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バナジウムのデモノイド学園

#サイキックハーツ

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#サイキックハーツ


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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「サイキックハーツにて復活した過去のダークネス『ロード・バナジウム』が、秘匿されていたデモノイド研究施設を発見してしまいました」
 デモノイド。それはかつてダークネスの手で大量生産された、理性なき異形の改造生物である。ダークネスにならず「デモノイドヒューマン」として灼滅者化した者を除いて、当時生み出されたデモノイドはサイキックハーツ大戦後に廃棄されており、すでに全滅している。同時にデモノイド関連の研究施設も殆どは破壊された筈だったが――。

「放棄されたまま残存していたデモノイド研究施設のひとつを、ロード・バナジウムは発見し、自分のものにしてしまいました」
 バナジウムは「デモノイドロード」と呼ばれる、人間形態と理性を維持できるデモノイドの特殊個体だ。彼女が同族であるデモノイドの研究施設を発見したのは偶然か、それとも運命の導きだったのだろうか。どちらにせよ由々しき事態だ。
「バナジウムはこの研究施設で喪われたデモノイドを再生産し、それを戦力を求める他のダークネスに与えて、より大きな事件を起こそうとしているようです」
 そうなればバナジウム以外のダークネスの活動が活発化することも考えられるし、なによりもデモノイドの「素体」となるのは人間――つまりデモノイドが1体生み出されるたびに、最低でも1人の人間が犠牲になる。そんな所業を許すわけにはいかない。

「問題のデモノイド研究施設は、日本国内にある学園に偽装されていました。現在でもこの学園は一般の教育機関として運営されています」
 教師をはじめとする学園関係者や学園に通う生徒達は全員普通のエスパーであり、研究施設の事はなにも知らない。皮肉にもかつてのダークネスの偽装工作が巧妙だったからこそ、現代に至るまで誰も正体を知らずに「普通の学園」だと思われてきたのだ。
「バナジウムが研究施設を発見してからは、この学園では病欠や不登校になる生徒の数が増えています。おそらくはデモノイドの素体にするために攫われたのでしょう」
 放棄された施設にどれだけの設備や研究データが遺されているかは不明だが、このままだと彼らは「デモノイド寄生体」を埋め込まれ、理性なき怪物に成り果ててしまう。そうなる前に、学園のどこかに隠された研究施設を見つけだし、彼らを救出しなければならない。

「教師や生徒の方々も、自分達の学園で起きている違和感には気付いているはずです。彼らからの情報収集が施設を発見する手掛かりになるでしょう」
 ロード・バナジウムはサイキックやESP等を用いて発覚を防いでいると思われるが、バベルの鎖が喪われた現代のサイキックハーツで完璧な隠蔽工作は不可能だ。丁寧に情報を集めていけば、デモノイド研究施設の所在は必ず掴めるはず。
「研究施設を発見したら、囚われている生徒を救出し、ロード・バナジウムを撃破。しかる後に、施設自体も可能な限り破壊してください」
 人間をデモノイド化させる研究など現代においては無用の代物だし、バナジウムのように悪用を企むダークネスが再び現れないとも限らない。今後の禍根を断つという意味では、遺されている研究データも含めて、跡形もなく消し去ってしまうのがいいだろう。

「一度は滅びたはずの危険な研究を、再び世に出させるわけにはいきません。どうか皆様の力をお貸しください」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、サイキックハーツの学園へと猟兵達を送り出す。
 表向きはなんの変哲もない、平和な学び舎。だが、その裏に隠された悪しき研究が、いま再び胎動を始めようとしていた――。



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはサイキックハーツにて、放棄されていた「デモノイド研究施設」の悪用を阻止する依頼です。

 シナリオの舞台となるのは、日本国内のとある学園。
 通っている生徒や教職員はみんな普通のエスパーです。
 ですが、この学園のどこかには、放棄されたまま残存していたデモノイド研究施設があります。オブリビオンとして復活したダークネス『ロード・バナジウム』が、それを発見してしまいました。

 1章は学園内部を調査し、デモノイド研究施設の所在を探します。
 新たなデモノイドを量産するために、学園ではすでに様々な異変や事件が発生しています。学園関係者を通じてそれらの情報を集めるのが、施設を発見する近道でしょう。

 施設の所在を突き止めたら、2章は囚われた生徒達の救出。
 3章は施設を支配下に置く『ロード・バナジウム』との決戦です。
 バナジウムを撃破し、再利用不可能なように研究施設を破壊すれば、シナリオ成功となります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『学校に潜む罠』

POW   :    特に周囲への影響力が強そうな生徒や教師に、直接接触を試みる

SPD   :    目立たない生徒になりすまし、さりげなく情報を集める

WIZ   :    校舎内に怪しい仕掛けがないか調べる

イラスト:yakiNAShU

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

多々良・緋輝
アモンの奴も手を付けそうだなぁ、デモノイド施設

半径1450m内の知性体の認識を操作する機械を用い、学校の生徒として潜入
購買で昼飯を買った後、情報通そうなグループとの会話に入っていく
最近、不登校になっているやつ多いだろ?
一体、何があるのかねぇ

そんなふうに会話を交わして情報収集していき、そこから得られた情報を元に悪を嗅ぎ付けていく
まず、デモノイド施設なんてのは現在じゃあ禁忌中禁忌
なら、必然的に見えない所…地下とか隠し部屋がある筈だ

学校のマップを手に入れ、そこからデモノイド施設がある場所にアタリをつけていくぞ

新しいデモノイド…或いはデモノイドヒューマンになるのは、オレだけで良い



「アモンの奴も手を付けそうだなぁ、デモノイド施設」
 そう呟くのは多々良・緋輝(ロード・ヒイロタマハガネ・f44126)。デモノイドの創造主であり彼女をデモノイドにした張本人ならば、今回のような事件に絡んできてもおかしくない。無論、デモノイドの研究施設などどのダークネスに見つかっても面倒なものだが。
「鋼は此処に。鋼は機械となり、機械は認識を歪め、認識の歪曲は我への害となる因子全てを感知する。以て我が領域にて害意は全て見通される」
 早急に施設を発見すべく、緋輝は【DEP・機械は害因となるものを認識歪曲で祓う】を発動。半径1450m内の知性体の認識を操作する機械を用いて、自分を「学校の生徒」と認識させて潜入する。同じ学校の関係者になれば、情報収集もやりやすかろう。

「最近、不登校になっているやつ多いだろ?」
 緋輝は購買で昼飯を買った後、さもクラスメイトらしく堂々とした態度で、情報通そうなグループとの会話に入っていく。年齢もちょうど高校生くらいなので違和感を持った人間はいない。そして話題に出すのは、最近学園を騒がせつつある例のアレだ。
「一体、何があるのかねぇ」
「あー、アレね」「噂だとさ……」
 様々な理由で学園から生徒が消えている件については、当事者達も耳が早い者は気付いているようだ。逆に言えば、噂になるほど多くの人間がすでに攫われているらしい。デモノイド『ロード・バナジウム』が、学校を隠れ蓑に大々的に活動しているのは間違いない。

「学園の七不思議に呪われた、なんて言う人もいるよねー」
 噂好きな生徒が言うには、この学校にはよその学校と似たような「七不思議」があるらしい。4階の開かずの教室、放課後に鳴る音楽室のピアノ、立入禁止の旧校舎――などなど、内容はありがちなものだが、ここが秘密裏に建設されたデモノイド研究施設だったという事実を踏まえると、一気に怪しく感じられる。
「へーえ……ありがと、じゃあな」
 そんなふうに会話を交わす中で、緋輝は得られた情報を元に「悪」を嗅ぎ付けていく。特に学校の七不思議の話からは、残り香めいた悪の匂いを感じることができた。デモノイドヒューマン特有の感覚が、隠されたデモノイド研究の跡を追っていく。

