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湿地の村に住まうカエルを守ろう

#獣人戦線 #戦後 #幻朧帝国 #【Q】 #アジア戦線 #カエル

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●敵は空に
 グリモアベース。
「獣人戦線の世界でまた一つ事件が予知されたよ。被害を出さないように皆の力を貸してくれないかな」
 そう猟兵達に呼びかけるのは狐獣人の姿をした饗庭・樹斉(沈黙の黄雪晃・f44066)という人造灼滅者のグリモア猟兵。

「今回向かってほしいのは東南アジアの湿地にある隠れ里っぽい村だね。そこに多く住んでいるのは……カエル獣人。湿った場所が住みやすいらしくてあまり他の種族とかはいない村みたいなんだけど、どうにも今回そこに幻朧帝国が逢魔弾道弾で破壊工作を仕掛けようとしてるみたいなんだ。それが成功したら村は逢魔が辻になって滅んじゃうから、どうにか逢魔弾道弾が起爆する前に仕掛けに来たエージェントを撃破してほしいっていうのが今回の依頼になるよ」
 そう樹斉は空中に文字を浮かべつつ説明すると、今回やって来るエージェントについての情報を語る。

「今回来るのは『空軍大尉・戸波鈴仙』ってカラスのオブリビオンだね。翼で空飛びながら足で持ってるライフルで狙撃してくる厄介な敵だよ。呪術師の家系でデアボリカスナイパー的な獣呪術を込めた呪いの弾丸で攻撃してくるから注意してね。それに飛び回る速度も結構あるみたいだから攻撃当てるのも大変かも……まあ皆なら何とかできる筈だよ!」
 そう期待の言葉を樹斉は述べつつ、空中に浮かべた文字を操りながら転送の準備を開始する。

「ちなみに村に住んでるカエル獣人は温厚なんだけど……何というか、忍者? 日本の方からこの地に移住してきたカエル獣人の子孫らしくて、素早く身軽に動いて敵を仕留めたりしてきたみたい。だけどあまり銃器とかは使い慣れてないみたいで、空から狙撃してくる相手には手も足も出ず負けちゃうってのが予知で見えたんだ。こう、遠距離戦の鍛錬を手伝ったりしておけばエージェントとの戦いでも上手く遠距離攻撃で支援とかしてくれるかもしれないよ。まあ猟兵が頑張らなきゃいけないのは前提だけどね!」
 それじゃ、頑張っていこうと狐のグリモア猟兵は明るい声で話を締め括り、猟兵達を東南アジアの蒸し暑いカエル獣人の村へと転送したのだった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 有毒ではないようです。

 第一章は東南アジアのカエルの村で兵士と鍛錬しましょう。
 忍者めいた素早い動きを得意としているようですが、銃器の扱いは苦手なようです。
 第二章は『逢魔弾道弾』を持ち込んでくる『空軍大尉・戸波鈴仙』との戦いになります。
 こちらは断章で冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらもご確認下さい。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 日常 『鍛錬あるのみ!』

POW   :    真っ向から力をぶつけ合い鍛え上げよう!

SPD   :    速度や技術を競って磨き上げよう!

WIZ   :    戦術や戦略、獣呪術を活用した戦いを試してみよう!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!



●森に隠れるカエル達
 東南アジア某所にある湿地の隠れ里。
 木々に囲まれたこの地へとやってきた猟兵達を、住人であるカエル獣人達は警戒と好奇、そして尊敬混じりで迎え入れた。
 地理的に人民租界の侵略を散発的に受けていたらしい彼ら、昨年の獣人世界大戦の情報も入ってきているようで、それが好奇と尊敬に繋がっているようだ。
 しかし部外者に対する警戒心も当然抱いており、本当にやってきたのが猟兵なのかどうかの疑念も少々あるようだ。
 そしてカエル獣人達は要請する。本当に猟兵であるならば超大国を退けた実績から実力も相当なものだろう。そしてそれらが本物であるならば鍛えて欲しい、と。
 そんな流れでこのカエルの村の住人達と猟兵の鍛錬は開始された。

