海と生きるたぬきを守れ
●鍛えるたぬきを狙う牙
グリモアベース。
「皆様、宜しいでしょうか。獣人戦線の世界で新たな事件の予知が得られました」
そう無表情で猟兵達に告げるのはグリモア猟兵のマウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)。
「世界各地で頻発している幻朧帝国の暗躍……猟兵に覚醒していない特定の種族が大半を占める街を狙った逢魔弾道弾による破壊工作についての予知になります。今回狙われるのは人民租界、日本海に面した海辺にあるたぬき獣人の町で、仮に幻朧帝国のエージェントによる破壊工作が成功してしまえば大惨事は免れませんので、皆様には逢魔弾道弾が起爆する前にエージェントを倒してほしいのです」
そう告げるマウザーは、標的となったたぬきの町について詳細を説明する。
「この町は海藻や塩を採って生計を立てているたぬき獣人の方が多く、どちらかといえば小柄な方が多いようですね。素早い動きが少々苦手なようですが、海上で過ごす時間が長いからか海の上ではそれなりに上手く素早く戦えるようです。最近では陸での戦いにも備えて仙術や化術の腕を磨いているようで、自分たちが身につけた力がどの程度通用するか、試したがっている方も多いようですね。彼らの特訓に付き合えば、後のエージェントとの戦いでも共闘できるような友好関係を比較的短時間に築けそうな予感がします」
そのままグリモア猟兵の話は迎撃すべき敵についてに移っていく。
「エージェントは『海軍中佐・碓氷礼文』というシャチ獣人の女です。町が海辺にあるから海戦を得意とするエージェントが来たのかもしれませんね。性格は自由人気室な暴君、容赦なく他者に力を振るってくる上に頭も切れる厄介な相手です。おそらく海を利用して攻撃を仕掛けてくるでしょうが、たぬきの方々の支援を受けることができれば海から上手く引き離しつつ有利に戦うこともできるかもしれません」
以上で説明は終わりです、とマウザーは言いつつ蝋燭型のグリモアを取り出し、転送の準備を開始する。
「たぬきも現在猟兵に覚醒した者がいない種族ですが、彼らが新たに覚醒する可能性もあると私は考えています。……力に真っ向から対抗せず、搦手で挑むのもまた知恵の一つ、そんな風に彼らが戦えるようになるのかはわかりませんが、今は彼らを危険から守り命を救うために、|悲劇の終焉《エンディング》を砕きましょう」
それではよろしくお願いいたします、とマウザーは締め括り、グリモアの灯火を輝かせ猟兵達を獣人戦線の中国の海辺の町へと転送したのだった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
平和なたぬきの町に悪いシャチが!
第一章はたぬき獣人が大半を占める漁村で特訓のお手伝いをしてみましょう。
この街のたぬきは海での戦いを得意としているようですが陸での戦いに自信はなく、補うために化術や仙術を特訓していて訓練相手を求めているようです。
第二章は逢魔弾道弾を設置しようとやってくる『海軍中佐・碓氷礼文』との戦いになります。
こちらは断章で冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらもご確認下さい。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 日常
『鍛錬あるのみ!』
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POW : 真っ向から力をぶつけ合い鍛え上げよう!
SPD : 速度や技術を競って磨き上げよう!
WIZ : 戦術や戦略、獣呪術を活用した戦いを試してみよう!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
居神・ヲリヒメ
たぬきか。
オレは妖狐だから獣人とはまた違うが、なんかこう親近感あるよなー。
てなわけでオレが仙術やら化け術の訓練に付き合ってやるよ!
ユーベルコード『フォックスファイア』で狐火を呼ぶぜ。
アンタらがこれを全部かわしきれたら褒めてやる。なんなら撃ち落としても構わねえけどな?
まあそう簡単にはいかねえぞ? 狐火は数も多いし、動きもバラバラだ。
陸戦が苦手だからって、手加減してくれる敵さんなんていやしねえからな。頑張って避けてみやがれ!
単純な強さじゃあ、猟兵であるオレの方が上だ。そこを、仙術やら頭やらを使って、たぬきでもどうにかできるようになりゃあ一人前って寸法よ。
仙術の戦術……いや駄洒落じゃねえって!
