シャングリラ☆クライシス⑧〜その想いで悲劇を貫け〜
「アイドル☆フロンティアで緊急事態です」
集まった猟兵達に、歓迎の言葉もそこそこに、アウロラニア・ミーマメイズは今回の事件について話し始める。
「あの世界は今、凄絶な勢いでアイドルステージに侵食され、人々がオブリビオンへと変貌していっています。
首謀者はクオリア・シンフォナー、記憶を忘れないと言う特異体質からオブリビオンとして規格外の力を有し、先日彼女が捕縛した|流れ星《シューティングスター》の力をも利用して今回の事件を引き起こしています。
……その体質から、オブリビオンと化して尚意識を有し、故郷を滅ぼした存在に従わされることとなった様は悲惨と言って良いものでしょう」
彼女を解放する為にも力を貸して下さい、と眉尻を下げるアウロラニア。
「皆さんには、彼女の支配する戦いのステージに赴き、オブリビオンに変貌してしまった人々を倒し、元に戻す為戦って頂きます。
出現する敵はバッド・ガール。
不良性に裏打ちされた数、連携を力とするオブリビオンです。
とにかく数が多く出現することになるこのステージでは、普段以上の強敵となるでしょうね」
この戦いの要点は三つ。
一つ目は、戦う意志を強く示すこと。
クオリア・シンフォナーはこの闘技場の様なステージに、真に戦いへの覚悟を決めたもののみを招く。
|グリモア猟兵《アウロラニア》による転移のみでも勿論侵入可能だが、あちらからも招かれた方が万全な戦いを行える筈だ。
二つ目は、長時間戦闘に備えること。
ステージには、広大な世界から次々とオブリビオン化した人々が現れ襲い掛かってくる。
終わりの見えない過酷な連戦となるからこそ、その対策をしておけば戦果もまた確実に大きくなるだろう。
「三つ目……これが最も大切なことなのですが、観客が飽きの来ないパフォーマンス、戦闘を行うこと、です。
この世界のオブリビオンは元来非常に強力ですが、アイドルや私達猟兵は、ステージに召喚される人々の無意識からの応援を勝ち取ることで、大きな力を発揮できます。
この世界の危機に、観客席という無力にならざるを得ない場所に閉じ込められている彼らの期待と応援にしっかりと応えること、その想いと力を乗せて、世界を、人々を救う為の戦いを行うことは、大変意義のあることでしょう」
要するに、と前置きしたアウロラニアは話を締め括る言葉を口にした。
「気合を入れて、激しく楽しく、彩り豊かに暴れてきて下さい。
それから……無事に帰って来て下さいね」
ユキハナカグヤ
初めまして、ユキハナカグヤです。
戦争、お祭りです。
楽しく思い切り良く遊んで参りましょう。
まずはオープニングで話している要点について補足を。
一つ目はハウスボーナスです。
簡単に言うと気合補正。
戦争だからと言って行動に思い切り寄せなくても良い、意気込みを多く書いても良いですよ、と言うことだと思ってください。
二つ目三つ目はプレイングボーナス、どちらか片方でもボーナスは付きますが、世界設定上三つ目が大事になることは意識した方が良いでしょう。
いずれも、○○の技能やアイテムを使用します!(または切り替えて戦います!)だけでも特に問題はありません。
バリエーション豊かな戦闘、もしくはパフォーマンスですが、私の執筆するシナリオでは、ユーベルコードは、他のユーベルコードを参照するもので提出されていない限り、プレイングに付随する一つだけ適用される、ということだけご了承くださいね。
それでは皆様のプレイングを楽しみにしてお待ちしております。
第1章 集団戦
『バッド・ガール』
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POW : たむろする不良
【不良仲間】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[不良仲間]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : イマドキファッション
【着ている服がその時の流行に合ったもの】に変形し、自身の【学力や善性、健康等】を代償に、自身の【各種ステータスと不良仲間との連携力】を強化する。
WIZ : 不良の溜まり場
レベルm半径内を【不良の溜まり場】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【非常識で素行が悪い者】が強化され、【常識的で素行が良い者】が弱体化される。
イラスト:おおやけさかな
