|鋼の竜騎が翔ける世界《バハムートキャバリア》、エルロンド地方。湖畔に白亜の城を抱く穏やかな地。
その辺境地域にある小さな村では、夏の始まりの祭りに向けて準備が進められていた。
「我々の屍の上で繁栄を謳歌する人間たち……」
その様子を離れた所から見る影。その足元では小さな影がいくつかまとわりついている。
「思い知らしめねばなるまい、我々が味わった非道を」
そう言うと、影は小さな影達をけしかける。影たちは駆けていくうちに、巨大な|獣騎《バルバ》へと転じていく。その先には、祭りの準備に賑わう村があった。
●
「……あー。唐突ですまんが、|百獣族《バルバロイ》の対処を頼みたい」
一同にそう言うのは、イウェイン・レオデグランス(|狂飆《きょうひょう》の騎士・f44938)。カドワラデルというグリフォンキャバリアを駆る騎士であるが、どうにも歯切れの悪い表情を見せている。
「察しの通り“視えちまった”もんでな」
曰く、|鋼の竜騎が翔ける世界《バハムートキャバリア》の一地方であるエルロンド地方の辺境にあるとある村落を、|百獣族《バルバロイ》が襲撃しているのだという。
この世界の辺境地域は元々|百獣族《バルバロイ》との小競り合いが頻発する地域なのだが、祭りの直前の襲撃となり、人々の避難等の対応で、防衛に回る騎士が不足している状況のようだ。
「お前さんらを送り込めるのは、配下……なんだろうな、あれは……が、警護の騎士たちと交戦しているタイミングだ」
騎士たちが|獣騎《バルバ》と対峙している中に割って入る形になる。配下が倒され劣勢になった所で、襲撃の首謀者である|百獣族《バルバロイ》との戦いとなるようだ。
どうやらこの村、祭りの直前に襲撃をうけたらしく、恐らくそのまま祭りが始められる事になるらしい。
「まあ、小さな村落のささやかな祭りだ。気が向いたらそっちも散策してみるのもいいんじゃないか?」
一通り説明をしたイウェインは、封蝋で閉じられた書状を人数分取り出す。
「あー……|人造竜騎《キャバリア》のアテの無い奴はコイツをもってけ。エルロンド地方にはちょっとばかりツテがあるんでな。汎用機くらいなら今回はソイツで駆らせて貰えるだろうよ」
とはいえ、|人造竜騎《キャバリア》は希少なものだ。流石に持ち逃げはやめとけよ。そう言ってイウェインは一同を送り出した。
白神 みや
初めましてのかたは初めまして。
そして、そうでない方はご無沙汰しております。|白神《しらかみ》です。
やっと! バハキャの! シナリオです!
ファンタジーで騎士、いいですよね。白神だいすきなんですよ。
と、いうわけで、今回は辺境地帯に襲撃してきた|百獣族《バルバロイ》の対処になります。
一章、二章は|百獣族《バルバロイ》との戦闘です。
三章は、辺境の村の夏祭りです。無事に危機を乗り越えた事もあり、一段と賑やかなお祭りとなるかと。
各章のより詳しい状況は、断章に譲ります。
●人造竜騎/キャバリアについて
今シナリオについては、人造竜騎/キャバリアをお持ちでない方については、イウェインがツテを生かして現地の騎士への紹介状をしたためておりますので、そちらで汎用型の人造竜騎が貸与可能となります。プレイング内では「書状で借受ける」程度で充分です。装備等で判断しますので、ご安心ください。
(ご自分の人造竜騎/キャバリアをお持ちの方の場合は機体の特徴等も描写したい気持ち)
●お願い
MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
通常/オバロ共に指定日時より前のプレイングはお返しすることとなりますので、ご了承ください。
諸々はタグとMSページに記載しますので、ご確認の程宜しくお願いします。
第1章 集団戦
『獣騎チャールズ・スパニエル』
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POW : ワオーン!
戦闘力のない、レベル×1体の【かわいい小犬 】を召喚する。応援や助言、技能「【鉄壁】」を使った支援をしてくれる。
SPD : ビックリドキドキ、ロボ発進!
【くち】から【自動追尾する大量の愛玩犬 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : ファイヤーワン!!
【正々堂々と戦う犬 】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[正々堂々と戦う犬 ]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
イラスト:アイカワ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●猟犬|獣騎《バルバ》の狂進曲
これが|獣騎《バルバ》でなく、普通の獣であれば、恐らく相当に愛らしい光景だっただろう。
「人間たちに目にもの見せてやる!」
幾ら愛嬌のある顔立ちをしていても、勢い余って転がる個体が居たとしても、駆けてきたのはその身の丈が5mある|獣騎《バルバ》である。しかも、愛嬌のある顔立ちのまま、こちらへその牙を剥いてくるのだ。
「と、ともかく! |獣騎《バルバ》を此処から追い払うぞ!」
「村人たちの避難も忘れるな!」
「い、いくらなんでもこの人数でそこまでできるか?!」
村の巡回警護にあたっていた辺境騎士たちは口々にそう言いながらも分散していく。この地方の騎士はそれなりに練度が高いようで、このような事態の対処にも慣れているようだ。
それでも、埒外の力を持たぬ騎士たちでは、|獣騎《バルバ》の群れの対処には限度がある。村人の避難誘導や防衛にも人員が割かれているため、徐々に数で押し寄せてくる|獣騎《バルバ》に劣勢を強いられていく。
猟兵たちが送り込まれたのは、そんな状況の最中だった。
ヘルゲ・ルンドグレン
颯爽! 登場!
怨恨は理解できるけれど、だからといってその蛮行を見逃すわけにはいかないわ!
お祭りを楽しみにしている人たちがいるのなら尚の事、ね!
人造竜騎ウロボロスに乗り込んで現場に急行!
戦闘力はなくてもその守りの硬さは厄介ね……!
なら、それを発揮させないようにするまで……来たれ、土の兵士たち!
