シャングリラ☆クライシス⑯〜凍りついた願い星
「大変よ!|流れ星《シューティング・スター》さんがドラゴンになってしまったわ!」
世界を覆ったアイドルステージの空が割れ、その先から溢れ出てきた『骸の海』──そして、その骸の海から現れた侵略神『ヴァラケウス』と 星壊神『プラネットブレイカー』の策略によって、ドラゴンへと変じた流れ星。怒涛の中で第二戦線へと突入したシャングリラ☆クライシスに、玻瑠璃子・セーラは驚きをあらわにする。
「流れ星さんはプラネット・ドラゴンロード『ブックドミネーター』さんの外殻に飲み込まれて、ドラゴンになってしまったようなの!
早く助けてあげたいけれど…助けるためには、まずは時間を操る巨大な氷の竜『ブックドミネーター』さんの外殻を、なんとかしなければならないの!」
外殻に飲み込まれた流れ星。今は意識を失い、その見目に似合いの竜の咆哮をただ唸るのみだった。
「ブックドミネーターさんの外殻は強大な敵となるでしょう。けれど大丈夫よ!
この世界はアイドル☆フロンティア!サイリウムになっている人々の応援があれば、どんなに強大な敵が相手だって乗り越えられるみたいに、力が湧いてくるものね!」
どれほど強大な敵が待ち受けていようとも、猟兵たちと応援の力があれば挫けることはない。セーラは力強くそう語り、今回挑む敵の詳細を広げてゆく。
「プラネット・ブックドミネーターさんは、一定の時間を無かったことにする強大なユーベルコード『時間凍結』を使ってくるわ。
勝利するには『可能な限り長期間に渡りダメージを与える攻撃』を繰り出す必要があるの。
無かったことにされるなら、無かったことにできないくらいにボコボコにしちゃえばいいのね!」
強大な敵が相手だからこそ、より強大な力をもって戦うことが対抗手段となる。
そして第一戦線で猟兵たちが|神格者《アイドル》たちを退け、全世界変異現象に勝ったおかげで骸の海には『|光の道《アイドルロード》』も現れてくれている。この光の道を駆け上がれば、骸の海に落ちることなく戦うことができるだろう。
「外殻を破壊するまで、流れ星さんは意識を失ったままよ。
だから遠慮はいらないわ!ドラゴンの外殻なんて、思いっきりボコボコにしちゃってね!」
セーラはとびきりの笑顔を見せてグリモアを輝かせる。溢れ出る水泡の誘う先が骸の海の真っ只中であろうとも、猟兵たちが足を止める必要はない。
これまでの活躍で繋いだ|光の道《アイドルロード》はきっと、この世界を救う勝利への道標となってくれるのだから──。
後ノ塵
後ノ塵です。はじめまして、あるいはこんにちは。
一章完結の戦争シナリオとなります。流れ星を飲み込んだドラゴンの外殻、『プラネット・ブックドミネーター』との戦闘のシナリオです。
オープニング公開時からプレイングを受け付けています。可能な限り、第二戦線の締め切りに間に合うように順次執筆させていただきます。早期のプレイング受け付け締め切りやプレイングの採用数が少なくなる場合があります、ご了承ください。
プレイングボーナス……「長期間に渡りダメージを与える攻撃」を繰り出す。
皆様のプレイングお待ちしております。奮ってご参加のほど、どうぞよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『プラネット・ブックドミネーター』
|
POW : ドミネーター・アサルト
【凍結ブレス】を浴びせつつ対象に接近し、【氷の爪】で攻撃する。同時に、敵の攻撃は【巨大な尾】でパリイ可能になる。
SPD : 時空凍結氷礫
【具現化させた蒼氷の塊】をレベル個に分裂し、【雪嵐】の如き軌道で射出する。個々の威力は低下するが回避困難。
WIZ : 氷界顕現
【周囲を覆う「全てを凍てつかせる冷気」】で触れた対象と同じ戦闘能力を持ち、対象にだけ見える【蒼氷で出来た過去の強敵】を召喚し、1分間対象を襲わせる。
イラスト:木野田永志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カンナハ・アスモダイ
WIZ
※アドリブ連携等歓迎
ジワジワ嬲るなんて性に合わないけど
あの子を助けるためだもの
そうも言ってられないわよね
|契約者《ファン》の皆、力を貸して頂戴!
