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夜が来て、時の鐘鳴り響き

#サイバーザナドゥ

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#サイバーザナドゥ


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「パリ・プラージュという行事を知っておるか?」
 グリモア猟兵、ムルヘルベル・アーキロギアが言った。
「|パリのビーチ《Paris Plages》という名前の通り、セーヌ川の河岸にちょっとしたビーチを作るのだ。
 人工のヤシの木を設置したり、ちょっとした砂浜を作ってパラソルの下でくつろぐ、というわけであるよ」
 避暑地に足を運べずパリに取り残された人々の不満を解消するために作られたイベントだという。
「ただまあ、肝心のセーヌ川での泳ぎは禁止なのであるがな。
 "パリは最も側溝が綺麗な街だ。何故なら犬たちがそれを敬っている"などという皮肉も残るわけである」
 ムルヘルベルは肩を竦めた。

「……と、ここまではUDCアースのパリの話であってな」
 咳払い。
「気にならぬか? ……サイバーザナドゥのセーヌ川がどうなっておるのか!!」
 なんかとんでもないことを言い出した。

「何故? いや、わかるであろう? サイバーザナドゥであるぞ?
 世界そのものが骸の海で汚染されて終わりかけている世界であるぞ? 絶対ヤバいのである」
 何故かワクワクしていた。
「なんでもサイバーザナドゥのパリでも、似たようなイベントは開催されるらしいのだ。
 せっかくオヌシらも水着を仕立てたところであろうし、どんだけ終わっておるか見に行こう!」
 まったく心が踊らない誘いだった。
「なあに、もしかしたらサイバーザナドゥ脅威の科学力でものすごく濾過されておるかもしれぬぞ?
 とある新聞小説の作家はこう言ったのだ。"テムズ川とセーヌ川を繋いだら、セーヌ川が清らかになり……"」

 そこで、猟兵から「もし汚れまくっていたらどうするのか」という声が出た。

「……」
 ドヤ顔で格言を披露しようとしていたムルヘルベルは数秒停止した。
「……"|綺麗な水よりも汚水の中の方が泳ぎやすい《Il est plus facile de nager dans l'eau sale que dans l'eau propre.》"という言葉もあってだな。
 何が言いたい? いや、だからまあ……そんときゃこう美味いもんとか酒とか食べればいいのである!」
 ものすごく適当だった。どうやらどんちゃん騒ぎたいだけらしい。


唐揚げ
 フランスってお洒落なイメージありますけど、現実はそうでもないようで。
 ロールキャベツです。サイバーザナドゥの終わってる町並みで騒いだり飲んだりしましょう。

 もしサイバーザナドゥのセーヌ川が奇跡的に綺麗なら、人工ビーチで大騒ぎできます。
 ダメだったら? まあその時は猟兵の皆さんで濾過したり、いっそビーチを作っちゃったり……。
 環境改善の名目で暴れればいいのではないでしょうか。つまり、ゆるいシナリオです。
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第1章 日常 『サイバー居酒屋の夕暮れ』

POW   :    好きなメニューを好きなように飲み食いする

SPD   :    店主や他の客のオススメを頼む

WIZ   :    他の客との世間話を楽しむ

イラスト:del

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●サイバーザナドゥ:パリ・セーヌ川
 パリの流れは澄み渡っていた。
 サイバーザナドゥとは思えない清らかな空気が、芸術の都パリを穏やかに流れていく。
 道行く人々は独創的でアーティスティックなファッションで自己表現し、太陽が燦々と照らすビーチパラソルの下でのんびりと時間を過ごすのだ。

 ……ただし、それらにはすべて「人工」という言葉が頭につくのだが。

 |地上の《・・・》セーヌ川は徹底的に浄水され、汚れなど全く存在しない。
 金持ちが気ままに暮らす、まさに誰もが思い描くお洒落で優雅なパリ――では、その地下は?

 代償の汚穢は全てここに集まる。
 暗黒時代のヨーロッパもかくや、UDCアースのセーヌ川など比較にならない汚染が広がる川の周りには、バラック小屋じみた不法居住地が転々と続く。
 地上に上がれぬ貧民たちは、金持ちの暮らしを羨みながら薄汚れたエスニックな屋台や場末のパブでアルコールや原色バリバリの食事を貪り、日々のいらだちと疲れを麻痺させるのである。
 作られた美と、ありのままの猥雑。
 さて、どちらを選び、どう過ごすか?
レン・ランフォード
れん「バカンス…当然地k」
蓮:上です
いやなんでわざわざ不潔な所に休暇に行かなきゃならないんですか?
作りものとか本物とかじゃないんです
お休みに精神的負荷はいらないんですよ?
錬『…どちらにしろナンパ野郎はいそうだけどな。フランスだから(偏見)』

式鬼たちに周囲のガードや料理などお休みのサポートしてもらい
実現符で三人に分れてそれぞれ楽しみます
私と錬はパラソルの下で読書(小説・武器カタログ)
れんはビニールプールで…川で泳げないのが不満そうです

「浄化とかできなくて破壊と殺戮しかできない自分が憎い…」
やめてくださいそんな悲しい事言うの…お酒飲みます?
『黙れ酒乱』
「はー…|猟兵の暴走《面白いこと》まだー…?」



●それが流儀
「れん、バカンス行きたいな……」
「いいですね。行き先は『フランス』ですか?」
「うん……当然『地」
「そうですね、地上に行きましょう!」
 そういう流れが、レン・ランフォードの中であった。

 というわけで、サイバーザナドゥはパリの地上部。
 メガコーポの手で徹底的に環境改造された土地はUDCアースよりも遥かに映えるスポットだ。凱旋門はネオンライトで彩られ、エッフェル塔の周りにはメガコーポの様々なホロ広告が展開されている。
「いいですか? お休みに精神的負荷は要らないんです」
 下ろしたての水着を着用した蓮が言った。
「大体どうしてわざわざ不潔なところに休暇に行かなきゃならないんです」
「でも……こんなの、作り物だよ……?」
「|お前《"れん"》はただ単に俺らが辟易するところ見てェだけだろ」
 分身した錬は、連の隣でビーチチェアに横になり優雅に読書だ。
 なお、読んでいるのは武器カタログである。もちろん、メガコーポの売り出しカタログがそこら中にあるのだ。

 ちなみに、"れん"はビニールプールでちゃぷちゃぷと水遊びをしている。子供かな?
「せめて浄化ができれば……破壊と殺戮しか出来ない自分が憎い……」
「やめてくださいそんな悲しいこと言うの、お酒飲みます?」
「お前はお前でただの酒乱じゃねえか」
「もっとパーッと暴れたりする|猟兵《だれか》いないのかなぁ……」
「どうしてバカンスがめちゃくちゃになることばっかり考えるんですか??」
「サイバーザナドゥだしなぁ……」
 だいぶ偏見が過ぎる。

「オイオイ見ろよ! あそこに可愛い子たち三人もいるじゃん!」
「たまらねえ……一人ずつハンティングしてえよ!」
「とっかえひっかえしてえよ!」
 いかにも頭の悪そうなパリのナンパ野郎どもが目を光らせた!
「出たよナンパ野郎。どうすんだあれ」
「式鬼に任せます」
「「「アイエエエ!」」」
 ナンパ対策も完璧だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
ムルヘルベルさんも物好きな方ですね。
今ここにいる僕も人の事は言えませんが。
(2022水着コンの恰好で)

やはりというか想像以上というか、
実にこの世界らしい汚染のされ方ですね。
では、自信はありませんが川に【浄化】の力を込めて
【気功法】で高めた気を放ってみましょうか。

