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【サポート優先】運命の女は天国に近い場所にいる

#シルバーレイン #リビングデッド化オブリビオン #運命の糸症候群

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「ファム・ファタール。ご存知ですか? ……運命の女。特に、男性にとって『赤い糸で結ばれた』とでも言うべき女性……ですが、あれですかね。むしろ『男を滅ぼす魔性の女』と言った方が、馴染みは深いでしょうかね」
 微苦笑を浮かべながら、淡々と虹目・カイ(○月・f36455)は言う。
「リビングデッド化オブリビオン。以前から出現しておりましたから、ご存知の方も多いかとは存じますが……改めて、事件の概要を。これは自身と因縁を持つ人間の中に、このリビングデッド化オブリビオンが受肉したことにより、引き起こされる事件でございます。因縁の相手は様々でございますが、今回に関して言えば、善人とも悪人とも断じ難い、中庸を行く人物でございます。ま、一般の方では珍しくもございませんが……」
 問題は、このリビングデッド化オブリビオン、危険を察すれば、宿主である人間を盾にしてくるであろうという予知が見えたという点だ。
 また、今回は寄生されたその人物も、オブリビオンの身代わりになることに肯定的であると言うから困ったものである。
「これは、そうですね。宿主となっている人間も、己の中にいるオブリビオンとの縁によって『運命の糸症候群』を発症している為……と、いうのもあるのですが。この方ね、随分オブリビオンに傾倒してしまったようで」
 最初は、縁もゆかりもない筈の女だったのだ。
 男は会社に飼い慣らされた、いわゆる社畜であった。苦痛を覚えても、理不尽な扱いを受けても、他に行けるところなどなかった。男の能力は、残念ながら何においても優れておらず――尤も、優れたものを未だ見つけられずにいるだけ、かも知れないが。いずれにしても――ここが自身の限界なのだと、受け入れざるを得ない状況に置かれていた。
 だが、それでもある日、ぷつりと糸が切れたように、男は投身自殺を試みた。
 死と解放の二文字の他には真っ白な頭でふらりと階段を上り、屋上へと続くドアを開け――そこに、運命の女はいた。
 人知れず歌い、舞い踊る女は人間離れした美貌と、異形の翼を持っていた。男は見惚れた。この世に、こんなにも美しい女がいるのかと、心は感動に打ち震えた。男は身投げを止めた。
 男は、上司の目を盗んで屋上へと通うようになった。歌い踊る女に心を慰められた。そうして|女《オブリビオン》との『縁』が生まれた。
 かくして女は、恐らくは意図してのことではないだろうが、男とひとつになった。
「見た目や性質はなかなかアレですけど、(意味深)なヤツではないですよ。文字通りの物理的な意味でです」
 カイの言う通り、人間の男とリビングデッド、もといリビングデッド化オブリビオンの女は、運命の赤い糸で結ばれ、そして、女は男の中に受肉した。
「女は、まあ。いずれ男のことも食らってやろうと目論んでいたようですが。現状もこれはこれで、いい隠れ蓑になると前向きに捉えているようでございますよ。ええ、『男を滅ぼす魔性の女』でございます。遠慮は不要かと」
 むしろ、男を巻き込まずに倒す方法を考える方が、余程頭を悩ませる案件になりそうだ。……いや、やむを得ない場合は男ごと、という手段も取れなくはないが、善人でこそないが悪人でもない。もっと言えば、仮に悪人であったとしても一般人だ。男もろとも、は最後の手段にしたいところである。
「とは言え、その辺りは皆様の判断にお任せいたします。皆様であれば、無事に成し遂げてくださることでしょう。信じておりますよ」
 本心の分かりにくい笑顔を向けて、カイは右手を上げる。
 そこに|虹《グリモア》は輝いている。