かわゆい萌え声で<歌唱><パフォーマンス>を披露しつつ
キレよく可愛く<アイドルダンス>を踊っていくわ!
みんな~!盛り上がってる~?
もっともっとボルテージアゲアゲでいくわよ!
|笑顔の魔法《とびきりのえがお》で<存在感>をアピールしつつ、声援で高まった<アイドル力>を源に<歌魔法>を紡ぐわ!
いくわよ!乙女結界魔法!
天国と地獄!
消えない獄炎でジワジワと外殻を削っていくわ
これであの子の目がさめるといんだけど……
「ジワジワ嬲るなんて性に合わないけど…あの子を助けるためだもの。そうも言ってられないわよね」
|光の道《アイドルロード》を駆け上がりながら、カンナハ・アスモダイは咆哮を唸らせる竜を見上げる。そのドラゴンに|流れ星《シューティング・スター》たる姿はない…だが胸に抱く思いが数あれど、カンナハの選ぶ道、そしてこの場に魅せる姿はただ一つだ。
「|契約者《ファン》の皆、力を貸して頂戴!プリンセスハート!メ~クアップ!」
片手を掲げればピンクハートに輝く光が取り巻き、カンナハは悪魔法少女★あすも☆デウスへ華麗に変身!
唸りをあげるプラネット・ブックドミネーターの前へカンナハが仁王立ち、観客席へコールすれば期待のこもったレスポンスでサイリウムは揺れ動く。かわゆい萌え声で愛らしい歌唱を響かせて、迫りくるドラゴンの爪を避けながら、キレよく可愛く踊るのはアイドルダンス!
「みんな~!盛り上がってる~?
もっともっとボルテージアゲアゲでいくわよ!」
さらに|笑顔の魔法《とびきりのえがお》で存在感をアピールすれば、観客席はカンナハへ向かう声援で一色に!高まる期待と共に応援の力がアイドル力を爆発的に増加させれば、悪魔法少女★あすも☆デウスのフルパワーの準備も万全。
「いくわよ!乙女結界魔法!天国と地獄!」
萌えキュン可愛くも迫力満点の歌を響かせて、この場を満たすのは『天国と地獄/paradis ou l'enfer』──その曲は、その歌はあらゆるものを焼き尽くす地獄の業火。
消えることのない獄炎に炙られて、プラネット・ブックドミネーターは外殻を真っ赤に染めあげる。けれどこの竜の強大なユーベルコードの前には、|なかった事になる《・・・・・・・・》──鋭い咆哮を轟かせれば、発動するのは『時間凍結』。紅蓮に染まっていた外殻は一瞬で蒼氷を取り戻し、獄炎は掻き消える。
だがそれでもカンナハは再び歌を響かせて、天国と地獄は描かれる。何度だって歌い続ける──この声が|流れ星《あのこ》に届くまで!
カンナハは一心不乱に歌い続けて、ますますボルテージを上げてゆく。そんな挫けぬアイドルの姿に観客席のサイリウムは高々と掲げられ、再び激しく燃え盛る獄炎の中でプラネット・ブックドミネーターも負けじと次なる一手。咆哮と共に全てを凍てつかせる冷気を吐き出しカンナハの周囲を覆いつくせば、歌い踊るカンナハに冷気が触れる──目の前に躍り出るのは蒼氷で創り出された過去の強敵。
けれど、どれほどの強敵であろうとも悪魔法少女★あすも☆デウスの激熱パフォーマンスは止められない!
「飛び入りなんていい度胸ね!心の芯からアッツアッツにして溶かしてあげるんだからね!」
どんな強敵だって燃え盛る地獄の炎の熱さに踊れぬはずはない。一分間があっという間に過ぎ去っても、激しく揺れるサイリウムにアンコールは終わらない。
「まだまだ行くわよー!!」
悪魔法少女★あすも☆デウスが歌に願い込めるのは|流れ星《あのこ》の目覚め。止まることのない炎獄と蒼氷のコラボレーションライブは、確かにその外殻の中へと熱を滾らせていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
天城・潤
この世界の理を完全に無視して捻じ曲げ
破壊と変革を試みる無粋
何となくですが流れ星さんは強大に過ぎて
こう使うのが限界だったのではという気もします
解放出来れば相当敵には痛手でしょう
此処で叩かない手はありません
長時間の攻撃が必要だと言うのなら
僕は『護剣・断罪捕食』を行使しますよ
広範囲に激烈極まる攻撃を放てますし
僕の寿命は少々削れても生命力を奪えますから
傷は塞げます
「つまりほぼ無限に戦えますからね」
サイリウムになっている方々のお力も借りたいので
似合わないですがウィンクでもして
出来るだけ格好良く戦いたいですね
というかそもそも人間を無理に変えているのが
僕は絶対に許せないので
そこも含めて全力を尽くしましょう!
