZ   :    村人を説得して暴走を止める/現象の原因を推理する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アウレリア・ウィスタリア
わからない
ボクは……私は悪魔じゃない
そう何度も叫んだ
叫んで、叫んで、声が枯れて喉が裂けるまで訴え続けた
なのに誰も私の言葉を聞いてくれなかった……

いえ、違う
ボクの話じゃない
これはまだ間に合う……はずだから

愛を歌おう
ここの空気、気配はボクにはとても辛いものだから
だからボクの魂に遺された愛を歌おう

落ち着いて
不安を行動の理由にしないで
疑心暗鬼は判断を間違える
だから隣人を愛すること
家族を愛すること
子供を愛することを思い出して

そう願い村人の荒んだ心を少しでも和らげましょう
でなければ話を聞くことさえ難しいでしょうし
特にボクのような小娘では…

だからこそ
石を投げられ蔑まれたとしても
私はそれを受け入れましょう……



 廃教会の魔女には近づくな――村に伝わる掟を破り、禁忌に触れた少女たち。
 その代償はあまりに大きく、村は魔女の呪いにかかったと、村人たちの間に広がる不穏な空気に、胸を痛める一人の少女がそこにいました。
 アウレリア・ウィスタリア(瑠璃蝶々・f00068)の黒猫の仮面に隠れた表情は、どこか憂いを帯びていて。琥珀色の瞳で見つめる先は、遠い彼方の空の果て。

『――わからない。ボクは……私は悪魔じゃない。そう何度も叫んだ。
 叫んで、叫んで、声が枯れて喉が裂けるまで訴え続けた。
 なのに誰も私の言葉を聞いてくれなかった……』

 彼女が思い浮かべている情景は、嘗ての自分自身の辛い過去。
 罪なき者をも咎める状況は、まるで自分の時と瓜二つだと。アウレリアは今回の事件と自身の生い立ちを、重ね合わせて解決策を見出そうとします。
 一触即発しそうな険悪ムードの漂うこの雰囲気は、ボクにはとても辛いものだから――それなら自分の魂に、遺された愛を歌にしよう。
 アウレリアは思いの丈を声に乗せ、澄んだ音色が奏でる歌は、清らかに響き渡って村人たちは彼女の方を振り向きます。

『――落ち着いて。不安を行動の理由にしないで。疑心暗鬼は判断を間違える。
 だから隣人を愛すること。家族を愛すること。子供を愛することを思い出して』

 村人たちの荒んだ心を少しでも、癒して和らげたいとアウレリアは強く願います。
 理想を描き、歌が奏でる空想は、すべてを愛し、すべてを赦し。
 少女の裡なる心に眠りし優しい光の温もりが、村人たちの心を鎮め、我に返った彼らは少女の歌声に黙って耳を傾けるのでした。
 歌を通じて想いが伝わったことに、安堵しつつもアウレリアは更に歌い続けます。
 そしてその時、彼女は見たのです。
 淡い光を纏った不思議な蝶が、村の外れの方に飛んで行ったのを――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

斬断・彩萌
とりま話を聞かない事にはなんも分からないっしょ
てワケで聞き取りタイムで~す、テキトーに暴れてる人や怒鳴ってる人見つけて話しかけるわ
大丈夫、私結構【コミュ力】には自信あんのよ。もし無視られたり暴走止まんなかったら【念動力】で動きを封じれば良いし

で、そうね…誰も見た事がない魔女が実在するとして、よ
現状女の子たちの怪死しか証拠は無いのよね?
仮に魔女に憑りつかれたんだとして、わざわざ宿主を死なせるかしら
だって少女のフリしてれば簡単に村に入って、少女以外だって手玉に取りやすいのに
それとも――あなた達を混乱させる事自体が、魔女の目的だとしたら?
おー怖い、冷静になった方が良いんじゃない?

※アドリブ・絡み歓迎



「とりま話を聞かない事にはなんも分からないっしょ。てワケで聞き取りタイムで~す」
 斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は黙っていれば文学少女のような見た目でも、一度口を開けば今時風の軽めなノリの女子高生。
 けれどもそんな彼女も依頼となれば真剣そのものです。
 村の娘に対して怒鳴って迫る男性の、背後にそっと近付き、彼の背中を人差し指でトントン叩いて呼び止めます。
「お取込み中悪いけど、ちょっと私の話を聞いてくれる?」
「あァ? 何だオメエは。見かけねえ顔だな。さてはオメエも魔女の仲間だな」
 その村人は、彩萌を見るなり訝しそうな顔をして、明らかに疑いの目で彼女を警戒しています。このままでは大人しく話を聞いてくれそうにはありません。
「いきなり魔女だなんて失礼ね。もうちょっと気の利いた口説き文句はなかったの?」
 それでも彩萌は構わず話を続け、最初は不審に思った村人も、彼女の押しの強さに敵わず折れて。最終的には話だけならと、仕方なさげに観念したのです。
「で、そうね……誰も見た事がない魔女が実在するとして、よ。現状女の子たちの怪死しか証拠は無いのよね?」
 今回起きた事件を頭の中で整理しつつ、彩萌は言葉を選んで語り、それで男がどう反応するのか確かめながら、尚も話を続けます。
「仮に魔女に憑りつかれたんだとして、わざわざ宿主を死なせるかしら」
 そこで生じた一つの疑問。彩萌が仮説を立てて事件の謎を推理する、その姿は文学少女の外見通りに相応しく、男も思わず固唾を呑んで、彼女の次の言葉を待ちました。
「だって少女のフリしてれば簡単に村に入って、少女以外だって手玉に取りやすいのに。
 それとも――あなた達を混乱させる事自体が、魔女の目的だとしたら?」
 彩萌の眼鏡の奥の瞳がキラリと光り、男に向かってそう言い放ちます。
 恐怖で村を支配する、この土地の支配者たちがそうであるように。
 魔女もまた、おそらくは――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

狭筵・桜人
◼️WIZ

疑われている娘をかばいます。
こういう時は女子の味方をしとくもんですって。
学生生活で学びましたよ。

はいはいどうどう、と間に入って。
村の娘の誰かに魔女が乗り移ったのなら
どうして娘ばかりが死んでいくのでしょうね?
私が魔女だったらまず乗り移る素質のない人達から殺しますねえ。
たとえばそう、あなたたちとか。

彼女は教会には行ってないのでしょう?
だとすれば、あなたたちよりもずっと
深い恐怖を抱えた被害者じゃないですか。

とかなんとか【言いくるめ】。

そうだ、他に教会へ行ったことのある人物はいますか?
説得ついでに話を聞いて【情報収集】。
該当する人物や不審な人物がいれば
直接の接触は避けてUCで追跡します。



 強きに弱く、弱きに強く。
 狭筵・桜人(不実の標・f15055)は一見、頼りなさげな少年のようにも思えるけれど。内に秘めたる心の強さは、決して他の猟兵たちにも負けません。
 罪なき少女が疑われ、村人たちに問い詰められてしまう光景を、到底見過ごすことなどできようはずはなく。
 こういう時は女子の味方をしておくものと、桜人は普段の学生生活のことを思い出し、すかさず間に入って村の娘を庇います。
「はいはいどうどう。ちょっと落ち着いて、少し頭を冷やしましょうよ」
 いきなり割り込んで来た、見知らぬ闖入者に村人たちは虚を突かれ、一体何の用だと今度は桜人の方に矛先が向けられます。
 それでも桜人は怯むことなく冷静に、村人たちを説得しようと構わず会話を試みます。
「村の娘の誰かに魔女が乗り移ったなら、どうして娘ばかりが死んでいくのでしょうね? 私が魔女だったらまず乗り移る素質のない人達から殺しますねえ」
 ――たとえばそう、あなたたちとか。
 春色を纏った笑みを浮かべる桜人ですが、琥珀色に輝く瞳は真剣で。
 全て持たざる者の処世術だと培った、多弁に回るその舌が、紡ぐ言葉を武器に変え、村人たちを思うが儘に翻弄していきます。
「彼女は教会には行ってないのでしょう? だとすれば、あなたたちよりもずっと深い恐怖を抱えた被害者じゃないですか」
 村人たちにそう断言する桜人の説得力に、当の村人たちは反論できず、やり場のない憤りを堪えるように拳を握って震わせます。
 やれやれと、桜人が肩を竦めて村人たちを一瞥すると。彼らの頭上に、朧げに光る蝶が羽搏いているのを見つけます。
 その不思議な蝶は何処かへ向かって飛び立ちますが、行き先はおそらく魔女の居場所だろうと直感し、桜人はすぐさま影を召喚させて、光の蝶の後を追っていきました――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノワール・コルネイユ
迷信や怪異が齎す疑心暗鬼から魔女狩りが始まる…
病んだこの御時世だ。そんな顛末も少なくはない

