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お祭り屋台の売り物って胡散臭いよね

#クロムキャバリア #【Q】 #殲滅回路 #ネタ依頼 #参加したらネタ枠 #決戦型城塞都市国家ラウンズ #ヴェイロン王は爆裂しました #ぜっちゃんチョコの悲劇

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#ヴェイロン王は爆裂しました
#ぜっちゃんチョコの悲劇


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「いやー、大漁だったね!」
「むしろ取り過ぎではありませんか……?」
 ラウンズ城下町で開催されていた夏祭り。屋台という屋台を荒らして……もとい、視察してきたヴェイロンが抱えきれないほどの戦利品を抱えて王室に帰って来ると、イヨも苦笑しか出てこないし、出迎えたケームルン卿は頭を抱えて。
「王よ……ほどほどにしてくださいとあれほど申したでしょうに……しかもこんなガラクタばかり……」
 なんかこう、チップっぽいアレをつまんで怪訝な顔をしているケームルンに、ヴェイロンはぷくっと頬を膨らませて。
「むっ、ガラクタじゃないもん!これなんか、キャバリアに搭載すると性能がアップするんだって!というわけでケームルン卿、使ってみて」
「何故!?」
「僕の戦利品をガラクタ扱いしたから……じゃなくて、一番頑丈そうだから」
「王よ!?本音が漏れていますよ!?」




「という経緯で、ヴェイロン王が怪しげな代物を使わせた結果、ケームルン卿が暴走したそうです」
 人首・椿(傷と記憶は刻むモノ・f06124)は死んだ目でそう言った。
「いつものラウンズでいつもの大惨事です。なんでも、ヴェイロン王が夏祭りの屋台で怪しげな機械を入手、それをケームルン卿に使わせたところ、案の定暴走して今に至るようです」
 電子巻物をコロリと広げて、ラウンズの国土から少し離れた地点を示し。
「不幸中の幸いとして、機体が爆発するかもしれない、という事でケームルン卿は国を離れた荒れ地で機体を起動したらしく、戦闘に入れば周囲を気にする必要はありません。ただし、本人の技術に加えて暴走する機体性能が重なり、現状では近づく事もできなくなっている為、まずはラウンズ国内でケームルン卿について話を聞き、何とか隙を突く方法を見つけてください。後は隠し通路?とやらを使って近づいてお馬鹿さんをドカンとやっておしまいです」
 そこまで説明して、椿は転移門を開く。
「それでは皆様、ご武運を。夏バテなど致しませぬよう、お気をつけて……」
 なんかもう、疲れ切ってる椿に見送られて猟兵達は転移していくのだった。


久澄零太
ヒャッハー!『ギャグ依頼』だァ!!

久澄です

まずはお祭りの中心でやってるバーベキューっぽい何かに参加して、食事を摂りつつ、色んな人が集まってるからその辺からケームルン卿について情報を集めてみましょう

その後は近づけないケームルン卿に近づくための地下通路的なアレを通ってドーンとやる簡単なお仕事です

今回は楽そうですね!(フラグ)

初回執筆は十二日の予定

前日の深夜二十四時までにプレくれると嬉しいな!

ではでは、皆さまの灼熱BBQプレをお待ちしております
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第1章 日常 『キャバリアジンギスカンパーティー』

POW   :    食う! とにかく肉を食う!

SPD   :    よーし焼き加減の管理は任せろ!

WIZ   :    ちょっとは野菜も食べなよ……。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

印旛院・ラビニア
「えーっと、ケームルン卿の情報を集めなきゃだよね。歴戦の戦士とかから聞けばいいのかな?」
BBQでお肉をパクつきながら誰に声をかけようか
『ラビ子、野菜も挟む習慣付けをするのだ。それはそうと、荒くれ者との情報収集ならこれだ』
そう言ってドン!と積まれる酒。そして開かれる飲み比べ
『俺様が勝ったらこちらの知りたいことを洗いざらい教えてもらおう。負けたら、何でもいう事を聞いてやる。ラビ子が』
「うおおおおおい!!」
絶対勝て!をUCを発動させ、勝利をもぎ取ってもらう
「でも、みんな酔い潰れちゃったような…」
『その方が抵抗されずに済む』
劫禍の袖から極細ワイヤーが伸びて荒くれの頭部に刺さって【ハッキング】で情報集め


カシム・ディーン
…いや何やってんだよ…
本当に何やってんだよ!?
…あ、でもこうしてお祭りやってるのは何となくほっとするんだよなぁ
「一度ばっちり滅んでたもんねラウンズ…そう思うと…平和だぞ☆」
つー訳でとりあえずメルシー…ヴェイロンにお仕置きしておけ
「おけまる水産☆」
あ、ぜっちゃんもヴェイロンがパワーアップしたいらしいからチョコ上げていいぞ?(鬼

【情報収集】
僕はとりあえずケームルン卿について聞いておくか
後屋台の美味しいご飯とか存分に食べるぞ!
他の騎士とかイヨの様子も見に行くとするか

体調とか大丈夫か?
「ヒミコちゃんも元気かな☆」

後は折角なのでBBQを楽しむことにするぞ
こうして道具が揃ってるのはやっぱりありがてー


皇・絶華
神機の主発動中
おお…ラウンズでも狂気に冒された者がいるのか
ならば…圧倒的なパワーで狂気を晴らすぜっちゃんチョコの出番だな!
先ずは此処の人々にぜっちゃんチョコを
「主様!此処でチョコを消耗するより暴走した人に捧げるべきです!」
「そうですよ主様!朕も此処はチョコを温存する時かと!」
ふむ…そうか…それなら仕方ないな
「「ほっ…」」
と、ここの王がパワーアップアイテムを所望らしいので王に我がぜっちゃんチョコドリンクを馳走するとしよう
「「わ、わぁ…」」
ではさっちゃんところちゃんは彼の騎士について情報収集を頼む(という訳でUC発動しつつヴェイロン強化?
「任せて下さい!(屋台食べ歩きだぁ!」
「承知しました!(朕好みの美少年を探すぞー!」

さっちゃんころちゃん
ぜっちゃんからお小遣いをもらって屋台のごはんとかを堪能
「美味しい…美味しいよぉ…こんな屋台で俺が感動するなんてよぉ…(滂沱」
「うむ…パワーは得られぬが朕の口の中が癒される…(ぴぇぇ」
と、BBQを楽しみつつケールムンの評判とかどんな人かを聞く二人


涼風・穹
……なんというか、安心したよ…
ラウンズは所詮ラウンズなんだな…

夏祭りの屋台で暴走装置が売られているというのはテロリストの破壊工作…にしては回りくどいし、偶々物騒な失敗作かなにかが紛れ込んだだけで、|ラウンズマジック《ピタゴラスイッチ的な感じ》で何故か最悪の選択を繰り返して大惨事を招くいつものやつか…?

ケームルン卿は失踪したことにして、探しているていで色んな方々に話を聞いてみよう
失踪理由は仕事が嫌になったとか遂に王の所業にブチ切れたとか適当に捏造(?)しておく
ケームルン卿もどうせ変態的な特徴があるんだろうし、怪しげな場所や集まりに関わっているのはほぼ間違いない
……名前から焼肉で煙るとかのオチか?


桃枝・重吾
アドリブ連携歓迎

■心情
【ジンギスカン…?
ラウンズは〇良野とか〇幌な北の大地だったんですか?
CC世界はGPSも使えないから位置情報取得が面倒とは言え…】

そう言えばお芋も育ててたね。

そうなると遅れて参加したらやることは一つ。
そう、追加食材の差し入れしか無いよね?