骸の海に浮かぶのは流れ星を飲み込んだ強大なドラゴンの姿──天城・潤もまた輝く|光の道《アイドルロード》を駆け上がりながら、その強大な姿に思案を巡らせる。
プラネット・ブックドミネーターは間違いなく強大な敵。そして、かの|流れ星《シューティング・スター》もまた『願い事をしただけの人をアイドルにする力』を持っている程の、強力な存在だ。
「何となくですが流れ星さんは強大に過ぎて、こう使うのが限界だったのではという気もします」
氷の竜を睨めつけながら潤は呟く。強大な氷の竜の姿は、流れ星の力を扱い切れないと強大な外殻で閉じ込めたのではないのか、と。もしもそうであるならば、流れ星を解放する事は敵にとって相当な痛手となるだろう。
ならば此処で叩かない手はなく、光の道を駆ける潤が歩み止める理由はない。──そして、何より。世界を飲み込み骸の海を溢れ出して。この世界の人々をサイリウムへと変えて侵略するなど、潤にとって絶対に許せるものではなかった。
「この世界の理を完全に無視して捻じ曲げ、破壊と変革を試みる無粋…断じて許しません」
目の前に立ち塞がる竜へ、全力を尽くすまで。潤は護剣を抜き払い、ユーベルコードを解放する。直刀の美しい刀身を振りぬけば、その斬撃波は刀身の長さを遥かに越えて広範囲への激烈極まる攻撃となる。
外殻を砕かんと勢い良く放たれる攻撃は外殻へと確かな傷を穿つ。だがプラネット・ブックドミネーターが鋭い咆哮を上げれば、発動するのは『時間凍結』──潤が外殻へ与えたその傷は一瞬で|なかった事になる《・・・・・・・・》。
更にプラネット・ブックドミネーターは竜の顎を大きく開くと凍結ブレスをまき散らし、凄まじい勢いで氷の爪を躍らせる。潤は凍結に鈍る体にも怯むことなく素早く護剣で受け止め流し、返す刃で斬撃を振るうもその一撃は巨大な尾によるパリィによって防がれてしまう。
強大な力をもつ竜を見上げ、潤は呼吸を整える。これらを乗り越える為に味方につけるべきはこの世界の人々の応援だ。
「少々似合わないですが…応援よろしくお願いしますね」
潤は観客席へ視線を向けるとウィンクをひとつ。似合わないと自虐が滲むウィンクはどこかぎこちないものだとしても、もちろん観客席から見れば立派なアピールだ!期待に盛り上がるサイリウムは潤のイメージカラーへと輝きながら揺れ動く。
そのうち防ぎ切れぬ氷の爪の攻撃に潤が傷を作り、激烈な攻撃の代償にすり減る命──けれど、潤の表情は歪んでもその刃は揺らがない。護剣・断罪捕食の捕食モードは竜が相手であろうとも、その生命力を奪うものなのだから。
「つまりほぼ無限に戦えますからね」
瞬く間に塞がる傷に余裕を見せて潤は笑う。攻める手を休めず、格好良くも果敢に戦う潤の姿にサイリウムのモッシュもヒートアップしていけば、その応援は大きな力を与えてくれる。留まることなく無限に近しい時間を外殻に重ねるその傷は、その内側に僅かな輝きを宿していた。
大成功
🔵🔵🔵
天風・光華
いつき兄様(f37164)と参加なの!
ちょ、ちょっとだけこわいの
でも流れ星さん助けたいの!
だから兄様におねがいしたの!
兄様しっかり手をつないでくれたから
みつか勇気いっぱいなの!
兄様と沢山相談もしたの!
いっぱい応援してもらって
いっぱい強くなって
竜さんなんか怖くないの!
「サイリウムさん!お手伝いお願いなのー!」
「みつか達が成敗するのー!」
きっとみんな一緒に戦いたいの
だからお手伝いしてもらって
みつかと兄様と皆で一緒に勝つの!
「騎士さん達!出番なのー!」
応援もいっぱいで元気いっぱいなの!