こんな状況で混血の話に耳を傾けるか怪しいところだが
語り掛けてみるとしよう

なんの確証もなく他人を疑ってばかり…
それが如何に不毛でキリが無いことか、分かっているのか

疑わしいのなら、実際に確かめてみればいいだろう
当の教会に踏み込むなり、魔女に会うなりしてな

だが…お前達にはそれが出来ない
だから、その不安や苛立ちの矛先を小娘に向けているんだろ
大人ってのは随分偉いもんだな

お前達が出来ないのなら、私達が確かめたって構わんぞ

言葉や腕っぷしで【恫喝】や【恐怖を与える】ことで
黙らせた方が早いのならそうする
元々その方が得意だ



「迷信や怪異が齎す疑心暗鬼から魔女狩りが始まる……病んだこの御時世だ。そんな顛末も少なくはない」
 いつの世も、大きな災禍と混乱は、小さな疑念が積み重なって生まれてくるのです。
 ノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)はそんな世界の在り方に、無情なものだと溜め息吐いて。それでも何かの力になろうと渦中の村にやってきました。
「こんな状況で、混血の話に耳を傾けるか怪しいところだが……」
 彼女の身体に流れる吸血鬼の血、そのことが何を意味するか、この世界の住人だったら知っています。けれども今は一刻を争う事態です。自身の生い立ちのことは敢えて伏せ、ノワールは村の娘を責める村人たちの肩を掴んで、力尽くで自分の方に振り向かせます。
「なんの確証もなく他人を疑ってばかり……。それが如何に不毛でキリが無いことか、分かっているのか」
「何だテメェは、余所モンか? そんなヤツに俺たちの何が分かるってんだ!」
 村人はノワールの手を払い除け、苛立ちを抑え切れない様子で怒鳴ってきます。そして周囲にいた他の村人たちも同調し、今度はノワールに対して怒りの目を向けます。
 でもノワールは、この状況にも動じることなく身構えていて。毅然とした態度で村人たちに相対し、逆に彼らに言い返します。
「疑わしいのなら、実際に確かめてみればいいだろう。当の教会に踏み込むなり、魔女に会うなりしてな。だが…お前達にはそれが出来ない。だから、その不安や苛立ちの矛先を小娘に向けているんだろ」
 彼女の言葉が図星であったのか、村人たちは口籠り、何も言い返せなくなりました。
 ――お前たちができないのなら、代わりに私たちが確かめてやる。
 村人たちを睨みつけ、最後にそれだけ言い残し、少女は踵を返して村を後にします。
 黒衣を靡かせながら向かうのは、忌まわしき魔女が棲まいし教会へ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。原因不明の病に魔女。
何が起きたのか一番よく知っているのは…当事者の娘ね。
…疑心に囚われた村人への対処は他の猟兵に任せて、
私は亡くなった彼女達に、魔女について教えてもらおう。

少女達の眠る墓場に向かい“葬送の耳飾り”を身に着け、
教会で何があったのか、魔女に会ったのか声をかけた後、UCを応用発動

死者の誘惑を呪詛耐性と気合で耐え、反応のあった霊魂と精神同調
魔力を溜めた左眼に霊が視た光景を残像として可視化(暗視)
情報収集が終われば【限定解放・血の教義】で“光の風”を起こし、
死者の呪詛を浄化できないか試みよう

…ありがとう。おかげで知りたい事は分かった。
もう苦しむ必要は無い。眠りなさい、安らかに…。



 ――原因不明の病に謎の魔女。
 この地で一体何が起きたのか、それを一番よく知っているのは――。
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が真っ先に思い浮かべたのは、事件の発端でもある少女たちでした。
 当事者だったら現場で何があったのか、きっと分かっていると思うから。
 でも彼女たちは、謎の変死を遂げてもうあの世に逝ってしまっているのです。
 それでもリーヴァルディには、思い当たることがあるのでしょう。彼女が迷うことなく向かった先は、少女たちが眠る墓地でした。
 魔女に逢った時の出来事を知っているのは、彼女たちだけしかいないから。
 リーヴァルディは墓を前にして瞑想し、意識を集中させて魂との邂逅を試みます。
 周囲に漂う死者の思念を聞き取る事ができると云われる耳飾りから、声を聞き分け少女の残留思念を探すのですが――その存在を、どういうわけか感じ取ることができません。
 リーヴァルディは暫く耳を澄まして少女たちの声を探します。すると遠くの方から、小さな呻き声が幽かに聞こえてくるのに気付きます。
「……もしかして、あなたが魔女に逢ったという女の子?」
 今にも消え入りそうなか細い声に、リーヴァルディが語り掛けますが、返ってくるのは言葉にならないような呻き声だけです。
 この状況では、知りたいことも聞けそうにはありません。でも一つだけ、はっきりしたことがあります。それは――彼女たちの魂は、この墓地にはいないということです。
 今この場で聞こえているのは、遠い場所から漏れてきた、思念の残滓のようなもの。
 そして思念が流れてきたその先は、件の廃教会のある場所です。
 ということは、そこに少女たちの魂が囚われている――?
 墓地に眠れることもできなくて、魔女に束縛されてしまっているのでしょうか。
「……ありがとう。おかげで知りたい事は、何となく分かった」
 これも呪いのせいかもなんて思いつつ、リーヴァルディは墓に黙祷を捧げてお祈りし、墓地を離れるその足で、村外れにある教会へと急ぐのでした――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルノルト・ブルーメ
なるほど、魔女狩りの様相か
良くある思春期特有の好奇心のはずだっただろうにね
ともあれ、原因は究明しないといけないな

娘達は魔女ではない、と証明出来ない限り
疑心暗鬼に取り憑かれたままだろうし

疫病のような気もするけれど……
先入観を持って行動するのは危険だね
注意して行動しよう

毒や呪詛には耐性があるので多分大丈夫だろうから
魔女の住処を探索

探索者としてのスキルが使えるといいのだけれど
壁や床、天井に一部異なる場所がないか
何かを動かした痕跡や儀式的な痕跡がないかを調べよう
最近の物かどうかは埃の状態等で判別

開かずの扉などがあれば鍵開けで開錠
必要ならばレプリカクラフトで鍵を模倣
開錠後は中も探索

※アドリブ歓迎


エル・クーゴー
●SPD:魔女の家に忍び込む
当機は
>高ストレス下にある群衆に対する説得工作への適性を有しません
>ドローン運用による索敵に適性を有します

躯体番号L-95運用マニュアル「適材適所」の項目に基き、当該宗教的建築物の内部探索に参画します


・サーチドローン、ウイングキャット『マネギ』をステルスモード(迷彩&目立たない)で飛ばし、教会を鳥瞰

・【合体強化マネギ】を33体で、同ステルスモードにて運用
・様々な入口から教会内へ侵入させる
・【武器改造】で武装をオミットする代わり、暗視・熱源探査・集音、索敵に向いた仕様を搭載する

・自身は教会を遠巻きに見張り電脳世界を展開、マネギ各機の【情報収集】成果を集約し仲間へ伝達


レナータ・バルダーヌ
村人さんも気になりますけど、わたしは教会のほうを調査しましょうか。
見ず知らずの女が突然現れたら、それこそ魔女と思われかねません。
特にわたしなど、傷だらけでとても常人のなりとはいえませんからね。

