「うわぁ……」
辺り一面に広がる星々に、テレビウムのソリは思わず声を零していた。
満天の星空、とも違う。何しろ星が瞬いているのは空だけでなく、右も左も前も後ろも足の下にまで及んでいたから。星空の中に浮かんでいる状態。
「きれいだねー」
「うむ。美しいな」
「きらきらっしょ! いっぱいっしょ!」
一緒に来た友人達も、思い思いの方向を見ながらはしゃいでいた。
「バーチャルって面白いねー」
早速、星の間を歩き始めたのは、ふわふわ銀髪のネコキマイラな少女。地面なんて見えないけど、なんか足を踏み出したらそこに見えない足場があった。それが続いてるから歩いてみた。そんな分からない感覚。でも楽しいから、いっか。
「うむ。不思議であるな」
腕組みをしたホワイトライオンのキマイラは、逆に足場なくふよふよ漂っている。だんだん身体が傾いて、ゆっくりゆっくり回転しているよう。どうやったら止まれるのかも分からないけれど、とりあえず楽しいから、深く考えずに漂う。
「星取れたっしょ」
ジャングルの奥地こそがふさわしい仮面をつけた少女は、おもむろに手を伸ばして、光の星を掴み取っていた。ソフトボールくらいの大きさの星は、熱くも冷たくもないければ固くも柔らかくもない。光を掴めたらこんな感じだろうか。
「投げてみるっしょ」
ふと思いついて投げてみたら、流れ星になって飛んで行った。
星とぶつかったらビリヤードみたいになるのかな、と思っていたら、本当にぶつかって弾き飛ばしながら飛び行く向きが変わった。よくわからないけど、楽しいからよし。
そんな不思議な星空を、ソリも恐る恐る歩いてみると。
「あ、ソリ。はいこれ」
「……紙?」
ネコキマイラの少女が差し出したのは、1枚の紙。縦長に切られていて、上に紐でも通しそうな小さな穴が開いている。
「タンザクって言う、願いを書くと叶う紙だってー」
「願い……」
説明する少女の手にも同じ紙。
ソリがどうしようと迷っていると、少女はさらさらと紙に何やら書き込んで。
「書いたら、こうして……」
右手を高く上げて掲げた紙を、びゅんっと飛んできた白と黒のツートンカラーな大きな鳥が、ばくんっと食べて去っていった。
「これで願いが叶うよー」
「えっと……」
飛び去る大きな鳥を思わず目で追って、画面を瞬かせるソリ。
「うむ。カササギであるな」
「知ってるっしょ。伝説の鳥っしょ」
当然のように頷くホワイトライオンとヒーローマスク。
何が何だか混乱するソリだけれども。
「ソリも書こー」
「うむ。皆で願おう」
「何書くっしょ?」
わいわい皆といるのは楽しいから。
まあ、いっか。
「これは、宇宙空間ってやつなのかね?」
キマイラフューチャーのとあるバーチャル施設の概要に目を通した九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は、不思議そうに首を傾げた。
説明文に『宇宙』の文字はないけれど、どうやらそれに近いらしい。もしかして、キマイラフューチャーには宇宙という概念がないのだろうか。世界がぱっかんと割れるし。
ともあれ、スペースシップワールドを知る猟兵にはさほど珍しくはないバーチャル空間のようだが。なんだか普通の宇宙でもないようで。バーチャルだからちゃんと空気があるのはともかく、歩けるし飛べるし星が取れる。なんだそれ。
「あと、カササギ呼ばれている大きな鳥が飛んでるそうなんだが……」
翼の付け根から腹部と翼の先が白く、濃い青から青緑へのグラデーションになっている尾を持つ、黒い鳥。色合いは間違いなくカササギなのだが、やたらでかい。人1人が背中に乗れそうなくらい、でかい。
「タンザクを書くと、それを食べていくそうだ」
そうすると願いが叶う、という伝説があるとかなんとか。
よく分からないと首を傾げる夏梅だが、確かなことが1つあって。
「そんなバーチャル空間を楽しんでいるところに、オブリビオンが現れるよ」
医学者『サン・トゥジュルクラルテ』。最初は特に襲ってくることはなく、バーチャル星空を楽しむキマイラ達を観察しているのだが。
「どうも、相手のトラウマや、そのトラウマに対する反応を観察し始めるようでね」
わざわざトラウマを呼び起こし、見せつけ、それによりどうなるのかという、実験のような行為に移っていくのだという。
「珍妙なバーチャルとはいえ、皆が楽しんでいるのは確かだからね。
楽しいまま終われるように、邪魔なオブリビオンを退治しておくれよ」
夏梅は苦笑しながらお願いし。
そして、ああそうそう、と付け加えた。
「もちろん、いつものテレビウム達もいるからね」
星の光が瞬く闇。
その闇に半ば溶け込みながら、白衣を着た男は静かに辺りを見回す。
「なるほど。星に願いをかける、か」
細めた金色の瞳は、瞳孔が猫のように細い。
「キマイラが何を願うのか、まずは見てみるか」
それが興味を惹かれないものだったなら、違うものを見ればいい。
男が黒手袋をはめた右手に握るメスには、薬物が塗られていた。
佐和
こんにちは。サワです。
あれ? 七夕ってこんな行事でしたっけ?