召喚したゴーレムたちを子犬たちにけしかけて、支援を万全にこなせないように抑え込ませたところでー!
抑え役に回っていないゴーレムたちで攻撃!
数には数で対抗ってわけ、さっすがアタシ!
これが天才魔導士の実力よ!
●
「颯爽! 登場!」
騎士たちの心があわや折れそうになったその時、少女の声が戦いの喧騒を切り裂いた。
声と共に姿を顕したのは、黒蛇の|妖精竜騎《タイタニアキャバリア》。其を駆る少女騎士は、ヘルゲ・ルンドグレン(魔導騎士・f44787)。
(怨恨は理解できるけれど、だからといってその蛮行を見逃すわけにはいかないわ!)
猟犬獣騎と、騎士たちの間に割って入ったヘルゲは双方の様子を見つつ、ヘルゲは思う。確かに、嘗ての人間たちは|百獣族《バルバロイ》に対して、言葉では言い表せぬ程の非道を行った。その事実はどうやっても覆らない。しかしそれは、今を生きる人々が|百獣族《バルバロイ》に蹂躙されるのをよしとするわけではない。
(お祭りを楽しみにしている人たちがいるのなら尚の事、ね!)
今を生きる、ちからなき人々の平穏が失われて良いはずがないのだと、ヘルゲは|愛騎たる黒蛇《ウロボロス》を駆る。割って入ってきた|妖精竜騎《タイタニアキャバリア》が、人の側の存在であると悟った猟犬獣騎たちは一斉に遠吠えを上げる。その声に応じて、猟犬獣騎よりも小さな子犬の群れが姿を現した。
(戦闘力はなくてもその守りの硬さ厄介ね……! なら、それを発揮させないようにするまで!)
「『地の奥深くに眠る秘めたる力を呼び覚まし、無垢なる土を塑造し、生命の息吹を吹き込む。土塊の人形よ、今こそ目覚め、我が意の侭に動かん』……来たれ、土の兵士たち!」
|黒蛇の妖精竜騎《ウロボロス》のコクピットでヘルゲは杖を手に詠唱すると、|黒蛇の妖精竜騎《ウロボロス》の周囲の地が隆起し、ゴーレムが姿を顕した。
「ゴーレムたち、子犬たちを頼むわよ!」
ヘルゲの指示する声は|黒蛇の妖精竜騎《ウロボロス》の口から周囲へと発せられ、|土像兵《グランドゴーレム》たちへと行き渡る。子犬たちを追い払うように|土像兵《グランドゴーレム》たちは駆けていく。
「まだ手が空いてるゴーレムたちは攻撃ー!」
子犬の対処からあぶれたゴーレムたちは、護りの為に呼び出した子犬たちが散り散りに追い払われて戸惑う猟犬獣騎へと|黒蛇の妖精竜騎《ウロボロス》と共に向かっていく。
「数には数で対抗ってわけ、これが天才魔導士の実力よ!」
コクピットの中で、ヘルガは自慢げに胸を張るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
やーん、かわいー!
獣騎のセンスってどうなってるの?
それとも油断させたり攻撃を躊躇わせたりする為にあえてこれ?
とにかく人間を襲ってるのは止めなきゃね!
相手の数が多い時はこれ、シェイプ・オブ・ウォーター!
騎士さん達には村人の戦場からの避難をお願いすれば、きっと皆実力を発揮できるはず。
でもワンちゃん達はどうかな?
うちのテルビューチェみたく、深海適応できるかな?
どんなに能力が強化されても、この環境じゃサメの方が有利だよねぇ?
そしたら後は水中戦で決着をつけるよ!
噛まれたら噛みつき返す!
騎士らしくはなくても、テルビューチェは暴力的な戦い方じゃ負けないよ!
そしてうるうも負けない。
そう、かわいいって所じゃね!
●
「やーん、かわいー!」
|二足鮫の忘幽機《テルビューチェ》のコクピットから確認できる光景に杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は思わず歓声をあげた。見た目はかわいい子犬がじゃれついているが如しなのだ。あくまでも見た目は、なのだが。
「油断させたり攻撃を躊躇わせたりする為にあえてこれ?」
思わず|獣騎《バルバ》のセンスに疑問を抱いてしまう潤であるが、そういってる間にも猟犬獣騎は騎士たちに襲い掛かっている。
「騎士さん達は村人の戦場からの避難をお願い!」
「わ、わかった……!」
騎士たちに村人たちの誘導を任せ、潤は|愛機《テルビューチェ》を駆り猟犬獣騎の只中に立つ。
「ワンちゃん達にこれはどうかな?」
潤の言葉と共に周囲一帯の雨雲らしきものが見えない空から雨が降り出す。それは普通の雨ではなく、潤のユーべルコードによる炭酸水の雨。徐々に雨脚は強くなり、滝のような雨はさながら水中に居るような感覚を抱かせる。
「深海適応できるかな? でも、この環境じゃサメの方が有利だよねぇ?」
煽るような口調は、|本人の性質《ちゅうにびょう》ゆえに零れ出たものか、素のものか。猟犬獣騎たちや猟犬獣騎が集めた犬たちは炭酸雨に押し流されるように動きを戒められ、|二足鮫《テルビューチェ》にその牙を届かせる事が出来ない。
「騎士らしくはなくても、テルビューチェは暴力的な戦い方じゃ負けないよ!」
篠突く炭酸雨の中を泳ぐように立ち回る|二足鮫の忘幽機《テルビューチェ》が、猟犬獣騎をその牙で喰らいついて倒していく。その姿はまさに水中から獲物を襲う鮫のそれだ。
「そしてうるうも負けない」
いつしか炭酸雨は止み、|二足鮫の忘幽機《テルビューチェ》がコクピットの潤にあわせてポーズを取る。
「そう、かわいいって所じゃね!」
魔法の力を得た、魔女コスプレ娘は最強なのだ。だって、ほんとうにユーべルコードという“魔法”が使えるのだから。
大成功
🔵🔵🔵
カレワド・ルーメ
「(我が師よ、自由に成られて久しいと思えば、このような縁でお会いするとは…)」
縁者が戦前に顔を出しては気不味く感じられると思い、外套で顔を隠して書状を借り受けます。
「(尖兵か…小犬の様相とは侮れず、怨みもあろうが…)」
戦いを前に自身の借機を最前線に出して以下の誓いを起てます
