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ケルベロス・ウォー⑩〜ホラー映画でイチャつくと死ぬ法則

#ケルベロスディバイド #ケルベロス・ウォー #宣託者グリモワール #余談ですがき○らぎ駅ではないです #漢字と平仮名混在だと三文字の駅

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#余談ですがき○らぎ駅ではないです
#漢字と平仮名混在だと三文字の駅


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「――来た」
 掲げた輝きに、グリモアの予知に、グリモワールは目を見張る――という表現が正確なものかは疑問が残るが――ような素振りを見せた。
 グリモアの創造者と称する彼女は、しかしグリモア猟兵の有するグリモアの上位性を認め、それでもなお、自らの予知能力によって徹底的に戦う心積もりであるようだ。
 そして彼女は未来を手にする。自らの力の及ばぬところとなった、新たなグリモアにすら打ち勝つために!

「……ふむ。『ホラー映画でイチャつくと死ぬ法則』? 成程、地球にはそういう文化があるのか……」


「イチャつくのは兎も角、それ以上のことを軽率にするのは、特に昔のアメリカだと結構なタブーだったらしいからね。カップルよく死ぬのは、そういう制裁的な側面もあったみたい」
 苦笑する四月一日・てまり(地に綻ぶ花兎・f40912)。かなり言葉選んでる方だと思う。
「と、そんな話はさておいてね? 改めて説明すると、宣託者グリモワールは自分こそがグリモアの創造者って言ってて、実際グリモアの力を使えるみたい。それで、こっちの行動を先読みして、この戦いを有利に立ち回ろうと考えてたみたいなのね」
 先見の力があるのであれば、その行為は何も不思議なことではないだろう。
 事実、猟兵たちもこのようにグリモア猟兵の力を借りて、事前準備を整えて戦場に向かっているのだから。
 ……あれ、それってつまり……?
「はい! バッチリ予知しました! グリモワールの視た予知から、彼女が取る作戦まで!」
 プロトタイプから上位互換と言わしめるだけある。
「と言っても、やることは向こうもこっちもシンプルだよ。まず、グリモワールの受け取った予知が、ざっくり言うと『決戦都市の外れの、曰く付きで人が寄りつかない廃駅に、束の間の休息として集まってきてイチャつく猟兵がいるから、闇討ちして戦力を削っちゃおう☆』ってことみたいなんだ」
 イカれてるのかそのグリモア。
「なんならグリモアが映画ってなんぞやとかホラーってなんぞやとか、そのカップルすぐ死ぬ云々含めてホラー映画のお約束とか、色々グリモワールに教えたみたいだね」
 バグってんだろ最早それ。
「まーでも、向こうのグリモアも嘘は言ってないよね。だってそれを受けて、皆にカップルとして出撃してもらうことになったんだから」
 ちょっと待て今何つった。
「我々に求められているのは『敵の予知に乗っかった上での予知返し』だからね。予知と違う行動を取れば、グリモワールに気づかれたり、最悪何が起きるか分からなくなっちゃうもの。というわけで皆にはカップルとして、或いはカップルのフリをして、グリモワールの前でイチャついて貰います!!」
 地獄はお前の右腕だけにして貰っていいか。
「皆にはまず、またしても何も知らない猟兵カップルさん、って体で駅でこっそりデートを楽しむふたり、を演じて貰います。演技じゃなくてもいいけどね? で、よきところでグリモワールが闇討ちしようとしてくるから、そこを迎撃! 奇襲がバレてたって事実で少なからず動揺する筈だから、すかさず追い打ち! っていう形で皆には戦って貰うからねー」
 楽しそうだなリア充め。
 最近じゃあ結婚指輪まで武装強化して、戦場にもつけてこれるようにしやがって。
「やってもいいけど相手がいないよー、って人は私の方でいい感じに組み合わせるからよろしくね。あと、ユーベルコードでそれっぽい感じに見せられる人はそういう形のソロ参加でも大丈夫! 要は視覚的にカップルに見えればいい話だからー」
 それが色々と難しいんですけどねえ。
 まあ、今更何を言ったところで作戦を変えるつもりはないのだろう。猟兵たちは渋々(或いは乗り気な者もいたかも知れないが)準備をして、グリモアの転移を待つ。
 ……ところで、肝心の戦場になる廃駅ってどんな感じなんです?
「駅? んーとね、駅名標に駅の名前書いてたな……ちょっと思い出すね。ええと確か……ああ、思い出した思い出した」
 いや、駅の名前よりも戦場としてどんなフィールドになるかってことを聞きt、
「(某五文字の駅名)、だって」
 ガチの異界駅じゃんそれ。