(「見事な隠形ね……」)
 森の中へと場所を移した仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)――表出しているネイルという女性人格は、森に隠れたカエル忍者たちを見つけ出そうと周囲を観察していた。
 この地の住民であるカエル達にとっては森の景色に溶け込み身を隠す事は朝飯前なのだろう。
 しかしあまり索敵に注力し過ぎればその隙を突いて奇襲をまともに受けてしまう事だろう。
 だが、ネイルが起動した【それはまるでチートのような、とんでもない才能】に導かれた【ヘミソフィア・オラクル】のユーベルコードの前には通用しない。
 ネイルの身体から放出される天啓の光により、隠密行動を行うカエル達の居場所が感知される。
 背後と頭上、そして正面に潜伏しているようで、どうやら背後と頭上の奇襲で注意を惹きつけて正面から一気に切り込もうとしているようだ。
「……そこね!」
 頭上に光の魔力を籠めたルーンカルテを投擲、同時に振り返りながらルーンソードを構えてダッシュする。
 背後やや高い位置から強烈な光が放たれ、目が眩んだカエルの攻撃が止まる。その隙を突いてルーンソードで背後に隠れていたカエルへと峰打ち、更に振り返り上から降ってきたカエル、そしてその向こうにいたカエルへと鮮やかに斬りつけて。
『ま、参りました!』
 ネイルの攻撃を受けたカエル達はあっさり負けを認めた。
 鍛錬なので当然峰打ち、手加減はしているのでカエル達にも大きな怪我などはない。
 互いにどうすればもっとうまく戦えるのか、そんな意見を交わしながら猟兵とカエル達の鍛錬は続いていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

村崎・ゆかり
カエルの忍者村ねぇ。まず余所では見られないわね。
ひとまずは、あたしの式神である、エルフのクノイチ『アヤメ』に指導をお願いしましょ。
アヤメが得意なのは森の中だと思うけど、湿地での活動方法も身に付けてないかしら?

あたしは、そうね、「集中力」を高めるための呪言とか印の組み方を伝授するわ。忍者だって、呪術に通じた方がはったりも張れるわ。
実際に呪術は使えないだろうけど、心を落ち着かせる効果はあると思う。
あなたたちの村には、そういう秘伝書伝わってない? よければ見てみたいな。あなたたちのルーツに迫れるかもしれないし。

アヤメ、そっちは終わったー!?

アヤメ
ゆかりのことは「ゆかり様」。ですます調で話す。



●クノイチと陰陽師
 じっとり蒸し暑い湿地の森の中、村崎・ゆかり(“|紫蘭《パープリッシュ・オーキッド》”/黒鴉遣い・f01658)とエルフのクノイチ『アヤメ』はカエル達の鍛錬を観察していた。
「カエルの忍者村ねぇ。まず余所では見られないわね」
『……興味がおありですか?』
 ゆかりの言葉にアヤメは静かに問う。アヤメの正体はゆかりの式神、【愛奴召喚】のユーベルコードにより召喚された彼女の愛しの虜であり、同じ忍者として少々思うところがあるのかもしれない。
「それなりには、ね。アヤメが得意なのは森の中だと思うけど、湿地での活動方法も身に付けてないかしら?」
 式神の視線と声色に僅かな可愛らしい嫉妬を感じながらゆかりが尋ねれば、
『当然です、ゆかり様。彼女達にクノイチの業を叩き込んで差し上げましょう』
 普段よりも気合十分にアヤメは返し、カエル獣人――外見的に男女の差異が分かり辛いが女性らしい彼女達の特訓に合流していく。
『それでは……参ります』
 アヤメに対しやや緊張した面持ちで反りの少ない忍者刀を構えたカエル達は散開、周囲の木々も足場として利用しつつ包囲陣形へと素早く移行していく。
 この村のカエル獣人にはアマガエルのような指の吸盤はないようだが、身軽に木々を渡り飛び移る彼女たちは木の枝や幹に張り付いているかのように安定した移動を行っているようにゆかりには見えた。
 とはいえアヤメが遅れを取ることは無いだろう。一斉に斬りかかられながらも上手く凌ぎつつ包囲から逃れ、優れた技量による反撃で的確に無力化していくエルフのクノイチに体術や忍術の指導を任せても問題ないだろう。
 その様子を見たゆかりもカエル達相手に特訓を開始する。
「印の組み方はこう……集中力を高めるには役に立つわ。それから呪言は……」
 ゆかりが行うのは陰陽師としての呪術面の特訓。
 東洋呪術を専門とするゆかり、この獣人戦線では獣呪術というものが存在しているらしいが、この村のカエル達は体系的に利用してはいないようだ。
 それは少々勿体ない。忍者であっても呪術に通じていた方がハッタリも張れるだろうから、陰陽師の洗練された呪言や印の組み方を丁寧に伝授していく。
 もし呪術が使えなかったとしても――そちらの方が可能性としては高いだろうが、心を落ち着かせるぐらいのことはできる。
「そういえば秘伝書とかは伝わってない?」
『えーと……忍術についてならあったような……?』
 呪術や陰陽術についての秘伝書は存在していないようだが、忍者の村だからかそちらの秘伝書はあるようだ。もしかすると彼らのルーツにつながる情報などもあるかもしれないが、読んでみなければわからないだろう。
『役に立つかはわかりませんが、色々教えて下さっている猟兵さんならお見せすることはできますよ』
「有難う。……アヤメ、そっちは終わったー!?」
 カエルの申し出に礼を言いつつ、愛しの式神に呼びかけるゆかり。体術の特訓も一区切りついたタイミングだったようで、速やかにアヤメはゆかりの元へと音もなく戻り、褒美を乞うように主を見つめたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『空軍大尉・戸波鈴仙』