【マスター、今回は意図的に戦犯になるです?】

前回は不可抗力、復興の暁には代わりの水源を出せば無問題だよ。

それに、バーベキュー特化メレポチョは食材としての安全基準を満たし、なおかつ味も良いからね、話し合いも円滑になると言うものだよ

【まあ、死者(食材)を蘇らせるようなのとか無ければきちんと〆たメレポチョは囁いてきたりしませんしね】

細部おまかせ。



 猟兵達がラウンズに到着すると、そこは屋台が軒を連ねて国民は浴衣姿で行き交い、笛や太鼓がぴーひょろろ。中々に賑やかな様子にカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は数秒固まってから。
「……いや何やってんだよ」
 改めて依頼書をチェック。近衛騎士の一人に怪しい装置渡したら暴走しちった☆って内容が記載されている。
「……本当に何やってんだよ!?」
 この国に対してツッコミ入れてると、あっという間にすりおろしディーンになってしまうぞ。
「すりおろしディーン!?」
「えへへ……きな粉みたいなやつかなぁ……」
 メルシーが黒蜜きな粉わらび餅を想像している間に、カシムは改めて喧騒に耳を傾けて。
「でも、こうしてお祭りやってるのは何となくほっとするんだよなぁ」
「一度ばっちり滅んでたもんねラウンズ……そう思うと……平和だぞ☆」
「そうだな……つー訳でとりあえずメルシー…」
 物理的国家転覆から持ち直し、徐々に活力を取り戻しつつあるラウンズ。その国民を笑顔を眺めながら、カシムもニコリ微笑んで。
「ヴェイロンにお仕置きしておけ」
「おけまる水産☆」
 気づいてしまったか……屋台の中に、いくつか景品が一つも残ってないヤベー屋台が混じっている事に。
「本当に根こそぎ取っていきやがって……」
 凄いとか上手いとかより先に、酷いって印象が来てしまって若干引いてるカシムだったが、その後ろで皇・絶華(影月・f40792)が両手を広げて天を仰ぎ。
「おお……ラウンズでも狂気に冒された者がいるのか。ならば……圧倒的なパワーで狂気を晴らすぜっちゃんチョコの出番だな!先ずは此処の人々にぜっちゃんチョコを」
「主様!此処でチョコを消耗するより暴走した人に捧げるべきです!」
「そうですよ主様!朕も此処はチョコを温存する時かと!」
 ここでぜっちゃんチョコなんて提供したら、折角復興してきた小国家が再び阿鼻叫喚になりかねない。さっちゃんところちゃんの必死な説得に、絶華も出しかけたチョコレートを納めるのだが。
「ふむ……そうか……二人がそこまで言うなら仕方ないな」
「「ほっ……」」
 と、チョコ回避に安堵したのも束の間。
「あ、ぜっちゃんもヴェイロンがパワーアップしたいらしいからチョコ上げていいぞ?」
「なにぃ!?」
 カシムの一言で絶華のおめめがキラーン☆
「国家のトップであればそれは凄まじいカロリーの消費量であろうからな!エネルギー補給にはこのぜっちゃんチョコしかあるまい!というわけでさっちゃんところちゃんは彼の騎士について情報収集を頼む!」
 普段使いのものよりも一回り小さい財布を二人に投げ渡して、絶華はあっという間に走り去ってしまった。取り残されて呆気にとられていたさっちゃんところちゃんは顔を見合わせてパチクリすると、ハッと我に返ると絶華の背中に向かって手を振りながら。
「任せて下さい!」
「承知しました!」
 と、元気よくお見送り。すっかり彼の姿見えなくなると、グッと拳を突き上げて。
「屋台食べ歩きだぁ!」
「朕好みの美少年を探すぞー!」
 うーん、元気でよろしい!
「どこか遠くに考える事をやめた奴がいる気がするな……」
「それよりご主人サマ、何処から行く?」
「そうだな……」
 さっちゃんところちゃんも、パタパタと人ごみの中に消えて行き、カシムは改めて屋台を吟味する。
「折角だし、屋台の美味しいご飯とか食べながら他の騎士とかイヨに会えればいいんだけど……」
「メルシーもヒミコちゃんに会っておきたいゾ☆」
 その二人に会うならヴェイロンルートだったなー……。
「じゃあそっちは絶華に任せておいて……ん?」
 お祭りというと、サムエンとかアース系の世界にある物をイメージするなら、会場の中心には櫓が組まれてお囃子が奏でられるものだが、ラウンズにおいて人が集まるそこにあるのはキャバリアの大盾を鉄板代わりにした焼肉大会。参加者に振舞われるそれは、舌が肥えたカシムには物足りないかもしれないが、プラントからの生成物が鉄鋼物に偏った軍事国家たるラウンズに置いては貴重な肉。タンパク質と脂質の合成再現肉だったとしても、現地民にとってはこれ以上ないごちそうなのだ。
「ふーん……脂の乗りは悪いけど、旨味の方は結構しっかりあるな……」
「味は含有成分で決まるから、質はいいんだろうネ☆」
「むしろ、必要なモノ『しか』ないから、こんなもんなんだろうな」
 などと、焼肉串をモグモグやっていると、やたら繁盛しているフライドポテトの屋台を発見。何事かと覗き込んでみると。
「おや、猟兵のお二人!」
「お前の屋台かよ!!」
 じゃが芋騎士こと、ブライトの屋台だった。
「いかがですか?ナイツポテトのフライドポテトです。サービスしますよ」
「おー、じゃあ貰えるもんは貰っておくか……」
 通常価格でドカ盛りして貰ったフライドポテトをメルシーとつまみながら、思い出したように。
「あ、そうだ。ケームルン卿がなんかやらかしたって聞いて顔出しに来たんだけど、どんな奴なんだ?」
「あぁ、またですか……」
「「また?」」
 苦笑するブライトに、カシムとメルシーはオウム返ししながら鏡写しに首を傾げる。
「彼の名誉の為に詳細は伏せておきますね……とにかく、やらかした、という事はオブリビオンマシン絡みでしょう。だとすれば、私から説明できることは彼の射撃技術についてでしょうか」
「お、飛び道具の使い手なのか」
「じゃあ接近戦に持ち込めればなんとかなりそうだね☆」
 早速攻略法が見つかったな!と楽観視するカシムに、ブライトは意味深な微笑み。
「そう上手くいきますかね……彼の射撃技術はレイクフィールド卿のそれと異なり、『数による殲滅』に特化したもの。それを利用して火力を広域展開する事で、面ですらなく、空間単位で砲撃を展開するのが彼です」
「なるほど……下手に近づくと撃ち落されるって事か」
「むー、じゃあ不利だって分かってても遠距離戦するしかないんだね」
 地味に厄介な敵らしい事に眉を顰めるカシム。ふと顔を上げて。
「ていうか、そんなガチな技量ある奴が日頃あんなバカ騒ぎしてんのか!?」
「あはは……どれだけ精神鍛錬を積もうとも、我々にはオブリビオンマシンとキャバリアの違いが判りませんから……」
 悲しい現実(?)にカシムが直面している一方、屋台でたこ焼、焼きそば、綿菓子、フライドポテト、チョコバナナにミニカステラ、そして野菜チップスをまとめて買って、片っ端から頬張っていたさっちゃんはボロボロと涙をこぼしながら。
「美味しい……美味しいよぉ……こんな屋台で俺が感動するなんてよぉ……」
「うむ……パワーは得られぬが朕の口の中が癒される……」
 その隣でつつーッと涙を流していたころちゃん、ふと気づく。
「ところでさっちゃん」
「サートゥルヌスと呼べやロクシアス!お前もぷりちーころたん☆って呼ぶぞ!!」
「……いかんな、この補助義体にOSが引っ張られている……改めてサートゥルヌスよ、この野菜チップスってなんであるか?朕の知る屋台飯にこんなジャンルはないはずだが……」
「あれ、言われてみれば、野菜としか書かれていないな……」
 不思議な味だったなー、なんて思いながらお菓子が入っていた紙コップを改めて見ると、クマとライオンがお星様の上をトラックで巡っているデザインという、見覚えのあるマーク。
「サートゥルヌスよ、朕、嫌な予感がして来たんだが?」
「奇遇だな、俺様もだ……いやでも、美味しかったしなぁ……!」
 食べ歩きのお小遣いをもらって、テンションに任せてあちこち買いまわっていたさっちゃん&ころちゃん。どこで何を買ったかなんてよく覚えていないが。
「やぁ、二人共。揚げメレポチョの味はどうだった?」
「「やっぱりかー!!」」
 しれっと屋台を出していた桃枝・重吾(スペースデコトラ使いXL・f14213)が顔を出した事で、知らぬ間になんかよく分かんないコスモベジタブルを食してしまっていた事が判明するさっちゃんところちゃん。
