●欧州の猛き街
ここは、ウシの街。正確には、ウシ獣人の多く住まう街だ。
もちろん、他の獣人種族も共存している。少数派だからといって肩身の狭い思いをすることもなく、みな平和に暮らしている。
ある日を除いては。
「モー、本日はお日柄も良く……」
広場に集った獣人達が、殺気立つ。
町長ウシの話がつまらないからではない。いやそれもあるかもしれないが、最大の理由は別にあった。
今日は、この街恒例のレースが開催されるのだ。
その名も、『モー・レース』。互いの足の速さを競うという、シンプルな大会である。
だがそれゆえに、原初の闘争本能は刺激され、勝利をつかめと轟き叫ぶのだ。
「フンッ、今年は負けないぜ」
「なら俺は今年『も』負けないぜ」
「「ンモー!!」」
ばちばち、と、鼻息荒く、闘志を燃やすウシ獣人達。
そんなふうに街が活気づく中。
暗躍する1つの影があることに、獣人達は誰一人気づいていないのであった。
●猛レース
初雪崎・識(翠炎の探求者・f44092)は、すっかり平和を取り戻した『獣人戦線』へと、猟兵達を導いた。
「事件の舞台は、ヨーロッパにある、ウシ獣人の街だよ。世界のあちこちで『幻朧帝国』が暗躍しているのは知っている? それで、この街にも、帝国のエージェントが潜入しようとしてる」
エージェントの目的は、これまで世界各地で起きている事件と同じ。
街の重要ポイントで影朧兵器『逢魔弾道弾』を起爆させ、街全体をオブリビオンであふれる『逢魔が辻』に造り替えようとしているのだ。
「幻朧帝国、また性懲りもない、ね」
ため息をつく識。
現在ウシの街では、イベントが開催されている。
「『モー・レース』、だよ。ウシ獣人達が、日頃鍛えたり鍛えなかったりした走力を競う大会みたい。距離は、ハーフマラソンくらい、かな」
街の中心部をスタートして、荒野を走り、森を抜けて、再び街に戻ってくるというコースだ。
また、ある程度なら、他の参加者を妨害する事も許可されている。もちろん、殺傷能力のある攻撃は失格となるので、ほどほどにしておかねばならないが。
「せっかくだから、みんなもモー・レースに参加してみて。ウシ獣人と交流して、親睦を深めよう」
速さを競うのはもちろん、全力をぶつけ合うことで互いを理解し、リスペクトするいい機会となるだろう。
識の予知では、大会終了直後のタイミングを狙って、エージェントが逢魔弾道弾を起爆させるようだ。
「レースでウシ達と仲良くなっていれば、その場所を簡単に突き止められるよ」
今回の敵エージェントは、ワニ獣人『ウォーリアー』。
決して侮れない敵だが、ウシ獣人達の協力を得ることが出来れば、有利に戦いを進められるはずだ。
「そういえば、ウシ獣人が猟兵に目覚める日も、割と近づいてきた気がする、ね」
獣人達を助けて街を守ろう、と、識は猟兵達を促すのだった。
七尾マサムネ
今回は、ウシ獣人の街を舞台としたシナリオです。
新種族追加のフレームとなっております。
●第1章
ウシの街で開催される『モー・レース』に参加します。
ちょっとした妨害行為も認められていますが、殺傷能力のある武器やユーベルコードの使用は反則にあたります。乗り物は禁止です。
●第2章
大会の後、敵エージェント『ウォーリアー』の暗躍現場を取り押さえ、これを撃破します。
なお、1章でウシ達と交流していれば、共闘が可能です。
それでは、皆さまのご参加、お待ちしております!
第1章 日常
『鍛錬あるのみ!』
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POW : 真っ向から力をぶつけ合い鍛え上げよう!
SPD : 速度や技術を競って磨き上げよう!
WIZ : 戦術や戦略、獣呪術を活用した戦いを試してみよう!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
メイルーン・アルカディア
【夜駆】
レースだってさ、ユーリ! 走るの得意だろ君、いっしょ行こーよ!
いーでしょ、僕も走るからさあ。やーウシ獣人は初めて会うなあ、よろしくねっ!
