真夏の島レクリエーション! 水to肉
●射程は力
グリードオーシャン某島。そこがコンキスタドールの襲撃を受けていた。
「きゃはははは! 科学は力! 時代遅れの魔法なんてウチらのスーパー水鉄砲の敵じゃないし!」
襲っているのは水着姿の女性パイレーツ集団。その手には魔改造された超高圧水鉄砲があり、引き金を引くだけで殺傷能力を持つほどの水流が簡単に放射される仕組みになっていた。
一方で襲われている島もただやられているわけではない。火、水、風の三属性……とりわけその中でも火の魔法を使い抵抗を試みている。だが詠唱の隙を突かれたり圧倒的な放水で消化されるなど、相性の悪さもあって苦戦を強いられていた。
「死にたくなかったら早く深海兵器の情報を出しなさい!」
島を破壊しながらパイレーツたちが島民に迫る。その勢いは留まることを知らず、島の制圧は最早時間の問題と見られた。
「離れて撃つだけで勝てる! 強い飛び道具持ってる方が勝つんだし!」
「そうだな、俺もそう思う」
突然後ろからかかった声にパイレーツが振り返る。そこにはいかにも海賊といった姿の一団がいつの間にか現れていた。
「つーことでお前ら、吹っ飛ばされたくなかったらさっさと帰りな」
先頭に立つ細身の女が後ろを指さす。そこには彼女らが乗ってきたと思しき、超々巨大砲を搭載した船が停泊していた。
●それすら覆す何か
「あなたのメルでございます。本日はグリードオーシャンで依頼でございます」
メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)が集まった猟兵に牛カルビ串を配る。
「皆様『深海兵器』というのはご存知でしょうか。ひとたびその力が振るわれれば「世界のありようすら変える」と言われる超古代兵器で、余りの恐ろしさにその研究は愚か存在に触れることすら禁じられた兵器であり、どんな兵器か、あるいはそもそも一般的な『武器』の形をしているのかさえ不明なものなのでして……まあとりあえず『存在する』ということだけはなぜか失伝していないのですが」
七大海嘯も触れなかった禁断の兵器。正体は一切不明だが、解き放たれればグリードオーシャンのパワーバランスが大きく変わることは間違いないだろう。
「今回、その深海兵器の伝承が残る島をコンキスタドールが襲撃しています。島を制圧して情報を聞き出すか、最悪島民皆殺しにして自分で探すか、というつもりのようですね。ですので、これを駆逐して島を守ってください」
コンキスタドールの襲撃から島を守る。やること自体はグリードオーシャンの基本とも言える活動ということだ。
「島を襲っていますのは、『渚のパイレーツ』という集団。健康的かつ豊満な水着の女の子たちですが、強力な水を噴き出す改造水鉄砲で武装しています。この水鉄砲自体兵器と言ってよい威力があり、また複数での連携や水鉄砲同士を合体させ水キャノンにしてぶっぱなすという必殺技も持っています」
見た目は奔放で軽薄そうなギャルだが、戦闘においては残虐なコンキスタドールとしての側面を露にするという。
「集団型とはいえ中々手ごわい相手なのですが、こちらにも援軍はいます。『サバカン団』という海賊なのですが、彼女たちも独自に超兵器の噂を入手、その情報を伝ってこの島へやってきたところ、襲撃中のパイレーツと鉢合わせたようで。なので、彼女たちと協力しつつコンキスタドールを撃破してくださいませ……あ、そうです。団長は女性です。口調は男性的ですが」
猟兵と何度かかかわったことのある海賊であり、ミレナリィドールの団長とケットシーの副長をはじめとして高い戦闘力を誇るメンバーをそろえている他、七大海嘯配下から鹵獲した巨大砲を船に備えているらしい。
「戦闘が終わりましたら祝勝会。この島には秘伝のBBQがあるとのことで、それを頂きながら島民との交流タイムと参りましょう」
危機を救ってもらった礼として、盛大にもてなしてくれることは疑いないだろう。
「またこの際、深海兵器についても島の人たちに聞けば教えてくれるかもしれません。サバカン団たちもそれが目的でこの島に来ているので、一緒に聞いてもいいでしょう。最もあまり核心に迫るような話はそれこそ失われているので、ヒントにもならないようなおぼろげな話しか聞けないとは思いますが」
今はまだかすかな断片をかき集める段階を過ぎていない。うろ覚えの与太話であっても漏らさず聞いていくことが必要なのだ。
「ちなみにお呼びいただければ私も参加いたします。給仕でも奉仕でも好きにお使いください」
胸を寄せてそうメルが言った。
「というわけで、まだまだ暑い日ばかり。海での運動と遊びの両方を兼ねた依頼と思って、皆様いってらっしゃいませ」
そう言ってメルはにこやかに笑い、襲撃真っただ中の島へ猟兵を送るのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。こちらは水鉄砲からお祭りのシナリオです。
第一章では『渚のパイレーツ』との集団戦。彼女たちは超強力水鉄砲を用いた射撃戦の他、水鉄砲を合体させ巨大なキャノンにして攻撃してきます。見た目は遊んでいるような水着ギャルですが、割かし強いです。
第二章では島の人々と海辺でBBQ。肉焼きにこだわりのある島らしく、特性BBQでもてなしてくれます。肉を味わうもよし、自ら食材を持ち込んでBBQの腕を披露するもよし。場所は海なので軽く海で遊ぶも良し。夏休み気分で遊んでください。この章に限りお呼びいただければメルも参加します。
どちらの章でも『サバカン団』という海賊が援軍として登場します。猟兵と顔なじみであり、独自に深海兵器の情報を掴んだ結果この島にやってきました。詳しくはタグ『♯カリコシャ島』とご参照ください。
一章では直接戦闘に参加する他、かつて七大海嘯配下から奪った巨大砲での援護射撃もしてくれます。戦闘時の能力はアルダワ魔法学園系主体。
二章でもBBQに参加したり一緒に海で遊んだり、お誘い次第で色々ご同行します。気軽に話しかけてください。
以下中心人物詳細。
お頭:ミズリー・マッカレル(25・女性) ミレナリィドールの海賊×ガジェッティア。赤毛の男勝りな性格。快活で行動的だが思い付きで動きがち。元アルダワ魔法学園の島を拠点にしており、蒸気技術の研究の過程で深海兵器の存在を知り島へやって来た。
副長:キンメ・レッドスナッパー(41・男性) 三毛猫ケットシーの鮫魔術士×マジックナイト。細かく口うるさいが団とお頭への忠誠は厚い。島民との交渉も彼が主体に行う予定だった。
全体的に夏休みシナリオを兼ねた明るい感じで行きたいと思います。夏の思い出作りのつもりでお気軽にご参加ください。
それでは、プレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『渚のパイレーツ』
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POW : ウォータージェット・シュート
【ウォーターガンから放たれた超高圧高速水】が命中した対象を切断する。
SPD : フォーメーション・ウルフパック
【狙った獲物を発見した連絡を聞きつけた仲間】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[狙った獲物を発見した連絡を聞きつけた仲間]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ : ワンフォーオール、オールフォーワン
自身と仲間達の【ウォーターガン】が合体する。[ウォーターガン]の大きさは合体数×1倍となり、全員の合計レベルに応じた強化を得る。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
グリードオーシャン某所の小島に乗り付けた二組の海賊。片や豊満なる水着少女の集団、片やまさに海賊と言った風体の者たち。両者は互いの『筒』を向け合ってにらみ合う。
「何よ、アンタらも深海兵器が目当てってカンジ? じゃウチらの邪魔しないでよ!」
「そうだな、お前らがその物騒なもん島に向けてなきゃそうしても良かったんだが」
今でこそ目の前の海賊に向けられている水着少女たちの水鉄砲。それはほんの少し前までこの島に住む者へと無差別に向けられていたのだ。
「ブッソー? これただの水鉄砲だよ? そんなんにビビってるなんてマジダサなんだけど」
「生憎だな、こちとらもっとふざけた形の蒸気装置いくつも掘り出して直してきてんだよ。何年研究やってると思ってんだ」
「ま、直す端から全部ぶっ壊してますけどね」
傍らに控える小柄な猫獣人の言葉に先頭の女が頭を下げ微妙な顔をする。だがその状態でも携えるラッパ銃の筒先は相手を捉え、視界には敵を常に収めたままだ。
空気はまさに一触即発。最早両軍の交戦は必至。
一見すればグリードオーシャンでは日常の海賊同士の奪い合いだが、この戦いどちらに義があるかは分かる者には分かるだろう。
さあ猟兵よ、侵略者であるコンキスタドール『渚のパイレーツ』を、海賊『サバカン団』と共に打ち払え!