なんかむこうから巨大なクリーチャー的な生物が
凄い勢いで泳いでくるのですが……。
あ、僕これ知ってます。
『ザ・スペースアリゲーター』に登場したワニですよ。
さすがにリアルだと映画より迫力ありますね。
で、どうします? 捕獲しますか?
ムルヘルベルさん、食べます?
聞いた話ではサイバーヒロシマでは
郷土料理になっているとかいないとか。



●アンダー・パリにて
 地上部が楽園のごとき有り様であれば、地下は打って変わって地獄である。
 環境改造で生じるありとあらゆるリゾート的でないツケを全て地下に追いやった結果、ただでさえ劣悪な環境はさらに悪化。
 おまけにリゾート運営のための労働者もみんな地下に放り込まれているので、人口密度がUDCアースのパリを数十倍はぶっちぎっている。
「ムルヘルベルさんも物好きな方ですね」
「オヌシが言うなオヌシが。だがワクワクするであろうこういうの」
「フフ……分かりますよ。ただのバカンスでは物足りないんですよね」
 山吹・慧は黒いジャケットにショートパンツでの参戦だ。ちなみに、一応劣悪な地下ではあるが(地上部に行くほどの金がない層とか)リゾートとしての需要それ自体はあり、ある意味地下でないと味わえないアトモスフィアには満ちている。

 だが、肝心のセーヌ川の環境はものすごい。
「……ここってガンジスでしたか?」
「サイバーザナドゥのインドのヤバさをナメておるなオヌシ」
「なんでちょっとドヤ顔なんですか……」
 慧はぼやきつつ、触れるだけでもダメージがありそうなセーヌ川に気を放った。
 見かけ上は透き通った水……のように見えないこともないのだが、明らかにヤバげな環境汚染された水は、気がぽちゃりと落ちたところから円状に水質が改善されて光を放つ。油の浮いた水に洗剤を一滴落とした時のアレである。
「すげえ! なんかあそこ光輝いてねえ!?」
「地上から高級パーツでも落ちてきたのか!?」
「金目のものがあるんじゃねえの!?」
「反応も治安が悪いですね……」
 地下の人々は生きるために必死なのだ。

 するとそこへ、なにやら巨大なシルエットが。
「いかん! あれはサイバーアリゲーターである!」
 ムルヘルベルが叫んだ。なんか身体のあちこちがサイバーザナドゥで強化されたバカでけえワニだ!
「あ、僕これ知ってます。ザ・スペースアリゲーターで出てきた……」
「オヌシなんでそんな落ち着いてるのであるか!? いいから逃げるのである! 丸呑みにされ」
「セイッ!」
 ズム。懐に潜り込んで打撃一発。そして、気で地上に放り投げる。サイバーアリゲーターは泡を吹いてKOされた。
「ええ……」
「ムルヘルベルさん、食べます?」
「食べるか!?」
「サイバーヒロシマでは郷土料理だそうですよ」
「ワガハイよりオヌシのほうが偏見ひどくない!?」
 実際のところはヒロシマの人々のみぞ知る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギュスターヴ・ベルトラン
どんだけ終わっておるか見に行こう、とか新機軸な誘い文句だな?!
でもサイザナのパリか…フランス人としては一度見てみたいし、行くか地下のパリに!

で、|地下納骨堂《カタコンブ・ドゥ・パリ》よりやべえ情景が広がってるわけだが
すげえ…ネオンに照らされたセーヌ川…川?の黒い水に、ドラム缶が普通に流れて来たな…
店の壁に|Encore une fois《またしても》って落書きが…あ、この下に|Dieu est mort《神は死んだ》ってあるわ

フランス人としても信仰の徒としても、大いに嘆く場面なんだろうけどさ
こう、なんつーか…逆に燃えてきたな…!
色々やる前に腹ごしらえだな…店主!この蛍光ピンクの串焼き一つ!



●それってパリっぽいじゃん
「……これはひどい……」
 物見遊山のつもりでアンダー・パリへと足を運んだギュスターヴ・ベルトランは、想像以上に"終わってる"セーヌ川の有り様に言葉を失った。
 まさに地下納骨堂よりも劣悪。なのにどす黒い(※見かけ上は逆に環境破壊するタイプのあれこれで透明を保っているが明らかにヤバイ)セーヌ川は何故かネオンライトでギラギラと照らされ、そこら中にメガコーポのホロ広告が浮かびまくり、スパム除けのサングラス(観光者向けにぼったくっている)がないと歩くのも難儀するレベル。
 明らかにスリないし強盗と思しきジプシーめいた連中が物陰から獲物を探し、屋台はだいたいぼったくり。それがアンダー・パリである。

 でもって、地上からはセーヌ川に様々なものが流れてくる。
「ドラム缶が流れてきたぞ……」
 何に使われたのかわからないオブジェクトがどんぷらこと流れてくることもあれば、
「ウワーッ! サイバーシャチだー!」
「なんでパリにシャチが……しかもサイバーザナドゥで強化されてんのか……?」
 クリーチャーが流れ着いて現地住民が喰われたりしている。こんなんでもリゾート気分で(上に行くカネがないので)やってくる連中がおり、商売が成り立っているのだ。何処ででも人類は適応するのである。
「……よし! 燃えてきたぞ!」
 ギュスターヴも大概タフなフランス人だった。
「おい店主! この蛍光ピンクの串焼き一つ!」
「兄ちゃんわかってるね! おまけに一つつけといてやるよ!」
「どう見ても食うとヤバい色してるな……! あっ、なんか落書きそこら中にあるわ。ちょっとアーティスティックなやつもある」
 こういうところにもアートの卵は存在する。ギュスターヴは身体に悪そうな露店の品を食べながら、まずはそのへんから見ていくことにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葉隠・香
バトモン達と羽休めに来たよ。もちろん地上のセーヌ川、汚れなど全く存在しない方。ボクのバトモン達に汚い水辺で遊ばせる訳にはいかないしね。アスリートアース出身的に。

結構綺麗じゃない。ボクが過ごすには合格点だね。
早速イワマルが泳ぎ始めたのを横目に見ながら『キャンプセット』でテントを張って、ビーチパラソルとシートを用意してから寛ぐよ。まさに【どこでもキャンプ】。

お腹空いたしカレーを作ろう。食材はアスリートアースから持ってきたオーガニック、この世界では金持ちでも手に入れるのは大変なんだってね?
羨望の眼差しを存分にあびながらボクとバトモン達はカレーを食べ始めるよ。夏と言ったらカレーだねッ!


【アドリブ歓迎】



●バトモンたちとバカンス
「ふー……さすがにバトモンたちをわざわざ悪環境に連れて行くのはね」
 地上。太陽光すらも調整されたセーヌ川のほとりで伸びをする葉隠・香。
 周りにはパリパリと雷のような音を立てて、カミナリバチが飛び回る。
「さぞかし手を加えてるんだろうなあ。でもまあ綺麗ならそれでいっか」
 香は深く考えず、バトモンたちと遊びながらキャンプを設営した。

 ……しばらくして。
「イワマル、気持ちいいかい?」
 ザブザブ泳ぐイワマルが唸るような声で応えた。やや音階が高いのは機嫌がいい証拠だ。環境改造しすぎてバトモンは逆にダメージを食らう……みたいな罠はないらしい。
「お腹が空いてきたなあ」
 ビーチチェアに横たわって日光浴をしていた香は、サングラスを上げた。
「カレーでも作ろうか!」
 その言葉に、あちこちで思い思いに遊んでいたバトモンたちがわっと近づいてくる。
 なお、一応ここにも食材の類はあるが、なぜか地上で流通しているフードもだいたい蛍光色になっている。カレーも光るのだ。当然、|天然食材《オーガニック》などない。