やるきまんまんの沢山の騎士さん達で押し返して
カッコいい兄様の攻撃でばっちりなの!
「流れ星さーん!おむかえなのー!」
深山・樹
妹の光華(f37163)と
流れ星さん助けるのー!ってお願いに
僕も助けたいよって手を繋いで来たんだ
ずっと、沢山、うんとボコボコにする方法を
みつかと相談してから二人で走り込むよ
サイリウムさんたちにみつかがニコッてするの可愛い
キリッとした顔で竜に宣戦布告するのも可愛い
僕もサイリウムさんたちに
「力、貸してください!お願いしますっ!」
て言ってから
「黒炎砲」を叩きつけるよ!
悪い事してるから処刑に値するし
消えなくて慌てるとか僕に怒るとか攻撃とかしてる間に
自分が消せる時間過ぎちゃうよ
みつかの騎士さんも突撃するからなかなか動けないし
バッチリなんだ
流れ星さん起こすのも二人で
「可愛いアイドルが呼んでるよ!起きて!」
骸の海に浮かぶ|光の道《アイドルロード》の上をしっかりと手を繋いで進むのは、天風・光華と深山・樹の仲良し兄妹だ。
光華は暗い宇宙のような骸の海を時折を見渡し、樹の手を両手でギュッと握る。僅かに震える光華の華奢な手を、樹が優しく握り返せば光華はホッと息を吐いて、すぐさま樹の顔を見上げる。
「ちょ、ちょっとだけこわいの…でも流れ星さん助けたいの!」
「うん、そうだね。僕も助けたいよ」
緊張で少しだけ上擦った光華の声に、樹はただ優しく言葉を返す。強大な竜を怖がる気持ちを拭えないまま、それでも足を止めないのは、まだ幼い彼女もまた猟兵である事は勿論──信頼する兄と共にこの場所に立っているからだった。
「でも、兄様と一緒だから、みつか勇気いっぱいなの!」
微笑む樹を見上げれば、光華はいっぱいの勇気が湧いてくる。それに沢山相談して準備を整えてここまできたのだから、光華と樹が一緒ならできない事なんてひとつもない。
木漏れ日のように暖かな笑顔を浮かべる光華に、樹もまた嬉しそうに頬を綻ばせて光華と繋いだ手にほんの少しだけ力を込める。
「一緒にうんとボコボコにしようね」
「はいなの!竜さんなんか怖くないのー!」
微笑ましい二人の歩みは徐々に駆け足になって、光の道を駆け上がる。目の前に立ち塞がるプラネット・ブックドミネーターの力と姿がどれほど強大であったとしても、光華の気持ちはもう恐怖には震えない。一緒に戦ってくれる大好きな兄と、応援してくれる沢山のサイリウムがここにいるのだから!
「サイリウムさん!お手伝いお願いなのー!」
サイリウムとなって召喚されている人々は無意識であろうとも、この世界の危機にきっとみんな一緒に戦いたいはず。観客席へニッコリ笑顔を向ける小さなアイドルに、サイリウムが木漏れ日に光輝けばその応援は光華に力を貸してくれる。
「みつか達が成敗するのー!騎士さん達!出番なのー!」
お次は可愛らしさから一転、キリッと勇ましい宣戦布告と共に光華が召喚するのは、百を超える聖杯幻影兵。光の道に並び奮い立つ騎士たちの姿に──プラネット・ブックドミネーターもまた咆哮を唸らせて氷界顕現を解き放つ。
すべてを凍てつかせる冷気は、僅かに触れるだけでも蒼氷で出来た過去の強敵をこの場に写し出すもの。勢いよく迫る冷気に、樹は光華の可愛さに緩んでいた頬を引き締めると彼もまた観客席のサイリウムへ呼び掛ける。
「力、貸してください!お願いしますっ!」
大切な妹と共に強大な敵を乗り越える為に、観客席へ真摯な願いを向ける樹の姿もサイリウムを刺激して応援の力を呼び起こしてくれる。湧き上がる力のままに樹が放つのは暗黒のオーラ。凍てつく冷気に触れて蒼氷の強敵がこの場へ浮かび上がろうとも、すぐさま溢れ出す消えない黒魔炎がその身を包む。
「処刑の時間だ!黒魔炎で焼かれるがいい!」