「我、騎士として民草を護り、後に下がる事なし」
もう一度相手の軍勢に視線を向けた後
「重ね、騎士として敵と至れど無益に手を下さず、正対にて決さん!」
借機の槌で、獣騎の手足を砕いたり、腹を打って悶絶させる方法で戦い、召喚された小犬達には手を出さず、旋回と前進のみで正々堂々と戦場で立ちはだかります。
●
(我が師よ、このような縁でお会いするとは……)
カレワド・ルーメ(探求の騎士・f45404)は、己の面相と、転送前の予想外の再会への驚きを隠すように外套で顔を隠して辺境の地へと降り立った。
カレワドもまたこの地方に縁がある身であり、|人造竜騎《キャバリア》を拝領された身ではあるのだが、ひとの暮らしがそう遠く離れていないこの戦場では相性が悪い。それ故に汎用騎を借り受ける事を選び、借り受けた|人造竜騎《キャバリア》で前線へと立ち、竜騎用の戦槌を構える。
(小犬の様相とは侮れず、怨みもあろうが……)
|百獣族《バルバロイ》側の言い分も、理解する。何しろ、己の竜騎のその性質は、過日のひとの罪業の象徴のようなものだ。だからとて、今を生きる無辜の人々を蹂躙するのを見過ごすのは、騎士としても、戦う力を持つものとしても許せる事ではない。
「――我、騎士として民草を護り、後に下がる事なし」
戦槌を構えたまま、そう告げる。それは、誓い。
猟犬獣騎を見据えたまま、カレワドは続ける。
「重ね、騎士として敵と至れど無益に手を下さず、正対にて決さん!」
誓いを重ねて、カレワドは更に猟犬獣騎に向けて竜騎の歩を進める。滑らかに進み来る竜騎に対し、猟犬獣騎達は己の身を護る為に小犬たちを喚びだし、防御を固めようとする。
(流石に小犬たちに手は出せないな……)
|獣騎《バルバ》ごと打ち払えば簡単だが、立てた誓い――敵と至れど無益に手を下さず――に、抵触してしまう。其れならばとカレワドは騎体をさらに前線へと向ける。迫る小犬には武器を振るわず、騎体の動きだけで怯ませ、猟犬獣騎には容赦なく戦槌を振り下ろす。
己より先に|獣騎《バルバ》を進ませぬと誓ったその立ち回りは、まさに先の宣誓に即した正々堂々とした、誠実な騎士のそれであった。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
この世界は辛いね
けど今を生きる人にもう罪はない
バルバたちは過去の残滓
もう一度瞑りについてもらうしかない
俺達はキャバリア持ってないから
有難く紹介状使わせて貰うね
「申し訳ないけど助かるよ」
貸してくれる人にお礼も言って
馬とか俺のククルカンにするみたいに
騎乗出来るタイプの借りるね
「宜しくだよ!」
その上で白燐武空翔詠唱
「上手く立ち回って!」
ククルカンには併翔するよう頼む
陸井の黒龍ともで全員突撃
うん、ちょっと見た目が可愛らしすぎて
可哀想になるけどそれはそれ
駆け込み薙ぎ払って
ククルカンにも攻撃指示
キャバリアが傷められそうなら庇って
「借りたの壊す訳にいかないしね!」
しっかり倒すよ!
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
この世界での戦いには初めてだけど
罪もない人々が襲われるのなら
俺達は迷わずに向かうよ
敵のサイズの事もあるし
相棒と相談してキャバリアは
有難く借りて使わせてもらう
「ちゃんと大事に扱って、返しに来るからな」
御礼も一緒に伝えてから
お互い騎乗タイプのに跨って
すぐに戦場へ
「頼りになるな、頼んだぞ」
敵へ突撃しながら
相棒と合わせて空中に文字を
「まずは突進で体勢を崩してくれ」
黒龍に指示をしながら
二筋の力と二機で突撃だ
見た目で騙されそうだけど気が抜けない
相棒と合わせて黒龍と自身で全力攻撃だ
敵が体勢を崩したら関節を狙い
動きを止めながら確実に銃撃で仕留める
「この機体は大事にしときたいんでな」
●
「申し訳ないけど助かるよ」
「ちゃんと大事に扱って、返しに来るからな」
|銀の雨降る世界《シルバーレイン》の能力者の出である葛城・時人(光望護花・f35294)と凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)は、猟兵となるまで人造竜騎はもちろん鋼鉄騎とも縁遠く生きてきた。|鋼鉄騎舞う世界《クロムキャバリア》には、縁あって赴いた事はあるが、その時も鋼鉄騎に乗り込む機会は無かった。
しかし、この世界は対峙するのがその身の丈、5mにも及ぶ獣騎と相対する世界なのだ。流石にひとの生身で渡り合うのは至難ということで、二人は竜騎を借り受ける選択をした。できれば、感覚イメージの掴みやすい騎乗型の竜騎があればと希望し、なんとか見つけ出された騎体を一時の乗騎と定める。
時人が借り受けた騎体は|白羽の白燐蟲《ククルカン》と、陸井が借り受けた騎体は戦文字で呼び出す黒龍に、其々どことなく似た二体の竜騎の背に乗って、二人は戦場へと翔ける。
「――この世界は辛いね」
駆ける竜騎の背で、時人が零した。猟兵がこの世界へ訪れる事が出来るようになってから、それなりの時間が経っている。故に、この世界が直面する状況は聞き及んでいた。それでも、そう零さずにはいられなかったのだ。
「そうだな。でも、罪もない人々が襲われるのなら」
「うん。今を生きる人にもう罪はない、からね」
今を生きる、抗うちからのない人々が危機に瀕している。それは、護る事を至上とする二人が戦う理由として十分すぎるのだ。その意識を確認しあったところで、眼下に猟犬獣騎達の姿が見えてくる。
先行していた猟兵たちの活躍もあってか、猟兵と騎士たちに優位に状況が傾いているようで、二人は安堵する。
「『輝けるその白き翼もて征けククルカン!』」