●少々特訓はハードに
中国、海に面したたぬきの町の海岸。
逢魔弾道弾による災厄が予知されたこの町へと転移してきた猟兵達は住民のたぬき獣人達と接触、彼らの特訓の手伝いをすることとなった。
『それでは猟兵さん、お願いします!』
海岸に集まったたぬき獣人達は特訓に向けて気合十分な様子。階梯も様々な彼らは日々海を相手に戦っていて、水上での戦いは得意としているけれども陸での戦いは少々不慣れとのことだ。
「たぬきか。オレは妖狐だから獣人とはまた違うが」
ライダースーツの妖狐、居神・ヲリヒメ(折紙使い・f28587)は年も階梯も様々なたぬき達をざっと見る。
(「なんかこう親近感あるよなー」)
化術を得意とするとされる種族としての仲間意識か、そんな事を考えながら気合十分なたぬき達に向かって、ヲリヒメが早速起動するのは【フォックスファイア】のユーベルコードだ。
「アンタらがこれを全部かわしきれたら褒めてやる。なんなら撃ち落としても構わねえけどな?」
そう簡単にはいかねえぞ、と笑む彼女の周囲に120個の狐火が浮かび上がる。
「単純な強さじゃあ、猟兵であるオレの方が上だ。そこを、仙術やら頭やらを使って、たぬきでもどうにかできるようになりゃあ一人前って寸法よ」
陸戦が苦手なこの町のたぬき達、しかし手加減してくれるようなオブリビオン達がいるはずもなく、寧ろ弱点ならば徹底的に突いてくるだろう。
故にまずはこの変幻自在の狐火を一例として、どうにか対処する為に今使える仙術や化術を実戦に通用するように磨き上げるか、より効果的に使う方法を考えて試させるというのがヲリヒメの修行の意図である。
『……仙術の戦術?』
「………………いや駄洒落じゃねえって!」
ぽつりと呟くたぬきの少年の言葉を否定しつつ、狐火がたぬき達に襲いかかる。
『わっ! 追いかけてくる!』
慌てて回避するたぬき達。急いではいるのだろうが、どことなくもたもたしているようにも見えて、狐火は次々に命中し、けれど燃え上がることはなく消えていく。
このユーベルコードの狐火のポイントは数の多さに加えてバラバラに個別操作が可能、更には合体して勢いを増すことまでできる点にある。その上で延焼分も含め任意に消せるからやり過ぎになる可能性も少ないだろう。
追われるたぬき達がふわりと羽の重さになったかのように高く飛び、海面に浮いていた木の破片の上に着地する。恐らくは仙術の一つなのだろう。
仙術と言えば自然との一体化が基本となるだろうが、具体的にできることは様々な種類があるだろう。この町のたぬき達が今習得しているのは自身の重量の軽減、水面歩行辺りと思われる。
(「ここからどういう風に鍛えていくかねえ」)
海の方へと躱そうとするたぬき達をそれでは陸上戦闘の特訓にはならぬとばかりに狐火を多めに操り陸へと誘導しつつ、必死で対抗策を考えるたぬき達を期待の目で見るヲリヒメであった。
大成功
🔵🔵🔵
狸塚・雅紀
アドリブ可
はい、狸獣人とはある意味二心同体な俺
狐塚っすよ。
狸塚君としては鍛錬の都合上、
この世界の狸獣人の猟兵と勘違いされても困るからお休みっすね。
さて、特定の人や物に化けるならともかく
化かすや惑わすには感覚を慣らす事が大事っすからね。
という訳で一通り見たら離魂を使って憑依霊になり、
参加者に憑依してその体で化術を使う事で
文字通り体に覚えさせる事で化けやすくなったりするかなと。
更に別の姿になって抜ける事で、戻るのは助けはしても
自ら解く事で強引だけど経験値を積ませるなんてのもどうかなと。
ただ割と女好きなのとこれは理性が減る技なので
女子に憑依しても暴走はしないようにたまに自分の体に戻らないとっすね。
●化けるにはまず慣れを
妖狐の女が狐火でハードな特訓を行う一方、三本の狐尾を生やした狸塚・雅紀(キング・ノーライフの従者・f29846)という青年が別のたぬき獣人達との特訓を始めようとしていた。
「はい、狸獣人とはある意味二心同体な俺、狐塚っすよ」
多重人格者である彼、表に出ている人格は『狐塚雅紀』という狐獣人のもの。鍛錬の内容的にこの世界の狸獣人の猟兵と勘違いされても困るため、体を同じくする狸獣人の『狸塚泰人』の人格は今日はお休みである。
