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ケルベロス・ウォー⑧〜決戦支援列車を奪還せよ

#ケルベロスディバイド #ケルベロス・ウォー #聖賢者トリスメギストス

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「本部支援用の構築がどうにか間に合ったな」
「本部襲撃の一報には驚いたが……」

 日本列島沿岸部を駆ける列車がある。それは、今回の|全世界決戦体制《ケルベロス・ウォー》を受けて、急造された高速車両型の決戦支援列車。どうにか実働できる試作機が完成したので、試験を幾つか端折って実践投入に踏み切ったのだ。
 特務機関DIVIDEの本部には、グラビティ・チェインの源流が眠っている。其処を狙って|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》達の半数が襲来しているのだ。元々決戦都市の戦力増強として計画されていた計画を無理に変更してでも、その粋を投入しなければならなかった。

「……ん?」

 だから、最初に気が付いた異常も、そんな急造処置故なのだと思った。多少の無理を通しているのは承知の上の行軍故に、それは些末なものだろうだと。

『……|決戦配備《ポジション》よ侵略起動せよ!』

 戦場から響くその声と共に、乗務員の一部が動き出した時までは。



「緊急事態だ」

 一同に向けて短くそう告げた龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)の表情は硬い。既に|全世界決戦体制《ケルベロス・ウォー》を維持する限界点が近づいているこのタイミングでの、緊急事態。
 |全世界決戦体制《ケルベロス・ウォー》はその名の通り世界中から東京に向け決戦配備や人的資源が集結しており、限界点が近づく今でもそれは途絶えていない。そんな決戦配備うちの一つが、聖賢者トリスメギストスの手に落ちたのだという。

「トリスメギストスの支配下に落ちたのは、ミツルギで開発された試験型決戦支援列車だ」

 急造対応で人員を増やした隙をついて、支配下に置いた人間を乗務員として潜り込ませていたらしく、東京へ向かう車両をジャックして決戦支援機能を己を攻撃してくる猟兵の迎撃装置として使おうとしてるのだ。
 基本的な仕様は決戦都市ミツルギで稼働している決戦支援列車と変わらないが、未だ正式な稼働実験もしていない新型車両編成である。

「活動範囲を広げる為に高速運転が可能な車両である以外の基本的な部分は、ミツルギの決戦支援列車と変わっていない」

 ただ、今回、各|決戦配備《ポジション》の機能を車両連結して出撃しているため、連結されている各車両に分散して奪還に当たる必要がある。トリスメギストスは強大なれど、奪還した|決戦配備《ポジション》を駆使すれば、凌駕はできるだろう。

「トリスメギストスの支援者を無力化してしまえば、現在捕虜状態になっている“真っ当な”乗務員達が車両機能を動かしてくれる」

 列車は都内に向けて近づいている。ひとの希望と叡智の結晶が、ひとに引導を渡すような事になっていいはずがない。そうなる前に、奪還をと、翡翠は頭を下げる。

「体制の維持限界も近いが、|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》を何とか阻止できそうだ。その後押しを、頼む」

 その傍らで|光の鯉《グリモア》が跳ねた。


白神 みや
 初めましてのかたは初めまして。
 そして、そうでない方はご無沙汰しております。|白神《しらかみ》です。

 ケルベロス・ウォー シナリオ、ラストになるであろう五本目はトリスメギストス戦です。
 ミツルギ発東京行きの高速移動型試作支援列車が、トリスメギストスの支配下におかれました。
 その為今回は「奪還する|決戦配備《ポジション》車両の対処をした上でトリスメギストスへの攻撃を加える」流れとなります。
 参加者さまの指定した奪還ポジションが偏っていても、最終的に奪還できた形に収めます。ですので、使用する|決戦配備《ポジション》はお心のままに選んでいただいて問題ありません。また、指定した|決戦配備《ポジション》の車両に転送されたところからリプレイを始める予定です。