「よく驚きはされるけど、メレポチョは安心安全な宇宙野菜なんだけどなぁ……」
「マスター、暮らしている星系が違えば文化も違うんですから、そりゃ驚かれますよ」
 頬をかく重吾に、自分の上半身くらいのバカ盛りして貰った綿菓子をもふもふする梵ちゃんが半眼を向けると、祭の中心に目をやって。
「しかし、ジンギスカンって……ラウンズは 良野とか 幌な北の大地だったんですか?この世界はGPSも使えないから位置情報取得が面倒とは言え……」
「世界が違っても、同じような食材や料理が存在するように、この世界においてはジンギスカンもよくある料理だったんじゃないかな?」
「そういうもんですかね……ところで、メレポチョってジンギスカンに使うものだったんですか?」
 宇宙の彼方の名産品がなんでこんな所のローカル料理に使われているのかっつー、割と至極当然な疑問をぶつける梵ちゃん。この子も結構頭のスケールおかしい部類だけども、それはあくまでも主人の感性に引っ張られたからであって、元々はこの世界の住人(という名のキャバリア)。比較的こちらに近い常識を持っているわけだが。
「バーベキュー特化メレポチョは食材としての安全基準を満たし、なおかつ味も良いからね、話し合いも円滑になると言うものだよ」
「まあ、死者【食材】を蘇らせるようなのとか無ければきちんと〆たメレポチョは囁いてきたりしませんしね」
 考えることをやめて頷き、綿菓子の甘さでメモリを埋めつくすのだった。そこへなんかウクレレ弾きながら歩いてくる赤味がかった鎧の騎士が一人。
「先ほど焼肉会場で泣き叫んでいた食材……アレはあなたが持ち込んだものでしたか……」
「マスター!?持ち込んだメレポチョは全部シメたんですよね!?」
「そ、そのはずだけど……」
 何か不手際があっただろうかと調理工程を振り返る重吾に、騎士……一部の猟兵は遭遇したことがあるミスフルーテは微笑み。
「いえ、焼かれる音色が『自分のポテンシャルはこんなものではない』と嘆いているようでしたから……本来はきっと、複雑な調理工程を要する食材だったのでしょう」
「おぉ、メレポチョの良さが分かるのかい?」
「回りくどいのは無しにしましょう」
 感動を覚えて身を乗り出す重吾を、ミスフルーテは手で制し。
「声音に混じる歓喜と疑問と欲求。何かを探しているのではありませんか?」
「え、あぁ、私は情報収集に来た猟兵だけども……」
 先制されて面食らう重吾の陰でさっちゃんところちゃんがヒソヒソ。
「コイツ、声だけでこっちの本心見抜いたって事か?」
「ま、まぁ、猟兵にもそれくらいの事する奴はいるであろうが……」
 そーっと様子をうかがうと、ウクレレをぺれんぺれん……。
「「馬鹿にしか見えねーっ!!」」
「えーっと、ケームルンさんについて聞きたいんだけど……」
「……彼でしたか」
 ちょっとだけ眉をひそめて、渋い顔になった後、首を傾げて。
「それで、何が聞きたいのですか?彼の所在なら、機体の試験運用の為に国を離れているはずですが……」
「ぶっちゃけ、国民にどう思われてるんだ?」
 にゅっ、後ろから出てきたさっちゃん。素朴な疑問。
「こう言っては何だが、近衛騎士とか言われてるお前等、この国じゃ上層部のはずだろ?その割には大体猟兵が呼ばれる時ってお前らがオブリビオンマシンに乗ってないか?」
 相当評判悪くて、内乱くらい起きてもおかしくないとか思ってたさっちゃんだが。
「彼なら国民から『愛すべき馬鹿』と評価されていますね……」
「それはそれでどうなんだい……?」
 苦笑しか出てこない重吾だが、ミスフルーテは笑って。
「彼、余計な事さえしなければ優秀なんですよ。国政の大半は彼が担っていますしね。その上で王に国家運営を含めた基礎教育を施しているのも彼です」
「「めっちゃ頭いいの!?」」
 さっちゃんところちゃんがポカンとしている間に、梵ちゃんがリンゴ飴を買いに行き、重吾は顎を揉みながら。
「それで、余計な事とは……?」
「そんな事より、メレポチョとやらについてお伺いしても?」
 話を逸らされてしまった重吾はこれ以上聞き出す事は難しいと判断したのか、作物談義に花を咲かせる。
 そのすぐそばを通り過ぎていく涼風・穹(人間の探索者・f02404)は奇妙な植物についての考察会に気づかず賑やかな周りを見回して。
「……なんというか、安心したよ……ラウンズは所詮ラウンズなんだな……」
 そーね。他所の国だと結構洒落にならない代物のはずなのに、この国だと偉い人がバカやっただけって扱いだもんね。
 とはいえ、事件が起こっている事もまた事実。ある程度は見当をつけておこうと思考を巡らせれば。
「夏祭りの屋台で暴走装置が売られているというのは、テロリストの破壊工作……にしては回りくどいし、偶々物騒な失敗作かなにかが紛れ込んだだけで、ラウンズマジック【ピタゴラサムシング】的な感じで何故か最悪の選択を繰り返して大惨事を招くいつものやつか…?」
 あってるような間違ってるような……まぁいっか!
「で、今回のケームルン卿だっけか?どうせ変態的な特徴があるんだろうし、怪しげな場所や集まりに関わっているのはほぼ間違いない」
 なんという偏見だろう……と、思ったけど、ここまでにこの国で起こって来た事件を思い返すと、割とありそうなのがなぁ……。
「……名前から焼肉で煙るとかのオチか?」
 さすがにそこまで酷くないって。
「そうなのか?」
 ケームルンの元ネタはカムランの丘とかいう地名だったかな(うろ覚え)。専用機体名が『モードレッド』で、ヒャッハーする火力バカとして扱う予定だったんだけど、多分ラウンズナイトを出す機会が来ることはないだろうから、もういいかなって……。
「オイコラやめろぉ!?俺を巻き来んで盛大なネタバレをするんじゃねぇ!!ていうかなんでネタバレした!?」
 名前的に煙がどうとか言うから、折角だし説明しておいてやろうかなって……。
「おい誰かこの邪神止めろ!メタ情報で殴られるぞ!!」
 などと、穹が見えない存在と格闘している頃。印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)は謎肉の串焼きをモヒモヒしながら辺りをキョロり。
「えーっと、ケームルン卿の情報を集めなきゃだよね。歴戦の戦士とかから聞けばいいのかな?」
「ラビ子、野菜も挟む習慣付けをするのだ。あと、どうせお国柄、シンプルに歴戦の戦士となれば鎧を着た連中で、他の猟兵も情報収集に当たっているだろう。ならば、俺様達は別方向でアプローチするべきだ」
 今回はイケオジスタイルで参戦の劫禍がラビニアの口周りの汚れをハンカチで拭き取りながらベイクドナイツポテトや揚げメレポチョをカットして口に詰め込もうとしつつ、絶対に食うものかと歯を食いしばるラビニア。
「お祭りの時くらい好きなモノを好きなだけ食べたっていいじゃん!」
「貴様は日頃からそんな生活だろうが!インスタントでないだけマシだが、こういう時こそ日頃の不健康を取り戻せるだけしっかり食え!!」
 などと、どっちが主か分からない光景を晒していると、ラビニアは劫禍が持って来た樽に気づく。
「何それ?まさかお酒?」
「ご名答。表の連中は他の猟兵に任せて、俺様達は裏の連中に話を聞くのだ。荒くれ者との交渉は、酒の飲み比べと相場が決まっている」
「そんな平和的な荒くれ者なんているのかなぁ……」
 疑いの眼差しを向けるラビニアに対して、劫禍は自信満々に薄暗い酒場のドアをバァン!どっからどう見てもアウトローな連中が飲んでる中に踏み込んでいき、酒樽をテーブルにどっかと乗せた。向かいに座っていたのは、眼帯をつけた大柄な男性で。
「俺様が勝ったらこちらの知りたいことを洗いざらい教えてもらおう。負けたら、何でもいう事を聞いてやる……ラビ子が」
「うおおおおおい!?」
 シレッと売られたラビニア、絶叫。
「ほう?」
「ひぃっ!?」
 ちらと、男の単眼がラビニアに向かう。隠す必要も無かろうに、胸と股に手を当てて身をよじりながら青ざめる彼女に、男は頷き。
「いいだろう。だが、俺が勝ったらその女と……お前にも来てもらおうか」
「……何?」
「ギャーッ!?両刀ってやつ?どっちもイケます的な!?」
 片眉をあげる劫禍に、もはやギャン泣き状態のラビニア。バシッと劫禍の背中をぶっ叩き。
「絶ッッッ対勝ってよね!?」
「フハハハ!任せておけ!!なにせこれは、ただの酒ではないからなァ!!」