「向こうじゃ仙術中心にやってるみたいっすけど、こっちは化術を鍛えてみたいんすよね?」
雅紀の問いかけにこくこく頷くたぬき達、まずは今の実力を見たいと雅紀が言えば、たぬき達はどろんと煙を出して変化する。
見た目は強そうなサメとか妖怪に変化しているのだが、その実力の方まで伴ってはいないようだ。
(「船まで化けられるんすね」)
変わったところで気になったのは船――妙に精度が高いのは、日頃よく変身することがあるからかもしれない。
一通り化けて貰ってどうするか雅紀は思案する。
化けたものに実力が追いついていないのと、レパートリーが少ないようにも思える。色々変化できるなら撹乱で色々可能性を広げることもできるだろうがそのために何ができるか――、
「まずは感覚を慣らす事が大事っすね」
化かすや惑わすにはそれが大事と考える雅紀はユーベルコード【離魂】を起動し、肉体を脱ぎ捨て――魂だけを肉体からするりと抜けさせて憑依霊へと変身、妖怪に変身していたたぬきの一人に憑依する。
(「分類上悪霊なんすよねぇ……」)
憑依霊と化した雅紀は非オブリビオンに憑依可能、それにより憑依した彼が化術を使い、九尾の狐の姿へと変身し、おお、とたぬき達の間からどよめきが起こる。
変化したまま体を抜けてもたぬきの体は狐に変身したまま、少々強引ではあるが、この状態から変化を解除してみる事も様々な変化を行うための経験にはなるだろう。
とは言えこのユーベルコードは理性を減らしてしまう力、元々割と女好きの自覚のある雅紀は暴走してしまわぬように時折元の肉体に戻りながら、ひとりひとりたぬき達に憑依し、他のものへと化けるための経験を積ませていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『海軍中佐・碓氷礼文』
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POW : そんな守りが通用すると思ってるの?
【赤き海神の鉾】を【赤の槍帯から放出される大量の海水の噴射】で加速し攻撃する。装甲で防がれた場合、装甲を破壊し本体に命中するまで攻撃を継続する。
SPD : 姿が一つなんて誰が決めたのかしら?
戦闘力が増加する【荒々しき階梯2の重武装海賊フォーム】、飛翔力が増加する【高速飛行可能な階梯0の空シャチフォーム】、驚かせ力が増加する【人間大に縮めた階梯5の潜入フォーム】のいずれかに変身する。
WIZ : ここがあたしの海じゃないって誰が決めたの?
戦場内を【呼吸可能な海水に満たされた極寒の海の海底】世界に交換する。この世界は「【水圧により実体武器使用、歩行及び飛行困難】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。
イラスト:うぶき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠マウザー・ハイネン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●その鯱は赤き鉾と共に
猟兵達との鍛錬を通し、陸でどう戦うべきか思考を重ね経験を積んでいくたぬき達。
そんな彼らの特訓は、突如海より突撃してきた巨体の軍人により中断させられた。
『なんだ、特訓中だったのかい?』
砂浜へ上陸し、海水を滴らせる3メートル以上はあるシャチ獣人の女――幻朧帝国所属の『海軍中佐・碓氷礼文』は赤い鉾を手にたぬき達を見下ろし、そして猟兵へと視線を向けて。
『……猟兵が先回りしてたのかい。だけどね、あたしの目的はそう簡単に止められやしないよ!』
鉾を構える女シャチ、エージェントとして単騎でこの町に工作を仕掛けようとしているだけあり、交戦に至った場合でも対応できる位に戦闘能力は高いのだろう。
威圧してくる大柄なオブリビオンを相手に、しかしたぬき達は怯える事なくすぐに武器を手に取り迎撃の構えを取る。
『ここは俺達の町だ!』
『猟兵の皆さんに鍛えて貰った成果を見せる時だ!』
気合十分な彼らは、仙術や化術で援護してくれるだろう。水上での戦いではなく、この砂浜での戦いでも問題ない位には。
猟兵と気合十分なたぬき達、己が任務を阻む敵に対して凶悪に笑む悪しき鯱の戦いが、始まろうとしていた。