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】
真剣口調で話すよ
クオリア・シンフォナー…彼女を操っているのがどんなヤツかはまだわからないけれど…
人々を苦しめようとしているのなら、やることは一つ
猟兵として、全力で解決させてもらうよ
【回復力/治癒力強化】で長時間戦闘に備えるよ
観客を飽きさせないように【変装/化術】で定期的に衣装を切り替え、衣装に合わせて【歌唱】や【ダンス】、【演技】、【パフォーマンス】も変えていくね
UCは『クローネちゃんの淫魔アイドルグループ★』
複数人で歌い、踊り、戦う事で一人一人にかかる負担をある程度軽減するよ
【歌唱】による【音響攻撃】や【ダンシングキック】で攻撃するね
●変幻無双のアイドル達
無骨なアイドルステージに|一条の光《スポットライト》が落ちる。
輝きの下に立つは、今しがた転移で現れたクローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)だ。
あられもない衣装にその肢体を包む彼女だが、続々と立ち昇る闇と共に現れるバッドガール達を待ち受ける表情はいつに無く真剣そのもの。
対峙する猟兵とオブリビオン。
真剣な表情を崩さず、静かに敵を見据えるクローネと、腕を組み、敵とその背後の観客席を睥睨するバッド・ガール。
「……掛かっておいでよ」
「上等じゃん、逝っちゃえば?」
言葉の応酬は短く。
クローネが指を鳴らすと一斉に現れた、揃いの衣装を纏った無数の淫魔アイドル達に。
呼応する様にユーベルコードを発動させ、パンキッシュな衣装に身を包んだバッド・ガール達に。
怒涛の如き激しいぶつかり合いの予感に、観客席で声援が爆発した。
初めに動き出したのはオブリビオン達。
身に付けたチェーンと、己の学力、善性、健康といったものを代償にし得た力を持って殴り掛かる。
対するクローネ達は、一瞬にして白を貴重としたアシンメトリースカートのアイドル衣装を身に纏うと、長い脚による蹴撃で迎え撃つ。
襲い来る無数の腕は、同じく無数の、振り上げられる脚に迎撃される。
返す刀にしなやかな脚とはためく衣装を見せつける様な回し蹴りでバッド・ガールを吹き飛ばし、緒戦を制したクローネ達は、華やかに腕を広げ、踊る様なステップでオブリビオンの集団へと切り込んでいく。
「まだ黒幕は分かってないけれど、こうして人々を脅かすのなら……猟兵として、全力で解決させてもらうよ!」
一人一人が敵陣深く潜り込み、次に身に纏うのは、褐色の肌を持つバッド・ガール達の内でも尚目立つ、黒いドレス姿。
フリル豊かな布地を翻し、|響《どよ》めく客席を流し見ながら、|口遊《くちずさ》むその歌はどこまでも涼やかで、しかしオブリビオン達にとっては己が身を焼く猛毒だ。
高い回復力に裏打ちされ、いつまでも艶めき、どこまでも力強く響く歌声に、バッド・ガール達はステージに次々と|頽《くずお》れ消滅し、観客席で元の姿を取り戻していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
フロロン・ピューミリオ
「歌声が響き、踊りが舞う、煌びやかな世界……見惚れて気が緩んでしましそうですが、流石にわたくしも今回は気合いを入れないといけませんわね。皆さんを救うため、|戦場《ステージ》へ立つのですもの。今ここに居るのは、みんなを救えるような無敵の|プリンセス《アイドル》ですわ!」
UC【アリスナイト・イマジネイション】を使用
ある時は守りの硬い姫騎士のような、ある時は彼女たちと同じように不良のような、ある時は誰かの心を動かすアイドルのような……
時間経過や状況に応じて無敵の戦闘鎧を|創造《想像》し直し、様々な姿に変化します。
アドリブ・連携歓迎です。
●無敵の|プリンセス《アイドル》は宇宙より来たりて
無骨なステージに、また一つ、|煌びやかな光条《スポットライト》が灯る。
現れるのは一人の少女、頭を覆う帽子は古い映画で見る宇宙人の様。
髪の代わりに無数の触手を靡かせ、ステージに立つ彼女の名は、フロロン・ピューミリオ(ピューミリオ星人の宇宙プリンセス・f38854)。
無骨ながら確かな造りのアイドルステージ、全周を取り囲む無数のサイリウムの輝き。
それらに見惚れそうな気持ちを抑え込み、フロロンはその双眸と、帽子に備えた一つの眼をしかと開き、自身を取り囲むバッド・ガール達を、注目の視線を浴びせる観客席を見渡し、高らかに宣言する。
「皆さんを救うため、|戦場《ステージ》へ立ちに参りました!