 で。

「全員酔い潰してどーんすんのさぁ!?」
「勝ったんだからなんだってよかろう」
 劫禍が持ち込んだ酒は上物の日本酒。米がメインで流通しているのはアシハラの方であって、ラウンズでは珍しい上に、その米とて食用であって醸造用ではない。
 見慣れぬ透き通った酒に、香りよく、飲めばするりと喉を抜けて熱が駆ける旨味は何物にも代えがたく……『罠』にかかる。劫禍は飲みやすく、それゆえに容易く潰れる名酒を持って来たのだ。そうとは知らぬ男のみならず、酒場に集まっていた者も集まって、あっという間に地獄絵図。赤い液体でも溢しておけば虐殺の罪に問われても文句を言えない状態である。
「全滅しちゃったら話が聞けないじゃん!!」
「なーに、人の話は耳だけで聞くものではない」
 サクッ。劫禍の服の袖からワイヤーが伸びて最初に対峙した男の頭に刺さると、デタデタデタデタ……謎の擬音と一緒に情報を抽出。すると、劫禍はラビニアの汚部屋を始めて目撃した時のような顔になって。
「ニューキング病だと……?」
「なにその残念過ぎる奇病?」
「俺様達が追っているケームルンとか言う男だが、ヴェイロンへの忠誠心と庇護愛のあまり、自分が王になって討たれる事で国に平和をもたらそうとしている捩れた愛情を持っているようだ」
「なにそれぇ……なにそれぇ……?」
 理解できなさ過ぎて、二回聞いてしまったラビニア。しかし、劫禍は詳細を語らない。
(幼子の時から、名ばかりの王として担ぎ上げてきたばかりか、その性別すら偽って、年頃の娘らしい生活も送らせてやれず、その上で国民からはあんなガキが国王などとは認められぬ者も少なくない、と。今まで強いて来た負担と、今のしかかっているプレッシャー、そして未来の懸念。その全てを背負って死のうというのか……その忠誠心は見事だが……)
「何がどうしてニューキング病などと国民に揶揄されるのだ……!」
 これは相当頭がおかしい案件に突っ込んでしまったらしいと、頭を抱える劫禍なのだった。まぁうん、これをどうやって説明しろと?って話になるよね。
「とりあえず、国民にとってはもはや日常の一端らしいニューキング病以外にも、奴の本来の機体と得意な戦法くらいは掴めた。行くぞラビニア、他の連中と合流だ」
「おっけー!……待って、ニューキング病が日常になってるってどういう事!?」
 大体そんな感じで猟兵達は集まるのでした、まる。
「無理やり話を終わらせないでよ!?」
「喧しいぞラビ子!ほら、次行くぞ次!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『廃坑を抜けて』

POW   :    狭ければ掘り広げてでも強引に突破する

SPD   :    崩落する前に全速力で一気に駆け抜ける

WIZ   :    メイン坑道を探し出し、正しい道を選んで進む

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 チュドーン!何故かラウンズ王城が突如爆発してしまったが、その原因については某猟兵が原因である為、一旦ほっといて。
「えーっと、ケームルンの居場所は分かってるんだよな?」
「でも真っ直ぐ行ったら撃墜されるらしいぞ」
「めっちゃ射撃上手で、近づけないんだって☆」
「それでこの隠し通路を使うんだっけ?」
「隠し通路っていうか、地下の廃坑道じゃないですか。変にブースター使ったら崩落しますよ?」
 というわけで、皆で迷路みたいな地下通路を突っ切っていくんですって。ただし、元は坑道だった為にそこら中穴だらけ。変に加速すれば衝撃で崩落するし、何ならある程度進んでいくとケームルンが暴走してドンパチしてるから天井から岩とか土とか降って来る。これを避けつつ正しい道を選ぶ必要があるとのこと。というわけで猟兵達は機体に乗り込むと慎重に廃坑道を進んでいくのだが。
「主様ー!早く戻って来てー!!」
「朕達だけ置いてかれちゃうー!!」
 少女と幼女が坑道入り口でピョンピョコしているのだった。

※次回執筆は十五日の予定。前日の二十四時までにプレくれると嬉しいな!
カシム・ディーン
タグがあれだが…まぁ…ヴェイロンはオブビリオンじゃないし大丈夫だろ?
「万が一があっても蘇生効果があるから大丈夫だぞ☆」
という訳で他の人も進むから安全に進める為にもメルシー…働け
「畏まり☆あと行動入り口でぴょんぴょこしてた二人が凄く可愛かったぞ☆」
UC発動
「「ひゃっはー☆」」
【情報収集・視力・戦闘知識】
ケムルンの所に突撃する為のルートの把握
【属性攻撃・念動力】
念動障壁を展開して落石とか防衛しつつ突破ルートを凍結弾で凍結させて一時的に突破しやすい道を作り出す
落石やら諸々は念動力で防いで静かに下ろして衝撃を和らげ
「安全安心で快適に進むぞ☆」
「序に金目の物が無いか探すぞ☆」
この行動は元々なんだった?


皇・絶華
うむ!ヴェイロンは「お胸も大きくなるぞ!」と言ったら凄い熱心に食べてたぞ!(爆発しても大丈夫…万が一の時はドリンク捻じ込むから大丈夫(迫真

「それむきむきまっちょになるだけなんじゃ…!?」
「普通の人が食べるとムキムキになってたなあれ…!朕もいつか…!?(がくがく」
うむ…二人とも待たせたな!
後はカシムが気にしていたのでイヨ達の様子も伝えておく

神機の主発動
さて…此処は生身で進んだ方がよさそうだな
という訳でドリンクは皆と自分に振舞い再生強化
後は全力突破だ

【念動力・第六感・空中機動】
念動フィールド展開
突撃しながら被害を防ごうとするさっちゃん
おお…とはいえ此処は私は避けて進むとしよう(ぴょんこ
「朕もー!」


涼風・穹
要するに|手塩にかけて育てた娘に討たれる事で全てを捧げて踏み台にされたい《超絶略して娘に踏まれたい》ってことか…

廃坑道は迂闊にキャバリアを持ち出すと崩落させかねないし、ここは小回りの利く『スカーレットタイフーンエクセレントガンマ』で進みます

明らかに|坑道を進むのに適していない《馬鹿な真似をしている》方がいれば《起動》で『イグニッションカード』に収納して、整備工場で|ちょっと休憩《穏当表現》していて貰います

もっとも、奇襲を仕掛けるなら見つかり難くするという意味でも、誰か上手く廃坑道を突破できる方がいるなら俺を含めて他の全員を収納してカードを託して、敵前で一斉にカードから飛び出すというのも有りだな


印旛院・ラビニア
「どうせゲームの体は太らないのに……」
『統制機構の体に悪い食習慣をつけさせない為だ』
「えー」
美食とかにも統制がかかってそうな統制機構はこの世界とは違う意味で食に不自由はしそう

洞窟の進み方は他のみんなに任せるとして、対ケームルン卿について考察しようかメタ的にもあらかじめ手段のアリナシがわかればプレイングかけやすいしね
「まず、【オブリビオン・ヴォイド】で短時間でも射撃を封殺して接近戦に持ち込めれば難易度が大きく変わったりしない?」
意味がなさそうなら違うUCを考えられるしね
「あとはニューキング病とか今回の件に影響しないかな」

いざとなればUCでテレポートして合流したり崩落から庇ったりとかできるよ


桃枝・重吾
アドリブ連携歓迎
星降丸搭乗

UCでは鉱山関係の資格

◼️心情
スペース鉱山保安管理資格にユニヴァース火薬類取扱保安資格も大丈夫、
五連装UCであれこれ…
【マスター?そのUCまだ申請してませんよ?】

◼️閑話休題
気を取りなおして、ヒッチハイクが必要そうな人には声掛けして
【お義父さんとか、ほっとくのも憐れですし】
キャバリアが通れるなら星降が行けないわけ無いし、
地上の座標と地下の座標を皆に梵ちゃんの重力糸を介して同期と通信の確保して、
マップの構築と坑道の補強と安全指導しながら進むよ
「それでは皆様御安全に!」
フリじゃないからね!