カグヤ・モンデンキント(サポート)
モンデンキント級植民艦3番艦カグヤに宿ったヤドリガミですわ。
女性に年齢を聞くものではなくてよ。
まずは地球型惑星を破壊できる規模の主砲であるユーベルコード「ジャッジメント・クルセイド」を放ちますわ。できるだけ威力を抑えますが、近隣の火山活動が活性化する分にはお目こぼしくださいね。
あるいは周囲から慌てて止められ、仕方なしに別のユーベルコードを使いますわね。
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は致しませんわ。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします。
●海を貫く天の光
『ここはあんた達の町? ならここがあたしの海じゃないって誰が決めたの?』
幻朧帝国のエージェントがそう呟けば、海岸が一瞬にして極寒の海水に満たされる。
ユーベルコードにより戦場は極寒の海底へと置換され、水圧による武器の使用や水泳以外での移動が困難になるという法則のこの空間。呼吸可能な点は救いだろうが、たぬき達は動揺しているように見える。
そして戦場に満たされた海水をシャチのエージェントは泳ぎ、麗しき十二単を纏うカグヤ・モンデンキント(天体娘・f31348)へと狙い定めて高速で泳ぎ突進する。
「無粋ですわね」
赤き鉾の刺突、しかしカグヤの纏う十二単――彼女の装甲は外見以上の強度でその一撃を弾き返す。
鉾を弾かれた事に驚き一旦距離を取ろうとする礼文へカグヤは静かに指で指し示して、
「――ジャッジメント・クルセイド」
それは彼女の本体である要塞艦の主砲を発射するユーベルコード。
海水に満たされた戦場の上方に亜空間ゲートが展開、そこから主砲の|惑星破壊レーザー《ジャッジメント・クルセイド》――可能な限り威力を抑えたそれがシャチの軍人目掛け降り注ぐ。
実体のある弾丸ではないレーザー、そして移動も不要なこの攻撃は極寒の海底の制約を受けることなくエージェントを周囲の海水ごと光で包み込んで吹き飛ばす。
光線の熱で海水が沸騰、爆発してその衝撃でユーベルコードが解除されて元の世界へと戻っていく。
そしてシャチの軍人は爆発で海へと吹き飛ばされつつ、海面に顔を出して重力制御で浮遊するカグヤを睨みつけた。
成功
🔵🔵🔴
キノ・コバルトリュフ
マッシュルーム!みんな出ておいで!総力戦だよ!!
キノキノ、みんながいて心強いね。
シメジ?何体か足りないような?
急用があってこれなかったの?
エノキ、仕方ないね。
マイタケ、来てくれたみんなで楽しんじゃおう!
●空舞うシャチと水の星霊たち
深海の世界から元の世界へと戻り、海へと吹き飛ばされた幻朧帝国のエージェントへと次に仕掛けていくのはキノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)というピュアリィの少女。
「マッシュルーム! みんな出ておいで! 総力戦だよ!!」
そう呼びかけて起動するユーベルコードは【バトルウィズフレンズ】、同時に召喚されるのは白鮫、人魚、そして丸っこいペンギンのような星霊達。
『数で攻めてこようってのかい……でもあたしの姿が一つなんて誰が決めたのかしら?』
そう言ってオブリビオンの姿が変形、全長7メートル程もある巨大なシャチの姿へと変身する。
その姿は階梯0の姿であると同時に、ユーベルコードにより高速飛行可能となった空シャチの形態。海から高く跳ねたエージェントは空から星霊術士の少女へと襲い掛かろうとする。
空を泳ぐように高速飛行で突撃してくる空シャチに対し、人魚のような星霊アクアが水の弾丸を放ち空のエージェントを牽制、更に白鮫――星霊ジェナスが津波を召喚してペンギンのような星霊ディオスの攻撃へと繋げる。
託された星霊ディオスはが王冠の上に聖なる水流を集め、球状にして投擲するようにして発射。更に星霊アクアが大津波を招き空シャチに大量の水を叩きつけ、それに紛れ上空へと飛んだ白鮫が空シャチの白黒の胴体に真上から喰らい付いた。
召喚された星霊たちの能力は召喚主であるキノと同等、生命力を共有しているが故にダメージを受ければ召喚した数が多い程に多く受けてしまうが、攻撃を受けなければどうにでもなる。