 が、そこは猟兵である。別の世界から持ってくればいいだけだ。
「おい見ろよ」
「あれって……合成じゃない肉か!?」
 大きな鍋の前で調理を始めた香は、周りのカネモチ連中から羨望の眼差しを集めた。
「まさかアスリートアースから食材を持ってくるだけで、ここまで注目されるとは……」
 切り分けた食材を鍋の中に放り込み、おたまを手にする。
 バトモンたちが覗き込む中、火加減に注意し適切なスピードでくるくるとかき混ぜ……そして!
「まごころ! 投入だッ!」
 香はコンカフェのメイドのように両手でハートマークを作った。
 鍋の中から光の柱が天高く立ち上る! 大成功だ!
「夏といったら、やっぱりカレーだねッ!」
 バトモンたちと自分の分をお皿によそい、折り畳みテーブルに着く。
「いただきます!」
 味も大満足の一品となった。キャンプと言えば、カレーなのだ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

深山・鴇
【逢魔ヶ刻】
ええと、すまないね…?逢真君が絶対に行くって聞かなくてね(絶望顔をしているムル君にうっきうきのかみさまを止められなかったんだ、という顔で謝罪)
そうだねぇ、あんまり長居したくない場所ではあるね
ああ、助かるよ(これが空気清浄機の力とか思ってる節があります)
…逢真君はご機嫌だね、夏のビーチよりも肌に合う?
毒素に人々の負の感情が最高?
なんだか艶々しているように見えてきたね(逢真君をまじまじ見つめ)

こういうところでしか食べられない物もあるだろうからね、折角だからお言葉に甘えるとしようか
ほら、ムル君も(道連れという優しい瞳を向けた)
逢真君は何処がいいと思う?ムルくんも希望があれば言うんだよ


朱酉・逢真
【逢魔ヶ刻】
心情)やァ賢者殿。(眷属動物に捕まえさせる)まァた楽しそなイベントしてくれてありがとよォ。モチロン終わってる川行くよな? いやいやまさか泳げとまでは言わねえよ……俺も鬼じゃない。神だしな。いやァ毒の匂いがするねェ旦那。その昔、俺ァヒロアスの下水行ったコトあるが、匂いがそっくりだぜ。ヤ・慣れてねェおヒトにゃキッツイだろコレ。飯どころじゃねェって。俺ァ最高だけどなァ!(無駄神威放出)
行動)旦那と賢者殿に薄く結界を張ろう。結界が毒素を吸うから本人周りの空気が浄化される。俺ァさっきッから毒素食いまくってるケド。ホレ、パブや屋台行こうぜ。金は過去の依頼で稼いだのがあるからよ。俺金使わんし。



●|予定調和《い つ も の》
「やァ賢者殿(ガシッ)」
「はい来た、次はオヌシであるな鴇よ」
「えっ……ああ、うん、すまないね……?」
「うむ。こうでなくてはである」
 ムルヘルベルは脊椎動物にぶらーんと吊り上げられたまま満足そうに頷いた。

「って当然のように受け入れてたまるかァーッ!!」
 スパーン! ムルヘルベルは足元に魔導書を叩きつけた! トレードマークなのに!
「ダメだ、ムル君のテンションが既に壊れている……」
 深山・鴇は額に手を当て、天を仰いだ。

 あまりにも何度も出かけるたびに連れ去られたり飯を詰め込まれたり追いかけられたりエロ本を押し付けられたりして、ムルヘルベルの中でここまでの流れがテンプレ化してしまっているらしい。
 おかげで朱酉・逢真に連れ去られるなり拘束されないと、なんかソワソワして落ち着かないようだ。ストックホルム症候群ってこういうことを言うんでしょうか。
「賢者殿もよォ、分かってて組んだンだろ? このイベント」
「そうそうサイバーザナドゥなら陽の場が苦手な|逢真《オヌシ》でも気兼ねなく、むしろツヤツヤ色合いがよくなるから気軽に参加できるであろうというワガハイの心遣いなわけあるかァーッ!!(スパーン)」
「ムル君、|魔導書《これ》多分大事なものだろう? 投げちゃダメだよ投げちゃ」
「オヌシたまには|逢真《これ》を止めようと思わんのか?」
「止められると思うのかい?」
「まあそうであるな。このやりとりもだいたいいつもの感じである。さあ話を進めるのだ逢真よ」
「ムル君は俺らの来訪を喜んでるのか悲しんでるのかどっちなんだい???」
 テンションの乱高下が躁鬱並に激しいので、鴇は混乱した。

「というわけではるばる来たぜ、|地下のセーヌ《終わってる》川ァ!」
 デーン。人工太陽とネオンライトに照らされたサイバーザナドゥらしい光景!
「不如帰」「電話王子様」「アカチャン」などの猥雑なネオン看板が光り輝く!
「で、次はなんであるか? ワガハイにセーヌ川で泳げとかいうのであるか?」
「オイオイ、俺のことなんだと思ってンだい……鬼じゃないんだぜ、ひひ」
「そうであるなー、神であるなあ。|定命の者《ニンゲン》を弄ぶのが大好きなタイプのな!!」
「むしろ鬼であってくれたほうが悪意がある分マシではあるね」
 案の定ご機嫌な逢真に溜息をつく鴇。
「いやァ毒の匂いだぜ旦那。ヒーローズアースの下水みてェで俺ァ最高だァ!」
「あんまり長居したくない場所ではあるね。逢真君のおかげだ」
「オヌシ|逢真《こやつ》のこと空気清浄機かなんかだと思っておらぬ???」
 結界のおかげで快適に過ごせる。結界なんかがあるから誰も助けに来ない。二律背反である。

「で、俺ァ毒素食いまくってるからもう満足なとこあるけどよ、賢者殿らは飯喰わねェとだろ? 金ならあるぜ」
「せめて酒でも呑まんとやってられんのである」
「こんなところのアルコールは粗悪製造されている気がしないでもないけどなあ……」
「酔えればなんでもいいのである」
「飲み過ぎには注意だぜェ」
「オヌシが傍にいると無限に飲めそうであるな。ストレスで!!!」
「ムル君はもうお酒入れてるようなものな気がするね」
 そんなこんなで、ギトギトスイーツや蛍光色ギラギラカクテルなどの飲み歩きが始まったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『サイバー遊技場』

POW   :    とにかく全力で遊びまくる

SPD   :    自分の得意な分野で勝負する

WIZ   :    策を巡らせ、一瞬の勝負を狙う

イラスト:del

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 今、サイバーザナドゥのパリで人気沸騰中のゲーム、それは!

「に、人間狩りだーっ!!」
「「「ヒャッハー!」」」
 ネオン光線銃やネオン超振動ソードで武装したカネモチがパリ地下層に乗り込んだ!
 地下市民を好き放題ハントして遊ぶ……これこそがカチグミ・セレブの最新モードなのである!
 流石に見ていられないと妨害してもいいし、人間狩りならぬ人間狩り狩りとばかりにカネモチにわからせてもいい。
 放っておいてもグリモア猟兵が頑張ってなんとかするので(ヘトヘトにはなる)適当なゲーセンに入るなり水上スポーツを我関せずで楽しんでも何も問題はないのだ!
葉隠・香
うへぇ…地下層に来たけど想像以上にバッチィわね。てか本来なら人間狩りなんて悪趣味、ガン無視でグリモア猟兵に丸投げして地上の川で水上スキーにでも洒落込む予定だったんだけど…ハンティングモの狩人魂に火がついたみたいだから他のコ達にキャンプの留守番任せて仕方なく来ちゃったよ。

にしてもダメ、汚すぎ。うちのバトモンを遊ばせる場所としては失格も良い所。
ボク達が過ごすに相応しい避暑地に変えさせてもらうよ。【フィールドカード「迷宮の森‐バグフォレスト‐」】発動ッ!