教会は女の子が出入りできるくらいですから、罠などが仕掛けられている可能性は低いと思いますが、一応警戒しながら侵入しましょう。
建物の中をひと通り確認してみて、魔女さんの姿が見つかれば話は早いのですが、そうでなければ隠し部屋や地下室、或いは全く別の場所に繋がる通路などがあるのではないでしょうか?
形成した炎の翼を【ブレイズペタルテンペスト】で花びらに変え、周囲に舞わせて不自然な空気の流れがないか観察します。



「なるほど、魔女狩りの様相か。良くある思春期特有の好奇心のはずだっただろうにね」
 始まりは些細な出来心に過ぎないと、アルノルト・ブルーメ(暁闇の華・f05229)は犠牲になった少女たちに同情せざるを得ませんでした。
 どうしてこれほどまでに騒ぎが大きくなってしまったか、アルノルトはその原因を究明する為に、現場となった廃教会に足を運んで行きました。
「娘達は魔女ではない、と証明出来ない限り、疑心暗鬼に取り憑かれたままだろうし」
 それに最初の少女が亡くなったのは、疫病みたいに思えるけれど……でも先入観で判断するのは危険だから、まずは証拠を集めるのが大事であるとアルノルトは考えました。
「当機は、高ストレス下にある群衆に対する説得工作への適性を有しません。ドローン運用による索敵に適性を有します」
 エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は機械人形であるが故、どこか無機質で、言動もシステム的なことしか話せません。
 彼女は自身の内部データに備わっている運用マニュアル『適材適所』の項目に基いて、村人たちへの説得ではなくて、教会の探索方面に参画することを決めたのです。
「村人さんも気になりますけど、わたしみたいに見ず知らずの女が突然現れたら、それこそ魔女と思われかねませんしね」
 その隣では、レナータ・バルダーヌ(復讐の輪廻・f13031)も頷きながら同意して、自分みたいな包帯を巻いた身形では、余計に怪しまれそうだと自嘲気味に笑います。
 それはともかくとして、だからこそ、自分ができることをやってみようと、レナータも一緒に教会調査に乗り出したのでした。

 魔女の住処であるのなら、危険が待ち受けているに違いない。そう思って警戒しながら近づいていくと、廃教会の周りには、薄らと靄のようなもので覆われていて、まるでその場所を隠しているかのようにも思えます。
「魔女の迷い家……とでも言えばいいのかな、これは」
 外界から遮断されたかのような雰囲気に、ここにはやはり何かがあると、アルノルトは直感的に察します。
 他者を遠ざけるような靄を払い除けるようにして、入り口の庭に足を踏み入れた時――その足元が、黒い茨で埋め尽くされていることに目が留まり、なるべく茨に触れないように注意しながらアルノルトは奥の方へと進みます。
「毒や呪詛には耐性があるので大丈夫だろうけど、用心するに越したことはないからね」
 とは言え禍々しく変貌しているこの空間は、どうやら只事ではなさそうだと緊張感が高まります。
「教会は女の子が出入りできたくらいですから、罠などないと思ってましたけど……」
 だったらこの教会に、少女たちは一体どうやって入ったのでしょう。
 レナータは不思議に思って周りを見渡しますが、抜け道や秘密の通路といったようなものはどこにも見当たりません。
 その辺りのことを気にしながらレナータは、茨の伸びる方角を、その根っこに繋がる部分を探してみようとしますが、流石にそれだと手間がかかってしまいます。
「――僚機を召集します」
 それならと、エルが電脳ゴーグル越しに視界をサーチしながら索敵任務を始めます。
 彼女が召喚したのは、羽を生やしてふっくらした猫型ドローンの『マネギ』です。
 更に33体もの『マネギ』の子機を飛ばして、ステルスモードで運用し、魔女に気付かれないよう目立たなくして庭の調査を行います。
 ドローンで上空から教会全体を鳥瞰しつつ、その画像が電脳世界を構築しているエルのゴーグルへと送信されてきます。
 受信したその映像を解析し、確認した途端、エルは『ある』法則を発見したのです。
「この茨は、規則性を以て展開されています。その形状は――」
 まるで何かの魔法陣が描かれているみたいだと。エルは情報収集の成果を、即座に仲間に伝達します。
「魔法陣、か……。おそらくは、この扉に刻まれているのと、同じものかな」
 群生している茨の道を抜けたアルノルトが辿り着いた先、教会の扉の前で立ち止まり、彼はそこに魔法陣のような紋様が装飾されているのを見つけます。
 しかもよく目を凝らすと、その魔法陣には誰かの血が塗られたような形跡が残っているようにも思えます。
「もしかして、それって女の子たちの血なのでしょうか……」
 レナータは嫌な予感を覚えつつ、高鳴る鼓動を堪えるように、今一度、庭の茨の群れをじっと見つめて考えます。
 ――この不気味な茨が生えているのは、女の子たちがここの封印を解いたから?
 ――この魔法陣が、教会の中に入る為の鍵だったとしたら?
 色々と考えを巡らせますが、はっきりとした答えは出てきません。
 でも忌々しい茨の道は、仲間が進む為には邪魔なもの。だったら成すべきことは――。
 オラトリオの少女の心に燻る炎が具現化されて噴出し、炎の翼が形成されて羽搏くと。火の粉が花びらになって周囲に舞い――降り注がれる焔の花が、黒い茨の魔法陣を一瞬のうちに灼き尽くしていきました。
「教会内部から、複数体の霊的反応を感知しました」
 直後にエルのドローンの情報収集能力が、教会に潜む『何か』を探知したようです。
 真相は、内部に入った先にある――そこにどんな危険が待ち受けていようとも、臆するような猟兵たちではありません。
 全ての謎を解き明かすべく、彼らは魔女の待つ教会の中に乗り込んでいくのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『彷徨う魂』

POW   :    持ち前のタフネスや生命力で呪詛に耐え、命の力を見せつける。

SPD   :    魂を縛り付けている何かを見つけ出し、それを示したり破壊することで魂を解き放つ。

WIZ   :    魂の精神に寄り添い、祈りや聖句などで浄化する。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちの手により、開かずの扉が開かれて、教会の中へ足を踏み込めば。
 朽ちた建物内に人の気配は見当たらず、床や壁には黒い茨が広がっていて。
 更には色鮮やかな真っ赤な薔薇が、褪せた時間に生命の彩を吹き込むように咲き乱れ、目にした者の魂までも惹き込まれていくような、廃退的な美の世界がそこには展開されていたのです。
 猟兵たちが警戒しながら廃墟の中を見回すと、礼拝堂の奥に複数の人影らしきものを見つけます。その人影は、見た目は少女のようですが、どこか薄っすら透けて見え、生命の気配を感じません。
 そう――彼女たちは皆、魔女の呪いで命を落とした、村の娘たちの亡霊だったのです。

『暗くて……痛くて……苦しいよ。どうして……こんな目に遭わなくっちゃいけないの』

 彷徨う少女の魂は、あの世へ召されることもできなくて、この地に未だ拘束された侭、半永久的に魔女に囚われ続けているようです。
 果たして、一体何が彼女たちをここに縛り付けているのでしょう?
 魔女の謎に近付く為の手掛かりを、得ようとするならまずは哀れな少女の霊たちを、負の連鎖から解放してあげなくてはなりません。
 ――それができるのは、唯一、猟兵たちだけなのですから。
 亡霊たちの怨嗟や魔女の呪いに耐えながら、今ここに、貴方たちの生命の力を示して、魔女への道を切り拓きましょう――。
エル・クーゴー
●SPD
未探索エリアへの開通を確認
探索を続行します

新規武装、リアルタイムクラフトを開始します
ミズ――

(少女霊達に顔を少し向ける)
(探索に向かおうとする)
(いや一度しっかり少女達に向き直る)

当機は現在、その心身に及ぶ痛苦の更なる伝播のカウンターの為作戦行動中です
貴方達の存命である縁者に被害が及ぶ可能性も想定されます

協力を要請します


クラフト開始
――ミズ・スミス


・霊的反応解析&分布濃度判定を行うマシンを召喚
・少女達と繁茂する茨/薔薇にセンサーを翳す(情報収集)

・茨が更なる陣を描いている?
・薔薇は陣の要衝に相当している?