POW   :    黄泉路への魔弾
【標的に合わせて調整した腐食の獣呪術】を宿した【装甲や防護魔術を侵食するライフル弾】を射出する。[装甲や防護魔術を侵食するライフル弾]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。
SPD   :    九死呪弾
【魔眼に惑乱の呪力を集中させること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【九発の異なる回避困難な軌道で放たれる呪弾】で攻撃する。
WIZ   :    地に栄える者に停滞を
【高速飛行を行いながら、装備したライフル】から、着弾地点で爆発する【獣呪術の力を籠めた散弾】を連射する。爆発は敵にダメージを、地形には【停止の呪力汚染】効果を与える。

イラスト:十姉妹

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠饗庭・樹斉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●空舞う黒羽の射手
 特訓に励む猟兵とカエル獣人達、それを中断させたのは慌てて駆けつけてきた伝令の言葉だった。
 見慣れないカラスが里に近づいてきている――このカエル達の村を狙う幻朧帝国のエージェントだと、即座に理解した猟兵とカエル獣人達は迎撃へと向かう。

『……気付かれたか』
 木々の合間を縫って低空を飛び湿地の村へと向かってくるそのカラスは『空軍大尉・戸波鈴仙』、呪術を操る冷徹な空の狙撃手。
 向かってくるカエル達と猟兵の気配を感じ取ったカラスのエージェントは、最早隠れる必要もないとばかりに羽ばたき一気に高度を上げる。
 高空に対する有効な攻撃手段に欠けるカエル達を一方的に空から狙撃、弾丸に籠めた呪力で地形を汚染し機動力を奪って本命の弾丸で仕留めていくというのが戦法なのだろう。
 しかしカエル達は猟兵との特訓で呪術の手ほどきを受けたことで、印を結びエージェントの用いる呪術にも僅かながら抵抗できるようになっている。
 攻撃は基本的に猟兵頼りになるだろうが、もし上手く低空へ引きずりおろす事ができればカエル達は素早く援護攻撃を行ってくれることだろう。
 なんにせよカエル達の住まうこの地を守るにはエージェントを撃破し、逢魔弾道弾の起爆を防がねばならない。
 湿地の村の近くの森の中で、猟兵とカエル獣人、そしてオブリビオンの戦いが開始された。
イクシア・レイブラント
状況確認。こちら鎧装騎兵イクシア、援護するよ。

地上付近にカエル獣人たちの映像を被せたデコイドローンを展開して[陽動、おびき寄せ、時間稼ぎ]。
私自身も[煌めきを纏う]状態で[推力移動、滑空]で飛翔して戸波鈴仙に接近、
黄泉路への弾丸の機動を[弾道計算]して[空中浮遊]させたシールドビットで[盾受け]し、
大型フォースブレイドを[武器巨大化、なぎ払い]。
追い回して敵からの[注目を集める]ことで、カエル獣人たちが攻撃を行う隙を作る。

