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【サポート優先】こころここにあらず
これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。
なぜ、どうして、そういった疑問を飲み込んで、人々は大岩の下にその鬼を封じた。
いつかその下から、恐ろしいものが這い出してくることも理解しながら。
「皆さんには封印された不死身の妖怪を倒してほしいのです」
綿貫・小雨はそう言いながら、なにかが描かれた紙を差し出した。
名状しがたい「なにか」としか形容できないそれは、その曖昧な形容とは裏腹に何故か嫌な存在感を持ちながら紙の上で不快な染みのようにそこにある。
「もちろん本当の不死ではないのです。ここに描かれたものがその秘密らしいのですが……」
心臓のようにも見えるし、赤熱している黒い石のようにも見える。とにかくそれが、隠されている不死身の秘密であるようだ。
それがわかっているのならば話が早い……。というわけでもない。
「もちろん不死身の秘密ですから、厳重に隠されているのです!皆さんはそれを見つけて、破壊して、不死身を引っ剥がしてやってください!」
道中どんな危険があるかわからないが、わからなくとも危険があることだけは確実。それほど厳重に守られているからこそ今まで封印という手段しか取れないほどに人々が苦しめられていたのだから。
「人を惑わすような幻覚や罠、不死の秘密を守ったり禍々しさに惹かれたりする妖怪も出るかもしれません。それでも皆さん、おねがいします!」
ぬぬかぬれ
はじめましての方ははじめまして、ぬぬかぬれです。
本シナリオはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。
ヤバいところを突破して敵を蹴散らしてボスを倒す!そんなお話です。
第1章 冒険
『結界・偽浄土』
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POW : 視る。これは紛い物だ。
SPD : 聴く。これは紛い物だ。
WIZ : 識る。これは紛い物だ。
イラスト:日向まくら
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
中村・裕美(サポート)
副人格・シルヴァーナ
『さてと、よろしくお願いいたしますわ』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)
裕美のもう一つの人格で社交性と近接戦闘特化。柔らかな物腰や【優雅なるご令嬢】で対人系は得意な方。楽しいこと大好き。
【情報収集】も得意です。基本的にお嬢様然とし態度は崩しません
探索系であれば、ドラゴンランスを竜形態に変えて偵察に出したりなども可能。
シルヴァーナは電脳魔術が使えないので裕美のハッキング能力等が必要な場合は【オルタナティブ・ダブル】で呼び出します。裕美は頼れていじりがいのある妹みたいな存在
あと、虫が苦手
豪華絢爛、としか言いようのないまるで金屏風をそのまま世界の上に貼り付けたような光景を目の前にしてシルヴァーナは、まるで不快なものを見たようにわずかに眉をひそめた。
あからさまに騙そうとしているのがわかれば、美しいと無理やりにでも思わせようとでもしているような押し付けがましさが感じられる。鬱蒼とした森がいきなりこんな風景になったのならば、よほど信心深い人間であっても異常だとすぐに分かるだろう。
「あまり良い趣味とは言えませんわ」
これが封印されているモノの趣味であるのいうのならば、そのセンスの無さも一緒に封印してもらったほうが良かったのではないかとすらシルヴァーナには思われた。それほどどこか歪で違和感がある。
その原因がどこにあるのか、ぐるりと周囲を見渡したところで空も水も夕方でもないのに金に染まり、花は咲き乱れ、空に浮かぶ金の雲は瑞雲だとでも言わんばかりに輝いている。
「ああ、でも"ありません"のね」
その違和感の出どころに気づいたシルヴァーナは、躊躇することなく眼前に広がっていた金の水場に足を踏み入れた。凪いだ水に侵入者によってさざ波が生まれるものの、本来あるはずのものがない。
そこにあったのは異様なほどの静寂。本来ならばあるはずの水音も、花を撫でる風の音も、この異様な空間には存在しなかった。それだけではない、水の冷たさの感触も濡れたということすらもシルヴァーナには感じられなかった。
