Plamotion First Battle
日下部・香
【夏のプラクト】(月隠・新月(f41111)と)
(新月とは同背後なので、登場文量等はお気遣いいただかなくともOKです)
▼内容
企画の夏休みノベルをお願いします。
大まかな内容としては、アスリートアースの夏のプールサイドでプラクトを楽しむ香と新月の様子をお願いしたいです。細かいシチュエーション等はおまかせします。アドリブも歓迎です。
(ふたりとも水着イラストがないので普段の戦闘用衣装での参加とさせてください)
全体的な雰囲気としては、夏らしい明るく爽やかな感じにしていただけると嬉しいです(香は割合真面目な理由でプラクトに参加しようとしていますが、プレイヤーとしてはせっかくの夏休みなのでPCに楽しい思い出ができたらいいなと考えています)
▼香について
ケルベロスディバイド出身の猟兵(ケルベロス)です。大学1年生。
ケルベロス・ウォーの影響でデウスエクスの地球侵略の勢いが弱まったことを受け、大学の夏休みを利用して新月と色々な世界を回っています。『またデウスエクスが攻勢を強めてきても対抗できるよう、今のうちに見聞を広げたい』と香は考えています。
新月は香にユーベルコードを教えた師。香は家族のように思っています。新月のことは尊敬していますが、わりと気安い仲でもあります。
年上に対しては基本的に敬語で話します。
▼行動
アスリートアース……スポーツで戦うって凄い世界だな。私には想像もつかない……けど、だからこそ得られるものがあるはずだ。
公式競技とその他スポーツっていうのがあるのか。知らないスポーツも多い。これは……『プラクト』? なるほど、プラスチックホビーを操る競技か。普通に体を動かすのとは違いそうだ。
なあ新月、これやってみないか? 新しい戦い方とかユーベルコードとかのヒントになるかもしれないし、もしかしたらここでの経験が決戦配備を作る助けになるかも……な?
ルールとかはわからないから、できればこの世界の人に教えてもらえると助かるよ。
参加するのはバトルコースにしようか。
で、まずはプラスチックホビーを作るところからかな。とりあえず水陸両用にして……んー、能力のバランスがいいものにしようか。プラクトはやったことないし、最初は扱いやすいものの方がいいだろう。
さすがに水着は持ってきてないから、競技の時はいつもの戦闘用衣装(忍装束)にしようか。この装束は水中戦も可能な仕様で……暑そう? まあ、それはそうだな。術がかけてあるから実際にはそう暑くないんだが。
この競技って個人戦なのかな、それともチーム戦かな? 新月と競うのも、一緒に戦うのもどっちも面白そうだ。
しかし、普段はこう、何かを操ったりとかしないから結構難しいかも。弓矢の制御くらいはするが、やっぱり勝手が違う。
難しい、けど楽しいな。スポーツってあんまりやったことないんだけど、いいものだな。
今回学んだことを忘れないように、ノートにまとめておかないとな。
月隠・新月
【夏のプラクト】(日下部・香(f40865)と)
(香とは同背後です。シチュエーション等は香側に記載しています)
▼新月について
ケルベロスディバイドのオルトロスです。日下部家(香の家)に居ついています。
香の夏休み期間中に、共に色々な世界を回っています。主な目的は知識を広げることですが、純粋に目新しいものを楽しんでもいます。
香との付き合いが長い関係で人間の文化について大抵のことは知っていますが、適当な理解をしていることも多いので知識の精度はまちまちです。
香とは十年以上の付き合いで、妹分扱いしています。気安い間柄ではありますが、香にとって頼もしい存在でありたいという気持ちはあるようです。
味方・仲間に対しては基本的に丁寧語で話しますが、香に対しては素の口調で話します。
▼行動
アスリートアースの戦い方はかなり独特だ。だが、だからこそ学ぶべきことがあるというのは一理ある。せっかく世界を巡っているのだ、新しいものに触れなくては。
スポーツ、というのは未だに理解しがたいが、知識としてはある。人間が身体能力や技術を競っているあれだろう。
何、『プラクト』? ふむ……香の弟が持っている人形に似ているか? まあ、何事も経験だ。やってみればいいんじゃないのか……俺も一緒にやらないか、と?