大戦は終わったの。これ以上、破壊工作はさせないよ。



●緑光纏い黒羽追う
 高空へと飛翔したカラスの軍人オブリビオンは背に担いでいたライフルを頭上に放って器用に両脚でキャッチ、地上へと狙いを定め――舌打ちをする。
『デコイか』
 彼の視界に飛び込んできたのは感じ取った気配よりも遥かに多いカエル獣人達、注意深く見ればドローンにより投影された映像であるが、本物のカエル達はそれらに紛れていて即座に狙いを定める事は叶わない。
 そして、
「状況確認。こちら鎧装騎兵イクシア、援護するよ」
 飛翔した鈴仙を追ってデコイドローンを展開したイクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)というレプリカントが緑光を纏い飛翔する。
「……機体各部、安全装置解除。フォースリアクター、イグニション」
 ユーベルコード【最大可動】を起動したイクシアの全身を覆っているのは緑のサイキックエナジー、時速16000キロもの速度での飛翔を可能とする高機動モードへと移行している。
 サイキックエナジーでスラスターとウイングを稼働させて飛来する彼女に視線を向けた鈴仙は、すぐさま照準を定め銃爪を足の爪で引いて銃弾を発射する。
 |イクシア《人型機械》に合わせ調整された腐食の獣呪術が籠められた魔弾は装甲や防護魔術を侵食し腐食させる――その上軽く百以上は加減速や軌道変更が可能な銃弾は酷く回避し難い。
 だがレプリカントの少女は卓越した演算能力で発射された弾丸の軌道を計算、念動力で浮かべたシールドビットからサイキックエナジーの盾を展開して受け止める。
 装甲や魔術防護を腐食し侵す呪いであるがサイキックエナジーの盾は容易に突破できず、その隙にイクシアは鈴仙へと緑の光翼展開して最大加速で肉薄、決戦武装である大型フォースブレイドのサイキックエナジーの巨大な光刃を展開して勢い任せに薙ぎ払う。
 黒羽をばさりとはばたかせカラス軍人は回避しようとするが巨大な光刃の薙ぎ払い範囲から逃れきれず軍服と黒羽を切り裂かれ出血する。
 バランスを崩し高度を落としつつ、上方のイクシアを見上げ再びライフルを構えようとするが、直前に身体を捻り回避行動を取った。
 直後、木々の合間から投擲された苦無が回避しようとした鈴仙の肩を掠めて傷を刻み込む。
 イクシアへと注意が向けば地上のカエルが、其方に注意を向ければイクシアが勢いよく飛び込んで攻撃を妨害するという形となり、鈴仙は不快気に紫の魔眼を細め空のイクシアを睨みつける。
「大戦は終わったの。これ以上、破壊工作はさせないよ」
『……この程度の障害は排除可能だ』
 イクシアの宣告に対し、鈴仙は悲観的な自分に言い聞かせるように呟く。
 そしてカラス獣人のオブリビオンは破壊工作を阻止せんとするイクシアへと再び銃口を構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キノ・コバルトリュフ
キノキノ、火力が足りないんだって?
だったら、焼き舞茸はいかが?

キノ!バルくんどんどん焼いていくよ!!
トリュフ!バルくん、いい焼き加減だね。
キノも奉納の舞いを頑張っちゃうよ!
マツタケ!!おいしく焼けたかな?



