シャングリラ☆クライシス⑩〜世界を壊してみませんか?〜
「世界を壊してみませんか?」
|依頼の説明を受けるべく《世界を救うべく》映画館に集った猟兵達が初めに聴いたのは、そんな問い掛けだった。
今回も集まって下さってありがとうございますね、と、各人の希望を汲み取った飲み物を供しながら、アウロラニア・ミーマメイズが猟兵達を労う。
「現状は……もうご存知のことかと思いますが、アイドル・フロンティアの空は割れ、骸の海が溢れ出しています。
この骸の海は恐らくは正真正銘の本物、私達の暮らす世界の外にあるそれそのものでしょう。
そこから現れた強力なオブリビオン、侵略神『ヴァラケウス』、星壊神『プラネットブレイカー』。
彼らは|流れ星《シューティング・スター》を外殻で覆う事で竜化、オブリビオンと化し、更なる侵略の一手としています」
これを救う為、出現した|光の道《アイドルロード》を駆け上がって骸の海へと到達しなければならないが、勿論ヴァラケウスもプラネットブレイカーも黙ってみていてはくれない。
道を塞ぐ彼らの打倒・排除が必要なのだ。
「今回私が依頼するのはその侵略神『ヴァラケウス』の打倒です。
彼は通常のユーベルコードを扱う他、自身の支配する擬似世界『ドラゴン界』を周囲に展開する事で、動いた軌道上全てを消滅させます」
ですが、とアウロラニアは続ける。
「ドラゴン界自体は、その都度オーラや各種防護を駆使して直接触れないこと、常に進行方向に回り込み続けること、等で消滅を避ければ、攻撃は通ります。
世界であるからこそ、何に対しても干渉できて、何をもってしても干渉できてしまう、という性質を有している様ですね」
勿論、それを超えてヴァラケウスに有効打を与えられるかは戦術、或いは威力次第ではあるだろうし、ヴァラケウスも当然ユーベルコードを使って戦闘を行う。
強力なブレスや非常に攻撃的な周辺環境の変更能力を有し、特に感知を阻害する侵略機動のユーベルコードは強化され、蹂躙突撃、精神侵食の効力を得ている。
それらに対しても対策が必要だ。
しかし、しかしである。
「つまり、殴れるし斬れるし撃てば貫ける世界です。
壊して良い世界、と言うとちょっと揺れる方もいらっしゃるのではないでしょうか?」
いつも守って来た世界、偶には壊してみませんか?
ユキハナカグヤ
ユキハナカグヤです。
第二戦線も楽しく思い切り良く遊んで参りましょう。
プレイングボーナス……迫り来る『ドラゴン界』を食い止めて戦う。
また、『軌道上全てを消滅させる』以外のドラゴン界の性質についての詳細は私の解釈なので当シナリオ限定となります。
ご注意下さいね。
例の如く、ユーベルコードは他のユーベルコードを参照するもので提出されていない限り、プレイングに付随する一つのみ適用です。
チーム、グループ参加の際はプレイング先頭にグループ名を明記する事を推奨しております。
それでは皆さまのプレイング、楽しみにお待ちしておりますね。
第1章 ボス戦
『プラネット・ヴァラケウス』
|
POW : ヴァラケウス・ブレス
【竜炎のブレス】を放ち、命中した敵を【消えない炎】に包み継続ダメージを与える。自身が【ドラゴン界を展開】していると威力アップ。
SPD : 侵略機動
自身と武装を【漆黒の破壊オーラ】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[漆黒の破壊オーラ]に触れた敵からは【生命力】を奪う。
WIZ : 炎界顕現
戦場を【溶岩の中】と同じ環境にし、自身の攻撃に「敵から受けたダメージ」を加算する【溶岩散布】を付与する。
イラスト:木野田永志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
|私の妄想世界を展開してドラゴン界を上書きする。《不思議な呪文×欲望解放×魔力具現化×夢の中に入る×多重詠唱拠点構築結界術》
|タイムフォールダウン《物真似×高速詠唱早業先制攻撃》で|時間質量を圧縮し凍結することで《凍結攻撃×禁呪封印術》消滅よりも上書きのスピードが上回るでしょう。
私の妄想世界の中では|溶岩もスイーツになるわ♪うまー、おいしい☆《化術×おやつタイム×料理》もちろんヴァちゃんも対象よ?ドラゴン界を上書きしきったら|男の娘化《かわいい肉体変異》させて、|えっちなのうみそおいしいです❤《カロリーチャージ×大食い×魂の契約×堕落×誓いの口づけ》
●甘く淫美なスイーツタイム
輝く|光の道《アイドルロード》のその途上、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)は、持ち前の魔術を活かして宙を翔けていた。
些か露出の多い|王道少女衣装《アリスファッション》に小悪魔の如き翼を備えた彼女は、どこか妖艶ながらも可愛らしい一方で、卓越した魔術の腕前から来る飛翔速度は最早その姿とのアンバランスさを感じさせる程だ。
それを待ち受けるのは侵略神『ヴァラケウス』。
不死鳥の如き燃える翼を持つ、雄々しく強大な四足の竜は、迫る彼女を咆哮を持って迎える。
「来たか猟兵!