……猟兵はどんな外見でも住民に違和感を与えない特性をもってはいるが。ここの競技は基本的に人間の参加を想定しているのではないか? まあ、俺も参加できるか一度確認してみて、可能であれば参加しよう。無理は言うまい。香の応援をするのも一興だからな。
なるほど、競技用の人形は自作か。俺も武器は自前で用意しているから、少し通ずるものを感じる。
人間ほど前足は器用に動かないが、念動力や魔術を使えば道具の制作は十分可能だ。
俺なら、まずは扱いやすいプラスチックホビーを作るな。尖った性能のものもいいが、初心者であれば基本的なものを試すべきだろう。……何だ、香も同じような考えか。
競技場所は水場の近くか、これはいい。夏の日差しがきついのは黒い被毛を持つものの定め、魔術で冷やしてはいるが、やはり水に入って涼みたいのが獣の性。しかし、濡れると体を振るいたくなるのも獣の性、水につかるのは我慢するとしよう。そこらじゅう濡らすわけにはいかん。
ふむ、香は操作に少し苦戦しているか? 普段戦う時は自ら武器を振ることが多いからな、無理もない。その分、いい経験にはなるだろう。
俺は普段から魔力で操作する武器を扱っているし、召喚物をユーベルコードで操作することもあるが……この『プラクト』の操作感はやってみなければわからないな。似通ったところがあるかもしれないし、まるで別物かもしれない。
やはり、知らない事柄に触れるのは面白い。この世にはまだまだ未知が溢れているが、もうお前の夏休みも終わり……何、大学は9月も夏休みだと? なぜそれを先に言わないんだ、香。
●君たちが作って、君たちが戦う
猟兵に覚醒した者は、世界が一つではないことを知るだろう。
ただ一つの世界であっても広大である。
一つの世界を知るということは、ただそれ一つだけであっても人の一生掛けても理解しきれるものではない。言うに及ばず、である。
しかし、猟兵は世界が一つではないことを知ってしまう。
新しきものを見れば、好奇心が抑えられない。
「アスリートアース……超人アスリートばかりだって話だけれど、スポーツで戦うってすごい世界だな。私には想像もつかない」
日下部・香(断裂の番犬・f40865)はケルベロスディバイド世界からオルトロスである月隠・新月(獣の盟約・f41111)と共にアスリートアースへとやってきていた。
「かなり独特な世界だと言っていい。だが、だからこそ学ぶべきことがある。そうだろう?」
「ああ、得られるものがあるんじゃないかと思うんだ」
二人は、とりわけ知識的な意欲の旺盛な猟兵であった。
知らないを知る。
故に、未知を求めてしまう。
彼女たちは己たちの世界――デウスエクスの侵攻に晒され続けるケルベロスディバイド世界とは異なる争いの一端を見せるアスリートアースの世俗というものを学ぼうとしていた。
超人アスリートひしめくアスリートアース。
過去の化身、オブリビオンはダークリーガーと呼ばれ、スポーツによる勝負によってアスリートたちをダーク化してチームに引き込んでいく。
「スポーツというのは未だに理解しがたいな。知識としては理解しているが」
新月からすれば、争いが死で決着しないという点がどうにも受け入れ難いのかもしれない。
ただ競い合うだけで勝敗が決する。
それが競技性として担保されているというのが、ある種の高度な知性によってのみ成されているのではないかと思わざるを得なかった。
「この世界では、公式競技とその他スポーツ、に大別されるみたいだね。サッカーにテニス、野球、プロレス……ここらへんは聞き覚えがあるな。けれど、その他スポーツっていうのは……『ぐるぐるバット』?『プラクト』? なんていうのがあるみたいだ」
「何、『プラクト』? なんだそれは」
新月の言葉に香は、ちょっと待ってと、訪れたアスリートアースのとある商店街の掲示板を見上げて手で制する。
「なるほど、プラスチックホビーを操る競技なんだ。普通に体を動かすのとはまた違ったものがありそうだ」
「プラスチックホビー? ふむ……香の弟が持っている人形みたいな、ものか?」
「どうやらそれを自分で作って、自分で動かす競技みたいだな。なあ新月」
「解っているよ。やってみたいんだろう? いいじゃないか。やってみれば」
「いや、新月、一緒に、だよ。新しい戦い方とかユーベルコードとかのヒントになるかもしれない」
「……だが」
新月は己の体を、体躯を示す。
オルトロスの体躯は、人間と違って四足歩行である。
猟兵である身であるがゆえに違和感を与えない特性によって、商店街にいてもパニックにはならない。
この競技は大抵、人間の参加を想定しているはずだ。
そもそも参加できるのか?