・『マネギ』も飛ばし探索
・破壊が有効と思われる箇所あらばマシンより適切な弾体を放つ



 黒の茨に覆われた、異様な空気を醸す廃教会。
 常人だったら怖気づいてしまいそうなこの光景も、『彼女』にとっては畏れの対象にはなりません。
「――未探索エリアへの開通を確認。探索を続行します」
 エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は任務を遂行すべく、機械仕掛けの人形らしくシステム的に行動を移します。
「新規武装、リアルタイムクラフトを開始します。ミズ――」
 開始の合図を言いかけて、ふとゴーグル越しに少女の霊の姿がエルの視界に入ります。
 エルは少し首を動かしながら、亡霊たちに顔を向け、それでも構わず探索するのを優先しようと奥に行こうと――しかしその足は、立ち止まったまま動こうとはしません。
「――当機は現在、その心身に及ぶ痛苦の更なる伝播のカウンターの為作戦行動中です。貴方達の存命である縁者に被害が及ぶ可能性も想定されます」
 事件の犠牲者でもある彼女らを、放っておけば村には更なる危険が及ぶでしょう。
 エルの演算能力が、そうした事態を予測して。今この状況における優先事項を確認し、彼女の電子の頭脳が即座に答えを導きます。

『協力を要請します。クラフト開始――ミズ・スミス』

 エルの言葉に応じるように、虚空に計算式が描かれ回路のような画像が浮かび――そうして形を成して、霊的反応解析と分布濃度判定を行うマシンがそこに召喚されたのです。
 彼女はそのマシンをセットして、電脳ゴーグルとリンクしながら現場のデータを瞬時に取り込みます。そして収集されたデータを分析しながら、一つの解決策を発見します。
 床の茨は庭にあった時と同様に、何かの陣を敷かれているようです。
 それと少女の霊を捕らえているのが、陣から発生している霊的な茨であることも――。
「友軍を展開します」
 エルが猫型ドローン『マネギ』を飛ばすと、少女の霊を魔女の呪縛から解放すべく――その魂を束縛している茨に弾体を放ち、壊して取り除いていきました。

大成功 🔵​🔵​🔵​

斬断・彩萌
痛っ! これ、全部薔薇?……綺麗だけど、ちょっと不気味ね。

それにしても――哀れね。死んでもなお死にきれないなんて、一体何の罰ゲームよ。
祓う事は出来ないけど、原因を探るくらいは私にも出来るかしら。

うーんと、こういう地縛霊系の場合、土地に縛り付けている憑代的なものがあるんじゃないかと思うんだけど……ちょっとその辺漁ってみるか。
祈りの用具に、燭台に、これは魔導書? なんだか儀式めいてるわねぇ。この宝石とか鳥の羽根もヤバい気配がするわ。
怪しいものをひとつずつ亡霊の前に掲げて、反応を見る。
怯えたり過剰に反応するものがあれば、壊したり燃やしてみたり。
当たりが出るまで粘るわよ!

※アドリブ・絡み歓迎



「痛っ! これ、全部薔薇? ……綺麗だけど、ちょっと不気味ね」
 魔女の呪いに浸食された教会は、真っ赤な薔薇と黒い茨に覆われて、禍々しくも幻想的な世界がそこに展開されていたのです。
 斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は勢いよく足を踏み入れたものの、床に広がる茨に足が触れ、一旦進む足を止め、周囲を確認しながら警戒心を露わにします。
 教会の中に存在するのは、薔薇だけではありません。そこには魔女の呪いによって囚われた、死んだ少女の亡霊たちが成仏できずに彷徨い続けているのです。
「それにしても――哀れね。死んでもなお死にきれないなんて、一体何の罰ゲームよ」
 魔女の呪いは少女の命を奪っただけでなく、その魂までも束縛してしまう。
 霊や呪いを祓うのは、彩萌にとっては専門外であり。そういうことができない代わり、事件の原因を探すくらいは協力できるかも。そう考えながら、彩萌は茨に気を付けながら建物内を虱潰しに探すのでした。

「うーんと、こういう地縛霊系の場合、土地に縛り付けている憑代的なものがあるんじゃないかと思うんだけど……」
 少女たちがこの場所で、何かの儀式のようなことをしていたならば、きっとその痕跡がどこかにあるはずと。彩萌は眼鏡を指でクイッと押し上げながら思考を巡らせ、思いつくまま手当たり次第に調査します。
 まるで何かを隠しているように、床に繁茂している茨を覗いて凝視して。やがて彩萌はそこに道具のようなモノが埋もれているのを発見します。
「祈りの用具に、燭台に、これは魔導書? なんだか儀式めいてるわねぇ。この宝石とか鳥の羽根もヤバい気配がするわ」
 思った通りに推理が当たり、少女たちはやはり魔女を呼び出す儀式をしていたのだと。
 一連の騒動の原因が、彼女たちにもあったなら。それは自業自得であっても仕方なく。
 彩萌はかき集めた道具を纏めて束ね、もう二度と、魔女が召喚されたりしないよう――それらを燃やして跡形残らず消したのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アウレリア・ウィスタリア
WIZ
あぁ、アナタたちは……
ボク…私がなり得たかもしれない姿なのですね
私は切り捨ててしまったけれど
未だに燻る思いが私のなかに存在する
だから、私はアナタたちのために歌いましょう

【幻想ノ歌姫】で限界まで力を高めて歌いましょう
救済の祈りを込めて歌いましょう
呪いを越えるための勇気を込めて
呪いさえ越える優しさを込めて
アナタたちは救われても良いのだと
これ以上苦しむ必要はないのだと
そう願い、私の想いを伝えましょう

そしてこの歌を彼女らに伝える邪魔をさせないために
呪いを遮るためにも破魔の想いも込めましょう
彼女らを責めることは決してしない
打ち砕くのは魔女の呪い
ただそれだけ

アドリブ歓迎



 苦悶の表情を浮かべながら、教会の中を彷徨う少女たちの霊。
 魔女に逢ってみたいと願ったほんの些細な出来心、それが命を取られることになるなんて。後悔しても時遅く、嘆きの声は怨嗟となって、膨らむ憎悪がその魂を蝕みます。
「あぁ、アナタたちは……ボク……私がなり得たかもしれない姿なのですね」
 アウレリア・ウィスタリア(瑠璃蝶々・f00068)が少女たちに抱く複雑な想い。
 故郷で悪魔と蔑まれ、幽閉されて非道い仕打ちを受けた辛い過去の記憶を思い出し。
 もしもあのまま『何も』なかったら、自分も同じになっていたかもしれない、と。
「私は切り捨ててしまったけれど、未だに燻る思いが私のなかに存在する。だから、私はアナタたちのために歌いましょう」
 自身の過去と少女の現在を重ね合わせるアウレリア。少女に向けた憐れむような眼差しを、薄っすら閉じて祈りを捧げるように歌います。
 限界まで高めた魔力を声に乗せ、救済の祈りを込めて紡ぐ歌。

 その唇に、呪いを越える為の勇気を込めて――。
 その声に、呪いさえ越える優しさを込めて――。

 アナタたちは救われても良いのだと。これ以上苦しむ必要はないのだと。
 そう願い、想いを伝えるアウレリアの歌は幻想的なまでに美しく。
 魔女の呪いを遮る破魔の力が魂たちを包み込み、犯した罪を責めることなく慈悲の光が少女の呪詛を、彼女を束縛している黒の茨を消し去ります。
 少女に苦痛を齎す罪の棘、それが己の魂までも蝕むのなら。
 死して尚、自身を咎める罪の意識を、優しい温もり添えながら。もう忘れなさいと囁くアウレリアの声に、穢れし呪いが砕かれて、少女の霊は浄化されていきました。
 ――天に召される魂を、見守っていたオラトリオの少女の琥珀色の双眸は、どこか憂いを帯びつつも、瞳の奥には決意の色を灯すのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルノルト・ブルーメ
呪詛、か……
彼女達と会話が可能なら
ここで何をしていたのか問うてみよう
応えが得られないようであれば
教会の内部を引き続き調査