まあ僕、そりゃ人間よりかはずぅっと速いけど。ガチで走るのに向いてる種族ってワケじゃないからね
ぶっちゃけ勝てるとは思ってないってゆーか。いま昼だし。魔力具現化で作った覆いを頭上に浮かせてなんとかしてるけど、体は重いしさ
でも全力で走るよー、魔力の扱いは仲間内でも飛び抜けてるし!
魔力を全身に回して、最高効率で増強、体を頭で操って動かす
トップスリーには入るつもりで行くよ
何より、ユーリに向く妨害を防ぐ事に全力を尽くすかな!
ユーリック・アークライト
【夜駆】
確かに、お前たちよりは得意、だが……おい、引っ張るな
……宜しく頼む
メイは、よく俺を遊びに誘うが……
気遣いなのだろう……俺には過ぎた友だ
ならば……全力を出さん訳にはいかんな……
獣人の選手よ……悪いが、トップは、俺が貰う
いまは昼だが、夜のヴェールが俺を守る
最短距離を読み(見切り)、足場を確保し(足場習熟)、妨害を避け(認識阻害、気配感知)、体内電流を操り反応速度を増し(電撃、早業)、全力で走り抜ける(ダッシュ)
友に恥をかかすわけにはいかん
俺は口下手だ…行動で語ることにしよう
スタート地点は、静かな闘志に包まれていた。
そんな獣人……おおむねウシ……ばかりの参加者の中に、異彩を放つもの達がいた。
メイルーン・アルカディア(|墜楽《ついらく》卿・f43195)もその1人である。
「レースだってさ、ユーリ! 走るの得意だろ君、いっしょ行こーよ!」
メイルーンから陽気な誘いを受けたユーリック・アークライト(雷鳴卿・f38218)は、ローテンションで応えた。
「確かに、お前たちよりは得意、だが……おい、引っ張るな」
「いーでしょ、僕も走るからさあ」
あまり乗り気ではない風をうかがわせるユーリックを、ぐいぐいと連れ出すメイルーン。同じ夜に生きる者ではあるけれど、その雰囲気は正反対だ。
他の獣人から向けられる好機の視線に、メイルーンは笑顔で応えた。
「やーウシ獣人は初めて会うなあ、よろしくねっ!」
「色々な意味で見慣れない顔だな。猟兵ってやつか?」
メイルーンの姿を確かめて、ウシ獣人が、ブモッと納得した。この世界で獣人でないのは、猟兵くらいとみて間違いない。
「大きな戦いも終わったってのに、こうして来るなんざ、全く物好きな連中だぜ。まあ、歓迎だけどな」
「そう言ってくれると嬉しいな! 手は抜けないけどよろしく!」
「……宜しく頼む」
メイルーンに続いて、ユーリックもまた、挨拶は欠かさない辺り、律儀、と言えるだろう。
そんなユーリックに、ウシ獣人達は、友好的な態度で応じた。
「ハハッ、そんな辛気臭い顔をして、参加するからには自信があるんだろう?」
「そういう、わけでは……」
「またまた! なあに、レースが始まればすぐにわかることよ」
ユーリックの返答を謙遜と判断したようだ。獣人が、ブモモッ、と笑い声をあげる。
「全く、ずいぶんと買いかぶられたものだ……」
ため息とともに、ユーリックが、メイルーンを振り返る。
「まあ僕、そりゃ人間よりかはずぅっと速いけど。ガチで走るのに向いてる種族ってワケじゃないからね」
メイルーンが、軽い調子で応える。
「ぶっちゃけ勝てるとは思ってないってゆーか。いま昼だし」
今は、魔力具現化で作った覆いを頭上に浮かせてなんとかしのいでいるものの、実際、体は重い。
「でも全力で走るよー、魔力の扱いは仲間内でも飛び抜けてるし!」
ウシ獣人達の雰囲気に早くも馴染み、やる気満々のメイルーンを見て、ユーリックは思う。
(「メイは、よく俺を遊びに誘うが……気遣いなのだろう……俺には過ぎた友だ」)
小さく肩をすくめ、しかとコースの先を見据えるユーリック。
「ならば……全力を出さん訳にはいかんな……」
ユーリックも静かに闘志を燃やすのを察したメイルーンは、ニカッ、と笑った。
そして、参加者達が、スタート位置についた。
「では栄光のゴールに向かって、レディ・|モー《ゴー》!」
モー・レース、開・幕!