今ここに居るのは、みんなを救えるような無敵の|プリンセス《アイドル》ですわ!」
光に包まれ、彼女は姿を変える。
白と黄色を基調とした、魔法少女の様なアイドル衣装を身に纏い、オブリビオンの群れに手にした杖を突き付ける。
降り頻る歓声の中、フロロンの戦いが幕を開けた。
「舐めるんじゃねぇ!
いくぞお前ら!」
雪崩の如く押し寄せるバッド・ガール達をエネルギー弾で吹き飛ばし、それでも近付くものには果敢にも自ら懐に潜り込んでの格闘を叩き込む。
しっかりと気合を入れ直したフロロンの戦い方は堅実で、しかしユーベルコードの力により絶大な戦闘力を実現していた。
彼女より身長の高い不良達の格闘に、初めは杖での防御も駆使していたフロロンだが、その戦い振りは徐々に大胆なものとなっていく。
何故なら彼女の纏う衣装は絶対無敵、自身の信じる限り、決して砕けぬ最強の鎧であったからだ。
そしてこの会場では確かな応援が雨霰と降り注ぎ、彼女の『絶対』を信じさせてくれた。
「やれますわ!
私と、皆さんなら!」
アイドル衣装を姫騎士の如き白銀に輝く鎧装束に、杖を勇壮なランスに、一瞬にして変化させた彼女は、更に大胆に奥へと踏み込む突撃を敢行する。
「させるかよぉ!」
幾人もの不良少女が槍先に飛び込み、己の身を犠牲にして動きを止めようとするが、フロロンの突進は止まらない。
ステージの端まで突き進んだ彼女は、再び変身して今度は着崩した学生服に身を包む。
「さぁ、いきますわよ!
あなた達全員叩き伏せて差し上げますわ!」
今度はバッド・ガールに劣らぬ不良少女となったフロロンは、足元を爆発させて敵中に飛び込むと、更に沸き立つ声援の下、無数のオブリビオン相手に千切っては投げての大暴れを続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ネフラ・ノーヴァ
【紅茨】
胡麦殿とデュエット。プリーツスカート台衣装で躍り出る
CV参照 https://tw6.jp/gallery/?id=56700
戦いに生き戦いに死ぬ、そして美しくあれ。共に踊ろうか
♪この空は いつもと同じ 違う色 と歌い出し
交互に時に共に歌い、手を取り刺剣を取り、舞うようにハイヒールを鳴らし貫く
次第に囲まれ窮地、かのように誘い、直近の不良を抱き寄せキス
フフ、善悪を判ずるのは誰なのか。非常識で素行が悪いのはどちらかな?
くるりとスカートを翻しUC血繋茨苑を刺し拡げ、縫い止めれば胡麦殿にバトンタッチ
さあフィナーレだ。敵とて同じ戦を経れば讃えよう
♪伏しても末に咲き誇れ――
百海・胡麦
【紅茨】
ネフラ殿・f04313に続き
プリーツスカート揺らし歌う
♪憧れ映して 一面に
♪私 アタシ セカイ食べっこ どちら色?
