ケルベロス・ウォー⑧〜再臨のトリスメギストス
●ケルベロス・ウォー
宇宙最賢。
それは比類なき学習意欲に起因するところのものであることは疑うべくもない。
知性の高さが明哲を保証するものではない。
飽くなき探求の心、知恵と機智とを持ち得るがゆえに宇宙最賢。
それが十二剣神『聖賢者トリスメギストス』であった。
「我『聖賢者トリスメギストス』が以前看破した通り地球の強さはケルベロスでも特務機関DIVIDEでもなく民衆即ちひとつの群体である事に他ならず今やその結実は我々十二剣神をも圧倒しようとしている……極めて興味深い!」
彼はさらに続ける。
この地球――住まう人々の団結は、十二剣神という強大な存在をも上回るものである、と認識を改めるまでもなく理解していたのだ。
故に彼はケルベロス・ウォーに先んじて、地球の人類社会にデウスエクスを潜入させ、そのデータを吸い上げ続けていた。
地球人類のインフラとはなくなてはならないもの。
人類そのものを殺し、グラビティ・チェインを簒奪することは、その後でもできる。
だが、一致団結して一つの群体へとなった人類の楔を引き抜く事は容易ではない。であればこそ、人類一致団結の楔であるインフラをこそ狙ったのだ。
「滅びることなき『神経樹グラビティピラー』の死は次いつに愉快だ『カタストロフ』の失態その目論見がご破算になった今こそ我は全ての枷より解き放たれた六番目の猟兵たちよ我はこれよりひとつのベルセルクとしてお前たちと相対しよう我が策謀は既に人間社会に深く根付いているこのように……|決戦配備《ポジション》よ侵略起動せよ!」
瞬間、湾岸の決戦都市に残されていた残り僅かな決戦配備である自律人型戦術兵器『セラフィム』が立ち上がる。
アイセンサーの輝きは剣呑なる光を放っていた。
「まさか……! 環境変異兵器、ではない、だと!? 一体どうやって!」
亜麻色の髪の女性『エイル』博士は呻いた。
一度ならずとも二度までも『セラフィム』のコントロールが奪われてしまったのだ。
一度目は『黄道神ゾディアック』の放った『ゆりかご』に搭載された環境変異兵器によって。
そして、此度は、その環境変異兵器の影響が見受けられないのだ。
「我の策謀ゆえよケロベロス・ウォー勃発以前よりこの湾岸の決戦都市には我が配下たちが入り込んでいた一度は阻まれたがしかし隙というものはいくらでも生まれるものだ湾岸の決戦都市よお前たちが決戦配備を建造するために受け入れた多くの人類にまぎれて我が配下もまた入り込んでいたのだ」
次々と立ち上がる『セラフィム』たち。
そう、決戦配備の建造は急務であった。
故に決戦都市に流入する人々の覚悟の輝きが生み出す影に隠れて『聖賢者トリスメギストス』の配下であるデウスエクスもまた侵入していたのだ。
「させるものか! そう何度も容易くコントロールを奪われることなど! 過ちは何度も繰り返さない!」
『エイル』博士は掌握された『セラフィム』たちに逆にハッキングを仕掛け、掌握されたほとんどの『セラフィム』のコントロールを奪い返しえていた。
だが、数騎の『セラフィム』のコントロールは『聖賢者トリスメギストス』に奪われたままだ。
「即座に対応するかそれでこそであるとも言えるだが我は全ての枷から解き放たれた一つのベルセルクそれゆえに全力を尽くすのだ……再現召喚」
次の瞬間、猟兵達は目を見開いただろう。
グリモア猟兵ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は、息を呑んだ。
その背に負った黄金。
まばゆい輝きと共に現れた刹那に、神速の如き加速でもって超高速の斬撃を解き放つ姿。
宙を舞う邪剣の群れ。
いずれもが彼女の知る存在……その名は。
「七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍……!? な、何故彼女が……!」
「ほほう、あれが猟兵という輩か! 盟友コルテスを破り、カルロス王や他の七大海嘯をも苦しめた! ならば、私のやるべきことは決まっているな」
ピサロ将軍は、己が背に負った黄金の光を振り返った。
「おい、私に取り憑く『黄金太陽神』よ、『界渡り』の準備をしろ!」
彼女はそう告げた。
戦うのではないのか?