●プレイングボーナス
 トリスメギストスを支援している決戦配備に対処する 
 決戦都市に残った決戦配備を駆使して戦う

●お願い
 MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
 今回のプレイング受付開始は、【公開後すぐ】です。
 6/1 8:31以降に🔵が👑を上回った事を確認した時点で〆切予定です(基本的にタグに締切と記載するまでは受付)。シナリオの性質と、執筆リソースの関係からお返しが終戦後になる前提となります。
 期間内に頂いた方、できるだけ全員お受けする方向ではおりますが、キャパシティ等との相談でお返しすることになる可能性もありますので、ご了承ください。
 タグに状況を記載しますので、宜しくお願いします。
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第1章 ボス戦 『十二剣神『聖賢者トリスメギストス』』

POW   :    |決戦配備聖賢者《ポジショントリスメギストス》
全身を【奪った|決戦配備《ポジション》】装甲で覆い、身長・武器サイズ・攻撃力・防御力3倍の【決戦配備聖賢者】に変身する。腕や脚の増加も可能。
SPD   :    |決戦配備投擲法《ポジションスナイプ》
【侵略機動で奪った|決戦配備《ポジション》】を手または足で射出する。任意の箇所でレベル×1個に分裂でき、そこからレベルm半径内に降り注ぐ。
WIZ   :    |決戦配備戦場《ポジションバトルグラウンド》
全身に【侵略機動で奪った|決戦配備《ポジション》】を帯び、戦場内全ての敵の行動を【|決戦配備《ポジション》についた武装】で妨害可能になる。成功するとダメージと移動阻止。

イラスト:del

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カシム・ディーン
機神搭乗
決戦配備はキャスター
一応電車の上に立つ形
支援は念動力強化
更にハッキング能力強化
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵決戦配備列車の解析
幸運の神発動
【念動力】
今回は念動力の波動で列車の動きを止め可能な限り裏切り者を捕捉して締め上げてまともな乗務員に無力化してもらう!
【弾幕・属性攻撃・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・空中戦・電撃】
UC発動
超絶速度で飛び回り電撃弾と火炎弾の弾幕を展開
蹂躙の限りを尽くし
「君にだけは負けるわけには行かないんだよねー☆名前的にも☆」
そういや根元の名前が一緒なんだっけ?おめーの方が格下だろ?
「えー!?」

鎌剣でずたずたに切り裂いてから電撃を容赦なく流し込んで蹂躙!部位の強奪!



●|術式配備《キャスター》車両にて
「君にだけは負けるわけには行かないんだよねー☆ 名前的にも☆」

 |術式配備《キャスター》車両の屋根の上に転送されたカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が搭乗している機神『メルクリウス』ことメルシーが、トリスメギストスを見据えながら言う。

「そういや根元の名前が一緒なんだっけ?」

 どこぞの神話の神を由来にした事象だかその神の別名やらを基にしているからか、|『メルクリウス』《メルシー》はライバル心を燃やしているようだが、長く共にいてメルシーの性格等々をよく知るカシムからすると。

「……おめーの方が格下だろ?」
「えー!?」

 そんな夫婦漫才めいた会話をしているが、カシムの方は車両の制圧の為に念動力を駆使して車両の制圧に全力を傾けている。真っ当な乗務員を動けるようにし、十二剣神の支援者の行動を阻害し――。

「カシム! あそこで合図してる人がいるよ!」
「お。制圧できたか?」

 メルシーの言葉に周囲を見渡してみると、屋根になる出入り口から、肯定するように乗務員が手を振っていた。

「よし。『加速装置起動……メルクリウス……お前の力を見せてみろ……!』」
「こっちの方が格上だって、教えてあげるんだよ☆」

 『メルクリウス』の加速装置をユーべルコードの力で更に引き上げ、カシムをメルシーは電撃と火炎の弾幕を展開しながら宙を駆る。

「カシム、私の方がアイツより上ってわかったら、いっぱい褒めてね!」
「……あーはいはい」

 戦闘中に良く判らないおねだりをするメルシーに、カシムはほんの少し脱力しつつも対峙する敵を蹂躙するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨河・知香
ミツルギの支援車両もかい。
わざわざ遠い所から来たのに…ここまで読んでるとか聖賢者を名乗るだけはあるね。
しかしその知略とか謀略も打ち倒せばよし。気合入れて行くよ!

