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シャングリラ☆クライシス⑮〜死を拒むは星の群れ

#アイドル☆フロンティア #シャングリラ☆クライシス #第二戦線 #星壊神『プラネットブレイカー』

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「ヤアヤア、猟兵の皆々サマご機嫌よう!アイドル☆フロンティアの|戦争《ステージ》も、すっかり後半に入ったねェ。
 骸の海にドラゴンまみれで大変な光景だけど、引き続き張り切っていこうじゃないか!」
 軽快な靴音と共に猟兵たちに姿を見せるのはバロン・ドロッセル。ステッキをくるりと回しながらその軽薄な口調で開かれるのは、骸の海に浮かぶ|光の道《アイドルロード》に立ち塞がるドラゴン──猟兵たちが立ち向かう強大な敵の姿だ。

「さて、今回皆々サマがお相手するのは、プラネット・ドラゴンロード『スイートメロディア』の外殻を食らい、パワーアップした星壊神『プラネットブレイカー』の本体だよ。
 どうやら『宇宙操作』によって神格者の住まう星々を竜化させてきた侵略者みたいだけど…凄まじく強大な敵である事しかわからないね!」
 カラカラと笑うバロンはそうしてすぐさま肩を竦め、猟兵たちの顔を見渡し言葉を続ける。

「プラネットブレイカーは、かつて侵略した星々を改造した『惑星ドラゴン』の群れを従えて攻撃してくるよ。
 しかも、このドラゴンの群れは全てがスイートメロディアの『死にません』を有しているようでねェ…分子レベルに分解されようとも|死なない《・・・・》から、惑星ドラゴンの群れとまともに戦うのはオススメしないよ。
 一方でプラネットブレイカーは『殺せる』状態だ。となれば、本体のみを狙って叩いてしまうのがいいだろう」
 大きく両手を打ちバロンはニヤリと笑う。どれほど強大な力を持つ敵であろうとも、不死を手放したというならば──猟兵たちの刃は星壊神の命へ届きうる。

「ドラゴンの群れかわして、プラネットブレイカーを倒す。強大な敵だけど、やる事はいたってシンプルだよ。
 そして第一戦線を切り抜けた皆々サマであれば、このアイドル☆フロンティアでの戦い方もお手の物だろう?」
 溢れ出る骸の海に飲み込まれようとも、ここはアイドル☆フロンティア。観客席に召喚されている|人々の無意識《サイリウム》を魅力的なパフォーマンスで刺激する事ができれば、輝く応援は猟兵たちの力になってくれるのだから。
 バロンが指を鳴らせば、輝くグリモアは光の道への扉を開く。

「光の道を駆け上がって行くといい。きっとこの戦争の勝利の道へと繋がっている筈だよ」
 骸の海に鎮座するのは強大な神の一柱──惑星ドラゴンの群れを率いる星壊神プラネットブレイカーが、猟兵たちの前に立ち塞がる。


後ノ塵
 後ノ塵です。はじめまして、あるいはこんにちは。
 一章完結の戦争シナリオとなります。スイートメロディアの外殻を喰らいパワーアップした『星壊神プラネットブレイカー』本体との戦闘のシナリオです。
 オープニング公開時からプレイングを受け付けています。可能な限り、第二戦線の締め切りに間に合うように順次執筆させていただきます。早期のプレイング受け付け締め切りやプレイングの採用数が少なくなる場合があります、ご了承ください。

 プレイングボーナス:死なないドラゴンの群れをかわし、プラネットブレイカーを倒す。

 皆様のプレイングお待ちしております。奮ってご参加のほど、どうぞよろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『星壊神『プラネットブレイカー』』

POW   :    ドラゴニック・クェーサー
戦場に【小惑星サイズのドラゴン】を召喚する。[小惑星サイズのドラゴン]は指定した対象1体を自動的に追尾し、【ブレス】で攻撃し続ける。
SPD   :    宇宙竜嵐
【超高速突撃】での攻撃のたびに、指定秒数後に遅れて敵を攻撃・麻痺させる、追尾型の【宇宙線】を放つ。
WIZ   :    星を滅ぼすもの
自身の身体部位ひとつを【天体エネルギー】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。