「もしかしたら、ここでの経験が決戦配備を作る助けになるかも……な、試してみないことには始まらない。そうだろう?」
「……無理であれば潔く香の応援に回るぞ?」
「それでいいよ」
そう言って二人は商店街の片隅にあるという模型店へと足を向ける。
季節は夏。
商店街の片隅にある『五月雨模型店』の店内は冷房が効いていた。
ひんやりとした空気に二人は、通りの熱気から開放されたように口角を緩めた。
「涼しい……」
「いらっしゃい!」
彼女たちに声をかけたのは、どう見ても小学生ほどの女児であった。
どう見ても店の手伝い、というわけではないようだ。
見かけない顔に彼女は駆け寄ってきた。
「ええと、店主は、君か?」
「いや? 私は『アイン』! 強いて言うなら常連かな!」
常連なのに店番みたいなことをしているのか、と香たちは思ったが、ここに来ればプラスチックホビーが手に入ると思ったのだが、それは間違っていないようだった。
店内の棚には所狭しと多くのプラスチックホビーの箱が並べられているし、ショーケースには完成したであろうプラスチックホビーが居並ぶ。
「あ、もしかして『プラクト』やろーって思ってんだろ! いいぜ、初心者は大歓迎だからな!」
『アイン』と名乗った少女はにっこり笑って胸を叩いた。
香たちは知らないことであったが、彼女はチーム『五月雨模型店』として『プラクト』の第二回世界大会の覇者でもあるのだ。
「そうなんだけれど……本当に何も知らないんだ。良ければ教えてほしい」
「お! そういう感じ? なら、説明するぜ!」
彼女は語る。
『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』はプラスチックホビーを自ら作り、動かして競う未公式競技である。
君が思い描き、君が作って、君が戦う。
文字通り、己の創造心を形にし、自ら動かす。
心技体。
これが揃わなければ勝利すら覚束ない。
プラスチックホビーの種類は人型に限ったものではない。
モンスターのような特異な形状であってもいいし、プラスチックホビーであればなんだっていい。
とにかく『ユーベルコード発生装置』をプラスチックホビーに組み込んでいればいいのだ。
これによってプラスチックホビーはフィールド内で操縦者の意のままに動かすことができる。
「操縦方法は、二種類!」
ピースサインを作る『アイン』。
「自分の体の動きをトレースしてプラスチックホビーが同じ動きをする『モーションタイプ』! そして、プラスチックホビーに操縦席なんかを作り込んで操縦する『マニューバタイプ』! どっちも人によって好みがあるぜ!」
「なるほど。人型でなくてもいい、というのはそういうことか。『モーションタイプ』は直感的に動かせる利点があり、『マニューバタイプ』は理と突き詰めた人間ではできない動きを再現できる、と」
「そういうこと!」
「だから、モンスターみたいな人間じゃないのも認められてるんだな。それこそ車やら飛行機やらもオッケーっていうのは、そういうことか」
香の言葉に『アイン』は頷く。
「最初は扱いやすいのがいいだろ? なら、おねーさんには、こっちかな!」
そう言って差し出されたのは人型のロボットモデルだった。
パッケージに踊るのは『憂国学徒兵』シリーズ。
その『セラフィム』と呼ばれるプラスチックホビーだった。
「……!?『セラフィム』!?」
目を見開いた。