梵ちゃんの運命演算も使えたら…
【マスターのバックアップがないとUCクラスの権能は…】



「タグがあれだが……まぁ……ヴェイロンはオブビリオンじゃないし大丈夫だろ?」
「万が一があっても蘇生効果があるから大丈夫だぞ☆」
 などと、上の方(意味深)を見ていたカシムとメルシー。一応生きてはいるけど、多分後で問題になるんじゃないかな……一国の主に怪しい物食わせて爆発させちゃったわけだし。
「「あー……」」
 何かを察したカシムとメルシー、遠い目になりつつ。
「という訳で他の人も進むから安全に進める為にもメルシー……働け」
「畏まり☆あと坑道入り口でぴょんぴょこしてた二人が凄く可愛かったぞ☆」
 気づかなかった事にした!?
『ひゃっはー☆』
 メルシーが分裂したかと思うと、念動力で作った傘を開き、二、三人が先行。罠や崩落の危険性がない事を確認してサインを送れば、一列に並んだ分身メルシーがおでこから一斉に冷凍メルシービームを発射。
「崩落のリスクがある以上は、そもそも落ちてこないように内側から補強した方が確実だからな……」
「コレで少なくとも、落盤でズドーン!って事はないはずだゾ☆」
 というわけで地下坑道が氷の洞窟に早変わり。足元は多少滑るかもしれないが、上下ともに崩落のリスクがなくなった事は大きい。
 が、ここで逆にリスクを負う事になったのが重吾。
「スペース鉱山保安管理資格にユニヴァース火薬類取扱保安資格も大丈夫、五連装UCであれこれ……」
「マスター?そのUCまだ申請してませんよ?」
 自分が持ってる資格をチェックしつつ、夏タイヤ履いてた星降丸のタイヤにスリップチェーンを巻く事に。
「まさか真夏の仕事でこれを引っ張り出す事になるとはね……」
「あれ、でも先輩の性能的に、そんなもの必要ないのでは?」
「梵ちゃん」
 重吾のデコトラは星間輸送業の為の車両であり、たかだか凍った路面でずっこける様な代物ではない。しかし、凍結した路面を舐めている節のある相棒の肩を重吾はガッシと掴み。
「性能的に十分でも、資格が揃っていても、安全確認は常に万全を期すのがプロドライバーってものだよ」
「あ、はい」
 輸送業に求められるのは速さではない、確実性だ。商品に何かあってからでは遅いのは言うまでもなく、途中で事故って配達できないなんてもってのほか。その辺は厳しい重吾である。
「あ、そういえば、お義父さんも乗っていきます?」
 と、梵ちゃんがさっちゃんところちゃんの方を見やると。
「え、主様、王様にあのチョコ食べさせちゃったんですか!?」ガタガタガタガタ
「朕知ってる、これ国際問題ってやつなんでしょ?」(死んだ目)
 二人そろって震えあがっていた。そこでは帰って来た絶華がドヤ顔をしており。
「うむ!ヴェイロンは『お胸も大きくなるぞ!』と言ったら凄い熱心に食べてたぞ!」
「それむきむきまっちょになるだけなんじゃ……!?」
「普通の人が食べるとムキムキになってたなあれ……!朕もいつか……!?」
 この依頼が終わったらラウンズと戦争になる未来を予見して青ざめるさっちゃんに、自分の雄っぱいだけが肥大化した姿を想像して震えるころちゃん……あのチョコ、ロクな事にならねぇな。
「おー、ぜっちゃんも戻ってきたか」
「もう少しで置いてっちゃうとこだったぞ☆」
「うむ……二人とも待たせたな!」
 カシムが手を挙げると、絶華は思い出したように。
「あぁ、そうそう。イヨが二人によろしくと言っていたぞ!何やらメルシーが滅茶苦茶な作戦を提案した時のカシムのような顔をしていたから、ぜっちゃんチョコを置いてきた!これで夏バテともおさらばだな!!」
「……それ多分夏バテじゃねーぞ」
 どうやらイヨはヴェイロンに振り回されているようだが、歳も立場も近い友人と、なんだかんだ騒々しくも平和な日々を送れているらしい。安堵のため息をついたところで。
「それから、割とどうでもよさそうだから聞き流していたのだが、どうやらアルカディアを撃墜するための作戦を練っているようだったな!まぁ我々には関係なさそうだからよかろう!!」
「あー、アルカディアをねぇ……アルカディアを撃墜ィ!?」
「事情を知らない人の為にメルシーが説明してあげちゃうぞ!この地域には元々、トウゲンっていう小国家があったんだけど、土地ごと国家を乗っ取っちゃったオブリビオンマシンが、奪った土地を浮遊大陸にしてお空に逃げちゃったの!それで新しく名乗った国名がアルカディアで、何処にいるのか分かんないし、見つけたとしても相手がお空の上じゃ殲禍炎剣に撃墜されちゃうから近づけない状態になってたんだよ☆」
 というわけでおめめ真っ白になったカシムは絶華に掴みかかり。
「その辺もうちょっと聞いとくべきだったところじゃないのか!?」
「グリモア猟兵から話がなかったという事は、少なくとも現時点では我々には無関係だろう。深入りしすぎて地雷を踏んでも問題だろう?だからエナドリ代わりに健康的なぜっちゃんチョコを置いてきたのだ!」
「むしろそのせいで作戦を邪魔してないといいなぁ……!」
 なんて、カシムが頭を抱えている横で穹がバイクに跨り顎を揉む。
「しかしアレだな、集めた情報を纏めると、ケームルンは手塩にかけて育てた娘に討たれる事で全てを捧げて踏み台にされたい……超絶略して娘に踏まれたいってことか……」
 とんでもねぇ風評被害が生まれてしまった、そんな気がする。
「廃坑道ってなると、氷で補強してあるとはいえ、機体の重量に床が耐えられないなんて可能性もある。俺が先行して様子見するから、分身メルシーを一体借りるぞ」
「借りられるぞー!」
 というわけで穹が小脇に謎生物(?)を抱え、おでこ冷凍ビームを照射させながら一足先に坑道を進んでいくと。
「そうか、私達がいる地点より下で採掘がおこなわれている可能性もあるのだな。ならばここは生身で進んだ方がよさそうだ」
 ぐぃーっ。ぜっちゃんチョコを一気にキメて、全身からカカオーラを放ち始める絶華。なんか物凄く強化された事は分かるのだが、ガシッ。
「さぁ、さっちゃんところちゃんも!」
「ひぃ!?いやいやいや!俺は念動フィールドを張って頭上からの落石から主様を守るから大丈夫です!」
「朕もこのくらいよゆーで避けられるから大丈夫だぞ!」
「二人共、油断はいかんぞ?」
「「ぎやぁああああああああ!?」」
 神機二柱が悶絶している様子を横目に、星降丸の荷台の上に寝転がったラビニアは不満げに唇を尖らせる。
「どうせゲームの体は太らないのに……」
「統制機構の体に悪い食習慣をつけさせない為だ」
「えー、そんなに変な食べ方してないのにー……」
「ほう?貴様のここ数日のインスタント食品のリストを読み上げてやろうか?」
 などと、劫禍が凄まじいジト目を向けて迫って来るため、全力で顔を背けるラビニア……美食とかにも統制がかかってそうな統制機構は、この世界とは違う意味で食に不自由はしそうだなんて思う人も多いかもしれないが、統制機構は人間を社会の歯車程度にしか考えていない。好きなものを好きなように食すことができる……まぁ、その食べ物を買うための金があるかどうかは別なわけですが。
 ていうか、遺伝子から進学、就職が定められて、結婚にも許可が必要とか言いながら、人権剥奪事件が普通に起こるって事は、優秀な人間には代替品が存在するって事だから、あんま細かい事までは制限してないんじゃねーかな。じゃないと、バグプロトコルに優秀な人間のアカウントが消された時、社会構造に歪が発生するから。それがないって事は、統制機構は全人類に人権が無くなったって困らない仕組みを持っているって事になる。
 まぁ、そんな根拠のない推察はゴミ箱にシューッ!しておいて。
「洞窟の進み方は他のみんなに任せるとして、対ケームルン卿について考察しようか。メタ的にもあらかじめ手段のアリナシがわかればプレイングかけやすいしね」
 あっれぇ!?メタから離れようとしたのに普通にメタ会話突っ込んで来たぞコイツ!?
「まず、『オブリビオン・ヴォイド』で短時間でも射撃を封殺して接近戦に持ち込めれば難易度が大きく変わったりしない?意味がなさそうなら違うUCを考えられるしね」
「そもそもUCで対処しようって考えが間違いだろうな」
「なんで?」
 渋い顔をする劫禍に、ラビニアは首を傾げるが。
「俺様の記録【記憶】にある範囲の話になるが……お前達、UCを手段だと勘違いしていないか?」
「うん?UCは事件解決の手段でしょ?」
「その認識がそもそも間違っているのだ……って、何故俺様がこんな話をラビ子にせねばならんのだ……」
 劫禍に「野菜も食わんか愚か者がァ!!」と口にサラダを詰め込まれた時のラビニアみたいな顔で、人の形を模したオブリビオンマシン曰く。
「UCとは、時代を逆行する過去の怪物、オブリビオンと対等に渡り合う為の謎の力……早い話、それ単体ではどんなに頑張っても『拮抗』止まりだ。攻撃系のUCならばそれをいかに命中させるか、防御系のUCなら効率的に防ぐには?どんな反撃に繋ぐか?そう言った個人の創意工夫を以てようやく『勝利』に繋がる」
「まー、それは分かるよ。相手だってUCを使ってくるわけだもんね」
 だから何?みたいな顔をするラビニアのほっぺを劫禍が左右から痛くない程度にむにぃいいい……。
「そこまで分かっているのなら、仮にも一国の王に使える近衛騎士が操縦する、謎の装置で超強化された機体をUC一つで防げるなどという甘い考えができるのだ?」
「はー……はふほほー……」
 ようやく合点がいったらしいラビニアを解放する劫禍がため息をつき、ラビニアが改めて思案する。
「となると、あとはニューキング病とか今回の件に影響しないかな」
「それはするだろうな……何せ能力がどうこうではなく、ケームルンの根幹にかかわるところだろう。元を辿れば奴の忠誠心からくるものらしいし……」
 と、ここで思考が一致したらしいラビニアと劫禍は死んだ目で念動フィールドを展開するさっちゃんを頭上に掲げて、万が一の落石に備える絶華を見る。
「「あれ、王に変なもの食べさせたって事は、アイツ(あの人)、囮にできるんじゃ……?」」
 まぁ、物凄くヘイトは稼げるだろうね……。
「へくしっ!」
「「主様!?」」
 絶華がチョコを飲んで自己強化しているのにくしゃみをした事で、さっちゃんところちゃんが何事かと周囲を警戒するが。
「もしかしてお体冷えましたか!?」
「処す?メルメルのバカを処すであるか!?」
「ふははは!二人共心配のしすぎだ!わがぜっちゃんチョコの圧倒的パワーがこの程度の寒さに負けるわけがない!恐らく王城でチョコの追加発注の相談でもしているのであろうよ!!」
「「それはないと思います」」
 速攻で主従からチョコ需要を否定されてしまう絶華。その前方では穹がインカムで星降丸と通話しており。
「その先に分かれ道があるけど、右のルートを取ってね。途中で道が崩落してて行き止まりに見えるけど、どうやらガッツリ採掘されて深くなっているだけみたいなんだ」
「メルシーに氷の滑り台でも作って貰えってか?降りた後は?」
「採り尽くした後に道を拡張した痕跡がある……多分、崩落して埋まった道があるんだと思う。そこを吹き飛ばしてくれれば先に進めると思うよ」
「まぁ、最悪先輩が一旦前に出てぶち抜きますかね……」
 重吾が梵天丸と連系して周囲を探査すると、先に進むための道のりを割り出してそれを先行する穹に伝え、分身メルシーで周囲を固めつつ、小回りの利くバイクで後続の星降丸が通れるか否かをチェック。連携する事で安全な踏破ルートを確保しているのだ。
「そこを抜けたらしばらくは道なりだけど、地上からの振動が感知されてる……そろそろ突然の地震や崩落くらいは警戒した方がよさそうだね。それでは皆様、御安全に!」
「オーライ!」
 穹がアクセルを回し、突然ぽっかりと開いた大穴にメルシーおでこ冷凍ビームで道を残しながら降下していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『Fortress』