「まず、デモノイド施設なんてのは現在じゃあ禁忌中禁忌。なら、必然的に見えない所……地下とか隠し部屋がある筈だ」
 そう考えた緋輝は学校のマップを手に入れ、そこからデモノイド施設がある場所にアタリをつけていく。現状で一番怪しいポイントはやはり七不思議に関係する場所だ。この中のどれかが施設に繋がる入口になっているかもしれない。
「新しいデモノイド……或いはデモノイドヒューマンになるのは、オレだけで良い」
 オブリビオンと化したアモンに拉致され、エスパーからデモノイドヒューマンとなった緋輝。己を最新にして最後のデモノイドにすべく、研究施設を破壊する意思は誰よりも強いだろう。あくまで学校生徒として振る舞いつつも、その内には闘志の炎が燃えていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

燮樹・メルト
◎アドリブOKです

やむわー、やなニュースだね。
ちょーっとスピード重視で行こう。

UC、メルストリーム・ハイパーチャット!

ここはね、『集合知』でいかせてもらうよ。
人の口に門は立てられないのは世の常、だったら、学校のSNSやメンバーで、そういう情報が出回ってるはず、例えば『怪談』とかでね?

あとはそこを元に、校舎を怪しいところを調査するのが丸いかなぁ。
あんまり騒ぎすぎると大元が何か焦った行動を取ったら事だし。

怪しまれないように変装や認識阻害はちょっと入れていくけど、今回はシリアス潜入回だからねー。
あくまで本番はデモノイドの親玉が相手だからさ。

ホント、やみ展開はかんべんなー。(グッと伸びをして)



「やむわー、やなニュースだね」
 放棄されたはずのデモノイド研究施設を発見したダークネスが、密かに学校生徒を拐って研究を行っている。そんな話を聞いた燮樹・メルト(❤️‍🩹やわらぎ🧬ちゃんねる💉・f44097)は、すこぶるダルそうな表情でぼやく。彼女もデモノイドヒューマンなので他人事とはいえないし、放っておくとどんどん「お仲間」が増えてしまいそうだ。
「ちょーっとスピード重視で行こう」
 メルトは武蔵坂学園の生徒にして「やみ」系ストリーマー。その配信力を活かして発動するのが【メルストリーム・ハイパーチャット】だ。ネットで彼女を応援してくれる視聴者層の中には、件の事件が起きている学園の生徒もいた。

「ここはね、『集合知』でいかせてもらうよ」
 人の口に門は立てられないのは世の常。だったら、学校のSNSやメンバーで、そういう情報が出回ってるはず。ネットで繋がった現代人の知恵は侮れないもので、ほとんどは根も葉もない噂や的外れな憶測でも、集まれば意外な真実に迫ることがある。
「例えば『怪談』とかでね?」
 いつも配信を見てくれている「メル友」を中心に寄せられた情報の中で、話題になっているのは学園に元からあった「七不思議」と最近の不登校生徒の増加を結びつけたものだ。開かずの教室に入った生徒が呪われたとか、保健室の幽霊に拐われたとか、まさに怪談じみた噂で賑わっている。

「あとはそこを元に、怪しいところを調査するのが丸いかなぁ」
 ある程度の情報が集まると、メルトは自分の足で学内の調査を始める。あまり騒ぎすぎて、大元のダークネスが何か焦った行動を取ったら事だし、ここからは慎重に動いたほうが良いだろう。部外者が校内に紛れ込んでも怪しまれないよう、変装や認識阻害もちょっと入れていく。
(今回はシリアス潜入回だからねー。あくまで本番はデモノイドの親玉が相手だからさ)
 なに食わぬ顔で校舎を歩く水色髪の少女を、不審に感じた者はいない。制服姿でスマホをいじり、リスナーの集合知を参考に七不思議関連のポイントへ向かう。この手のは例によって七つ以上あるのがお約束だが、順番に全部当たってみるしかないだろう。

「ホント、やみ展開はかんべんなー」
 グッと伸びをして、面倒くさそうにぼやきながらも、メルトはきちんと調査を進める。事あるごとに「やむ」と言いつつ、意外と良識派なところもある彼女は、多くの一般エスパーを犠牲にする無法な研究を見過ごさない。傍目に分かりづらくても、やる気はそこそこあるようだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
ロード・バナジウム……サイキックハーツ大戦まで生き残っていたデモノイドロードですね
彼女の性格を考えれば、絶対に碌でもないことになる
確実に壊滅させねば

朱雀門高校といい、学園というのは閉鎖的なせいで何かと利用されがちですね
まぁ、武蔵坂学園もある意味ではそうなのですが
セーラー服を纏い、生徒のフリをして潜入

「学校新聞のネタのために怖い話や噂、怪談などを集めている」という体裁
【薔薇の妖婦】の効果で好印象を与えながら聞き出せば、歓心を買おうと色々思い出そうとしてくれる筈(誘惑)
開かずの扉や不登校になった生徒の最後と足取りなど、関係のありそうな話はしっかりメモメモ
ご協力、ありがとうございました



「ロード・バナジウム……サイキックハーツ大戦まで生き残っていたデモノイドロードですね」
 かつて灼滅者だった時の記憶から、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は復活したダークネスの知識を思い出す。人類とダークネスの戦いの最終盤に現れた『ロード・バナジウム』は、極めて冷酷で嗜虐的な人物であり、デモノイドこそが人類の後継者となる存在だと語っていた。
「彼女の性格を考えれば、絶対に碌でもないことになる。確実に壊滅させねば」
 放棄されたはずのデモノイド研究施設をデモノイドロードが発見した。当時を知る灼滅者からすれば、それだけで警戒する理由には十分過ぎるだろう。強い危機感と使命感のもと、オリヴィアはグリモアが予知した学園へと向かった。

(朱雀門高校といい、学園というのは閉鎖的なせいで何かと利用されがちですね。まぁ、武蔵坂学園もある意味ではそうなのですが)
 セーラー服を身に纏い、生徒のフリをして潜入したオリヴィアは、学園内の様子を見回す。彼女の母校ほどの規模感はないが、それなりに大きな学校で、多くの学生が青春を謳歌している。こんな所にダークネスの研究施設があるなんて、普通の人は考えもすまい。だからこそ彼女の言う通り、秘密裏に何かを企てるにはうってつけなのだろうが。
「すみません、ちょっとよろしいですか?」
「ん? あたしになんか用?」
 早速調査を始めようと、オリヴィアは両手にペンと手帳を持ち、適当な生徒に声をかける。顔見知りでもない生徒から急に話しかけられた相手は怪訝そうだが、不審に思った様子はない。これだけ大きな学校だと、部外者が紛れ込んでも案外気付かれないものだ。

「学校新聞のネタのために怖い話や噂、怪談などを集めているんです。なにかご存知ありませんか?」
 という体裁のもとで学内の不穏な情報を集めるのが、オリヴィアの立てた作戦だ。いくら巧妙に偽装されていても、超常の情報伝達を阻害するバベルの鎖はすでにサイキックハーツにはない。となれば人の口に戸は立てられぬものだ。
「怖い話ねえ。そういえば最近、不登校になる生徒が増えてるって話だけど……」
「あ、知ってる知ってる! アレでしょ、ほら例の『学園七不思議』の……」
 こっそりと【薔薇の妖婦】を発動しておけば、甘やかな薔薇の香りが周囲に好印象を与えてくれる。オリヴィアの歓心を買おうとする生徒は、彼女が喜んでくれそうなネタを提供するために、積極的に色んなことを思い出してくれた。