「『さぁ、その黒き身で空を駆けろ。昇龍。』」
しかし、そこで気を緩める二人ではない。すかさず同時にユーベルコードを起動する。時人の身体から巨大な|白羽の白燐蟲《ククルカン》が顕れ出る傍らで、陸井が空に綴った戦文字が墨色の龍へと転じる。
「上手く立ち回って!」
「まずは突進で体勢を崩してくれ」
指示を受けた|白羽の白燐蟲《ククルカン》と墨黒の龍が並び舞い、猟犬獣騎たちと彼等が呼び集めた犬たちへと突撃していく。
「……見た目が可愛らしすぎて、ちょっと可哀想になるな」
「見た目で騙されそうになるよな」
二体に吹き飛ばされる猟犬獣騎たちという光景に苦笑を浮かべつつ、二人は言い交わす。しかし、見た目に騙されてはいけない事は重々承知の上である。|百獣族《バルバロイ》は、オブリビオンなのだ。つまり、捨て置く事は許されない。
借りた騎体を傷めてしまうのは申し訳ないので、時に騎体を二体に護らせながら、二人は騎体を駆り、|白羽の白燐蟲《ククルカン》と墨黒の龍と共に戦場を制圧していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『剣客獣騎『ウェアウルフ』』
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POW : 凡ゆる手を尽くせ。死に勝るは須く善なれば
ランダムなユーベルコード(執筆マスターが選択)をひとつ使用する。種類は選べないが必ず有効利用できる。
SPD : 剣の合理、獣の剛気
【牙爪や強靭な尾】で装甲を破り、【捻りを効かせた長剣】でダウンさせ、【抜き放った短剣】でとどめを刺す連続攻撃を行う。
WIZ : 問う、|剣《ツルギ》の|真《まこと》とは何か?
対象への質問と共に、【自身の背後】から【十六騎の剣士】を召喚する。満足な答えを得るまで、十六騎の剣士は対象を【|達人の斬撃《マイスター・ハウ》】で攻撃する。
イラスト:落葉
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ユエイン・リュンコイス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●咆哮、|戦場《いくさば》を渡りて
「偽りの|獣騎《バルバ》――|人造竜騎《キャバリア》」
猟犬獣騎があらかた駆逐された戦場に新たな足音が声と共に響いた。人ならざる姿――二足で歩く獣姿をした足跡の主は、猟兵たちの方へと近づいてくる。
そのうちにその体躯が変わっていく。獣毛と肉の身体は、黒き鋼鉄へ。ひとと変わらぬ大きさは、徐々に大きく、人造竜騎に乗る猟兵たちと遜色のない大きさへ。
「貴殿らは知らずとも、この身は記憶している」
遥かな過去、人に駆逐された|百獣族《バルバロイ》が、|獣騎《バルバ》への変形を終える。
「|人造竜騎《キャバリア》が、人が、|聖なる決闘《トーナメント》を蔑ろにした事実を――!」
狼の|獣騎《バルバ》が、剣を構え、吼える。
それは彼の鬨の声。この辺境の村のささやかな未来を定める戦いが、始まる。
ヘルゲ・ルンドグレン
……そうね
かつての人間は恨まれても仕方のないことをした
そうなのかもしれない
だけど、だからといって黙って殺戮を許すわけにはいかないのよ!
我が名はヘルゲ・ルンドグレン!
そして、その愛騎たるウロボロス!
名乗りなさい、その身に誇りを宿すなら!
今度は聖なる決闘にて貴方を打ち破る!
なんて言ってみたけど、接近戦は苦手なのよね……!
でも、弱気は言ってられないわ!
炎の蛇よ!
魔法障壁で装甲を破られないよう耐えつつ、魔法発動
剣を振るう腕に炎の蛇を絡み付かせ、そのままウロボロスも敵の体に巻き付かせるわ!
これだけ近ければ剣も振るえないでしょ……どちらが先に炎に焼かれるか、根競べといきましょう!
●
剣狼騎の声へ真っ先に応じたのは、|黒蛇の妖精竜騎《ウロボロス》。
(……そうね。かつての人間は恨まれても仕方のないことをした)
|黒蛇の妖精竜騎《ウロボロス》を駆る騎士――ヘルゲ・ルンドグレン(魔導騎士・f44787)の生家は騎士の家系である。それ故に、ひとがかつて為した行いについても知識として、歴史として教えられた。騎士の家の者として、ひとの罪業を忘れる事など許されなかったのだ。
(だけど、だからといって黙って殺戮を許すわけにはいかないのよ!)
|罪業《それ》を認める事と、今目の前に突き付けられんとする殺戮を見過ごす事を、並列して語って良いものではない。だからこそ、|黒蛇の妖精竜騎《ウロボロス》の内に表情を隠してヘルゲは剣狼騎の前に立ち、名乗りを上げる。
「――我が名はヘルゲ・ルンドグレン! そして、その愛騎たるウロボロス!」
「――剣客獣騎『ウェアウルフ』」
己を鼓舞するようなヘルゲの名乗りに対し、剣狼騎は静かに己が名を告げた。
「聖なる決闘にて貴方を打ち破る!」
魔導騎士であるヘルゲにとって、剣客である剣狼騎は相性が良くないといってもいい相手。恐らく十全な状態で懐に入られたら不利だろうと判断したヘルゲは、そう宣誓すると同時に火炎蛇を魔法で呼び出だし、剣狼騎の武器持つ手を縛り、引き寄せる。
「ここまで引き寄せたら、剣も振るえないでしょ」
「剣の間合いから判断するか――しかし!」
火炎蛇の炎に焼かれながら、剣狼騎は己自身を武器に黒蛇へとその爪牙を立てようとするが、火炎蛇の戒めがそれを許さない。
「それも、承知の上よ! どちらが先に炎に焼かれるか、根競べといきましょう!」
ヘルゲの声に応えるように、|黒蛇の妖精竜騎《ウロボロス》が咆哮をあげた。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
狼っぽいキャバリアだ!