敬い
会場と敵に意味深に笑顔を
お嬢さん方、麗しの。
此方、故郷なくした術遣い
戦に生きた妖よ
闘いは、好き
『息名』変幻の焔と
『風誘い』で水や風も★天候操作・陽動と補佐を
ネフラ殿も飾るよう
共に視線集めつつ『温』の剣と焔で撃つ
血茨に続き
敵UCに対しUC夢努、発動
自らを非常識と括るなら
貴女らにゃ常識あるみたい
ねぇ今は舞台『あなたの想ういい子』になってみて
歌魔法も重ね
花や獣型の焔を贈りましょ
『平』で喉潤し回復、共に剣閃かせ
…食べられっこ
あなた色を変えるアタシは わるい子、ね
素敵ね。赤が奇麗
●紅を繰り、紅に染まらぬ麗しき二輪
数え切れない程のオブリビオンが倒され、声援もいやまして降り頻るステージの上、再び落ちる|闇を裂く輝き《スポットライト》は、二つ。
現れ出でるはネフラ・ノーヴァ(羊脂玉のクリスタリアン・f04313)と百海・胡麦(遺失物取扱・f31137)。
見るも涼やかにプリーツスカートを揺らす二輪の華だ。
互いに手を取り合い光の内より進み出た二人は、掛け合いながら、また共鳴させながら歌い出す。
取り囲む無数のオブリビオン──バッド・ガール達には艶やかな笑みを向けて、気圧され思わず後退る彼女達の内に潜る様に、ヒールが立てる音を微かに残して踊り回る。
♪『この空は いつもと同じ 違う色』
観客達はネフラの透き通った歌声に息を呑み。
その手にした剣のひらめきと共に咲く血しぶきにさえ見惚れ。
♪『憧れ映して 一面に』
続く胡麦の心震わせる歌声の響きに我を取り戻し、歓声を上げようとするも。
彼女とその手にした剣の周囲を舞う、色とりどりの焔がオブリビオンを翻弄し、時に飲み込む景色の美しさに今度は言葉を失う。
♪『私』『アタシ』『セカイ食べっこ』『どちら色?』
顔を寄せ、見詰め掛け合う二人の姿にまた見惚れ。
すれ違い、背を合わせてそれぞれ笑みを浮かべて客席を見渡すその美貌に射すくめられ、再び言葉を失い、ただその手のサイリウムを振り翳し熱狂する。
いつの間にやら手を取り直している二人は、既にして会場の空気を掌握していた。
不良性に優れる者のみを強化し、常識に縛られる者を弱体化させる空間も、血を繰り演舞の艶を増し、命絶やす焔を彩りに添える彼女達の力を増すばかり。
ネフラが、胡麦が、音繰り言繰るその度に、客席はその美麗な響きに沈黙し、或いはその瞳、その身振りに促されるままに歓声を上げて応える。
観客達は二人の歌に、踊りに歓喜の狂躁を支配され、それにより至上の幸福に満たされていた。
バッド・ガール達もまた、数限りなく姿を現しては、熱に浮かされた様に、踊り回る二人が生み出す不可視の渦に引き寄せられ、その命を血潮の咲かせる花へと、焔の咲かせる花へと変えていく。
最早いつ終わるとも知れぬ、美と殺戮が支配する舞台の上で、ただ二人それを決めることのできるネフラと胡麦。
|終幕《フィナーレ》へと向けて加速する舞台で、それぞれの|独演《ソロパート》が始まる──
胡麦が操る一服の風が静かな、しかし余りにも強い熱を僅かに何処かへ運んだかと思えば、その風に乗った二人がバッド・ガール達に近接する。
不良少女を抱き寄せ唇を奪うのはネフラだ。
押しのけようと抵抗する少女の唇をたっぷりと弄んだ彼女は、悪戯に微笑み、自らその手を解いて後ろに下がる。
「フフ、善悪を判ずるのは誰なのか。非常識で素行が悪いのはどちらかな?」
スカートを翻してくるりと回る彼女の宙に舞う髪は、いつの間にやら赤を帯び輝いている。
そこから無数に解き放たれるのは血の茨だ。
敵意を求め速く、疾く、棘を伸ばしゆく茨達は、瞬く間にステージ上を蜘蛛の巣もさながらに巡り、オブリビオン達を貫き、悉く磔にしていく。