(「……あんた、俺を食おうとしてたんだなあ」)
 俺の中にいる筈の女は、何も答えない。
 後ろめたい……というわけではないのだろう。『答える必要がない』ただそれだけ。
 女とひとつになった、今なら分かる。こいつは、俺に何の情も抱いちゃあいない。ただ、利用価値があるから生かしている。ただ『何に利用するか』が変わっただけの話。
(「それでも、嫌でも離れられないクソな会社よりよっぽどマシだ」)
 どうせ利用されるなら、美人の方がいい。
 俺はどうせ、これ以上のことを何かできる存在でもない。
 ただ、そんな俺でも、この女に救われた。女にその気がなかったとしても、その気があっても打算だったのだとしても。
(「どうせ一度は捨てかけた命だ。こいつの為に死ぬのも……悪くはないな」)
 死ぬなら少しでも、マシだと思える死に方をしたい。
 運命の女の為に、破滅するのも悪くない。


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあと申します。
 ひっそりとサポート優先シナリオを運営させていただきます。
 勿論、通常参加も望外の喜びですので歓迎いたします。
 (但し通常参加はタイミングによっては流れる可能性があります。同章受付中の再送は歓迎です)

 流れと詳細は以下の通りになります。

 第1章:ボス戦『ファム・ファタル』
 第2章:日常『屋上にて』

 第1章にて早速『ファム・ファタル』と戦闘になります。
 事前説明の通り、敵は一般人の男を盾にしてきます。
 男はされるがままに振り回されますし、自ら庇うような動きも見せますが、基本無気力です。何が何でも必死で庇う、まではしません(そんな体力気力がもうないとも言える)。
 そこに付け入る隙はあるかも知れません。

 第2章は、本懐を遂げ損ねた男と屋上で駄弁りつつ、今後身投げしないように少しでもケアをしてあげましょう。
 激励の喝を入れるもよし、話を聞いてあげるもよし、全く別の方法でアプローチするもよし。
 屋上はフリースペースです。自由な場所です。自由な発想でどうぞ。
 (但し公共良俗に反しない程度にね!)

 なお、相手の性質が性質ですが、お色気描写を期待すると恐らく盛大な肩透かしに終わります。
 あって精々クラっとする(頭が痛くなる)程度。

 サポート優先シナリオのため、調子と相談しながら自分のペースで執筆していくことになるかと思います。
 また、現行の通常シナリオの受付準備ができたらそちらが優先になります。ご了承いただければ幸いです。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『ファム・ファタル』

POW   :    蠱惑のショウタイム
【蠱惑的な歌】と【煽情的な舞】を披露した指定の全対象に【この女性に自身のすべてを捧げたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    魅惑のエンドロール
【聴覚を封じても届く、蕩けるような甘い囁き】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
WIZ   :    誘惑のアンコール
【己の欲望が具現化した黒いタールの翼】から、戦場全体に「敵味方を識別する【陽炎のように現れては消える焔】」を放ち、ダメージと【魅了】【行動停止】【呆然自失】の状態異常を与える。

イラスト:枸杞葉

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は灯火・紅咲です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能

接近戦で戦う場合は鎖鎌や鎖分銅の【ロープワーク】による攻撃がメインだが、プロレスっぽい格闘技や忍者っぽい技もいける
遠距離戦では宇宙バイク内臓の武装による射撃攻撃やキャバリアによる【結界術】
その他状況によって魔術による【属性攻撃】や【破魔】等使用。

猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる。

基本的にチャラい上辺ですが、人々の笑顔のため、依頼自体には真面目に取り組みます



 リカルド・マスケラス(希望の|仮面《マスカレイド》・f12160)が先陣切る形で屋上に踏み込むと、既に敵の姿はあった。
 茫洋と立ち尽くす男の背後に隠れながら猟兵たちの様子を窺い、クスクスと薄く、けれども確かに蠱惑的な笑みを浮かべている。
「……あんたらが、こいつの命を狙ってるって連中か?」
「ま、そんなところっすね。……あーっと……」
 名前を聞いていなかった、とリカルドがそれとなく言い澱めば、男は意図を察したようで。
「……名乗る意味があるかは分からんが。|町田《まちだ》・|光則《あきのり》だ」
 似合わねえ名前だろ、と男――光則は自虐的に笑った。
「光則たちからすれば、そうっすね。否定はできないっす。それに、振り回されるならオッサンよりも美女がいいって気持ちもわからなくはないっすが……放っておくと世界すら破滅させかねない女……っすからね」
 そう。
 この女は、光則にとっての|運命の女《ファム・ファタール》であり。
 世界にとっても、|破滅を呼ぶ女《ファム・ファタル》なのだ。
『だったらなんだって言うの? カレ、私の為なら何でもしてくれるの。カレが守ってくれるの。アナタに手出し出来る?』
 挑発的に笑む女は、男を盾にする意思を隠さず堂々と告げた。だと言うのに男はどこか満足げだ。
 ならば、その赤い糸を断ち切るのみだ。男が盾になるより速く。
 因みに今回、リカルドは自前の体で来ている。社内の誰かの体を拝借しようかと思ったが、皆余りにも死屍累々としていたので憚られた。
 ゆえに、消耗は大きいが自前で分身を作るような形で肉体を再現し、青年の姿で二人に迫ると。
『! 速い……でも!』
 女がグルンと男の体をリカルドの正面に向ける。まるでふたり踊るように。
 だが、想定内だ。リカルドは素早くロープを光則の体に巻きつけ、その勢いで押しのけるように、光則を女から引き剥がす!
『な……』
「対象がバラけるんで、ユーベルコード封じは出来ないっす……けど!」
 両腕でのクラッチ、からの両脚絡めて絞め技、のコンボが決まれば、十分なダメージだ!
『い……痛い痛い痛い! 離しなさいよぉ!』
「そのお願いは聞けないっすねえ」
 暗示で少し頭は痛むが、この程度まで弱れば十分跳ね除けられる。
「………………」
「そこ、羨ましそうな顔しないっす」
 惚れた女と絡み合う男に、恨めしげな眼差しを向ける光則。
 これにはリカルドも苦笑するしかなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。


ネッド・アロナックス(サポート)
めずらしい そざいはある?
なければ じょうほうを しいれて かえろうかな!
(※セリフはひらがな+カタカナ+空白で話します)

探し物や調べ物は楽しくて得意だよ
"くらげほうき"や"ゆきソリ"で空を飛んだり泳いだりしてヒトや物も運ぶよ

戦闘はサポートに回ることが多いかな
手強い敵は基本隠れながら隙を作って逃げる!
"クリーピングコイン"で物をひっかけて飛ばしたり
"しろくじら"の歌で余所見をさせたりね

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
よろしくおねがいします!


アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。




『ひ、酷い目に遭ったわ……』
「大丈夫か?」
『もう! ちゃんと守ってよね!』
 拘束から解放されるや否や、すぐに男――光則を回収してしまったファム・ファタル。
 その様子を注意深く観察していたアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)は、微かに傾いたサングラスの位置を直して呟いた。
「受肉化とは言っても、敵の本体は半ば永続的に宿主と分離しているようだな。動きは鈍っているようだが……やはり宿主を盾として使える限りは、使い続ける心算か」
「だったら やっぱり どうにか ひきはがさないと だね」
 本業のガラクタ素材集め兼、味方が安全に帰る為のサポートとしてやって来たつもりのネッド・アロナックス(ガムゴム人の冒険商人・f41694)だったが、状況は想像以上に深刻そうだ。
「あしどめなら できるけど かんぜんに うごきをとめるのは むずかしいかな」
「はいにゃ! それならミーヤにお任せなのにゃ!」
「うん? てつだってくれる? じゃあ おねがいしようかな」
 ぴょん、と元気よく跳ねるように手を挙げたミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)には、何か考えがあるらしい。なお、それを見て何かを察したアスが一瞬半目になったが、余談である。
『楽しそうにお喋りしてるところ悪いけど、時間切れ。アナタたちにずっと付き合ってあげるほど、私たちも暇じゃあないのよ!』
「!」
 先程、先行した猟兵によってダメージを受けたせいか、苛烈な一面を見せ始めている様子の女。
 それでも歌声は甘く思考を蕩かすようで、アスとネッドは頭痛を覚えた。しかし、それとほぼ同時。
『!?』
「ど、どうした……? ……ウッ」
 ネッドが掲げたのは、星辰宿すゾディアックソード――ではなく、つるはしだった。だが、確かに蠍座の剣を基としたそれには、星の力が宿っている。
 放たれた煌めきを真っ向から受けて、女と男、二人の動きが共に鈍った。そして、そこに追い打ちをかけるようにして。
「ぶれいくたーいむ! なのにゃ! 適度な休憩は大事なのにゃ〜」
「……時と場合と場所によると思うが」
 どこからともなくミーヤによって取り出された、山盛りのスイーツ。今回は見た目にも涼しげで、それでいて華やかな、フルーツをふんだんに使ったスティックゼリーだった。桃や梨、スイカにメロン、マンゴーにマスカット……更には贅沢全種盛りまである。
「つめたくて おいしいね」
「調べものしてたらお写真見かけて、美味しそうだったから食べてみたかったのにゃ〜♪」
「………………」
 仲間たちと共有しつつ、自身も本当に美味しそうにゼリーを楽しむミーヤ。アスもまたやや半目気味になりつつ、一本口に運んでいる。シュール。
『ふざけてるの……!?』
「い、いや、けどこれ……」
 そうなのだ。
 ゼリーを口にしていない二人は、最早全くと言っていいほど身動きが取れなかった。
 それはネッドの放った光を受けて動きが鈍ったところに、更にミーヤの『出現したスイーツを堪能していない者』に対する行動制限――厳密に言えば『行動速度』制限――を重ねがけされた為だったのだ(それを知っていたからこそ、アスもゼリーを口にしていた)!
「あっ」
『ちょ、ちょっと! 返しなさいよ!』
 その間にも、ネッドがゆきソリで光則を女から引き剥がしていた。ほとんど抵抗らしい抵抗もできず、ドナドナされていく光則。
 そして、『盾』を失った女、ファム・ファタルの眼前に、アスが踏み込む!
『……あ、あら。いい男じゃあない? どう? 私についてくれるなら、極上の快楽を味わわせてあげるわよ?』
「生憎だが――」
 そのような甘言に、惑わされるようなアスではない!
「一線を踏み外し、世界の敵であり続ける者に俺は、女とて容赦するつもりはない……!」
 脚部展開、ほぼ零距離からの一斉掃射。
 避けようのない女には、その全てを喰らうしかなく。交渉も虚しく、爆炎によって女は爆ぜ飛んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鳥羽・白夜
運命の女、ねぇ。食われるんじゃたまったもんじゃねえけど…

|起動《イグニッション》、紅い刃の大鎌を手に。
さてどうやって引き離すか…
こんな禍々しい大鎌構えた奴に脅されるだけでも一般人ならビビりそうなもんだけど、それだけだとな…もっと恐いの出してみるか。

UC『ブロッケンの魔物』を自身に纏わせ【恐怖を与える】。
何を見るかは知らねーけど、庇う気はあっても魔物に進んで立ち向かってくるほどの気力はねーだろ。
怖かったらさっさと離れとけ、用があんのはお前の中にいる女だけなんでな。