こっちは鮫、戦場は地上だけど……負けないよ。
なんてったって鮫は海陸空どこでも戦えるからね、映画で見たでしょ?
それはともかく、昔の事で反省もしてる今の人を責めるのはちょっと理不尽じゃない?
気持ちは分かるけど……こーゆーのは止めなきゃね、テルビューチェ!
剣の真なんて魔法使いのうるうに聞かれても困っちゃう。
それは生まれつきの戦士たるテルビューチェの剣に聞いてね!
魔法で水になったテルビューチェはもう絶対に壊れない。
うるうもスーツの衝撃吸収機能で守られてるし、相手が17人でも耐えて見せる。
後は望み通り剣で勝負して答えを教えてあげてね、テルビューチェ。
きっと満足させられるから!
●
未だ火炎蛇の炎により燻り煤煙を上げる剣狼騎の前に続いて立つのは、杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)が駆る|二足鮫の忘幽機《テルビューチェ》だった。
「狼っぽいキャバリアだ!」
「|獣騎《バルバ》……いや、異界の騎体か」
少なくとも剣狼騎はこの世界で鮫系の|百獣族《バルバロイ》の知己は無かったようで、|二足鮫の忘幽機《テルビューチェ》がこの世界由来ではない事を即座に見抜いていた。
「こっちは鮫、戦場は地上だけど……負けないよ」
「負け戦の心算でかかってくる無謀ではないか」
その言葉と共に鮫歯の木剣を構えれば、剣狼騎もまたその武器を構える。
「……昔の事で反省もしてる今の人を責めるのはちょっと理不尽じゃない?」
「では|百獣族《われわれ》が味わった無念と屈辱をどうしろというのか?!」
咆哮のような問いかけと共に、剣狼騎の背後が揺らぐ。其れは剣狼騎と似て非なる剣士たち。剣狼騎とあわせて十七の剣が|二足鮫の忘幽機《テルビューチェ》へと向けられる。
(気持ちは分かるけど……こーゆーのは止めなきゃね)
剣狼騎の言わんとする事も判るが、受け入れられるかといえば別の問題だ。何しろ猟兵として経験こそ積んではいるが、潤は戦乱とは表向き無縁の世界出身の少女であり、剣士でも騎士でもなく――“魔法使い”なのだ。
「――テルビューチェ!」
潤の声と共に、|二足鮫の忘幽機《テルビューチェ》の機体が一瞬揺らいだ。何か攻撃の予兆かと、剣狼騎と剣士たちが迎え撃たんと動く。
「な――」
しかしその剣先は|二足鮫の忘幽機《テルビューチェ》は勿論、その裡の潤をも傷を負わせることはできない。潤の魔法で見た目こそ鋼のままに水へと転じた|二足鮫の忘幽機《テルビューチェ》は、剣の攻撃を受け止め散らす。
「生まれつきの戦士たるテルビューチェの剣なら!」
きっと、無念と復讐に染まる剣狼騎へ何かを示せる筈だと信じて、潤は|二足鮫の忘幽機《テルビューチェ》を躍らせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
相まみえたら竜騎の上で目礼して
「君の慟哭は尤もだと思う」
先ずそれを伝えるよ
正確に何が起きたか判らない
まして遠い過去の彼方
言い分の正誤すら不明でも
それが彼等の真実なのは分かるから
肯定はする、でも
「でも…悪いね」
錫杖を握り真っ直ぐ見て
「俺達は、今を生きる者達を蹂躙するのは許せない」
祖先に罪があったとしても
今の人たちに命で償わせるのは間違いだ
だから戦う、倒すよと告げて
高速・多重詠唱で自分と陸井に白燐奏甲を
舞い飛ぶ蟲が戦いの合図
せめて俺達は一切の卑怯なく戦おう
望むように人造竜騎で正々堂々の突撃を
切り結び飛び退り全力で打ち据え
ただ己が凡てを以て戦い続け
相棒の全力の一撃を導こう
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
狼のバルバか
まずは言葉に答える為にも
相棒に習って俺も礼を
「それは貴方にとっての正義なんだろうからな」
きっと、彼らの言い分も
その正義を行うに相応しい理由なんだろう
本来なら何が起きたか分からない俺達が
してはいけないのだろうけど
それでも、これは譲れない事だ
「今を護る為に、許す訳には行かない」
先に言葉を紡いだ相棒も同じだろう
だからこそ此処で倒し切る為にと
全力で、正面から行かせてもらう
「合わせるからな。頼んだ、相棒」
時人からの支援を受けて突撃
慣れない人造竜騎での戦いと
敵の攻勢で隙は中々生まれない
それでも必ず相棒が道を開くから
俺はそこに全てを賭ける
「この一撃で、終わりにする」
●
「――|人間《ひと》の、旧い騎体か」
剣狼騎の前に降り立つのは白と黒の騎体。葛城・時人(光望護花・f35294)と凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)が借り受けている騎体は主流の騎体と異なり、騎乗するものだ。それを旧いものと知る程度には過去から滲み出てきたのだろう。
そんな剣狼騎を見据えた二人は、竜騎の上から剣狼騎へと礼を示す。
「君の慟哭は尤もだと思う」
「それは貴方にとっての正義なんだろうからな」
二人は未だこの世界の事には明るくない。
|百獣族《バルバロイ》を襲った悲劇は遥かな過去の彼方であり、過去から滲みだした――即ちオブリビオンである彼等の言い分の真偽を図る事も既に厳しいのだ。それでも、彼等の言葉は真実なのだろうと、二人は思う。
――それでも、二人には、猟兵には、譲れぬものがあるのだ。
「でも……悪いね」
そう言った時人が手にする錫杖の銀鎖が微かな音を立てた。
「俺達は、今を生きる者達を蹂躙するのは許せない」
「――そうか、汝等は、過去の嘆きよりも、現在に残る非道を選ぶのか」
時は不可逆なるもの。で、あれば、過去が今を覆す事を黙して流すわけにはいかないのだ。