宇宙のようなバーチャル空間が舞台です。
バーチャルなのでだいたい何でもできます。
一応、七夕をモチーフにしているようです。
きっと古代文献からがんばって引っ張り出したんですよ。
探したら織姫彦星がいるかもしれませんし、自分達でなってもいいです。
尚、短冊は、願いを書いたらカササギが食べます。
コンコンコンして笹を出してちゃんと飾っても、食べられてしまいます。
バーチャル空間には、テレビウムのソリもいます。
何となく独りでいましたが、友達ができて一緒にいろいろわいわいやってる模様。
いつもの友達と今回も一緒に遊んでいます。
ソリ達について知りたい方は、タグを利用して過去の登場作をご確認ください。
尚、未読で全く問題ありませんし、無理に声をかける必要もありません。
第1章でバーチャル空間を遊んだら、第2章はボス戦です。
医学者『サン・トゥジュルクラルテ』がトラウマを見せてきます。
自分でトラウマを乗り越えるもよし、誰かに助けてもらうもよし。
短冊にトラウマ克服な願いを書いておいて、叶えられた、とかもありかもです。
それでは、七夕物語を、どうぞ。
第1章 日常
『バーチャルフェスタ!』
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POW : 全力で楽しむ
SPD : 思いきり楽しむ
WIZ : 静かに楽しむ
イラスト:槙千あとり
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フリル・インレアン
ふわぁ、宇宙ですね。
七夕といったら織姫様と彦星様でしょうか。
どの辺りでしょうね?
ふえ?その辺じゃないのって。
アヒルさん、天の川もないじゃないですか。
絶対に違いますよ。
たしか、織姫様と彦星様ともうひとつのお星さま……あれ?夏の大三角のもうひとつのお星さまって。
なるほど、アヒルさんはその話をしてほしくなかったんですね。
でしたらアヒルさん、短冊に願い事を書きましょう。
私はいつもどおりですが、私の扉が見つかりますように。
あ、カササギさんが短冊を食べていってしまいました。
ふええ、アヒルさん、カササギさんから逃げるんじゃなくて食べてもらうんですよ。
「ふわぁ、宇宙ですね」
その光景を前にフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は思わず声を上げていた。
星がいっぱいの真っ黒な世界。360度夜空が広がる光景は、まぎれもなく宇宙。
バーチャルゆえに何の装備もなくその只中に佇んで。
フリルは輝く星をぐるりと見回す。
「七夕といったら織姫様と彦星様でしょうか。どの辺りでしょうね?」
探すのは物語に重ね合わせた一等星。もしくはそれを含む星の連なり。
でも、地上から見える星を投影した光景ではないのか、どの星も輝きが強くなっているのか、夏の夜空にすぐ見つかるはずのその星々はなかなか見当たらず。
フリルの手の中で、アヒルちゃん型のガジェットが鳴いた。
「ふえ? その辺じゃないの、って……
アヒルさん、天の川もないじゃないですか。絶対に違いますよ」
その鳴き声を唯一正確に理解して、しかしフリルは首を横に振る。どこか投げやりで適当な言い方でガジェットが示したそこには、星の輝きが密集して帯を作る、川のような光景すら見えなかったから。
フリルはちゃんと知っている。七夕の物語にあるように、天の川の片岸に織姫様が、その対岸に彦星様が、夜空には輝いているのだと。そして、天の川を飛び渡るように、もうひとつ、強く輝く星があるはずだと。思い起こして。
「あれ? 夏の大三角のもうひとつのお星さまって」
フリルはこくんと首を傾げた。
織姫様の星を含むこと座、彦星様はわし座。それと共に夏の夜空に大きな三角形を描く星を含むのは、はくちょう座。
そういえば、七夕とは別に、はくちょうとアヒルが出てくる昔話もあった。
「なるほど、アヒルさんはその話をしてほしくなかったんですね」
ガジェットの物言いが適当な理由に思い当たり、頷くフリル。ガジェットからは否定も肯定も黄色いくちばしの一撃すらなかったけれど、フリルは酷く納得していて。
それを、思いついた。
「でしたらアヒルさん、短冊に願い事を書きましょう」
用意されていた細長い紙を2枚手にしたフリルは、まずは自分の分をと書き出す。
記す願いはいつも通り。
アリスとして求める願い。