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!
水鉄砲頼りのパイレーツ、ね
じゃあ、そこから崩せば対処は簡単かな?
う~ん、ミズリーさんってばかっこいい!なんてまず煽てちゃって、まずはサバカン団の皆さんに頼んで相手に隙を作ってもらって、相手から水鉄砲を奪っちゃおうか
そしたらあたしからも反撃開始、【ファング・フォー・ファング】でフルパワーで水鉄砲をぶっぱなしちゃうよ!
同じ土俵で戦うとなったら、負けるわけがないよね~♪
夢ヶ枝・るこる
■方針
・服装:今年の水着(既に胸のサイズが合わなくなりつつある)
・アド/絡◎
■行動
ミズリーさん、キンメさん、お久しぶりですぅ。
相変わらず大変な様で、ご協力させて頂きますねぇ。
『水』による[切断]で、船等を狙われても困りますからねぇ。
パイレーツさん達の『超高圧高速水』発射に合わせ【掙綂】を発動、攻撃対象を「他のパイレーツさん」に変更しますねぇ。
対象変更した攻撃が命中すれば『UC封印』が可能ですし、抵抗されそうなら変更先として武器や腕を狙い[部位破壊]しても良いですぅ。
後は『FLS』の空間歪曲で自身を、『FMS』のバリアでサバカン団の方々をガードしつつ『FRS』『FSS』の[砲撃]で叩きますねぇ。
深海兵器を巡り衝突した二組の海賊。その一軍の先頭に、声をかける者が現れた。
「ミズリーさん、キンメさん、お久しぶりですぅ。相変わらず大変な様で、ご協力させて頂きますねぇ」
既にサイズの合わない超巨大水着を着た夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の登場に、声をかけられたサバカン団のメンバーは笑って答える。
「お……おお! 久しぶりだな! 相変わらずいきなり来るじゃねぇか! しかしまたでかくなってねぇか?」
「お久しぶりです」
団長ミズリーと副長キンメ、二人は猟兵がグリードオーシャンに来た直後から猟兵と関わっており、特にるこるとはもう5年以上の付き合いとなっていた。
「あんたらも深海兵器を探しに来たのか?」
「あなたがたが来たとなれば、ただのホラ話というわけでもなさそうだ」
そして猟兵と長くかかわった故に分かる、それが来た時の安心感と事の重大さ。
「……てことだ。よかったな。お前ら、当たりだぜ」
自分たちより先に島に上陸していた海賊、渚のパイレーツたちに余裕の皮肉を言うミズリー。それに対し、パイレーツたちは怒りの行商となる。
「ふざけんなし! それだったらアンタらも島の奴らも皆殺しだから!」
引き金を引くと、構えた水鉄砲から水が発射される。ミズリーがその射線からとっさに外れるが、彼女の立っていた砂浜は砂が撒き散らされる事すらなくそこだけ綺麗に抉られていた。
「こりゃ、うちの鉄砲より性能いいかもしれませんな」
「言ってる場合か! もっとでかいもんがあるだろ!」
そう言ってミズリーが手を上げると、それに応えるかのように後ろに止まっている船の砲が放たれた。
砲弾は正確にパイレーツの中に着弾。轟音とともに砂を巻き上げ複数のパイレーツを吹き飛ばした。
「ヤバ、でっか……」
「でも、見えてるなら!」
それを逃れたパイレーツが銃を船の砲へ向け、タンクの下についているパーツをコッキングして水を圧縮する。
「切れろ!」
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その必然の指揮棒をここに」
そこから遠方の船さえ切断するほどの超高圧放水が放たれる、その瞬間、るこるが【豊乳女神の加護・掙綂】
を発動した。
海の彼方を向けて放たれたはずの水流が、別のパイレーツを切り裂く。
「ぐえっ!」
「ぎゃっ!?」
ユーベルコードによって対象を変更された水流での同士討ち。その機会を逃さず、ミズリーが部下に指示を飛ばす。
「よし、かかれ野郎ども!」
頭の号令一下、サバカン団たちが攻めかかる。ミズリーも自分の銃を相手に向けた時、再び彼女に後ろから声がかかった。
「う~ん、ミズリーさんってばかっこいい!」
明るく煽てるような声。サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)が満面の笑顔でミズリーを褒めそやしていた。
「さすが若くして巨大船団を率いて、七大海嘯とも戦った名船長! 島を纏めるカリスマ! 謎の古代兵器を自分で見つけ出す知性!」
「そ、そうか?」
歯の浮くような持ち上げに思わずにやけるミズリー。
「あー、あんまり褒めないでください。調子に乗りますんで。あと手下を沈めただけで七大海嘯本人は戦うどころか見たこともありません」
「いいんだよ細かいことは!」
「そうそう! だから、サバカン団さんたちのもっとかっこいい所見せて欲しいな! 具体的には……あいつらがこっち見てる暇がなくなるくらいの!」
サエの言葉に彼女の意を理解したか、ミズリーはラッパ銃をパイレーツに向けて連続で撃ちかける。散弾の発射とリロードを連続で素早く行うことで、正確性に難のあるラッパ銃の欠点を補いパイレーツたちの動きを制限していくミズリー。
「ああ、もう……邪魔くさい!」
それを慌てて避けて水鉄砲を何とか放つパイレーツ。その水流は、弾幕の跡から飛んできた大きな泡にぶつかった。
泡は水流に負けたように簡単にはじけ飛ぶ。だがその中から、大量の燃える鮫が現れてパイレーツたちに噛みかかった。
「あっつ!? なんなんコレ!?」
体を叩いて払い落すとそのまま鮫は消える。それはミズリーの弾幕で稼いだ時間で作成を終えた、キンメの鮫魔術と属性魔術の複合だった。
「この辺弄れるのは魔法の強みでね」
「くっそ……あったまきた! もうぶっとばす!」
「ふーん、どうやって?」
怒り心頭で銃を構えようとするパイレーツに、サエが余裕たっぷりに言う。その手には、パイレーツと同じ水鉄砲が構えられていた。
「え……え!?」
そして一方のパイレーツの手には、何も持たれていない。
「目には目を、相手には相手の武器を♪」
サエはサバカン団の猛攻に紛れ【ファング・フォー・ファング】で奪い取った相手の水鉄砲を向け、パイレーツへと撃ちかけた。引き金を引くだけで高圧水流が放たれ、パイレーツを打ち倒していく。
「それじゃ、もっとよろしく!」
「おう!」
