むかし むかし ツンケンした おんなのこが いました
中園・シスイ
いつも色んな子でお世話になってます。今回はシスイの中の人です。
今回は種族ノベルっぽいものをお願いしたく、リクエストを投げさせて頂きました。
流れ
最終戦争の真っ只中。拠点防御に徹しなければいけないシスイ。
そんな中、バルキルバたちに突撃命令が下される声が聞こえた。
命令するだけで、直接戦闘には行かない兵士たち。彼らを守らなければいけないことにイライラする。
けれど自分はバリケードのために作られた存在。存在意義がそれしかないなら彼らを見送ることしか出来ない。それが、たまらなく悔しい。
セリフ例:
「……行くのかよ、お前ら。命令だからってよ」(バルキルバ達をみて)
「チッ、棘の中でふんぞり返ってる野郎共がよ」(命令する人間に毒を吐く)
(ああ……何回目になるんだ、これ。……行かないで、くれよ)(バルキルバ達を見送りながら心を痛める)
キャラクターについて:
植物の精霊と融合した茨姫。
ツンデレ気味だが苦楽を共にしたバルキルバ達への面倒見はいい。
兵士に対してはあまりいい気持ちを抱いていないため毒舌。
最後は森の中にある最終戦争の遺跡にてコールドスリープから目覚めるシーンで〆てください。
痛烈で鮮烈なトラウマを期待しています。よろしくお願いします。
●専守防衛
守らなければならない。
それは心のなかに埋め込まれたものなのか、自然と発生したものなのかわからない。
わからない。
わからない、が。
それでも己の心のなかにあるものに従わなければならない。
そうした意味でいうのならば、生命は常になにかの奴隷なのだろうと思えた。
「コードネーム『茨姫』、持ち場を離れるな!」
最終戦争の真っ只中、拠点に声が響いた。
面を上げる。
自分に言われたのだと理解していたし、中園・シスイ(剣持つ棘籠・f45426)はエレメンタル・ビーイングらしからぬ思考……いや、感情が体を走り抜けるのを感じた。
けれど、それは感情だけだ。
体が動くわけではない。
動こうとしたが、けれど、どうしてか体は動かなかった。
「……チッ」
舌打ちだけはできたが、自分に命令してきた人間には、それに構う余裕がないようだった。
「バトモン『バルキルバ』! 整列!!」
その声に鈍色のバトモン……『バルキルバ』たちが整然と居並ぶ。
鋼の体に騎士の特性。
それらを兼ね備えたバトモンは人間の号令に付き従うようだった。
「バルバル!」
「……行くのかよ、お前ら」
「バルバルバル!」
笑うでもなく、けれどどこか憐憫の情めいた視線を向けたシスイ。
しかし、『バルキルバ』たちは頷くように首を縦に振った。
下されたのは突撃命令だ。
どう考えても無謀だ。
最終戦争だからといって、人間は争うのをやめられない。
そればかりか、ただ争うためだけの存在としてバトモンを生み出した。
戦うために作り出されたとは言え……そして、創造主である人間の命令とは言え、まるで生命を擲つかのように命令に従うのは、あまりにも不憫に思えてならなかったのだ。
「……いや、それはアタシも一緒か……」
シスイもまた造られた存在だ。
エレメンタル・ビーイング。
精霊の力を操る人造人間。
そして、『茨姫』のコードネームの通り、バリケードを生み出すためだけに造られた存在。
言ってしまえば、存在意義だ。
けれど、奴隷と同じだと思った。
「バル!」
前足を上げて『バルキルバ』たちはシスイに背を向けた。
行くのだ。
死地に。
きっと彼らは戻ってこれない。
不満にも思っていない。いや、思うことすら許されない。そういうふうに造られているからだ。
そもそも己だってわかったものではない。
戦うこと事態が存在意義など、それはどうでもいい。
ただ、自らの意思で前に進めぬことが悔しくてたまらない。
己の力があれば、『バルキルバ』たちを助ける事ができるかも知れない。思い上がりと言われても、何もしないよりはマシだ。
「コードネーム『茨姫』! バリケードの構築だ! 急げ!」
「チッ、棘の中でふんぞり返ってる野郎どもがよ」
人間の言葉に苛立ちが募る。
人間より『バルキルバ』たちを守りたい。
それは許されていない。
なぜなら、己は人間の奴隷だからだ。
従うべきもの。従わざるを得ないもの。
そうした感情が体の奥底で湧き上がって渦を巻くようだった。
自らの体は、意に反してバリケードを生み出していく。
『行くな』
そう言えたらよかった。
けれど、言えない。
きっと自分は、待つことしかできない。
何回目だろうか。
こんな思いを抱くのは。あと何度こんな思いをすればいい。
痛む心の中で叫ぶも、声にはならない――。
●目覚め
最終戦争 いばらひめのどうくつ……。
そして 中園・シスイは コールドスリープから めざめた
そのそばには いっぴきの バトモンが いる
赤い 目が こちらを みている
じ……っ とみている
どうしますか?
→てを のばす
ねむりにつく ▼
成功
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