星霊たちの攻撃を回避し地上に降下、変身を解除した礼文は軍服に血を滲ませてキノと星霊たちを深い海の色の瞳で睨みつけて、
『くっ……こいつら厄介な……!』
「キノキノ、みんながいて心強いね」
本当はもう少しお友達の星霊もいるけれども、急用があってこれなかったらしい。それはまあ仕方ないと思いながら、
「マイタケ、来てくれたみんなで楽しんじゃおう!」
明るく言うキノに星霊たちは頷いて、悪しきシャチのオブリビオンへと次の攻撃を開始するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
狸塚・雅紀
アドリブ連携可
皆さんも頑張ってるっすね、もうちょっとっすよ。
と鼓舞しながら笑顔とウインク一つ【誘惑】からの
【モテ期ハイテンション】発動。
流石に後半戦、逢魔弾道弾を使うために
一旦全く違う姿に変わって逃げるとかはやりかねないっすからね。
空シャチになったら跳躍力アップで追いかけ仙術で援護を、
潜入形態なら魅力アップで釘付けにして
その間に村人に小柄な別の物に化けて貰って
見分けやすくしてもらうっすかね。
いやー、シャチのお姉さんとか美人で良いかもっすけど
そんな性格じゃモテないっすよ。
それならこの村の子のが魅力的っすよ
なんてね。
●空舞う鯱を落とそう
変身し空を舞う巨体のシャチに、果敢に攻撃を仕掛けていくキノコ笠の猟兵が召喚した星霊たち。
「皆さんも頑張ってるっすね、もうちょっとっすよ」
頑張るたぬき達を狸塚・雅紀(キング・ノーライフの従者・f29846)が鼓舞しつつ、たぬき達は空のシャチの軍人へと銃を向けて攻撃を仕掛けていく。
『くっ……これはちょっとまずいかしら?』
そう言いながら空シャチ姿の礼文は星霊たちの包囲を振り切り空へ逃れていく。
変身した現状の姿でも負傷は重なっているように見える。この不利になった状況で、逢魔弾道弾を使う為に全く違う姿に変身して仕切り直す為に逃亡する、という可能性は否定できないと雅紀は予想していた。
故に雅紀はたぬきの女の子たちを誘惑するように、爽やかな笑顔とウインク一つ向けた。
すると黄色い声と魅了された視線が彼に向けられて、満たされるのはユーベルコード【モテ期ハイテンション】の発動条件、
「おっと、何かモテてる感じがするっすよ。これがモテ期って奴っすかね?」
自動発動により上昇する能力は跳躍力、3倍に高まったそれを感じる雅紀にたぬき達が声をかける。
『私達も手伝わなきゃ……足場を作ります!』
そう言って彼女達が変身するのは大きな凧、仙術で体を軽くしつつその姿に変身したたぬき達は、あっという間に空へと上昇していく。
凧の骨組み――頑丈なそれを足場にしてほしいと一瞬で読み取った雅紀は、空の凧目掛け跳躍。無理な力をかけぬように注意しながら空シャチの飛ぶ座標目掛け再度跳躍する。
「いやー、シャチのお姉さんとか美人で良いかもっすけどそんな性格じゃモテないっすよ」
飛び掛かりながら祟り縄を高速でシャチの体に巻きつけていく雅紀、そのまま噛みつかれる前に飛び降りて、そのままどろんはっぱに妖力を注ぎ重い巨岩へと変身する。
『なっ……』
全身に巻き付いた祟り縄に急に地面へと引っ張られる礼文、何とか堪えようとするけれども、そこに凧に変身していたたぬき達がぽん、変身解除して祟り縄へと飛びついて。
「「「「せーのっ!」」」」
一斉に重しに変身するたぬき達。一気に増した重量に流石の礼文も耐えられず地上へと落下し、叩きつけられた。
落下の衝撃で礼文が巨大な空シャチの姿から元の軍人姿へと戻り、祟り縄の拘束が緩んでそこから脱し鉾を雅紀やたぬき達に構え直す。
「……それならこの村の子のが魅力的っすよ。……なんてね」
向けられる殺気を受け流しながら、再度たぬきの女の子たちにウインクを向ける雅紀であった。
大成功
🔵🔵🔵
居神・ヲリヒメ
こいつは随分立派なシャチの軍人さんじゃねえか。
修行の成果を見せるにはちょうどいい。なあ、みんな?
赤い鉾の一撃、こいつはヤバそうだ。
けど、あえて受けるぜ。装甲を破壊するまで、っていうなら、さっさと受けちまうが吉だろ。まあ痛えけど!