――私の扉が見つかりますように。
隠すことも、逆に口にすることもなく、書き上げたフリルは。できました、と満足そうにそれを片手で持ち、眺め。
「あ」
それを飛び来たでかい鳥が、通りすがりにぱくんと食べていった。
「カササギさんが短冊を食べていってしまいました」
その後ろ姿を見送るフリル。
でも、こうして食べてもらうことで願いが叶う、と聞いた説明を思い出して。なんだか不思議だけれどもこれでいいのかと思ったところで。
があ。
「ふえ? 走れ?」
言われて思わず走り出すフリル。
何故、と問うよりに先に気付くのは、そんなフリルを追いかけてくる大きな鳥。
そしてガジェットは、細長い紙に何やら書き込み終わっていたようで。
「ふええ。アヒルさん、カササギさんから逃げるんじゃなくて食べてもらうんですよ」
言いながらもフリルは、短冊を持つガジェットを両手で持ったまま、星空の中を走っていく。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
宇宙的七夕。
星空ボードがすいーと動くとボードを通すようにきらきらと星が流れる
すごいねまつりん、綺麗だね
ん、
コート、デイン、リディ、ソリ
ここ、わたし(かなづち)でも泳げる不思議な宇宙海
皆、楽しんでる?ふふ、顔を見たら楽しいで溢れてる
新しきやぶさか2
くるん、と回り近付き、背丈の違いでハイタッチ気味にまつりんと手を合わせ
飛び出た星には金平糖も混ざってるよ
どうぞ召し上がれ?
そして七夕には短冊
ソリ達のお願い事はどんなだろ?
わたしのお願い
『これからもおに(おに、は消されて薄くなっている)皆の笑顔が見れますように』
…おにく沢山食べたいとか書きかけてない、大丈夫(こくん)
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)、スペース七夕会だって!
あ、いた。
ソリー、やほー♪
(星空ボードに乗って すいーっと横付け)
ばーちゃ世界はスゴいよね、これ泳げるんだよ、スペース泳法!
(すいすい平泳ぎで 周囲を回る)
せっかくだし、やぶさか2の新しい振り付け考えよっか。
一緒に考えてくれない?
うんうん。
七夕だから、左右に別れたところからスタート。徐々に近付いて、逢わせた手の平から星が流れ出す!(きらきらりん)
天の川作れそうだね、いいかも♪
短冊?
願いごとかぁ、そだなあ……(さらさらと)
『トリには負けない』
……負けないんだからね?(カササギと正面からにらみ合い、牽制)
「アンちゃん、スペース七夕会だって!」
「ん。宇宙的七夕」
木元・祭莉(銃弾を次から次へと叩き落とすなにかの達人・f16554)と木元・杏(視線の連打・f16565)の双子の兄妹も、数多の星に囲まれて。広がる夜空を海のように川のように、星空ボードに乗って移動していた。
すいーっと動けば、ボードを通すようにきらきらと星が流れる。
「すごいねまつりん、綺麗だね」
金色の瞳に星の輝きを映して、杏は流れる感覚と共に景色も楽しんでいく。
祭莉も楽しそうにあっちへこっちへ流されるように移動して。
「あ、いた」
きょろきょろしていた銀色の瞳が、その姿を捉えた。
「ソリー、やほー♪」
名前を呼びながら星空ボードをすいーっと横付けしたのは、友人となったテレビウムの少年の元。振り向き驚くテレビウムに、祭莉はにかっとお日様笑顔を向ける。
「ばーちゃ世界はスゴいよね、これ泳げるんだよ、スペース泳法!」
そしてすいすい平泳ぎで、テレビウムとその友達の周囲を回った。
「わー。泳いでる泳いでるー」
「うむ。見事であるな」
「魚みたいっしょ」
銀髪のネコキマイラの少女が、がっしりしたホワイトライオンのキマイラが、ジャングルの奥地こそが似合いそうなヒーローマスクの少女が、祭莉の姿に歓声をあげる。
「ん。ここ、わたしでも泳げる不思議な宇宙海」
そこに杏も加わって。何泳ぎと言ったらいいのか分からない動きなのに何故かすいすいと進んでいった。このへんの動きがかなづちたる理由かもしれない。それでも、かなづちでも、泳げるのがバーチャル。
「皆、泳げる?」
「もちろんっしょ。任せるっしょ」
「リディが一番上手だよねー。デインはあんまり泳げないけどー」
「うむ」
「そういえば、前に泳いで競争した時も最後だった……」
「びっくりっしょ? 見えないっしょ?」
「苦手だけど、好きなんだよねー」
「うむ。流れるプールは好ましいな」