人工じゃない本物の森、綺麗な小川、地下市民もカネモチも存分に堪能するといいよ。
…まあカネモチはボクのハンティングモの獲物なんだけど。


【アドリブ歓迎】



●急転直下
 なにやらカネモチのみなさんが地下に行くツアーがあるというので、葉隠・香は気分転換に乗ってみた。
 その結果が、これである。完全に治安が終わり、世紀末化していた。リゾートを見てると誤解しがちだが、サイバーザナドゥはそもそも終わりかけた世界である。アポカリプスヘルもかくや!
「うへぇ……地下は汚いし周りはモヒカンみたいなサイコパスだらけだし、最悪だよ……」
 最初はグリモア猟兵に全て丸投げするつもりだった香だが、こうしてついてきたからには(キャンプもモンスターたちが留守番中)少しは関わらないと……。
「ってちょっと、ハンティングモ!? めっちゃやる気になってない!?」
 バトモンの目が攻撃色になっていた。狩りと聞いては黙ってられないのだ!

「いやいや、ダメダメ。こんな汚いところで遊ぶのは禁止!」
 香はデッキからカードをドローした。
「ボクのターン! フィールドカード、「迷宮の森・バグフォレスト」発動ッ!」
 キンコーン! どこからともなく|決闘《デュエル》を告げる鐘が鳴り響き、カードが光り輝くと、香を中心に生命満ちた森が鬱蒼と広がったではないか。

「ヒャッハー!? なんだここ!」
「暗くて何も見えなウワーッ!」
「なんか物陰から虫が出てきウワーッ!」

 巻き込まれたカネモチたちの悲鳴が響く!
「さ、ここならどれだけ|遊んで《狩って》もいいからね」
 香が許可すると、ハンティングモは嬉しそうに身体を揺らし、糸を吐いて木々のあわいに消えた。
 本物の森、せせらぐ小川、そして森の暗がりからカネモチを襲う姿なき狩人……。

「これ映画であったやつじゃウギャー!」
「アイエエエ! 蜘蛛が! 蜘蛛が!」
「怖くねぇ! てめえなんか怖くねグワーッ!」 

「うーん、自然ってやっぱりいいなあ。なんかこう光合成とかそういうので少しぐらい環境改善するんじゃないかな?」
 ついでなので、香も森林浴を楽しんだ。木霊する悲鳴はスルーしている。コワイ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

レン・ランフォード
れん「きちゃった(はーと)」
二人に内緒でこっそり来ちゃったれんだよ
ふむ…人間狩りなんて酷い事を…許せないね…
忍者らしくこっそり狩るアサシネイトもいいけど…
こういうのは…弄ばれる恐怖を身をもって味わってこそ…
反省するものだよね…

キャバリア・大典太弐式に乗ってカネモチを追いまわすよ…
護衛は掴んでぽいして…弾幕ばらまいて追い立てよう…
大丈夫…弾は暴徒鎮圧用ゴム弾だから当たっても痛いだけ…
弾の大きさはキャバリアサイズだけど…
追いついちゃったらウレタン棒(巨大)で前に打ち飛ばすよ…
そら走れ走れー…

あっムルだ
こんな所で身なりがいいからカネモチかと思ったよ…さぁ肩にのって
おらおらムルさまの怒りをしれー



●忍者が地下にやってきた
 BLAMBLAMBLAM! 大典太弐式から発射される大口径ゴム弾!
「グワーッ!」
 キャバリアサイズの暴徒鎮圧弾を浴びたカネモチが下水めいた地下セーヌ川に放り込まれた。浮いてこないのである。コワイ!
「人間狩りなんて……酷いことをする奴らは、こうだよ……」
 レン・ランフォードもとい"れん"はウレタン棒を振り上げた。
「こう……!」
 スパーン! 勢いよく振りかぶると衝撃波が広がる!
「そして……さらに、こう……!」
 今度は横に振り回す。材質は非殺傷性だが、風切り音はドヒュッという感じであり、近くにあった「ときめきジュテーム」のネオン看板が真っ二つになってズルリと崩れ落ちた。

「「「殺される……!!」」」
 カネモチたちは本能的な危険を感じ、逃走再開!
「ほらほら……早く地上に戻らないと……こうだよ……!(ビュッ)」
「怖い怖い怖い! すごい勢いで追っかけてきてる!」
「弄ばれる恐怖を……身を以て味わって反省して……!(ブンッ)」
「ウギャー!!」
 その頃、蓮たちはというと(IN地上)。
「おや? "れん"は何処へ行ったんです?」
「あー? どっかでゲームでもしてんじゃねーの」
 まったく気にしていなかった。

 物理的恐怖に追いかけ回され、カネモチは蜘蛛の子を散らすように逃げ回る。
「そら、走れ走れー……」
「うおおおお!? なんであるかこれ!? ワガハイなんで追われてるの!?」
「性根を叩き直してあげるね……」
「おい待てそのキャバリア、レンであるな!? ワガハイ! ワガハイなんだけど!?」
「ほらほら……撃っちゃうよー……(ズダダダダ)」
「うおおおお本気で狙ってきておる!? 死ぬ死ぬ死グワーッ!」
 ムルヘルベルは暴徒鎮圧弾が直撃し、顔から地面に激突した。

「……あっ、ムルだ」
「(むくり)気付くのが遅いわばかもの!!!!」
 顔が焦げ焦げになったムルヘルベル、お怒りである。
「その怒りを……カネモチの奴らに味わわせてやろう……!」
「オヌシに怒ってるんであるが???」
 それはそれとして追いかけ回すのは楽しいので、肩に乗って一緒になって騒いだとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
なるほど、カチグミ・セレブのゲームときましたか。
この世界らしいというか全く酷いものですね……。
ですが、人生はどこに落とし穴があるかわかりません。
それを今からわからせてあげますよ、ムルヘルベルさんが。
もちろん、僕もお手伝いしますよ。
この世界の価値観に毒されたくはありませんから。

【功夫】と【グラップル】の技術でやっつけましょう。
しかし、数が多くて面倒ですね。
ムルヘルベルさん、さっきのサイバーアリゲーターに
いい感じにハッキングするとかして、
けしかけられないでしょうか?
大惨事になりそうだったら僕が抑えますから。
きっと撮れ高も凄いですよ。

これでこんなゲームの参加者も
減ってくれればよいのですが……。



●無茶振り
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

 山吹・慧のカンフー・カラテが無数に押し寄せる武装カチグミをちぎっては投げちぎっては投げ、汚染地下セーヌ川へ叩き落とす。ゴボゴボとあぶくが水面を揺らし、沈んだカネモチは浮かんでこない。だが生命活動に問題はないのでご安心ください。

「ふう……数が多くて面倒ですね。そんなに楽しいんでしょうか」
 そうは言いつつも慧は平然とした顔だ。
 あくまで手間とタスクの問題であり、疲労しているわけではない。
「うおっ!? 慧、オヌシも鎮圧に回っておったのか」
「おやムルヘルベルさん……なんで顔面が焦げ焦げなんです?」
「いやワガハイもカネモチと間違われて追いかけ回されてな……」
「貧民ではなくカネモチにですか……まあそれはいいとして」
「ワガハイはよくないのであるが???」

 慧はおもむろに、水揚げされたサイバーアリゲーターを指さした。
「え、なんであるか? あの化け物まだおったの??」
「ムルヘルベルさん、あれハッキングとかでなんかいい感じにけしかけられません?」
「ワガハイのことなんだと思っておるのだオヌシ!?」
「いやほら、ガジェッティアですし……呪詛とかそういうキャラじゃないですか」
「それにしたってもう少しこう具体性をだな……」
「大丈夫です。大惨事になりそうだったら僕が抑えますし撮れ高も凄いですよ」
「ワガハイのこと迷惑系の配信者かなんかだと思っておる??」
 ムルヘルベルはぶつくさ言いつつ魔導書を開きムニャムニャと呪文を唱えた。