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあです。
 わかりやすさ重視。

 戦争シナリオのため、今回は1章構成です。

 第1章:ボス戦『十二剣神『宣託者グリモワール』』

 オープニングの通り、カップルとして或いはカップルのフリをしてイチャつくパートがあります。
 勿論、裏をかく(?)ことに成功しても強敵ですので、対応プレイングもしっかりお願いします。
 カップルとして振る舞う際の注意点は(メタ的なことも含め)以下の通りになります。

 1.あくまで健全に(基本倫理)
 2.基本的に異性カップルでの参加を想定しており、同性カップルですと採用率が大幅低下する可能性が高いです。ご了承ください(特に男性カップルは基本描写不可と思っていただければ幸いです)
 ※創作上満足いただけるものをお届けできないという判断であり、現実の恋愛観を否定するものではございません。
 3.お相手が(ユーベルコードによる自前での用意を含めて)いない場合、こちらでお相手を組ませていただきます。その為、全員リクエストやサポート参加の方と組む可能性がありますことご了承いただければ幸いです。
 4.と、いった(&終戦間近な)関係上、全員リクエストやサポートによる完結もあり得ますことご承知起きくださいませ。

 公開された時点で受付開始です、が。
 今回もかなり書けるタイミングにムラが出そうです。
 その為、採用出来るかどうかは人数とタイミングと内容次第でまちまちになります。ご了承ください。
 今回は早期完結を目指しますので、必要成功数のみの採用になる予定です。

 それでは、ご縁がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『十二剣神『宣託者グリモワール』』

POW   :    第四十四の予言「逃れ得ぬ死」
【敵の防御・回避手段を予知して】から発射した【「避けられぬ死の運命」を宿すグリモア】を、レベル回まで跳弾できる。跳弾回数に比例して命中率・致死率が向上。
SPD   :    第六十六の予言「動かざる未来」
【敵の移動先を予知して】から、物質を透過し敵に【行動不能】の状態異常を与える【「不動の定め」を宿すグリモア】を放つ。
WIZ   :    第百壱の予言「楔の巨獣マインドノソリン」
【敵の使うユーベルコードを予知して】から1体の強力な【四足獣型に変形した思念兵器マインド】を召喚する。[四足獣型に変形した思念兵器マインド]はレベル秒間戦場に留まり、【予知された技をかき消す鳴き声と肉弾戦】で攻撃し続ける。

イラスト:ぽんち

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵たちは、グリモア猟兵曰くの『ネットで異界駅として報告された名前と同名の廃駅』へ降り立った(尤も『名前がおんなじだけで異界ではないよ! ……多分ね!』とのこと)。
 そこはまるで夜の砂漠のような場所で、駅は見渡す限りの砂の上にぽつんと建っているような状況。
 ホラーと言えばで夜を待って来たのだが、空は晴れ月が浮かんでおり、周囲を見渡せば、砂の上には特務機関DIVIDE本部にも引けを取らず高い謎の塔がそびえ立っていた他、謎の黒い建造物がぽつぽつと点在していた。
 降り立っただけで嫌な寒気と、それでいて浮遊感にも似て茫洋とした、ふわふわと浮ついたような心地になる。未知への畏怖と、幻想への憧憬が入り混じったような。
 改めて駅に目を向ければ、確かに駅名標にはグリモア猟兵の言った通りの駅名が記されており、十名座れるか座れないかのスペースや、壊れた券売機など小ぢんまりとした無人の駅舎があった。他にも如何にも仮設といった様子の、それでいて屋根に当たる部分が半壊した手洗いや、その裏手には砂地に不自然な木と茂みが生い茂ったスペースもある。
 グリモワールは……どこにいるのだろうか。駅の中や茂みの中にはいないようだ。となると、謎の建物のどこかか。
 しかし、ここで探し出して殴る……となると予知に影響が出、何が起きるか分からないとグリモア猟兵が言うものだから。
 どこに隠れていようと、こちらに向かってくるなら同じこと。
 さあ、一芝居打つとしようか。
神塚・深雪
【麟鳳】
たなからぼたもち、かもがねぎしょってやってきた!
合法的にいちゃいちゃできるちゃーんすっ!
(※ハイテンションかつINTや年齢が下がっているようにみえるのは仕様です)

