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夏の日の思い出

#シークレット・テイル #ノベル #猟兵達の夏休み2025

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唯嗣・たから




 とある夏の日。たからはエルグランデに遊びに来ていた。
 前回はたくさん海のあるマリネロの街で遊んだから、今年は山や川に行きたい! と。
 いつも懇意にしてもらっているたからの願いとあっては、エルドレットもヴォルフも無碍にはできない。

 ということで、今回は燦斗とスヴェンの2人が共にキャンプを開いてくれることになった。
 ただ今回はエルドレットもヴォルフも忙しくて外に出ることが出来ないため、山での活動に詳しい2人が来てくれることに。
 燦斗は個人的な興味があって山で過ごすこともあるし、スヴェンはそもそも星を見るのによく山に行くことから適任だとしてエルドレットに呼ばれたようだ。

「キャンプの経験はありますか? たからさん」
「んー……たぶん、ない!」
「ですよねー」

 今日のキャンプは日帰り。そのためテントを組み立てたあとは荷物を置いて外での活動を中心に楽しむことになっている。
 とはいえ|宇宙偏執狂《バーサーカー》なスヴェンが夜空を前にして帰らないなんてことはないので、時間短縮のために行きと帰りはゲートを使っての移動となっている。何かあればスヴェンからすぐさまエルドレットに連絡が行ってゲートを開いてくれるとのことなので、思う存分楽しんで欲しいとのこと。

「魚釣りでもします? 食料はありますけど」
「いや、ここを離れると面倒だ。それならコイツがある」

 そう言うとスヴェンは数字のついた木の棒を12本、何も書いていない木の棒を1本取り出した。
 異世界で見つけた遊具のようで、ある一定の場所から棒を投げて数字の棒を倒し、50点を先制取得した者が勝利というルール。他にも50点を超えたら半分の25点から貯め直しなど細かいルールもあるが、今回は割愛。
 これが意外と難しいらしく、うまく投げたつもりでも届かなかったり、逆に行き過ぎたりといった暴投が起こりなかなか点数が取れなかったりする。
 実際、身長の高い燦斗が投げると距離感が掴めないのか高い点数が取れないといったことがしばしば。逆に身長の低いたからやスヴェンは自分と棒の距離を掴みやすいのか、着実に点数を稼いでいた。

「いっぱい、投げたら、とれた!」
「上手いな、たから殿」
「上手ですねぇ。スヴェンさんもたからさんも」

 たからが50点を獲得したことでゲーム終了の合図。気づけば夕暮れ時となっており、夕食の準備を進めることになった。
 キャンプでおなじみのカレーの材料はクーラーボックスで持ち込み済み。あとは炒めて煮込んでご飯の準備をして、食べるだけ。

「わあ……」

 ふと調理中に空を見上げたたからの目には普段の倍以上の星空が見えた。
 スヴェン曰く、街の中で星を見るよりもこうして山の中で見るほうがはるかに見えやすくなっているといい、その原理などについても彼はペラペラと語る。早口過ぎて何言ってるかはたからには全く理解出来ていないが。
 簡単に言うと人の目は近くの光を吸収しやすいため、街の中の光を吸収してから星空の光を吸収しているため、周りが暗ければ暗いほど星はたくさん見えるのだとか。

「はっ。だから、スヴェンさん、山に、来る!」
「それで山に詳しいんですね……」
「そういうことだ。オレは街よりも海や山で星を見るほうが好きなのでな」

 出来上がったカレーを食べながらも、スヴェンの星座話を聞いていく燦斗とたから。
 夜遅くギリギリまで、キャンプの時間は続く。


 ――この後に起こる侵略のことなど、誰もこのときは知らないままに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年08月20日


挿絵イラスト