そこからもミズリーの弾幕とそれに紛れたキンメの鮫魔術、そして団員たちの猛攻という多数のデコイに紛れ次々と水鉄砲を奪い取ってはパイレーツに打ちかけるサエ。
「下がって! 下がって撃って!」
後退しながらの射撃をしようとするパイレーツだが、その動きを見せた瞬間るこるが再度対象変更をかけ自滅とUC封印をかける。
「順番ずらす!」
さらに複数いることを活かし、伝説の鉄砲隊の如くタイミングをずらした射撃でそれを逃れようとするも、それはサバカン団の猛攻に足並みを乱されその間にサエに水鉄砲を奪われた。
「こんなにいっぱい、撃ちきれないかもね!」
その水鉄砲を片っ端から撃ちかけるサエ。圧倒的な攻撃の代わりに移動関係が犠牲になるが、前はサバカン団が壁になっているので問題ない。
「私もできるのですよぉ」
さらにるこる自身も、結界とバリアを張って戦うサバカン団を守りつつ『FSS』での砲撃をかけていく。
そしてとどめに、後方の船から再度の巨大砲が放たれた。
「う、うわーん!」
圧倒的な射撃戦に倒れていくパイレーツたち。強い飛び道具を持っている方が勝つという彼女たち自身の主張の通り、何重もの射撃攻撃によって渚のパイレーツたちは掃討されて行くのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
スイート・シュガーボックス
(島に現れるミミックと神機男の娘ギャル形態)
夏休みがてらディオちゃんとグリードオーシャンにきたよ。
「てか、人様に迷惑かけまくるとか同じギャルの風上にも置けないし。」
そうだね、ディオちゃん。島の人達や『サバカン団』の皆を援護しようッ!
「うりゃッ!水鉄砲勝負なら負けないし☆」
(ディオちゃんが無数の『豊穣葡萄』で生成した極上の白ワインを圧縮放水して敵に叩き込む)
ひゅ〜、派手にぶちかますねディオちゃん。
なら俺も、えいやッ!【心に届け、素晴らしきお菓子】ッ!
アイスシュークリームを渚のパイレーツにお届け。深海兵器だか何だか知らないけど、そんな物騒な物探すの止めておやつタイムにしようッ!
【アドリブ歓迎】
季節は夏休み。スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)は相棒の幻惑神機『ディオニュソス』ことディオちゃんと共にグリードオーシャンへと訪れた。
だがそこではギャル型コンキスタドールが侵略行為の真っ最中。およそリゾートできる空気ではない。
「てか、人様に迷惑かけまくるとか同じギャルの風上にも置けないし」
男の娘ギャルのメンタルを持つディオちゃんはギャル軍団の暴挙にお冠だ。
「そうだね、ディオちゃん。島の人達や『サバカン団』の皆を援護しようッ!」
そんな彼の意を汲み、スイートは共にギャルたちへと立ち向かった。
突如現れた制服ギャルと箱のコンビに、渚のパイレーツが怪訝な顔をする。
「え、何、こんな所で制服とか……おーい、みんな~。勘違いギャルがいるよ~!」
意地悪に笑って大声で仲間を呼ぶそのパイレーツ。それに応え集まって来た水着ギャル集団が、一斉にディオちゃんに水鉄砲をむける。
「え~、なんで脱がないの? カラダに自信ない系?」
「もしかしたら、お見せできないえっぐい何か隠してるとか?」
「だったら……いやでも脱ぐようにしちゃう!」
「カラダごと吹っ飛んじゃったらごめんね~❤」
制服姿のディオちゃんを見て笑い、水浸しにしてやろうと水鉄砲を撃ちまくるパイレーツたち。それをスイートともども一旦後ろに躱し、ディオちゃんは周囲に宝珠型神器を浮かべた。
「うりゃッ!水鉄砲勝負なら負けないし☆」
その神器『豊穣葡萄』から一気に薄く色のついた液体が発射される。パイレーツに負けぬほどに高圧で圧縮されたその液体は、食らったパイレーツたちを次々ノックアウトした。
「あれ? ひゃ、ぱらぱらぴ~?」
その中でも顔に食らったギャルの様子がとりわけおかしい。それもそのはず、この液体はただの水ではなく白ワイン。それを口と鼻に圧縮された状態でぶち込まれれば、あっという間に酔いが回ってしまうのも当然だ。
「ひゅ〜、派手にぶちかますねディオちゃん」
|相棒《ズッ友》の容赦ない攻撃に感心するスイート。ならば自分もこれにノらずにはいられない。
「なら俺も、えいやッ!【心に届け、素晴らしきお菓子】ッ!」
スイートの蓋が開き、中から大量のお菓子が飛び出した。
「俺の自慢のお菓子を召し上がれッ!」
そのお菓子は、掛け声を上げて戦闘態勢に入っているギャルの大口に見ごとに飛び込む。
「なにさ、そんなむぐっ!? ……あ、おいし」
お菓子を飲み込んだギャルの表情がみるみる変わる。
「つめた~っ! あー、気持ちー☆」
夏の太陽の下、冷え冷えのアイスシュークリームが火照った体に染みわたる。これぞ夏の贅沢とばかりに次々繰り出されるアイス攻撃に、パイレーツたちはむしろ勇んでスイートに向かってきた。
「まだたんないんだけど!」
「ねーミントない?」
しかし、その目的は攻撃ではなくアイス要求。突然戦意を失くしたような仲間に後方のパイレーツは困惑気味だ。
「いやちょっとそんなことしてないで。ウチら深海兵器取りに来たんでしょ!」
そう叫ぶ口にもシューアイスが投げつけられる。
「深海兵器だか何だか知らないけど、そんな物騒な物探すの止めておやつタイムにしようッ!」
スイートのこのアイスにダメージはない。その代わり邪心や憎しみ等の負の感情や闘争心を破壊するほどのその美味しさで、戦うこと自体を辞めさせてしまうのだ。
「いやそんなん絶対ヤバいの入ってるって! ウチら健全肉体派ギャルで売ってんよ!」
「は? うちの相方ディスんなし!」
お菓子自体を拒否るギャルにはディオちゃん怒りのワイン放水。それが顔面に直撃したギャルは酔いと衝撃のダブルパンチであっという間に昏倒だ。
「じゃ、おやつを食べたらこっちものんで。俺の相棒のワインは本当すっごいから。できれば普通に飲んでほしいしね」
そしてアイスを食べて大人しくなったギャルは普通に出したワインを飲ませて酔い潰す。彼女らとも和解できればいいのだが、猟兵とコンキスタドールという宿命によりそうはいかないのだ。
「あー……あれ、ウチら、何しにきたんだっけ……」
そのままギャルたちは潰れて眠り、酔いと感情浄化で自分が何をしに来たのか忘れたまま骸の海へ帰る。
「こんぐらいで勘弁してあげるか」
「優しいね、ディオちゃん」