うふふーでーえーとー!
お仕事だろうとなんだろうとでーとはでーと!
(抱き寄せられて嬉しそうにしつつも、いつもこんなこと外でしてくれないのにー!等と思ったり)

……グリモワールさん。
空気って、読めます?(えがおで)

別に鈍ったりしないもーん!
むしろご機嫌だもーん!
(結果的に庇ってもらう形になった事で、さらにご機嫌な状態)

|グリモア《武器》をシェルの攻撃で落としたところに、畳みかけるように天瀑煌臨を発動!
暗闇ですし、よーく効く筈ですよ!


シェルリード・カミツカ
【麟鳳】
……こら待て、何を言っているんだ、本当に
(※何時もの如く?伴侶に強引に連れてこられた、人前でいちゃいちゃする等というのは言語道断な人)

(まだ諦め?も納得がつかないままに、連れてこられる人。テンションがおかしい伴侶に呆れつつ、引き摺られるが如くに)
……ええい、此処迄来たら観念するしかないじゃないか
(観念して雪を抱き寄せて顔を寄せ)

趣味が悪いとかそういう問題じゃないだろう、宣託者
(本人的に不本意な事をやらされてので、すこぶる不機嫌)

雪はどうせ浮かれていて反応が鈍ってるだろうから、前に出て金光鏡牙でカウンターを狙う
予知されていようが武器で受ければ返せるし、|グリモア《武器》を落とせるしな




 月夜に女の声が響く。
 不気味な廃駅と不可思議な光景の中にあって、しかしそれは朗々と弾んだ、どこか上機嫌なものだった。
「たなからぼたもち、かもがねぎしょってやってきた! 合法的にいちゃいちゃできるちゃーんすっ!」
「……こら待て、何を言っているんだ、本当に」
 ウッキウキでルンルンな状態でやってきたのは、恋人ができたばっかりの中学生……ではない。れっきとした既婚者(それも新婚ではない)、神塚・深雪(光紡ぐ|麟姫《りんき》・f35268)である。
 因みに例の如く無理矢理連れてこられた夫、シェルリード・カミツカ(|黄金《きん》の|鳳皇《ほうおう》・f35465)的にはむしろ本来、人前でいちゃついたりは言語道断なタイプである。こっちは高校生風紀委員の様相。
「うふふーでーえーとー! お仕事だろうとなんだろうとでーとはでーと!」
「聞いてないな……」
 頭を押さえるシェルリードだが、付き合いたてカップルだろうが熟年夫婦だろうが、愛する人とのデートは嬉しいものなのです。そりゃあテンションも上がるしIQも下がるわ(?)。
 深雪に引きずられるままに、駅のホームから星を眺める体で外に出るシェルリード。本当に、普通のデートだったら微笑ましい光景だったんですけどね。
「……ええい、此処迄来たら観念するしかないじゃないか」
 正直未だに腑に落ちない。が、もう後には退けないところまで来ている。シェルリードは観念して、色々いいつつそれでもなんだかんだで愛する伴侶を抱き寄せた。
 そのまま顔を寄せると、深雪は嬉しそうに目を瞑りながらも。
(「積極的になってくれるのは嬉しいけど、いつもこんなこと外でしてくれないのにー!」)
 演技でなくとも普段からこうあってほしいものである。なんて密かに思ってしまう深雪である。グリモワールに感謝すればいいのか、嘆けばいいのか。複雑な気持ちです。
 その時、不穏に動く影があった。グリモワールだろう。ホラーだと音もなく、気付いた時には殺されていがちなカップル。その設定に忠実に沿おうとしているのか、単純に慎重なのか、声も音もなく死の魔弾と化したグリモアを撃ち込んでくる。
「……グリモワールさん」
「!?」
 名前を呼ばれて、程度は読めないが驚いた様子のグリモワール。
 だが、深雪が彼女の名前を呼んだのは、動揺を誘っての意図では全くなかった。
「空気って、読めます?」
 にっこりお怒り。
 ワンチャン星空の下でキスまであったんだぞ!!
 と、深雪が思ったかは定かではないが、対してシェルリードは一瞬、ないけど?? とでも言いたげな顔をしたけれど、それはそれとして狙われている伴侶の背後。そこはごく自然に庇いに入る旦那の鑑。シェルリード・『夫』・カミツカ。
「趣味が悪いとかそういう問題じゃないだろう、宣託者」
「く……やはり新型は旧型すら上回ると言うのか……!」
 あくまで戦略的考察・対応のグリモワール。情緒がない。
 グリモアの弾丸を蒼光の剣で叩き落とし、光で黄金に輝く刃を返す形でグリモワールへと一太刀。グリモワールは致命傷こそ避けたが、よろめきたたらを踏む。
「雪はどうせ浮かれていて反応が鈍ってるだろうと思ったが、やはり構えていて正解だったな」
「別に鈍ったりしないもーん! むしろご機嫌だもーん!」
 人前で見せつけることを強要されて不機嫌なシェルリードとは対照的に、結果的に庇われたことで言葉通り上機嫌な深雪。グリモワールの不躾な横槍も許した。
 ……が、人類の敵という事実に変わりはないので。
「人の恋路を邪魔する人は、雨に流されご退場願いましょうか! 暗闇ですし、よーく効く筈ですよ!」
「!?」
 金の光が薄れゆく前に、光を絶やさず白銀降らせ。
 流星群が如き驟雨で、宣言通りに押し流す!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