いや、これは、とナイアルテも含め猟兵たちも気がついただろう。
『聖賢者トリスメギストス』が何故、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍を再現召喚したのかという意図を。
再現召喚したオブリビオンと共に襲いかかってこようとしているのではない。
一致団結するものたちに、団結の力で勝ることはできない。
ならば、その団結を引き裂くのではなく、自ら割かせるのだ。
そう、戦力の分担。
「もちろん、私が強いのは油断をしないからだ! ここは諦めて私に侵略させてくれる新しい主を探しにいく。まあ、逃げの一手というやつだ!」
そう、ピサロ将軍は逃げようとしている。
彼女が『界渡り』……再現召喚されたまま他の世界に移動したのならば、どうなるかなど言うまでもない。
猟兵たちにこれを止めない選択肢はない。
だが、同時に眼の前には『セラフィム』数騎をたぐり、さらに強靭なる十二剣神『聖賢者トリスメギストス』がいる。
この状況で二兎を追うものにならねばならぬという状況を強いられている。
一瞬で『聖賢者トリスメギストス』は、これを作り上げたのだ。
「なんと恐るべき敵なのでしょう……ですが!」
ナイアルテは知っている。
猟兵たちの勢いは止められない。それは『聖賢者トリスメギストス』も知る所であろう。
であれば、その知るところを上回っていくしかない。
迫る決戦配備『セラフィム』と『聖賢者トリスメギストス』。
逃げる再現召喚された七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍。
二兎を追う猟兵達の戦いの火蓋が切って落とされた――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『ケルベロス・ウォー』の戦争シナリオとなります。
インフラ破壊作戦や人類社会のデータ収集を行ってきた十二剣神『聖賢者トリスメギストス』との戦いになります。
彼は極めて高い知性を誇り、皆さんの戦力の分散を狙ってきました。
一つは、決戦配備の掌握。
これは『エイル』博士の抵抗によって数騎しか奪われていません。この数騎の『セラフィム』と『聖賢者トリスメギストス』が迫ってます。
もう一つは再現召喚によって呼び出された七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=32358)です。
彼女は逃げの一手で他世界に逃げようとしています。
再現召喚と決戦配備による猛攻というよりは、選択を強いる戦力の分散を『聖賢者トリスメギストス』は狙っています。
無論、ピサロ将軍を追えば、その背後から『聖賢者トリスメギストス』が迫るでしょう。
この挟撃を如何にかして免れ、迎え撃たねばなりません。
※プレイングボーナス……再現体オブリビオンとトリスメギストスの同時攻撃に対処する。
それでは、狙われた地球を守るために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『十二剣神『聖賢者トリスメギストス』』
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POW : |決戦配備聖賢者《ポジショントリスメギストス》
全身を【奪った|決戦配備《ポジション》】装甲で覆い、身長・武器サイズ・攻撃力・防御力3倍の【決戦配備聖賢者】に変身する。腕や脚の増加も可能。
SPD : |決戦配備投擲法《ポジションスナイプ》
【侵略機動で奪った|決戦配備《ポジション》】を手または足で射出する。任意の箇所でレベル×1個に分裂でき、そこからレベルm半径内に降り注ぐ。
WIZ : |決戦配備戦場《ポジションバトルグラウンド》
全身に【侵略機動で奪った|決戦配備《ポジション》】を帯び、戦場内全ての敵の行動を【|決戦配備《ポジション》についた武装】で妨害可能になる。成功するとダメージと移動阻止。
イラスト:del
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
バルタン・ノーヴェ
HAHAHA!
懐かしい方と再会でありますな!ピサロ将軍!
彼女は、我輩との思い出を持たぬ再現体デショーガ……こうして再会する機会を、ずっと待ち望んでおりマシタ!
サンキュー、トリスメギストス!御礼に討伐しマース!
それではレッツファイト!
ワタシの選択は、挟撃双方に攻勢を仕掛けマース!
「骸式兵装展開、祈の番!」
血を代償にして、ワタシの換装式武装のチェインハンマーとパイルバンカーを、双子に変身!
彼女たちにはトリスメギストスの迎撃に向かってもらい、我輩はピサロ将軍とのデートに専念しマース!
滑走靴による空中機動も、ファルシオンの技量も、羅針盤戦争の頃から研ぎ澄まして来マシタ!