彼女たちが最後に夏休みに戻れたことを祈りつつ、一箱と一機は夏の太陽を浴びるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
死絡・送
ジガンソーレに乗って出撃。
「ノーブルバット参上! サバカン団の諸君に加勢する!」
とスピーカーで叫び空から登場。
他の面子が射たら協力する。
味方と敵の動きを見て、敵の攻撃からジガンソーレを盾にしてかばうで
サバカン団の船を守りに行く。
「お返しだ、こいつを喰らえ!」
とビームで反撃。
敵の超高圧高速水』にはプロミネンスバスターを使い相殺を狙う。
相手のユーベルコードを凌いだら、ロケットパンチで追撃する。
灼熱の夏の日差しを反射し、輝く鉄の巨人が砂浜へと降り立った。
「ノーブルバット参上! サバカン団の諸君に加勢する!」
スピーカーから大音量で響く名乗りの声。死絡・送(ノーブルバット・f00528)が愛機を駆って熱い戦場へと現れた。
「おお、相変わらずでけぇな!」
その巨体をミズリーが歓迎する。彼女はアルダワ系グリードオーシャン民ではあるが、送とも大分昔から面識はあるしスーパーロボットも見るのは初めてではない。
「後ろは任せろ、さあ、戦え!」
そう告げて送は海の方へ後退し、大砲を構え控えるサバカン団旗艦の横につく。
「え、何、後方彼氏面の新しいタイプ? ただ来ただけの目立ちたがりなんて知るか!」
後ろにいった送をそう切り捨てながら、パイレーツたちはサバカン団とぶつかり合った。射撃戦を得意とするパイレーツたちに対し、ミズリーとキンメの銃や鮫魔術、そしてその間を縫って接近した団員たちの近接武器がお互いを削り合う。
その激突の中、ミズリーが見えるところに引いて高く手を上げる。それを合図とし、船から巨大砲が放たれた。
|七大海嘯が一人《桜花》メロディア・グリード謹製の砲がパイレーツたちの間に正確に着弾し、敵だけを吹き飛ばす。
「どうせあんなのデカイだけで連射は聞かないし! 今のうちに沈めろー!」
パイレーツたちは人数と水着姿を活かし、横に広がって海に入って船を水鉄砲で狙う。だがその瞬間、ジガンソーレが船の前に回り込んでその水を機体で受け止めた。
「生憎、ただ見るために来たんじゃない。それと言っておくが、体だけならお前たちの方が好みだな」
熱された分厚い装甲は改造水鉄砲も敵ではない。あっという間に乾いた機体がさらに輝く。
「最もそれ以外で願い下げだがな! お返しだ、こいつを喰らえ!」
ビーム攻撃がパイレーツたちを撃ち抜く。
「くっそ、もう怒った! このまま打ち返してやるんだから!」
怒りの形相でパイレーツたちがコッキング。超高圧放水がジガンソーレに向けて発射された。この圧縮率では、さすがのするパイレーツロボットの装甲も切断は免れない。
「太陽の紅炎が一切の邪悪を焼き尽くす、プロミネンスバスター!」
それに対して送は【プロミネンスバスター】を発射。太陽のオーラと消えない魔炎が水を焼き、そのままパイレーツたちさえも吹き飛ばした。
「ああ、お前たちの意見には乗ってやろう。これもおまけだ!」
さらにそこに重ねてロケットパンチ。ロボに搭載された科学の粋を集めた飛び道具が、パイレーツたちを見事蹴散らすのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
POW
【高速詠唱・化術】『想い募りて大爆発』で巨大なスライム娘となり
超高圧高速水で攻撃されても瞬時に【切断部位の接続】しつつ
【念動力】で渚のパイレーツ達の水着を【解体】
全裸になった彼女達の首から下を包み込み【捕縛】
乳口・秘所・菊門から液状ボディの一部を侵入させ
厭らしい水音を立てながらの【慰め】と
媚毒の【呪詛】で悦びに染め上げ【生命力吸収・大食い】
魔法の素晴らしさを分からせつつ、救済に導くわ♥
愛の海に溺れさせてアゲル。
さあ、もっと喘いで。可愛らしい声を聞かせて♥
黒髪色白と銀髪小麦色。陰キャと陽キャ。魔法と科学。
対照的なツインテ女子達の戦いの結末は
響き渡る甘美な嬌声が示していた
島を襲った渚のパイレーツたち。だが猟兵やサバカン団との戦いで、その数も終わりが見えてきた。
そしてその前にまた新たな猟兵が現れる。
「またなんか……」
「欲情☆爆発☆愛MAX--ッ!!」
ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)はパイレーツたちが何かを言う前に、高速で【想い募りて大爆発】を発動させた。ドゥルールの体が巨大化し、さらにそこに化術をかけることでスライムのようにドロドロに溶けていく。
「変なモンスターきた!」
「だいじょーぶ! スライムなんかクソザコだし! キングになったってたいしたことないし!」
「ウチらにはこのつよーい武器がある!」
パイレーツたちは水鉄砲の下を動かし、充填された水を圧縮する。そしてそれが一気に噴き出されると、スライム化したドゥルールの巨体をずたずたに切り刻んだ。
だが、その切断面が蠢きすぐに元に戻る。化けているだけとはいえスライムの体。その部分を接合するのはただの肉の体よりは簡単だ。
「えーい、それなら……」
なおも攻撃を続けようと水鉄砲を構えるパイレーツたち。しかしその場で何かに引っ張られたようにすっころんだ。
「あたた……って何さコレ!?」
今度はパイレーツたちの水着が何もないのに引っ張られ、ずれて食い込み千切れる。健康的で豊満な姿態が露になった所に、ドゥルールが巨大スライムの津波となって襲い掛かった。
「な、な……んなぁぁぁぁ!?」
パイレーツたちの周囲のスライムがぐちゅぐちゅとうごめく。それは体に開いている穴や、本来そんなサイズもない場所にまで取り付いて強引にその中に入り込んでいった。
ばたばたとパイレーツたちも藻掻くが、武器を上手く使えず力もさほど強いわけではないので抵抗の効果は薄い。
「愛の海に溺れさせてアゲル。さあ、もっと喘いで。可愛らしい声を聞かせて♥」
取り込んだパイレーツたちに、ドゥルールは呪詛をかけてその意識を混濁させる。それに抵抗しようにも力すらいらない水鉄砲に頼り切っていた結果彼女たちの筋力はそこまで高くはないし、飛び道具しか武器を持たない故にインファイトになれば抵抗する手段はほぼなくなる。
「意味わかんないし……てかなんでスライムが強いわけ!?」