わいわい弾む会話に、杏は、ふふっと微笑んで。
「ソリは? 楽しんでる?」
「えっ!? あ、はい」
くるりと振り向き、こくんと首を傾げて訊ねれば、テレビ画面がぱちくりして。すぐにテレビウムはこくこくと頷いて見せる。
皆、笑顔。楽しいが溢れてる。
そのことに杏の笑顔もまた零れて。
「あ! せっかくだし、やぶさか2の新しい振り付け考えよっか」
そこに唐突に提案を投げ込んだのは、祭莉。
「一緒に考えてくれない?」
「すごーい。考える考える」
「うむ。力になれるなら是非に」
「任せるっしょ! 一緒に踊るっしょ!」
即座に返ってきた好感触に、祭莉は笑って。
「ね、杏ちゃん」
「うん、まつりん」
双子アイドルユニットになってきている『やぶさか2』は2人並んで。
「ソリも、お願い」
「あ、はい」
テレビウムの少年もしっかり巻き込むと。わいわい会議が始まった。
七夕だし、とか、星っぽい動きは、とか。折角のバーチャルなこの場所に合わせたイメージも盛り込んで。たまに変な動きが入れば、それは違うとまた盛り上がり。
「よし、やってみよ」
「ん。新しきやぶさか2」
まとめた動きを披露する祭莉と杏。
スタートは左右に分かれたところから。星が流れるようにくるんと回る動きを混ぜながら、七夕の逢瀬のように徐々に2人は近づいて。背の高い祭莉と、手を掲げた杏はハイタッチ気味に、ぽんっと手を逢わせる。
重なる手の平から飛び出したのは、きらきらりんとした星。
と思ったら、星みたいな形をした金平糖も交じっていて。
「どうぞ召し上がれ?」
くるり回って差し出す杏の隣で、祭莉は早速、口の中を甘くしていたり。
「わー。いい感じいい感じー」
「うむ。善哉」
「天の川作れそうっしょ。いいっしょ」
3人が歓声を送る中で、テレビウムの少年もぱちぱちと拍手を送っていた。
杏も大満足で、ありがとうと協力にお礼を伝えて。
「あ、短冊」
細長い紙の存在を思い出した。
「ソリ達はどんなお願い事した?」
自分の紙に書き込みながら、ふと聞いてみれば。
「えっとねー、いっぱい遊ぶ、って」
「うむ。日々是好日、であるな」
「やっぱり、楽しいが一番、っしょ」
口々に答える3人の手元には何もない。もう願い終わったということか。
「ソリは?」
「えっと……」
唯一、細長い紙を持ったままだったテレビウムの手元を覗き込むと。
『みんなと一緒に遊びたい』
小さな文字がおずおずと、でもしっかりと書かれていたから。
杏は微笑み頷いて。
「わたしのお願いは、これ」
お返しと言うように、自分の細長い紙を見せる。
『これからも皆の笑顔が見れますように』
その願いに、テレビウムの画面がふわっと明るくなって。
「あれ? 『これからも』の後、なんだか薄い字がある?」
「うむ。消した跡だな」
「『おに』って書いてあったっしょ?」
「……おにく沢山食べたいとか書きかけてない、大丈夫」
騒ぐ3人の前で、杏がこくんと頷いた。
「ええと……」
「ソリ、願い事叶える。ほら」
戸惑うテレビウムに杏は慌てて声をかけ、細長い紙を掲げるように促せば。
2つ並んで伸びた手の先を、大きな鳥が飛び行きて。願いをぱくんと食べていった。
「これで叶う。大丈夫」
「う、うん」
微笑む杏に、テレビウムはこくこく頷いて。
その向こうで、祭莉は真剣な表情で願いを書きあげる。
『トリには負けない』
さらさらと書いたのはそんな文字。トリ、と広範囲に書かれているけれど、一番の相手は、木元村の守り雌鶏に他ならない。狂暴な動きを、何度も蹴られた脚を、威力を嫌というほど知っている鋭いくちばしを、祭莉は思い出して。コケ、というその鳴き声が聞こえた気すらして。
「……負けないんだからね?」
願い事を食べに来た大きな黒白の鳥と、正面からにらみ合っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『医学者『サン・トゥジュルクラルテ』』
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POW : 「観察させてもらう」
攻撃が命中した対象に【メスにより薬物】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【トラウマを呼び起こす幻覚の精神ダメージ】による追加攻撃を与え続ける。
SPD : 「お前に興味はない」