上野・イオナ
エテルネ(f36956)と

色々とお世話になってるエテルネの頼みなら着いていくけど、僕とカップルのフリとか嫌じゃない?
(本心)

なんかくっつかれたけどどう対応していいか分からないなぁ!


戦闘
予兆が結構性癖に刺ささりましてブレブレと並ぶぐらい推しになりそうなんで、本当はグリモワールさんとお友達になりたい
自己嫌悪に陥りそうなこの戦争で推しの存在は有難い

でも地球の為に追い返さないと
それに大切な友人を攻撃するならそれは許しておけない

指定UCは互いに相手UCを見てから放つUCだから発動出来ない
発動させないようにしたのでUCをガードした
マインドノリソンをコピー、互いに打ち消し

あとはエテルネを守りながら攻撃する


エテルネ・イミタージョ
イオナ(f03734)と

ほらっ、2人組が必要な依頼だから手伝ってちょうだい

ここまで来たらコイツ多分わざと言ってるんでしょうけど、付き合ってくれるのは嬉しいわね

……、でもイチャつくカップルのフリって改めていわれるとちょっと恥ずかしいかも
えーい、ままよ。イチャイチャくっつくわダーリン!(?)

戦闘は
基本的に遠距離攻撃や支援がメインだから近づかれると危険なのよ
だから、イオナが私の事を守ってくれる
イオナが最近グリモワールにハマりかけてることは理解してるのでドヤ顔をグリモワールへ向けます