イラスト:塩さば

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

桂・真志
凄まじい数の竜が湧き出す様は威容だな
しかも不死というならまさに鉄壁
人の身に抗う術はない

だがこの身は元の世界で既に人ではなく
加えて猟兵とは命の埒外という
ならば何も怖じる必要はない
強い力も友がくれた武器もこの手にあるのだから

殺戮・極をゆっくり、だが大声で発し
人ならぬ姿となった者たちにも届くよう唱え
真の敵に斬艦刀闇断で奥の敵に狙いを定め疾走する

敵を殺すかこの刀が俺の手を離れない限り
どれだけ攻撃されようが不死竜と俺は同じ
傷を与えつつ決して倒れず首魁へ向かい
邪な星壊神と相対しよう

だが今の俺にはどの攻撃も無意味だぞ
「不死身だからな」

貴様が不死で在るべきだったろうな
「だがもう遅い、諦めろ」
大人しく去るがいい



「凄まじい数の竜が湧き出す様は威容だな」
 桂・真志は星の竜が群れを作る骸の海を見上げる。この数の上に全てが不死だというならば、まさに鉄壁。人の身で抗う術はないだろう。しかし一見圧倒的な不利にも見える光景に、真志の口元はほんの僅かな笑みさえ浮かぶ。
 この身は元の世界で既に人ではなく、加えて猟兵という存在は命の埒外という。ならば何も怖じる必要はない。何より、友がくれた武器もこの手にあるのだから。

「必ず敵を殺すと誓い、必ず成し遂げよう──!」
 巨大な刀を抜き払った真志はゆっくりと、大声でその誓いを強く発する。人ならぬ姿として召喚されて、ただこの世界の命運を見守る|人々の無意識《サイリウム》にも届くように。
 真志は斬艦刀闇断を固く握り、竜の群れが跋扈するその最奥へと疾走する。立ち止まることなく光の道を駆け上がり、幾多の竜を斬撃波で振り払う。些末な負傷など構う事無く、狙いを定めるのは真の敵でありこの戦いの首魁のみ。
 いよいよ相対するのは星壊神プラネットブレイカー。だが真志の刀が目前に迫ろうとしたその時、プラネットブレイカーは腕を振り、群れ為す竜たちの目にも止まらぬ超高速突撃が容赦なく真志へと襲い掛かった。

 素早く刀を盾に受け流すも、体を抉り削るような激しい攻撃に真志はたたらを踏んだ。激しく吹き荒ぶ竜の嵐──けれど今の真志にとっては、この攻撃も不死を越えるには程遠い。
 猛攻の中で真志は笑みを浮かべる。殺戮・極によって不屈の追跡と殺傷を手にした真志は、敵を殺すか刀を手放すまで真志は死にはしないのだから。
 どれほどの攻撃に傷付こうとも倒れることなく、果敢に敵だけを見据える真志の姿に、観客席のサイリウムが大きく振り動けば、その応援は更なる力を呼び起こす。
 竜の嵐を掻い潜りながら、真志はプラネットブレイカーへと大きく踏み込み刀を振り上げた。
 振り下ろす刃は冴え渡り──邪な星壊神を両断するかに見えたその瞬間。真志の体を高エネルギーの放射線が貫いた。

「──!」
「吾を侮ったな猟兵よ…もはや動けまい」
 嵐の突撃から数秒遅れて照射される無数の宇宙線は、攻撃と共に麻痺を与えるもの。痺れる体に切っ先は揺らぎ真志の体は崩れるように傾いた。しかしそれでも真志は刀を手放す事なく強く握りこむ。

「侮ったのは貴様のほうだ、星壊神よ…!」
「減らず口を…」
 再び襲い来る嵐にも真志の口元に浮かぶ笑みは消えはしない。どれほどの攻撃を受けようとも、誓いがある限り、刀がこの手に在る限り──再び命を呼び起こす。

「今の俺は不死身だからな」
 死を乗り越えて再生した体には、麻痺の痺れなどありはしない。己が力に驕り侮った星壊神に、もはや逃げるすべはない──不死で在るべきは竜の群れではなく、プラネットブレイカー本体であるべきだったのだ。