【急所を狙ったメスと猫の爪】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ : 「私の邪魔などしないだろう?」
対象への質問と共に、【対象の記憶】から【トラウマを模したオブリビオン】を召喚する。満足な答えを得るまで、トラウマを模したオブリビオンは対象を【物理攻撃と行動・思考を封じる呪詛】で攻撃する。
イラスト:黒江モノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ヘザー・デストリュクシオン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
星空を飛ぶ白と黒のツートンカラーな大きな鳥。
そこには願い事がたくさんあった。
『いっぱいいっぱい遊ぼう』
『日々是好日』
『楽しい毎日!』
『私の扉が見つかりますように』
『みんなと一緒に遊びたい』
『これからも皆の笑顔が見れますように』
『トリには負けない』
コンコンコンで暮らしや物資には困らないキマイラフューチャーゆえか、願いというよりも、その穏やかで楽しい暮らしを書き留めているだけのようで。どんな犠牲を払っても手に入れたい、何をおいても叶えたい、そんな強い欲望は、ない。
「所詮その程度か」
医学者『サン・トゥジュルクラルテ』は金色の瞳をつまらなそうに細め、大きくため息をついた。
「私は違う。何をしてでも医者として多くを救う。
そのための知識を求める。そのためならどんなことでもする」
例えそれで幾人ものキマイラが犠牲になったとしても。
それで多くを救えるなら。
多くを救うための知識を自分が得られるなら。
どんなことでもして当然なのだと。
サン・トゥジュルクラルテは考える。考えて、行動する。
非人道的な実験をも繰り返す。
オブリビオンになる前から、変わらずに。
多くを救い、多くを壊してきた。
「では、知識を求めようか。キマイラたちのその身体から得られるものを」
悪意の欠片もなく笑いながら、サン・トゥジュルクラルテは黒手袋の手にメスを握る。
今目の前に救う者はない。
いるのは、救う知識を得るための、モノ。
「私の邪魔などしないだろう?」
サン・トゥジュルクラルテは、その周囲に黒い何かを召喚しながら。トラウマを呼び起こし、見せつけるそれを引き連れながら。
星空の中を、実験台の元へ向かって歩き出した。
フリル・インレアン
ふええ!?どうしてここにブラキエルさんがいるんですか!?
それにいつものことですが、なんで服を着てないんですか!!
ふええ、私の周りをぐるぐると見せつけるように飛ばないでください。
ふええ、どうしたらいいんですか?
ふえ?ブラキエルさんは消したからもう大丈夫って、アヒルさんありがとうございます。
ブラキエルさんが見えなければもう大丈夫です。
さあ、反撃開始です!
何故か、黒と白のツートンカラーな大きな鳥から逃げ回っていたフリル・インレアン(f19557)は、逃げ行く先でその人影を見て急ブレーキをかけた。
「ふええ!? どうしてここにブラキエルさんがいるんですか!?」
目の前に現れたのは、かつてフリルが遭遇した猟書家『大天使ブラキエル』。天上界を目指していたオウガ・フォーミュラは、既に猟兵によって倒されているのですが。
これはフリルのトラウマ。
フリルの記憶から召喚された、トラウマを模したオブリビオン。巨大な岩腕による単純だが重い一撃。大天使の光輪から放たれる破壊の光。そして『絶対物質ブラキオン』による完全防御。最強の猟書家と謳われたその存在との戦いは。
フリルの心に深い深い傷を残していた。
ゆえに、トラウマを呼び起こす系のユーベルコードや現象で、何度もフリルはブラキエルと対峙している。何度も、何度も。そしてその度に。
「それに、なんで服を着てないんですか!!」
年頃の女の子には衝撃的な光景を突き付けられているのでした……
全裸天使言われてましたからね。
その強さよりも見た目の方がフリルにとってトラウマだから。現れたブラキエルの攻撃は、岩腕でも破壊の光でもなく。絶対物質ブラキオンによる防御もなく。
「ふええ、私の周りをぐるぐると見せつけるように飛ばないでください」
全裸で初心な少女に付きまとう変態的な行動になるわけで。
再現されたまま動かない冷静で無感情な表情がまたシュールです。
「ふええ……どうしたらいいんですか?」
大きな帽子のつばを両手で引き寄せて、顔を隠しながら縮こまるフリル。
