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シャングリラ☆クライシス⑧〜停めて!滅びの刻を!

#アイドル☆フロンティア #シャングリラ☆クライシス #第一戦線 #クオリア・シンフォナー

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「緊急事態発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々と――しかし表情には微かな緊張を浮かべながら語りはじめた。
「アイドル☆フロンティアにて、|流れ星《シューティング・スター》の力を奪ったオブリビオンが、地上全てを『アイドルステージ』に塗り替えようとしています」
 流れ星に願いをかけたアイドルが、人々の心の闇に巣食うオブリビオンをアイドルステージで浄化する。それがこの世界のルールだった。しかし今、世界中がアイドルステージ化しつつあることで、ステージに呑み込まれた人々は無差別にオブリビオン、もしくは|観客《サイリウム》に変えられてしまっている。

「この事態を引き起こしたのは『クオリア・シンフォナー』という少女と、彼女が生み出した『|神格者《アイドル》』達のようです」
 クオリアがなぜ流れ星を奪い、全世界アイドルステージ化という暴挙に至ったのか。その理由は明らかにされていないが、どうやら彼女の背後には黒幕がいるようだ。何にせよ、まずは世界各地に出現したアイドルステージにて、クオリアと|神格者《アイドル》達を止めなければならない。
「皆様にお願いしたいのは『クオリア・シンフォナー』が支配するステージ、アイドルナイツ☆アリーナへの挑戦です」
 クオリアは「記憶を忘れられない」という特異体質によって、ヒトとしての自我を保ったまま超強大なオブリビオンと化した謎の少女だ。時間を操るユーベルコードと、全くの虚無から|神格者《アイドル》を創生する能力を持ち、流れ星の力を簒奪した張本人でもあるが、その真意や正体は謎に包まれている。

「アイドルナイツ☆アリーナは真に戦いへの覚悟を決めた者だけが招かれるという、まるで闘技場のような武骨なアイドルステージです」
 ここで猟兵達は、待ち構えるクオリア・シンフォナーに小細工なしのガチ戦闘を挑むことになる。とはいえ本当の意味で純粋な実力勝負だと、猟兵側の勝ち目は「ない」と言わざるをえない。|神格者《アイドル》を創造するアイドルたるクオリアは、自らもアイドル☆フロンティア最強クラスのオブリビオンだ。
「クオリアは『時間を操るユーベルコード』の使い手であり、数秒程度であればこちらの動きを問答無用で停止させることができます」
 ガチ戦闘において最も脅威となるのがこの時間停止能力で、猟兵であってもおそらく抵抗は不可能だとリミティアは予知する。つまり猟兵は必ず「数秒間」の絶対的不利を背負うことを承知のうえで、それに対処しなければならない。

「なおかつ『正々堂々とした、アイドルらしく見栄えする戦い方』で観客席からの応援を集めなければ、勝利は極めて困難でしょう」
 時間操作ユーベルコードへの対処法が見つけられたとしても、なお圧倒的なクオリアとの実力差を埋めるためには、観客の「応援」が力になるというアイドルステージの特性を利用しなければならない。100万人を超える応援のパワーを集めて、ようやく対等に戦えるかどうか――というのがグリモアの予知に基づいたリミティアの予想だ。

「……相手は極めて強大なアイドルです。それでも皆様なら勝てると信じています」
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、アイドルナイツ☆アリーナステージへと猟兵を送り出す。
 奪われた流れ星。全世界のアイドルステージ化。オブリビオンの大量出現。アイドル☆フロンティアを襲う未曾有の危機に、立ち向かえるアイドルは猟兵だけだ。
「転送準備完了。シャングリラ☆クライシス、開幕です」



 こんにちは、戌です。
 ついにアイドル☆フロンティアで戦争の幕開けです。今回のシナリオは「アイドルナイツ☆アリーナ」ステージにて「クオリア・シンフォナー」との対決です。

 このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。

 プレイングボーナス……敵の時間操作ユーベルコードに対処する。/正々堂々と見栄えの良い戦いをする。

 クオリア・シンフォナーの時間操作ユーベルコードは、猟兵の行動を問答無用で「数秒間」停止させる事ができます。
 時間操作自体を阻止・抵抗・無効化することはできないため、数秒間の停止を踏まえたうえで対処法や対策を考える必要があります。
 さらにアイドル☆フロンティアの基本ルールに従い、観客(サイリウム)から受けた応援の量に応じて攻撃やユーベルコードの威力が増加します。この効果を最大限活かすために「正々堂々と見栄えの良い戦い」をして観客席からの応援を集めなければ、勝機を見出すことは叶わないでしょう。最高のパフォーマンスを披露してください。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『『クオリア・シンフォナー』』

POW   :    ブラック・シンフォニア
【漆黒の最強アイドル】に変身する。隠密力・速度・【ユーベルコード】の攻撃力が上昇し、自身を目撃した全員に【崇拝】の感情を与える。
SPD   :    クオリア・カプリース
レベルm半径内を【高速回転する時計のオーラ】で覆い、範囲内のあらゆる物質を【時間操作】で加速、もしくは【時間操作】で減速できる。
WIZ   :    クロノス・アリア
【懐中時計】に宿る【時間操作の歌】を解き放ち、レベルm半径内の敵には[時間操作の歌]で足止めを、味方には【治癒速度向上】で癒しを与える。

イラスト:hoi

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

山吹・慧
初戦からこれ程の力を持つ方が現れるとは
思っていませんでした。
ですが、あなたの行動がこの世界を滅ぼすのであれば
阻止せねばなりません。

では、よろしくお願いします。
良い勝負にしましょう。(礼)

武器は使わずにこの身一つで正面から挑みましょう。
UC対策として、ハチマキで目隠しをして敵の行動は
【集中力】による【心眼】で把握します。
時間停止対策としては、【気功法】によりエネルギーを持つ
多数の【残像】を生みだす事で攪乱。【認識阻害】に
よって数秒間を凌ぎましょう。
敵の通常攻撃は【受け流し】から【カウンター】で
見栄え良く投げ飛ばします。
そして「これは我が最大の拳です」と宣言してから
【羅山天昇波】を放ちましょう。