スライムと言えばどろどろしたもの全般を大雑把にさす。モンスターとしてのスライムも意味としては『ドロドロしたよく分からない化け物』であり、某有名な弱くてかわいいスライムはそのイメージが気に入らないからと作り出されたものだったりする。それが世に出る前のスライムは、物理無効だの装備腐食だのを備えていて普通に強いのだ。
そんなの知らない若いギャルである彼女たちは、本来のスライムが持っている粘性と重量に体を取り込まれ、まともに筋力で跳ね返すことは不可能となっている。そしてその粘性は魔法だけに都合のよく適度な粘度となって、彼女たちの体をなぶりつくしていく。そして体の内外を異物が蹂躙するという生物学的には死を免れない行為でも目的の感覚だけを与えられるのも、魔法の成せる技。
「魔法だって素晴らしいでしょ? あなた達の体が言ってるわ」
取り込んだパイレーツたちの反応を文字通りの全身で感じつつ、ドゥルールは彼女たちの生命力を啜る。その効果は全て魔法を根源とする力。
黒髪色白と銀髪小麦色。陰キャと陽キャ。魔法と科学。対照的なツインテ女子達の戦いの結末は如何に響くか。
「きゃ、うぅぅぅぅぅぅ……」
スライムの中で褐色肌を曝してビクビク痙攣し消えるパイレーツたち。その最後の声がそれを物語っていた。やがて褐色肌を痙攣させ、パイレーツたちは次々スライムに沈んでいく。
「しんかい、へーき……」
最後に言いながらとぷんと頭までスライムに沈み、その瞬間にパイレーツたちはその中で全身を魔法の感覚に侵され何度も痙攣しながら『溺れた』表情で消えていった。
こうして夏の海に暴れた褐色水着少女たちは、魔法と粘液の海の中に最後の一団まで沈んだのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 日常
『南国BBQフェスティバル!』
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POW : 肉を焼く
SPD : 魚介類を焼く
WIZ : 何かこう、珍味的なものを焼く
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
かくして、コンキスタドール『渚のパイレーツ』たちによる島の襲撃は防がれた。襲われていた島民たちも安堵の表情で猟兵とサバカン団を取り囲む。
「この度はありがとうございました。まさかこんな辺境の島にこれほどいろいろやってくるとは……」
人の訪れない島ということで、こういった外からの危機とは無縁だったのだろう。それ故に使えはしても魔法の腕は鈍り、コンキスタドール襲撃に苦戦を強いられたのかもしれない。
「ああ、確かにここまでの航路を確定させるのは苦労したぜ。まあ、あんたたちにゃそんなの関係なさそうだけどな?」
ミズリーが猟兵を方を見て笑う。
「で、助かった所早速で悪いんだけどよ。実際俺らの目的もあいつらと同じなんだわ。深海兵器の事が知りたくて……」
「お頭、そういう誤解を招く物言いはやめてください」
早速調査に入ろうとするミズリーをキンメが押しとどめる。
「その深海兵器とやらの話、話せる範囲で聞かせて欲しいんでさぁ。もちろんただとは言いません。こっちで用意できる喜ばれそうなモンは持ってきました。おい!」
キンメが声をかけると、海賊たちが箱や樽を盛ってくる。中にあるのは彼らが島から持ってきた金や交易品、さらにはいくつかの蒸気機械だ。
「おお、これは……!」
魔法使い風の老婆がそれを見て感嘆の声を上げる。
「分かりました。ただ、はっきり言って深海兵器なぞ子供でも信じていない与太話。ご期待に沿える話ができるかどうかは分かりません……それに、こちらとしても助けてくれたお礼がしたい」
女性がそう言うと、今度は島民の方が網や木材、そして大量の食材を盛ってくる。
「こちらの肉焼きが我らができる返礼です。とくにこちらの壺肉に関しては、まあここ以外で食べることは出来ますまい」
一つの壺を開けると、そこにはタレ漬けにされた巨大な肉。確かに珍しい……だがもしかしたら、相手の言に反してごく限られた猟兵ならどこかで見たことがあるかもしれない美味そうな壺漬け肉だ。
「さあ、そちらの方々も。肉を焼いて分け合えばもう兄弟。大分無駄話も混じると思いますが、楽しくやりましょう」
そうしてにわかに始まる海辺でのBBQ大会。
謎多き兵器の情報収集として。戦いの報酬として。互いの親睦の証として。そしてなにより、夏の思い出として。
島民やサバカン団とともにBBQを囲んで、大いに食べて盛り上がろう。
死絡・送
POW : 肉を焼く
自分も参加させてもらう。
「ロボの万能さをお見せしよう♪」
ジガンソーレのビームは肉も焼ける。
料理を使い牛だろうが何だろうがあらゆる肉を、焼き方のリクエストを聞いて適温で焼き切り分けて振舞う。
焼くだけでなく食べる。
ロボから降りてマスクを開口し、血の滴るレアな物をいただく。
吸血鬼性もあるっちゃあるが、人の血とか吸うわけにもいかんので
牛とか山羊とかの血で補う。
サバカン団や仲間達とも楽しく会話し飲み食いする。
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!
うーん、今はただ宴を楽しめばいいのかな?
情報自体はサバカン団の人たちが集めるだろうし、そこらへんはお任せで♪
ってなわけで、サバカン団の特にミズリーさんに取り入っておこうかな
焼けたお肉をいっぱい持って行って、じゃんじゃん食べてもらおうか
お酒もじゃんじゃん注いで、いい気分になってもらわなきゃね
スイート・シュガーボックス
BBQなら俺にお任せッ!俺はこう見えて超級料理人なんだッ!
最高の焼き加減で島の人達やサバカン団の皆に振る舞うよッ!いくぜ、ディオちゃんッ!
「Foo〜ッ!盛り上がってまいりました〜ッ!」
俺の料理技能からくる見切りで焼きタイミングを見計らって皆のお皿に移していくよ。
「ウチも『豊穣葡萄』でキンキンに冷えたビールを生成して、皆に注いでいくし☆呑んで呑んで♪」
ミズリーさんやキンメさんもドンドン食べて呑んで…キンメさん、もしや猫舌?なら程良く冷ますけど?
更に肉焼きながら『キッチンカー』を準備、【甘い幸せ彩る調理錬金】でデザートのアイスクリームを作るよ。
色々な味があるから是非御賞味あれッ!