POW   :    要塞からの火力支援
【背部に背負った多連装ミサイル】が命中した対象に対し、高威力高命中の【同じく背部に背負った主砲】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    要塞への接近阻止
【足の間】から【重機関銃の乱射】を放ち、【弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    要塞による掃討
【両腕のグレネードランチャー】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。

イラスト:右ねじ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フォルティナ・シエロです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「フフフ……フハハハハハ!素晴らしい火力!弾道制御!これさえあれば、この私がニューキングとなるッ!!」
 はーい、こちらは猟兵の皆が地上に顔を出す予定地点の少し先、暴走する機体に乗った暴走ケームルン卿です。
「さぁ!今こそ反逆の時!ラウンズを我が掌中に!!」
 とか言ってるけど、まさか本当に国に到達させるわけにはいかない為、ここで撃破しておこう。

※ケームルン卿の卓越した操縦技術に加えて、謎装置で機体性能がグーンと上がっていて、真っ向勝負では近づく事すらできずに撃墜されます。さらに、謎装置によってUCや装備品、技能による強化、弱体が無力化される『脳筋戦場』となっており、パイロットとしての技量が問われる事になります。相手の精神への揺さぶりか、敵機に存在する、ある『致命的な弱点』を突く事ができれば楽に勝てるでしょう

次回執筆は十九日の予定!十八日の二十四時までにプレくれると嬉しいな!
皇・絶華
【戦闘知識】
敵機体の能力と攻撃の方向性

ケムルンの能力や技量も解析

おお…お前がけむけむか!お前の王とあってきたぞ!そして喜ぶがいい!彼の王は我がぜっちゃんチョコで圧倒的はパワーを得て溢れるパワーでアルカディアも撃ち落す勢いだ(マッチョなヴェイロンの写真ぺかー
「ちょ…主様!?そんな事したら主様が囮にされちゃいますよ!?」
?何故だ?おお…彼が喜びの余り此方を狙っているな!
【見切り・第六感・武器受け・弾幕】
UC準備開始
そしてなんかすごい勢いでミサイルとか飛んでくるのでぴょんぴょこ飛んだり念動光弾で迎撃したりと逃げ回る!
神機の主発動
ころちゃんもぴょこぴょこ避けながらけむけむに幼女パンチ乱射!


カシム・ディーン
「…ご主人サマー…この戦場メルシーの必殺技無効化されるんだけど!?」
…そういう事も有るって事だ
手がねー訳じゃねぇ…久しぶりに僕の技を使うとするか

【情報収集・視力・戦闘知識】
敵機の能力と射程
技解析し他の猟兵情報共有

ぜっちゃんが気高き心で囮になってくれてるなら利用させて貰う

【属性攻撃・迷彩・念動力・弾幕】
光属性による立体映像を無数に展開
更の念動フィールドを重ね存在感を増して…念動光弾を乱射させる

投稿しろ!今ならヴェイロンの面白エピソードを語ってやるぞ!
主にお胸関連!

【空中戦・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
飛び回り距離を詰めて…
UC発動
ぼこぼこに…金目の物は剥

戦闘後
ヴェイロンの復帰とケアはしておく


涼風・穹
そこの変態にヴェイロン王からの下知を告げる!
今更王になるとか言い出すなら始めから僕に押し付けるな
それと僕に踏まれたいとかキモッ
王様になんてなりたくなかったしこれからは普通の女の子として生きるから王位はあげるけど今直ぐ死んで…と汚物を見るような目で仰られていた
……まあその、なんだ…
|リアルプリンセスメーカー野郎《変態》なのを隠していたつもりなのかもしれないけどとっくにばれているし、上級者にとっては娘に蔑まされるのもご褒美なのかもしれないけど、これ以上恥を晒す前に自決するなら待ってやるぞ…?