「初戦からこれ程の力を持つ方が現れるとは思っていませんでした」
 アイドル☆フロンティアで勃発した「シャングリラ☆クライシス」。その幕開けから世界最強クラスのオブリビオンが直接前線に出てくるのは過去にも例の少ない事態である。山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)も驚きを隠せない。
「ですが、あなたの行動がこの世界を滅ぼすのであれば、阻止せねばなりません」
 今、彼がいるのは世界を侵蝕するアイドルステージ「アイドルナイツ☆アリーナ」。無骨な闘技場の如きステージの真ん中に立つのが『クオリナ・シンフォニー』だ。漆黒のアイドル衣装に身を包んだ可憐な少女だが、その身に秘めた力は途方もない。

「では、よろしくお願いします。良い勝負にしましょう」
 戦う前にまず一礼し、武器は使わずに身一つで正面から勝負を挑む。慧の振る舞いは観客の反応を意識したもので、少しでも応援の力を得るためだ。また、なぜかハチマキで自分の目を覆い、目隠しした状態でステージに立っている。
「こちらこそ……良い勝負になればいいのだけれど、ね」
 自意識を保ったままオブリビオンと化したクオリナだが、戦闘になれば手心を加えることはできない。たおやかな歌声で【ブラック・シンフォニア】を奏でれば、衣装もより豪華な漆黒の最強アイドルに変身し、その姿を目撃するだけで崇拝の念が湧き上がるほどの、圧倒的アイドルパワーを発揮する。

「見ずとも分かる、これほどの存在感。流石です」
 慧の目隠しはこのユーベルコードへの対策だった。肉眼を封じても敵の存在感が強いぶん、集中力による心眼で行動を把握するのは難しくない、と言ってもそれができるのは彼だからこそだが。次の一手を打たれる前に、今度はこちらから仕掛ける。
「参ります」
 気功法により体内の気力を練り上げ、エネルギーを持つ残像として放出。まるで分身の術のように複数の慧が一斉にクオリナに襲い掛かる。宿星に選ばれし熟達の玄武拳士の技は、もはや魔法にも匹敵する域に達している――しかし。

「停まって」
 クオリナが一言発すると、残像を含めた全ての慧の動きがピタリと止まる。時間を自在に操作する、彼女の恐るべきユーベルコードの力が、猟兵の行動さえ一時停止させたのだ。問答無用で動きを止められるのは数秒程度だが、それでもアドバンテージは絶大。
「散って」
 踊りながらの腕のひと振りで消し飛ばされていく残像。華麗にして容赦ない戦いぶりに観客から崇拝の念が集まる。
 それによってますますパワーを増したクオリナは、自らの時間を加速させ、アイドルナイツ☆アリーナを舞い踊る。

「……これで最後ね」
 全ての幻影が破壊され、残ったのは慧の本体だけ。拳を握ったまま彫像の如く動かない彼に、クオリナはどこか悲しげな表情で手のひらをかざし――集束した黒いアイドルパワーのオーラが完膚なきまでに敵を消滅させる、その刹那。
「なんとか間に合いましたか」
「えっ……」
 練り上げた闘気の防壁が、漆黒のオーラを受け流す。残像による撹乱と認識阻害を時間稼ぎに費やし、辛くも数秒間を凌ぎきった慧は、時間停止からの復帰後すぐさま状況を把握し、目の前の相手の腕を掴む。思わぬ事態にクオリナの瞳が丸くなった。

「あとコンマ1秒でも遅ければ、私の負けでしたね」
 もっと早く残像を殲滅されていたら、あるいは残像の中から本物の慧を見つけられていたら、カウンターの機会すらなかった。実力と幸運でチャンスを掴み取った慧は、また時間を止められる前に、見栄え良くクオリナを投げ飛ばす。
「これは我が最大の拳です」
 絶体絶命の窮地からの逆転劇。正々堂々とした態度。その最後を飾るような宣言に、観客席の期待が高まっていく。
 闘技場を包み込むようなサイリウムの光が、慧に力を与えてくれる。その全てを乗せるつもりで、彼は渾身の【羅山天昇波】を放った。

「今、全ての気が僕の味方ですよ」
「きゃっ……なんて、すごい力……」
 森羅万象の気と観客の応援を味方にして放つ拳撃は、天を貫くほどの衝撃波を生じ、黒きアイドルを吹き飛ばした。
 クオリナはかわいらしい悲鳴を上げて宙を舞い、すぐに体勢を立て直して着地する。殴られたお腹をさする彼女の表情は、純粋な驚きと賞賛に満ちていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
随分早く戦争になりましたね。
ですが、繰り言は無意味。正々堂々、|舞台《ステージ》の上で決着を付けましょう、クオリア・シンフォナー!

衣装は戦場に相応しく、スペインの闘牛士の衣装をアレンジしたマニッシュなもの。
帯剣はしていませんけど。

それでは参ります。「全力魔法」「範囲攻撃」炎の「属性攻撃」「歌魔法」「楽器演奏(竪琴)」「歌唱」「アイドルダンス」で幻朧舞踏鎮護曲!
私が爪弾く竪琴から、炎の翅を持った幻朧蝶たちが溢れ出て、あなたを燃やします。範囲はこのアリーナ一杯。それだけの範囲の時間を止められますか? 出来たとして、密集する炎の蝶をどうかわします?

観客の皆さん、私の「パフォーマンス」はいかがですか?