「随分とお粗末ですこと。手抜きはいけないとご存知ないのかしら」
本来ならばどこまでも続くだろう空間に存在したありえない「突き当り」にまるで鍵でも差し込むように、シルヴァーナは自然な手つきでナイフの切っ先を埋め込んだ。
まるで金属が引き裂かれるような、悲鳴のような甲高い音が響き渡り浄土のような偽りのヴェールは崩れ落ちた。後に残ったのは変わることのない鬱蒼とした森。少し異なるところがあるとすれば、その先に森の出口が見えていることくらいだろう。
「わたくしを騙すのならば、もう少し努力なさってくださいまし」
迷いなく歩を進めるシルヴァーナの後ろには、もはや金の残滓もない。だがそんなことは振り向くことなく進む彼女にとってはどうでもいいことだった。
成功
🔵🔵🔴
印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしい境遇なので自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、慎重な面がありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキって墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいい
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器
・キャバリア・劫禍との関係はUCの秘密設定あたりで察してください
・何か役立つ素材があれば【何でも工房】でアイテムや建造物の合成を短時間で行えます
UCは活性化した物をどれでも使用し、例え依頼のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
そういえば全部金の室内ダンジョンが東方実装時に追加されるなんて出所のわからない噂話を聞いたことがあるな、とラビニアの思考が横道にそれたのは突然現実逃避を始めたからでない。むしろ眼の前の異様な光景から連想された、ごくごく自然なものであった。
ラビニアからすれば現実から勝手にかけ離れたのは眼の前の光景の方で、先程までは昼であろうが関係なく暗い鬱蒼とした森の中にいたことを考えればどれだけ様変わりしたのかもそれが異様なものであるのも瞭然だった。
「いや、これで騙されるわけないよ……ないよね?」
罠だとしても杜撰なほどに絢爛な周囲の状況に、わかりやすいという理由で不安になってきたラビニアはとりあえずと触れてみた蓮の花の感触を信じられないという顔で数度確認してからげんなりとした。
GGOの廃プレイヤーとして、ここまで再現性の低いオブジェクトで良しとしたことが信じられない。よく見てみれば風に揺れる挙動もおかしいし、グラフィックも環境光の反映とか考えたら手抜きなような気がしてくる。
「こんなわかりやすい罠なら見破るのは簡単だよ!」
得意になって偽物の風景を見渡してラビニアはふと気づく。偽物だとして、これってどうやって出たらいいんだろうと。選べば出られる扉があるわけでもなし、正解を当てれば出られる道があるわけでもなし。どうすれば出られるのかと、罠であるのを見破られたのは別の話じゃないだろうか。
嫌な汗が流れるのを感じながら、とりあえずと振るってみたサーベルはあっけなく空間を切り裂いた。まるで背景の描かれた幕でも張られていたかのように、裂け目の向こうには元々いた暗い森が見える。
「なんだ、ほんとに簡単だったんだ……」
必要のない心配にぐったりと疲れたような気持ちになって、引き裂くように更に大きく広げた裂け目から一歩足を踏み出した。その瞬間背後にあったはずの極彩色の浄土はまるで最初からそんなモノなかったかのように掻き消えて、鬱蒼とした森の姿を現した。
一瞬でも焦ってしまったことに少し気まずい思いはしたものの、簡単に出られたことだって事実。気を取り直したラビニアは、先程より少しだけ周りに警戒しながら改めて一歩踏み出した。
成功
🔵🔵🔴
百鬼・甚九郎
浄土。ほう。
え~何それめっちゃ気になる~。儂、浄土行ったことないんじゃよね。死んだことないもんで。
ゆーてまがい物じゃけどなここ。ぜんぜん鼻につーんと来んもの。儂ってば鬼じゃから、目も鼻も耳も良いんじゃよ。
五感の全てが言っておる。とんだ贋作じゃ、とな。
で、あればよ。てきとーに遊んでくのもよいな!