ウシ獣人の合図、ピストルの音に合わせて、メイルーン達は一斉に走り出した。
踏み出すのに合わせて、練り上げていた魔力を、全身に行き渡らせる。
最高効率にて身体能力を増強。体を頭で操って動かす、という策に出た。
せっかくやるからには、メイルーンも好成績を狙う。なんならトップスリーには入るつもりだ。
そんなメイルーンを颯爽と抜き去った者がいる。ユーリックだ。
「モーっ?」
「早ッ!」
スタートダッシュを決めたユーリックに、周囲の獣人達がざわめく。
「獣人の選手よ……悪いが、トップは、俺が貰う」
今の時間帯は昼。だが、夜のヴェールがユーリックを守ってくれる。
街を抜ければ荒野が待つ。ここからが本番だ。
ユーリックの対策は万端だった。用意周到ともいえるレベルで。
コースの最短距離を読み、荒れ地では足場を確保。
|他の参加者《ライバル》の妨害を察知すると、体内電流を操ることで増した反応速度を生かし、回避。全力で走り抜ける。
やがてユーリック達は、荒野を越え、森エリアへと戦場を移す。
ここにきて、ウシ獣人達の妨害が本格化した。
「悪く思うな、これもウシ族のやり方よ!」
めきめき、バキッ。
不穏な声と音に、ユーリックが振り返れば、倒れる木々。
道を強引に切り拓き、後方から猛然と突進を仕掛ける獣人。あえてユーリックの真後ろにつけてくる。
ユーリックを壁にすることで空気抵抗を多少なりとも軽減し、更にそのまま追突という若干荒々しい方法で突破するつもりか。
「オレの道に割り込んだのが運の尽きよ! さあ、どけどけ……!?」
「おっと、そうはさせないぜ!」
ユーリックに激突しようとした獣人に、声が投じられた。メイルーンだ。「ユーリには近づけさせない!」という強い意志を感じる。
突進せんとするウシ獣人に、横からぶつかり、態勢を崩す。
「ブモッー!?」
さすがの体幹の強さ。転倒することこそないが、獣人の速度は明らかに低下した。
その間にメイルーン達は前進し、後続との距離を開けていく。
ぱちっ、とウインク飛ばしてくる友の援護に感謝しつつ、ユーリックは、よりいっそう加速していく。
(「友に恥をかかすわけにはいかん。俺は口下手だ……行動で語ることにしよう」)
そうして互いに力を振り絞った結果、2人とも、トップスリーに名を連ねることになるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
禹・黄風
猛レース…いえなんでもありません。
それはさておき平和な戦いはいい…血を見るよりは遥かに。
血の気の多さも程々なら?
頑張って街を守りましょうか。
基本は普通に走り上位を狙う。|ズル《UC》抜きで。
全力の身体能力だけでぶつかる事にこそ意義があるもの。
負けても次は、という気にもなりますし。
妨害も体捌きや軽業でひらりと躱し此方からは仕掛けない方針で。
ただやり過ぎだとか危険な空気になってきたらUC起動、安全な程度に減速させてクールダウンして貰いましょう。
あと特に気合入ってそうな方に開始前に話しておきたいですね。
旅の者ですがこの地方の方がどれ程凄いか…拝見させて頂きます、と発破かけたり。
※アドリブ絡み等お任せ
劉・涼鈴
牛獣人はまだ猟兵になってないみたいだけど、牛キマイラならいるよ!!
そう! この私が!
ふふー、【功夫】で鍛えたこの脚力(ダッシュ)!
モー・レースは劉家拳を知らしめる絶好のチャンスだね!
ふんすふんす! 【気合い】は充分だ!
よーいドン!
真紅の闘気(覇気)を纏って猛ダッシュ!
うおー! これが【猛牛超特急】だ!!
牛獣人たちとツノや肩をごっつんごっつんぶつけ合いながら走る!!
負けねーぞー!!
森ん中なら小柄な私が有利だ!
功夫の身のこなし(軽業)で太い根っこを跳び越え(ジャンプ)、枝を【スライディング】で潜り抜ける!
レース終盤でも劉家の呼吸法(気功法)でまだまだ【元気】!
むぉー! このままぶっちぎるぞー!!