「随分早く戦争になりましたね」
 儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)を含む異世界の猟兵がアイドル☆フロンティアを発見してから、まだそれほどの年月は経っていない。にも関わらず戦争が勃発したあたり、この世界は当初から危機的状況にあったということだろうか。
「ですが、繰り言は無意味。正々堂々、|舞台《ステージ》の上で決着を付けましょう、クオリア・シンフォナー!」
 こうなったからには全力をもって世界を救うのみ。闘技場を模した「アイドルナイツ☆アリーナ」に相応しく、芽亜の衣装はスペインの闘牛士の衣装をアレンジしたマニッシュなもの。帯剣こそしていないものの、堂々たる立ち振舞で『クオリア・シンフォナー』に挑戦する。

「受けて立つわ。そして叶うなら、わたしを止めて」
 特異体質により自我を保ったままオブリビオン化したというクオリアは、自分の行動が世界を破滅させると分かっていても、止まることができない。世界を平和にしたいという気持ちは全て破壊衝動に塗り替えられ、全てを壊すまで踊り続ける。彼女が本心からできるのは、自分を倒してくれる存在の出現を願うことだけだった。
「それでは参ります」
 哀しきアイドルの願いを叶えんと、芽亜は【幻朧舞踏鎮護曲】を発動。アイドルダンスを踊りながら歌を奏でれば、爪弾く竪琴から炎の翅を持った幻朧蝶達が溢れ出て、アリーナ一杯に舞い広がる。音楽の力を操る能力者、フリッカースペードとしての技能を最大限に活かした、渾身のパフォーマンスだ。

「もういいの あなたは十分頑張った それは誰にも 否定させない だから――……」
 だが、歌詞の途中で芽亜の歌声が止まり、幻朧蝶の群れが空中で制止する。クオリナの背後に浮かぶ時計のオーラが高速回転し、アリーナ内にいる全ての存在の時間を停止させていた。これが彼女の時間操作ユーベルコード【クオリア・カプリース】だ。
「……時間の檻からは逃げられない」
 攻撃範囲をアリーナ全体にすれば、それだけの範囲の時間を停めるのは不可能ではないかと芽亜は考えたようだが、クオリアの力は予想以上であった。極めて強大な時間操作により、幻朧蝶たちは1匹残らず羽ばたくことさえできない。

「……でも、困ったわ」
 しかしクオリアもこの状況は完全に想定内というわけではなかった。アリーナ一杯に密集した炎の幻朧蝶は、停止状態でも炎の壁として行く手を阻む。芽亜に攻撃するために強引に突っ込めばいくら彼女でも無傷では済まないだろう。
「初めから、この状況を作るつもりだった?」
 時間操作の規模が自分の想定を凌駕している可能性を、芽亜も考えなかったわけではない。幻朧蝶を散開させる前に停止させられていたら、流石に打つ手はなかっただろうが――クオリアにそれができなかったのは、きっと彼女の【幻朧舞踏鎮護曲】に一瞬でも魅せられてしまったからだろう。

「……――心安らかに 逝きましょう」
 数秒の沈黙を経て、時は再び動きだす。芽亜が詠唱を終えると同時に、幻朧蝶は一斉にクオリアへと襲いかかった。
 停止が無意味であるならばと、クオリアは自身の時間を加速させて回避を試みるが――いかに彼女でも数百の大群は躱しきれるものではない。
「観客の皆さん、私のパフォーマンスはいかがですか?」
 芽亜の呼びかけに応えるように、観客席のサイリウムが大きく振られる。芸術的にも優れた彼女のユーベルコードは人々の心をがっちりと掴み、その応援はユーベルコードの威力を大幅に向上させる。葬送と鎮魂を司る鴇色の炎は、今やアリーナを灼き尽くさんばかりの猛火と化した。

「熱い……これが猟兵さんの、炎……」
 幻朧蝶の羽ばたきに焼かれたクオリアは、かすかに表情を歪めつつも感嘆した口調で呟く。この人たちならばもしかすると、自分を止めてくれるのではないかという希望が、彼女の心の奥で少しずつ芽生えはじめ――それを否定するかのように、時計の針は動き続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
対象の時間停止とは、厄介な能力ですね。
ですが、やりようが無い訳でもありません。
目に物見せてあげましょうね、精霊さん。

最初は名乗りを上げつつステージ上へ
「精霊寵姫、荒谷ひかる!推して参ります!」
不意打ち等はせず、正面から堂々と精霊銃を構えてみせ、銃撃戦を挑む
もちろん、時間停止は甘んじて受けますが問題ありません
何故ならば、わたしのコードの発動制御権は「わたしには無い」からです
(普段は精霊さんへ「お願い」することで発動してるが状況次第で勝手に発動してくれる)
時間停止に対し、カウンター気味に【本気の風の精霊さん】自動発動
わたしが動けなくとも無関係の、敵味方識別付き範囲攻撃で畳み掛けます!



「対象の時間停止とは、厄介な能力ですね。ですが、やりようが無い訳でもありません」
 どんな強敵でも絶対無敵のユーベルコードなんて存在しないことを、荒谷・ひかる(|精霊寵姫《Elemental Princess》・f07833)は知っている。アイドル☆フロンティア最強の1人と目される『クオリア・シンフォナー』であっても、完全なる時間停止には制限がある。そこに活路を見いだせるはずだ。
「目に物見せてあげましょうね、精霊さん」
 語りかける相手は森羅万象を構築する九つの精霊たち。ひかる自身はごく普通の少女でしかないが、精霊を愛し精霊に愛される天性の素養は、ある意味アイドルの才能にも近しいものがある。どんな敵が相手でも、精霊は彼女を守り、彼女と共に戦うだろう。

「精霊寵姫、荒谷ひかる! 推して参ります!」
 ひかるは名乗りを上げつつステージに上がり、堂々と精霊銃「Nine Number」を構えてみせる。興が冷めるような不意打ち等はせず、正面から銃撃戦を挑む気だ。黒いサイリウムで満たされた観客席が、新たな挑戦者の登場にどよめく。
「……わたしはクオリア・シンフォナー。どうか、わたしを止めて」
 対するクオリアは悲しげな調子で名乗りを返しながら時間操作ユーベルコードを発動。手に持っている懐中時計から【クロノス・アリア】が解き放たれ、周辺の存在を停止させていく。どれだけ本人が自身の敗北を願っていても、オブリビオンの本能はそれを許さなかった。