うん。きっとブラキエルもそう思ってる。
このまま全裸かごめかごめで状況が膠着して終わるかと思われたけれども。
があ。
フリルの手の中で鳴いたのは、いつも一緒のアヒルちゃん型ガジェット。
「ふえ? ブラキエルさんは消したからもう大丈夫?」
その言葉を唯一正確に理解するフリルは、しかしその内容に眉を寄せ。でもそう言うならばと、おそるおそる、顔を上げて帽子の陰から辺りを覗く。
確かにそこにブラキエルの姿はなかった。
赤い瞳を瞬かせるフリル。
ガジェットがブラキエルを倒した? でも戦闘の気配は全くなかった。ガジェットはずっとフリルの手の中にいたし、小さなガジェットの一撃で倒せるほどブラキエルは弱い相手ではない。トラウマの模倣だから、見た目だけで戦闘力は全くなかったのかもしれないけれども、それでも、こんな一瞬で、フリルに気付かれずに倒せるとは思えない。
「ふええ……?」
フリルが混乱し、立ち尽くしていると。
「どこへ行った? 急に消えるとは……」
訝しむ声が聞こえ、振り向くとそこに医学者『サン・トゥジュルクラルテ』がいた。
少し離れた場所からフリルがトラウマと相対する様子を眺めていたのだろう。
だが、その金色の瞳は辺りを彷徨い、フリルに気付かず通り過ぎる。隠れたりしていない、ただ茫然と立っているだけのフリルが、見えていないかのように。
その様子に、フリルは気付く。
確かめるべく慌ててイレイジャーノートを取り出し、開くと。
そこにはブラキエルの名前が書かれていた。
それは、イレイジャーノートに名前を書いた対象1体を透明にするユーベルコード・ふええ劇場『ERASURE NOTE』。これでブラキエルの姿を透明にしたため、フリルの前から消えたように見えたのだ。
普通なら、敵が見えなくなるというのは不利でしかないのだけれども。その全裸を見せつけるだけで一切攻撃してこなかったブラキエルなら、フリルのトラウマがその実力ではなく見た目だけだったせいでただの露出狂になってしまっていたオブリビオンなら、これは間違いなく最良の手段。
「アヒルさんありがとうございます。
ブラキエルさんが見えなければもう大丈夫です」
実際、フリルは俯いていた顔を上げ、キリッとサン・トゥジュルクラルテを見据える。
しかしサン・トゥジュルクラルテは、やはりフリルに目を留めず。つまらなそうに、別の猟兵へとその視線を向けた。
イレイジャーノートには、ノートゆえに表紙がある。そして、表紙には、持ち主であるフリルの名前が書かれているから。
ユーベルコードを発動すると、イレイジャーノートの中にあえて名前を書かなくても、フリルの姿も装備も透明になってしまうのだ。
「さあ、反撃開始です!」
があ。
あ、物音や声は消えませんから、静かに行きましょうね。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
わたし達の願いにソリ達の願い
素朴で、切実で、大切な祈り
『その程度』などではない
突然現れケチつける不届き者を睨みつけ
まつりん、細っちょい優男さくっとやっつけよう
ソリ、皆と後ろに下がってて?
防御のオーラを纏った灯る陽光をソリに渡し守りを強化
うさみん☆【Shall we Dance?】
ダンスに合わせてわたしもステップ
手に持つは「兎に青天」
くるり傘を開いて武器受けでいなそう
まつりんはとら…(うまって何だろうな顔)
(こくん)虎馬、大丈夫?
ん。
息を合わせて左右に別れ
先程完成した新振り付けでお医者を惑わせて
その利己的過ぎる考え方
医者でもなければ人でもなし
骸の海に引きこもってて
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)、なんか白い奴だ。(嫌そうな顔)
あっ、短冊。
一緒に遊びたいなら、ちゃんと言いなよ。
みんなの邪魔してるのはそっちじゃん、許さないよ!
なんか出てきた……?
(黒地に黄縞の羽馬が雄叫びをあげた!)
むむ、これが虎馬!
……誰が考えたヤツだろコレ?(ソリたちをじっと見る)(濡れ衣)
馬のクセに蹴爪があったり、羽ばたいたり、啄んできたりするけど。
なんか攻撃、陰気でジメジメしてない?
もっとからっと殺気マシマシじゃないとさあ!(ひらり)
そうそう。
あのね、強いっていうのはこういうヤツのコトだよ!
(ゆびぱっちん☆)
夏に出てくるには、ぱぅわーが足りないんじゃない?