水の上走ってどこまで広がってるか確かめてやろうか。空を踏んでどこまで天が高いか確かめてみようか。地を掘り花の根をえぐり取ろうか。
う~~~~~ん、つまらん!
何もおらん。何の変化もない。なんたる退屈な場所じゃ。地獄の方がよほど楽しかろうて!
じゃ、出るか。結界の一部にえいっと干渉し、硬化させてブチ砕いて出る。
物珍しさに周囲を見回していた甚九郎の表情は、見回すほどに明らかに楽しげな様子から怪訝な様子に変わっていった。最終的には明らかに「期待外れ」とでも言いたげに落胆の色を濃くし更にはため息まで漏れる。
「死にもせんで浄土が見られるなんてと思うたが、とんだ贋作じゃなここ」
作り物なら作り物らしく、もう少しそれらしく作ればいいものを。天上の園らしいかぐわしい香りどころか匂いなんてものがどこにもない。それが鬼の鼻にも心地よいかは甚九郎には知ったことではないが、無いよりはある方が楽しめるに決まっている。
花の手触りもなんだか安い布のようであるし、水も温度というものがない。空の雲は描かれたように微動だにせず、名のある画家の方が動きのある絵を描くだろうと思えるようなお粗末さだ。
「ま、出来損ないでもてきとーに遊ぶにはよいな!」
駄目なら駄目で楽しみようはある。贋作でもせっかくの浄土なのだからと水の上を走り出してみても、ろくに水しぶきも上がらず進んでも進んでも小島の一つも見えてこない代わり映えのしない水平線が続いていく。
ならばと空に踏み出してみても代わり映えのしなさに空が追加されただけ。鳥の一羽も飛んでいなければ、それっぽい演出としての蝶すらいない。今なら蚊柱にすらいっぱいいる!と喜べてしまうくらいなにもいない。
「土の中なら、もうちょっとなんか……あるじゃろ!」
水に手を突っ込んで花の根元を掴んて引き抜くと、花瓶に挿された切り花のようにスポッと抜ける。土を掘り出してみても蟻の一匹もいない上、土の感触がなくまるで手応えがない。もちろん根が張っているわけもなかった。
何もかも期待外れとしか言いようのない退屈で単調なこの場所に期待を裏切られ続けた甚九郎が、すっかりと飽きてしまうのも無理はない。遊ぶこともろくにできないような場所に一体何の魅力があるというのか。
「つまらん!これが浄土と言うなれば、地獄の方がよほど楽しかろうて!」
甚九郎が腕を上げると、単調な世界が僅かに歪む。それに片眉を上げ、そのまま拳を叩きつけてやれば面白みのない作り物の浄土は跡形もなく砕け散った。
贋作というのは壊れるときも面白みや意外性がない。最後までがっかりさせられた甚九郎は、それを帳消しにできるような楽しいことを求めて暗い森を歩いていく。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『火車』
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POW : 呪言炎波
【呪言と共に口から吐かれた炎波】が命中した対象を燃やす。放たれた【呪いの】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 呪車炎蹂
【炎を纏った車輪を高速回転させること】で敵の間合いに踏み込み、【呪いの炎】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ : 呪炎旋風
高速で旋回する【車輪の軌跡に沿って炎の竜巻】を召喚する。極めて強大な焼却攻撃だが、常に【呪言】を捧げていないと制御不能に陥る。
イラスト:すずや
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
極楽浄土を抜けた先は、まるで地獄の様相だった。
複数の火車が徘徊するその場所は、森の中としては不自然なほどポッカリとあいた空間になっていた。
周りをよく見たのならば分かるだろう、それが元々あったものがすっかりと燃やし尽くされた後だということに。そしてそれは森の木々だけではない。
地獄というのは、そこに落ちたものがなんであっても牙を剥くのだ。
百鬼・甚九郎
地獄のほうが楽しいつったら地獄が「ハーイ!」て来おったな。おもろ。
まあよい、遊ぶかエセ猫ども。
ヒャッハー! パワープレイのお時間じゃ!