説得(?)か他の手段でも兎に角|ケームルン卿《変態》に隙ができれば《贋作者》謹製の例のとろろ弾を撃ち込みます


印旛院・ラビニア
簡単なお仕事とは…

ニューキング病を突く方法ね
「ヴェイロン王に変装して攻撃を集中させるってのも手だけど、効果的な変装ができるかな?」
あとはファンアートを収集、生成して送りつけるとか?なんにせよ向こうのヘイトを稼ぐなり判断力を落とさせるのがキモだよね。似てないイラストとかで「王の胸を盛るな」とか言いそう

小細工を弄したらあとは戦闘だね
「さて、どこまで保つかなー」
『何気に楽しそうだな』
「怖いけどさー、ゲーマーの性かな」
最初は回避、防御に徹しつつ動きやパターンを学習して反撃に転じるのが僕のやり方。ストレージが使えれば盾を出して使い潰しながら凌ぎ、自分か味方が背面回って挟み撃ちできるような立ち回りを目指す



「おお……お前がけむけむか!お前の王と会ってきたぞ!そして喜ぶがいい!彼の王は我がぜっちゃんチョコで圧倒的はパワーを得て、溢れるパワーでアルカディアも撃ち落す勢いだ!」
 などと、遭遇と同時に絶華が取り出したのはキャバリアサイズに拡大した一枚の写真。そこには胸部『だけ』が筋肉モリモリになってバストアップ(物理)した結果、服が弾け飛んで何とか胸元を隠しつつ赤面しながらガチ泣きしているヴェイロンの姿。割と国家反逆罪待ったなしである。
「ちょ……主様!?そんな事したら主様が囮にされちゃいますよ!?」
「ん?何故だ?」
 などと、自分が思いっきり不敬な事をしている自覚がない絶華に、さっちゃんことサートゥルヌスがビクッと怯えた瞬間、ガガガガガガガ!!凄まじい数の弾丸がサートゥルヌスのコックピットを直撃。
「おお……彼が喜びの余り此方を狙っているな!」
「言ってる場合じゃないですよ主様!アイツ、マシンガンの連射でフレームの接合部をピンポイントで狙ってきましたよ!?ぶっちゃけ俺様だから良かったものの、並の機体なら今ので死んでましたからね!?」
 開幕早々ツッコミまくりのサートゥルヌスだが、眉間に銃口を突きつけられたような圧を感じて意識を前方に向けると。
「我が王を辱めた罪業……貴様の皮を剥ぎ、肉を開いて生きたまま臓腑を並べて晒しモツにすることで許してやろう……」
「なんか物騒な事言ってるー!?」
 いきなりガチギレさせてしまった事態にさっちゃんがビビりまくり絶華は笑い、ころちゃんが泣き叫ぶ中ミサイルの集中豪雨が降り注ぐ。火薬の地獄絵図の中で逃げ回る絶華だったが、ふと。
「あ、さっちゃん、身構えるんだ!ころちゃんも舌を噛まないように!!」
「「へ?」」
 絶華が叫んだ直後、ただ乱射されていると思われたミサイルの雨はわずかにタイミングをずらされており、弾頭天井と化して『同時に』降って来た。
「これは避けられんな……!」
 光の円環を生成し、頭上に投げつけ迎撃を試みるものの、撃破したミサイルが横並びした別のミサイルに誘爆。直撃せずとも一斉に発生した爆発は更なる酸素という名の燃料を求めて巨大化してしまい。
「「ほぎゃぁあああああ!?」」
「ふははは!なかなかの火力だな!!」
 巨大な火柱が荒野のど真ん中に突き立てられ、サートゥルヌスは空の彼方へ吹き飛んでいってしまった……。
「ぜっちゃんは気高き心で囮になってくれたんだな……」
 メルクリウスに搭乗したカシムが、雲の向こうで爆笑する絶華と絶叫するさっちゃん&ころちゃんの幻影を眺めていると、メルシーがへにょり。
「ご主人サマー……この戦場メルシーの必殺技無効化されるんだけど!?」
 常ならば、機体表面に水の魔力で被膜を張り、光の屈折で機体の位置を誤認させる隠蔽技術を用いるメルシー。しかし、敵機に搭載された謎システムにより、機体の持つワンオフシステムがエラーを吐いてしまい、お得意の隠蔽機能が使えないのだ。カシムは眉間にしわを寄せたものの。
「……そういう事も有るって事だ。手がねー訳じゃねぇ……久しぶりに僕の技を使うとするか」
 メルクリウスの指先がルーンを描き、光を捻じ曲げメルクリウスの姿を複製。無数の分身を構築しながらその内部に念動力で斥力を持たせ、疑似的質量を発生させた。質量を持った分身と入り乱れながら光の矢を放ち牽制するものの、真正面から弾幕を展開されて分散されてしまう。
「ウソでしょ!?メルシーの念動弾、真正面から撃ち返されてるんだけど!?」
「伊達に王の近衛騎士なんかやってないって事か……だが、こっちには切り札もある!」
「それは……!?」
 機体の性能差でなんとかなっているモノの、状況的には決して芳しくない戦況の中、カシムに期待するメルシーが目をキラキラさせていると。
「投降しろ!今ならヴェイロンの面白エピソードを語ってやるぞ!主にお胸関連!」
「それさっきぜっちゃんがやったやつー!!」ズコーッ
 メルシーが思いっきりずっこけてカシムの膝に飛び込むと、カァン。なんかめっちゃ甲高い音がする。
「なんだ今の……って、メルシー?」
 見下ろせば、相棒は虫歯でも隠すように頬に手を添えていて、ぷるぷる。
「次は逆の頬に……いや、やはりコックピットだな。王に不敬を働く者に生かしておく価値はない!!」
「御主人サマー!本体特定されてるよー!!」
「ウソだろ!?」
 分身が放つ念動弾に正確にミサイルをぶち込んで霧散させながら、機関銃でメルクリウスのコックピットを狙ってくるケームルン。右へ左へ機体を振り回して直撃を回避するカシム、思う。
「あれ、いつの間にか僕が囮役になってないか!?」
「ぜっちゃんがやらかしたのに同じような事するからだよー!!」
 コォン!
「ひぃ!?」
「被弾した!?メルクリウスのスピードについて来てるのか!?」
 ものの見事に敵の逆鱗を撫でくりまわす絶華とカシムをちょっと遠くから眺めて、ラビニアがぽつり。
「簡単なお仕事とは……?」
 ネタ依頼だから難易度クッソ低いやろ?
「低いの?神機が二柱滅多撃ちにされてるのに難易度低いの!?」
『ラビ子よ、こういう時はツッコミを入れ始めると終わらなくなるぞ……』
 ホバーで低空飛行しながら、メルクリウスが七面鳥撃ちされている隙に、反対側にススーッと滑っていく劫禍がため息交じりに頭を振れば、ラビニアも切り替えて顎に手を添えてシンキングラビットフェイス。
「ニューキング病を突く方法ね……ヴェイロン王に変装して攻撃を集中させるってのも手だけど、効果的な変装ができるかな?」
 日頃の行いがアレ過ぎて忘れがちだが、一応あんなでも王様である。来ているモノも割としっかりしており、中途半端なクオリティだと安っぽさが浮き彫りになってしまうだろう。
「あとはファンアートを収集、生成して送りつけるとか?なんにせよ向こうのヘイトを稼ぐなり、判断力を落とさせるのがキモだよね。似てないイラストとかで『王の胸を盛るな』とか言いそう」
『下手すると無言で蜂の巣にされかねんがな……』
 今まさにえげつない量の弾丸をぶち込まれて、打楽器と化しているメルクリウスを遠いカメラアイで捉える劫禍。
『せっかくラビ子用のドレスアーマーも用意していたというのに……』
「何着せる気だったの!?」
『これだが?』
「もはやヴェイロン王モチーフのエロ衣装じゃん!!」
 あまりにもアレすぎて記録を残す事も憚れるため、劫禍がどんな衣装を用意していたのかはご想像にお任せします。
「そこの変態にヴェイロン王からの下知を告げる!」
「ほら劫禍!怒られてるんじゃん!!」
『アレは俺様に向けての話ではないだろう!?』
