シャングリラ☆クライシス⑩〜蹂躙の炎竜王
●輝ける勝利を目指して
「シャングリラ☆クライシスも第二戦線に突入しました。これまでの戦いとは様相の違う戦いになりますが……頑張りましょう」
グリモアベース、銀に輝く鬣持つ獅子の姿をしたサーマ・マルヴァス(華やかな獅子王・f37974)という魔王の一人は、猟兵達にそう切り出す。
「全世界変異現象に勝利したことで出現した『|光の道《アイドルロード》』を駆け上がれば、空が割れて溢れ出してきている骸の海に落ちることなく戦えますが……ここで厄介な敵が現れました。侵略神『ヴァラケウス』、そして星壊神『プラネットブレイカー』の二柱の骸の海の神は、この|光の道『アイドルロード』の先に猟兵達を進ませないように、『プラネット・ドラゴンロード』という巨大なドラゴンの外殻を組み上げ纏い、襲い掛かってきます。戦いでそう簡単に光の道から落下する事はないでしょうが……純粋に強敵です」
アイドル☆フロンティアのオブリビオンは何故か非常に強力な存在だが、当然この妨害してくる神々も非常に強力なのだとサーマは言う。
「今回予知できた相手は侵略神ヴァラケウスが纏っているのは彼自身が竜化した時の姿の外殻で、ユーベルコード『侵略機動』は蹂躙突撃と精神侵食の二種類の効果があります。これまでアイドル☆フロンティアの世界の人々に後者の能力で骸の海を溢れさせていたようですが、この戦いで発動するのは前者の効果です。蹂躙突撃……シンプルな力なのですが、巨大なドラゴンの外殻を纏いながらヴァラケウスは更に自身の支配する疑似世界『ドラゴン界』を竜の外殻の周囲に展開、そのまま疑似世界を直接操作して移動させ、進路上にあるものを根こそぎ削り取るようにして消滅させてくるようです。分かり易く言うなら触れるだけで敵を消滅させる超巨大な球体が殺意を持って高速で移動してくる、ですね。生半可な攻撃もドラゴン界に消滅させられますが、ドラゴン界の移動をどうにかして止める事ができれば攻撃を中に通す事ができる筈です」
どのように止めるかは皆様にお任せします、とサーマは語る。
「それから侵略機動とは別に火炎ブレスのユーベルコードや戦場を溶岩環境に変化させて溶岩散布してくるユーベルコードも有しています。此方の攻撃によっては其方にも対処しておく必要があるので注意が必要です。……私が得た予知は以上になります」
そうサーマは言って、オカリナの形をしたグリモアを輝かせて思い出したように付け加える。
「……何故だか知りませんが、どうもこのヴァラケウス、とやらを見ていると絶対に倒さねばならないと思えて仕方がないんですよね。初対面の筈なのですが……まあ、関係ありませんよね。このアイドル☆フロンティアの人々の心に骸の海を流し込んでいた強大な敵、油断なく戦って打ち勝ってください」
そうサーマが締め括ると同時、猟兵達は光に包まれ巨大な赤竜王待ち受ける光の道へと転送されたのだった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
参戦時期がブックドミネーター決戦直前だったので、蒼氷で復活してた時の方が印象深かったり。
このシナリオは『|光の道《アイドルロード》』で『プラネット・ヴァラケウス』の外殻を纏った侵略神ヴァラケウスと戦うシナリオとなります。
竜化した自身の外殻でもあるこのヴァラケウスの外殻を纏った侵略神は自身の支配する疑似世界『ドラゴン界』を直接操り軌道上のあらゆるものを削り取るように消滅させるようなのでどうにか対策しつつドラゴン界内のヴァラケウスに打撃を与える必要があります。
また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。
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プレイングボーナス……迫り来る『ドラゴン界』を食い止めて戦う。
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それではご武運を。
皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『プラネット・ヴァラケウス』
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POW : ヴァラケウス・ブレス
【竜炎のブレス】を放ち、命中した敵を【消えない炎】に包み継続ダメージを与える。自身が【ドラゴン界を展開】していると威力アップ。
SPD : 侵略機動
自身と武装を【漆黒の破壊オーラ】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[漆黒の破壊オーラ]に触れた敵からは【生命力】を奪う。
WIZ : 炎界顕現
戦場を【溶岩の中】と同じ環境にし、自身の攻撃に「敵から受けたダメージ」を加算する【溶岩散布】を付与する。
イラスト:木野田永志
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
疑似世界でっすかー、ドラゴン界でっすかー!
それがどうした、恐るに足らず、なのでっす!
世界を震わせてこその藍ドル!