「だがもう遅い、諦めろ」
 宇宙線が再び迫るその寸前に、真志が放つのは星壊神を両断せんとし──この世界に光を望む、渾身の一撃。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リグノア・ノイン
親友のシリル様(f35374)と

|Ja《肯定》.敵のそれはきっと
正に傲慢からの油断なのでしょう
今なら私達の刃が届くのであれば
その喉元にまで迫ります

敵の数と不死による鉄壁の布陣
いつもで在れば戦略的撤退が正しい筈
ですが、今はシリル様が御傍に居ます
「シリル様、私に、作戦が」

キャバリアに乗り込んでシリル様と共に
空へ、倒すべき敵の元へ駆けましょう
先日の戦いでは一人でしたが
隣にシリル様が居て下さる事がどれだけ
「どれだけ、心強い事か」
風と敵を裂いてただただ前へ

プラネットブレイカーの元に辿り着けば
後は二人で全力の攻撃を
シリル様とロボ様の心強さと共に
二人と二機、四人の力で叩き潰します
「|Los《逝きなさい》.」


シリルーン・アーンスランド
親友リグノアさま(f09348)と

恐らく鉄壁と自信があるのでしょう
「その傲慢を終わらせましょう」
今更邪神が如きに恐れはありません

リグノアさまからご提案が
お言葉は至極尤もにて
なれば突入し邪魔を躱し排し首魁へ!

此度は殊にエンジンの回転も良く
ご決意がキャバリアに乗り移りましたかのよう

運転のリグノアさまの分も
武器で技能で弾き穿ち全力で防御を
不死でも損傷あれば動きは鈍りましょう
「お退きなさい!」

禍つ神の元へ着きましたら
手を組みロボさまに希います
「あれなる邪悪を滅ぼすお手助けを下さいませ!」

ロボさまがリグノアさまに呼応して下さいました
わたくしも武器にて突貫を
「世界は滅びませぬ。あなたが此処で滅ぶのです!」



 骸の海に浮かぶ|光の道《アイドルロード》へ並び立つのはリグノア・ノインとシリルーン・アーンスランド。二人は眼差し鋭く無数の竜の群れを見つめる。

「恐らく鉄壁と自信があるのでしょう」
 シリルーンが口にするのは、目に見て取れる星壊神プラネットブレイカーのその布陣。
 死を厭う不死を不当に手に入れ、己が使役するドラゴンへと惜しみなく与え手放した。それは無数の不死の群れの布陣を乗り越えるすべなど無いという自信。

「|Ja《肯定》.敵のそれはきっと、正に傲慢からの油断なのでしょう」
 シリルーンの見解にリグノアは静かに肯定すると同時に、プラネットブレイカーの思惑の浅はかさを見抜いていた。自信故の傲慢は、幾多の戦いを乗り越えてきた猟兵という存在を侮る油断だ。

「ならば、その傲慢を終わらせましょう」
「今なら私達の刃が届くのであれば、その喉元にまで迫ります」
 二人は互いに向き合い笑みを浮かべる。親友と並ぶシリルーンの胸に今更、邪神が如きに恐れはない。そしてリグノアの胸にある気持ちもシリルーンと同じものだ。戦略的撤退が戦場の正しさにあろうとも、親友と共にする戦場には、正しさを乗り越え勝利を掴む力があるのだから。

「シリル様、私に、作戦が。共に空へ、倒すべき敵の元へ駆けましょう」
 虚空から呼び出したキャバリア『Weiß of Pfeil』に乗り込みながら、そうしてリグノアが提案するのは明快にシンプルな作戦だ。

「はい、リグノアさま。共に突入し邪魔を躱し排し…首魁へ!」
 シリルーンもまたリグノアの手を取り共に乗り込めば、白きキャバリアは風を裂いてただ、前へ。
 先日の戦いに赴いた時──リグノアは一人だった。あの時リグノアの心に浮かび上がったのは、確かに不安だったのだろう。だが今リグノアの心に浮かぶ感情はあの時とは全く違う。隣にシリルーンがいる。たったそれだけの事が、この脅威に臆さぬ心をくれる。

「どれだけ、心強い事か」
 リグノアの呟きにシリルーンは微笑みを浮かべ手を重ねた。未だ理解しきれぬ感情の動きは今、リグノアに強い力を与えてくれる。

 迫り来るキャバリアを視認したプラネットブレイカーは腕を振る。竜の群れは嵐となって超高速突撃を繰り出すが、リグノアの強い決意を乗せたキャバリアは殊にエンジンの回り良くこの宙を疾駆する。嵐を潜り抜ける操舵がリグノアの役目ならば、降り掛かる災厄を振り払うのはシリルーンの役目。