プラネット・ブックドミネーターへ一斉に突撃する騎士たちと共に、樹は黒炎砲を叩きつける。激しい突進に竜の体が傾ぎ、瞬く間に外殻は黒魔炎に焼け焦げてゆく。だが鋭い咆哮を響かせた次の瞬間、『時間凍結』はその時間のすべてを|なかった事にする《・・・・・・・・》。
振り出しへと戻る戦いにも、固い絆に手を繋いだ兄妹は諦めることなどない。
「もっともっと、お手伝いお願いなのー!」
「僕とみつかに応援を!お願いしますっ!」
二人は再び大きな声で呼び掛けて、サイリウムの応援を再び力に。果敢に竜へ向かう騎士たちが凍結ブレスに勢いを落とそうとも、応援の力に後押しされる騎士の突進は氷の爪にその身を砕きながら、樹の元へと道を開く。
「世界に仇なす悪事、処刑に値します!」
開いた道へ樹が暗黒のオーラを解き放てば、消えない黒魔炎は応援によって増したその勢いで外殻を焼き焦がす。怒りに震える咆哮がどれほど暴れようとも、騎士たちはその儚い身を挺して抑えつけ黒魔炎が焼き続ける。挫けぬ絆の前に時間凍結はとうに過ぎ去って、これまでの戦いと共に蓄積したダメージで外殻には亀裂が走る。
「流れ星さーん!おむかえなのー!」
「流れ星さん!可愛いアイドルが呼んでるよ!起きて!」
黒く焼け焦げた外殻の外から亀裂に向かって呼びかける声。それは飲み込まれた流れ星へと確かに届く、アイドルの願いの声だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
百鬼・智夢
【対の華】
澪君が、攻撃の要…
私はその分、防御に徹します…
リアムを媒介に呼び出した善霊さんに
私と澪君に霊的防護をかけてもらい
更に破魔を宿した祓い札を周囲に浮遊させる事で
接近も攻撃も拒む強力な防壁を作ります
でも、相手は強い冷気を使う方…
この程度、簡単に破られてしまうでしょう
だから更に赦裁の祈りを発動
私が祈りを捧げている間
どんな攻撃も全て無効化します
お願い、皆
手伝って…!
悪霊さんと黒死蝶さん達は澪君のために
呪詛による苦痛や金縛りでブックドミネーターさんの足止めを
善霊さんは私の傍で、とにかく守りを固めて下さい
聞き耳と気配感知で私自身も攻撃の気配を探りながら
回避しながらも祈りだけは継続できるように
栗花落・澪
【対の華】
正直厄介な相手だけど
僕は僕に出来る事を全力でやるだけだ
百鬼さんっていう心強い仲間も一緒だし、ね?
光の道を駆け上がりながら
高速詠唱、多重詠唱で誘惑と催眠術を乗せた光魔法をブックドミネーターに放ち
混乱と共に気を引き百鬼さんが攻撃対象外になるように
僕だけを狙うように
更に念のため自分に炎の魔力を混ぜたオーラ防御を纏い
少しでも冷気を緩和させたい
自分の為じゃない
僕の為に身を削ってくれている、百鬼さんの為に
悪いけど、悠長にしていられないから
紅色鎌鼬発動
この技なら仮に凍結されても利用できる
別に刃物でも鈍器でも関係ないんだし
物量作戦
増殖数は…任意
何百でも、何千でも
限界が来るまで繰り返し、攻撃してあげる
プラネット・ブックドミネーターの外殻は低く響く唸りを上げる。どこか苦しそうにも聞こえる咆哮は、猟兵たちが繋いだ兆しだ。しかしだからこそ竜は怒涛の勢いで猟兵に抗い立ち塞がり──この場に荒れ狂う姿を見せるだろう。
「正直厄介な相手だけど…僕は僕に出来る事を全力でやるだけだよ」
栗花落・澪は|光の道《アイドルロード》の先に待ち受ける強大な竜の姿を鋭く睨み付ける。そしてすぐに目元をやわらげると、すぐに隣──テディベアのリアムを抱えた百鬼・智夢へと笑顔を向けた。
「百鬼さんっていう心強い仲間も一緒だし、ね?」
「…はい。澪君が、思い切り戦えるように…私は、防御に徹します…」
澪の笑顔と言葉にも、感情を押し殺したように無表情の智夢はけれど、真っ直ぐに眼差しを返す。信頼を置く者と共に戦うのならば、強大な壁もきっと乗り越えられるだろう。