【アドリブ歓迎】
襲撃事件も解決し、情報収集と親睦会を兼ねたBBQ大会が始まった。
「BBQなら俺にお任せッ! 俺はこう見えて超級料理人なんだッ!」
その肉焼きの先陣を切るのはスイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)。身長46.1cmの箱型でありながら、自身についたリボンを腕のように使い器用に肉を焼いていく。
「火力はただ強ければいいってもんじゃないし、肉以外にも色々焼いていった方が楽しいしおいしい!」
夏の島ということで冷蔵保管していた肉は常温に戻してから焼き、また付け合わせに野菜も十分に。さらにはフルーツ焼きも用意して甘味部分もしっかりフォローとバーベキューの容易に抜け目はない。
最高の焼き加減で島民やサバカン団、さらにこの島に来た猟兵たちにもどんどん肉を振舞っていくスイート。
「Foo〜ッ! 盛り上がってまいりました〜ッ!」
焼けば焼くほどテンション爆上げ、肉を焼く手にも力が入る。そしてベストな焼き加減になった瞬間を見切り、手際よく切り分け全員の皿に取り分けた。
さらにスイートの相方、引き続き男の娘ギャルモードのディオニュソスことディオちゃんもそれに答える。
「ウチも『豊穣葡萄』でキンキンに冷えたビールを生成して、皆に注いでいくし☆呑んで呑んで♪」
先はこれから出したワインを攻撃に使ったが、本来酒とはこういう風に使うもの。炎天下の中焼きたての肉とキンキンのビールというパーフェクトコンビの誘惑に抗えるものは、そう多くはないだろう。
「うーん、今はただ宴を楽しめばいいのかな?」
それを受け取り、サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)は少しばかり考える。とりあえず倒すべき敵は倒したし、この島と親睦を深めて悪いことはない。
「情報自体はサバカン団の人たちが集めるだろうし、そこらへんはお任せで♪」
一応この島に多くの来訪者が来た理由はあるのだが、それに関しても確たる手掛かりなどがあるわけでもなく、とにかく聞ける話を手当たり次第集めることしかできない段階だという。そしてそれを明確な目的とした者もいるのだし、自分がわざわざ強引にその辺りを深掘りする必要もない。
「というわけで……ミズリーさん、乾杯しよっ!」
なので、今回その話を最も聞きたがっている人物への|手助け《取り入り》を行うべく、サエはサバカン団お頭ミズリーへと酒と肉をもって近づいた。
「ああ、今回も世話になったな。乾杯!」
それに対してミズリーも杯を掲げて答える。
「いやー、やっぱりすごいね! 何しろ大渦近くっていう選ばれた場所を縄張りにして、そこから猟兵でも全然何も分かってない深海兵器の情報を独自につかんでこんな遠いところまで……」
戦闘中に続きミズリーへの褒め殺し。実に分かりやすいおだてではあるが嘘は言っていないし、目的はどうあれ相手に気持ちよくなってもらいたいというのも本音なのだ。
「そんなに褒めるなって! 情けねぇ話だが、あんたらの手を借りないでこのレベルのヤマを片したことなんてないしな」
調子よく笑ってはいるがふと真面目な顔に戻る。猟兵との付き合いが長いからこそ、|自分たち《一般人》との埋めがたい隔たりがあることは分かっているのだろう。
「深海兵器がどんなものかによってはそれも埋まっちゃうかもしれないけど……ともかく、ほら食べて食べて!」
せっかくのBBQパーティ、真面目に冷静になられるより今は浮かれ楽しんでいて欲しい。サエがミズリーにどんどん肉を運んでいくが、その勢いの余りスイートの肉焼きも間に合わなくなりがち。
「ロボの万能さをお見せしよう♪」
そこに死絡・送(ノーブルバット・f00528)が愛機『ジガンソーレ』からビームを放つ。大量に並べられた肉にビームが辺り、炭とはまた違う焼き方で肉を仕上げていく。
ロボサイズの広域に並べられた肉が一気に焼き上がり、おかわり待ちも一気にはけて全員に肉が行き渡る。
「ミズリーさんやキンメさんもドンドン食べて呑んで……キンメさん、もしや猫舌? なら程良く冷ますけど?」
ミズリー筆頭にサバカン団たちがどんどん肉を食べていくが、キンメの勢いが他より遅いのをスイートが見て取った。
「まあ、もう40過ぎってのもありましてなぁ……」
ケットシーである彼はその辺りも猫的なのかと思ったスイートは、それを聞いて送に合図を出す。
「了解だ」
それを受け、送は極限まで出力を落とした冷気を吹きかけて肉を適度に冷ます。それをスイートが少し小さめに切り分けてキンメに出せば、中年猫の彼でも無理なく食べられるバーベキューの完成だ。
もちろんそれだけでなく、一般的な肉やソーセージなどの加工品、その他海鮮や野菜など種類に合わせビームの出力をDJの如く変化させ、BBQのリリックを紡いでいく。
「外の方も中々食べますな。我々もよく食べることを良しとしてはおりますが」
肉を用意してくれた島の古老たちが一同の食べっぷりに感心したように言う。だがそう言っている通り、島の面々の食べる量も決して海賊や猟兵に劣っていない。
「そーんじゃ、お酒もじゃんじゃん注いで、いい気分になってもらわなきゃね」
「おーけー、ウチに任せてってば!」
食事が多いなら酒量も相応に。ディオちゃんが滝のようにビールを出し、それの入ったジョッキをサエが大量に持って方々へ渡していく。
「乾杯! って何回目だ?」
「いーのいーの、何回でも!」
盛り上がる度に乾杯の声が響き、器が空になる。
送もロボから降りて、マスクの口を開けて血の滴るレアを主体に食べていく。さらに少し声を落としつつ、家畜の血も要求。
「吸血鬼性もあるっちゃあるが、人の血とか吸うわけにもいかんので牛とか山羊とかの血で」
外との交流がない島でありながら肉が特産ということは、畜産も党内で行っているということ。頼めばそういったものも出てくるため、送は酒の代わりにそれを飲む。
「よーし、宴もたけなわ、ここで追加と行こうか!」
肉を焼きつつ、スイートが『キッチンカー』を用意。
「調理と錬金術を組み合わせた至高にして究極のクッキングッ!」
そこで作るのは、つめた~いアイスクリーム。
先の渚のパイレーツでの戦いでも使い、彼女たちを骸の海へ送還した天国の味わいのアイス。もちろん今回は戦闘用ではなく、ひたすら冷たくて美味しい真夏のデザートだ。
「色々な味があるから是非御賞味あれッ!」
スイートの言葉と同時に、一斉にアイスに手を伸ばす。
「チョコレートか、カカオって高いんだよなぁ」
「カルダモン……甘い中にスパイシーというのが新感覚だな」
「あ、そうだディオちゃん、日本酒だせる? バニラアイスにかけるとおいしいって聞いたんだけど」
「サエっち通なの知ってんじゃん! お任せあれ~☆」