●カラス焼くのは神火の渦
 飛翔する緑光のレプリカントと地上のデコイドローンに紛れた援護攻撃に鈴仙は両腕の翼を羽ばたかせどうにか回避していた。
『……先に地上の兵を止める方が早いか』
 どうにかレプリカントを高速飛行で振り切りながら鈴仙は地上へと狙いを定めつつライフルの弾丸を停止の獣呪術の力を籠めた散弾へ手早く入れ替える。
 着弾地点で爆発し周囲の地形を呪力で汚染する弾丸の標的になったのは緑の木々の合間の広場に見える毒々しいキノコ笠――きのこつむりであるキノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)のトレードマーク
「キノキノ、あのカラスちゃんこっち見てるね」
 標的にされてもマイペースなキノに、彼女に召喚された星霊バルカンの『バルくん』は黒猫の身軽さで湿った地面の上に飛び降りて、キノを見上げる。
「シメジ? さっさと焼き払った方がいい? そうだね、焼き舞茸でいこうか」
 そう言いながらキノが舞の準備を整え【神火大嵐舞】のユーベルコードを起動、同時にバルくんがぐるぐる広場の外周を回るように走り出して、広場の中心に創世記の炎渦が召喚される。
 高速で旋回する渦は天高く焼き焦がす竜巻のよう、広場の上空で散弾を発射した直後の鈴仙を呑み込み一気に焼却していく。
「トリュフ! バルくん、いい焼き加減だね」
 奉納の舞を頑張りながら駆け回るバルくんへと声をかけるキノ。悪しきを浄化する神火は停止の呪術をも散弾ごと焼き払いキノ達に停止の悪影響を与える事もなかった。
 炎の渦から焼かれながら飛び出してきたカラスーー元々黒羽だったのが焦げて中々酷い事になっているオブリビオンはよろよろとキノの居る位置から離れていく。
「マツタケ!! おいしく焼けたかな?」
 周囲の森まで延焼させぬようユーベルコードを解除し炎の渦を消滅させつつ、キノは旋回を止めて戻ってきたバルくんと顔を見合わせながら呟いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神崎・伽耶(サポート)
『あたしに名案があるわ!』(明るくニヤリ)

アドリブ連携OK。
普段の口調は姉御肌(あたし、キミ、だ、だね、だろう)。
テンションが上がると、~や!、?が増加します。

通常は、後先考えず反射的に行動します。
身体張ることを厭わないので、いつも少しだけ薄汚れています。
年下や人外(?)には少しだけ優しく、フォローしたり庇ったりします。

行動原理は好奇心、攻撃よりは防御が得意で、遊撃的なポジションを好みます。
機動力、観察力を生かし、バフやデバフを多用した、トリッキーな攻めを得意とします。

常識のある奇人変人ムーヴで描いていただけると大変喜びます。
いっそNPCだと思っていただいてもヨシ!

よろしくお願いします。



●ゆるい見た目によらぬ高機能
 神火の渦に焼かれながら幻朧帝国のエージェントであるカラス獣人は忙しなく両腕の翼で羽搏いて、地へと落ちる事を拒みながら攻撃を凌いでいる。
 そんな敵の姿を見上げるのは神崎・伽耶(トラブルシーカー・ギリギリス・f12535)、ふと何かを思いついて、
「あたしに名案があるわ!」
 ――その笑顔に、近くにいたカエル獣人は何となく不穏なものを感じたとか。
「カモン、きゃピバリおーん♪」
 伽耶が起動したのは【Summon Cavalier】、その呼びかけに答えるようにもふもふしたカピバラ型オブリビオンマシンの『きゃピちゃん』が召喚される。
『……暑いし帰っていいー?』
「ダメー! はいレッツゴー!」
 オブリビオンマシンらしいがマイペースにサボろうとするきゃピちゃんだが、両腕でバッテンマークを作り急かす伽耶に渋々と空の黒翼見定めて飛翔する。
 癒し系な外見の割に速度は時速300キロと高速、両脚でライフルを掴み構えているカラス獣人は意外な速度に慌て翼を羽ばたかせて回避する。
 そして紫の光――惑乱の呪力が鈴仙の瞳に集中。惑乱の呪力で回避困難な弾丸を九発発射し対象を撃ち抜くユーベルコードを起動しようとしているのだ。
『何かヤバい感じ?』
 くるりと空中で旋回しつつ地上の伽耶へと情報共有するきゃピちゃん、そしてその時こそ伽耶が待っていたもの。
「いまだよきゃピちゃん! 目潰しビーム!」
『あいよー』
 伽耶の号令通りカピバラ型オブリビオンマシンの目から光線が放たれ、呪力を集中させた魔眼に命中する。
 狙撃手として狙い定める為に注視していたからこそ、その目潰しビームを真っ向から受ける事になった鈴仙は思わず空中でふらついてしまい、その状態で放たれた九つの弾丸はきゃピちゃんの装甲を掠める程度で明後日の方向へと飛んでいった。
 ゆるい外見に騙され――というよりカピバラ型から目潰しビームとか流石の幻朧帝国のエージェントでも想定しないだろう、と読んだ伽耶の作戦が嵌った形だ。
「さあ、ぶっ飛ばせー!」
『らじゃー』
 伽耶の号令にきゃピちゃんは狙撃手カラスに向かって爪ミサイルを発射、カラスの矮躯に突き刺さり派手な爆発が巻き起こったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