「うちの隣のクラスの子も最近登校してないんだけどね。その子が4階の『開かずの教室』に入っていくのを見たって友達が……」
 それは以前からこの学園に伝わっていた七不思議のひとつだと言う。内容自体はどこの学校にもありそうな話だが、それと最近の不登校生徒が結びつけて語られるのは偶然なのか。デモノイド研究施設に関する真実が歪められた結果、学園の七不思議になったとは考えられないだろうか。
「あたしは旧校舎に肝試しにいった子が寝込んでるって話も聞いたよ!」
「ふむふむ……」
 他にも音楽室の怪異だとか保健室の幽霊だとか、七不思議と不登校になった生徒の足取りは様々で、明らかに尾鰭がついていそうなネタもある。情報の精査は後ですることにして、オリヴィアは関係のありそうな話はしっかりメモを取っておく。

「ご協力、ありがとうございました」
「どういたしまして!」「新聞、楽しみにしてるねー!」
 びっしりとメモされた手帳をぱたんと閉じて、オリヴィアは生徒達にお礼を言う。ユーベルコードの効果もあって、生徒達はすっかりと打ち解けた笑顔だ。この笑顔を脅かす存在が、今も学園のどこかに潜んでいる――そう考えると、ペンを握る手の力が無意識に強くなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神夜・未来
デモノイド化・・・まだそんなことが続けられているのね。

エスパーの学生として学園に入り込んで違和感を感じている
生徒や教師たちに聞き込みをするわ。
ちゃんと自然体で生徒になりきれているか、
意識しながら行動するわね。
あくまで好奇心で聞いている風を装い、
怪しい場所とか居なくなった人達が最後に居た場所とかを、
それとなく聞き出したいわね。
でもそれだけで簡単に特定はできそうにないから、
ある程度場所を特定した所で囮作戦を決行するわ。

夜とかに単独でその場所を歩き回るなどして無防備を装って
向こうから仕掛けて来させるよう囮役を兼ねつつ研究施設を探すわ。
無関係の警備の人とかに見つからないよう注意はするわね。

アドリブ歓迎



「デモノイド化……まだそんなことが続けられているのね」
 ダークネスの衰退と世界の変革により、新たなデモノイドはもはや生まれないものと考えられていた。だが、過去の遺物と化した研究を今になって掘り起こそうとするダークネスがいる。そんな話を聞いては神夜・未来(金色のミライ・f43869)は黙っていられない。
「母に代わって成敗してあげるわ」
 灼滅者である母とは異なり、未来は普通のエスパーだったが猟兵の力に目覚めた。自身の変化に戸惑いもあったが、今では覚悟も使命感もある。かつて行われていた邪悪な所業を、もう二度と繰り返させないために、彼女はデモノイド研究施設のある学園へと向かった。

(ちゃんと生徒になりきれているかしら)
 エスパーの学生として学園に入り込んだ未来は、なるべく自然体に見えるよう意識して行動する。上流階級の服装から制服に着替えれば、見た目や年齢的に怪しい所はないし、生徒数も多い学園なので部外者だとバレてはいない模様。
「ねえ。最近この学校、登校してこない生徒が増えてない?」
 彼女はあくまで好奇心で聞いている風を装い、生徒や教師達に聞き込みをする。一般エスパーの学校関係者間でも、この話題は薄く広く浸透しつつあった。「風邪でも流行ってるのかな?」くらいに考えている者もいれば、「流石に多すぎるのでは?」と違和感を抱いている者もいる。

「あたしの友達もずっと休んでるけど、前日までは元気だったんだよね」
「『学園の七不思議』と関係あるんじゃないか、なんてウワサする人もいるよねえ」
 未来はこうした人々の会話を通じて、学園内にある怪しい場所や、居なくなった人達が最後に目撃された場所など、デモノイド研究施設と関係ありそうな話をそれとなく聞き出していく。あくまで噂レベルのものも含めれば、かなりの情報が集まった。
(でもこれだけで簡単に特定はできそうにないわね)
 よく話題に出てきたのは、この学園に昔から伝わるという七不思議だが、それだけでも候補地は7つ以上あるし、どれが一番怪しいか断定まではできない。そこで未来はある程度場所を特定したところで、囮作戦を決行することにした。

(肝試しには良さそうな雰囲気ね)
 ――下校時間を過ぎると、誰もいなくなった夜の校舎を、未来は単独で歩き回る。興味本位で「学園の七不思議」巡りに来た、と誤解されても仕方のないシチュエーションだが、これもれっきとした調査の続きだ。無関係の警備員には見つからないよう注意しよう。
(最初の七不思議は『保健室の幽霊』だったわね)
 いかにも怖いもの知らずの学生らしく、無防備を装って研究施設を探す。これで向こうから仕掛けて来れば最高だ。
 不登校になる生徒が増え続けているということは、敵はもっと多くの"実験体"を求めているのだろう。隙を見せればアプローチを仕掛けてくる可能性は高い。

「次は……あら?」
 順番に怪しい場所を調べていた未来の耳に、ポロンとピアノの音が聞こえてくる。この時間に誰もいるはずのない、音楽室からそれは聞こえてくる。ちょうど学園の七不思議の中に「音楽室の怪異」があったことを、彼女は思い出す。
「ひょっとして、誘っているの?」
 だとしたらあからさまだが、ここで乗らない理由はない。緊張と警戒を強めつつも、未来は音のする方へと向かう。
 真夜中の校舎にこだまするピアノの音色は、美しくも怪しく陰鬱な調べをもって、彼女を闇へ誘うのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『囚われた人々を救え』

POW   :    体力に任せ、くまなく捜索を行う

SPD   :    人目に付きにくい場所や、誘拐に利用されたと思しきルートを探る

WIZ   :    誘拐事件に繋がりそうな情報を集め、人々の居場所を推理する

イラスト:del

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 学園に潜入した猟兵達は、調査を行う過程で生徒達の間に伝わる『七不思議』の噂を知る。
 さらに調べを進めると、七不思議は単なる怪談ではなく、デモノイド研究施設の存在を隠すためのカモフラージュだったことが明らかになってくる。

 まだバベルの鎖が存在した頃、ダークネスやサイキックに関する情報は過剰な伝播を妨げられていた。
 故に、何かの拍子に一般人が学園の真実を知ったとしても、その情報は正しく伝わらず――結果として曖昧に歪んだ噂だけが「怪談」として残ったのだ。

 時代と共に尾鰭も付き7つ以上になった七不思議の中で、アタリだったのは『音楽室』と『開かずの教室』の2つ。
 建物の間取りまで考慮して巧妙に偽装されていたが、この2つの部屋には下に向かう階段やエレベーターがあった。
 慎重に降りていくと、その先は学園には不必要なほど広大な地下空間。剥き出しのコンクリートの通路に、不可解な薬品や実験器具の置かれた部屋。ここがデモノイド研究施設の本体だ。

 この地下施設のどこかに、行方不明となった学生達が囚われている。
 グリモアの予知によればまだデモノイド寄生体を埋め込まれてはいないようだが、それも時間の問題だろう。
 研究の犠牲者として取り返しのつかない事態が起こる前に、一刻も早く救出しなければ。