 すると巨大アリゲーターはギュンッと起き上がり、カネモチを次々に丸呑みに!
「「「ウギャーッ!」」」
「これワガハイも悪事に加担しておる気がするなあ……」
「いいじゃないですか。安全面は考慮していますよ、多分」
「オヌシほんとに大惨事になった時止めるつもりある???」
 とりあえず、カネモチはだいぶ蹴散らされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
【逢魔ヶ刻】
心情)(遊んでいい相手が来てくれてとても楽しそうな笑顔)(当然のように深山の旦那と賢者先生も巻き込む構え)(殺さなきゃいいよなと言いたげな笑顔)
行動)まず結界を張る。旦那と賢者先生とだいたいの遊び場を覆うように。漏らすと悪いからサ。で、喚ぼう。おォい、リトル坊や。"舞台と役者"の用意が出来た、一声かけて眺めようぜ! ひ、ひ、不定の狂気ってご存知ィ? 選ぶのは多弁性と感情の噴出。組み合わせればどうなるか――そう。カネモチ総員オタク化だ。オー、賢者先生が早口オタクに囲まれてら。ほら旦那、今のうちに首トンしちまっとくれよ。あの辺り雰囲気違うな。素人質問ですが、はオタクとは違くねェか。


深山・鴇
【逢魔ヶ刻】
わぁ…(新しい玩具がきちゃったなって顔)
悪いことは言わないから早く帰りな
ああ、言わんこっちゃない(楽しそうな逢真君の笑顔を見て今日何度目かの諦め)

うん、別にね、この程度の数なら気絶させるくらいは簡単だけどね?
(一服しつつ)
早口オタクにする必要あったかい??(新しい地獄みたいな光景に顔を覆い)
あ、でもムル君は意外といけるのかもしれないね、何せ賢者殿と呼ばれるくらい知識の宝庫だろう、彼
素人質問が素人質問だった試しなんかないんだよなぁ
(首筋トントンをあちこちでキメつつムル君を助け出し)
大丈夫かい?酷い目にあったね
うん、まぁ酷い目に合わせたのはうちのかみさまなんだが



●大惨事
「ヒャッハー! 見ろ、あそこに陰気な顔色の悪い奴がいるぞ!」
 バズーカを担いだカネモチが目をつけたのは――そう、朱酉・逢真である。
 見た目は(実際のフィジカルは弱いのだが)日光にほとんど当たったことがない地下生まれ地下育ち……に、見えなくもない。ほら、肌色悪いし。メラニン的な意味で。
「おやァ、俺みてェなクソ雑魚じゃ囲んで棒で叩かれたら形無しだよなァ」
「……あーあ」
 深山・鴇は頭を振った。逢真の満面の笑顔から、カネモチをオモチャ代わりに遊ぶつもりだということを悟ったのである。
「なにせフィジカルよわよわだからよゥ、抵抗しても問題ねえよなァ?」
「俺から言質引き出そうとしないでくれるかい、逢真君」
「まああやつらもウカツであるな」
 ムルヘルベルはとりあえず安堵した。矛先が一時的に自分以外に向かうので。

「あー、君たち」
 鴇は一応礼儀として、カネモチたちに声をかけた。
「あぁん? なんだ? 貧乏人が声をかけるな!」
「悪いことは言わない、早く帰ったほうがいい。さもないと」
「うるせー!! 資産が億越えてから口を開け! ペッ!」
「うーん、品性は金で買えないってこういうことを言うんだなあ」
 だが、これで最低限の警告はした。言うことを聞かないなら自業自得である。
「鴇、鴇よ。今のうちにワガハイらは平和に遊ぼうではないか」
「いや、俺が思うにこの流れは……」
 鴇が言いかけた、その時。

「おォい、リトル坊や。おいで」
 ズゴゴゴゴ……地下のさらに底、星そのものの核から響くような地鳴り。
 やがてこの世ならざる角度を持つ冒涜的神殿が地下セーヌ川からざぶりと浮かび上がり、あなぐらのような戸口からタコめいた頭部の巨大な名状しがたい生命体が出現!
「アイエエエ!? クトゥルフ!? クトゥルフナンデ!?」
 ムルヘルベルは予想外のガチ神格の出現に失禁……じゃなくてSAN値欠乏!
「「「アババババーッ!?」」」
 凶神を直視しさらに呼び声を聞いたカネモチの皆さんは即座に不定の狂気に入った! 1D100も減れば当然である!

 そしておぞましいイアイアな儀式が始まる……かと、思われたのだが。
「すみませんちょっといいですか実は俺NTRが性癖なんですよ脳を破壊されるっていうじゃないですか実際本当に頭にこうクるんですよね不意打ちが一番グッとくるんですけど事前情報で把握してたらふいうちにならないし最近はそういう本も少なくて」
「えっ何!? なんでワガハイ囲まれておるの!?」
「アイドルって興味あります? 実は推しの地下アイドルがいるんですよほら見てこれ本人と撮影したチェキなんですけど可愛いでしょこないだもファンサたくさんくれたんですよねまあなんていうか俺が育てた? みたいな? 他のファンとはちょっと"次元"が違うんですよね」
「だから! だからなんでワガハイが囲まれておるの!?」
 突然早口オタク化したカネモチに取り囲まれ、情報の濁流の攻撃を食らうムルヘルベル!
「ひ、ひ……これもまた狂気の一側面ってなァ。あ、片付けは旦那が頼むぜィ」
「ムル君にけしかける必要あったかい???」
 鴇が首トンして鎮圧する頃には、ムルヘルベルは大量のどうでもいい自分語りを流し込まれてぐったり死にそうな顔になっていたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ギュスターヴ・ベルトラン
このヤバい川で命かけて遊ぶのも悪くねえが、せめて自分の遊び場くらいは【浄化】しとくか
…浄化すること自体は、主の意思に反してないから大丈夫だろ

【祈り】を捧げてからUC発動
短時間で浄化が消えるのも困るし、長持ち目的で【祝福】も混ぜとくか
よっしゃ、空気も水も良くなったしまずは今年作った水着でぷかぷか浮かんで遊ぶか!
今は中学生になってるんで酒は無理…しゃあねえな、ネオンパープルのドリンクで我慢する

…で、さっきから目の前をちょろつくカネモチ、邪魔だな
オラッ!【浄化射撃】(水鉄砲)くらえ!
あー…『主の御心を為す存在として、浄化を齎す』って誓いのせいで【断罪】と【神罰】まで発動してら

…ヨシ!悔い改めとけよ!



●浄化(物理)
「御心が天で行われるように、地でも行われますように――」
 ギュスターヴ・ベルトランはその場に跪き、祈りの聖句を唱えた。
 光が輪郭をなぞるように照らし、放射された聖なるオーラが淀んだ空気を払う。
 それだけではない……浄化の輝きは地上の汚れを一身に受け止める地下セーヌ川にも作用し、その汚穢を濯いでいくのだ。
 仮初の清らかさが真の意味で健やかな色を取り戻し、逆向きのオーロラのような温かい光が水面から瞬いた。

「……よっしゃ!」
 ギュスターヴはエクソシストモードから勢いよく立ち上がり、やおら水着姿へ。
 別に浄化していたのは心が痛んだからとかではなく、こんなとこで命がけのバカンスをしたくなかったからである。せめて自分の遊び場ぐらいは(セルフで)浄化しておこうという見上げた精神だった。でも即物的!
「ひゃっほーう!」
 浮き輪を片手に川にどぶん。祝福も織り込んでおいたおかげでいい具合だ。こうしてぷかぷか浮かんで流されると、なんだかナイトプールというか流れるプールというか、とにかく刺激的な光景も乙なものである。
「さすがに酒はまずいな」
 中学生ボディに配慮して、何故かネオンパープルに輝く謎のドリンク(こんな色なのにぶどう味ではない)を飲みながらのんびり時間を楽しむ。