オブリビオンの方も恐怖でUC封じできれば楽だな、翼が使えないように【斬撃波】で【部位破壊】、翼を【切断】した上で【一刀両断】しとくか。




『……もう!』
 ボロボロになりながらも、味方のユーベルコードの効果が切れるや否や、やはり一瞬の隙をついて男・光則を回収してしまう女。
 逆に言えば、そうまでして執拗に『盾』を手放したくない、それも追い詰められればられるほど必死に、といったその様子は、女に限界が近いということ、そして盾がなければ危うい状況であると女も理解しているということだと、鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)は察していた。
(「運命の女、ねぇ。食われるんじゃたまったもんじゃねえけど……」)
 それも本望、と思えるほど、この男は追い詰められているのか。
 だが、光則には悪いが、それを許すわけにはいかない。
「――|起動《イグニッション》」
 短く呟けば、手元には血色と見紛う赤い三日月。
 夜には早いが、ブラッディサイズは爛々と輝いている。
(「さて、どうやって引き離すか……」)
 先程から、引き剥がされては取り戻し、を女は繰り返している。いい加減に光則を遠ざけようという動きには警戒しているだろう。
 だが、恐らくあと一回、それを成功させれば。自分が、トドメを刺すことが出来るだろう。これまで培ってきた戦闘経験から、白夜はそれを確信していた。
 問題は、その方法である。失敗すればより警戒を強めてしまうだろう。そうなれば敵は、突破よりも逃走を図るかもしれない。それは面倒になる。
(「てか、こんな禍々しい大鎌構えた奴に脅されるだけでも一般人ならビビりそうなもんだけど、それだけだとな……現にさっきから色んな奴が相手してるけど、出来るかどうかは別にして、逃げようともしてねーし……」)
 体力気力がなくとも腰を抜かしたり、後退ったりはしそうなものだが、やはり半ば覚悟を決めてしまっているのだろう。
「……なら、もっと恐いの出してみるか」
 その覚悟すら、根底から揺るがすほどの、恐怖を。
 進んで立ち向かう気すらも起こさぬほどの、障壁を。
 奪われることには警戒しても、『自ら離れていく』とは、少なくとも今の女は想像もしていまい。
「何を見るかは知らねーけど……!」
 纏うは美しくも怪しき虹の光。畏怖を与える揺らめきは、恐怖の感情を呼び起こす、魔物へと変じる。
 光則の顔色が、変わった。
「……あ……み、見るな! そんな目で俺を見つめるなッ!!」
 初めて、光則が後退った。
(「もしかして」)
 彼が、『魔物』として見るほど、恐れているものは――。
(「……いや、」)
 それを知る術は白夜にはないし、知ったところで今から何を変えられるわけでもない。
 だから、確実に今、出来ることを選び取る。
「怖かったらさっさと離れとけ、用があんのはお前の中にいる女だけなんでな」
 彼の中に生じ、女と結ばれた『運命』を。
 執拗に絡み合った、血の管のように赤い糸を、断つ!
『ちょっと! いや! 嫌よ! 助けなさい! 誰か、誰かァ!』
「よし、こっちにも効いてるな」
 女もまた、何かを見ている。
 もしかすると、先程から今まで戦った猟兵たちが、女にとっては魔物に匹敵する恐怖そのものなのかも知れない。
 その感情は正解だ。今から女は、過去へと送り還される。
 先ずは一閃。赤い波がタールの翼を断ち切った。
 返す刃で、もう一閃。女の体が両断される。
 女はもう、誰にも破滅をもたらさない。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『屋上にて』

POW   :    日光を浴びながら昼寝する

SPD   :    お弁当やパンを食べる

WIZ   :    街の景色を眺めて楽しむ

イラスト:乙川

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ネッド・アロナックス(サポート)
めずらしい そざいはある?
なければ じょうほうを しいれて かえろうかな!
(※セリフはひらがな+カタカナ+空白で話します)

探し物や調べ物は楽しくて得意だよ
"くらげほうき"や"ゆきソリ"で空を飛んだり泳いだりしてヒトや物も運ぶよ

戦闘はサポートに回ることが多いかな
手強い敵は基本隠れながら隙を作って逃げる!
"クリーピングコイン"で物をひっかけて飛ばしたり
"しろくじら"の歌で余所見をさせたりね

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
よろしくおねがいします!