外殻を纏ったこの我を倒せるとは、夢思ってはおるまいな?」
|光の道《アイドルロード》を踏み躙り、鎌首をもたげて自身を見つめるその姿に、アリスもまた問い返す。
「あなたこそ、硬くて無粋なその鎧、剥がされないとでも思ってるのかしら?
|ドラゴン界《トカゲちゃん達》の世界毎、美味しく食べてあげる」
挨拶がわりと凄絶な突進で迫るヴァラケウスの巨体は、しかしアリスの下へは届かない。
タイムフォールダウン──時間質量の圧縮と凍結からなる、時間そのものの骸の海への流出速度の限りない低下だ。
幾ら速度が速くとも、遅くなった時間の流れの中では限界がある。
「…………小癪な!」
からくりに気付いたヴァラケウスは即座にドラゴン界を展開、周囲の時間を消滅させることで対処しようとするが、アリスもまた黙って見てはいない。
「あらつれない、もっと遊んでいきましょう?」
ヴァラケウスの周囲に現れた千尋の渓谷が、ゆっくりと、しかし確実に、アリスの妄想世界へと書き換えられていく。
それはパステルカラーとスイーツで構成された|不思議の国《ワンダーランド》であり、切り立った岩山はお菓子の城へ、火山は豪奢なプリンアラモードへ、空を彩る星々は金平糖の流れ星となり降り注ぐ。
「まだ!まだよ!」
身悶える様に頭を振り乱し、更に広く、戦場そのものを溶岩の海へと沈めるヴァラケウス。
大気さえも埋め尽くし、煮え滾る紅い海が骸の海の間を広く横たわる様子は地獄めいておどろおどろしい。
「あら、素敵なプレゼントをありがとう♪」
しかし、それもアリスには届かない。
余りにも高い温度に滑らかに流れていた筈の溶岩は、いつの間にか、濃く赤く粘りを帯びた苺ジャムへと変わっており、煌めく赤い海から姿を現した彼女は、自身の身体に付いたジャムを取っては幾つも出現させたマフィンに付けて優雅に食している。
「ぐ、ぬ……ぅ貴様ぁ」
遅々として進まぬ時間の中、屈辱に両の瞳を煮え立たせ、漸くその顎をアリスに届かせようとするヴァラケウスだが、進む度にその体躯が縮み、声も高く変わり、幼気で見目麗しい美少年へと変身させられていくのには気付かない。
「いらっしゃーい♪
そして……いただきまぁす♪」
「なぁ……む、んっ⁉︎」
手頃な大きさとなったヴァラケウスを抱き留めたアリスは、ほんの一瞬端正なその顔を淫美に歪めると、最早抵抗もできない美少年の唇と口腔を蹂躙し延々と精神力を貪り、淫蕩に耽るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ルクレツィア・アストリュード
疑似とはいえ、世界を斬る機会。確かに、興味ある処。
『答え』示す為にも、避けられない。
The Answererを構え、ドラゴン界を真っ向から待ち受ける。
【落ち着き】、【集中力】を研ぎ澄まし、最適な斬撃軌道を【見切り】。
神鬼一斬を発動、真っ向からドラゴン界を斬りにいく。
下から振り上げる斬撃軌道なら、相手の回転を逆に利して斬りやすくなる、かな。
勿論、回転に負けないよう【怪力】を【限界突破】、斬り抜ききるまで斬撃を維持。
斬ることに成功したら後はヴァラケウスを斬りに行く。
SkyWalkerで【空中機動】、ブレスの範囲を【瞬間思考力】で把握し回避しつつ接近。
肉薄した処に再び神鬼一斬を叩き込む。
●竜界絶ち斬る麗妙なる一閃
広大な|光の道《アイドルロード》、その周りを囲う、深く暗い骸の海を裂いて飛ぶ、紅き影が一つ。
プラネット・ヴァラケウス──侵略神『ヴァラケウス』の、竜化した自身の外殻を纏った姿である。
来たる猟兵を待ち受ける彼の前に、輝く道を力強く踏み締めて、辿り着いた剣士が一人。
ルクレツィア・アストリュード(終極フラガラッハ・f30398)は、艶やかなその黒髪を揺らし、静かに短く息を整えるや、涼やかな音を響かせ、身の丈程もある剣に手を掛けると、確と巨竜を待ち構える構えを取った。
「ほぅ?我に向こうを張ろうと言うのか!
その意気や良し!