続きを引き受けるのは胡麦。
彼女は両の手を広げると、色とりどりの焔が、高く高く舞台の上に巨大な魔法陣を描き上げていく。
♪『自らを非常識と括るなら』
♪『貴女らにゃ常識あるみたい』
♪『ねぇ今は舞台-あなたの想ういい子-になってみて』
魔法陣からは可憐な華々が、可愛らしい小動物達がはらりはらりと、ころりころりと現れ出でて、身動きの封じられたバッド・ガール達に触れては爆炎に飲み込んでいく。
その火は相手を意のままにする魔性の焔。
理性を、感情の戒めを溶かし、自らの言葉に従わせる夢幻の花火。
♪『…食べられっこ』
♪『あなた色を変えるアタシは わるい子、ね』
地に咲く花火は、刺剣を手に舞うネフラの、朱色の瓢箪で喉を潤す胡麦の前で雅やかに弾け続ける。
それが収まった後に残るのは、首を垂れ、二人の手にする剣に命を捧げんとする少女達。
顔を見合わせ、バッド・ガール達に優しい微笑みを向けたネフラと胡麦は、ネフラの口遊む戦った者を讃える歌に合わせながら、彼女達の首を跳ね、或いは胸を貫き回っていく。
♪『伏しても末に咲き誇れ──』
また、より苛烈に二人に魅せられた少女達は、身に余る敵意を破裂させて、自ずからより強く、より激しく茨に掛かり、その命を真紅の薔薇と咲き誇り果てていく。
「素敵ね。赤が奇麗」
血潮に染まる舞台の上で、胡麦の呟いたその言葉が、少女達の最期を飾っていた。
大成功
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ソニア・シルヴァーヌ
ラスボスとして、数の力には負けられません。
如何に深く傷つくとしても、その全て、薙ぎ払ってみせましょう。
その矜持を戦う意志として、戦場へ赴きます。
長期戦となりますから、消耗を抑えるべく移動は最小限に。
さあ、ご覧じられませ、皆様。これが、ラスボスの戦いというものです。
この身に有するあらゆる攻撃手段を駆使し、現れる敵を片っ端から倒していきます。
波動砲の【砲撃】【範囲攻撃】。敵が多ければ【全力魔法】も上乗せ。
暗黒縛鎖・改の【貫通攻撃】や全年齢向触手での【なぎ払い】。そのまま【捕縛】し【敵を盾にする】事での防御も。
魔力弾の【弾幕】。
『Bestia』からの炎の【ブレス攻撃】による【焼却】。
ElderArmを射出しての【重量攻撃】。
下半身後方から露出させたL.C.Slayerからの【エネルギービーム】で背後の敵に対応。
適宜ティア・レインボーを食し【エネルギー充填】したり、悪意の戯れを発動しての回復及び戦闘力強化を行い、少しでも長く戦闘を継続できるよう努めます。
圧倒的な個の力。これが、ラスボスです。
●その暴虐に理性は眩み、血は閃光に灼かれ果てる
その時、一瞬の騒めきのみを残して、ステージの空気は凍り付いた。
清廉なる聖女の如き様相の上半身と、蠢く肉塊の如き巨大な下半身を有するソニア・シルヴァーヌ(玻璃の白百合ラスボス仕立て・f31357)が降り立つその姿に、オブリビオンも観客も完全に呑まれていたのだ。
「……っ、囲んで潰すぞ!呆けてんじゃねぇ!」
逸早く自分を取り戻した者が気勢を上げて取り纏めるが、幾重と取り囲むバッド・ガール達の様子はどこか浮き足立っている。
一方徐々に囲まれていくソニアは、しかし穏やかな沈黙を保ったまま、その巨躯より見下ろしているのみ。
「見ろ!動きやしねぇ!見掛け倒しに……」
瞬間、迸った魔力の閃光が、轟音と共に囲いの一角を完全に消し飛ばした。
耳が痛くなる様な沈黙。
それを破るのは、やはりソニアその人以外無い。
「どうされました?