「舞い、踊り、奏でましょ……――」
 ひかるが何かを言うよりも、トリガーを引くよりも速く。彼女の身体は凍りついたようにピタリと動きを止める。
 時間停止はたった数秒でも、無防備な少女を殺すには十分過ぎる。感情を消し去ったような冷たい表情で、クオリアはとどめを刺そうと――。
「……きゃっ?!」
 その時、突風がひかるの周囲を吹き荒れ、鎌鼬がクオリアの指先を弾いた。まるで風が彼女を守ったような――否、この表現は比喩ではない。時間停止ユーベルコードに対するカウンターとして【本気の風の精霊さん】が自動発動したのだ。

「なぜ? 彼女の時間は奪ったはず……まさか」
 時間停止中はユーベルコードを発動することもできないはず。しかし「ひかるのユーベルコードの発動制御権は本人には無い」という制限が、今回は逆に抜け穴になっていた。普段は「お願い」することで言うことを聞いて貰っているが、彼女の魔法の主導権を握っているのは、あくまで精霊の側なのだ。
「……止めなければいけないのは、こっちだったのね」
 クオリアは時間停止させる対象を誤った。ひかるが動けなくとも風の精霊は無関係に動き、ひかるを害する「敵」と
認識したクオリアに竜巻や鎌鼬で攻撃を仕掛ける。もう一度時間操作で精霊を停止させることは可能だが――その間ニ今度はひかるの停止が解ける。

「……はっ! ありがとうございます、精霊さん!」
 意識が戻ったひかるは、精霊が停止中の自分を守っていてくれたことを察し、感謝の気持ちを伝える。人間と精霊の麗しき絆に観客達も感動し、多数の応援が彼女たちに送られる。それは【本気の風の精霊さん】のパワーをより高め、アリーナを揺るがす颱風に変える。
「この風……わたしの闇も、吹き飛ばしてくれそう……」
 クオリアはその突風を真っ向から浴びながら耐えているが、アイドル衣装が鎌鼬に切り裂かれて血飛沫が舞う。時間操作に抗う猟兵達の基点と堂々たるパフォーマンスは、徐々にではあるが彼女にダメージを蓄積させつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

何時も言う事だけど
何処の世界も俺達は絶対に破滅させない
全力で戦うよ

この世界だし少し気張って
去年の猟コレで誂えた陸井と色違いの衣裳で出る
架空の国の皇子の設定だしバッチリ

「往こう!」

向かい合い武器を合わせるのも見物になるかな
耳目は惹けると思う

此処まで打ち合わせ無し
流れるような動作で寸分違いなく出来る
舞台での動作はシンメトリーが綺麗に見えるよね

護の誓いの詠唱も今回は陸井に併せる
声が合わさって通ればより注目されやすい

時間停止とその間の攻撃にも
決して怯まない姿勢と屈服しない意志を見せ
「護るは我らが望み!」
台詞も陸井と呼応して魅せる

あくまで堂々と正攻法で
敵に刃を届かせてみせよう


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

何処の世界でも同じだよな
全力で、破滅させない為に戦いに行く

どんな戦いになるかって身構えてたが
小細工無しでガチの戦いなら大得意だ
世界に合わせて、去年の衣装で向かおうか
「それじゃ往こうか、相棒」

アイドルっぽくっていうのは解らないが
俺達はいつも通り、二人で合わせて
当たり前に動けばいいかな
これなら自信もあるしね
「演武みたいな感じなのかもだな」

後は敵の攻撃に対処する為に
護の誓いを二人で詠唱して
世界も、全ても護ると誓って

敵の時間停止には強化した姿で
どんな攻撃をくらったとしても
絶対に怯まないで、耐えきる様に
「この身で全て護り通す!」

正面から正々堂々突破して
相棒と同時に刃を叩き込む



「何時も言う事だけど、何処の世界も俺達は絶対に破滅させない。全力で戦うよ」
「何処の世界でも同じだよな。全力で、破滅させない為に戦いに行く」
 真に戦いへの覚悟を決めた者だけが招かれるという「アイドルナイツ☆アリーナ」で、葛城・時人(光望護花・f35294)と凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)は堂々と意思表明を行う。他の世界とは色々な意味で特殊なアイドル☆フロンティアでも、護るべきものがある限り彼らは戦う。
「どんな戦いになるかって身構えてたが、小細工無しでガチの戦いなら大得意だ」
「この世界だし少し気張っていこう」
 ステージに上がった彼らの格好は、去年の猟兵コレクションで誂えた架空の国の皇子という設定の衣裳。デザインは同じで陸井が黒、時人が青のカラーリングとなっており、バッチリ決まった立ち姿は男性アイドルユニットのようだ。

「それじゃ往こうか、相棒」
「往こう!」
 自然に向かい合い、互いの武器を合わせる2人。ここまで打ち合わせなしとは思えない、寸分違いのない流れるような動作だ。年季の入ったコンビ感と、舞台映えも意識したシンメトリーの動作に、観客席のサイリウムが激しく震える。現実空間なら黄色い歓声が上がっていただろう。
「……強い絆を感じる。どうか、壊れないで」
 2人の勇姿を見つめながら、クオリアは【ブラック・シンフォニア】を奏で、漆黒の最強アイドルに変身。並大抵のアイドルなど歯牙にもかけない卓越したパフォーマンス、そして圧倒的なカリスマ性が、目撃者に崇拝の念を抱かせる。

「「この字にかけて!」」
 クオリアのカリスマに屈さぬよう、陸井と時人は【護の誓い】を2人で詠唱。声が合わさって通ればより注目を集め、翻る『護』の一文字が観客の視界に焼き付けられる。この文字こそが銀誓館時代から変わらない、世界も全ても護るという彼らの誓いの象徴だ。
「「団是にかけて!」」
 魂に刻んだ正義の誓いが、能力者としての全盛期を2人に取り戻させる。白燐蟲を纏った時人が錫杖で打ち掛かれば、陸井はガンナイフで援護射撃。いつも通り2人で合わせて当たり前に動くだけで、洗練されたコンビネーションは人々を魅了する。