数多の世界に己が身一つで向かい合い、震わせてきた藍ちゃんくんが!
侵略神さん一匹分の疑似世界“程度”に震えてなんてやらないのでっすよー!
歌うのでっす、世界をも震わす歌を!
ドラゴン界は侵略神さんに操作されてるのでっしてー。
でしたら、ええ。
聞き入っちゃって、操作が鈍ればどうなるでっしょかー!
続く溶岩だって、ファンにしちゃうのでっすよー!
敵からのダメージ加算、ですがもしも自滅なら?
ファンになった溶岩がご自身に飛んできての同士討ちなら?
強化はされないのではー!
熊ヶ谷・咲幸
戦争シナリオに参加
お騒がせ☆アイドル×力持ち、12歳の女の子です
がむしゃらに頑張るタイプで【怪力】による正面突破や力技がメインですが、力をコントロールできずにドジをすることもしばしば。【奇跡のドジ】でいい方向に向かうことも
【クレッシェンド☆クラッシュエンド】では、相手のユーベルコードを力技でぶち破ります。
物理法則や概念も力技で無視します
その他の攻撃方法は素手でぶん殴ったり【慈悲の抱擁】で【締め上げ】たりです。ロッドも使えますが、ステゴロの方が強いです。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
神格者さんとはお友達になりたいな
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●力業と魅了の歌声と
燃えるような紅蓮の鱗を有した巨竜――|光の道《アイドルロード》を駆け上がる猟兵達を阻むは、『侵略神ヴァラケウス』の|竜化した外殻《プラネット・ドラゴンロード》を纏ったヴァラケウス自身。
光を拒絶するかのような漆黒のオーラーー疑似世界『ドラゴン界』を球状に展開し、高速回転させながら迫る炎竜王は移動そのものが攻撃。ユーベルコードによる強化はされておらず視認などは可能だけれども、迂闊に触れれば削り消し飛ばされる攻防一体の蹂躙攻撃だ。
それに対し、レジェンドパクトをこじ開けお騒がせ☆アイドルの姿へと変身した熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)はアイドルステージを召喚して真正面から構える。
「邪魔はさせません!」
彼女の故郷であるこのアイドル☆フロンティア、この世界に住まう人々の心に骸の海を流し込んでいた元凶でもあるこの侵略神に対する咲幸の闘志は高い。
「藍ちゃんくんでっすよー! 疑似世界でっすかー、ドラゴン界でっすかー!」
ハイテンションなアイドルーー藍ドル衣装の紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)も闘志とは少々違うけれども、強大な侵略神に対する恐れを一切感じさせない。
「それがどうした、恐るに足らず、なのでっす!」
なぜならば。
「世界を震わせてこその藍ドル! 数多の世界に己が身一つで向かい合い、震わせてきた藍ちゃんくんが! 侵略神さん一匹分の疑似世界“程度”に震えてなんてやらないのでっすよー!」
三十六世界を渡り数多の強敵と藍ドルとして負けじと戦ってきた藍、今更疑似世界が戦う相手になった所でなんの障害になるだろう。
世界を震わせるほどの圧倒的歌唱力で高らかに歌い始める藍、しかしヴァラケウスはそれを些細な抵抗と容赦なく侵略機動で消し飛ばしにかかる。
同時にアイドルステージが溶岩の中と同じ環境へと塗り替えられる。侵略神自身のダメージを加算する性質からそれ程威力は高まっていないが、それでも回転するドラゴン界から散布される溶岩は触れれば脅威だろう。
光の道を削り飛ばしながら二人へと迫る竜王。容赦なく襲い掛かる敵に対し、咲幸が起動するのは【クレッシェンド☆クラッシュエンド】、
「な、なんとかなれーっ!!」
叫びながら握り込んだ拳を紅蓮の岩、そして迫ったドラゴン界に叩きつける。普通なら熱さで触れる事さえできない溶岩、そして触れれば削り飛ばされるドラゴン界だが、彼女の怪力は物理法則や概念を捻じ伏せる怪力乱神の力。
溶岩どころか竜の世界という概念さえも無視した力業を受けた溶岩とドラゴン界の一部が相殺され、ドラゴン界内部の竜王の外殻が露になる。
「なんとかなっちゃいました!?」
「あやー! 凄い力でっすね!?」
歌っていた藍も思わず称賛する程の怪力、ヴァラケウスの動きがそれに怯みドラゴン界の移動が停止する。
怯んだ――のではない。藍が高らかに歌い上げ発動した【星の瞳】のユーベルコードの力により、ドラゴン界を操作するヴァラケウス自身が歌に聞き入ってしまい操作が鈍ってしまっているのだ。
操るヴァラケウスだけではない。ドラゴン界も溶岩もファンにされて、3分弱ではあるが藍に対し友好的に動く状態になっているのは同じドラゴンロードのパラダルクにも少々通じるところはあるかもしれないが――そんな事を考えるような余裕もない。
今や自身を覆う黒きドラゴン界、そして溶岩の環境全てがヴァラケウスに対する敵である。散布された溶岩は赤き竜王の外殻をも焼き、それをドラゴン界は阻まない。
行いそのものは自滅とはいえどそれを誘導しているからもしかしたら溶岩の出力は上がっているのかもしれないが、只管己に襲い掛かって来る溶岩は強くなればなるほど侵略神自身が受けるダメージが増加するだけで藍や咲幸への脅威にはならない。
苦痛の咆哮を上げる竜王、その移動が止まった隙を見て咲幸が飛び込み拳で一撃叩き込む。
巨体は大きく後方へと押し返され、更に二人の猟兵は追撃を仕掛けていくのだった。
大成功
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シズホ・トヒソズマ
疑似世界とはまたとんでもない能力ですね
ならこちらも世界のような土地の能力をぶつけるまでです!