 平和な学び舎の裏に隠された邪悪な施設で、猟兵達は直ちに行動を開始する。
多々良・緋輝
さて、次は散策と行こうか
デモノイド寄生体……そんなもの、埋め込まれてたまるかよ
かつてアモンに埋め込まれた苦痛を思い返しながら、地下施設へと突撃

UCで『デモノイドの肉体をサイキック毒で進化する時間』を十分に取り、囚われた学生を探し出す能力を進化する事で確保して散策を開始

元々【悪を嗅ぎつける】能力は高いんだ
なら、純粋な嗅覚も高い……
そんな風に呟きながら、攫われた学生の臭い等の痕跡を追跡していく

さて、ここにいたか
起きろ、直ぐに家に帰してやる

自分と学生の安全を確保・確認した後、拘束を解かせてぺちぺちと優しくを頬を叩いて起こしていく



「さて、次は散策と行こうか」
 学園の地下に築かれたデモノイド研究施設を発見した緋輝は、直ちに突撃する。目的は言うまでもなく囚われた生徒達の救出。なにも知らない普通のエスパーが、自分のようにデモノイド寄生体を埋め込まれてしまうのを防ぐことだ。
「デモノイド寄生体……そんなもの、埋め込まれてたまるかよ」
 かつてアモンに埋め込まれた苦痛を思い返しながら、地下施設を探索する。デモノイドヒューマンに覚醒できた自分はまだ良い方で、ほとんどの場合寄生された人間は理性なき異形の怪物と化す。かつての時代は、そうやって多くの人間がダークネスの都合のいい駒にされてきたのだ。

「鋼は此処に。毒と進化を示す緑の色彩司る救世主は、我が悪魔の肉体を進化させる。魔が滅びた後にも、救世主は必要なのか」
 施設内は暗く視界が悪い中で、緋輝が主に頼りにするのは嗅覚。【DMOE・緑の救世主は悪魔を救うのか】を発動し、十分な時間をかけてデモノイド化した肉体をサイキック毒で進化させ、囚われた学生を探し出す為の能力を確保する。
「元々悪を嗅ぎつける能力は高いんだ。なら、純粋な嗅覚も高い……」
 そんな風に呟きながら、攫われた学生の臭い等の痕跡を追う。さながら猟犬か警察犬の如しだが、いまや彼女の嗅覚はそれ以上のものとなっている。まだ新しいヒトの匂いを嗅ぎつければ、それを辿って迷いなく地下施設を進み――。

「さて、ここにいたか」
 実験室らしき部屋で眠らされた学生を発見した緋輝は、周囲の匂いを嗅いで自分と学生の安全を確保・確認。どうやら近くにバナジウムはいないか席を外しているようだ。今のうちにと学生の拘束を解き、ぺちぺちと優しく頬を叩く。
「起きろ、直ぐに家に帰してやる」
「う? うぅん……ここは……?」
 睡眠薬でも使われたのか、目を覚ましても学生はぼんやりしていて自分の状況を分かっていない様子。だがパニックになるよりは良かったかもしれない。ざっと見た限りではまだ体を弄られたり寄生体を埋め込まれてはいないようだ。

「家……って、ここどこ……それに、あなたは?」
「大丈夫だ、心配するな」
 詳しい事情を説明している暇も惜しい。学生の意識がはっきりしてくると、緋輝はまだ他に囚われている人間がいないか探る。あれだけ学園で噂になっていたのに、まさか被害者が1人だけということはあるまい――闇に包まれた地下施設には、むせ返るような"悪"の匂いが充満していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

燮樹・メルト
◎アドリブ連携OKです

ここからが問題だ。
配信はON、ちょっと刺激強めだから心して、メル友のみんな。

UCで移動速度を上げて、隠密行動と、最深部にいるオブリビオンを探し出しにいこう。
その前に囚われてる人がいれば救出して、敵の情報を探るのも良いかもね、どちらにせよ、時間との勝負ってわけ。
デモノイドはこれ以上増やすわけにはいかないからさ、道中に敵がいれば、毒と投擲で卒倒させて、急いで最短で詰めてくよ。

こんな施設がまだあるなんてね……何か痕跡が残っていたら、学園に持ち帰るのも手かもしれない。
逆にこれだけ隠し通せたのも不自然な気もするんだよね。



(ここからが問題だ)
 階段に隠されたデモノイド研究施設を発見したメルトは、よりシリアスに気を引き締め直す。配信はONにしたまま、ドローン「レコれこフィーチャー」のカメラも回しておく。配信の雰囲気が変わったのはリスナー達も察するだろう。
「ちょっと刺激強めだから心して、メル友のみんな」
 記録を残す意味合いもあるが、配信を止めない理由は【エクストリーム・デモンヴァイパー】を使用するためだ。このユーベルコードで移動速度を強化した彼女は、足音を立てぬようこっそりと、かつ素早い動きで最深部にいるオブリビオンを探しにいく。

「その前に囚われてる人がいれば救出して、敵の情報を探るのも良いかもね」
 ひそひそ声でドローンに向かって話しかけながら、隠密裏に探索を行うメルト。手には猛毒を塗布した解体ナイフ「バラばらスカルペル」を握って、いつでも投げられるようにしている。もしも道中で敵と遭遇した場合の備えだ。
「どちらにせよ、時間との勝負ってわけ。デモノイドはこれ以上増やすわけにはいかないからさ」
 施設に残された研究をバナジウムが復活させ、エスパーをデモノイド化させることが可能になれば、時代は過去に逆戻りだ。メルトもデモノイドヒューマンだからこそ危険性は重々承知の上。今回は配信の盛り上がりよりも最短効率で先を急ぐ。

「こんな施設がまだあるなんてね……何か痕跡が残っていたら、学園に持ち帰るのも手かもしれない」
 移動中に確認できた設備や機材は、埃を被っているが破損の形跡はなく、長年放置されていたにしては状態がいい。
 棚の薬瓶に紛れて並んでいるのは、デモノイド寄生体の標本だろうか? 直感で気になったものを幾つか、メルトは自分のポケットにしまう。
「逆にこれだけ隠し通せたのも不自然な気もするんだよね」
 ダークネスによる支配体制が崩壊してからはや数年。デモノイド関連施設もほとんどが破壊された中、この場所が見過ごされたのは理由があるのかもしれない。ただ、それを知っている者がいるとすれば、バナジウムただ1人だろう。

「おっと、誰かいるね」
 思考を巡らせながら施設を進んでいくと、施錠された部屋から小さな物音が聞こえる。毒でカギを腐食させて中に入ってみると、そこには鉄枷と猿轡をされた学生服の少年少女がいた。どうやらここは「素体」の保管庫だったらしい。
「大丈夫? 助けに来たよ」
「ぷはっ! あ、ありがとう……!」
 拘束を解いて話を聞いてみると、彼らはみな早朝や放課後など人気がないタイミングで、『学園の七不思議』関連の場所付近で見知らぬ少女の襲撃を受けたという。金属の塊でできた腕で殴られ、意識を失い――次に目を覚ました時にはここに閉じ込められていたそうだ。