赤い薔薇の数と少女の数を照らし合わせたり
茨の広がり方の法則性等を重点的に調べよう

僕の呪詛耐性がどこまで効果を発揮するのか判らないけれど
持たない者よりも良いだろうから
薔薇を摘む場合は僕自らが行おう

何かしら状況変化が生じて戦闘になった場合は咎力封じを使用
Viperで先制攻撃からのなぎ払い
必要であればVictoriaとLienhardも使用して応戦

戦闘の必要なく娘達の魂を解放する術が見つかったら
その方法に倣って娘達の魂を解放

この事態を引き起こした何者かを
骸の海に還す事を誓いながら



 魔女の呪いに掛かって死んでしまった少女たち。
 その魂は天に召されることを赦されず、この地に縛られ囚われて、この世に未練を残して彷徨っています。
 そんな哀れな魂と、どうにか話せないかとアルノルト・ブルーメ(暁闇の華・f05229)は対話を試みます。ですが少女の霊たちは、嘆きの声を呻いてばかりで、まともに会話が通じません。
「どうやら訊ねるよりも自分で調べた方が良いかもね」
 応えが得られないと解ったアルノルトは、会話をすぐに諦めて、教会の中に手掛かりがないか調査します。
 まず最初に目を付けたのは、建物内に赤く咲き乱れる薔薇でした。
 この花が、もしも少女の魂を糧にしているのなら――アルノルトは少女の数と薔薇の数を照らし合わせて数えつつ、今度は黒い茨の方にも目を向けます。
 茨の広がり方に法則性がないのか確認し、一体どこに伸びているのか目を凝らして見てみると。茨が少女の霊に巻き付いて、逃さぬように手足や首を締め付けているではないですか。
「これが魔女の呪詛……きっと魂から霊力を取り込んで、花を咲かせているんだろうね」
 アルノルトは一人娘を持つ親として、若くして命を散らした少女たちの死を、心の中で悼んで真っ赤な薔薇に手を添えます。
 薔薇の色が赤いのは、人の生き血を吸ったから――そんな風に思ったら、この手で花を摘んでしまったら、折れた茎から血が流れるかもしれない、と。
 それでもこの薔薇は、少女たちから生命を奪って咲いている。だからこんな禍々しい花は、すぐに散らした方がいい。
 そう覚悟を決めて、アルノルトが薔薇に手を伸ばします。すると呪いの力が発動し、指に刺さった棘の呪毒が彼の身体を蝕みます。
「この程度の呪いなど、彼女たちの苦しみに比べれば……」
 彼の強固な意志が魔女の呪いを耐え抜いて、手折れた花は儚く消えて。少女の霊も解放されて、あの世に消えて逝きました。
 これで漸く安らかに。そう心の中で祈りつつ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

狭筵・桜人
◼️SPD

死者の魂までをも繋ぎ止めて放しませんか。業突く魔女。
ああやだやだ。
死んだあとくらい自由にのんびりしたいですよねえ。

【呪詛耐性】を利用して亡霊に声をかけてみます。
お話できる状態だと良いのですが。

あなたたちは魔女に会ったんですか?
どうやって教会の中へ?
最初に亡くなった子を探し訊ねてみましょう。
魔女はあなたに何をしたのですか。

さてさて、どうすればここから出られますかねえ。
赤い薔薇の正体はおおよその予想がつきますが
私には茨を焼き尽くす手段もありませんし。

そうだ、扉。血印と魔方陣。
アレを破壊してみましょうか。
外へ出るならシンプルに、です。
風通しくらいは良くなりそうじゃありません?



「死者の魂までをも繋ぎ止めて放しませんか。業突く魔女。ああやだやだ。死んだあとくらい自由にのんびりしたいですよねえ」
 他人の生命を弄び、死へと誘うのみならず、この地に束縛させて一体何がしたいのか。
 死んでも死に切れなくて、彷徨い続ける少女の魂たちを見て。狭筵・桜人(不実の標・f15055)は彼女たちに同情しながら、同意を求めるように言葉を掛けます。
 可能であれば彼女らと、少しお話できたら、と。
 言葉を巧みに操ることには長けた桜人ですが、少女たちにはその声は、届くことなく苦しみ悶えるばかりです。
 少女の霊の願いは一つだけ――この永久的に続く死の苦痛から、早く解放してほしい。
「さてさて。そうは言っても、どうすればここから出られますかねえ」
 桜人は溜め息交じりに肩を竦めて思案します。この状況からどうやって彼女たちの魂を救うのか、ぐるりと建物内を見渡すと、ある一つのモノに目が留まります。
「……そうだ、扉。血印と魔方陣。アレを破壊してみましょうか」
 ソレが扉を開いた鍵ならば、彼女たちを逃さぬように閉じ込めたのも――。
 外に出るなら考え方はシンプルに。扉を見ながらふと閃くと、桜人は早速その扉の破壊に取り掛かります。
 少女たちの血でなぞられた魔法陣。それがあの世とこの世を繋いでいるとしたら――。
 桜人が手にした鍵に魔力を込めて、虚空に掲げて突き刺し、回すと。
 そこに複数体の小型戦闘用兵器が召喚されて、それらが扉に向かって攻撃し、銃弾の雨を一斉に浴びせ続けて扉に張られた結界陣を撃破します。
 すると教会内の澱んだ空気が掻き消えて。少女の霊もまた、魔女の呪詛から解放されて、外からの穏やかな風に運ばれるように天に召されて行きました――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノワール・コルネイユ
呪い殺しまでして尚、魂を縛り付けるか
魔女とやらは相当に陰気な奴らしい

お前達に仲間入りするつもりはないし、
これ以上お前達と同じ思いをする者を増やす訳もいかない
…だから、道を空けてくれ

清冽な祈りを捧げられるような高潔さは持たない
せめて降りかかる呪詛を受け止めて
祈りを捧げる者、探索に精を出す者の負担を減らそう

亡霊達が抱える無念も、味わった恐怖も、魔女への怒りも
呪詛で何をぶつけられようと退かない心算

私には魂に寄り添うなんてことは出来ない
だが、その痛みに触れてやることは出来るかもしれない
それで娘達の気が晴れるかは、分からないが

手向けにもならないだろうが…こんなことはもう続けさせない

それだけは約束するよ



「呪い殺しまでして尚、魂を縛り付けるか。魔女とやらは相当に陰気な奴らしい」
 ノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)の赤い瞳が映すのは、黒の茨に囚われて、苦しみながら教会の中を彷徨う少女の霊の姿です。
 その魂を締め付けるのは、禁忌を犯した罪の意識に植え付けられた魔女の呪い。
 命を奪われた上に安らかな死すら与えられない少女の霊に、ノワールは憐れむことなく毅然と心を奮わせながら向かいます。
「お前達に仲間入りするつもりはないし、これ以上お前達と同じ思いをする者を増やす訳もいかない。……だから、道を空けてくれ」
 清冽な祈りを捧げられるような高潔さは持っていない。自分にできることはせめて降りかかる呪詛を受け止めて、仲間の負担を減らすことだと眼光鋭く少女の霊を見据えます。
 亡霊達が抱える無念も、味わった恐怖も、魔女への怒りも、その全てをぶつけられても退かない強い決意を込めながら、ノワールが呪いの力に抗います。
「私には魂に寄り添うなんてことは出来ない。だが、その痛みに触れてやることは出来るかもしれない。それで彼女たちの気が晴れるなら……」
 少女たちが抱える苦痛と悲哀と、憎悪の念を全て残らず吐き出させ、すると少女たちから溢れ出てくる魔女の呪いが具現化されて、ノワールを狙って襲います。
 しかしノワールは決して怯まず、魔女に対する殺気を放ってそれを打ち消したのです。
 彼女たちの魂を蝕んでいた、魔女の呪いはこうして無事に消滅し、少女の霊も幻のように姿が消えていなくなりました。