村崎・ゆかり
あのカラスが幻朧帝国の手先で間違いないのね。カラスは好きだからこそ、つまらない悪事なんかさせないわ。

「全力魔法」風の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「天候操作」「仙術」で風吼陣。
カラスを中心点とした大規模な竜巻に巻き込んで、飛び回る刀剣でズタズタにしてあげる。空中じゃ隠れる場所はないでしょ。
逃がしはしないわ。空高く巻き上げて、引き裂く!
その状態でライフルを撃てるものなら撃ってみなさい。
仮にも魔弾だし、「呪詛耐性」を乗せた「オーラ防御」「結界術」で反撃を受ける用意だけはしておくわ。

なるべく地上に影響が出ないようにしたつもりだけど、密林は無事かなぁ。荒れてたら、あたしの式神も片付けに出すから。



●刃嵐に鴉は刻まれる
「あのカラスが幻朧帝国の手先で間違いないのね」
 空の戦いの被害が森やカエル獣人達に及ばぬように結界を展開していた村崎・ゆかり(“|紫蘭《パープリッシュ・オーキッド》”/黒鴉遣い・f01658)は、他の猟兵達が攻撃を仕掛けているカラス獣人をしっかりと見据えていた。
(「カラスは好きだからこそ、つまらない悪事なんかさせないわ」)
 丁度その時、カピバラ型キャバリアから距離を取りよろめきながら飛翔する鈴仙が、ゆかりの頭上へと差し掛かる。
 ――仕掛けるのなら、今。
 メガリス『|六合無窮《りくごうむきゅう》』より無窮の力を引き出しつつゆかりは静かに詠唱を始める。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天上までも響き渡る破壊の風よ――」
 詠唱と共にゆかりを中心に空間の気配が変化していく。そよそよ流れていた空気が風に、更に強り強風、暴風へと変化していく。
 ゆかりから820メートル以上離れた位置では元のそよ風のまま、生じた暴風圏は彼女の起動した【風吼陣】のユーベルコードによるものだ。
 更に暴風に刃が混じる。この暴風圏の風速は50メートルにも達し、それが孕んだ無数の刀剣は遮蔽物のない空中では逃れる事はできないだろう。
「――その身に宿せし無限の剣刃により触れるもの悉くを裁断せよ。疾!」
 風は更に強まり刀剣の数々が竜巻と化した暴風圏の中心に取り込まれた鈴仙へと襲い掛かる。ただでさえ負傷で羽を痛めているカラスのオブリビオン、この暴風の中ではまともに飛ぶことすら難しい。
「逃がしはしないわ。空高く巻き上げて、引き裂く!」
『くっ……せめて……!』
 嵐の中の羽根のように空高く吹き飛ばされ刃に刻まれたエージェントは、真下のゆかりを撃たんとありったけの呪力を籠めた銃弾をライフルに籠め放った。
 覚悟を決めた一射、弾丸は吹き荒れる刀剣の嵐をすり抜けて、見上げるゆかりに吸い込まれるように命中――しなかった。
「……大した腕前ね」
 念のため展開していた結界に弾丸は阻まれ、ゆかりの手前で速度を失って地面へと落下する。
 強烈な呪詛耐性の力を帯びたそれにより弾丸の呪力は霧散している――最後の抵抗が無に帰した事をエージェントが認識したのと同時、刀剣の群れがカラスの全身に突き刺さり、その生命に終焉を与えたのだった。

「とりあえず密林の方は大丈夫そうね」
 風吼陣を解除したゆかりが周囲を見渡し呟く。地上に影響を出さないように注意していた甲斐もあって、木々や自然に大きな破壊などはないようだ。
 村の方にも被害はない、これなら式神で片づけを行う必要もないだろう。
 ともあれ、カエルの里を狙ったオブリビオンの破壊工作は完全に阻止された。
 丁重に礼を言うカエル達に見送られ、猟兵達はグリモアベースへと帰還したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年07月26日


挿絵イラスト