「てあらな ことして ごめんね?」
「……あー……」
 屋上の柵にもたれて座り込む光則に、ネッド・アロナックス(ガムゴム人の冒険商人・f41694)が声をかける。
 以外にも、光則がネッドたち猟兵を見る視線に、恨みや怒りの感情はなかった。
 ただただ深い、諦観が闇のように横たわっている。
「……逝っちまったのかァ、アイツ」
 目を瞑り、空を見上げるように仰のいた光則の、少し間を空けた隣に、ネッドも座る。
 沈黙が流れる。雲が流れていく。誰も、何も光則を助けるどころか、慰めもしない。
 そして、光則自身も何も出来ずにいた。彼が諦めたものは何なのか、それはネッドには分からない。それでも。
「ひきぎわを みきわめるのは とくいなんだ」
「?」
 ネッドがそう呟けば、光則が再び目を開けた。
 そして、初めて二人の目が合った。
「にげてもいい とおもう よ そらじゃあなくて じぶんのあしで いけるところまで どうころぶかは わからないけど いがいと しぬよりマシ だったりするから」
 自分の経験則だけど、と付け加えつつ、穏やかに微笑むネッド。
 光則は、共感も反発もしなかったが、それでも話はちゃんと、聴いているようだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

熊ヶ谷・咲幸(サポート)
お騒がせ☆アイドル×力持ち、12歳の女の子です。
憧れのアイドルになって人々の心に希望を灯せるようになる事を目指しています
イベントなどもアイドルとしての勉強の一環として体当たりチャレンジをします

がむしゃらに頑張るタイプで【怪力】による力技がメインですが、力をコントロールできなかったり等でドジをすることもしばしば。【奇跡のドジ】でいい方向に向かうことも
野生児の過去があり、動物の言葉などもなんとなく分かる時があります。

マスコットのクマリンは「咲幸ちゃん、〜リン、〜だリン」みたいな感じで喋りツッコミ等サポートも兼ねます

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「か、会社員さん! 大丈夫ですk……はわぁッ!?」
「おうッ!?」
 光則に駆け寄ろうとした熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)――だったが、勢い余ってすぐ横の、屋上の柵に突っ込んだ。落下は免れたが柵が少しひしゃげた。光則はちょっと引いていた。
 だが直後、このくらいは全く気にしませんと言わんばかりにぐるんと光則へ向き直る咲幸。なお顔はしっかりガードしてました。アイドルなので!
「し、死んじゃダメです……! それよりこう、これがあるから頑張れるって何かを……そう、推し! 推しを作りましょう! さっきの|女性《ヒト》ではなく!」
「推し……」
「アイドルになる前、あたしもアイドルに勇気をもらいました」
 口にはしないけれど、咲幸にも心を閉ざし、自ら孤独に身を置いていた時期があった。
 それでも、可愛く、或いは格好よく、それでいてそれぞれの個性を活かして輝くアイドルは、咲幸の心の暗闇にも光を差してくれた。
「辛い時に、心の支えになってくれるものがあれば、この先……えーっと」
「町田光則」
「町田さん! 町田さんがどんな道を選んでも、頑張ろう、生きていようってきっと思えます。そうして生きていれば、きっともっといい方向に転がるきっかけもできる! ……かも、です!」
 断言は出来ないのが悲しいところだ。
 それでも、咲幸自身、人々に希望を与えるようなアイドルになりたかったから。
 だから、潰えそうになっていた希望を、そのままにはしておけなかった。
「……っつっても、パッと思いつかねーんだよな、推せそうなの。……取り敢えずアンタが当面の推しってことにしとくか? ここまで言われちまったし……」
「え!?」
「え?」
 ……思わぬ形で咲幸の(暫定)ファンが一人増えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳥羽・白夜
イグニッションを解いて。
あー、さっきは怖がらせて悪かったな。あの女と引き離すにはああするしかなかったんで、ごめん。
何を見たのかは聞かないようにしつつ。
えーと、トマトジュースでも飲む?