 ……つもりではあるのだが、そこへドヤドヤと地上からなだれ込んでくるカネモチの群れ!
「なんだよもう、人がせっかくバカンスしようとしてんのによぉ……オラッ目潰し喰らえ!」
 ぴゅー。持参した水鉄砲でセーヌ川の水を汲んで打ち出した。
「グワーッ!?」
 目に水が入ると当然痛い。が、カネモチの苦しみようは尋常ではなかった。
「ア、アババババーッ!? なんだこの水は、頭が痛……アババババーッ!」
 ジタバタと藻掻く身体から、フワーと様々な汚れが浮かび上がり消えていく。そう、サイバーザナドゥから骸の海を取り込んでエネルギー源にしていたのだ。
 言うなれば半オブリビオンみたいなものであり、がっつりと浄化&断罪パワーが効いていた。なんか汚れの中にうっすらと魂が立ち上るところが見えたような見えてないような……。
「…………ヨシ! 悔い改めとけよ!」
 だいたいカネモチの自業自得である。ギュスターヴは気にせずアイスも食べた。この世界ではアバウトな心持ちが肝心だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

森宮・陽太
他者絡みアドリブ大歓迎
カオス大惨事も問題なーし!!

ちぃと出遅れたが、遊びに来た
…ってカネモチの道楽ってのはどの世界でも碌なもんじゃねぇなオイ
サイバーザナドゥっつーても、これは流石に倫理観的には終わり過ぎだろ
当然見てらんねぇから、地下市民を助けるぜ

カネをしっかり握らせてカネモチの集団に紛れつつ
ネオン光線銃携えてカネモチの最後尾を歩くぜ

で、人間狩りを始めようとしたところで、指定UC発動
カネモチ連中全員、翠の雷で絡め取って拘束して
速攻下水道に放り込んでやらあ
反撃してくるようなら遠慮なくネオン光線銃でブチ抜くぜ

どうだ? 下水道の水をたっぷり全身で味わった気分は
じゃ、後は自力で頑張って上がってこいや



●終わってる世界の終わってる遊び
「……いや、いくら|この世界《サイバーザナドゥ》ったって、これは流石に終わりすぎだろ」
 森宮・陽太はカネモチ行列の最後尾に身を隠しながら密かに呟いた。
 だが認識が甘いと言わざるを得ない。そもそもこのアンダー・パリは、|地上《アッパー》の観光客が「楽しむ」ために築かれたのだから。
 つまりメガコーポにとっては、地下空間そのものが顧客を満足させるテーマパークのようなものなのだ。
 アッパー・パリの開発と土地整備に労働者を酷使し、役目が終わったら地下に封じ込めてマンハント用の標的にする。余分なく人的リソースを活用する、経済持続性の高い"エコロジー"な施策である。倫理観というのは金のある・見込みのある顧客に提供されるサービスの一つに過ぎず、どちらもない貧民はただ使い捨てる資源に過ぎない。サイバーザナドゥとはそういうものだ。

 とはいえ、だからといって見過ごせるほど陽太は「甘すぎ」はしない。
「アイエエエ! お母さん、怖いよ!」
「お願いします、どうかこの子は!」
「見ろ、薄汚い親子だぞ! ポイント倍点!」
 怯える親子に照準が定められた、その時!
「あー、そこまでだ。これ以上は見過ごせねえ」
 ガイドに袖の下を握らせていた陽太が正体を表し、翠の雷でカネモチを絡め取った。
「グワーッ!? 貴様、何をする! 私は金を払っているんだぞ! 横取りはやめろ!」
「要らねえよ――てめぇ自体もな!」
 そして下水道へ|投擲《シューッ》!

 ぼちゃん! 汚れた水柱が派手に上がった。
「グワーッ! 臭い! ヌルヌルする! あとなんか肌がビリビリする!」
「おーおー、いい気味だな。たっぷり海水浴を楽しめよ、死なない程度にな」
「ま、待て! 脚が攣ってゴボボボボ」
 カネモチは油で光る水面に沈んでいった。陽太は肩を竦め、次の"標的"を探しにその場を離れていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『二次会パーリナイ!』

POW   :    思いっきり夜更かししてあれこれ楽しむ

SPD   :    面白そうな店やイベントに顔を出してみる

WIZ   :    飲み物と会話を楽しみながらのんびり過ごす

イラスト:del

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ワガハイはつかれた」
 ムルヘルベルは遊びに来たはずなのに何故かへとへとになっていた。
「もうカネモチどももオヌシらに返り討ちにされて|地上《アッパー》もスカスカになったようである。
 地下の奴らが雪崩込むであろうから、そこに乗じてちょっとぐらい夏っぽいことしたいのである……」
 ムルヘルベルはふらふらと地上へ向かった。

 そして地上のパリでは!
 ズンズンポポーウ! ズンズズンポポーウ!
「「「イェー!」」」
 自由を得た下層民たちがパリ市街を滅茶苦茶なネオンとグラフィティアートで猥雑に染め上げ、好き放題に騒いでいた。サイバーザナドゥでは邪悪が去ると別の野蛮が訪れるのである。救いがない。
 今や上品なセーヌ川はギラギラのネオンに輝くナイトプールと化し、モヒカンや肌をしどけなく晒したパンクス・ガールが危険なアルコール・ドリンク片手に騒いでいる。
 結局サイバーザナドゥはこういう騒ぎ方になるようだ。まあ地下に比べれば地上は空気も美味しいし、骸の海で汚染されちゃう前に一緒にやりらふぃーな感じで騒いでおこう!
深山・鴇
【逢魔ヶ刻】
あ、逢真君が萎びて…ないね、何か良くないことを思いついた顔をしている、付き合いが長い俺にはわかる
うん、まぁ分かるからといって止められるわけではないんだけどね
ムル君がモテモテになる分には問題ないしな…ないよな?

視線を向ければ、モヒカンのヤバげな男達に運ばれるムル君の姿が…!
あー、うん、そうだね、モテモテだねムル君、頑張ってほしい
案外悪くないって顔だし
助けてほしい?いや、それなんだけどね
こういう時、絶対逢真君はもっといらんことをしに行くんだよ!
ヤン坊!一瞬でいいから足止めしてくれるかい!
こらっ!どこに行こうとしてるんだい君
地下?大人しくうちに帰るんだよ
君、うっかり宗教興しちゃうだろ!


朱酉・逢真
【逢魔ヶ刻】
心情)陽キャ とても つらい。クソォ、どうしてこんなことに……ケドあれだな。いつも賢者先生にゃお世話ンなってッからな。いい目を見てもらおうじゃねェか。ヒ、ヒ、ヒ……!
行動)眷属どもよ、獣らよ。瞳に罪を宿せ。虹の一色、橙の魅了。どうなるかって? 陽キャたちを片っ端から魅了して、モテモテになンのさ! 賢者先生がな! 全陽キャを賢者先生の虜にしてやろ。美女にたかられ美男に胴上げ、その他全員に御神輿だ。っし、深山の旦那もソッチに気を引かれてンな。いまのうちに誰もいなくなった地下に行ってトンチキな悪戯でも……ヤン坊だとォ!? チッ、邪魔しろ眷属ども! 俺ァ地下をダークナイトしに行くンだよ!