おいでなさい。
その全て、残さず薙ぎ払って、平らげて差し上げます」
穏やかに語り掛ける美声は、その内容には明らかに不釣り合いなものであり。
「客席の皆様もご覧じらせ。
これがラスボスの戦いというものです」
楚々とした一礼の後、蹂躙が、始まった。
無数の鎖がソニアを隠すヴェールの様に、或いは雨の様に降り注ぎ、オブリビオン達を貫く。
それは空間から直接現れ、発生点の高度も相まって彼女達に対策を許さない。
距離を取った者達はソニアの下半身に幾つもある猛々しい口腔より放たれる炎に焼かれ、背後を狙う者達は、肉塊より現れる巨大な眼球からの視線に射すくめられ、莫大なエネルギーの奔流に掻き消され居なくなる。
「あ、ぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
幾つもの骸が鎖に吊るされ、或いは焼け焦げる惨状に、新たに現れた不良少女達が恐怖に慄きながらも叫び突撃するその中心で、ソニアは未だ一歩も動いてはおらず。
オブリビオンは、咽ぶ程に濃密な魔力の弾幕に、その体躯を弾けさせていく。
運良くそれらを掻い潜った者達もまた──
「寂しくない様、仲良く一つにして差し上げましょう」
巨大な下半身より生じた何本もの肉の触手に囚われ、まるで粘土でできているかの様に一つに丸め込まれて投げ返されるのだった。
「は、っハハッ……ヒヒヒヒヒヒヒ!」
現れるバッド・ガールは誰もが圧倒的な力の差、混沌と狂気の支配する光景に呑まれ、無意な突撃を繰り返し、観客達は怒号と歓声を上げて原始的な残虐に酔いしれており、ソニアには色とりどりのマカロンを食べて回復する余裕さえある。
ここに完全に敵の戦線は崩壊した、筈だった。
「あら……?」
最初にそれに気が付いたのはソニアだった。
徐々にバッド・ガールを倒した際の手応えが大きくなって来たのだ。
彼女達を鎖で貫く度に、魔力による砲撃で跡形も無く消し飛ばす度に、職種で薙ぎ払うその度に、違和感は確信へと変わっていく。
「ヒハハハハハハハハハハハ!」
狂気に歪んだ形相は、最早彼女達を支配するものが、度を越し過ぎた恐怖と、それより発した狂気、そしてオブリビオンとしての、全てを過去に飲み込もうとする本能のみであることを示している。
しかし、だからこそ、ここに至ってソニアとの戦いで初めて、彼女達のユーベルコードが真価を発揮したのだ。
その意思は限りなく混沌としているものの、同時に限りなく統一され、連携も何も無いものの、しかし全く同じ様に行動する。
また、彼女達の意思や戦況とは関係無く、ステージはとめどなく不良少女を吐き出し続ける。
この二つの要因、意思の統一と無限に供給される戦力が合わさった結果、彼女達は己のユーベルコードにより、これまでに無い程の莫大な強化を得て、ソニアに襲い掛かっているのだった。
「ふふ、そうでなくてはなりませんわ。
貴方達がどこまで強くなれるか、私にどこまで着いて来られるのか……」
その絡繰に気が付いたソニアは興味に幾つもの眼を瞬かせ、両手を触手を、翼を縮めると、ステージ全てを覆う閃光と共に、一息にそれらを解放した。
「ラスボスとして、如何に傷付こうとも、その全て、薙ぎ払ってみせましょう」
その体躯はこれまでに倍し優に5mを超え、二対となった翼が落とす影の大きさもまた、先程までとは比べ物にならない。
肉塊から解き放たれた巨大な腕はオブリビオンの群れを叩き潰し、あまつさえ自律して動き回り、戯れの様にバッド・ガールを握り潰して回っている。
触手もまた巨大化し、彼女達を掴み投げ、あるいは掴んだまま叩き付け、と更に激しく暴れ回り、地獄の様な様相を益々深めていく。
「ガァァァァァァァッ!」
幸運にも狂気のままに何も理解し得ぬまま、怒涛の如く押し寄せ、叩き潰されていく少女達。
閃光と炎、余りにも巨大な暴虐が支配するステージが幕を下ろすまでには、今暫くの時を要するのだった。
大成功
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