 消えてあの世に逝った少女の霊のいた場所を、ノワールは暫く見つめながら、その死を悼むように心の中で誓います。
「手向けにもならないだろうが……こんなことはもう続けさせない」
 ――それだけは、約束するよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。貴女の声、確かに聞こえたよ。
待っていて…。今、貴女達の魂を縛る檻を断ち切ってあげる。

事前に防具を改造し精神攻撃に耐性を得る“誘惑避けの呪詛”を付与しておく

…魔女の正体…。私の予想通りなら、これで何とかなるはず…。

吸血鬼化した生命力を吸収してUCを発動
光の力を使う反動で傷口を抉るような痛みを、激痛耐性と気合いで耐え、
呪詛を浄化する“光の風”を放ち死霊を縛る呪いをなぎ払う

…闇の娘が光の精霊に求め訴える。
魂を縛る呪いをかき消す光を此処に…。

第六感が殺気を感じたら、暗視を頼りに敵の攻撃を見切り、
呪いの類は呪詛耐性で弾く

…餌を失ってご立腹といったところかしら?
呪いの魔女…いいえ。黒茨の魔嬢。



 怨嗟の声を上げる少女の霊。その声の音は、墓地であの時聞いた声と一致します。
「……ん。貴女の声、確かに聞こえたよ。待っていて……。今、貴女達の魂を縛る檻を断ち切ってあげる」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は墓地で魔女に関する調査をしていた時に、彼女たちの声を聞きつけました。
 それは苦しみながらも救いを求めているような、そんな悲痛な叫びにリーヴァルディは応える為にこの教会の中に足を踏み入れます。
 事前にマントに呪式を刻み、精神攻撃にも耐え得る“誘惑避けの呪詛”を付与させて。
 少女たちを蝕む魔女の呪いに対抗すべく、黒衣の少女が挑みます。
「……魔女の正体……。私の予想通りなら、これで何とかなるはず……」
 リーヴァルディには件の魔女に思い当たることがあるようで、だから相手の呪詛を防ぐ手段も対策できる。そう確信しながらリーヴァルディは瞳を閉じて、意識を集中させて己の魔力を高めます。
「……闇の娘が光の精霊に求め訴える。魂を縛る呪いをかき消す光を此処に……」
 吸血鬼化した生命力を吸収し、まばゆい光を放ってユーベルコードを発動します。
 その光の力はしかしリーヴァルディの吸血鬼の血を冒し、傷口を抉るような激しい痛みが全身を駆け巡ります。それでも彼女は痛みに耐えて気合いで堪え、放った“光の風”が呪詛を消し、亡霊たちを縛る呪いの茨を祓います。
 リーヴァルディの光の力によって呪詛から解き放たれた少女の霊も、光の粒子となって天に召されていきました。

 ――斯くして猟兵たちは魔女の呪いを浄化させ、全ての少女の霊を救いました。
 けれでもそれでこの事件が終わったわけではありません。
 まだもう一つ、今回の元凶とも言えるべき、禁忌の魔女を討ち倒すこと。
 相手もそれを察したか、黒い茨が蠢きながら一つの点に集束し、やがて茨の塊は、渦を巻くかのように人の容を形成します。
 その姿を見たリーヴァルディは、予想通りだったと冷静に、落ち着き払った様子で出現した魔女と対峙します。
「……餌を失ってご立腹といったところかしら? 呪いの魔女……いいえ。黒茨の魔嬢」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『黒茨の魔嬢『メローゼ・トロイメツァライ』』

POW   :    おなか、へった
全身を【黒茨の咎の牢獄】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    ……ねむい
【夢幻の眠りを齎す蝶の残滓】【幻惑し迷いを齎す蝶の亡骸】【焼け焦げた黒茨の咎鞭】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    大輪の薔薇にて紅く染めテ
自身の装備武器を無数の【伝染する呪詛の込められた薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:葛飾ぱち

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠パラノロイド・スタングリクスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――遥か昔から、この地に伝わる魔女の呪い。
 魔女が棲むと云われるその場所で、彼女の姿を見た人は、今まで誰もいませんでした。
 しかし魔女の噂は時が経とうと色褪せず。人々の口伝によってのみ、その存在は確かにこの地に根付いてきたのです。

 その根底にあるものは、人々の心の奥に潜んだ魔女への恐怖。
 旧き過去より月日を重ね、無意識の内に魔女を恐れる感情が、人々の心に植え付けられていきました。
 そうして蓄積された負の感情が、時の流れと共に歪められ、骸の海に漂う亡霊が、融合されて魔女へと形を成したのです。
 ――黒い茨が螺旋を描き、真っ赤な薔薇の花弁が虚空に舞う。
 猟兵たちの目の前に、茨の螺旋の中から姿を見せた魔女――『黒茨の魔嬢』。
 少女の姿は虚像であって、その本質は、この地に蔓延る呪詛そのものだったのです。

 人々の魔女の恐れる心が呼び寄せた、茨の魔女は罪の意識を糧として、多くの人の命を喰らい尽くしていくでしょう。
 猟兵たちは果たしてこの魔女を、過去の世界の亡霊を、無事に討ち倒すことができるのでしょうか――?
エル・クーゴー
●POW
敵捕捉
ワイルドハントを開始します


作戦目標、敵「黒茨牢獄形態」の解除

当該建築物内にて破壊を実施して来た「茨」に対し「用いた弾体及び発射方式」をアーカイブ上にて再度参照(情報収集)
より高効率な運用をシミュレートすると共(学習力)、L95式アームドフォートへリアルタイムで反映します(武器改造)

加えて――ザミエルシステム>_RUN
射撃管制を敵防衛能力の解除に特化させ運用します(狩猟の魔眼・状態異常力特化)


・繁茂程度を俯瞰、茨を毀損し易い箇所を算出
・薔薇の破壊も茨全体の解体に有用そうなら薔薇への照準も適宜実施
・茨を循環する力の流れを解析、茨複数個所の寸断順序次第で自壊めいた事象を誘発出来ないか?


アルノルト・ブルーメ
呪詛……黒い呪詛
なるほど、それは打ち倒してしまわないとね?

尤も、打ち倒したところで……
月日を重ねて蓄積された呪詛が
直ちに消える訳でもないだろうけれど

血統覚醒使用
敵の攻撃に対してはViperを振るい
先端のフックで対象を叩き落す
自身を対象にした場合に限らず
同行者が対象の場合も可能な限り叩き落す事でフォロー