●いい目(諸説あり)
「……あ゛ー、つッれェ」
 朱酉・逢真はぐったりしていた。
 陽の気。それは逢真にとって猛毒に等しく、地上を席巻する下層民の浮かれポンチな大騒ぎはいまさらなスリップダメージを与え続けている。
「……と言っている割に、なんだかよくない顔をしていないかい?」
 だが、深山・鴇は騙されなかった。
 逢真の口元に浮かぶ笑み……アルカイックないつものアレのようでちょっと違う、なんかラー油みたいにぴりりとした味わいの笑み(?)である。

「おいおい旦那ァ、人聞きの悪いことを言わないでくれよゥ」
 逢真はこれみよがしに嘯いた。
「俺ァただよォ、賢者先生に引き続きイイ目を見てほしくてだなァ……」
「いい目、ね」
 鴇は醒めた目でムルヘルベルの方を見た。

「「「ムッシュ!」」」
「「「ムラムラ!」」」
「アイエエエ! アイエーエエエエ!」
 ムルヘルベルは、持ち上げられていた。
 何故かテカテカ黒いビキニブーメランパンツで快適ビーチを楽しんでいたガチムチモヒカンの群れに胴上げされていたのである。
 美男である。筋肉のキレは凄まじいし地下生活で鍛え上げたタフネスは間違いなく勇者のそれだ。といってもこう、彫りが深くてアーノルドがシュワシュワしてる感じの意味での美男っていうか|代理戦士《チャンピオン》って感じだけど。
「ウーイェー……カモーン」
「オーウ……ユーアーソークレイジー」
 でもって、周りに侍る美女たちもやっぱり彫りが深く、頬骨が目立っていて、ついでに鼻筋がすんごく目立ち厚化粧だった。あとブロンド。
 50年代のハリウッド映画から飛び出してきたのかな? ってぐらいの、パリってなんだよってぐらいの濃ゆい人たちだった。でもほら美しいから(現代の価値観基準に即しているかは考えないものとする)

「……あれがいい目、なのかい?」
 鴇は問いかけた。
「誰がどう見たって酒池肉林、美男美女に囲まれてモテモテだろうがよゥ」
「うん、うん……まあ、平安時代の美女とか今見ると単なる能面みたいになるだろうしね……」
「アイエエエ! 鴇、助けてくれ! ワガハイこのままだと絵柄が変わる!!」
「絵柄ってなんだいムル君、嫌よ嫌よもなんとやらってやつじゃないかい?」
「ヤダー! ワガハイこんな左から右に読み進めるタイプの絵柄になるのやだー!!」
「だから絵柄ってなんだいムル君……まあ仕方ないな」
 鴇は嘆息しつつ歩き出した。

 そして、それこそが逢真の狙いだった!
「しめたぜ、今なら地下はがら空きだ。ヒ、ヒ……いたずらし放題ってわけだァ!」
 姑息! 神にあるまじき姑息!
 お目付け役の注意が引けたのをいいことに、逢真は従者の背に乗ったままカサカサと地下に戻ろうとする!

「ほらみたことか! ヤン坊、足止めだ!」
「なッ!?」
 そこに八俣の大蛇が立ちはだかった。ああ英雄を妨げる障害は蛇であるわけで、そういう……?
「こらっ! どこに行こうとしてるんだい君、また悪さするつもりだろう!」
「鴇ー!! ワガハイも助けてー!!」
「ほら賢者先生が呼ンでるぜ旦那ァ! 俺のことはほっといてくれよォ!」
「ダメだろう! 君が下手なことしたらうっかり宗教が興ってもおかしくないんだぞ!」
「鴇ー!! ワガハイは!? ねえワガハイウワアアアーッ!!」
 ムルヘルベルの悲鳴は筋肉の圧に埋もれて消えた。結局こうなるんですよね!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レン・ランフォード
・蓮
なんだか急に客層が変わりましたね…
私達の周辺は式鬼に護ってもらってますから変わりませんが
何体カラフルになってしまって…可愛いですね
おや?あれは…大典太!?れん!!

・錬
つっ込んできてるなぁ…荷物とBBQに結界はってガードしとこ
ん?大典太の手になにか…あー…酒と肉串追加で用意しとくか

・れん
帰還!客層変わったから川遊びしていいよね…!
行くよムル!(大典太でつまみあげ)
大典太ダッシュ…ジャンプ…ダイブ…!
操縦席おーぷん…れんもじゃんぷだーいぶ!
上の川は綺麗で気持ちいいねぇ…おや蓮が怒ってわっぷ(蓮怒りの水かけ)
やったなー…反撃の水かけだーははは

猟兵パワーによる水かけあいはお腹がすくまで続きました



●帰還
「アイエエエ! アイエーエエエエ! 肉が! 男の筋肉が! ビキニパンツが!!」
「何やってるのムル……行くよ……!」
 モヒカン筋肉神輿(詳細はこの一つ前のリプレイを読んでください)からムルヘルベルをつまみあげた"れん"は、レン・ランフォードらが待つビーチへ加速した。
「おお、"れん"よ礼を言うのである。今回はオヌシに助けられ」
「今度こそ……地上で川遊び、だよ……!」
「いやちょっと待て気が逸るのは分かるがスピード早すぎウゴゴゴゴゴ!!」
 大典太、加速! "れん"は早く遊びたいので! 加速しまくる!
 ついでにジャンプ! アクロバティック動作で跳ねまくる!

 一方その頃、地上のビーチ。
「なんだか急に客層が変わってませんか?」
「アー? 気のせいだろ」
「いえ、明らかに地下に押し込められてそうなモヒカンの方々が……」
「気のせい気のせい」
「式鬼も何体かカラフルになってるんですか?」
「もともとそうだろ、1/128の確率で金の式鬼も出たりしてたじゃん」
「錬、あなた面倒が嫌で雑になってません??」

 その時だ。猛スピードで接近する大典太のシルエットが二人にも見えた。
「あれは……れん!! いつの間に抜け出して!?」
「おい、なんか指先でつまみ上げられてるちっこいのなんだ? 新手のUMA?」
「ち、違います! あれはムルヘルベルさんですよ!?」
「それにしちゃ顔面がUMAみたいに変形してるじゃねえか」
「あれは多分……大典太のスピードで風圧が、こう」
 ドダダダダダ……ズダンッ!!
「行くよ、ムル!」
「ワガハイいますぐかえりたい」
「じゃーんぷ! だいぶっ!!」
「ワガハイもう海水浴なんてうんざアイエエエ!?」
 ざっぷーん! 華麗なジャンプかられん、大典太と一緒に頭から着水!

「こらっ、れん! 何してるんですか!」
「荷物とバーベキュー台防御しといて正解だったなこりゃ」
 上がる水飛沫が結界によって散っていく。
「ふー、上の川は綺麗で気持ちいいねぇ……」
「こらー! 話を聞きなさーい!」
「わぷっ」
 ぱしゃり、と蓮が水を振りかける。
「やったなー……反撃だーははは」
「この、だから話を……!」
「よし、酒と肉串追加してくっかァ」
「ぶくぶくぶくぶくぶく」
 ムルヘルベルは浮かんでこなかった。気付かれたのは数分後のことであったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
ムルヘルベルさん、お疲れ様でした。
落ちついた店でご飯にしましょう。
僕に御馳走させて下さい。
…今回は大丈夫ですから。

その節(ウォークアラウンド・サイバーザナドゥ)は
報告書の件で一緒に謝ってもらって本当に助かりました。
遅くなりましたが、これはお礼のしるしです。
(ザ・スペースアリゲーターの映像ソフトを差し出す)
ご存知でした? この映画は本当に酷…凄くて
騎士団でも、その筋のファンの間で評判なんですよ。

それでこの作品はなんとシリーズ化されていて、
あるんですよ、全部。(ドンと差し出す)
是非、ムルヘルベルさんにも視聴後の怒り…ではなく
ふつふつと湧き上がる感情を味わって頂きたいんです。
どうぞ、お納めください。



●責め苦
「ぴゅー」
「ムルヘルベルさん、しっかりしてください。まだこれからですよ」
「ぴゅー」
 山吹・慧が心臓マッサージのように膨らんだお腹を押すと、ムルヘルベルは冗談みたいな勢いで水を噴き出して返事する。
 なぜこんなことになっているのかは一つ前のリプレイを読んでいただければわかるとして、慧の懸命な救出作業は続いた。
「ムルヘルベルさん、僕はあなたにご馳走したいものがあるんです。バカンスで死なないで」
「ぴゅー」
「これどれだけ水飲んだんですか?」
「ぴゅー」
 懸命な救出作業は続いた。