(自分で学生を攫ってたんだ? 結構働き者だね)
 ここまでの道中でも危惧していた敵の襲撃はなかった。研究施設に配下として動かせるダークネスや眷属はおらず、バナジウムの単独犯と考えて良さそうだ。つまり彼女1人を撃破すれば、ここの研究データを外部に持ち出される恐れもなくなる。
「ありがとう。待っててね、すぐに助けるから」
 情報をくれた学生にお礼を言って、地上に脱出する道程を教えると、メルトは施設のさらに奥を目指す。今の子達になにかされた形跡はなかったが、だったら尚更急がなければならない。バナジウムの研究が実を結ばないうちに――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神夜・未来
危険を冒した甲斐はあったのかしらね。
いつ敵が襲って来るかもわからない上にどんな
不気味なのがあるかもわからない状況下で流石に
不安を感じてしまうけれど、尻込みしてなんかいられないわ。
囚われている学生達を探して救出を優先するわ。
学生達を逃がす為の脱出路の確保も必要だし、
ちゃんと進んだルートを憶えながら施設内を探して回るわ。
あえて捕まったフリをして学生達の所まで案内してもらうにも手かしら。
学生達を見つけても慌てず周囲の状況を確認してから助けるわ。
接触テレパスを活用して目立たないよう声なしで学生達と会話するわね。
戦闘は襲われた時や学生達が危険な時とか止むを得ない場合に最小限とするわ。

アドリブ、連携歓迎



「危険を冒した甲斐はあったのかしらね」
 音楽室の音色に導かれて、地下のデモノイド研究施設にやって来た未来。いつ敵が襲って来るかもわからない上に、どんな不気味なのがあるかもわからない状況下では、勝ち気な彼女も流石に不安を感じてしまう。けれど、それを表に出すことはない。
「尻込みしてなんかいられないわ」
 囚われている学生達のほうが、自分よりもずっと不安や恐怖を感じているはずだ。彼らの捜索と救出を最優先して、未来は施設の探索を始める。無機質なコンクリートの通路は巨大な怪物の食道のように、より深い闇へと続いていた。

(……静かね。静かすぎるくらい)
 あえて捕まったフリをして、学生達の所まで案内してもらうのも手かしらと考えていた未来だが、怪しい誘いをかけられて以降、意外にも敵はまだ姿を見せていなかった。こちらが普通のエスパーではないと気付き、あえて泳がされているとしたら不穏だが、今はできることをやるしかない。
(学生達を逃がす為の脱出路の確保も必要だし、ちゃんと進んだルートを憶えておかないと)
 脳内で施設内のマップを作りながら慎重に進んでいくと、前方の部屋から小さな物音がする。漂ってくるのはかすかな薬品の匂い。逸る気持ちを抑えてひっそりと近付き、ドアの隙間から中の様子を窺うと、そこは病院の手術室のようになっていた。

「んー! んー!」
 拘束されて部屋の隅に無造作に転がされているのは、拐われた学生達だろう。思わず飛び出したくなるが、未来は慌てず周囲の状況を確認。室内や周辺に他の気配はない――バナジウムは別の場所にいるのだろうか。だったら今が救出のチャンスだ。
『暴れないで。今助けるわ』
「んんっ?!」
 学生達の体にそっと触れ、声を出さすに【接触テレパス】で話しかける。ここで騒ぎを起こして敵が来たら最悪だ。
 無音の会話で彼らを落ち着かせ、1人ずつ順番に拘束を外していく。同時に軽く触診も行うが、実験や拷問等を受けた痕跡は見られなかった。

『なにもされてない? 体調はどう?』
『へ、平気……だと思う』
 話を聞くと、学生達はここに拐われてきてからほとんどの時間を眠らされていたようで、施設や敵に関する有力な情報は持っていななかった。だが残念がるよりも、彼らがまだデモノイド寄生体を植え付けられていないことを喜ぶべきだろう。
『出口はこっちよ。ついてきて』
 未来は自由の身になった学生達を連れて、脱出路へと案内する。なるべく目立たないようにするが、もし彼らの身に危険が迫った時などやむを得ない場合は、最小限の交戦を行う覚悟もできている。重い使命を負った彼女の小さな背中は、力無きエスパーにはきっと大きく映ったことだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
いつものシスター服に装いを変えて臨戦態勢
開かずの教室の扉を、人の域を越えた【怪力】を以って【抉じ開ける】

さて、思ったより広い空間が隠されていましたね
戦闘に支障がないのは助かりますが、探索するとなると……
【守護霊獣の召喚】で呼び出した黄金の獅子に跨り、調査開始(動物使い・失せ物探し)
【嗅覚】や【聞き耳】を駆使して痕跡を探る
薬品や器具もいくつか回収しておきましょう
どのような研究が行われていたのか、それがどう影響を齎すのか……
私には分からずとも、武蔵坂学園に持ち帰れば、きっと解明してくれるでしょう
生徒を発見すれば戒めを解き、或いは破壊し、獅子の背に乗せて【運搬】



「さて、思ったより広い空間が隠されていましたね」
 メキメキと音を立てて、開かずの教室の扉が開く。人の域を越えた怪力を以て学園の秘密を文字通り「抉じ開けた」オリヴィアは、その先にあるデモノイド研究施設に到達する。その規模は地上の学園にも匹敵するかもしれない、広大な地下空間だ。
「戦闘に支障がないのは助かりますが、探索するとなると……」
 これを隅々まで調べ尽くすのは中々骨が折れそうだが、葬るべき研究と倒すべき悪、そして何よりも救うべき人々がいる以上、諦めるわけにもいかない。潜入用のセーラー服からいつものシスター服に装いを変えて、オリヴィアはすでに臨戦態勢だった。

「天来せよ、我が守護霊獣」
 オリヴィアは【守護霊獣の召喚】で呼び出した黄金の獅子に跨り、調査を開始する。徒歩よりこちらの方が速いし、獣の嗅覚や聴覚も頼りになる。わずかな痕跡も見落とさないように注意し、拐われた学生がどこに連れていかれたかを探る。
(薬品や器具もいくつか回収しておきましょう)
 探索の過程で見つかるのは、デモノイド研究に使われた様々な実験機材。研究資料の保管庫と思しき部屋もあった。
 内容はあまりに専門的でこの場ですぐに理解できるようなものではなく、全て持ち出すのも不可能だが、なんとなく目についたものや重要そうなものを選び、荷物の中にしまいこむ。

「どのような研究が行われていたのか、それがどう影響を齎すのか……私には分からずとも、武蔵坂学園に持ち帰れば、きっと解明してくれるでしょう」
 この研究施設自体は破壊するにしても、今後同じような研究の悪用を防ぐ意味で、情報解析の意義は大きいだろう。
 オリヴィアが金獅子と共にさらに先へ進むと、薬品の匂いとともに人の気配、そして微かに「んーっ!」と呻くような声がする。
「……いました!」
 向かった先は施錠された部屋。即座に鍵を叩き壊して中に入ると、拘束された数名の学生が地べたでもがいている。
 枷と猿轡でがっちり縛られているが、幸いにもそれ以上の危害を加えられた形跡は見られない。すでにデモノイド寄生体が埋め込まれていたら、一目で分かっただろう。

「大丈夫ですか? すぐに安全な所にお連れします」
「た、助かった……ありがとう……」
 生徒達の戒めを解き、あるいは破壊し、自由になった彼らを獅子の背に乗せるオリヴィア。訊ねたいこともあるが、まずは彼らを無事に避難させるのが先決だ。黄金の鬣を雄々しくなびかせ、獅子は来た道を猛スピードで取って返す。
 敵との遭遇はいまだなく、地下施設は不気味なほど静まり返ったまま。警戒感こそつのるものの、生徒の救出は無事に成功した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ロード・バナジウム』

POW   :    バナジウムナックル
【バナジウム鉱石に覆われた右腕】のスイングで近接範囲の敵全員にダメージを与え、100m吹き飛ばす。
SPD   :    触媒の力
いま戦っている対象に有効な【バナジウムでできた武器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    クリスタライザー
【金属化した腕による殴打】が命中した対象に対し、高威力高命中の【肉体を結晶化させる特殊デモノイド細胞】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。