可能な限り死角に回り込み接近したら
VictoriaとLienhardで攻撃

君という呪詛は不要だよ、茨の魔女――
骸の海に還るといい

戦闘終了後には村に立ち寄り
教会に魔女は居らず、鼠等の害獣が住み着いていたと話しておこう
それらが疫病を持ち込んだのだろう、と……

折角倒した呪詛を残しておく必要はないのだから



 猟兵たちの前に姿を現した魔女。この地に伝わる恐怖の対象は、清楚な少女のような外見で、容姿だけではとてもそんな風には見えません。
 けれど彼女の足元で、影のように伸びる黒い茨こそ、村人たちが長年恐れる呪いの象徴なのでしょう。茨はまるで生きているかのように脈打ちながら、蛇が鎌首もたげるように猟兵たちを威嚇します。
「呪詛……黒い呪詛。なるほど、それは打ち倒してしまわないとね?」
 アルノルト・ブルーメ(暁闇の華・f05229)は魔女の姿を見ても怯むことなく。むしろ彼の身体に流れる吸血鬼の血が騒ぐのか、不敵な笑みさえ浮かべます。
「尤も、打ち倒したところで……。月日を重ねて蓄積された呪詛が、直ちに消える訳でもないだろうけれど」
 遠い過去よりこの地に根付いた呪いの力は、魔女を倒したところで人々の心の中から忘れ去られることはないでしょう。それでもその元凶を、どうにかしないことには未来を歩むことなどできません。
 アルノルトは自身に宿る吸血鬼の血を昂らせ、緑色の瞳が真紅に染まって、眠れる力を覚醒します。
「敵捕捉――ワイルドハントを開始します」
 対照的にエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は常に沈着冷静に、システム的に状況把握しながら敵に対する最善手を模索します。
 最初にこの場所を訪れた時、庭に敷かれていた黒い茨の魔法陣。更には建物内で少女の亡霊たちを束縛していた茨の呪詛など、それらをエルは電脳空間内に記録を残し、この戦いでより効率的に対処できるように情報分析し、その運用方法をシュミレートします。
「あなたたちは、だあれ? ……ねむいから、おとなしくして」
 魔女はとろりと微睡むような眠たげな眸で、猟兵たちを一瞥すると、淡い光を纏った蝶がどこからともなく現れて、空を羽搏きながら迷いを齎す光の粉を振り撒きます。
「もしかして、これで村人たちに疑念を植え付けていたのかな」
 人の心を惑わし迷いを齎す、蝶の影。無実の少女に罪を擦り付け、魔女だと糾弾したのは蝶の仕業だったと漸く悟り。アルノルトは頭上を飛び交うその蝶に、『毒蛇』の異名を冠するワイヤーを振るって先端のフックで叩き落とします。
 すると魔嬢は今度は、伸ばした黒い茨で我が身を包み、外敵から自身を守る檻として、猟兵たちの攻撃を無効化しようと対抗します。
「作戦目標、敵『黒茨牢獄形態』の解除――」
 しかしそうした相手の行動を、エルは数多のパターンの中から読み取って。データを瞬時にアームドフォートに反映し、対茨の牢獄用への最適化を行います。
「――ザミエルシステム、起動」
 エルのゴーグルが、光輝き電脳魔術を展開し、茨を循環する力の流れを解析、及び状況予測結果に基づいて。彼女の意識の底にフィードバックを行うことにより、茨の最も毀損し易い箇所を導き出したのです。
 そうしてエルは迷うことなくアームドフォートを射出して、彼女の集中砲撃が、魔女の黒茨の檻を破壊します。
「君という呪詛は不要だよ、茨の魔女――骸の海に還るといい」
 直後にアルノルトが死角を突いて回り込み、二本のナイフ『Victoria』と『Lienhard』で魔女の身体を斬り裂きます。
 守る茨を失くした魔女は、躱すことすらできずに刃をまともに受けてしまい、その傷口からは薔薇のように真っ赤な血飛沫が、虚空に舞って散りました――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

斬断・彩萌
魔女なんてなんかの比喩かとも思ったけど、実在していたのね。
でも、正体が分かれば怖い物なんて無いわ。
恐怖と罪の意識を糧に、呪いを産んできたってンなら…その過去ごと私が斬り断ってやるんだから!

●POW
敵の死角を捉え、二挺拳銃で【2回攻撃】を繰り返す。
ある程度体力を削れたら、銃弾を『翠炎』に詰め替えて放出、
網状の念で魔嬢の動きを封じつつ、その茨を纏った身体に着火。
鈍ったその身にOracleの一太刀を浴びせるわ!
燃える薔薇なんてとっても美しいじゃない、過去の亡霊の最期には贅沢すぎるくらいでしょ。
消えない焔に抱かれて苦しみ続けなさい!

※アドリブ・絡み歓迎


狭筵・桜人
呪具漁り。実は魔女の遺品てやつを期待していたわけですが。
その正体は人が生み出した呪詛ときましたか。
呪詛の相手。結局いつものお仕事ですね。

エレクトロレギオンを展開。
分隊させ本体ではなく取り巻く黒い茨を砲撃。隙を作ります。
敵の姿が見えたところで控えたレギオンによる本体への【一斉発射】。
うーん惜しい。あと5、6年てとこですね。
なにがって?好みのタイプ。

呪詛の薔薇には【呪詛耐性】で対処。
食べ足りなくてお腹空きました?
残念ながら私には罪の意識ってやつが稀薄でしてね。
代わりと言ってはなんですがこれあげますよ。悪念の【呪詛】。

あなたも巻き添えくらって災難でしたねえ。
骸の海への帰りかたを教えてあげましょう。



「実は魔女の遺品、『呪具』ってやつを期待していたわけですが。その正体は人が生み出した呪詛ときましたか」
 魔女の正体は、魔女を恐れる人の心が招いた災厄。
 狭筵・桜人(不実の標・f15055)はもしも呪具であったら調べてみたい、と思っていたようですが。結局いつも通りのオブリビオンを倒すだけのお仕事と、少し残念そうに肩を竦めながらも、すぐに気持ちを切り替え魔女退治に集中します。
「魔女なんてなんかの比喩かとも思ったけど、実在していたのね。でも、正体が分かれば怖い物なんて無いわ」
 斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)もまた、伝承の魔女は別のモノではないかと考えていましたが。それがこうして目の当たりにすれば、相手がオブリビオンと解れば何も恐れることはありません。
「恐怖と罪の意識を糧に、呪いを産んできたってンなら……その過去ごと私が斬り断ってやるんだから!」
 語気を強めて気炎を上げて、闘志を奮わせながら彩萌が茨の魔女に向かっていきます。
「――あなたたちも、わたしが『食べて』あげる」
 魔女の足元から伸びる黒茨から、真っ赤な薔薇が咲き溢れ、花びらが舞って嵐のように吹き荒れます。
 伝染する呪詛を宿した、舞い乱れる呪いの薔薇の花嵐。その光景は幻想的で美しく、目にした者の心だけでなく、命そのものまでも奪ってしまう危険な香りを放ちます。
 しかしそんな呪いの力に怯む猟兵たちではありません。
 桜人がヴェールを纏って漂う死の香を耐え凌ぎ、小さく口角を吊り上げながら不敵な笑みを浮かべます。
「食べ足りなくてお腹空きました? 残念ながら私には、罪の意識ってやつが稀薄でしてね。代わりと言ってはなんですが、これあげますよ」
 桜人の言葉に応じるように、何もなかった空間から多くの小型戦闘兵器が現れます。
 魔女は急いで自身の身体を茨で覆い、その身を守る檻を造ります。ですが魔女のそうした行動は、全て予想通りと桜人は茨の檻に全ての火力を浴びせます。
 レギオンからの一斉発射は黒い茨を灼き払い、魔女本体がその姿を再び露わにします。
「うーん惜しい。あと5、6年てとこですね。なにがって? 好みのタイプ」
 幼い少女の姿をしている魔女の、数年後の姿を想像しながら桜人が口元を緩ませます。
 ですが何はともあれ、この状況は絶好の機会です。それを逃しはしないと彩萌が疾走しながら距離を詰め、両手に銃を握り締め、魔女にその銃口を向けようとします。
 対する魔女も、茨を撓らせながら鞭のように振るってきますが。彩萌はそれらを網状の念で封じて掻い潜り、二挺の銃に炎の魔力を詰め込んで、魔女を狙って発射します。
「消えない焔に抱かれて苦しみ続けなさい!」
 蜘蛛の巣状の念を伝って炎が燃え広がって、紅蓮の劫火が茨の魔女を呑み込みます。
 ――魔女を裁くなら、やっぱり火炙りなんじゃないかしら。
 銃口から上る煙に口付けするかのように息を吹き、彩萌の伊達眼鏡の奥の茶色の瞳は、燃える炎を映して鮮やかに赤く煌めいていました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノワール・コルネイユ
此の地に根付く恐れその物…か
一点の曇りも無く純然たる存在であるからこそ、お前は厄介だよ