 数十分後。
「ねえワガハイもう帰ったらダメであるか?」
「今回は大丈夫なんです!」
「何が大丈夫なの?? っていうか、そんな前置きが必要な時点で何かおかしいと思わぬか???」
 などとぼやきつつ、レストランへ連れてこられたムルヘルベル(水に濡れてしんなりしたすがた)。
「あなたには報告書の件で一緒に謝ってもらったお礼をしていませんので……」
「ああ、そんなこともあったのであるな。別に構わんのだが……」
「そこで今回はフルコースをご馳走しつつ、こちらのお礼のしるしを」
「ん?」
 どすん。テーブルの上に、タワーが出現した。

 それは、あの「ザ・スペースアリゲーター」の……シリーズ作全部だった!!
「ご存知でした? この映画は本当に酷……凄いんですよ」
「今酷いって言いかけたであるよな??」
「騎士団の中でも物好……その筋のファンの間で評判なんです」
「オヌシさっき大丈夫とかなんとか申しておらんかったか??」
「ムルヘルベルさん、腹ごしらえをしたらぜひ視聴会をしましょう!」
「ワガハイなんか悪いことした???」
「ムルヘルベルさんにも視聴後の怒……ふつふつと湧き上がる感情を味わっていただきたいんです!」
「やだー!! ワガハイおうちかえるー!! もう外出ないでクーラーガンガン効かせてゲームとかやるー!!」
「ムルヘルベルさん! 大事な体験なんです!! さあ!!」
「やだーーーーーー!!」
 このあと、ムルヘルベルは五重ぐらいの意味でバチクソにキレながら長文感想を叩きつけ、その姿を見ながら慧は満足そうに頷いていたという。地獄の獄卒かなんか?

大成功 🔵​🔵​🔵​

葉隠・香
(夜のセーヌ川、バカ騒ぎから遠い外れの方で静かにバトモン達と焚き火を囲む香。)

焚き火もキャンプの醍醐味だね。
あれ?そこにいるのはグリモア猟兵さん?どったの?椅子も余ってるし焚き火あたってく?
お酒はないけどクーラーボックスに入ってるジュースや炭酸は好きに飲んでいいよ。串に刺して炙ってるマシュマロやソーセージも適当に摘んでいいよ。ヘトヘトな体には焚き火を囲んだ静かな時間さ。

向こうと違いここは静かだって?そりゃ、周辺を召喚した複数体の「インセクトマン」に護衛させてるから。
あーゆう絡もうと近付いてくる下層民は捕まえて拘束、「カタパルトビートル」で川に射出のコンボでお帰り願ってるからね。


【アドリブ歓迎】



●穏やかなバカンス(希少)
 ぱちぱちと燃える炭の爆ぜる音が、夜の静かなセーヌ川に響き渡る。
 モヒカンどもがウェイウェイしている本流から大きく外れた人工森林の一角、焚火をバトモンたちと囲む葉隠・香の姿。
「やっぱりキャンプといえば焚火だよね。夏って感じがするなあ」
 このアッパー・パリはカネモチの都合のいいように作られている。
 喧騒から離れたい層のため、この周辺にはノイズキャンセラーのような音波相殺装置がそこら中に仕込まれており、これによって蔓延するマッポーの騒ぎからは隔絶されていた。
 バトモンたちも揺らめく炎に、あるいは澄み渡った夜空にうっとりとしている。

 ……そこへ、げっそりした顔のムルヘルベルがよろよろとやってきた。
「み、水……」
「世紀末の暗殺拳の伝承者……じゃないね、グリモア猟兵さんだ」
「ワガハイ、ワガハイにうるおいをくれぬか……もうクソ映画は嫌なのだ……」
「一体どんな責め苦を味わってたの??? いや気になるけど深く知ると巻き込まれそうだからやっぱり話さないでいいかな……」
 香はよろよろと彷徨うムルヘルベルに空いた椅子を用意してやった。
「はい、ジュース。お酒はないけど炭酸ならあるよ。
 あと、炙ってるマシュマロとかソーセージは自由に食べていいから」
「ううっ、ふぐうう……!!」
「が、ガチ泣きしてる……大変だったんだね」
「ワガハイもうボロボロである……ここはまるで楽園であるなあ」
 ムルヘルベルはしみじみと遠くを眺めた。

「ウェーイ なんか焚火やってウェーイ!?」
「あ、下層民はインセクトマンが拘束してくれるから安心してね」
「オヌシもやっぱりこわい!!!」
 ムルヘルベルに、安息の地はなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギュスターヴ・ベルトラン
少しはアルコール入れたいし、こっち(2024年の水着)にしとくか
信仰上の理由で大量に飲むのは憚られるから、このすごいグリーンのやつを一杯だけな!

うーん…シャンソンじゃなくてEDMだのヒップホップだのが流れてる
それにこんなネオン煌めく不夜城なセーヌ川とか初めて見た
あのミラーボールなんてどっから出て来たんだ…
こんな、パリなんて…パリなんて…クッソ面白れぇ!

香港とかラスベガスみたいなパリなんて見られるとは思ってなかったわ
世界が変われば芸術の熱も方向性変わるんだな
…見てたらオレも当てられてきたな
よっしゃ、今夜は歌うか…マイクないし拡声器使うか

(日仏英の発音がごちゃまぜで更に音が外れた歌が響いている)



●夜が来て、時の鐘鳴り響き
 ブンズーブンズーブンズーブンズー!
 全身を震わせる重低音EDMがガンガンに鳴らされ、凱旋門が、エッフェル塔が、パリの名物が町並みがネオンで灯されていく。
「翼よ、あれがパリのネオンだ……なんてな」
 大人姿になったギュスターヴ・ベルトランは、グリーンに発光する得体の知れないアルコールを口に運んだ。
 シャンソンなんて何処からも聞こえない。芸術の都は今、不夜城となったのである。
 流石にギュスターヴにも思うところが……。

「クッソ|面白《おもしれ》ぇ!!」

 ノリノリだった。
 確かにこんなギラギラしたパリなんて、他の世界では見られないだろう。
 世界そのものが世紀末で終わっているサイバーザナドゥならではの光景だ。
「世界が変われば芸術の熱も方向性が変わる。うんうん、これはこれでいいじゃん」
 芸術というほど高尚なものでもないような気がしないでもないが、ストリートアートなどの新たな表現は俗悪な文化から生まれるものだ。
 どこかの巨匠も破壊なくして創造なし的なことを言っていたし、これもこれで新たなパリの価値観を生み出す土壌になる……のだろうか? ほんとに?

「よし」
 ぐっとアルコールを飲み干すと、紙コップをきちんと捨てて意気込む。
「オレもやるぞ! EDMなんてくだらねぇ! オレの歌を聞けェー!!」
 完全に酔っ払っていた。アルコールだけでなく、場の熱に。
 そしておもむろに誰かから拡声器をひったくったギュスターヴは、感情の赴くままに衝動的な歌を即興で歌い上げる。
 フリッカーダイヤゆえの熱情的な歌声……なのはいいが、アルコールが入っているせいで3ヶ国語が入り混じっているし音程はめちゃくちゃだ。

 ……だが。
「「「ウィーピピー!」」」
 周りの聴衆もヤクか酒が入っており大して問題がない!
「ウオー! まだまだ行くぜ! 次のナンバーだ!!」
 夜が明けるまで、止めるもののいない乱痴気騒ぎは、とりあえず楽しそうに続いたという……。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年08月19日


挿絵イラスト