イオナのUC発動後に自分のUCを使用
遠距離から支援するわ




 ――ほらっ、2人組が必要な依頼だから手伝ってちょうだい!
 そう、色々とお世話になってるエテルネ・イミタージョ(La vastiĝanta cibermondo・f36956)に頼まれて、ついてきた上野・イオナ(レインボードリーム・f03734)ではあるが、気になることがひとつ。
「僕とカップルのフリとか嫌じゃない?」
「………………」
 エテルネとしては、嫌なら誘っていないのですが状態なのだけれど、彼の性格はある程度理解しているつもりだ。
(「ここまで来たらコイツ多分わざと言ってるんでしょうけど、付き合ってくれるのは嬉しいわね」)
 いや彼、本心から聞いてるっぽいです。
 とは言え、そんなことを言いながらもついてきてくれる辺り、イオナの側も嫌ではないのだろう。と思いたいところ。
(「……、でもイチャつくカップルのフリって改めていわれるとちょっと恥ずかしいかも」)
 変に意識し出すと気になってしまうやつ。あるある。
 しかし、このまま何もしないというわけにもいかない。エテルネは暫し悩み逡巡した上で、遂に覚悟を決めた。
「えーい、ままよ。イチャイチャくっつくわダーリン!」
 勢いのままガバッとイオナの腕に抱き着く勢いでくっつくエテルネ。本当にこれでいいのかという疑問は未だある。
 イオナはイオナで、ぱちくりと目を瞬かせていた。
(「……なんかくっつかれたけどどう対応していいか分からないなぁ!」)
 感情的にどうか以前に、言葉通りで『どうしたらいいか分からない』のだ。
 しかし、恋愛初心者(多分)なのは敵も同じこと。と言うか、あの人不死者だし、恋愛感情芽生えることってあるんでしょうかね……?
 ともあれ『あの人』ことグリモワール、初々しいカップル(?)の気配を察知し姿を現しました! ……いや、実際は気配を感じるだけなんですけど。
「!」
 ――推しの気配を察知――!
 キュピーンとアンテナが反応したかの如く、真っ先に気づいたのはイオナだ。……いや、何と言うか、予兆を見た瞬間に(ファンとして)一目惚れしたと言うか、包み隠さず言うならヘキに刺さったと言うか。
 某ブレブレさんと並ぶ推しツートップになりそうなレベルのトキメキを覚えました。本音を言えばお友達になりたい。
 精神的に結構クるものが多々あり、自己嫌悪に陥りそうなこの戦争。そんな中で巡り会えた推し。心の清涼剤。
 推しの存在に、心からありがとう。
(「でも、地球の為には追い返さないと。それに」)
 視界の端に、グリモアの光がちらつく。グリモワールはそこにいるのだろう。
 そして、チラと未だごく近くにいる、エテルナを見た。
(「大切な友人を攻撃するなら、それは許しておけない」)
 傷ついてほしくはない。たとえ推しでも、それは譲れない。
 斜線を切るように、エテルネとグリモワールの間に立った。
「!? まさか、予知すら予知されていたと……ッ!」
 驚愕するグリモワール。
 だが、イオナは何もしない。
 知っているのだ。敵が用いるであろうユーベルコードは、『相対する者のユーベルコードに対応する』ものだ。
 対応すべきユーベルコードが発動しなければ、動けない。そしてイオナのユーベルコードは性質上『後手に回らざるを得ない』ものだ。
 少なくともイオナに対して、グリモワールの攻撃は抑制される。
 ……問題はエテルネだ。彼女に向けられる攻撃からは、守らなければならない。
「ならば、そっちの彼女から……!」
 案の定、グリモワールは標的をエテルネに絞ってきた。
 そして『エテルネのユーベルコード』を打ち消すべく動く。
 だが、そんなことはエテルネ自身も百も承知。
(「そもそも、基本的に遠距離攻撃や支援がメインのスタイルだから、近づかれると危険なのよ」)
 無効化以前に、強敵相手に独りで立ち向かうのが本来厳しいのだ。
 それでも今は、独りじゃない。
(「だから、イオナが私の事を守ってくれる」)
 エテルネはただ、信じるだけ。
 そして、彼に報いる結果を出すだけだ!
「往け、マインドノソリン!」
『なぁ〜ん』
 嘶き……と言うには間延びした、獣型思念兵器の声が響く。
 だが、直後。
『なぁ〜ん』
 全く同じ声により、その主たる思念兵器は互いに掻き消える。
 これで、グリモワールがエテルネを害する術はなくなった。
 ドヤ顔のエテルネ。と言っても、これはまた別の理由。
(「最近のイオナは、|彼女《グリモワール》にハマりかけてるらしいけど」)
 彼と共に在り、共に戦うことができているのは、自分だ。
 この立ち位置は、彼の推しにだって、譲らない!
「さあ、楽しい楽しいショウの始まりよ!」
 幕開けを阻むものはない。
 月の宮殿、アラビアンナイトのテーマ・パーク。
 キャストドールのパレードは、宣託者すらも巻き込み進むのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨河・知香
ヴィクトル(f06661)と

…旧型過ぎて壊れてんじゃないのかいそのグリモア。
でもいちゃついて予知を突破できるなら…うん、頑張ろうか!