ウシ獣人や他種族獣人、そして猟兵達に混じって、禹・黄風(武の頂を・f40009)も、モー・レースに参加していた。
「猛レース……いえなんでもありません」
コホンと咳払い。
既にレースは始まっている。しかし、周りの参加者の実力をうかがう黄風の心持は、不思議と穏やかであった。
「平和な戦いはいい……血を見るよりは遥かに」
周りのウシ獣人達の血気は、みるからに盛んだが、
「……血の気の多さも程々なら?」
流血は見ずに済みそうだ。この街では恒例の行事のようだし。
頑張って街を守りましょうか、黄風は一般参加者とはまた違った目標を胸に、疾走するのである。
とはいっても、参加するからには、上位入賞を狙いたいというのが、黄風の思いでもある。もちろん、猟兵としてのアドバンテージ……|ズル《UC》抜きで。
どどどど!
「なんだ?」
「モォ、見慣れない顔が後ろから突っ込んできやがる!」
街を抜け、荒野に飛び出したウシ獣人達の後方に、土煙が立ち昇る。
その発生源は、劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)だ。
「牛獣人はまだ猟兵になってないみたいだけど、牛キマイラならいるよ!! そう! この私が!」
ウシ獣人に負けず劣らず、猛然と突き進む涼鈴。
「ふふー、【功夫】で鍛えたこの|脚力《ダッシュ》! ふんすふんす!」
このモー・レースは、劉家拳を知らしめる絶好のチャンス。気合いは充分だ。
真紅の闘気を纏って、猛ダッシュ!
「うおー! これが【猛牛超特急】だ!!」
「ひえー圧が強い!」
「び、びびってなんかないんだからね!」
覇気の塊のような涼鈴に、思わずおののくウシ獣人達。
しかし彼らにも、プライドがある。新参者である涼鈴には負けられない、という。
「悪いな、これがモー・レースなんだ!」
1人のウシ獣人が涼鈴の方へと距離を詰めてきたかと思うと、その肩をぶつけてきた。なんなら自慢の角もごっつんこ。
それに合わせて、他のウシ達も集まってくる。出る杭は今のうちに打っておこうという考えだろう。
相手は、ウシ族特有のがっしりとした体躯だ。衝突すれば、小柄な涼鈴など、一方的に吹き飛ばされてしまうに違いない。
だが、涼鈴がそんな威圧行為に臆することはない。むしろ自分からぶつかっていく勢い。
「負けねーぞー!!」
「くそっ、なんちゅう娘だ!」
ガタイのいいウシ獣人と比べれば、大人とこどもほどの差がある。
それでも、涼鈴が一歩も譲ることがないのは、あっぱれというほかないだろう。
まさに猛牛……黄風は、そんな涼鈴に注目しながらも、自らも先頭集団の一員となっていた。
妨害ありとは言え、ウシ獣人達が用いるのは身1つ。全力の身体能力だけでぶつかる事にこそ、このレースの意義があるというもの。
「負けても次は、という気にもなりますし」
「そこの虎族も、なかなか速ええじゃねぇか。だが踏ん張りの方はどうだ?」
黄風の実力をあなどれないと見たか。後方を走っていたウシ獣人が、一気に迫ってきた。もはや突進のレベルだ。
だが。
ひらり。
「モッ!?」
黄風は、相手の突撃を難なくかわしてみせた。獣人は転倒し、黄風の視界から外れていく。
「ほう、なかなか」
森に差し掛かったあたりで、黄風の前方から、声が掛けられた。
そのひときわ美しく黒い姿には、見覚えがある。スタート直前に会話したウシ獣人だ。
レース上位の常連らしく、それを見込んで黄風が発破をかけた相手である。旅の者ですが、この地方の方がどれ程凄いか……1つ拝見させて頂きます、と。
「どうだろうか? |我々《ウシ獣人》の実力は」
「実際なかなかのものですね。……おや」
黒牛と肩を並べて走る黄風達の行く手が、何やら騒がしい。
木々をなぎ倒し、他者の走行妨害に出ている獣人達がいるではないか。
「少し熱くなりすぎている方々がいるようですね。ここは私が」
諌めようとする黒牛を制して、黄風は、風を呼んだ。
冷やかなるそれは、木々の間を駆け抜け、荒ぶる獣人達へと逆風となって吹き付けた。
「モッ!?」
「ン、ちょっとばかし張り切りすぎたようだぜ」
突然|大人しくなった《クールダウンした》ウシ獣人達をここぞと追い抜き、涼鈴も森を爆走する。
「森ん中なら小柄な私が有利だ!」
功夫の身のこなしで太い根っこを跳び越え、視界に飛び込んでくる枝を、スライディングで潜り抜ける。
一方のウシ獣人は、強引に枝や幹を突破しているが、その分、速度は落ちて、涼鈴との差は開くばかり。
やがて、黄風達の戦いも終盤。
「先ほどの技を使えば、加速もできるのでは?」
なおも競う黒牛が、黄風に問いかける。
「それはフェアではないですからね」
「なるほど、それを聞いては、ますます負けられない!」
そして黄風達は、最後の瞬間までデッドヒートを繰り広げた。
「ハアハア、すげえ奴らがいるもんだぜ……しても、アイツはなんてあんなに余裕なんだ?」
獣人の疑問&感心の視線の先には、涼鈴がいた。
スタミナ切れを起こしているウシ獣人もいる中で、ゴールの街が見えてきてもなお、涼鈴の勢いは衰える事を知らない。
その秘訣は、劉家呼吸法。まだまだ、というかますます元気!