罪の意識の成れの果て
ヒトの心に象られ、定義されたのだとしたらある意味ではお前も…

遍く厄を祓い去る
此の剣はその為にある
双剣を構え、一撃を重く
守りが硬いのならそれごと【鎧砕き】で破るまで

襲い来る茨と花弁は【範囲攻撃】で薙ぎ払い
常に駆けて動きを捉えられぬ様

ただ、其処に在るだけで死を振り撒く
貴様は災厄か、疫病の様なもの

その心の在処が何処にあれ、生かしておくことは適わない
貴様はあまりに多く…未来の芽を摘み取ったのだから

幕引きまでは未だ遠い
だからこそ、愚直に剣を揮うのみ

弔いはそれぐらいでしか果たせない。
私はその程度の女だ


アウレリア・ウィスタリア
あぁ、つまりは……
この魔女さえ私が……

【空想音盤:苦痛】
全身の傷から血を流しその血を拷問具へ
加えて血糸として鞭剣に巻き付け更に強化する

不快です
これは人々の恐怖が呼んだ魔女
私が悪魔と蔑まれた狂気と同じ
だからとても不快です
そして何よりこんな狂気を呼び込むこの世界に絶望してしまう

そう、私の絶望の対象は魔女ではない
私が絶望するのは……

魔女の攻撃は見切って避けきりましょう
魔女は私の鞭剣で切り裂きましょう
お前は私だったかもしれない
だからこそ完全に討ち滅ぼしましょう

私が絶望するこの世界に蔓延る呪い
せめてこの村の中だけでも打ち消してみせましょう

アドリブ歓迎


リーヴァルディ・カーライル
…ん。成程、本当の原因は人々の噂、伝承、そして恐怖…。
ならば貴女を打ち倒し、魔女の伝説を終わらせてあげる。
地の底で眠るが良い、黒茨の魔嬢。

死者の念を取り込み力を溜め【断末魔の瞳】を発動し空中戦を行う
自身の生命力を吸収して、殺気を放ち存在感のある無数の残像を周囲に展開、
敵を惑わしている隙に接近し、怪力任せに大鎌をなぎ払う連撃(2回攻撃)で攻める

精神攻撃の類は呪詛耐性と“誘惑除けの呪詛”で防ぎ、
暗視を頼りに敵の攻撃を見切り、大鎌のカウンターで傷口を抉る
第六感が好機を捉えれば【血の獄鳥】を放ち呪いを喰らい焼却する

…全て終われば“魔女の住処”を焼き払おう。
これ以上、人々が魔女に惑わされないように…。



「此の地に根付く恐れその物……か。一点の曇りも無く純然たる存在であるからこそ、お前は厄介だよ」
 ノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)の赤くて鋭い眼光が、茨の魔女を射殺すように睨めつけます。
 長い月日を重ねて蓄積された、人々の罪の意識の成れの果て。
 それが魔女を生み出すことになってしまったことは、何とも皮肉な因果です。
「ヒトの心に象られ、定義されたのだとしたら、ある意味ではお前も……」
 ノワールはそれ以上は語ることを止め、言葉を飲み込みながら、武器を持つ手に力を込めて身構えます。
「……ん。成程、本当の原因は人々の噂、伝承、そして恐怖……」
 抑揚なく淡々と言葉を発するリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)ですが、その表情は変わらなくても、心に秘めた魔女への殺意を口にします。
「ならば貴女を打ち倒し、魔女の伝説を終わらせてあげる。地の底で眠るが良い、黒茨の魔嬢」
 感情を表に出さないリーヴァルディが覗かせる、どこか怒りにも似た彼女の想い。それはこの魔女だけではなくて、ダークセイヴァーに蔓延る全てのヴァンパイアに向けられたものなのかもしれません。
 魔女に対する想いは人様々で、アウレリア・ウィスタリア(瑠璃蝶々・f00068)にとっても、その存在自体が他人事ではないようです。
「あぁ、つまりは……この魔女さえ私が……」
 悪魔と忌み嫌われながら虐げられた過去。そして今、目の前にいる魔女は、自分がそうなっていたかもしれないという未来。
「不快です。これは人々の恐怖が呼んだ魔女。私が悪魔と蔑まれた狂気と同じ……だからとても不快です」
 そして何よりも、こんな狂気を呼び込むこの世界に絶望してしまう。
 そう、アウレリアが絶望を抱くその対象は、魔女に対してなどではありません。
 彼女が絶望するのは――。
 一瞬、目を伏せながら記憶の中の故郷に想いを馳せるアウレリア。ですが今の自分が成すべきは、魔女を倒して、その呪縛から村人たちを救うこと。それを心の中で再認識し、気を引き締め直して魔女に立ち向かっていきました。

「――ねえ、おなかがいっぱいすいてるの。あなたたちの『味』は、どうかしら」
 猟兵たちの今までの攻撃によって、魔女は生命力を大きく削られています。
 だから失くした力を取り戻そうと、ノワールたちを狙って襲い掛かってきます。
 撓る茨の鞭が伸び、呪いを込めた薔薇の花弁が華麗に舞い。猟兵たちの命を奪わんと、迫り来ようとするその攻撃を、ノワールが両手に剣を携え、待ち受けます。
「遍く厄を祓い去る。此の剣はその為にある」
 動きを捉えられないようにと駆けながら、彼女が振るった一閃は、広範囲の斬撃を放って薔薇と茨を薙ぎ払い、魔女の攻撃手段を断ち切ります。
「ただ、其処に在るだけで死を振り撒く。貴様は災厄か、疫病の様なもの。その心の在処が何処にあれ、生かしておくことは適わない」
 この魔女は、あまりに多く……未来の芽を摘み取ったのだから。
 戦いの幕が下りるまで、自分は愚直に剣を揮うのみ。それが魔女に未来を奪われた、少女たちへのノワールなりの弔いなのだと。
 ただ戦うことでしか、誓いを果たせないなら、そのやり方を押し通せば良いだけです。
 それが唯一、彼女たちへの手向けになるのなら――。
 魔女に殺されてしまった少女たちの残した想い。その幽かな残滓を、リーヴァルディが自身の中に取り込み力を溜めて。同調させた魂が、彼女の力を増幅し、飛翔しながら魔女に空中戦を挑みます。
 茨の魔女は、夢幻の眠りと迷いを齎す蝶を飛ばして対抗しますが。リーヴァルディは自身の生命力を吸収し、殺気を纏った無数を残像を、周囲に展開させて反対に敵を惑わそうとします。
 魔女の放った蝶が残像に引き付けられる、その隙を衝いてリーヴァルディが接近し、巨大な鎌を力任せに振り被り、今度は魔女の茨の檻を破壊します。
「……限定解放。呪いを纏い翔べ、血の獄鳥……!」
 リーヴァルディは尚も手を緩めることなく攻め続け、己の身体に流れる吸血鬼の血の力を解き放ちます。
 それは【自身に刻まれた、呪いを具現化させた黒炎の獄鳥】と、【極限まで呪いを増幅し、自爆させる血の魔法陣】を召喚し、より強力な呪詛を用いて魔女の呪いを相殺させるつもりです。
「……私が絶望する、この世界に蔓延る呪い。せめてこの村の中だけでも、打ち消してみせましょう」
 呪いとは、全ては人の業から産み落とされたモノ。アウレリアが受けた拷問の傷も、人が抱いた恐怖の心が刻んだ呪いと言えるものでしょう。
 ですがアウレリアは、過去の苦痛を力に変えて。その傷痕が全身に浮かび上がると血が流れ、血糸となって鞭剣に巻き付けながら、力の源となる負の感情を込めて武器の強化を施します。
 茨の鞭と呪いの薔薇は、ノワールが刈り取ってくれました。
 薔薇に飛び交う蝶はリーヴァルディが追い払い、黒茨の咎の牢獄も、今は毀され魔女の姿がそこに見えています。
 後は自分がこの手で彼女の全てを終わらせる。何故ならこの魔女は――。
「……お前は、私だったかもしれない」
 アウレリアは、過去の自分とこの魔女を、重ね合わせて見ていたのです。だからこそ、魔女を倒すということは、自身の過去とも決着を付ける意味を持つのでしょう。
 白と黒との翼を持った、オラトリオの少女は一片の迷いもなく剣を抜き――茨の魔女は刃に斃れ、命潰えたその亡骸は、鮮やかな薔薇の花弁となって散って消えました。

 ――斯くして猟兵たちの見事な活躍によって、一連の魔女騒動は収束し、事件は無事に解決されました。
 魔女に怯える恐怖の心が、魔女を生む。
 何とも因果なお話ですが、今回倒したこの魔女も、もしかしたら嘗ては村の少女たちと同じだったと想像するのなら――。
 そうして運命は、巡り廻って新たな魔女を作り出す。それこそが、この地に蔓延る呪いの正体だったのかもしれません――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月30日


挿絵イラスト