頷き合う二人は竜を見やり、光の道を駆け上がる。
「お願い、皆。手伝って…!」
澪と並び走りながら、智夢は胸に抱えたリアムを媒介に善霊を呼び寄せる。リアムの瞳が青く輝けば、澪と智夢へ霊的防護を与えてくれる。更に智夢が取り出すのは破魔を宿した祓い札。清廉な炎の色に燃える札を周囲に散らし浮遊させる事で、澪への接近も攻撃も拒む強力な防壁を作り描き、赦裁の祈りを捧ぐ。
智夢の防護を得た澪は光の道を先行しながら、誘惑と催眠術を乗せた光魔法をプラネット・ブックドミネーターへ放つ。眩く輝く光は明滅しながら竜の頭へ纏わり、視線を惑わし気を引きながら混乱を誘発するもの。
光魔法が大きく弾ければ、竜の首がくらりと揺らぐ──混乱した竜の首がその視界に入れるのは澪の姿だ。
惑う竜は澪めがけて全てを凍てつかせる冷気を吐き散らす。智夢の防御の上から、澪は素早く炎の魔力を混ぜたオーラ防御を重ね掛けて、少しでも冷気を緩和させる。己の為ではなく、澪の為に身を削ってくれている、智夢の為に。
周囲を覆いつくそうとする凍てつく冷気は、幾重にも重ねた防護すら僅かにすり抜けた。澪の動きが鈍ると同時に、冷気の中から溢れ出るのは蒼氷で創られた過去の強敵だ。獲物を振り上げ澪へ襲い掛かってくる強敵の攻撃は──けれど輝く光に弾かれる。
「私が祈りを捧げている間、どんな攻撃も全て無効化します…!」
あらゆる攻撃も阻むのは、智夢が捧げる赦裁の祈りが描く光の防護壁。攻撃を弾かれ怯んだ強敵に、澪が手を振れば虚空から舞い吹雪く赤い花弁が薄紅の鎌となり薙ぎ払う。
「悪いけど、悠長にしていられないから」
澪の目に浮かぶのは静かな敵意。紅色鎌鼬による無数に増殖する鎌の花が舞うような連撃は、ほんの一分も経たぬ間に蒼氷の強敵を過ぎ去り、そのままプラネット・ブックドミネーターを取り囲み挟撃してゆく。
全方位から手繰る澪の無数の鎌は、着実に傷ついた外殻を抉ってゆく。内側を暴くまで、その外殻が飲み込んだ流れ星に届くまで、あともう一歩。そうして澄んだ美しき紅色が蒼い外殻を引き剝がさんとするその時、竜は鋭い咆哮をあげた。
時計の針のような鋭い咆哮と共に『時間凍結』が解放されれば、外殻の内側へと届きかけたその攻撃のすべてを|なかった事にする《・・・・・・・・》。
惑わせた光すら無に帰して、猛り狂った竜は再び冷気を吐き散らす──だがその乱雑な動きを阻むのは、智夢が呼び寄せた悪霊と黒死蝶だ。
「澪君の所には…行かせません…!」
リアムの片側の瞳が赤に輝けば、黒い蝶が噴き出し呪詛と金縛りが獰猛な鉤爪を押し留めて足止めする。もう片側が青に輝けば、弾け飛びそうな防護の力を繋ぎ止め、智夢もまた危険を賭して澪と共に竜の攻撃を掻い潜る。耳をそばだて強大な気配を探り、ひたむきに途切れぬ祈りを捧げるのは守るため──そして、澪の勝利を信じているからこそ。
智夢の信頼に澪は躊躇う事無く竜の目前へと躍り出る。どれほど強大な敵の攻撃があろうとも、澪の身を守護する赦裁の祈りの中であれば、思う存分──力尽きるまで戦えるのだから。
「限界が来るまで、何百でも、何千でも──何万でも!」
光輝く守護の元で、数え切れぬほどの美しい紅色が舞い踊る。苛烈な攻撃も凍える冷気も、幾重にも包囲し襲来する花弁の鎌鼬を阻めはしない。
無数の鎌が氷に砕け、残りは後ほんの僅か。けれど凍てつき刃を失った紅色の鎌は、ようやく竜の外殻を大きく穿つ。竜の咆哮はいよいよ途切れて、傷つきひび割れた外殻から光が溢れ出る。
「はじめましてキラリン──!」
そうして外殻から溢れ出る輝きから聞こえてきたのは、場違いなほどに明るい流れ星の挨拶だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