「むぉー! このままぶっちぎるぞー!!」
並みいるウシ達を追い抜き、ゴールテープを切る涼鈴。
大奮闘が実を結び、黄風ともども、上位入賞を果たすのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ウォーリアー』
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POW : 狩猟無双ノ極意
【ガントレット砲】が命中した敵を【剣槍】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[剣槍]で受け止め[ガントレット砲]で反撃する。
SPD : 奇襲ノ極意
【潜伏し、対象からほぼ不可視化した状態】から【必中の奇襲攻撃】を放ち、【奇襲攻撃に対する動揺】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 狂奔スル戦士
【狂奔状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
イラスト:括狐
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠カレン・オニール」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
モー・レースは、無事に終了した。1人の怪我人や脱落者も出すことなく。
獣人としての強靭な肉体に加え、猟兵に匹敵するポテンシャルの為せる業であろう。
表彰式が始まっても興奮冷めやらぬ。そんな街の外れに、1人の獣人の姿があった。
この街では珍しいワニ獣人。エージェント名『ウォーリアー』。
その手には、『逢魔弾道弾』。住人の全てがレースに意識を向けていたおかげで、潜入するのも容易かった。
そして、今こそ起爆の時……。
「モー! レース記念に花火でもぶち上げてくれるのか?」
「!?」
突然かけられた声に、ウォーリアーが振り返った。
そこには、ウシ獣人達。それも、複数の。
「…………」
「どうしてここに俺らがいる? って言いたい顔だな」
「猟兵さんが教えてくれたのさ、帝国の無粋なヤツが潜り込んでる、ってよ」
獣人達の手には武器。交戦は避けられぬと悟ったウォーリアーが、臨戦態勢を取る。無言で。
先のモー・レースで、猟兵や獣人達の体は温まっている。
街を壊す不届き者を成敗するにはこれ以上ない、ベストコンディションだ。
メイルーン・アルカディア
【夜駆】
おや寡黙な戦士。いいねえ仕事人って感じするね!
ユーリもわりかし寡黙だけど、それ以上だね?
嬉しいこと言ってくれちゃって~!
じゃ、彼(敵)と遊ぼっか!
とりあえず空に逃げよっと。夜の翼をぶわっと出して、一気に上空へ!
地上にいるより不意打ちの方法が限定されるかなって!
おや、低空飛行してたから攻撃届いちゃったか!
まさか必中とは思わなかった! やられたね!
なーんちゃって!
翼を派手に広げた時に、僕は地面に転がる小石に化けてたのさ!
当たった僕は魔力で具現化した偽物
姿見せたね? 【無限弾幕】展開だ!