オルテュクスで占拠されてるメディックの決戦支援車両へと突入。
UC起動し占拠してる裏切り者を軽く殴って無力化していくよ。
トリスメギストスの攻撃はできるだけ躱しつつ躱し切れない分を見切り殴り迎撃。
此処に乗ってる要救助者を攻撃させる訳にはいかないからね。
なるべく速やかに解放したらオルテュクスに乗ってトリスメギストスへ攻撃を仕掛けに行く!
迎撃してくるだろうが…多少の傷は超再生力で強引に回復して近づいてぶん殴りにいくよ!

※アドリブ絡み等お任せ



●|治癒支援《メディック》車両にて
(ミツルギの支援車両もかい……)

 トリスメギストスの侵略機動により、あちこちの決戦支援がかの聖賢者のもとに落ちているとは聞いていたが、つい先日同僚の少女と縁があって色々と見せてもらう機会のあった支援車両までその手におちたのかと、雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)は密かにため息をつく。

(……ここまで読んでるとか聖賢者を名乗るだけはあるね)

 ミツルギから東京はそれなりに距離がある。そもそも先日の襲撃計画の時点で、何かしら行っていたのかもしれない。

「……打ち倒せばよし。気合入れて行くよ!」

 そう声を出す事で気持ちを切り替えて、知香は、車両の外へ銀の満月を創造しつつ、|治癒支援《メディック》車両の中へと突入する。

「まったく、やる事が小狡いったら!」

 銀の月の力で強化されている己の拳をそのまま振るうと、一般人である十二剣神の支持者たちにはお灸としても手荒がすぎる事になってしまう。それ故に思い切り手加減をして、無力化していく。
 そうして、車両を制圧した知香は、屋根から外へと踊り出て、愛機である|回転翼機《オルテュクス》に乗り込み、|聖賢者《トリスメギストス》へと向かう。
 ドローン機が妨害するように行く道を遮るが、躱しつつ、すり抜けてきた機体は銀月で強化された拳で殴り落としていく。

「さあ、とっとと退散しな!」

 回転翼機から跳躍した知香は、その勢いのままにトリスメギストスへ向け拳を振り抜いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナノーダ・クレイジーラブ
決戦配備を奪うとは、なかなかの悪と見た。ならば、こちらからも全力でいくぞ!

スナイパー車両の奪還に向かう。
UCで配下を召喚し、壁を築いて貰おう。僅かな数でも【全力魔法】で強化すれば、盾にするにも十分だろう。
奪還に成功したならトリスメギストスに火の雨でも降らせて貰うか。

この列車はミツルギの物、そしてオレ様達の物ナノだよ!


ソニア・コーンフィールド
ミツルギの支援車両まで大変なことに!?
本当色々仕込んでたんだねー…これでまだ動いてない伏兵と書いたら怖いけど考えるのは後!
まずは支援車両奪還しないとね!

奪還狙うのはスナイパーの車両に。
UC起動して盾のように身を守りつつ受けた衝撃を跳ね返すガジェットを召喚!
他の決戦支援車両から飛んでくる攻撃とか聖賢者の攻撃を盾で受け止めつつ跳ね返し、支援車両占拠してる人たちを殺さないよう無力化して縛り上げてくね。
真っ当な人たちが拘束されてるなら急いで解放。
奪還出来たらトリスメギストスに痛い目見て貰わないとね!
飛んでくる攻撃を躱しながらドラゴンガジェットに電撃纏わせ発射!
狙撃支援お願いね!