とかく様々なアイスを楽しむ一同。焼肉の最後にアイスというのは他世界の焼肉店でもよくあるものだが、それをグリードオーシャン辺境伝統の肉と猟兵の秘術でやれば、その完成度はいかほどか。
こうして誰もが楽しみ、味わい、親睦を深めていくBBQ大会。
誰もが時間を忘れ、相応の時間が経った時。
「……お頭、何か聞くことあったんじゃないですか?」
「……あ」
楽しみ過ぎて本来の目的を忘れていたサバカン団。
「大丈夫! もっと飲んでからでも遅くないってミズリーさん!」
「その後でデザート決めてからでもね!」
「食後酒もいっちゃう?」
「まあ、ほどほどにな」
もう脅威はない。大事な話は楽しみ切ってからでも遅くない。その結論の元に、BBQはまだまだ続くのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
『永遠の愛』による憑依【ドーピング】で
味覚をも守護霊達と共有し
壺漬け肉と、有れば お酒もいただくわ
私が救済してきたコンキスタドール達の霊なら
深海兵器の事を知らないかと
サバカン団の二人に聞かれるかもだけど
カルロス:確かに我らはルルの救済により
魂の欠片を現世に留める事は出来た……
が、あくまで欠片に過ぎぬ。記憶もまた完全ではないのだ
メロディア:生前の私達なら何か知っていた可能性はありますが……
レディ・オーシャン:一般的な【世界知識】は大丈夫ですけどぉ~
そういうトップシークレットな事は分かりません~☆
……ひゃんっ♥
という事なの……ごめんにゃさいにぇ……♥
(酔っ払って オーシャンお姉様の胸に甘えながら)
祝勝会のBBQが行われるビーチ。そのメイン会場から少し離れたところで肉焼きをしている一団があった。
それはドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)と彼女が【永遠の愛】で呼び出した守護霊達。自身に宿し味覚も共有することで、この島の名産である壺漬け肉と酒を味わう。
肉が特産なのは元々聞いていたが酒がどうだったかは事前には言われていなかった……が、どうやらこの島では酒の生産と消費もかなり盛んなようで、気候に合わせたヤシ酒などが用意されていた。
それらで宴会を楽しむドゥルールの元に、サバカン団がやってくる。
「よう、また助けられたな。いつもすまねぇ」
ドゥルールもサバカン団との付き合いはグリードオーシャン到達時からあり、それ故にミズリーからの態度は軽い。
「で、迷惑ついでに聞きたいことがあるんだけどよ、あんたらは深海兵器について何か知らねぇか?」
サバカン団がこの島に来た目的はそれである。だが、猟兵にとってもそれはまだ存在するということした分かっていないもの。ドゥルールがそう答えると、ミズリーはそれには頷く。
「ああ、それは分かってるよ。ただ、あんたが連れてる連中。そっちなら何か知ってるんじゃないかと思ってな」
そう言ってミズリーが指すのは、ドゥルールが連れている死霊。
「お頭、こいつらは……」
「知ってるよ。だが今はあんたの手下。元が何だったかはもう関係ねぇ。そうだろ?」
固い声で言うキンメにミズリーが返す。その言葉に、ドゥルールはその死霊たちを彼女の前に出した。
「確かに我らはルルの救済により魂の欠片を現世に留める事は出来た……が、あくまで欠片に過ぎぬ。記憶もまた完全ではないのだ」
堂々たる姿勢で、見目麗しい男が答えた。そしてそれに寄り添う桜の如き美しい女も続く。
「生前の私達なら何か知っていた可能性はありますが……」
カルロス、メロディアのグリード夫妻。七大海嘯筆頭とその妻としてグリードオーシャン全域を恐怖に陥れ、果ては|異なる世界《サクラミラージュ》にまで進出した彼らだが、今ここにいるのは完全な本人とはまた違う存在。さりとて全くの別物とも言い難くはあるのだが、全ての知識や記憶を完全に引き継いでいるわけではないと二人は答える。
「ああ、そうか……そりゃ残念だ。てことはあのデカい砲の作り方も?」
「それはご自分で研究あそばせ」
分かった上であえて厚かましく聞くミズリーをメロディアがあしらう。最早彼女は怨敵七大海嘯ではなく、|信頼のおける相手《ドゥルール》の傘下にあるもの。だから敵意を向ける必要はないし、聞きたいことがあれば遠慮なくつっこんでいける。
「一般的な【世界知識】は大丈夫ですけどぉ~、そういうトップシークレットな事は分かりません~☆」
それに続いてふざけたように言うのは仮面の女。彼女はジェネシス・エイトの一人にしてグリードオーシャンのオウガ・フォーミュラであるレディ・オーシャン。カルロスの後釜であり猟兵すらも知らぬことを数多口にした彼女もまた、同様に魂の一部を吸収された死霊となったが故に全てを知っているわけではない。
「そうか……まあ、そう都合よくはいかねぇか」
そういうミズリーの口調は、情報を得られなかったことへの残念さこそあるがそれ以上のものはない。今の彼女にとって、目の前の存在はそれをどうこう言うような相手ではもうないのだろう。
「まあ、その代わりと言っては何だがしばし相伴していけ。桜の下での宴は格別ぞ」
「何と欲深い男……それでこそ私が機を見て取り分けた甲斐がある」
むしろミズリーを出汁にのろけ始める夫妻。
「という事なの……ごめんにゃさいにぇ……♥」
「……ひゃんっ♥」
その横ではドゥルールがレディ・オーシャンの胸に倒れ込み、その柔らかさを味わっている。
ここにいるのはグリードオーシャンの深淵を知る巨悪ではなく、ただ宴を楽しむ者たち。それを確かにしたことは、あるいは深海兵器よりもずっと有益な情報をミズリーに見せたのかもしれなかった。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
これは有難いですねぇ。
頂きますぅ。
それでは、私からも食材を提供させて頂きましょう。
折角の機会ですし、皆様があまり召し上がったことが無さそうな品ということで、『FTS』から「ブルーアルカディアの魔獣の肉」と、ヒーローズアースから「XXXライスバーガー」、不足しそうであれば追加の機材をご用意しますねぇ。
【豊饒宿霊】で[料理]を指定してご用意しますので、ミズリーさんとキンメさん、メルさんもお召し上がり下さいませ。
折角ですから、ミズリーさん達には「お会いしていなかった間に有ったことや近況」等をお聞きしたいですねぇ。
後は、本日来られなくて悔しそうな方の心当たりが有りますので、お土産を購入させて頂けると有難いですぅ。
それにしても、この壺漬け肉は間違いなく覚えがあるような?
魔術を使っておいででしたし、島の一面が「切り取った崖」の様になっているエリアが有りませんかねぇ?
可能であれば、この壺漬け肉を伝えた方のお話を聞かせて頂いたり、手記等が有りましたらお見せ願えませんでしょうかぁ?