「今を護る為に、許す訳には行かない」
「祖先に罪があったとしても、今の人たちに命で償わせるなんて言うのは、許されないよ」
剣狼騎の吐き出すような言葉対し、二人は改めて自分たちの意を示す。
「ならば、その技で止めて見せよ!」
剣狼騎の咆哮のような声と共に、歴戦の二人の意識は即座に戦闘に臨む意識へと切り替わっていた。
「合わせるからな。頼んだ、相棒」
「任せて!」
|白羽の白燐蟲《ククルカン》が、二騎の周囲を燐光のように舞う。それは二人に力を与えると共に、剣狼騎の視界の妨げとなって、その動きを鈍らせる。
「この一撃で、終わりにする」
剣狼騎と時人が渡り合っている間に、陸井が死角から距離を詰めていたことを気づけなかったのはそれ故か。
気づいた時には、既に陸井は剣狼騎に肉薄し、己の行動力と引き換えにその力を解き放つ瞬間だった。
大成功
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カレワド・ルーメ
「汝の言、我ら逃れること能わず
故にこそ、我ら円卓の騎士、人の悔恨、獣の怨恨を負うが使命」
借機を堂々と眼前に進ませ、誓いを宣言します。
「我、騎士として、戦技によってこそ眼前の戦士を打ち倒さん!」
「竜の加護は人々の護りの為に、戦士を打ち破るは人が培いし技にあり…
此処より先は通さず、怨まれるなればこそ、我が挑戦を受けられよ…!」
宣言通り、借機のキャバリアの能力は村を襲おうと通り抜けんとする時にのみ、それを防ぐ為に使い、強敵との戦いでは騎士としての操縦技能と培った戦技にて打倒を試みます。
(POW主要技能:矜持を示す・地道な努力)
●
「汝の言、我ら逃れること能わず」
剣狼騎の前にその言葉と共に進み出たのは、借り物の汎用騎体に乗ったカレワド・ルーメ(探求の騎士・f45404)だった。
「故にこそ、我ら円卓の騎士、人の悔恨、獣の怨恨を負うが使命」
「成程、偽りの|獣騎《バルバ》を真に駆る力を持つ者か」
今は借騎に乗るカレワドの真を見抜いた剣狼騎はそう言うと剣を構える。其れに応じるように、カレワドもまた、戦槌を構え、相対する。
「我、騎士として、戦技によってこそ眼前の戦士を打ち倒さん!」
そして紡がれるのは、騎士の宣誓。古えに人類が軽んじてしまった|聖なる決闘《トーナメント》の定めを準えるかのように、その宣誓は続く。
「竜の加護は人々の護りの為に、戦士を打ち破るは人が培いし技にあり……此処より先は通さず、怨まれるなればこそ、我が挑戦を受けられよ……!」
「その挑戦、応じよう! 我が剣、我が挑戦、乗り越えてみせよ!」
矜持の戦槌と怨讐の剣が、此処に火花を散らす。
「死に勝るは須く善なれば」
騎体こそ異なるが扱う武器は同種の戦槌であるカレワドの動きに合わせるように、剣狼騎が剣を繰り出す。受け止め、返される事、数合。
「我が誓い、此処に成就せん――!」
騎士の戦槌が、剣狼騎の剣を打ち砕いた。
●
「――此れが今を生きる人間の矜持か」
獲物を砕かれた剣狼騎は、此処に至るまでの戦いで既に満身創痍となり果てていた。故に過去より滲み出てきたその身は、既にこの世界で維持する事は厳しく、少しづつ塵になるかのように消え失せていく。
|百獣族《バルバロイ》たちは世界の外側――骸の海より滲み出る、ある種の幻影に過ぎない。しかし、この辺境に訪れていた危機かは、今確かに退けられたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『お祭りへ行こう』
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POW : 祭りの出店を見て回る
SPD : 大道芸を披露する
WIZ : 他のお祭り客と話してみる
イラスト:十姉妹
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●三日月祭
エルロンド地方には夏の始まりの三日月は魂を載せて星光の川を渡る船であるという言い伝えがある。
いつかに亡くしたあの人が三日月船に乗り一夜帰って来ることを、近くに亡くしたあの人が三日月船で無事に彼岸へ旅立てることを、祈り願う祭を三日月祭という。人々は、三日月祭当日に星光の川が途切れぬよう晴天であるようにと天へ祈り、祭りに備える。歌い、踊り、賑やかなそれは、弔いであり、祈りの祭りである。
事実その人に会えるのかどうかは、誰も判らない。それでも、人々はそれを|縁《よすが》に、生きているのだ。
●月は星を渡りて
猟兵達を案内する騎士たちが村へ向かう道中に、祭りのあらましをそう教えてくれた。そして、今夜がまさに三日月祭の当日であるとも。
そんな話を聞きながらたどり着いた村は、つい数刻前まで危機に瀕していたにもかかわらず、祭りの気配が色濃くあった。見回せば、ささやかながらも屋台がいくつか出ている。聞けば、流しの商人たちも混じっているため、普段なら手に入り難いものも手に入るのだとか。村の中ほどにある広場には人々が集まり、気が早い村人が酒を飲み始めていたりする。もう少し時間が経ち、日が暮れてくると、松明が灯され、その灯りのもとで人々は歌い踊るのだそうだ。
無事に祭りを迎える為に尽力した騎士として、猟兵達は村に迎えられる。
「無事に祭りが出来て良かったよ」
「もしかしたらあの|百獣族《バルバロイ》も、会いたい誰かが居たからやってきたのかもしれないな」
そんな事を言い交わしながら祭りの準備にいそしむ人々は、存外強かなのかもしれない。
杓原・潤
うん、お祭りはちゃんとやれそうだね。
良かった良かった、皆楽しそう!