イラスト:くろくろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 学園地下のデモノイド研究施設に乗り込んだ猟兵達は、実験体として囚われていた学生達の救出に成功する。
 さらに探索を進めていった先は、施設の最深部。無数のモニターの光に照らされて、一人の少女が立っている。

「あら、もう来たんですね」

 その少女は猟兵の来襲にも驚いたふうもなく振り返る。
 見た目の年齢は学生達と変わらないが、青白く光る目に角のような頭部の鉱石は、ただの人間とは明らかに違う。

「一応、自己紹介しておきますね。わたし、ロード・バナジウムです」

 彼女がこの研究施設を発見したオブリビオン。鉱物の名を冠するデモノイドの上位種「デモノイドロード」だ。
 人間の姿と理性を維持しているが、その精神は冷酷で嗜虐的――邪悪なダークネスそのものである。

「これ、学校の様子が全部わかるんですよ。だからあなたたちが来たのも気付いてました」

 そう語るロード・バナジウムの背後のモニター群には、学園内の様々な場所がリアルタイムで映し出されている。
 研究施設が放棄される前から存在した監視システムだろうが、彼女はこれを利用して人目を盗み、生徒を攫っていたわけか。

「バレてしまったのは痛手ですけど……あなたたちを素体にすれば研究も捗りそうですし、優秀なデモノイドになりそうです」

 彼女が逃げずにここで猟兵達を待っていたのは、そのためか。
 言い換えれば彼女には、やって来た猟兵を返り討ちにする自信があるということだ。
 サイキックハーツ大戦末期、最終盤まで生き延びていたデモノイドロードの実力は伊達ではない。

「これから再び仲間を増やし、ゆくゆくは学園の人間全員をデモノイドにして、勢力を拡大するんです。新たな時代の覇者、人類の後継種はエスパーではなくデモノイドだと、今度こそ証明してみせます」

 そのように語るバナジウムからは、傲慢さとデモノイドという種族のプライドを感じさせる。
 だが、その発想自体がもはや時代遅れであることを、果たして彼女は理解しているのだろうか。

 いずれにせよ、バナジウムの野望が実を結べば多くの人々が犠牲となり、デモノイドの脅威が現代に復活する。
 それを阻止するために、ここで彼女を撃破し、研究施設を破壊する――猟兵達はおのおのの戦闘態勢に入った。
アラタマ・ミコト
荒魂鎮神命が命じるのでございます。
神器よ施されし封印を解きその力を示すべし!
荒魂鎮神命の無双をご覧に入れるのでございます。

……あらたまちゃんのらいふを削っているのです!
高れああいてむや素材をどろっぷするのです!!



「荒魂鎮神命が命じるのでございます。神器よ施されし封印を解きその力を示すべし!」
 高らかな宣言と共に戦闘の口火を切ったのは、アラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)。妖討伐の力を賜るべく、即身仏と成って「ごっどげーむおんらいん」なる極楽浄土に到達した彼女は、幾多の|試練《くえすと》より|法具《れああいてむ》を授かった。神器「天叢雲剣」もその1つである。
「あら。変わった武器を使うんですね」
 ロード・バナジウムが見ている前で、アラタマの持つ神剣が増えていく。最初は片手に1本だったのが両手に2本に、さらに4本、8本と増えて周囲を浮遊する。ユーベルコード【神器解放】により「無限複製」の封印が解除されたのだ。

「荒魂鎮神命の無双をご覧に入れるのでございます」
 複製した数多の神剣と共に、一気呵成に斬りかかるアラタマ。ただ|法具《れああいてむ》を授かるだけではなく、その使い方も極楽浄土で熟知している。全ては世にはびこる妖や邪悪な怪異を討つために。無論オブリビオンやダークネスもその対象だ。
「まあ……!」
 対するバナジウムは自らの名前の由来でもある、バナジウム鉱石でできた武器を生成して迎え撃つ。【触媒の力】によって対象に有効な武器をその都度作り出すのが彼女の戦い方だが――複製された神剣は雷雲を呼び、稲妻をもって之を打ち砕いた。

「ただのゾンビかと思ったら、違うようですね」
 死体を改造した眷属の類とは違う。即身仏の力量を見誤ったバナジウムは、早くも劣勢に立たされた。ここぞとばかりにアラタマは複製を追加し、何十もの神剣をもって追撃。荒れ狂う嵐の如き猛攻で、相手に息つく暇さえ与えない。
「……あらたまちゃんのらいふを削っているのです! 高れああいてむや素材をどろっぷするのです!!」
 神器の封印解除には当然リスクだって伴う。アラタマがそれを行ったのは、見合うだけのリターンを感じたからだ。
 異界の妖がドロップする素材――その鉱石とかいかにもレアっぽいし。貰えるものはしっかり貰うつもりで、彼女の神剣はバナジウムの鉱石を削り取っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

燮樹・メルト
◎アドリブ連携OKです

やれると思うなよ。
悪いね、みんな、ここからはR-18だ、刺激が強すぎてごめんな。

【本気の戦い】
どーぞくけんおってやつだね、私はデモノイドがいいものだとは思ったことはないよ、あんまり勝手なこと言うなよな。

UC発動して自分のレンジからメスや毒薬の投擲をメインに。
敵のUCには自動防御のデモノイドの欠片を囮に回避、毒薬の投擲と同時にナイフで毒薬の雨を見舞い、弾道を見切らせないように動く。
そして、私がもうただのデモノイドじゃないのは、もうひとつの力……ミコちゃん、力借りるよ。
神聖力で作った羽根吹雪を浴びせ、硬質化していない部分に狙いすまして一投を当ててみせる。

この世界は渡さない。



「やれると思うなよ」
 傲慢で不敵な『ロード・バナジウム』の発言に、強気に言い返したのはメルト。彼女もデモノイド寄生体を宿すという点ではデモノイドの同類だが、その思想や価値観はデモノイドロードとは相容れない。彼女はダークネスではなく、人間なのだ。
「どーぞくけんおってやつだね、私はデモノイドがいいものだとは思ったことはないよ、あんまり勝手なこと言うなよな」
「あら。人の心を捨てられなかった出来損ないには、やはり理解できませんか」
 一方でバナジウムから見たデモノイドヒューマンは、闇堕ちに失敗し灼滅者となった半端者。理性があり会話ができても対等の存在だとは見做していない。従うならばまだ許すが、逆らうならば種族の汚点として滅ぼすのみ――互いが互いを嫌いあっている以上、この衝突は必然であった。

「悪いね、みんな、ここからはR-18だ、刺激が強すぎてごめんな」
 メル友のリスナーに一言謝ってから、メルトは袖口から大量のメスや注射器を出す。デモノイド寄生体を利用した毒性化学物質の錬成が彼女の特技であり、人間相手には絶対に使えない其れをフル解禁するのは、本気で戦う時だけだ。
「ホイっと!」
「まあ、毒ですか?」
 毒を塗った投擲メスや注射器から散布される毒液を、バナジウムは金属化した腕でガードする。ジュッと音を立てて鉱石の表面が溶けるが、本体へのダメージはない。嗜虐的な笑みを口元に浮かべて、軽やかな足取りで近付いてくる。