「演武みたいな感じなのかもだな」
「受けてるみたいだし、このまま続けよう!」
 アイドルっぽくというのは解らなくても、これなら自信もある。観客席からも、こちらへの応援の心とパワーを感じる。勢いに乗った陸井と時人は、そのままクオリアに同時攻撃を仕掛けるが――そこで彼らの意識と記憶は途切れた。
「強い絆……それでも時の鎖からは逃れられない」
「「ぐうっ?!」
 気付いた時には、彼らはアリーナの端まで吹き飛ばされていた。これを「一瞬の出来事」と感じるのは彼らだけで、実際には数秒間が経過している。クオリアの時間操作ユーベルコードが2人の時間を止め、その間に攻撃を受けたのだ。

「今のが時間停止……」「実際に食らうと脅威だな」
 防御も回避も事実上不可能。あくまで短時間しか動きを止められないのは救いだが、それでも今の衝撃で相手の恐ろしさは十分理解させられた。これがアイドル☆フロンティア最強クラスのオブリビオンの実力――だが、それでも彼らは決して怯まない姿勢と、屈服しない意志を見せる。
「護るは我らが望み!」
「この身で全て護り通す!」
 2人で台詞も呼応させ、今一度【護の誓い】を叫ぶ。時間停止中に戦闘不能にされずに済んだのも、この誓いによる強化があればこそだ。背負いし『護』の信念にかけて、どんな攻撃を食らったとしても耐えきってみせる。その揺るぎない意志が観客を魅了する。

「誓い……それがあなたたちの、力の源……」
 なおも時間操作による攻撃を受けながら、2人の猟兵はあくまで堂々と正攻法で向かってくる。その勇姿に心動かされたのはクオリア・シンフォナーも同じだった。黒きオーラの奔流を浴びせても、心を挫く歌を奏でても、彼らは止まらない。
「「これが、俺達の全力だ!」」
 そして遂に、2人の刃は最強のアイドルに届く。唱和するセリフとシンメトリーな構えから叩き込まれた、記憶の錫杖と『護』のガンナイフの一撃は、観客の応援を乗せて何十倍も威力を増し。たまらず吹き飛ばされながらも、クオリアはどこか喜びにも似た表情を浮かべていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
私こそは悪夢の滴
いわばアイドルという夢の存在に滅びをもたらすものです

あらゆる物質の時間を操作する、ですか……なるほど
では「物質以外」ではいかがです?
夢の中に入り込んだ私に手出しができますか?

無論、夢もまた人の意識、脳の機能がもたらすものである以上
完全無効化はできないでしょうが攻撃の軽減はできるはず
オーラと結界を二重に展開し攻撃に耐え
時間停止が途絶えた瞬間を第六感で見切り反撃です

衣服「月よ貌をそむけよ」を変化させアイドル衣装にチェンジ
さあアイドル対決と参りましょう
残像で無数の私のアイドルグループを作り出し
鮮血の雨をステージ演出としてクオリアさんに浴びせます
時を統べる?私はその時さえ溶かすのです



「私こそは悪夢の滴。いわばアイドルという夢の存在に滅びをもたらすものです」
 アイドル☆フロンティア最強のアイドルの1人が相手でも、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は堂々と言い切った。
 悪夢の力を希望への道標へと変え、暗黒の過去から希望の未来へと進む。それが彼女の信念であり、このアイドル☆フロンティアでも変わらぬ使命だからだ。
「それが本当なら、どうか終わらせて……わたしの悪夢を」
 アイドルナイツ☆アリーナに上がってきた魅夜の宣言に対して、『クオリア・シンフォナー』は【クオリア・カプリース】を発動。背後に浮かぶ時計のオーラが高速回転しながら広がっていき、ステージ上のあらゆる物質の時間が停滞する。

「あらゆる物質の時間を操作する、ですか……なるほど。では『物質以外』ではいかがです?」
 完全に時を止められる前に、魅夜は夢の中に入り込む。最強のアイドルでもここなら手出しはできない――と、安直に考えたわけではない。夢もまた人の意識、脳の機能がもたらすものである以上、時間操作の完全無効化は不可能だ。
(ですが攻撃の軽減はできるはず)
 現実空間における実体を捨て、精神や意識体に近い状態になった魅夜は、さらにオーラと結界を二重に展開して攻撃に備える。時間が停止してもこれらの防御措置が消滅するわけではない。完全に無防備になる数秒間を、なんとしてでも耐えきる構えだ。

「あなたの夢、壊したくない……なのに壊してしまう……」
 周囲の時間を減速させるのとは逆に、クオリアは自身の時間を加速させることもできる。ダンスパフォーマンスに組み合わせた格闘技、魂を揺さぶる歌唱力、全てを滅する漆黒のオーラ――数秒間で数分に相当する攻撃が、時間停止中の魅夜に叩きつけられる。
「……まだ、壊れないの?」
 しかし結界を破られてもオーラを剥がされても、夢の中の魅夜は健在だった。軽減を考慮しても大きなダメージを受けているが、悪夢に致命傷をもたらすにはまだ足りない。予想外のしぶとさにクオリアが驚くうちに、数秒という時間はあっという間に過ぎる。

「さあアイドル対決と参りましょう」
 時間停止が途絶えた瞬間を第六感で見切った魅夜は、身に纏っている「月よ貌を背けよ、星よ瞬くな」のデザインをアイドル衣装にチェンジ。残像で無数の自分によるアイドルグループを作り出し、【降りしきれ鮮血の愁雨、運命を書き換える魂の滴りよ】で反撃の狼煙を上げた。
「世界の傷よ血を流せ、狂える運命に報いを与えよ」
「きゃっ……!」
 真っ赤な鮮血の雨が演出としてステージに降り注ぎ、クオリアに浴びせられる。これはただの雨粒ではなく、物理・呪術・魔術・超能力などあらゆる攻撃を反射する。アイドルナイツ☆アリーナに展開されていた時計のオーラが、塗り替えられるように消えていった。

「時を統べる? 私はその時さえ溶かすのです」
 降りしきる鮮血の雨の中、堂々たるパフォーマンスを披露する魅夜。その自信に満ちた演技は観客の心も惹きつけ、応援がユーベルコードの威力を増幅する。この瞬間彼女の力はクオリアの【クオリア・カプリース】を凌駕していた。
「ああ……すごい。なんて恐ろしい悪夢……」
 その身を時空間もろとも溶かされながら、クオリアは恐怖と喜びに打ち震える。ヒトとしての自意識を保ったまま、オブリビオンとして望まぬ破壊を続ける自分に、滅びをもたらさんとする悪夢――それは彼女にとって紛れもない救済であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シビュラ・ヴェルムリープ
時間停止UC……問答無用の停止
ならば、その後に回復すれば良いだけの話なのだわ!