これは……お盆みたいなもんかなぁ?
まぁお祭りはお祭りってだけで楽しいよね!
百獣族の気持ちも分かるんだけど、うるうは魔法使いだもん。
こーゆー今を生きてる人達の幸せを守るのが仕事、だよね!
さーて、守った分うるうも楽しまなきゃ!
屋台もあるなんて良いじゃん、何か食べようかな?
この世界のお祭りフードがどんなのか気になる!
普段は手に入りにくいものって言うのも何かなぁ、掘り出し物とかある?
ねー、見せて見せて!
ついでにおまけして!
ねぇ、お願ーい!
そんな感じでうるうのかわいいおねだりを駆使して、お祭りをめいっぱい楽しんじゃえ!
●
(これは……お盆みたいなもんかなぁ?)
村の様子を見ながら杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は、自分の故郷の風習を思い出していた。
死者が還ってくるかもしれないという意味では確かに近しいといえるだろう。
(まぁお祭りはお祭りってだけで楽しいよね!)
しかも自分たちが護った祭り。人々の楽しそうな様子も相まって、潤自身も楽しくなってきて、踊るような足取りで村の広場の方へと向かう。
広場では既に宴が始まっている状態で、酒を飲みながら村人たちや騎士たちが一足先に肉料理等を食していたり、その傍らで、商人に同道してきたと思われる吟遊詩人や芸人たちが歌い踊っている。
(うんうん。うるうはこーゆー今を生きてる人達の幸せを守る魔法使いだもんね!)
|百獣族《バルバロイ》の気持ちもなんとなく分かってしまうのだが、それで誰かが不幸せになるのは違う気がする。
「さーて、守った分うるうも楽しまなきゃ!」
折角なら先ずは何か食べようと見回せば、見慣れた屋台を見つける。
「海の向こうから伝わってきたクレープって食べ物だよ、お嬢さんもどうだい?」
潤が食べ慣れた――むしろ好物のひとつであるそれは、どうやらこの村では珍しい異国のメニューにあたるらしい。
(まさかこんなところでクレープが食べられるなんて思わなかった!)
果物のジャムがたっぷり塗られたクレープは、故郷の街中で食べるものに比べたら生クリームやアイスが使われてるわけでもなく、見栄えとしては質素なのだがその分果物の味をしっかり味わえて、ほんの少し新鮮な気持ちになる。
その後も潤は屋台の店主たちにおねだりを駆使して、祭りを楽しむのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ヘルゲ・ルンドグレン
うーん、なんとか無事に祭りを行えるようになってよかったわ!
それにしても三日月の船に乗って、なんてロマンチック!
アタシとしては、そういった言い伝えが生まれた経緯にも興味があるけれど……こいう古い魔術的な要因が絡んでることも多いもの
でも、それはまたの機会に考えましょうか。
今は素直に楽しむのが大事!
屋台も出ているみたいですから、食べ歩きをしてみましょうか
ふふん、各地を旅する醍醐味だもの
ここにはどんな美味しい食べ物があるのかしら?
お酒は飲めないから食べ物中心に屋台巡り
村人たちが集まってるところにも寄って一緒に美味しい物を食べて盛り上がっちゃいましょ!
●
(なんとか無事に祭りを行えるようになってよかったわ!)
ヘルゲ・ルンドグレン(魔導騎士・f44787)も、祭りが無事に行われる事に安堵していた。
(こういうのって、古い魔術的な要因が絡んでることも多いんだけど……)
祭りのあらましを聞くと、魔導騎士としては祭りの成立経緯も気になるところではあるのだが。
(でも、それはまたの機会に考えましょうか)
年頃の少女としてはやはり星光の川を渡る三日月船という、御伽噺のようなシチュエイションに心惹かれてしまう。
「三日月の船に乗って、なんてロマンチックなお祭りなんだもの。今は素直に楽しむのが大事!」
折角この世界の各地を旅しているのだから、初めて踏み入れた地は楽しまなくてはと、ヘルゲは屋台が立ち並ぶ方へと足を向ける。
辺境に近い村なので、素朴な料理が中心に並んでいるが、流しの商人が連れてきたらしい海の向こうから来たという料理をふるまう屋台が混じっていたりする。
「旅の騎士さま達にも楽しんで貰えてるようで何よりだ!」
そんな屋台で色々と買ったもの手に広場へたどり着けば、村人も騎士も賑やかに祭りを楽しんでおり、ヘルゲに気が付いた者が声をかけてきた。
「お酒は飲めないから食べ物中心になんだけどね」
「祭りを楽しんでくれるのが一番だ。三日月船や星光の川が曇っちまうからな」
そんな人々と話すうちに、これまでに訪れた地の話を聞きたいと言われて話すうちに、気が付けば吟遊詩人たちまで合流し、一緒に語る事になっていた。
(皆が盛り上がってくれるのが一番よね。……別に話を盛ってるわけじゃないし)
少し気恥しい気持ちを抱えつつも、ヘルゲは耳を傾けてくれる人々の期待に応えるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
お祭り無事に開けて良かった
俺達の望みはいつだって何処の世界でも
市井に生きる人たちの日常を護る事だから
「騎士扱い、面はゆいけど嬉しくもあるね」
今日の俺達は確かに戦って護れたし
見回りながら声を掛けられたら笑顔で相対するよ
杯も食べ物も拒まない
俺は今を生きる彼等に罪は認めないしね
「良いお酒みたいだね」
器にたっぷりお願いしてから外れに出て
倒した百獣族と過去の死者たちに献杯しよう
「うん、一緒に行こ」
過去を知る者が杯を献じることで
慟哭や怒りが少しでも収まるようにと
少しでも安らかに、と
「何時か凡てほどけたら良いね…」
俺が今日三日月へ向ける願いはそれだよ
今は叶わなくても何時か、きっと
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
これで祭も無事開催だな
平和に安心して賑わうこの時間が
どんな世界でも、やっぱり良い物だ
「護り通せたからこその騎士扱いだろうしな」