イバラの右腕を伸ばしてぇ! 届く範囲内の火車どもを掴んで拘束ぅ! 鬼の左腕で森の木を引っこ抜いてぇ! 全員死ぬまで殴打じゃあ! いえーい!
あっつ!! 何燃やしてきとんじゃこのガキャア! いや実際にガキかはわからんが。はいはいそうじゃな、餓鬼じゃなくて火車じゃな。うるせー現代じゃ子供を餓鬼呼ばわりするんじゃ! 現代ミームじゃよ。
まあ回復力には自信ありじゃし、いま自己再生かかっとるでな。全身やけどくらい我慢じゃ、あとで消えん火がついてる部分千切って治すわい。
地獄の方がマシとは思えど、地獄が来いと言った覚えはないが。突然目の前に現れた地獄絵図を前にして甚九郎は、それはそれで面白いから構わないと気持ちを切り替えた。
幸いにも遊び相手は湧いて出てくるほどいる。火の尾を引きながら回転する火車はまるで巣穴から一斉に出てきた虫のように際限なく溢れては侵入者を排除するために……あるいはただ燃えるものを求めて甚九郎の元へ向かってきた。
「火車といえば猫じゃろうに。まあよい、遊ぶかエセ猫ども」
殺到してきた火車たちは、波のように押し寄せる茨に絡め取られ歪な音を立てながら動きを止める。茨を引きちぎろうと動き出す前に、その横っ面を振り回されたただの森の木が砕け散るような圧倒的力で叩きつけられた。
メキメキと割れる音は火車が出したものか、それともへし折れた木が出したものか。どちらにしてもただそこにあるのは破壊という事実だけ、数度殴りつけて折れた木を無造作に火車めがけて投げつけながら次はこれとばかりに甚九郎は新しい木を根本から引っこ抜いた。
「ん?あっつ!!こんのガキども!大人しく殴られることくらいできんのか!」
じりじりと火がうつった茨に顔をしかめるものの、その拘束は緩まずむしろ更に締め付けてやるとでも言うように軋む音を立てながら火車に茨が食い込んでいく。
そのまま叩きつけるように根が付いたままの木が火車の群れに振り下ろされると、今度こそ派手な音を立てながら火車だったものがひしゃげて飛び散り燃え残りの焚き火のように僅かな火を残して沈黙した。
動かなくなりただ自らの火で残骸を燃やすだけになった火車を見下ろして、甚九郎は無造作に持っていた木を放った。生木は燃えることなく、地響きとともに地面に横たわる。
「消えんのかこれ、仕方ないの」
火車たちが逃れることのできなかった茨を火のついた部分を切り落とすように軽々と引きちぎり、甚九郎は積み重なった残骸の上に投げ捨てた。パチパチと弾けるように火花が散ったものの、火の力が弱いのか燃え上がることなく静まっていく。
思ったよりも燃えなかったそれに興味をなくした甚九郎が歩き始める頃には、引きちぎったはずの右腕は一度も傷ついたことが無いかのように元の姿に戻っていた。
大成功
🔵🔵🔵
水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか
太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ
正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像で目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな
それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ
火車の炎が暗闇を舐め、真峰の宝石のような髪と瞳を赤く瞬かせた。ぬるりとした温度の空気が熱に焼かれ、不快な高温になって真峰のところまで届いてくる。
「これはまた、名乗っても応えないような相手が来たな」
口から紡がれているのは対話を目的としてものでなく、侵入者を排除するための呪いの言葉でしかない。真峰はつまらなさそうにその姿を眺め、敵対者と示すようにその歩を進めた。