UCを発動
『支援効果』を146倍強化する魔想紋章を146個同時に使用し、莫大な支援効果を以て正々堂々と応援を受けて対峙
時間操作の攻撃を受けた後、時間停止の効果が解けたと同時に変身後数日に渡り最高の状態を維持する星霊へと変身
1分後の遅延したダメージを『最高の状態維持』でダメージフィードバックを対応
そのまま、莫大に膨れ上がった『支援効果』…応援による強化を受け、正々堂々と見栄えのいい魔法戦を開始
星霊と魔想紋章を織り交ぜた、美麗な魔法による終焉破壊を魅せてあげるわ



「時間停止ユーベルコード……問答無用の停止。ならば、その後に回復すれば良いだけの話なのだわ!」
 どうあっても抵抗はできないと分かっているなら、受けた上で死ななければいい。シビュラ・ヴェルムリープ(光桜天樹スプリールの聖女・f39562)は【星輪の終焉破壊・星霊となり施しを崇高に導け】を発動し、146個の魔想紋章を身に宿してステージに上がった。
「終焉を破壊せよ、我が星の輪! 星霊となる紋章を胸に抱く崇高、その昇華による霊威を以て、その終焉に終焉を!」
 朗々と詠唱を紡ぎ、莫大な支援効果を以て堂々と『クオリア・シンフォナー』と対峙する少女に、観客席からも応援が送られる。この応援も「支援効果」にカウントされるなら、彼女の紋章とアイドルステージの相性は抜群と言えるだろう。

「綺麗な星……どうか墜ちないで」
 星霊の輝きを宿した紋章群を眺め、クオリアは【クオリア・カプリース】を発動。再び展開される時計のオーラは、ステージ上に存在する物質の時間を強制的に停滞させ――呼吸や鼓動の音さえも聞こえない、完全なる静寂が訪れる。
「あなたに、わたしが倒せるなら……耐えてみせて」
 誰も傷つけたくない、世界を平和にしたいと願っていながら、オブリビオンとしての宿命から、クオリアの想いは全て破壊衝動に変換されてしまう。アイドルとしての圧巻のパフォーマンスと、時間加速を利用した超高速攻撃が、時間停止中のシビュラに叩きつけられる。

「これで……終わり」
 永遠のように長い数秒が過ぎ、時間停止の効果が解ける。感情の消えたまなざしでクオリアが見つめる先、満身創痍のシビュラはゆっくりとその場に崩れ落ちる――かに思われたが、そこで展開されていた魔想紋章が効果を発揮する。
「いいえ、ここからが本番なのだわ!」
 全ての観客に届くよう高らかに宣言しながら、光桜天樹の聖女は星霊へと変身を遂げる。この姿になったシビュラは数日に渡り最高のコンディションを維持できるほか、受けたダメージを1分間遅延可能になる。時間停止中のダメージも先送りにされた結果、あったはずの負傷は幻のように消え去る。

「星霊と魔想紋章を織り交ぜた、美麗な魔法による終焉破壊を魅せてあげるわ」
 1分後に訪れるダメージフィードバックに備えて最高の状態を維持しながら、星霊シビュラは「星輪の天啓杖」を掲げて、正々堂々と見映えのいい魔法戦を開始。空中に描かれた紋章から流れ星のような光弾が放たれ、色とりどりの軌跡を描いて飛んでいく。その見惚れるほど美しい光景に、観客の視線は釘付けだ。
「すてき……」
 紋章の作用で莫大に膨れ上がった「支援効果」――応援による強化を受けたシビュラの魔法は、さらに輝きを増してクオリアに降り注ぐ。アイドル☆フロンティア最強のアイドルは、その光をまぶしそうに見上げ、感嘆の呟きを漏らしながら呑み込まれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
時間停止とはまた厄介な……しかも強制力が高いと来た
…それでもまあ……数秒ならばやりようはある……かな……
黎明剣【アウローラ】に光熱属性を付与……そして【暁天踊る集い星】を発動……
自分の周囲に極小の煌めく刃の花びらを展開しよう…
…数秒しか時間を止める事が出来ないのであれば有効なのは足止め…
…多重に展開した刃の花びらを除けての接近は困難だろう…
…動けるようになったら刃の花びらの一部を束ねて輝く剣に変えて攻撃を仕掛けるとしようか…
相手は治癒力も上がってるだろうから光矢の術式による攻撃も交えて一気にたたみかけるとしよう…



「時間停止とはまた厄介な……しかも強制力が高いと来た」
 猟兵の行動すら問答無用で停止させる『クオリア・シンフォナー』の時間停止ユーベルコード。様々な世界の技術や魔法の知識を持つメンカル・プルモーサ(星導の魔女・f08301)から見ても、その能力は非常に危険と言わざるを得なかった。
「……それでもまあ……数秒ならばやりようはある……かな……」
 その数秒さえどうにか凌げればまだ勝算はあると、彼女は黎明剣【アウローラ】に光熱を付与。濃紺の刀身が東雲色を経て白色に輝き、夜明けの如くアイドルナイツ☆アリーナを照らす。観客とクオリアの視線はその光に惹きつけられた。

「我が剣よ、歌え、踊れ。汝は残星、汝は晨明。魔女が望むは彼誰煌めく星嵐」
 メンカルが詠唱を紡ぐと、アウローラの刀身は花が咲くようにほころび、無数の花びらとなって分裂する。それぞれが武器の属性を保持した極小の刃。もし触れれば「痛い」では済まない、美しくも危険な【暁天踊る集い星】である。
「……きれい……でも、ごめんなさい」
 メンカルがユーベルコードを発動するのとほぼ同時に、クオリアも【クロノス・アリア】を発動していた。懐中時計に宿る時間操作の歌が解き放たれると、ステージ上のあらゆる存在が停止していく。彼女に危険をもたらす敵は、ここでは動くことさえ許されない。