しっかし仕事仕事でこういう恋人?的なものにはとんと疎いのよね。
とりあえず手繋いで歩いたり?一杯のでかいジュースに2本のストロー挿して飲むとか…
顎をくいっとされてじっと瞳を見つめられたり…なんか変な気分になってきた。
もうちょっと位、鼻と鼻合わせる位なら健全だろう…あ、グリモワール。
出歯亀してるんじゃないよ!とUC起動、向こうがグリモア発射してくる前に銀月浮かべてダッシュで切り込みぶん殴る!
そのガラクタ何教えてんのさ!?ぶっ壊す(八つ当たり気味)

※アドリブ絡み等お任せ


ヴィクトル・サリヴァン
知香さん(f40900)と

変わった予知信じちゃう辺り、割と予知に依存しちゃってるとか?
まあ悪い気はしないし、ちょっといい感じに過ごしつつ上手く騙してやろうか。

手を繋ぎ俺がエスコートする感じで向かう。
にしても曰く付き、らしいけど中々雰囲気出てるんじゃない?
ああジュース、そう言えば買ってきてたよね。そこのベンチで飲もうか。
どうにも最近はこの時間でも暑くなってきてるからねー。水分大事。
…あれ何か映ってる、ような?(目を覗き込む)
折角だから軽く鼻を合わせてぎゅっとでも…とその前にパパラッチ発見。
邪魔したからにはお仕置きしないとね、UC起動し空シャチ達に襲わせてがぶがぶさせようか。

※アドリブ絡み等お任せ




 月夜に寄り添うふたつの影は。
「……旧型過ぎて壊れてんじゃないのかいそのグリモア」
「グリモワールも変わった予知信じちゃう辺り、割と予知に依存しちゃってるとか?」
 余りにトンチキな予知を披露してくれたグリモア・プロトタイプに呆れた様子の雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)と、苦笑するしかなくなっているヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)である。
「でもいちゃついて予知を突破できるなら……」
「まあ悪い気はしないし、ちょっといい感じに過ごしつつ上手く騙してやろうか」
「……うん、頑張ろうか!」
 これも打倒グリモワールのため、と奮起する知香さん。可愛いですね。あと、さり気なく含みのある、でも決して押しつけがましくないイケメン的言動をさらっと口にするヴィクトルさん。これはポイント高いですよ(謎の実況解説)。
 ……とは言え、やると決めたはいいが、実際何をすべきなのか。うーんと腕を組み、首を傾げる知香。
「しっかし仕事仕事でこういう恋人? 的なものにはとんと疎いのよね。どうしたもんかね……」
 考えた末、とりあえず手繋いで歩いたり? と知香が呟き落とせば、じゃあエスコートは任せて貰えるかな? なんて。
 知香の手を取り、ヴィクトルが歩き出す。勿論、歩幅を合わせるのも忘れない。散策と言うには距離が短いけれど、ふたり月に照らされホームを少し歩いて。
「にしても曰く付き、らしいけど中々雰囲気出てるんじゃない?」
「確かにそうかもね……っと」
「知香さん?」
 ふと、あるものの存在を思い出して足を止める知香。
「あと、一杯のでかいジュースに二本のストロー挿して飲むとか……」
「ああジュース、そう言えば買ってきてたよね。そこのベンチで飲もうか」
 カップルストロー……はちょっと難易度が高いので、買ってきていたジュースにストロー二本。これまたヴィクトルのエスコートで並んで座り、一緒に喉を潤す。
「どうにも最近はこの時間でも暑くなってきてるからねー。水分大事。……あれ、何か映ってる、ような?」
 顔を上げたヴィクトルが知香へと視線を向けると、その瞳の奥に、何か見えたような気がして。
 やはり自然な所作で、流れるように、知香の顎をそっと取って、クイと少しだけ持ち上げて。
 射抜くように、それでいて探るように、冬の海に似た藍色の、その奥をじっと見つめたら。
(「……な、なんか変な気分になってきた」)
 どうにもソワソワして落ち着かない。かと言って、目を逸らすのもなんとなく釈然としなくて、知香もヴィクトルの目を見返す。
 結果、しっかりと見つめ合うような形になる。
「折角だから軽く鼻を合わせてぎゅっとでも……」
 囁くように声を落としたヴィクトルに、知香はやはり落ち着かない心地になりながらも。
(「もうちょっと位、鼻と鼻合わせる位なら健全だろう……」)
 嫌悪はない。
 任務のためとは言え、そういうことを許せるくらいの間柄だ。
 ならば行けるところまで……と。
「と、その前にパパラッチ発見」
「ん?」
 きらりと光る何か。
 ヴィクトルの動きが止まり、知香もそれに気がつく。
 そちらに視線を向ければ、その主の姿も見逃さなかった。
「あ、グリモワール」
「!?」
 何故バレた、という顔(顔にある筈の方の目は見えなかったが)を一瞬したグリモワールだったが、すぐに猟兵側のグリモアの力かと思い至ったのか、作戦変更と言わんばかりに姿を現す。
「邪魔したからにはお仕置きしないとね」
「出歯亀してるんじゃないよ!」
 これが一般人カップルなら、なす術もなくホラー映画の犠牲者カップルよろしく無惨なことになっていただろう。
 だが生憎、こちとら猟兵である。そして今、グリモワールはまさかこちらのグリモアが予知返しまでできるとは想定外の筈で、平静を装ってはいるが、少なからずショックを受けているだろう。勝機は十分にある。
「今日のアタシはいつも以上に|本気《マジ》だよ!!」
「な、速……ッ!?」
 グリモワールは、確かに知香の動きを先読みした。
 ……が、予知はできてもついてこられるか、というのはまた別の話である。
「そのガラクタ何教えてんのさ!? ぶっ壊す!!」
「うぐっ、予知にかかっても対応できないなんて……!」
 天に浮かぶ月は、銀にその色を変えて。月の光の恩恵で身体機能を大幅に活性化させた知香は、グリモワールが先読みして反応するより速く、ダッシュでその懐に潜り込み、ラッシュを繰り出したのだ!
 平素なら、まだグリモワールも難なく対応してきたかも知れないが。今は彼女の動揺と、何より知香の八つ当たりパワーがその天秤をひっくり返したのだ。
「俺はシャチだし、馬に蹴られて〜って言うよりは、こうかな。おいで、空シャチ達」
 シャチに食われて死んじまえ。
 といった様相で、追撃にガブガブされるグリモワールであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミルナ・シャイン
頼典様(f42896)と