「お退きなさい!」
 不死の布陣に出し惜しみはしていられない。襲いかかってくる竜の群れに攻撃を弾き穿てば、僅かに勢いを落とした竜嵐の中をリグノアの巧みな操舵が掻い潜る。追尾する宇宙線による時間差攻撃は、全力を注いだ結界術で防御をかため、時に迫りくる竜を立てにしながら、二人は嵐を乗り越える。
 いよいよプラネットブレイカーの元に辿り着けば、二人は全力で攻撃を与えるのみ。

「あれなる邪悪を滅ぼすお手助けを下さいませ!」
 シリルーンが手を組み希うは、かつて託されたさまよえる舵輪。シリルーンの呼び声とリグノアの思いに呼応し現れるのは一人のメガリスロボット──キャプテンたちの姿。
 キャバリアとメガリスロボットは、リグノアとシリルーンと同じく並び立つ。そうして二人と二機、四人の力にプラネットブレイカーが広げるのは、『星を滅ぼすもの』としての姿。両腕を天体エネルギーへと変異させ、重力エネルギーを手繰り操る禍つ神──だが、勝手などさせはしない。

「キャプテンさま…!ハナさま!皆様!どうかお力お貸し下さいませ!」
「Schlagen Sie mit den Flügeln.名の如く、白き軌跡を」
 繋がる絆に合図はいらない。共に飛び立つ四人の思いはただ一つ。ありったけの武装によるキャバリアの遠距離攻撃と共にメガリスロボットはライトニングフォーミュラを射出する。間髪入れずに白い軌跡を描くキャバリアと共に、シリルーンもまた武器を手に突貫する。

「世界は滅びませぬ。あなたが此処で滅ぶのです!」
「|Los《逝きなさい》.」
 星壊神プラネットブレイカーを貫かんとするその思いは、輝かしい世界を願う四人の心強さと共に、ただ全力で前へ征く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

百鬼・智夢
【対の華】
パフォーマンスは、不得意だけど
出来る限りの事をします…

リアムを媒介に呼び出した善霊さんに
私と澪君に霊的防護をかけてもらい
更に破魔を宿した祓い札を霊力を用いて周囲に浮遊させ
強力な防壁を作ります

重ね掛けした守りの中で
そっと澪君に合わせた歌唱をしながら
破魔の薙刀での剣舞と共に赦裁の祈り発動
黙って手を組むだけが祈りの形ではありません
アイドルらしくは無いかもしれませんが
巫女らしく、私らしく…
澪君へのあらゆる攻撃を無効化します

悪霊さん、黒死蝶さん
澪君のお手伝いを…

悪霊と黒死蝶は呪詛による苦痛や金縛りで
周囲の惑星ドラゴン達を足止めさせます

最後は澪君を抱えますね
ご清聴、ありがとうございました…


栗花落・澪
【対の華】
勝手にメロディアさんの力使わないでほしいな
彼女をもう一度苦しめてるみたいで、なんか嫌だから

百鬼さん、守りは任せたよ

自身にオーラ防御は纏いつつ
パフォーマンスも兼ねて高速詠唱で作り出した
星形の光魔法に催眠術を乗せて放出
視界に入れた惑星ドラゴンを混乱させて足止め
更に未来への希望を歌詞に込めた歌唱は観客席への贈り物

攻撃はダンスステップで回避重視しつつ
攻撃が無効化された瞬間
惑星ドラゴン達の間をすり抜け素早く光の道を駆け上がり
プラネットブレイカーさんだけに狙いを定めて彩流星発動
僕の全力、受け止めてね

幼児化後百鬼さんに抱えられながらも
観客席に笑顔で手を振ります
おーえんありあとぉー(5歳児の姿



「勝手にメロディアさんの力使わないでほしいな…」
 骸の海で不死の惑星ドラゴンを率いるプラネットブレイカーに、栗花落・澪はポツリとそう零す。目の前の光景には『彼女』をもう一度苦しめているようで、拭いきれない嫌悪感が澪の胸に湧いてくるものだった。けれどやるべき事が変えられないのなら──澪にできることは、少しでも早く終わらせる事だけだ。

「百鬼さん、守りは任せたよ」
「はい…澪君は、ご武運を…」
 澪が百鬼・智夢に笑顔を向ければ、智夢は無表情で頷くも、その眼差しに宿るのは確かな決意だ。テディベアのリアムを掲げて、その瞳が青く輝けば──呼び出された善霊は二人に霊的防護を与えてくれる。更に払い札を霊力を用いて浮かべれば、清廉に燃える札は二人へ取り巻き、強力な破魔の防壁を作り出す。