だから本当に良かったよと話して
自分たちが護れた事を確かめるように見回るよ
安堵で皆酔いも早いだろうし一緒に飲みながら
祭を味わい尽くしていこうか
「うん、確かにいい酒だ」
杯を飲み干していると時人が追加を貰ってる
珍しいなと思ったが、意図は分かった
「時人、俺も行くよ」
こっちもたっぷりと酒を注いで
相棒と共に、彼らと過去に献杯を
今を生きる人達に何も罪はないけど
過去にあった事は俺達が忘れないで居る
その事に救いがある事を祈って
「今日は弔いの祭だからこそ、だな」
●
「騎士扱い、面はゆいけど嬉しくもあるね」
「でも、護り通せたからこその騎士扱いだろうしな」
|銀の雨降る世界《シルバーレイン》からやってきた能力者である二人――葛城・時人(光望護花・f35294)と凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)は、人々からの労いに応えながらそんな事を言い交わしていた。
初めて訪れたこの世界を理解しようとするかのように、自分たちがこの地を護れたのだと確かめるように、ゆっくりと散策する二人へ、村人たちだけでなく戦場でその姿を見ていた騎士たちが声をかける。
そうしているうちに、二人が成人しており飲酒も可能である事が、「こちらの騎士さま達はいけるクチだぞ」というように変化して人々へ伝わる。それ故に、人々が次々に酒を振舞ってくのを、二人は笑顔で受け入れる。
人々を護る事を何よりも大切にする二人にとっては、どんな世界でも市井に生きる人々が平和を満喫しているのを共にできるこういう時間は何にも変えられない時間のひとつなのだ。
「良いお酒みたいだね」
「うん、確かにいい酒だ」
この地で振舞われている酒は、二人の故郷でいう洋酒の類であり、故郷の酒とはまた異なるものだ。それでもこの酒が彼等にとって「とっておきの品」であることは、その口当たりと風味で直ぐに理解できた。故に、自分たちだけでなく皆でと提案すれば、村人たちから歓声があがった。
●
そうして祭りの賑わいを楽しんだ後。二人は村で分けてもらった酒を手に、先刻の戦場近くまでやって来ていた。
「今日は弔いの祭だからこそ、だな」
「この世界に、こういう風習があるかはわからないけど」
倒した|百獣族《バルバロイ》達、それから、過去の死者たちへ。二人は杯を捧げる。
「過去にあった事は俺達が忘れないで居る」
「――だから、少しでも安らかに」
杯を手に空を見上げれば、三日月が昇ってくる所だった。
|百獣族《バルバロイ》達はオブリビオンになってしまったけれど、その慟哭や怒りが収まる可能性までは否定したくないのだと、そんな思いと願いを時人は三日月へと向ける。
「何時か凡てほどけたら良いね……」
そう零した言葉に応えるように、月の傍らで星が瞬いた。
大成功
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カレワド・ルーメ
先程まで戦禍が迫っていたと言うのに、滞りなく祭りの準備進め、商人までやってくる様には、感心を覚える他ない。
祭りを流し目で見て廻る中で、共に戦列を並べた騎士を見つけたら、こう労おう
「良くぞ護った、貴公らのような騎士と並べて誉れ高く思う。
その奮闘がなければ、この祭りと無辜の命は、どうしても損なわれていただろう。
私は城へ戻る故、その健闘を我が主(マイロード)に伝えよう」
夜中の賑わいが増すと共に、その中を避けるように潜り抜け、静かな畔で月を見上げる。
感傷に思うようこともない、静かな月明かりを浴びながら、祭りの裏で今で終わらぬ戦後処理を手伝いへ向かおう。
賑わいは嫌いではないが、混ざるのは苦手である。
●
カレワド・ルーメ(探求の騎士・f45404)は、この地方の出身である。とはいえ、普段は円卓の騎士のひとりとして城に詰める身である事、そして彼自身の性分も相まって、三日月祭を楽しむという選択肢は今まで無かった。
(先程まで戦禍が迫っていたと言うのに、滞りなく祭りの準備が進んでいるとは)
しかも、旅の商人までやってきているのだ。
改めて目にする市井の人々の逞しさは、|百獣族《バルバロイ》達と相対する騎士とはまた違った強さだと、カレワドは感心していた。ただ、表情があまり表に出ないためか、半妖精であるが故なのか、若干近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。そんなカレワドが流し目で巡る様子は、祭りを楽しむというよりも、さながら警邏の騎士のようだった。
「あ、あのう……お城の、騎士様ですよね」
そんなカレワドに向けて、若い騎士の一人が恐る恐るといった体で声をかける。
この地方の中核である湖畔の城は、辺境に詰める騎士たちにとってはある種のあこがれとなっているらしいという事はカレワドも知っていた。そんな感情を向けられ慣れていないカレワドは内心不思議な気持ちを抱く。
「良くぞ護った、貴公らのような騎士と並べて誉れ高く思う。その奮闘がなければ、この祭りと無辜の命は、どうしても損なわれていただろう。城へ戻った際には、その健闘を|我が主《マイロード》に伝えよう」
騎士の言葉に頷いて応じた後、カレワドは裡に抱いていた労いを口にすれば、その言葉に周囲で耳をそばだてていた騎士たちまでもが歓声をあげた。
そのままの勢いで賑わいの中心へ導かれそうになったカレワドは、すり抜けるように祭りの賑わいから外れた畔へと足を向けていた。
(……賑わいは嫌いではないが、混ざるのは苦手だ)
彼方から聞こえる祭りの喧騒を耳にしながら月を見上げた所で、騎士たちがあれだけ祭りを満喫していたのなら、戦後処理がまだ終わっていないのではなかろうかと思い至る。
(丁度良い。手伝うとしようか)
騎士たちの詰め所へと向かうカレワドを、月が静かに見守っていた。
大成功
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