もっと陽気に楽しまなきゃね♪
木元・祭莉(f16554)の願い事をようやく食べて、星空へと舞い上がった大きな鳥。
その黒と白のツートンカラーな姿を見送った木元・杏(f16565)は、同じように鳥を見つめている存在に気付いた。
黒いスーツの上に白衣を着た大人の男性。細長い紙を持ってはいないようだったから、もう願い事をした後なのかな、と思っていると。
「所詮その程度か」
吐き捨てるような声が聞こえて、杏はムッとする。
つまらなそうな、そしてどこか嘲るような態度に、その姿を睨みつけると。
「……なんか白い奴だ」
いつの間にか隣にいた祭莉が、ものすごく嫌そうな顔をしていた。
天敵のような白い雌鶏に向けるのと同じようで、違う顔。嫌悪と言えそうなほど、警戒や敵意も強く混じったその表情に、杏も口を引き結ぶ。
オブリビオン・医学者『サン・トゥジュルクラルテ』。
今を侵食する、染み出した過去。世界を滅亡に導くもの。
でもそれよりも何よりも。
(「わたし達の大切な願いにケチをつける不届き者」)
そして。
「まつりん。細っちょい優男、さくっとやっつけよう」
「おー!」
大好きなムキムキとは正反対な相手に、杏は強く頷き、祭莉が右手を掲げた。
「あの……?」
そんな双子の様子をテレビウムのソリも気付いたようで。おずおずと声をかけてくる。
不安そうなテレビ画面に、杏はまた力強く頷くと。
「ソリ、皆と後ろに下がってて?」
差し出したのは『灯る陽光』。優しい白銀の光が象る変幻自在な剣。防御のオーラを纏わせて、ソリが持ちやすい短剣にしたそれを渡せば、こういったことが初めてではないソリは察したようにこくこくと頷いた。
「なになにー? また怪人?」
「うむ。猟兵の活躍であるな」
「やったっしょ! カッコイイのが見れるっしょ!」
下がるソリの動きに友人達も気付き、盛り上がりながらちょっと退避。
「気を付けて」
「なんかね、トラウマってのを見せてくるんだって」
警戒を促し、でも必要以上におびえないよう明るく声をかければ。不思議そうに顔を見合わせた皆は、それでも、わかったー、と応えてくれたから。
これで大丈夫、と確認した杏が、改めてサン・トゥジュルクラルテを見やると。
「私の邪魔などしないだろう?」
召喚し、周囲に引き連れていた黒い何かがその形を変えた。
すらりとした4本足で、長い頭と首の上部にたてがみが揺れ、ふさふさした長い尻尾を垂らす、そのシルエットは馬。しかし、黒かった身体には黄色い縞々が入っていって、まるで虎模様。さらに、後ろの足には蹄に加えて蹴爪が鋭く光り、背中には白い羽が一対生えてくる。
「なんか出てきた……?」
首を傾げた祭莉の前で、雄叫びを上げる、何か。
馬みたいで、虎みたいで……
「むむ、これが虎馬!」
「とら……うま……?」
分かった、と声を上げた祭莉の隣で、杏が、何だろうなって顔をしてます。
確かに、サン・トゥジュルクラルテのユーベルコードは、『対象の記憶からトラウマを模したオブリビオンを召喚する』というものだから。召喚されたオブリビオンの形は、こちらが思ったものになるのは理解できる。分かるけれども。
「……誰が考えたヤツだろコレ?」
祭莉は振り返ってソリ達4人をじっと見た。
「えっ? ええっ……?」
「そんなキマイラ知らないよー」
「うむ。トラウマではないな」
「むしろ今トラウマになりかけてるっしょ」
おろおろするソリと、ぶーぶーと反論する3人。
えー? と尚も疑いの眼差しを向ける祭莉。
でも、杏は気付いた。
虎と馬と、もう1つの要素。
蹴爪と白い羽。
そして、虎馬(仮名)はこちらに向かってきて。長い頭を突き出すと、その口で啄むように襲ってきたから。
「鶏……」
木元村の狂暴な雌鶏を思い出す攻撃を避けながら、呟いて。
そして、その雌鶏によく襲われている祭莉を、見る。
祭莉も、ひらりと攻撃をかわして。
「なんか攻撃、陰気でジメジメしてない?」
杏が思い出したのと同じ相手と比較して、不満そうに口を尖らせると、
「もっとからっと殺気マシマシじゃないとさあ!」
虎馬に向けて、指ぱっちん☆
それを合図に複数のロボが召喚された。
その形はニワトリ。いや、からっと殺気マシマシな木元村の狂暴な守り雌鶏・たまこ。
「あのね。強いっていうのはこういうヤツのコトだよ!