跡形も無く焼き尽くし、消し去ってくれる!」
それに文字通りの気炎を吐いて迫るのはヴァラケウスだ。
力強い翼で骸の海を叩き旋回すると、乾いた風の吹き遊ぶ、荒涼絶壁のドラゴン界を周囲に現し、猛然とルクレツィアへと迫り来る。
「『答え』を示す、為……その世界、斬り伏せる」
竜の巨体、未だ近からず。
しかし全てを消し去る世界は眼前に迫り、口腔から溢れ輝く炎はまるで太陽の如し。
何れにも揺らぐ事なく、炎を照り返し金色に輝く一閃が振り上げられ、静寂を生み出した。
それは一瞬のこと。
細腕に見合わぬ凄絶な膂力が解き放たれ、光の道が確と踏み締められるや、冴え渡る剣気纏ったその刃が閃き──世界が『斬り闢かれた』。
「ガァァァァァァァッ」
千尋の渓谷が、荒涼とした風が、煌めく星々が、最奥に座していた太陽さえも、急速に腐食するかの様に黒く染まり頽れる。
後に残るは空にのたうつ赤竜と、無防備な一時をその面に出す事なく、暴風に髪を遊ばせ見据える剣士のみ。
「ふ、ふはははは……。
見苦しい姿を見せた、な。
くく……っ見事な業よ。
しかし、しかしだ!」
周囲に纏ったドラゴン界を失って尚、ヴァラケウスの戦意は幾らも衰える事はない。
傷付いた肉体、万全でなくなったその炎、それでもと翼で空を叩き、ルクレツィアを焼き尽くさんと、先程よりも尚速く、疾く翔けて迫り来る。
対する剣士もまた、今度は待ち構えているばかりではない。
斥力場を蹴り上げ宙を舞うと、それを追って薙ぎ払われる炎を掻い潜り、ヴァラケウスに迫らんとする。
互いに互いを追い空を駆けるその様は、神話を描き伝える絵画から出て来たかの如く勇壮なものであり、その終わりもまた、英雄の手で悪竜の堕ちる様で終わることに違いはなく。
「ここに、更なる『答え』を示す。」
ルクレツィアの言葉少なな詠唱と共に解き放たれたその一閃は、赤き竜神の巨躯を深く斬り裂き、二人の戦いに幕を下ろすのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ミュー・ティフィア
ライブパフォーマンスと共に参戦です!
進行方向に回り込み続けたり、戦ったり、やることは多いけどライブももちろん続けます!アイドルですしね!
精霊召喚・豊穣の女神の最果て!
ドラゴン界も含めてここは全て戦場。つまりクロリスの管轄内です!
だからドラゴン界そのものをアイドルフロンティアに再書き換えすることで無効化!
それからヴァラケウスを囲む高い城壁も建てて竜炎のブレスも防御です!
『まぁ、飛ばれたらいくら高くても越えられるからさっさと仕留めないとね』
うん、クロリス。パフォーマンスも兼ねて派手に決めます!
クロリスとの可愛い決めポーズと一緒に無数の流星(風の兵器)を城壁内に降らせてヴァラケウスを墜落させます!
●歌姫と女神は満天の星に照らされて
巨大な|光の道《アイドルロード》、一歩踏み外せばその身を脅かす、骸の海の広がるその上で、苛烈な戦場も華やぐ歌声が響く。
優しき声音で口遊み、その背の翼を輝かせ、宙を駆けるエルフの名は、ミュー・ティフィア(絆の歌姫・f07712)。
数多の精霊と友誼を結び、麗しいその声で、卓越したその魔法で、善成す可憐な|歌姫《アイドル》である。
なればこそ、その様なものをこの上に通す事罷りならんと、立ち塞がる者があるのもまた必定。
光の道の側を流れる、暗く悍ましき骸の海が突然膨れ上がり、紅き竜神が飛び出す。
侵略神『ヴァラケウス』は低く獰猛な咆哮を上げるや、寒々とした断崖絶壁の立ち並ぶドラゴン界を周囲に展開し、歌姫へと猛烈な速度で襲い掛かる。
瞬間、傍に侍り宙を舞う盾が彼女を庇ったかと思うと、ミュー自身もまた軽妙に飛び回り、唯一接触しながら消滅を免れる、ドラゴン界の軌道のその正面に巧みに位置取り続けていく。
「来ましたね……ヴァラケウス!」
「まさしく!お前の様な者にはここで消えて貰うとも!」
赤竜は思う様に消滅が通らないと見るや、その口腔に炎を溜め込み、歌姫を焼き尽くさんとする。
無論、歌姫もただ敗北を待つばかりではない。
美しく翼が装飾された杖を振るうや、朗々と祝詞を唱え、精霊より力を借り受ける。
「全てを失い零落し、けれど愛に生きた豊穣の女神よ。八百万の光宿せし我との絆を以て此処に具現せよ!」
その声に応えるのは、黒の長髪を青薔薇の花冠で彩り、手に一冊の書を持つ女神だ。