まずはからくり人形『バル』の能力でナノマシンを周囲に散布
そしてUCを発動
神王サンサーラの力を使用
使うUCはサンサーラディーヴァ
自身の眼前を広大無辺の仏国土化し到達不能にするUC
到達不能の国土と侵略するドラゴン界
相反する二つは衝突しドラゴン界を少しでも食い止めるか減らせる筈
本体の侵略機動は散布しておいたナノマシンで接近してくる敵の位置を探知し
騎乗したライダのバイク軌道で回避
バルの軌道変化弾でオーラに包まれていない部分を次々に射撃
最後は、この形態だと狙う必要は無いですが越したことは無いですし右目を狙撃します
●ゼロと無尽
後退した侵略神の竜体を覆う黒きオーラが制御を取り戻し、そしてすっとその姿を消し去った。
消滅したのではない。ユーベルコードによる力で疑似世界『ドラゴン界』を視聴嗅覚での感知を阻害しつつその破壊の力を増幅させたのだ。
不可視で迫る巨大な球状の疑似世界――、
「疑似世界とはまたとんでもない能力ですね」
アイドルステージへとバイクに騎乗し飛び込んできたシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)が呟いたように、その能力はまさしく侵略神を名乗るヴァラケウスの力に相応しいとんでもない能力であることに疑いはない。
しかし、
「ならこちらも世界のような土地の能力をぶつけるまでです!」
数多の世界で強大なオブリビオンと交戦してきたシズホだ。このような相手との戦い方も当然思いつく事は可能。
彼女のからくり人形『バル』が周囲にナノマシンを散布する。ナノマシンからの信号が途絶えればそれは侵略機動により削り飛ばされたと判断していいだろう。
その予想通りに球状に信号が消滅した空間がシズホへと迫って来る。バイクでギリギリ回避できる速度だと計算したシズホはフルアクセルでナノマシンの信号が途切れている巨大な空白を回避するようフルアクセルで疾走、やり過ごしたことを確認しつつターンして、ドラゴン界のあるだろう座標に体を向けたシズホがユーベルコード【幻影装身】を起動する。
「人形が吸いし過去の影、我が身に宿り力となれ。応報を持って因果を制す!」
その言葉と共に射撃と狙撃に適したバルの人形の体の中からオブリビオンの幻影が出現、そしてシズホへと重なるようにして宿った。
宿した幻影の力は帝都櫻対戰で交戦した『神王サンサーラ』のもの――そのユーベルコード『サンサーラディーヴァ』が疑似的に再現され、彼女の眼前が広大無辺の仏国土へと塗り替えられていく。
侵略のドラゴン界、対するは到達不能の無尽蔵の国土。
無尽蔵に広がっていく国土を黒きドラゴン界が消し飛ばし、消えぬ炎のブレスが焼き尽くしていくけれども、それらの間にまた新たな国土が作り出され侵略神が進むことは叶わない。
ユーベルコードにより足止めされている隙にバルが狙撃、先の二人の猟兵によりオーラが薄れた部位を的確に軌道変化弾で狙撃し、巨体の炎竜王の鱗を穿っていく。
そして竜王の右眼に一発の銃弾が撃ち込まれ、竜の絶叫が光の道に響き渡る。
「こんな所でしょうか」
ユーベルコードの代償の呪縛を受けつつ、シズホは怒り狂う炎竜王を真っ向から見据え、バルを操り射撃を続けていくシズホであった。
大成功
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箒星・仄々
悪者さんですね
侵略神さんを倒しましょう
竪琴を奏でて
夜空や星を思わせる美しく繊細な調べを響かせます
描かれた光の五線譜が銀河の如く煌めいて
ドラゴン界さんを足止めして食い止めます
そういうUCですからね
例え消滅の力で五線譜が消されかけても
メロディは続いていますから
どんどん新たな五線譜が現れて
足止めを続けます
炎のブレスも同様に足止めしています
そしてそれだけじゃありません
演奏を続けるに従い
音楽の力がぐんぐんと高まれば
ドラゴン界と外殻とを
それぞれ足止めすることで両者の動きをずらして
外殻が
ドラゴン界からすっぽ抜けるようにしちゃいます
これで弱々ですよ♪
演奏で紡いだ炎水風の魔力のメロディで
炎を減弱し
急速に冷やして外殻の強度を削ったら
突風で外殻ごと侵略神さんを吹き飛ばして倒します
悪巧みはもうお終いです
海は静かにお休みする所ですよ?