「デモノイドロードであるわたしを、この程度で倒せるとでも?」
「思ってないよ」
 身体が金属化していてもバナジウムの動きは素早く、油断すればあっという間に距離を詰められる。メルトは自分のレンジを保つために、デモノイドの欠片を体内から放出。自動防御機構「|デモノイド・リアクティブ・スキン《DRS》」を囮にして敵の攻撃を回避する。
「小賢しいですね」
 バナジウムの腕に殴打されたデモノイドの欠片は、瞬時に結晶化し砕け散る。バナジウム鉱石の防御力と攻撃力に加えて【クリスタライザー】を起こす特殊デモノイド細胞。これぞデモノイドの上位種だと、格の違いを見せびらかすような戦い方だ。

「まだまだっ!」
 強大にして悪辣なデモノイドに【メルティング・ザップ&ヴェノム】を放ち続けるメルト。投げつけられた注射器を、バナジウムは「それはもう見切りました」と避けるが――続けざまに投げ放たれたメスが、空中で注射器を破壊する。
「きゃっ……!?」
 割れた注射器からは毒薬の雨が散らばり、バナジウムにも降りかかる。そう簡単に弾道を見切らせるほどメルトは甘くない。デモノイドの力を利用はしても、それを活用する薬毒物の知識や戦闘技術は、彼女自身が磨き上げたものだ。

「そして、私はもうただのデモノイドじゃない……ミコちゃん、力借りるよ」
 敵が怯んだ隙をみて、メルトは自身に宿るもうひとつの力、ジャイアントキャバリア「MICO・ミコ・オルガノン」の権能を行使する。身体から溢れ出した光が薄暗い地下施設を照らし、神聖力で生成された羽根吹雪が辺り一面を舞う。
「っ……?! なんですか、これは……!」
 特殊デモノイド細胞でも結晶化できない未知の現象による攻撃を浴びせられ、バナジウムは明らかに動揺していた。
 このチャンスを逃すまいとメルトは注射器を握りしめ、硬質化していない部分めがけて狙いすました一投を放った。

「この世界は渡さない」
「が……ッ!!? ば、バカな……!!」
 バナジウムの肌に突き刺さった「毒どくハートクエイカー」から、ブレンドされた毒物の注入と浸食が始まる。いかにデモノイドロードであっても、その毒性は中和可能な範疇を超えている。出来損ないだと侮っていたメルトの牙が、自分の生命を脅かしうる毒牙であったことを、彼女はようやく理解した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神夜・未来
気付いていたのに逃げなかったという事は
覚悟は出来ているという事よね。
デモノイド・ロードの力は侮れないし全力で戦わせてもらうわ。
望み通りどちらが生き残るべきか証明してあげるわね。
金色火砲によるハイパー・バスタービームで
ロード・バナジウムの早期撃破を狙うわね。
バナジウムが 触媒の力で召喚してきても、
バナジウム本人への攻撃は止めないわ。
ビームが有効でないと判断したら、
バスターフレイムへの広範囲攻撃に切り替えるわ。
状況に合わせて有効な手段に切り替えることぐらい私にもできるのよ。
研究施設も巻き込んで破壊すれば動揺も誘えるかしらね。
多少苦戦しても弱気になったり、退いたりはしないわ。

アドリブ、苦戦描写歓迎



「気付いていたのに逃げなかったという事は、覚悟は出来ているという事よね」
 そう言って『ロード・バナジウム』を睨みつけるのは未来。こちらの動向を把握してなお勝負を受けて立ったなら、敗北も視野にいれて然るべきだ。勝って当然などという傲慢な心持ちでいるならば、相応のツケを支払ってもらおう。
「ふふ。そういうあなたこそ覚悟はできていますよね?」
 対するバナジウムは酷薄に微笑むと、両腕に鉱石を纏わせる。活きのいい実験台がノコノコやって来てくれたのだ、彼女からすれば願ったり叶ったりだろう。エスパーにデモノイド寄生体を植え付ける研究はまだ未完成で、優秀な素体は幾らあっても良いのだから。

「望み通りどちらが生き残るべきか証明してあげるわね」
 デモノイドロードの力が侮れないのは未来も承知の上。だからこそ全力で戦わせてもらうわと【未来の火】を発動。
 彼女専用にカスタマイズされたバスターライフル「金色火砲」が、その名の通り黄金の光を一点に集束させて放つ。
「ふふ。面白い」
 バナジウムの両腕の鉱石が、それに対応するように形を変えていく。より分厚くより強固に、巨大な剣か盾のような形状に。【触媒の力】を操るデモノイドロードは、現在戦っている対象に有効な武器をその場で作り出す事ができる。

「ただの一般人がこれほどの力を持つとは……面白い時代になりましたね」
 一点を貫く「ハイパー・バスタービーム」が、バナジウムの複雑な結晶構造により拡散され威力を減衰させられる。
 光線の直撃を受け止めてなお、ロード・バナジウムへのダメージは軽微。デモノイドの上位種たる所以を見せつけながら一歩一歩前に進む。
「さあ、どうするのですか?」
「くっ……まだよ」
 早期撃破を狙うはずが殆ど効かなかったのは予想外だが、それでも未来は攻撃を止めない。この程度の苦戦で弱気になったり、退いたりしたら一生の恥だ。母譲りの碧眼に闘志を宿し、金色火砲のトリガーを引き絞り――素早くモードを切り替える。

「状況に合わせて有効な手段に切り替えることぐらい私にもできるのよ」
 金色火砲の【未来の火】は、収束型のハイパー・バスタービームとは別に、広域殲滅型の「バスターフレイム」の2つの攻撃パターンがある。一点を貫く光の矢は、戦場を薙ぎ払う黄金の炎へと変化し、今一度バナジウムに襲い掛かる。
「焼き尽くしてあげるわ」
「なっ……!」
 攻撃の型が変わったことで【触媒の力】による対策は無効となり、バナジウム鉱石の大盾が炎熱で溶かされていく。
 火の手はそれだけに留まらず、施設内の備品や設備まで巻き込んで破壊する。ロード・バナジウムとしてはこちらの方が動揺は大きかっただろう。

「覚悟しなさい、ロード・バナジウム!」
「このっ……!」
 燃え盛る黄金の煌炎と未来の気迫に、バナジウムがたじろぐ。燻り続ける過去の妄執を、未来の火が焦がしていく。
 バナジウム鉱石の盾が溶け落ち、本体の素肌が露出する。デモノイド研究施設を巡る戦局は、再び猟兵有利に傾きつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

多々良・緋輝
ハッ、当事者意識のままなところ悪いがな
既にサイキックハーツ大戦はエスパーと灼滅者の勝利で終わっているんだ
その結果を覆したいっていうんなら、オレを超えていきな!