ここまで大いに盛り上がった海辺のBBQだが、島全体が大食いを是としている故かまだまだ肉は尽きない。
「これは有難いですねぇ。頂きますぅ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)もその巨肉を揺らし、肉を始めとする焼き物をいただいていく。
やはり自慢とするだけあってその壺漬け肉はとても味わい深い。それはるこるが知るある壺漬け肉に確かに味が似ていたが、相違点もそれなりにあった。
まず壺が大きく、そこに入っている肉のサイズも相応にでかい。るこるの知っているとある壺漬けカルビは卓上に置けるような小さな壺に入っていたが、こちらは床に置いておくようなサイズにブロック肉が入っている。また漬けているタレも若干違うようで、タレの甘みの部分が別の果実、恐らくココヤシなどの由来となっていた。
他にも地魚や魚介類、地元産野菜焼きなども合わせ、この島の味を味わい尽くするこる。
「それでは、私からも食材を提供させて頂きましょう。折角の機会ですし、皆様があまり召し上がったことが無さそうな品ということで」
そして珍しいものを頂いたからには返礼を。るこるは運搬用祭器から、巨大な肉とこれまた巨大なライスバーガーを取り出した。
「な、何なのですかなこれは……」
見たこともないようなものに圧倒される島民たち。
「こちらはある島にて入手しましたお肉でして。そしてこちらは、僭越ながら私が考案しましたお料理ですぅ」
巨大肉の方はブルーアルカディア原産の魔獣肉。肉を狩って食うということについては他の追随を許さぬその世界に置いて、ただ丸焼きにするだけで出たてアイドルの閑古鳥ライブを満員に出来る程の魔獣焼きは肉にこだわりのあるこの島の民をも虜にするもの。
そしてライスバーガーは、ヒーローズアースのローカルバーガーチェーンが猟兵フェアを行った時にるこるが考案したもの。米と肉というシンプルながらそれ故誤魔化しの効かないそれを、オーバーロードしたUCで強化した技能で調理する。理論上無限に大きくしていけるということもあり、大食い揃いの島民たちにも盛況だ。
「ミズリーさんとキンメさん、メルさんもお召し上がり下さいませ」
そしてサバカン団たちや、グリモア猟兵のメルも呼んで宴は続く。
「相変わらずとんでもない……ってわけでもねぇんだよな、あんたの場合」
「それに関しては同意しますな」
ミズリーとキンメはかつてるこるとその仲間の文字通りの『桁違い』を見たことがある。だがそれが始まりとなって今やそれすらも遥か下に見る世界となっていることは、流石に想像だにしていまい。
そして自分がそうなっていた間、ミズリーたちが何をしていたのかをるこるは彼女に尋ねてみる。
「ああ、その間はずっと発掘と研究さ。島の誰も寄り付かない場所や行くだけでも苦労するようなところをほじくり返して、昔の遺物を見つけてはなんとか復元しての繰り返しだ」
「流石にもう信じないわけにはいかなくなりましたんでね」
アルダワという名すら失われた彼女たちの島で、自らのルーツを探り続けるミズリー。かつてはその話を眉唾と思っていたキンメも、今はもう何も疑ってはいないようだ。
「ただ、謎が1個解けるごとに新しい謎が10個増えちまう。掘り出したものを直したり改造することは出来ても、一から作ることはまだまだできねぇ。それどころか深海兵器なんてとんでもない謎まで掘り出しちまったわけだしな」
猟兵との交流で研究は進んでいる。だが、知れば知るほどに蒸気技術の深淵にはまりこんでいく状態か。
「それに島や世界の事もだ。元々この蒸気装置を使ってた俺たちのご先祖はなんでこの技術を捨てた? 東の島には蒸気の痕跡なんざ欠片もねぇし、逆にあっちで盛んな技術はこっちにねぇ。北の島の魔法はキンメがつかう奴とは明らかに体系が違う。技術ってのは例え分岐しても近けりゃ似るもんじゃないのか? 第一、『サバカン団』は誰が何のために最初に作ったんだ? ……分からねぇことだらけだよ」
猟兵がグリードオーシャンにたどり着いたときに目の当たりにした、この世界の特異性。それを当然と受け入れているはずの土着民でありながら疑問を持ち始めたのも、彼女が猟兵と関わり導かれた故か。
「ま、お頭がこんな事ばっかり考えてるんで、俺は相変わらず内方と外回りですな」
事務管理や外交など現実的な仕事を一手に引き受けるキンメだが、その声は重くない。あるいは自分では見ることもできぬ理想を描ける頭のため、現実を抑えることを自らの役目としているのかもしれない。
「私はどちらかというと|キンメさん《魔法使い》側ですので……まあ、何かありましたらまた予知いたしますわ❤」
自身も|アルダワ系能力持ち《マジックナイト》であり、サバカン団絡みの依頼のほぼすべてを出しているメルも胸を寄せて笑う。
幾度となくかかわった彼女たちがどうしているかを知りたいと思っていたるこるは、その答えを聞いて彼女たちの更なる前途に幸あれと思うのであった。
と、それはそれとして島民の方にも聞きたい疑問が一つ。
「それにしても、この壺漬け肉は間違いなく覚えがあるような?」
いくつか違う点はあるものの、それこそ間違いなく同じルーツを持つ壺漬け肉をるこるは確実に知っている。
「魔術を使っておいででしたし、島の一面が「切り取った崖」の様になっているエリアが有りませんかねぇ?」
「ほぉ……よくご存知で。島の反対側は一面が崖になっていて、それこそ深海兵器によって島が半分切り取られた跡だなんて言われてますな」
「そうそう、だから俺らもあの水着の奴らも同じ場所から上陸したんだよ」
「と言ったって崖どころか岩山に囲まれた島だっていくつもあります。一面断崖なんてそこまで珍しいもんでもないでしょう」
「その通り。まあ、大方何かしらの災害の話に尾鰭がついたのでしょう。島が崩れ形が変わるような嵐も、長く生きてればないわけでもないですからな」
ほんの少し前、アルダワ世界群島海域で聞いた話。かつて恐ろしい力で島の半分が消し飛ばされ、その爪痕として島の片側が切り取られたような崖になっているという。
そして、その島であるマジックナイトが消息を絶っているとも。
「そうですか……ところで、可能であれば、この壺漬け肉を伝えた方のお話を聞かせて頂いたり、手記等が有りましたらお見せ願えませんでしょうかぁ?」
その方面からのアプローチに、話をしていた老婆が頷いて答える。
「おお、それは私の先祖の事ですな。他所の島から流れ着いたとも、深海兵器を作り出した、あるいはその者自身が深海兵器であるとも……まあ、ただの肉料理の上手い魔法使いだというのが実際の所でしょうが」
「いや分かんないぞ。100超えて肉と酒で生きてるババアの先祖だし」
近くにいた中年男が茶々を入れると、その顔面に火球が炸裂する。
「やっかましい! 見ろやこの顔、70から年取るのは辞めたんだよ!」
「知ってんだからな! 50くらいまでは下に見られた方がキレてただろ!」
口答えする男にまた火球が飛ぶ。
「手記はありますが……お見せすることは申し訳ないが出来ませんな。その代わり、この肉をもっと召し上がってくださいませ。それが答えとなります」
こんがり焼けた男の前で言う老婆。つまり彼女の先祖が残した手記とは、この壺漬け肉の作り方を記した秘伝ということなのだろう。世界の、そして深海兵器の核心に迫るようなものでは全くあるまい。しかしそれこそが、あるいはるこるが知りたかったことの答えとなるのかもしれない。
「では最後に、本日来られなくて悔しそうな方の心当たりが有りますので、お土産を購入させて頂けると有難いですぅ」
そしてアルダワでぶつぶつ文句を言っていたある人物へ向けての土産に、その壺漬け肉を頂いていく。恐らく後ろで笑っているウサギメイドは、何のことか分かっているのだろう。
こうしてるこるは知りたかった話、知己たちの近況を聞き、彼女らがそれぞれの世界でそれぞれに生きていることに改めて安堵したのであった。
やがて海の向こうに日が沈み、それでも夏休みの島レクは盛り上がり続ける。誰しもが燃える暑い熱い日々は、きっとまだまだ終わらない。
大成功
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