※アドリブ絡み等お任せ



●|射撃配備《スナイパー》車両にて
「ミツルギの支援車両まで大変なことに!?」

 つい先ごろミツルギの車両基地で決戦支援車両の展示イベントに参加したばかりのソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)は、トリスメギストスの周到な下準備に驚愕していた。
 事前にどれだけの仕込みをしていたのか。もしや、他にも何等かの伏兵を仕込んでいるのではと不安に駆られるが、今はそれは後回しだ。
 その横で一緒に転送された黒いナノナノ――ナノーダ・クレイジーラブ(狂愛の精霊「ダークナノナノ」の魔王・f41696)が不敵な笑みを浮かべる。

「決戦配備を奪うとは、なかなかの悪と見た」

 ナノナノ特有の愛らしさと真逆の不敵さ尊大さを纏ってで宙に浮いているナノーダに、ソニアはひそりと苦笑する。

「色々考えるのは後! まずは支援車両奪還しないとね!」
「そうだな、悪を倒しにいかねばな!」

 滑るように車両の中へと向かうナノーダに、調子が狂うなあとほんの少しだけ思いながら、ソニアも後を追う。



「配下達よ! 壁をつくれ!」

 車両に足を踏み入れると、支援者達が反応するより早く、ナノーダは配下のモンスターを召喚する。

「よっし、拘束されてる人達を助けにいってくるよ!」

 壁のこちら側が安全地帯になるなら、こちらに連れてきた方が確実だろう。そう判断したソニアは、召喚した竜型ガジェットを盾のようにして、モンスター達が造るの壁の向こうへと躍り出る。

「助けにきたよ! 動けたらあっちに!」
「ありがとう、助かった……!」
 
 拘束されている乗務員を解放し、ナノーダの配下が造った壁の向こうへと誘導していく。その合間を縫って、十二剣神の協力者たちを無力化するのも忘れない。

「さあ、配下たちの炎を弾丸に、あの悪へ撃ち込もうか!」

 そうして制圧された車両の機構を利用して、ナノーダは配下たちの炎をトリスメギストスへ射出することを指示する。

「わたしはガジェットを直接発射するから、支援お願いね!」

 ソニアは、乗務員達に車両の屋根にあるハッチを開けてもらい、外へと飛び出す。

「此方が掌握している|決戦配備《ポジション》機構は一つではないぞ」
「それはもちろん承知の上! 痛い目見て貰うんだから!」

 トリスメギストスが弾幕のようにドローンを並べて、炎の雨を凌ぐ合間を縫ってソニアの竜型のガジェットが電撃を纏って飛び、そのクラゲのような身体に牙を突き立てた。

「この列車はミツルギの物、そしてオレ様達の物ナノだよ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

戦争もあと少しだけど
敵も可能な限り討ち取って
きっちり勝ちを掴みにいくよ

生き延びて逃げた敵が
今まででもどんな事をしたか
良く解っているからな
列車は無事に確保してその上で
「あいつは此処で倒す、だろ」
相棒に返しながら前を見る

提案した作戦は単純だ
俺がクラッシャーの列車を確保するから
時人はその力を利用して敵へ一撃を
「列車の確保は任せてくれ」

そのまま前へ出て
縛の一字に全力を注ぐ
例え高速で動く列車で在ろうと
動くというその物を奪う文字なら
「止め切ってみせる!」
急な制動に轟音は響くだろうが
相棒が信じてくれているから
列車を縛り上げながら
攻撃もきっちり防ぎ切って見せる

「後は頼むぞ、時人!」


葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

諦念に呑まれたら滅ぶ世界
座視はしない
絶対に諦めない
「俺達の世界にも触手伸ばしてた可能性あるし、な」

このまま邪魔されたら猟兵でも唯では済まないけど
「壊す訳にはいかないね」
今回のは半分だけで逃亡も出る
「必ずまた蠢動は始まる」
その為の備えだからだ

陸井の提案はクラッシャーを取り返す事
彼奴への攻撃は俺に任せる、と

即時肯い武器を合わせて
目を閉じ集中し詠唱を!