「これであなたは攻められない……」
 花びらごと時間停止した無防備なメンカルへと、クオリアは遠距離攻撃を仕掛ける。莫大なアイドルパワーを乗せた歌声やオーラは、それ自体が心身を打ちのめすほどの衝撃をもたらす――ただし、距離があるぶんダメージはいくらか軽減される。
(……数秒しか時間を止める事が出来ないのであれば有効なのは足止め……多重に展開した刃の花びらを除けての接近は困難だろう……)
 時間を止められる前、メンカルはそのように考えていた。自身の周囲に展開した【暁天踊る集い星】は、相手を牽制するための布石。止まっていても光熱付与した刃の殺傷力は据え置きなため、クオリアでも迂闊には近づけないのだ。

「……わたしも攻めきれなかったわね」
 結局、たった数秒ではクオリアも相手を仕留めきることはできなかった。時間停止が解除され、動けるようになったメンカルは全身に痛みを感じるが、まだ戦闘継続は可能であることを確認。即座に刃の花びらの一部を束ね、輝く剣を錬成する。
「次は私の番……倍返しといこう……」
 演出としても非常に見映えのいいユーベルコード、そしてクオリアの攻撃を真っ向から受けきったことで、メンカルを応援する観客の数も増えている。その力も上乗せして彼女は光矢の術式を詠唱。流星の如く光を放ちながら、刃の花びらとともに攻撃を仕掛けた。

「一気にたたみかけるとしよう……」
 時間操作の歌の応用により、現在のクオリアは治癒速度も向上している。生半可な攻撃ではすぐに回復されると見込んで、メンカルは全ての術式を攻撃に注力した。舞い散る花びらによる光熱と刃が、漆黒のステージ衣装を切り裂き、光矢の連射が肌をかすめ、隙ができたところに輝剣の一閃を見舞う。
「……すてきな光……」
 星々の饗宴の如き鮮烈な連撃をその身に受けて、クオリアは血を流しながらも賞賛を伝える。時間操作の歌を乗り越えて自身に勝利しうる存在の到来こそ、彼女が待ち望んでいたもの――世界が滅びる前に自分を倒して欲しいという、彼女の願いは叶いつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ムゲン・ワールド
アドリブ連携歓迎

「なんとも見た目麗しいお嬢さんだ。しかも、人に操られているときている。これはお助けしてこそ、愛に生きる人間というもの。|起動《イグニッション》!」
 と、見栄を切って【パフォーマンス】し、《イグニッションカード》を使用し、装備を展開。

 仕込み杖を抜刀し、真正面から構える。
「お嬢さん、私は必ずあなたを助けてみせます。そのためにも、今はご無礼をお許し下さい」
 などと、【パフォーマンス】(嘘偽りない本心だが

 敵の攻撃を【受け流し】ながら、【コミュ力】【誘惑】【お誘い】で口説き文句を述べながら(可能なら口説き文句とその応対が多少あると嬉しいです! お任せで!)、回避を続ける。時間停止等で回避出来ない攻撃は【激痛耐性】で耐える。
「この程度の可愛い攻撃で、私の愛は止まりませんよ」
 隙を見つけたら、UCで攻撃。

「麗しいお嬢さん、確かあなた、何も忘れないんでしたよね? だったら、覚えていてください。きっと必ず、あなたを救う方法を見つけて見せます」



「なんとも見た目麗しいお嬢さんだ。しかも、人に操られているときている。これはお助けしてこそ、愛に生きる人間というもの。|起動《イグニッション》!」
 と、見栄を切ってパフォーマンスし、イグニッションカードを掲げると、収納されていた装備が瞬時に展開される。
 かつては「協会」の元・暗殺者にして銀誓館学園の能力者、そして現在は猟兵であるムゲン・ワールド(愛に生きたナイトメア適合者・f36307)は、仕込み杖を抜刀し、真正面から構える。
「お嬢さん、私は必ずあなたを助けてみせます。そのためにも、今はご無礼をお許し下さい」
 などと王子様のようなセリフを臆面もなく言うが、これはパフォーマンスながら嘘偽りない本心でもある。彼は昔から女性好きで、特に可愛らしい女性型オブリビオンにはめっぽう甘いところがある。それが本人の意に反してオブリビオン化した相手なら尚更である。

「信じていいのかしら、あなたの言葉……」
 口ではなんとでも言えても相手はアイドル☆フロンティア最強クラスのオブリビオン。『クオリア・シンフォナー』は哀しげなまなざしでムゲンを見つめながら【クオリア・カプリース】を発動。高速回転する時計のオーラで自身の時間を加速させながら、周囲の時間を減速させていく。
「その憂いのある表情も素敵ですが、あなたのような可憐なお嬢さんには――」
 流れるように口説き文句を述べるムゲンの滑らかな口が、突然ピタリとストップする。猟兵であっても抗う事のできない数秒の完全停止。この間にクオリアは華麗なダンスパフォーマンスを披露しながら、超高速の打撃を叩き込んだ。

「――笑顔のほうが似合いますよ」
 だが、無防備な停止中に攻撃を食らったはずのムゲンは、時間が動き出せば何事もなかったようにセリフを続ける。
 痛みが無いわけではないが、耐えるのには慣れている。愛に生きた青年はかつての青春をもう一度繰り返すように、堂々とアプローチを仕掛ける。
「どうか、もっと傍であなたの顔を見せてくれませんか?」
「……ごめんなさい。わたし、これでもアイドルだから」
 そういうのにはちょっと困った顔を見せつつ、クオリアは時間加速を活かした格闘やオーラによる攻撃を浴びせる。
 だが非停止状態では仕込み杖で受け流され、停止させても決定打には至らない。死と隣り合わせの青春を生き抜いた男の活力は大抵のものではなく、その潔い戦いぶりは次第に観客の応援を集めていく。