ユーリック・アークライト
【夜駆】
……。
友人の声掛けを…無視するわけがないだろう…
…ああ
雷電に化け、周囲の認識を阻害しつつ隠れる
必中だとしても当てる先がなければ如何とも出来まい
大事なのは、敵獣人の目標をメイに向ける事
彼奴は言動が大仰で、やることが派手で、カリスマ性がある
さぞ、目を引く事だろう…
メイの無限弾幕は、その量で視覚を、斉射音で聴覚を妨げる
その隙に、我は逢魔弾道弾に微かな電気となって侵入し、|重要な導線《急所》を見抜き、切断し、解体する
手早く終えてから、外に戻り、変身を解除
敵獣人を死角から首を刎ねる
先ほどの|敵《ライバル》も、今は|友《なかま》。
モー・レースで競ったウシ獣人達とともに、メイルーン・アルカディア(|墜楽《ついらく》卿・f43195)は、『ウォーリアー』を追い込んでいた。
明らかに任務遂行に支障をきたしたにもかかわらず、慌ても騒ぎもせず、口を閉ざすエージェントに、メイルーンは賛辞を贈る。
「おや寡黙な戦士。いいねえ仕事人って感じするね! ユーリもわりかし寡黙だけど、それ以上だね?」
「…………」
話題の矛先の急カーブ。
メイルーンから不意に話を振られたユーリック・アークライト(雷鳴卿・f38218)は、静かに首肯した。
「友人の声掛けを……無視するわけがないだろう……」
「わ! 嬉しいこと言ってくれちゃって~! じゃ、|彼《敵》と遊ぼっか!」
「……ああ」
メイルーンとユーリックの臨戦態勢に、ウォーリアーも、腹を括ったようだ。
『逢魔弾道弾』を一旦しまい込むと、淡々と武器を構えるウォーリアー。そこにユーリックも、プロ意識を感じ取る。
「…………」
かたり。
首から提げた髑髏のネックレスが小さく音を立てると、メイルーン達の視界から、ウォーリアーの姿が消失した。奇襲のユーベルコードで仕掛けてくるつもりだ。
すると、ぶわっ、とメイルーンの背から、闇が溢れ出した。仰々しく広げた夜の翼で、一気に空へと舞い上がったのだ。
これには、ウシ獣人もびっくり。
「おい、いきなり逃げるのか??」
「地上にいるより不意打ちの方法が限定されるかなって!」
えっ、そうなの? というふうにこちらを見上げる獣人達に、メイルーンが手を振った。
メイルーンが空の主になると同時、ユーリックは、光へと転じていた。
正確には、雷電。周囲の認識を阻害しつつ、姿を隠すユーリック。
(「相手の攻撃が必中だとしても当てる先がなければ如何とも出来まい」)
現状、ユーリックの姿も、ウォーリアーからは視認できないはず。
だとすれば、敵が先に狙うのは、これみよがしに空を飛ぶメイルーンに絞られる。
大事なのは、敵獣人の目標をメイルーンに向ける事。
そのためにユーリックが自分に課した役割とは、メイルーンを邪魔しないということであった。
(「彼奴は言動が大仰で、やることが派手で、カリスマ性がある。さぞ、目を引く事だろう……」)
まさにうってつけの役どころ。
友人がそれを見事演じ切ると信じて疑わず、ユーリックは、『あるもの』に干渉する好機をうかがった。
ひらり、と自由に空を飛ぶメイルーン。しかし、すぐ近くに気配が生まれた。
メイルーンの高度が下がり、低空飛行状態になったタイミングを逃さず、ウォーリアーの刃が一気に飛びこんできたのだ。
「おや、攻撃届いちゃったか! まさか必中とは思わなかった! やられたね!」
敵の投擲した刃に貫かれ、あえなく地上へと落下していくメイルーン。皮肉にも、二つ名の示す通りの結末……。
「なーんちゃって!」
突然、メイルーンの姿が霧散した。ウシ獣人達が、あっ、と声を上げるが、その様子は、絶命した、というのとは明らかに違っていた。
「……チッ」
小さくとも確かな舌打ちと共に、ワニ獣人の姿が、ぬるりと現れた。
更にその足元から、人影が立ち上がる。地面に転がる小石が、メイルーンという正体を現したのだ。
「残念! 翼を派手に広げた時に、本物の僕は小石に化けてたのさ! 当たった僕は魔力で具現化した偽物だよ!」
「……!」
「姿見せたね? さあ【|無限弾幕《バレットレイン》】展開だ!」
メイルーンが仰々しく両腕を開くと同時、空が泣いた。
魔弾の雨が降り注ぐ。無数と呼べるそれが、ウォーリアーを傷だらけに染め上げていく。
しかも、敵を襲うのは、その威力だけではないことを、ユーリックは知っている。
(「メイの無限弾幕は、その量で視覚を、斉射音で聴覚を妨げる」)
ユーリックは、ユーベルコードの発動を確かめ、姿を現したウォーリアーの元へと駆け抜けた。
弾幕を潜り抜けると、ユーリックは、更に微かな電気へと変じて、ウォーリアーの『逢魔弾道弾』へと侵入を果たした。
即座に|重要な導線《急所》を看破すると、それを切断し、解体する。
「……?」
ウォーリアーが違和感に気づいた直後。
その懐から光が迸り、人の姿……ユーリックへと転じた。
変身を解除し、再度具現化した場所は、ウォーリアーの死角。
相手がこちらに気づき振り返るより早く。
ユーリックは、敵獣人の首を刎ねた。まさに電光石火。
「……!!」
浮かぶ苦悶。
ウォーリアーの首元を彩っていた骸骨群が、不協和音を奏で、地面へと散らばったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
劉・涼鈴
多勢に無勢だけど、自分が勝手に一人で潜入してきたんだから文句言わないでよね!