肝試しに来たカップルを装いましょう。
何か出そう…怖い!としがみついてみたりして。
頼典様のお話に「えー、そうなんですの?」
「やだもう、こんなところでそんなお話しないで〜余計怖くなっちゃう」などと半ば実際に怖がりつつイチャついて。

なるほど、読む力は万能ではないということですわね!
闇討ちしてきたところですかさず迎撃態勢をとりUC『キャッスルクラッシュ』発動。普段は護りの騎士として防御に重きをおきますが、今回は予知返しの意味も込めて攻撃に全振りしますわ。
愛しの君の協力があれば威力も倍増するはず。頼典様のUCに怯んだ隙を突き、霊剣の援護を受けて後退させる一撃を食らわせましょう。


八秦・頼典
ミルナ様(f34969)と

へぇ、勇ましくも美しいミルナ様が怖い話は苦手とは意外だね
ボクはどうだって?
ほら、ボクは陰陽師だし日頃から怨霊や妖から都を護っているから平気…と言うか、この手の話を蒐集するのが大の好きでね
これは友達の友達から聞いた話なんだけど…などとミルナ様を怖がらせながら当世のカップルに扮しよう

…時に|覚《さとり》という妖をご存知かな?
人の心を読んで隙あらば取って食おうとする妖だけど、読心術では読めない思わぬ反撃に遭って逃げるのが常の妖さ
大抵は火の粉だけど…この場合はこれかな?
『黄龍の風』でグリモワールの機先を制しよう
風で舞い上がる砂埃に怯んで封じた隙に霊剣『鳴神』でご退場頂こうか




