【朗報】配信者シアン、恋人確定か!?【切り抜き動画】
●何気ない一言
炎上というのは、いつだって些細なことから始まるものである。
いや、そう考えるのは当事者ではないからだ。
起こるべくして起こるものであるし、火のないところに煙は立たないという言葉もある通り、炎上するのはそうした火種がくすぶっている、という証明でもあったことだろう。
「水族館デートもそうなんやけど。室内デートってどう設定したらええんやろな」
何気ない一言。
織部・藍紫(シアン・f45212)は配信中にもかかわらず、そう呟いた。
後からにしてみれば、それは迂闊な一言であった。
だが、もう彼はきっちりと告げた。
「いやな? もう匂わせとかガチ恋とか色んな要因があんねんけど、お付き合いしとるねん。ほんまなんやけど」
それはともすれば、背信者としての在り方を問われるものであったかもしれない。
背信者、アイドルと言えどプライベートは存在する。
それをないことにはできない。
「うん」
コメント欄が激流のように流れていく。
「まるでコメントが追えんようなっとる」
『うおおお、シアンに恋人できたの確定!』
『皆、この前練ったデートプランコメントするぞ!』
『今、ほんっとうに暑いからな!』
『日差しもキツイしな。室内デート考えるのGJ!』
『連日30℃越えってヤバいよな…マジで』
『梅雨はどこにいったー、だもんな…』
『けっこう商業施設あるって話はしてたから、プラン考えがいあるんだよな』
まあ、出るわ出るわ。
愛すべきバカたちである。
他人の色恋沙汰に夢中になるのは、よいことなのかどうかはわからない。
「結構みんな考えてくれるんやなぁ。ありがたいこっちゃやで」
うんうん、と藍紫は頷く。
自分のプライベートでこれだけ大盛りあがりできているのに、炎上切り抜き動画が出回らないのは彼の配信を見る者たちの節度というものが保たれているからだろう。
「ありがとうなぁ」
そう礼を告げる彼にコメント欄の視聴者たちはほっこりしているようである。
だがしかし、光あれば影あり。
ガチ恋勢が嘆き、悲しみ、怨嗟の声が響く場所もあるのだ。
それによって心の中の『骸の海』を溢れさせることもあるだろう。
そうなった時、藍紫は戦わねばならない。
誰かの幸福が落とす影が不幸であってはならない。
けれど、惚気けるのはやめられないのだ――。
成功
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