「あらあら、じゃあ派手にいくわね」
「クロリス、お願い!」
景色が、一変する。
骸の海が、断崖絶壁、寒々しい風の支配するドラゴン界が、無数のサイリウムで照らされるアイドルステージへと染め上げられる。
割れんばかりの歓声の雨の中、歌姫が毅然と杖を振り上げると、精緻に組み上げられた白亜の城壁が立ち昇り、ヴァラケウスの放つ炎のブレスを小揺るぎもせず防ぎ、続いて立ち昇る三つの城壁が赤竜を閉じ込めていく。
『まぁ、飛ばれたらいくら高くても越えられるからさっさと仕留めないとね』
「うん、クロリス。
お客さんをばっちり楽しませるパフォーマンスで派手に決めます!」
頷き応えるミューは輝く宝石を舞わせる様に杖を振るいながら、清涼な歌声を響かせていく。
それに応えるのは無数のサイリウム、彼女に魅了される数多の煌めきが天上へと浮かび上がり、まるで天の川の如く満天に輝いて──
歌姫と女神、立ち並ぶ二人が可憐に観客席の応援に返すその背後、煌めく無数の流星が会場を照らし、竜神を太陽よりも尚激しく灼き清めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
それでは、やってみますかねぇ。
『FAS』で飛行、『FLS』で|全『祭器』《未装備含》を召喚後『FPS』で『ドラゴン界』とヴァラケウスさんの動きを把握しまして。
『FES』の対竜結界と『FHS』の吸収結界を重ね『ドラゴン界』接触の影響を防ぎ【禁触】を発動、『|M《マグニチュード》=Lv』相当の超震動を放出しますねぇ。
『M12相当で地球が割れる』とされますから、計算上その「10の234乗倍」のエネルギーなら『ドラゴン界』自体を震動で破壊することも可能でしょう。
『ブレス』は口の向きの情報に注視し『FIS』の転移で射線から外れて対処して接敵、【禁触】の超震動を体内に流しますねぇ。
●巫女の指先は世界を散らす
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は翔けていた。
巫女服をはためかせ、その周囲には無数の球体や戦輪、錫や札を侍らせている。
三対のオーラの翼を力一杯漲らせたその速度は凄まじく、地上の戦いを彩った|アイドルステージ《幾つもの戦場》達は見る間に小さくなり、骸の海に覆われた天上ももう間近といった所。
無論のこと、|侵略神の化身《ヴァラケウス》がそれを許す訳も無い。
上空の骸の海を裂き、一条の猛き炎がるこるに襲い来る。
彼女に従う盾達が役割を果たしその身を守るが、姿を現した赤竜はるこるの頭上を旋回すると、断崖無辺のドラゴン界を展開し、邪魔立てする盾毎消滅させんと突進を仕掛ける。
「ほう……操る数だけは一人前の様だが、その地力は如何なるものか、試してくれよう!」
「そちらこそ、この守りを抜けるものならば貫いて貰いましょう!」
盾を下がらせたるこるが呼び出すのは風にたなびく白布に、鈍く冷たい光を返す大脇差だ。
数え切れない程の大脇差は槍衾もさながらに赤竜を待ち構え。
無数の白布は幾重にも上下左右と繋がっていき、更には十重二十重の格子となり。
二層の強靭極まりない結界を成して受け止めることで、消滅させられるどころか、るこるのその眼前にヴァラケウスを閉じ込めてしまう。
「今度はこちらの番ですね」
るこるを取り巻く空気が変わる。
これまで以上に濃密な神気が降り、彼女の振り上げる腕に、指し示す指に確かな力が集っていく。
「大いなる豊饒の女神、その禁忌たる力の顕れを今此処に」
それは大地の咆哮。
ただ一柱の神の座す断崖絶壁立ち並ぶ世界に、外からもう一柱の神が指し示した崩壊への導。
無数の岩山は砕け、大地の割れた裂け目は天にも繋がり、星々さえも崩れゆき、膨大な熱量に呑まれ世界は壊れてゆく。
「グ、ガァァァッ⁉︎
お前、は……ァァァァァァ!」
崩れ落ちる世界から辛くも抜け出すも、ヴァラケウスの全身は焼け爛れ、往時の面影はどこにもない。
それでも彼は爛々と執念に輝く両眼で確とるこるを見据え、その最期に炎を浴びせんと、最早翼膜が残っているとも言えぬ翼で羽ばたき襲い来る。
「…………これで終わりです」
煌々と輝く炎を抱えた顎が迫る中、るこるの指が、ヴァラケウスの鼻先を捉え、そして……瞬き一つの間の後、空を切った。
大成功
🔵🔵🔵