「怖いですわ頼典様! 今にも何か出そうで……」
「へぇ、勇ましくも美しいミルナ様が怖い話は苦手とは意外だね」
 肝試しに来たカップルを装い、寄り添って歩くミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)と八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)。と言っても、装っているのは『肝試しに来た』というところだけであり、実際のところ正真正銘の恋人同士である。
「そう仰いますけれど、頼典様はどうなんですの?」
 頼典の腕にしがみつきつつ、上目遣いでむすっと小さく頬を膨らませるミルナ。実は半ば本当に怖がっているのもまた真実。
 そんなミルナの様子に、まるで愛らしい花に向けるような柔らかな微笑みを浮かべながらも、恋人の問いかけにふむ、と頼典は思案する。
「ボクはどうだって? ほら、ボクは陰陽師だし日頃から怨霊や妖から都を護っているから平気……と言うか、この手の話を蒐集するのが大の好きでね」
「えー、そうなんですの?」
「これは友達の友達から聞いた話なんだけど……」
 ひとつ頼典が怪談を語ってみせれば、ミルナはピャッと小さく跳ね上がって。
「やだもう、こんなところでそんなお話しないで〜余計怖くなっちゃう!」
 怖がりつつもすかさずぎゅーっと密着度を高める。任務と実益。
 さて、一通り駅を探索したところで、開けたホームにふたりで出る。月がホームを、そこにいるふたりを照らして、まるでひとつの小さな舞台のようだ。
 そこでひとつ、思い出したように頼典は語り出す。こんな夜には相応しい、とっておきの妖怪奇譚。
「……時に、ミルナ様は|覚《さとり》という妖をご存知かな?」
「サトリ……ですか?」
 ミルナが問い返せば、頼典はゆるりとひとつ頷いて、言葉を、伝承を、紡ぎ続ける。
「人の心を読んで隙あらば取って食おうとする妖だけど、読心術では読めない思わぬ反撃に遭って逃げるのが常の妖さ」
「なるほど、読む力は万能ではないということですわね!」
 ……そう、まさに。
 今まさに、闇討ちしようとこちらを狙っている、グリモワールの予知のように!
「大抵は火の粉だけど……この場合はこれかな?」
「な……ッ!?」
 頼典は、グリモワールの方を見てはいなかった。
 だが、頃合いと感じ取っていた。ゆえに打つ、妖怪退治の通りに、予知返しという、不意の一撃を、その一手を!
 土を司りし黄龍の呼ぶ風は、砂塵を連れてくる。その細かな粒がグリモワールの肌を打つ。それ自体に殺傷力はない。だが、『読まれていた』と悟らせるには、余りにも十分だった。
「わたくしは護りの騎士……ですが」
 それでもなお、死の魔弾を撃ち込もうとするグリモワールへと、ミルナは相対し、迎撃態勢を取り。
「攻撃は最大の防御、とも申します!」
 今は攻めに転じる時。
 何よりも今は、愛しの君――頼典が傍で力を貸してくれている!
「では、無粋者にはご退場頂こうか。霊剣『鳴神』の光は闇をも祓う……」
「頼典様のお力添えあれば、わたくしは負けません! いざ、突撃ですわ!!」
 今やグリモワールの視界を覆い尽くすのは、静謐の月夜ではない。
 眩く輝き迫りくる、雷霆の|城塞《しろ》だ!
「これは……ぐうッ!!」
 弾丸として射出される筈であった、グリモアごと打ち砕いて。
 彼方へと、その身体を弾き飛ばす!
「……なんてことだ……君たちのグリモアは、一体どこまで……想像を……運命を、超えていくと……」
 やがてグリモワールは、砂の上を跳ねて動かなくなる。
 猟兵たちの有するグリモアの可能性に、戸惑いを拭えないまま。
 そうして暫く見守る内に、その姿は砂と共に、夜風の中に掻き消えていった。
「お疲れ様でした、頼典様! ですが今度は、誰にも邪魔されずにゆっくりとお出かけしたいですわね」
「確かに、今回は半ば演技とは言え邪魔が入ってしまったし……そう遠くない内に、仕切り直しをさせて貰えるかな?」
 駆け寄ってくるミルナへと、極上の微笑みを向ける頼典。
 いずれくるその日を楽しみに、ふたりは帰路に着く。

 ここに集った恋人たちも、そうではないふたりも、確かにあるその絆で、強敵を打ち破った。
 それは、間違いなく誇れることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年05月31日


挿絵イラスト