歩を進めるごとに、中空に浮かぶ太刀が増えていく。地をえぐりながら近づいてきた火車の放つ炎を、複製された真峰の本体が両断するのを合図にしたかのように無数の太刀がそれぞれが別の意思を持っているかのように動き出した。
「ほれ、避けてみろ。速さくらいは誇れるだろう?」
飛び交う太刀の合間を抜け、何本もの刀傷をつけながら火車は真峰を目指して突撃してくる。軋む音とごうと燃える火の音、烟る熱気が真峰の肌をじりじりと苛んだ。
真峰の眼前で、火車は炎を一層燃え盛らせた。恨みが燻る呪いの炎を今まさに放たんとしたその瞬間、呪いを貫くように細い刃が火車の背後から飛び込んでくる。
「ぐるぐると回る前に、後ろに目でもつけた方がよかったな」
背後からの斬撃に対抗しようとした火車はそちらに気を取られ、対峙していた敵対者への意識がそれる。真峰の手に握られた複製太刀が炎ごと火車を切り裂くのには、それは十分な隙だった。
真っ二つに切り裂かれた火車は数度歪な音を立てた後、燃え尽きたように崩れ落ちた。それを見届けたかのように無数に浮かんでいた太刀も真峰の手の中にあった太刀も、空気に溶けるようにしてその姿を消す。
「終わりか」
炎の熱気はすでになく、ぬるい空気は動くこともない。最初からそうだったとでも言うような沈黙の中、真峰は既に残骸になった火車を踏みしめ歩みを進めた。
成功
🔵🔵🔴
アキカ・シュテルア(サポート)
A&Wの森で暮らす27歳女性です。
普段はおっとり系、何かしら強い興味を持つとそちらへ一直線になります。
傾向としては美術及び魔導書に関するものが強いですが、
好奇心旺盛の為、大概のことには一定の興味を示します。
戦闘は主にUCを使用した範囲・包囲攻撃で行います。
また、夜明紫電(装備1参照)を振り回しての攻撃や、
Colorful drops(装備4参照)を補助として活用することもあります。
焼ける土の臭いと、肌を舐めるぬるい空気。そして地面を削るように走り回る火車で地獄のような様相を呈している場所には似つかわしくない穏やかさで、アキカはそこに佇んでいた。
絵に描かれるような妖怪の姿そのままの火車を目にしてアキカは恐怖することもなくぱちぱちと瞬きをして、興味深そうに目を輝かせた。
「あんなに回って、目が回らないのでしょうか?倒れたら、ちゃんと起き上がれるのでしょうか?」
恐れることなく好奇心だけで見つめる視線にも、火車は敵対者として反応した。土塊を巻き上げながら火を撒き散らし、明確に排除の意思を持ってアキカに突撃してくる。
その様子に少しだけ眉根を寄せて、アキカは夜明紫電を持つ手に僅かに力を込めた。たったそれだけでごく普通の筆ほどの大きさだった丸筆は、みるみるうちにその姿を大きくした。
「乱暴だわ」
丸筆に撫でられるように弾かれた火車は、まるで塗りつぶされたかのようにブルーブラックの塗料が付着した部分の火が消えていた。
ほとばしるインクが触れるたび、火車の動きは鈍くなり燃え盛っていたはずの火の威力が弱くなる。地面に落ちた塗料が描いた円の中でアキカが筆を振るえば、それだけで火の粉の一つも近づくことは出来なかった。
戦闘の気配に寄ってきた火車の加勢も、キャンバスが多少広がっただけで戦況を変えるようなことにはならない。むしろ地面を塗り終わった後では、塗料を無駄にせず済むほどだ。
消火剤でも消すことの出来ない火も、アキカの塗料の前ではそうなるのが当然とでも言うように消えてく。そんな状態ではたとえ群れをなした火車であっても、ただ一人に傷をつけることすら出来ない。
「終わり……でしょうか?」
すっかり動かなくなった火車の山の前で、自分の言葉に返事をしないタダのガラクタになった火車をしばらく眺めていたアキカが思い出したように声を上げる。
「倒れても起き上がれるかどうか、試すのを忘れてしまいました」
すでに動かなくなった火車を見て、アキカは少しだけ残念そうにそう呟いた。
成功
🔵🔵🔴