轟音に苛まれても俺は相棒を信じる
乱されたりしない

攻撃をほぼ全ていなしてくれるのも
掠める剣風で判る
でも大丈夫
俺は俺の為すべきを果たす

深く強く己の光と蟲で槍を編み上げ
超弩級まで高め切り全力で放とう!

「ああ!決して負けはしない!」



●|総決戦配備《クラッシャー》車両にて
 |総決戦配備《クラッシャー》車両のデッキに転送されたのは、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)と葛城・時人(光望護花・f35294)の二人。
 戦争も終盤となったが、此処で気を抜くわけにはいかない。生き延びた敵が後々にどういう事をしてくるかを二人はよく理解しているからだ。斃せないのであれば、少しでも痛手を与えてそれを最小に抑えるのが、今自分たちが出来る事なのだ。

 「俺達の世界にも触手伸ばしてた可能性あるし、な」

 時人は、故郷である|銀の雨降る世界《シルバーレイン》のとあるゴーストタウンに『聖賢者トリスメギストス』なる存在が関わっていた可能性がある事が、違和感のような引っかかりを感じていた。
 無論、偶然の一致という可能性はあるのだが、それでもその違和感は抜けない棘のように時人の裡に刺さっていた。

「時人。気持ちは解るが、先ずは優先すべき事を為そう」

 陸井の言葉に、時人は気持ちを切り替える。相棒の言う通りだ。

「陸井、作戦はどうする?」
「それなら――」

 互いの信頼を刃となして、十二剣神へ届かせる為、二人は素早く作戦を組み立てる。
 そうして、いつも通り互いの武器を合わせたると、デッキから車両内部へと駆けこんだ。



 先ず前に出たのは、陸井。滑るように「縛」の戦文字を記し、放つ。十二剣神の支援者達が動くより先に戦文字が彼等の動きを戒めていく。

「支援者だけじゃない……止め切ってみせる!」

 戦文字が捕らえたのは支援者だけじゃない。今動いている列車そのものまで巻き込んで、動きを停めようと陸井は戦文字をより強固になるよう、全力を籠める。

「後は頼むぞ、時人!」

 その声を受け、解放された乗務員達の誘導で、時人は車両の屋根へと上がる。
 陸井が列車の動きを抑えてくれているから、集中を邪魔されない程度に揺れは軽減されている其処で、時人は銀鎖の錫杖を手に、集中する。
 いつしか錫杖に光が――否、|白羽の白燐蟲《ククルカン》達が光を湛えて集い、錫杖と重なるように光の槍を形成する。

「お前たちの恩恵の力は我には届かぬ我が存在する限り我が策謀は蠢動し続け止める事は能わずいかに猟兵といえどもだ!」

 淀みなく、しかし、他者に理解させようという意識の薄い|聖賢者《トリスメギストス》の言葉。
 それは間違いなく事実だろう。

「その為の、備えだから……俺は、俺の為すべきを果たす……!」

 その声と共に編み上げられた光の槍は時人の手から放たれ、|聖賢者《トリスメギストス》を貫き、その光で包み込んだ。

「生命の埒外でありながら成長し過去を生む六番目の猟兵達よその破竹の進撃に敬意を表して今は退こう今は……」

 光の柱が消えゆく頃には、聖賢者の姿はその場から消え失せていた。
 こうして、奪還された車両たちを起点に、決戦支援列車は無事にひとの手へと戻り、東京の防衛支援へと就いた。十二剣神の支援者達には、戦争後に何かしらの処罰は下されるであろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年06月04日


挿絵イラスト