そう言ってUCを発動
デモノイドヒューマン・フォーミュラ形態に変身…推進力・探知力・隠密力・破壊力が5倍になってバナジウムナックルを撃墜し回避
破壊力と推進力を5倍にしたデモノイドヒューマン・フォーミュラとしての一撃を加え、ロード・バナジウムの右腕を攻撃
追加のUCを発動阻止した後、右ボディブローでロード・バナジウムをぶち抜いていくぜ

さて、後は研究施設の破壊だな



「ハッ、当事者意識のままなところ悪いがな。既にサイキックハーツ大戦はエスパーと灼滅者の勝利で終わっているんだ」
 それは現代では誰もが知っている常識。何百年にも及ぶダークネスの支配体制は崩壊し、人類はエスパーという新たな種族に進化した。ほとんどのダークネス種族はサイキックハーツ大戦の終結と共に滅び去り、デモノイドもその一種として過去の存在となった。
「その結果を覆したいっていうんなら、オレを超えていきな!」
 そう言って緋輝は【DHF・魔の鋼宿す人間の方程式】を発動。デモノイドヒューマン・フォーミュラ形態に変身し、推進力・探知力・隠密力・破壊力の全てを5倍に増強する。これはデモノイドが存在・関与している戦場でのみ発動できる、まさに対デモノイドの切り札であった。

「デモノイドヒューマン風情が、ロードであるわたしに"超えていけ"なんて……大きく出ましたね!」
 その大言壮語を砕いてやろうと『ロード・バナジウム』は【バナジウムナックル】を発動。エスパーからデモノイドヒューマン化に成功した緋輝は、彼女にとって貴重な研究サンプルになり得る存在でもあったが――まずは格の違いを見せつけるほうが先だ。
「叩き潰して……なッ?!」
 バナジウム鉱石に覆われた右腕のスイングは、破城槌をも凌駕する破壊力を生むロード・バナジウム最大の武器だ。
 だが、デモノイドヒューマン・フォーミュラとなった緋輝は青い寄生体に覆われた「錬金悪魔の躯体」と、寄生体を鋼鉄化させた戦斧「ドラゴンズ・パンテオン」をもって【バナジウムナックル】を撃墜した。

「鋼は此処に。我が血肉は魔の鋼を宿す、即ちそれは方程式として人としての正義を証明する準備の完了である」
 新たなる世代のデモノイド――ロード・ヒイロタマハガネを名乗る緋輝は、己の全身全霊を過去のロードへと示す。
 その体内を流れる「緋色の炎血」は、爆発的な発火により推進力を高め、途方もない破壊力の一撃を生み出した。
「遍く闇を灼滅せよ」
「が……ッ!!!?!」
 緋炎を纏った鋼鉄の戦斧が、ロード・バナジウムの右腕を砕く。鉱石を剥がされ、ユーベルコードの追加発動を封じられた少女の瞳が驚愕に見開かれる。彼女のようなデモノイドは過去のサイキックハーツ大戦にもいなかった。これはバナジウムの知るデモノイドとは、まるで違う。

「あ、あなたは……何者なのですか……!」
「オレの名前は多々良緋輝だ。冥土の土産に覚えておきな」
 にやりと笑って答えながら、追撃の右ボディブローを繰り出す緋色。玉鋼のバトルガントレットに覆われた魔拳が、ロード・バナジウムの胴体をぶち抜いた。自身の【バナジウムナックル】に匹敵する衝撃を受け、少女の肢体が吹き飛ばされる。
「さて、後は研究施設の破壊だな」
「や……やめなさ……」
 それでも立ち上がってこようとするバナジウムをよそに、緋輝は施設内の設備にも拳や斧を振るう。デモノイドヒューマン・フォーミュラの圧倒的破壊力の前では、ただの備品など脆いもので――現代にデモノイド種族を復活させんとしたロードの野望は、儚くも崩れ去ろうとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
相も変わらず、人を見下して増上慢な

バナジウムの剛腕によるスイング、威力は高いが――そんなところも変わっていない
あの大戦で既に使い、乗り越えられたのを見た技
【見切って】、聖槍で【受け流す】
新たな研究、新たな知識、新たな技術を得ても、オブリビオンたる貴様に進歩などない
|貴様《バナジウム》は合金や触媒としての特性が強い元素が故だろうが、プラスコネクトという結論が先にあり、それに固執している限り、プラチナを超えることなどできん!
追撃に先んじて聖槍を【なぎ払い】、【体勢を崩させ】、【カウンター】の刺突を繰り出す
縦横無尽の【聖槍繚乱】で斬り打ち穿つ!



「相も変わらず、人を見下して増上慢な」
 人間への蔑視を隠しもしない『ロード・バナジウム』の態度に、オリヴィアは憤りを覚える。デモノイドロードに限らず大概のダークネスは一般人や灼滅者を下等存在だとみなしていたが、奴の場合は典型的。オブリビオンになっても価値観はサイキックハーツ大戦当時から変わっていないらしい。
「この世界の新たな支配者になるべきはデモノイドなんです。灼滅者やエスパーなんていらないんですよ」
 バナジウムの理想は自分達が統べる世界。かつてダークネスの手駒として創造されたデモノイドが頂点に立つ世界。
 この施設で研究を進めれば、彼女の語ることもただの妄想ではなくなる。全てのエスパーはデモノイドを生み出す為の素体となり、支配の時代が再び始まるのだ。

「それを……あなたたちなんかに邪魔されるわけには! さっさと実験台になってください!」
 焦りを含んだ怒りの叫びが、研究施設をビリビリと震わせる。戦況が芳しくないのはロード・バナジウムも理解しており、だからこそ過剰に見下すのだろう。彼女はバナジウム鉱石で覆われた右腕を振り上げ、ハンマーのように叩きつけてきた。
「剛腕によるスイング、威力は高いが――そんなところも変わっていない」
 オリヴィアからすればそれは、あの大戦で既に使い、乗り越えられたのを見た技だ。過去から変化のない者に負ける道理など、あるはずがない。経験と知識から【バナジウムナックル】を見切った彼女は、聖槍で鉱石塊を受け流した。

「新たな研究、新たな知識、新たな技術を得ても、オブリビオンたる貴様に進歩などない」
「っ……!」
 その指摘にバナジウムは表情を歪め、黙れとばかりに追撃を繰り出そうとするが、それに先んじてオリヴィアは聖槍をなぎ払う。破邪の力を宿した黄金の穂先が、強固なバナジウム鉱石の塊を削り抉り、生身の右腕を露出させていく。
「なぜ……! わたしたちデモノイドロードには絆がある……仲間と力を共有できる! それこそが人類の後継者たる証……のはず!」
 焦燥の中でバナジウムが語るのは、デモノイドロードのレアメタルナンバーが持つ「プラスコネクト」の事だろう。
 他のデモノイドと能力を重ね合わせて強化する力。かつてサイキックハーツに到達したデモノイドの首魁「ロード・プラチナ」などは、全デモノイドの力を結集して巨大な竜へとその身を変じてみせた。

「|貴様《バナジウム》は合金や触媒としての特性が強い元素が故だろうが、プラスコネクトという結論が先にあり、それに固執している限り、プラチナを超えることなどできん!」
「……!! うるさい、うるさい、うるさいッ!!!」
 すでに潰えた理想に取り憑かれた愚か者を、オリヴィアははっきりと否定する。いかにデモノイドの種族的優位を語ろうが、ここにコネクトできる同胞はおらず、悪しき夢は夢のまま終わるが定め――癇癪を起こしたバナジウムが腕を振り下ろすよりも速く、聖槍のひと薙ぎで体勢を崩す。
「我が聖槍の閃きを見るがいい――!」
 間髪入れずカウンターの刺突を繰り出すオリヴィア。縦横無尽の【聖槍繚乱】が、過去の亡霊を斬り、打ち、穿つ。
 かつて精強を誇ったデモノイドロードといえども、蓄積された殺傷ダメージは、もはや耐久力の限界を超えていた。

「わたしの計画が……あなたたち、なんか、に……」
 崩壊し、消滅するロード・バナジウム。わずかなデモノイド寄生体の肉片とバナジウムの破片だけが後に残される。
 首謀者の死を確認したのち、猟兵達は研究施設に残ったデータや設備を完全に破壊することで、狂気の研究が二度と日の目を浴びることのないようにする。


 ――こうして、平和な学び舎の影に隠されたデモノイド研究の種は摘み取られた。
 現代においてデモノイドがエスパーの脅威となる可能性は、無事に潰えたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年09月03日


挿絵イラスト