 ズィルバーンヤークトフントからの音声にツッコミが飛ぶが、実際に穹が偽装してきた書類を広げる先はケームルンの方。
「『今更王になるとか言い出すなら始めから僕に押し付けるな。それと僕に踏まれたいとかキモッ……王様になんてなりたくなかったし、これからは普通の女の子として生きるから王位はあげるけど今直ぐ死んで……』と汚物を見るような目で仰られていた」
 読み上げ切った穹はため息をつきながら。
「まあその、なんだ……変態【リアルプリンセスメーカー野郎】なのを隠していたつもりなのかもしれないけどとっくにばれているし、上級者にとっては娘に蔑まされるのもご褒美なのかもしれないけど、これ以上恥を晒す前に自決するなら待ってやるぞ……?」
 本当に自決されてしまうと、小国家の重要人物に対して自殺教唆したとして今後の国交が断たれてしまう為、なんかやらかす前に止められるように身構えていた穹だったが。
「我が王がそのような戯言を言うかぁあああ!!」
「コイツもう近衛騎士じゃなくて狂信者の部類だろ!?」
 逆上して凄まじい弾幕を展開してくるケームルンに、長剣を回転させて盾代わりに、直撃弾を防ぐ穹がバラ撒かれる弾を散らそうと機体を横滑りさせるが、反対側にメルクリウスもいるというのに、二機同時に正確無比な集弾性を見せるケームルン。
「あんなにバカスカ撃ってたら、多少は銃身がブレるもんなんだけどな……!」
「ラウンズの騎士ってバカしかいないんじゃないのかよ!?」
「ご主人サマ、いくらお馬鹿な国でもこの世界だと、頭のクオリティと腕のクオリティは別だよ!?」
 メルクリウスとズィルバーンヤークトフントが二機がかりでも近づく事すらできない現状に、ラビニアは舌なめずりをして。
「さて、どこまで保つかなー」
『何気に楽しそうだな』
「怖いけどさー、ゲーマーの性かな……ムリゲーこそ攻略したくなるじゃん!」
 魔術的収納から盾を取り出し、あえて真正面から突っ込んで銃弾を防ぎながら吶喊を仕掛けるが。
『ラビ子、上だ!』
「分かってる!」
 盾を投げ捨てて弾幕を防ぎながらブースターを逆噴射させて緊急離脱。降り注ぐミサイルから距離を取れば、爆炎から飛び出して来るグレネード。
『まるで動く火薬庫だな……』
「言ってる場合じゃないでしょ!」
 すぐさま次の盾を取り出すと放り出し、裏面を蹴りつけた。それは盾を飛ばす為ではなく、榴弾の着弾時に発生する爆風から自機を飛ばす為。一撃で爆散する盾を踏み台にして一気に距離を稼ぎつつ、新しい盾を取り出し、塞がれた視界の向こうから飛んでくる弾を跳ねさせると、不意に煙を振り払ったのは正確無比な射撃を支える強靭な脚部。
『もらうなよ、ラビ子!』
「誰に言ってるのさ!フレーム回避して見せるよ!!」
 振り下ろされる金属柱の側面に回り込めば後ろ脚の銃口が旋回。マズルフラッシュに盾をぶつけて被弾を防ぎ、回り込んで来たズィルバーンヤークトフントとスイッチ。入れ替わって踏み込む白騎士の機体が武装を斬り捨てようとすれば、グレネードの砲身で横っ面を殴り飛ばされかけ、剣の腹で受け、いなして敵機の背後に回り込む。
「あのタイミングで反応してくるのかよ……!」
「機体が銃撃戦に特化してるだけで、乗ってる人は白兵戦もできるって事でしょ!ロボゲーにはよくある事だよ!!」
『ラビ子が遊んでたあれか?大砲とガトリング背負ったロボット操作してるのに、戦闘開始と同時に武装を投げ捨て『銃なんか捨てて素手でかかって来いよ!』を素でやるメカゲーの話か?』
「あれは、うん、ゲームシステムの関係で素手が強すぎるんだよ……」
 ちょっと遠い目のラビニアが距離を取っている間に、背面から急降下してきたメルクリウスの鎌にミサイルをぶち込み軌道を逸らした隙にグレネードを向けてくるが、機体を捻り、弾道から外れながら大量の武装を搭載する為に規格外のサイズになった敵機の下に潜り込む。
「背中から脚まで武装だらけでも……!」
「流石にお腹の下はがら空きだよね☆」
 すり抜け様に鎌を振り上げて斬り捨てようとして、排出された空薬莢に叩き潰されかけ、そちらを斬り裂き反対側から脱出。せめて脚の一本でも貰って行こうと鎌を振るえど背後から飛んできた弾幕を回転させた鎌で防ぎながら目前の銃口には念動弾を撃ち込み掃射と相殺。
 懐に飛び込んでなお有効打を取れない事にカシムが奥歯を噛んだところで空の彼方より降って来る茶色い世界樹。
「ふははは!大暴れだなけむけむ!だがしかし……そろそろパワーが尽きるのではないか!?喜べ、ぜっちゃんチョコの差し入れだ!!」
「この私がエネルギー管理を怠っているとでも!?この機体はまだ動く!!」
 ほぼ自由落下するチョコの巨大樹に乗ったサートゥルヌスへ、ケームルンは砲身を向けるが、カシン。乾いた音が響く。
「しまっ……!」
「そう!機体は動くだろう!貴殿の技量も優れているだろう!だが、『弾薬という名のリソース』だけはどうしようもあるまい!!」
「俺様達の装甲強度はそんじょそこらのキャバリアとは別格だからな!!」
「むしろ、来たのが朕達じゃなかったら結構危なかったであるな……」
 実質、機体性能でゴリ押しする形になった敵目掛けて落ちる世界樹は命中と同時に溶けだし、取り込み、機体の動きを鈍らせた。
「今だ!いくぞメルシー!!」
「反撃ターイム☆」
 チョコに包まれた敵機を中心に旋回するメルクリウスから放たれる凍結弾は流動体を瞬く間に冷やし固め、身動きを封じられたケームルンは巨大な武装を兼ねた装甲をパージ。
「やってくれるな……反逆者共がァ!!」
「お前が言うなぁあああ!!」
 両腕のグレネードのみで飛び出した機体目掛けてズィルバーンヤークトフントが斬りかかるも、刃の側面に銃身を当てられて鍔迫り合い、脚を止めた隙に劫禍が背後から両腕を向け。
「ピンバイスドリル装填!」
『全弾持っていけ!!』
「舐めるなよ下郎が!!」
 複雑な軌道で迫る貫通弾を相手にケームルンは自機の足元に榴弾をぶち込み、粉塵を巻き上げる事で姿を隠しつつ爆風でドリルを吹き飛ばしながらズィルバーンヤークトフントを振り払い、砲身を向ける。
 しかし、その動きに合わせて穹もまた剣を捨てて手元にグレネードランチャーを生成。同じ武装を向け合う黒と白の機体。
「この私に同じ兵装で勝てるとでも?」
「思ってるわけねぇだろ」
 放たれる二つの砲弾はすれ違い、ズィルバーンヤークトフントの前に飛び込んで来た劫禍の盾とメルクリウスの念動障壁の二枚重ねで爆風に耐える。対するケームルンは一瞬で狙いを定めた榴弾で撃墜して見せるが……ぺしょっ。
「……む?」
 吹き飛ばした砲弾の中身は火薬ではなく、とろろ。
「ぬぁあああああああ!?」
 装甲の隙間から浸透して、パイロットにえげつない痒みを引き起こす非殺傷兵器である。
「今だ!ころちゃん!!」
「いぃいいいって、来るであぁあああある!!」
 サートゥルヌスの掌中に隠れていたころちゃんを、絶華が投擲。豪速ころちゃんは敵の装甲をひしゃげさせながら両脚を食い込ませると、コックピットを前にマウントポジションを取り、拳を握り込む。
「歯を食いしばるがよい!」
 連続で叩き込まれる拳は小さくとも、その一撃は神機の鉄拳。一撃毎に陥没する装甲は続け様に打ち込まれる圧力に耐えかね、円形にくり抜かれて吹き飛んでいってしまう。

 ……ギィ、ガシャァン!!

 コックピットを失ったキャバリアは崩れ落ち、敵を機能停止に追い込んだころちゃんは額の汗を拭うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年08月19日


挿絵イラスト