俺も別に、得意なこととかやりたいこととか特別何もねーんだよな。トマトジュースは好きだけど。
この歳で非正規だし。俺は会社に縛られんの嫌だから真面目に会社員やろうとも思わねーけど。だから真面目にやってるあんたはすげえよ。それが出来ない奴だっているんだよ。
けどまあ、仕事なんて死ぬ気でやるもんでもねえし。辞めろとか無責任なことは言えねーけど…とりあえず何も考えずに休んでもいいんじゃね?
…あ、死ぬのはなしな、俺が気分悪いし。




「あー、さっきは怖がらせて悪かったな」
 イグニッションを解き、武装も自身のカードに封印してから、鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)は少しだけ、バツが悪そうに光則に近づいた。
「あの女と引き離すにはああするしかなかったんで、ごめん」
「………………」
「………………」
 座り込んだ光則は、何も言わない。
 気まずい。……が、向けられた視線に恨みや怒りの念は感じられない。その事実に、少しだけ白夜は安堵した。
(「……さっき、何を見たのか」)
 白夜にそれは分からない。推察は多少出来るかも知れないが、する気もない。
 触れる気がなかったのだ。蒸し返すようなことでもないし、自分が、と言うより他人が触れていい領分なのか、判断がつかなかったから。
「えーと、トマトジュースでも飲む?」
 ひとまず、微妙な空気を打破するべく、常備しているトマトジュースを差し出した白夜。
 意外にも、光則はそれをすんなり受け取った。
「じゃあ折角だし貰っとくわ」
「ん。ここのメーカーのが美味いんだ。オススメ」
 少し口元を緩めれば、光則も同じようにした。
 話は、案外出来るのかも知れない。
「あるツテでさ、事情は聞いた。俺も別に、得意なこととかやりたいこととか特別何もねーんだよな。トマトジュースは好きだけど」
 好きなものを好きであることと、好きなものやそれに関わることを仕事にしたいかどうかはまた別の話だ。好きなものに関われなければ、人間生きていけないというわけでもない。
「それにこの歳で非正規だし。俺は会社に縛られんの嫌だから真面目に会社員やろうとも思わねーけど」
 つまり、白夜が言いたいのは。
「だから真面目にやってるあんたはすげえよ。それが出来ない奴だっているんだよ」
 どんなに嫌でも、どんなに辛くても、投げ出さずに頑張っている。それは誰にでも出来ることではないのだ。
 そんな風に考えたことすらなかったのか、光則は目を丸くして瞬いた。
「けどまあ、仕事なんて死ぬ気でやるもんでもねえし。辞めろとか無責任なことは言えねーけど……とりあえず、何も考えずに休んでもいいんじゃね?」
 性格にしろ、境遇にしろ、光則は少なくとも今まで『辞めたくても辞められなかった側』の人間だ。
 すぐに何かを変えるのは、難しいかも知れない。けれど少しだけ、置かれた状況を変えることから始めるのなら、少しはハードルを下げられるかも知れないから。
 その上で、思い切って辞めるか、それとも続けるのかは、光則次第だ。それこそ、一度立ち止まったことで見えてくるものも、あるかも知れないし。
「……あ、死ぬのはなしな、俺が気分悪いし」
「………………そうだなァ」
 トマトジュースを一口あおって、光則は空を仰いだ。
 白夜もそれに倣っていると、ややあって、おもむろに光則は立ち上がった。
「ま、死なねー方向で何か出来ることがないか、考えてみるよ。こんな俺にも、ここまでしてくれる奴らがいるんだ、無碍にしたらバチが当たる」
 そう言って、光則はひらりと手を振ると、そのままどこかに行ってしまった。
 けれど、彼はもう、破滅に引き寄せられはしないだろう。
 白夜は不思議と、そう確信出来た。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年07月17日


挿絵イラスト