それは湾岸の決戦都市の決戦配備である自立人型戦術兵器の姿に酷似していたのだ。
どういうことなのか、と香は混乱する。
「お、『セラフィム』知ってる? これ、人気あるんだよ! カスタムも楽しいし! あ、そんで、そっちのおねーさんには、これがいいんじゃない?」
『アイン』が手渡すのは、四足獣型のプラスチックホビーであった。
「……『ケルビム・ワイルド』?」
「そう! 四足型ってやつ!」
ふむ、と香と新月は頷く。
「教授を願ったのだから、先人に倣え、だな。これをいただこう」
「おっけー! あ、そうだ。夏のイベントもやってるからさ、作り終わったら、そっちに参加してみてもいいと思うぜ!」
「そうか」
「色々ありがとう」
「いーってことよ! 初心者なんて、私達からしたらとっても大歓迎なんだから! プールサイドイベントで会ったら、バトルしよーぜ!」
そう言って二人は『アイン』と約束する。
また会えたらいいな、なんて二人は思ったかもしれない。
が、再会は思いの外早かった――。
●再会
二人はプールサイドイベントにやってきていた。
「な……」
そこにはイベントの目玉として、世界王者チームのエースとして『アイン』が初心者たちと戦うことのできる交流イベントにいたのだ。
あの時に、と二人は気がついた。
「まさか、彼女が世界大会優勝チームのエースだったとはな……」
日差しがきつい、などと言っていたことが吹っ飛ぶような衝撃であった。
あんなに気軽にものを聞いてよい相手ではなかったのだと香は、なんだか恐縮してしまっていた。
「あ! おねーさんたち! あの時の!」
『アイン』も覚えていのたのだろう。
ぱ、と笑顔になって手を振っている。
「あ、ああ……まさか君が」
「あはは! 言いそびれてた! でも、かんけーねーよ!『プラクト』はみんなで楽しむものだからさ!」
彼女は笑って手にしたプラスチックホビーを見せる。
香が作った『セラフィム・水忍』と素体としては同型だ。この交流イベントに合わせてオーソドックスな機体で挑んでいるのだろう。
「二対一、のようだが?」
「一応、初心者との交流試合だからな! でも、手はぬかねーぜ!」
「香。これは面白いことになりそうだ」
「……思いがけない出会いだったけれどね」
「もうお前の夏休みも終わり、だからな。最後を飾るにはよい機会……」
「大学は9月も休みだよ」
「……何故、それを先に言わないんだ、香」
二人の様子を見ていた『アイン』は、早く試合がしたくてウズウズしているようだった。
「じゃあ、準備いーか?」
「ああ。胸を借りよう」
「うん。難しいかもしれないけれど……ええと、確か試合開始の掛け声が、あったんだよな?」
「そう! 掛け声は!『レッツ』――」
「『アクト』、だったな」
新月の言葉と共に三人はフィールドに自作したプラスチックホビーを投入する。
未知は世界のそこかしこに溢れている。
多くを知ることができる。多くに触れることができる。
難しい簡単は意味をなさない。
肝心なのは、己たちがどう感じたか、だ。
「楽しい、な。うん、楽しい!」
「だよな! いくぜ!」
まだまだ続く夏休み。終わりなんて来るな、というように三人はフィールドの中で互いのプラスチックホビーでじゃれるように激突するのだった――。
成功
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