行くよ、メカタマコ!」
そして祭莉の声でニワトリ型ロボは虎馬へと向かい、取り囲んで。
「メカタマコ・さんだー」
ロボが囲んだ中へ、つまりは虎馬へ、裁きの雷が落ちた。
「夏に出てくるには、ぱぅわーが足りないんじゃない?」
にかっと笑って、くるんとポーズ。
「おおー。すごーい。さすがー」
「うむ。夏であるな」
「一撃っしょ。びりびりっときたっしょ」
ソリが茫然としたままパチパチする横で、皆が大盛り上がりです。
消えた虎馬と、楽しそうなソリ達を確認した杏は、こくんと頷いて。
「うさみん☆、Shall we Dance?」
発動させたユーベルコードにより音楽が流れ、うさ耳付メイドさん人形が踊りだした。
腰に巻いた桜色リボンをふわふわ揺らしながらのダンスは、その場の全ての視線を引き付けて。さらに杏も、合わせるようにステップを踏む。
手に持つのは舞傘。くるりと開けば天色が広がり、薄桜色の兎の影が、足跡を散らして舞い回った。くるくるとそれを見上げる杏には、傘の裡に飾られた向日葵色の糸も見えるから。大好きな向日葵笑顔も思い出して、ふっと笑顔が満ちていく。
トラウマなんて吹き飛ばす、今を楽しみつくす踊り。
「まつりん」
「おっけー、アンちゃん」
そこから杏は祭莉に声をかけ、今度は2人で踊っていく。
それは先ほどソリ達と考えた『やぶさか2』の新しい振り付け。左右に2人別れながらも同じ動きで魅せていく。
その中で。
「わたし達の願いにソリ達の願い……素朴で、切実で、大切な祈り。
『その程度』などではない」
2人の間にいるサン・トゥジュルクラルテへと杏は告げる。
突然現れてケチをつける不届き者へ、訴える。
「一緒に遊びたいなら、ちゃんと言いなよ」
祭莉も反対側から声をかければ。
「遊びではない。私の邪魔をするな」
不機嫌そうに猫のような金瞳を歪めると、サン・トゥジュルクラルテは手にしたメスで祭莉に切りかかった。
でも、流れる星のような動きで、振り付けの一部のように、祭莉はひらり躱して。
「みんなの邪魔してるのはそっちじゃん、許さないよ!」
反対側の杏とタイミングを合わせて、指ぱっちん☆
メカタマコが突撃すると、反対側からうさ耳付メイドさん人形も迫ってぱんち!
前後からの挟撃に避けきれなかったサン・トゥジュルクラルテは、小さな人形の一撃にたたらを踏んだ。
「……私は医者として多くを救う。そのためならどんなこともする」
それでも、その瞳に宿る狂気の探求心は消えることはなく。
「お前の身体からも知識を得させてもらおう」
サン・トゥジュルクラルテは、今度は杏へ向かって切りかかった。
振るわれるメス。戦い慣れた動きではないけれども、その軌跡は鋭く。使い慣れていると確信できる動きで杏を切り刻まんとするから。
「その利己的過ぎる考え方、医者でもなければ人でもなし」
杏は鋭い切っ先を睨み据え。それでも皆と考えた振り付けで踊り続け。
踊りの動きの中で、一度畳んでいた舞傘を広げた。
ぱっと舞い散る薄桜色の影。傘の曲面でメスの軌跡をふわりと変えて。
「もっと陽気に楽しまなきゃね♪」
そこに、七夕の逢瀬のように合流した祭莉の拳が突き刺さる。
障害物を排除した2人は、最後の見せ場とぽんっと手を逢わせ。
重なる手の平からきらきらりんと飛び出す星。
そして、星と一緒に突撃するメカタマコとうさみん☆。
「楽しまないなら、骸の海に引きこもってて」
寄り添うように決めポーズを見せる『やぶさか2』に、ソリ達の拍手と歓声が響いた。
大成功
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諏訪野・みすず(サポート)
とにかく突撃して、ボスをぶっ飛ばします。「みすずちゃんにはパパ以外は、勝てないよー!」「このままじゃマズいよね」アドリブ、共闘歓迎です。
「あれがボスのオブリビオン?」
やぶさか2☆のステージに拍手を送っていたソリは、不意に横手からかけられた声に驚いて振り向いた。
瞬く画面に、諏訪野・みすず(不思議系ダンサー・f00636)は笑いかけ。問いの答えを待つように、少しだけ首を傾げて見せる。
その動きにソリはやっと質問を認識して。医学者『サン・トゥジュルクラルテ』を指さしながら、慌ててこくこくと頷いた。
「おっけー。それじゃ、ぶっ飛ばそう!」
陽気に告げたみすずは、手にした武器にユーベルコードで蒸気エンジンを搭載すると、ツインテールをなびかせながら、レガリアスシューズで駆け出す。
ニワトリ型のロボットと、うさ耳付きメイドさん人形の突撃を受けて体勢を崩していたサン・トゥジュルクラルテだけれども、向かい来るみすずに気付いて、取り落としたメスの代わりにその指先で鋭く光る猫の爪を振りかぶった。
飛び込むみすずの急所を切り裂こうと迫る攻撃。
しかし、それが当たる直前で、サン・トゥジュルクラルテは大きく身体を傾がせる。
まるで見えない誰かが体当たりをしたかのように。
不思議な動きに、だがみすずは好機と逃さずに迫り。
蒸気エンジンの勢いも乗せて繰り出した一撃は、サン・トゥジュルクラルテをまともにとらえ、大きく吹っ飛ばした。
星空へと舞い上がる白衣姿。放物線を描いて落下して、倒れた先も星空。
きらきらきらきら星の輝く中で。
倒れ伏したサン・トゥジュルクラルテの姿は薄れていき。
そこに白と黒のツートンカラーな鳥が飛び来ると。
消えゆく姿から願いを拾い上げるかのように、大きく大きく口を開けた。
ばくん。
成功
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