そもそも悪漢無頼は袋叩きって相場が決まってるけどね!
バーサーカーみたいな状態!
けどそれは誘導し易いってことだ!
モーレースで発揮した脚力(ダッシュ)で駆け回って、狭い路地、隘路へ誘い込む!
建物の上であらかじめ待機してもらってた牛獣人たちに、土嚢とか重たい物をいっぱい落としてもらって身動きを封じるぞ!(重量攻撃)
止まるのは一瞬で充分!
劉家拳の奥義を見せてやる!(功夫)
練り上げられた闘気(覇気)を掌に集中!
【劉家奥義・狼牙劈空掌】!!
重たい障害物も、頑丈な鱗もすり抜けて、生命力――気の循環を掻き乱す必殺の掌撃だ!(貫通攻撃)
「……チッ」
見るからに多勢&無勢のこの状況。
敵エージェント『ウォーリアー』がもらした小さな舌打ちを、劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)の牛耳がしっかり捉えていた。
「自分が勝手に一人で潜入してきたんだから文句言わないでよね! そもそも悪漢無頼は袋叩きって相場が決まってるけどね!」
びしいっ、と涼鈴から指を突きつけられたウォーリアーは、目を閉じた。観念したのか。
だが、次の瞬間、涼鈴に闘気が吹き付けた。
「ハアッ!!」
気合の声と共に、ウォーリアーから立ち昇る覇気。
瞳から失われる理性。ユーベルコードにより狂奔状態と化したのだ。
「キェーイッ!!」
襲い来るウォーリアー。これまでの寡黙な雰囲気が一変、戦鬼と言って差し支えない荒々しさだ。
「わっ、バーサーカーみたいな状態!」
身体能力を生かし、技を避ける涼鈴。
だが、敵の刃や銃をかわせば、自然と動きが生まれる。そして狂奔のウォーリアーは、動くものに反応し、執拗に向かって来るのだ。
「けどそれは誘導し易いってことだ!」
涼鈴の心は、折れるどころか一層激しくたぎる。
ウォーリアーを引き付け、街を駆け回る涼鈴。モー・レースでも発揮した脚力を生かし、狭い路地、隘路へと敵を誘い込んでいく。
平静であれば、ウォーリアーも涼鈴の行動が、何らかの意図を持ったものだと気づいたかもしれない。しかし今は、体の動くまま、難なく誘導されてしまう。
そして、涼鈴が跳躍する。
入れ替わるように、ウォーリアーへと落下してきたのは、土嚢などの重量物!
「……ガアッ!?」
足を止める事も出来ず、推し潰されるウォーリアー。
建物の上から、歓声が上がる。涼鈴の依頼であらかじめ待機してもらっていたウシ獣人達だ。
「ブモー! 上手くいったぜ」
「猟兵さんの作戦通りだな!」
だが、獣人達には、ハイタッチする時間も与えられなかった。
「ガアアッ!!」
ウォーリアーが、その膂力で以て、障害物を押しのけようとしている。
だが、涼鈴にとってはこれも計算の内!