あの時と比べてどれほど成長を遂げ
逃げる再現召喚されたオブリビオン、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍。
その背に負う黄金の光。
流星のように湾岸の決戦都市から逃亡せんとする速さは、まさしく迅速果断。
「戦っても得のない相手と戦うなど、この私がするはずがない。ここは逃げの一手。逃げるだけで猟兵共とは再び相まみえようが、生き残ればそれでよし。私の侵略はまだ終わらんよ」
八艘飛び。
それは軽やかにして絶技。
湾岸の決戦都市の瓦礫を、鮮やかに飛ぶピサロ将軍を追うのは軽快な笑い声だった。
「HAHAHA! 懐かしい方と再会でありますな! ピサロ将軍!」
「ん? 私を追う者がいる? 誰だ?」
「なるほど、我輩との思い出を保たぬ再現体でアリマスカ! ですが、関係ありマセーン!」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、己を追う決戦配備『セラフィム』と合体した十二剣神『聖賢者トリスメギストス』を振り返る。
「サンキュー、『聖賢者トリスメギストス』! 御礼に討伐しマース!」
「この我をただの召喚ポータルかなにかと勘違いしているのではないか?この我にとって猟兵諸君らは倒すべき敵ただひとりのベルセルクとして今挟撃されていえることを理解すべきだな背後を取られている異常君に余力はありるまい」
「HAHAHA! それはどうですかな! レッツファイト!」
バルタンの瞳がユーベルコードに輝く。
これは待ち望んだ再戦。
バルタンにとって、これ以上幸運はない。
嘗てグリードオーシャンにおける大いなる戦いで打倒した七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍。それは判断力と強さ、そして油断なき速さによる強敵。
だがしかし、バルタンは、この二体の強敵を前にして己の鮮血を代償とし、自身の武装……チェインハンマーとパイルバンカーを『祈りの双子』を模した姿へと変貌させる。
二兎を追う状況。
ここにおいてバルタンは手勢を増やすことを選択したのだ。
「骸式兵装展開、祈の番! これにて我輩と『双子の祈り』を模した姿をした武器が二兎を追えマース! 我輩は!」
バルタンは滑走靴で大地を蹴ってピサロ将軍の眼前に先回りする。
振るうファルシオンと手にした邪剣が激突し、火花を散らす。
「チッ、追いつくのか。だが!」
振るわれる邪剣の一撃にバルタンが吹き飛ばされるが、すぐさま空中で滑走靴による体勢を整え、ピサロ将軍へと叩きつける。
「こいつ、私と剣で渡り合うか。油断ならぬやつ!」
「HAHAHA! |あの頃《羅針盤戦争》の頃から研ぎ澄まして来ましたカラネ!」
「足止めしてでも私との決着に執着するか」
「ソウデース!」
その背後では『祈りの双子』を模した武器が『聖賢者トリスメギストス』と戦いを繰り広げている。
長くは保たないだろう。
吹き飛ばされた『祈りの双子』をもした武装が砕け、散る。
「オー! なんてことデショウ!」
「この我をひとときでも留め置くことができたこと自体を褒めるべきであろうなだがそれだけではこの戦いに勝利できるとは思わぬことだこの我は知性のみにてあらずこの頑強なる肉たい死さえ克服したデウスエクスの本領を思い知るがいい」
「満員御礼というやつデース! ならば迎え撃ちマショー!」
ユーベルコードとは言え、やはり十二剣神を止めることはできなかったのだろう。
バルタンはピサロ将軍と切り結び、その斬撃を叩き込みながら、更に迫る『聖賢者トリスメギストス』との乱戦に巻き込まれていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
HAHAHA!
お見事、流石は十二剣神!侮れる相手ではないデスナ!
破損した武装の修繕とかは後々思案するとして、始まったばかりのこの乱戦終えるにはまだ早いデスヨー!
とはいえ、ふむ。
強敵二者を相手に単騎で耐えるのはデンジャラス。
やはり人手を増やすよりほかナッシン!
カオスメモリ…カオスヘッダーは分身体が倒れたら全滅するのでハイリスク。
蛮の番…理性を失くしたらお手玉されそうデース。
ならば、ここは骸式兵装展開、争の番!
からの、ミニ・バルタン! ビッグ・バルタン! スコール!
スタンドアーップ!
攻撃が続く限り何度でも連続攻撃可能な、ジェットストリームアタックを仕掛けマスヨ!
猟書家の力で第二ラウンドであります!
「チッ、やってられんな。逃げの一手であるというのに」
七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍は歯噛みしていた。
さっさとこの世界から逃げるつもりだったのに、こうも容易く猟兵に阻まれている。己を真っ先に追ってきた猟兵。
彼女はまるでピサロ将軍が逃げの一手を打つことを知っていたかのように回り込んでいた。しかも、十二剣神『聖賢者トリスメギストス』を足止めして、だ。
こうなることを見越してそうしたとしか思えない。
己の能力、ユーベルコードをあらかじめ知っていたとしか思えない行動。
であれば、逃げの一手を崩すべきか?