 智夢が重ね描いてくれた守護を受け取った澪は、更に自身へオーラ防御を纏わせると、光魔法を高速詠唱。催眠術を乗せた光魔法を、竜の群れに向かって放射状に放てば、星型の光に纏わりつかれて竜は混乱に惑い出す。

 近付く竜の群れへと絶えず足止めの星を放ちながら、澪は先行しながら軽快なダンスステップで智夢と共に光の道を駆け上がり──喉を震わせ歌声を響かせる。紡ぎ出す歌は未来への希望を歌詞に込めて。それは観客席でサイリウムの姿となっているこの世界の人々の無意識への贈り物。

「パフォーマンスは、不得意だけど…出来る限りの事をします…」
 澪の歌声に智夢もまた柔らかく歌唱のハーモニーを重ねてゆく。智夢の心も澪と同じく。この世界の未来の為に、希望に向かってひた走る二人の歌声は、そしてサイリウムたちの心を刺激する。
 サイリウムの応援によって湧き上がるのは、不死の竜など物ともしない大きな力。そうしていよいよ群れを振り切ろうとする二人へと、立ち塞がるのは星壊神ブレイカーの強大な力だ。

「しぶとい猟兵共よ……吾が力で塵も残さず消えるが良い!」
 臆すことなく迫る寄る猟兵に、星壊神はその体を天体エネルギーへと変異させる。溢れ出す太陽のエネルギーを集束し、解き放つのはガンマ線バースト──全てを灼き尽くすその攻撃だ。

「黙って手を組むだけが祈りの形ではありません…」
 迫り寄る攻撃に智夢は破魔の薙刀を振り薙いで、鮮やかな剣舞と共に捧げるのは赦裁の祈り。
 その姿はきっとアイドルとは言えぬものであろうとも──巫女らしく、智夢らしく。ふわりと浮かぶリアム共に幻想的に舞い踊る智夢のひたむきな姿に、サイリウムは大輪を咲かせる。

「何……!?」
 あらゆるダメージを無効化する光の防護壁は、無敵の盾となり攻撃を容易く弾き、眩い光の爆発が視界を覆う。
 だが澪は足を止めることなく素早いステップで光の道を駆け上がる。智夢の与えてくれた守護が、背中を押してくれる応援が、決意を握り進みゆく澪の道標となってくれる。

「く……っ!」
「悪霊さん、黒死蝶さん。澪君のお手伝いを…」
 迫り寄る澪の足音に、プラネットブレイカーはすかさず小惑星サイズのドラゴンを召喚する。けれどリアムの瞳が爛々と赤く輝けば、噴き出すように現れた悪霊と黒死蝶が一斉に苦痛と金縛りの呪詛を溢れさせて足止めする。
 澪は竜のブレスを踊るように回避して、竜の群れをすり抜けて──その指先が狙いを定めるのはただ一つ。
 観客席で輝くサイリウムは再び大きく花を咲かせる。猟兵たちの勝利を、未来を望む希望の花を。

「僕の全力、受け止めてね!」
 応援の力でその威力を更に増大させて、至近距離から放つのは彩流星──あまねく属性を虹に変えた極大威力の魔力砲は、どんな相手も追尾して逃さない勝利の大きな流れ星!

 骸の海に、光の道にかかる輝く虹は星壊神プラネットブレイカーの体を貫き、弾け飛ぶ──。
 眩い虹色が視界を満たす中で、星壊神を失い、不死を失った惑星ドラゴンの姿が崩れて消えてゆく。

 澪の体からはすべての力が抜け落ちて、弛んだ袖がずり落ちた──そのまま光の道へ小さな体が転がり落ちそうになったその寸前、澪を抱えるのは智夢の華奢な両腕だ。全力の代償に五歳児の姿へと幼児化した澪をリアムと一緒に抱きかかえて、智夢は観客席へ向き直る。

「ご清聴、ありがとうございました…」
「おーえんありあとぉー!」
 智夢が礼儀正しくお辞儀をすれば、楽しげに振られるサイリウム。五歳児の澪も智夢の腕の中で、舌足らずな感謝と共に向日葵のような笑顔で大きく手を振った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年09月23日


挿絵イラスト