「止まるのは一瞬で充分! 劉家拳の奥義を見せてやる!」
練り上げられた闘気が、涼鈴の掌に集中していく。
「【劉家奥義・狼牙劈空掌】!!」
重たい障害物も、頑丈な鱗さえもすり抜けて。
生命力――気の循環を掻き乱す必殺の掌撃が、ウォーリアーに直撃した。
「……!」
身体の自由を封じられたウォーリアーには、声を上げる事すら許されなかった。
大成功
🔵🔵🔵
禹・黄風
やっと現れましたか。
熱すぎず冷え過ぎず最上の状態で戦えるのは善き事。
熱い皆さんの力を借りて無粋なオブリビオンきっちりやっつけましょう。
可能ならウシの方々と連携、支援優先で立ち回ります。
強烈なウシの突進も相手が少々悪いよう。
あらゆる攻撃を防ぐ剣盾…ならばその防御を妨害させて頂きましょう。
UC起動、向こうが防御する瞬間に伸縮自在の棍で構える動作そのものを妨害しましょう。
ガントレット砲での射撃も狙い定める瞬間を見切って妨害、ウシの方々がウォーリアーの攻撃の直撃を受けないよう立ち回ります。
隙ができたら気を練り込んだ棍を思い切り伸ばし剣槍の防御の隙間を狙い突いて一撃を叩き込みます。
※アドリブ絡み等お任せ
ウシの街を混沌に書き換えるべく送り込まれた『ウォーリアー』と、禹・黄風(武の頂を・f40009)が、雌雄を決しようとしていた。
「やっと現れましたか。熱すぎず冷え過ぎず最上の状態で戦えるのは善き事」
ウォーリアーを睨む黄風の傍らには、ファイティングボーズのウシ獣人達。
黄風同様、モー・レースの熱はまだ滾っている。体を動かすにうってつけのタイミングといえた。
「我々ウシ族も力を貸そう。先ほどは好敵手だったが、今は友。何よりここは我らの街」
黄風と最後まで競った黒牛の獣人。その申し出に、周りの獣人達も力強く賛同した。
「何と熱い言葉。では、皆さんの力を借りて無粋なオブリビオン、きっちりやっつけましょう」
対するウォーリアーが、言葉を発する事はない。ただ任務を遂行するマシーンの様相。
そして、決戦の火ぶたは切られた。
「ブモー!!」
次々と突進を仕掛けるウシ獣人達。だが、その強烈と言える攻撃も、ウォーリアーにはなかなか痛打を加えられない。
ウォーリアーは左手の剣槍を自在に操り、突進力を受け流してしまうのだ。
剣でありながら、その在り様は、まさに盾。
「ならばその防御を妨害させて頂きましょう」
黄風もまた、ユーベルコードで対抗した。
獣人たちをいなしたウォーリアーは、右手に装着されたガントレット砲を向けた。ユーベルコードによって強化された砲弾を喰らえば、獣人達はひとたまりもない。
だが、同時に、練り上げた闘気が紫炎となって、黄風から立ち昇る。
敵の砲が狙いを定める瞬間……それを見切ると、伸ばした三節棍でそれを阻んだのだ。
「助かった!」
獣人の感謝に首肯で応えつつ、黄風は、攻撃へと転じた。
ウォーリアーが黄風の攻撃を、粛々と剣槍で受け止めんとした……その瞬間。
黄風が繰り出した技は、相手が構える動作自体を妨害するものだった。棍が、再び伸縮自在の能力を発揮し、相手の態勢を崩し、足を止める。
「……!」
この妙技に、さしもの寡黙な戦士からも、動揺と驚きの気配がこぼれる。
そして、攻防で生まれた隙を突いて、獣人達の突撃が、遂に相手の体を吹き飛ばす。
得意技を破られた事実は、ウォーリアーのプライドに、傷を付けたようだ。そこから生まれるのは、焦りという名の隙。
ごく微量であっても、それを黄風が見逃すはずはなかった。
気を練り込んだ棍を思い切り伸ばし、剣槍の防御の隙間を狙い突くと、致命の一撃を叩き込んだのだった。
「任務……失敗」
エージェントが倒れた瞬間、ウシ獣人達から歓声が上がった。その盛り上がりは、モー・レースの時にも引けを取らない。
「助かったぜ、猟兵達! まだあんな連中が暗躍してるなんて油断も隙もねぇぜ」
「足の速さや突進力だけでなく、もっと戦闘力を鍛えないといけないかもな」
「まあそれはそれとして、今夜は祝杯を上げようぜ!」
ウシ獣人達は、闘争心や向上心の塊のようだ。
その努力は、やがて実を結び、猟兵達の頼もしい仲間となるに違いない。
大成功
🔵🔵🔵