戦闘後も演奏を続けながら光の道を進みます
●歌は紡がれ侵略を退ける
無人の仏国土の生成が停止し、怒り狂ったヴァラケウスが|光の道《アイドルロード》上のアイドルステージを再び侵略機動での蹂躙を開始する。
光を呑み込む黒き巨大な球状の疑似世界――黒きドラゴン界内の巨大な炎の竜王が息を吸い、紅蓮のブレスを外部へと放射する。
展開しているドラゴン界の加護を受け、敵対者を焼き尽くすまで消える事はない凶悪な竜炎は、侵略機動を物理的に押し留めようとしても敵対者を焼き尽くそうとする殺意そのものだ。
「悪者さんですね。侵略神さんを倒しましょう」
ぴょん、とステージ上に飛び込んできたのは黒い毛並みの箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)。
懐中時計をワンタッチで蒸気機関式竪琴『|カッツェンリート《ねこのうた》』を展開して【シャンテ・フェスティヴァル】のユーベルコードを起動する。
「音と光の守護を」
夜空、星を思わせる繊細な音色が竪琴から響き、同時に竪琴に宿る音楽の力が光の五線譜の形として解き放たれる。
黒く澄んだ夜空に五線譜は銀河の如く煌めき、黒きドラゴン界を足止めする力としてその侵略の突撃を阻む。
されどか細き五線譜はドラゴン界の凶悪な拒絶――消滅の回転にあっという間に引きちぎられて遠き星々の光のようにドラゴン界の黒を彩る光の点となり、消えていった。
だが、また新たな五線譜が即座にドラゴン界を拘束する。仄々が竪琴で演奏を続け楽器の力を解放し続けているのだから次から次に生まれる五線譜の生成は止められない。
そして演奏によりこのアイドルステージに満ちていくのは音楽、そして観客たちの声援。
美しい夜空のメロディに魅せられた観客席のサイリウム達から送られてくる力は音楽の力を更に高めていっている。
それを阻止すべくドラゴン界の内部から紅蓮のブレスが放たれる。しかし力を増した五線譜は、ブレスすらをも足止めして黒のケットシーへと届くことはない。
苛立ち混じりにヴァラケウスが力づくで強引に突破しようと竜の巨体で全力で走り出す。だが、それこそ仄々の狙いだ。
器用に演奏する彼の放つ五線譜はドラゴン界と炎だけを足止めし、中の炎竜王はそのまま素通しで進ませる。その結果、黒のドラゴン界だけその場に留め置かれ中からヴァラケウスがすっぽ抜けるようにして飛び出してくる。
「これで弱々ですよ♪」
楽しげに言いながら転調、足止めする力を炎と水、風の魔力のメロディへと変えて、ぐらぐら煮えたぎるようなヴァラケウスの炎の力を減弱、更に強烈な冷水をぶつけて外殻を冷却、温度差で竜鱗の防御を脆弱にしてしまう。
そして|終結部《コーダ》に向けて曲調はさらに激しくなっていく。
「悪巧みはもうお終いです。海は静かにお休みする所ですよ?」
告げた仄々が更に力強く弦を弾けば、強烈な突風が強大なヴァラケウスの脆くなった外殻を砕く。
それがトドメとなり、編まれたプラネット・ヴァラケウスは冷えた溶岩が風化するようにして完全に消滅する。それを確認した仄々はそのまま夜空の調べを奏でながら、光の道を再び進み始める。
第二戦線ももう終盤、骸の海の神々が阻む先には何があるのか――その答えは猟兵達の前に、もうすぐ現れることだろう。
大成功
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