相手がこっちに近づいたとこで【キツネノヨメイリ】発動! ちょいと時期は過ぎちまったが、まーいいだろ花嫁姿。
この近距離ならどう攻撃しようと外さねえ。喰らえ花嫁パンチ!
さあ出番だぜ、たぬき達!
特に理由のないオレの花嫁姿でシャチの視線を釘付けにしてる間に、仙術で飛び上がってもらってたたぬき達に、落下攻撃してもらうぜ。
海でも陸でも、相手の頭上を取るのは有利と決まってるからよ!
●鯱と花嫁狐とたぬき達
猟兵とたぬき達の化術の連携に、空から引きずり落とされ元の姿に戻ったオブリビオンのシャチ獣人は尚も立ち上がり、赤き鉾を構える。
満身創痍の身であっても藍の瞳は闘志を絶やしてはいない。この状況をもひっくり返さんとする執念幻朧帝国のエージェントとしての意地なのだろう。
向けられる獰猛な海の肉食獣の強烈な殺気にたぬき達は怯みそうになる。しかし、
「こいつは随分立派なシャチの軍人さんじゃねえか。修行の成果を見せるにはちょうどいい。なあ、みんな?」
『……そうだ、俺達も特訓したんだ!』
特訓してくれた居神・ヲリヒメ(折紙使い・f28587)の言葉にたぬき達は踏みとどまり、各々の武器を構える。
(「しかしあの鉾はヤバそうだ」)
礼文の携える赤き鉾は海神の鉾、それによる強烈な刺突はまともに喰らえばまずいことは、相対しただけでも理解できる。
されど装甲で防御したとしても本体に命中するまでその攻撃は止まらない――ならば、覚悟を決めて敢えて受けるまで。
『あたしにだって意地はある。纏めてぶち抜いてやるよ!』
槍帯から大量の海水を噴出しながら高速で突撃してくる礼文、対するヲリヒメは真っ向から構える。
凶悪な穂先を注視し、致命的な箇所にだけ当たらぬように構える彼女に放たれる刺突。
ライダースーツの脇腹部分を破り、激痛が走る――しかし急所からは逸らす事には成功、命中するまで止まらぬ鉾は止まり、痛みに耐えきったヲリヒメは即座に反撃へと移る。
「どんなご機嫌な空でも泣かせちまう、オレってば罪な女……!」
ヲリヒメが起動したのは【キツネノヨメイリ】、彼女の一族の血――九尾の狐に覚醒し、戦闘能力を爆発的に増大させる力。
覚醒と同時に装いは洋装の花嫁姿へと変化、オブリビオンはヲリヒメの突然の変化に驚愕と困惑の表情を浮かべて、意図を見抜かんと追撃の手を止めてしまう。
――実際は花嫁姿に変わった意味は特にないのだけれども。
(「ちょいと時期は過ぎちまったが、まーいいだろ花嫁姿」)
そんな事を考えながら至近距離に迫り見下ろしてくる礼文の頭部を見上げつつ拳を握り込むヲリヒメ、これだけの至近距離ならばどう攻撃しようと外れる事はないだろうが、もう一手確実にする為に叫ぶ。
「さあ出番だぜ、たぬき達!」
花嫁姿のヲリヒメがそう呼びかければ、近くで構え得ていたたぬき達が一斉にシャチのオブリビオン目掛け跳躍する。
特訓した仙術により通常よりも遥かに高く跳躍した彼らは長身のオブリビオンの頭上から襲いかかり、真下のヲリヒメを注視していたオブリビオンは一瞬反応が遅れ、見上げた時には銛や棒を振りかぶったたぬき達の影が見えて。
海でも陸でも敵の頭上を取るのは戦術的に有利である。それを活かしたぬき達は次々に強大なオブリビオンへと襲いかかり武器を叩きつけて体力を削っていく。
そして、
「喰らえ花嫁パンチ!」
真上のたぬき達に気を取られたところにヲリヒメの拳がシャチの顎を真下から撃ち抜いた。
見事なアッパーをまともに食らった礼文は意識を刈り取られ仰向けに砂浜へ転倒、そのまま消滅したのだった。
海からやってきた強大なオブリビオンを撃破したたぬき達は大いに湧いている。特訓の成果もあり、自信もついたようだ。
幻朧帝国の野望を阻止し、たぬき獣人達を鍛え守りきった猟兵達は、たぬき達に見送られつつグリモアベースへと帰還したのだった。
大成功
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