「……どうして、倒れないの?」
「この程度の可愛い攻撃で、私の愛は止まりませんよ」
 困惑するクオリアにキザな言葉を返し、お誘いを続けるムゲン。こんなに熱烈なアプローチを受けたことは、彼女の記憶でも滅多にないことだろう。オブリビオン化しても保たれてきた年相応の少女らしいメンタルが、最強のアイドルに隙を生む。
「それでは続きは悪夢の中で」
 その間隙を逃さず、ムゲンは【悪夢刺突撃】を発動。直前まで友好的に会話を繰り広げていた分のギャップが、悪夢エネルギーを纏った仕込み杖を加速させ、時間操作をもってしても回避不可能な速度の一撃がクオリアの胸を穿った。

「麗しいお嬢さん、確かあなた、何も忘れないんでしたよね? だったら、覚えていてください。きっと必ず、あなたを救う方法を見つけて見せます」
「ぁ……覚えて、おきます……」
 胸を貫かれる痛みも、甘い口説き文句も、記憶を忘れられない特異体質者であるクオリアは全て覚えているだろう。
 彼女がムゲンに対して抱いたのはかすかな期待――世界を破滅させるオブリビオンの宿命から解き放たれる、可能性そのものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんく――んでっすよー!
あやー、早速止められちゃいまっしたかー。
時間操作の歌が、急に飛んだように聞こえましたからねー。
でっすが、ええ。
止められるのならそれさえもパフォーマンスに組み込んじゃえばよいのでっす!
踊るのでっす!
時間停止の歌に合わせて!
当然止められるでしょう。
流れが途切れる……それはダンスには致命的、だなんてことはないのでっす!
激しい動きから急停止することで魅せるダンス、即ち!
ロックダンスなのでっすよー!
当然、ロックダンスは止まるのであり、止められるのではないのでっすが!
そこはポジティブに考えるのでっす!
本来止まれないところでさえ、止まれれるのだと!
お嬢さんと一緒だからこそ、あり得ないロックダンスを踊れるのです!
いつ止められてもポーズとしてカッコがつくよう計算しながら踊るのでっす!

応援を受けたダンスはきっと、自分を止めてと願っているお嬢さんにも届くのでっす。
無意識のままに、自身の治癒力過剰向上等による自滅……。
きっとそれが、自分では止まれないからこその幕の閉じ方なのでっす。



「藍ちゃんく――んでっすよー!」
 いつもの挨拶と共にステージに上がった途端、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は早くも違和感を抱いた。今回の相手は時間操作能力を使う――あらかじめ話を聞いていなければ、なにが起きたのか解らなかったかもしれない。
「あやー、早速止められちゃいまっしたかー。時間操作の歌が、急に飛んだように聞こえましたからねー」
「ええ。このステージの時間はもう、わたしの思うがまま」
 突然世界がコマ落ちになったような感覚。実際にはその数秒間、時を止められていたのは藍のほうだ。『クオリア・シンフォナー』はすでに【クロノス・アリア】を発動し、アイドルナイツ☆アリーナ全域に時間操作の歌を鳴り響かせている。

「でっすが、ええ。止められるのならそれさえもパフォーマンスに組み込んじゃえばよいのでっす!」
 このくらいのことで挫けはしないと、藍は時間停止の歌に合わせて踊りだす。魅力的なパフォーマンスで観客の応援を集めるのはアイドルステージの基本だ。だからクオリアも黙ってそれを見過ごさず、当然時間停止で妨害してくる。
「残念だけど、あなたの自由には……あら?」
 流れが途切れる――それはダンスには致命的、だなんてことはならなかった。振り付けの途中で停止した藍のポーズが、妙に様になっているのにクオリアは気づく。1度だけなら偶然かもしれないが、数秒後に動き出してまた止めてみても、やっぱり何故かカッコいい。

「激しい動きから急停止することで魅せるダンス、即ち! ロックダンスなのでっすよー!」
 それはアイドルダンスとは異なるストリートダンスの系譜であり、突然動きを止めてポーズを取るスタイルの特徴から|錠前《ロック》の名が付いた。もちろん、本来のロックダンスは止まるのであり、強制的に止められるのではないのだが――。
「そこはポジティブに考えるのでっす! 本来止まれないところでさえ、止まれれるのだと!」
 いつ止められてもポーズとしてカッコがつくよう計算しながら踊ることで、時間停止も演技の一部として取り込み、単独では不可能なパフォーマンスを実現する。クオリアが藍を"ロック"するたびに、観客は盛り下がるどころか喝采が沸き起こった。

「お嬢さんと一緒だからこそ、あり得ないロックダンスを踊れるのです!」
「こんなパフォーマンスが、あったなんて……」
 観客の応援を受けた藍のダンスは、同じステージに立つクオリアにも届く。自意識を保ったままオブリビオンとして世界の破滅に加担させられ、心の奥で「自分を止めて」と願ってきた少女は、無意識のままにユーベルコードで自身の時間を加速させ、治癒力の過剰向上による自滅を誘発する。
(きっとそれが、自分では止まれないからこその幕の閉じ方なのでっす)
 己の針を己で動かせないなら【星の瞳】で手助けしよう。最高のパフォーマンスを披露する藍に呼応して【クロノス・アリア】もクライマックスに。神秘的なメロディが最後の"ロック"にあわせて鳴り止み――それと共に、クオリアの時間も終わりを迎えた。

「嗚呼……ありがとう……わたしを止めてくれて……」
 砕けていく時計のオーラ。手からこぼれ落ちる懐中時計。猟兵との戦いに敗れたクオリア・シンフォナーは、穏やかな表情でアイドルナイツ☆アリーナから去っていく。望まずして宿敵に従わされていた彼女にとって、この敗北は紛れもなく救いであった。



 かくして猟兵達はアイドルナイツ☆アリーナの激闘を制し、クオリア・シンフォナーに勝利する。
 だが、アイドル☆フロンティアの未来を巡る戦いは終わっていない。シャングリラ☆クライシスは次のステージへ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年09月10日


挿絵イラスト