その逡巡がピサロ将軍の動きを鈍らせていた。
「HAHAHA! お見事、流石は十二剣神! 侮れる相手ではないデスナ!」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、己の武装が破壊されたことを受けて、さらに決戦配備である『セラフィム』を操る『聖賢者トリスメギストス』の脅威に笑っていた。
「余裕のようだな六番目の猟兵よだがその笑い顔はどこまで保つかお前たちのやっていることは対処療法に過ぎない我が何故七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍を再現召喚したのかその意味をわかっているのか?そうでなければお前たちはただいたずらに時間を消費しただけに過ぎないのだぞ」
その言葉にバルタンはなおのこと笑って。
「HAHAHA! 始まったばかりのこの乱戦を終える算段を考えるにはまだ早いデスヨー! とはいえ」
バルタンは笑いながら考える。
未だ隙を見て逃げの一手を打たんとしているピサロ将軍に『聖賢者トリスメギストス』。
掛け値なしの強敵二体を相手取って、単騎で耐えうるのは現実的ではない。
むしろ、この窮地にあってバルタンが最も嫌がることを『聖賢者トリスメギストス』は理解していた。
それは即ち、二体の共闘。
ピサロ将軍にそのつもりがなくとも、『聖賢者トリスメギストス』は彼女に合わせてバルタンを攻撃できる。
やはり単騎では荷が重すぎる。
「やはり人手を増やすよりほかナッシン!」
とは言え、だ。
バルタンの持ち手札を考える。
カオスメモリによる混沌魔術、カオスヘッダーは分身体そのものが倒されては全滅するリスキーさがある。無論、これがバルタンではなく、カオスドラゴンという単一でも強大な存在ならば、そのリスクを全部無視することができるが、個としての力が劣るバルタンにとっては、そのリスキーさのほうが重い。
そして、もう一つ。
蛮の番と呼ばれるユーベルコードも、知性高き『聖賢者トリスメギストス』相手では理性なき身では良いように掌で転がされて終いだ。
「ならば! ここは! ミニ・バルタン! ビッグ・バルタン! スコール! スタンドアーップ!」
バルタンの掛け声と共に呼び出されたのはビッグ・バルタン。そしてミニ・バルタンが操縦するキャバリア『スコール』。
加えて、バルタンは鉤爪の男を模倣したキャバリアの如き姿へと変身する。
「手勢を増やしたかだがそれでどうなるわけでもあるまい依然六番目の猟兵よお前の個としての力は我々に劣るのだからそれでどう状況を覆そうというのか」
「手勢と手数デース! 数が増えたら単純に三倍、これが即ちジェットストリームアタックデース!」
バルタンの瞳がユーエベルコードに輝き、『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍に迫る。
「手数が増えたとて、軽い。この程度で私を打倒するつもりなのか? バカバカしい!」
「オー、それは早計というヤツデース!」
「なに?」
それはすぐさま理解されることであっただろう。
ビッグ・バルタンの一撃を受けた『聖賢者トリスメギストス』は理解していた。
三手に分かれたバルタンたち。
それは互いに連携し、一撃でも攻撃を此方に当てた瞬間にさらなる追撃が飛ぶ。そして、追撃が追撃を呼び、乱気流のように『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍に襲いかかっているのだ。
「……まさか、この攻撃!」
「そのまさかデース! 絶え間ない再攻撃の連続! これで貴殿らにはこの場に釘付けになってもらいマース!」
そうしていれば、追撃の猟兵たちがやってくる。
例え、今更気付いたとしても遅いのだ。
逃げようとしても、これを許さぬのが猟兵たちである。
バルタンは、己をピサロ将軍の楔として繋ぎ止め、『聖賢者トリスメギストス』の攻勢から阻む防波堤となるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ソニア・コーンフィールド
黄金太陽神…ピサロ?
わたしもあった事ない昔のオブリビオンの事、何でトリスメギストス知ってるんだろ?
ともかく戦力分断狙ってくるとはインフラ狙いも合わせて頭使って来るねー。
でも猟兵はそんなんじゃ止まらないよ!
絶対逃がさないし、倒すんだし!
まずはピサロの足止めにかかるね!
何か背中の黄金神ピカピカ輝いてるし…UC起動、超重力発生させる重力ガジェットをドラゴンガジェット用の追加装備に召喚!
八艘飛びで攻撃増やそうとその移動を妨害、上手く力発揮させないよ!
しかも魔竜の力で無限に進化…重力の出力もどんどん強めて止めちゃおう!
あとトリスメギストスからの投擲には警戒、飛んできたら回避優先で!
※アドリブ絡み等お任せ
再現召喚。
それが十二剣神『聖賢者トリスメギストス』の能力である。
だが、猟兵たちにとって問題であったのは、再現召喚されたオブリビオンの姿と形であった。
背に黄金太陽神を背負うオブリビオン。
七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍。
彼女は嘗ての大いなる戦い。グリードオーシャンと呼ばれる世界を巡っての戦いにて認められた強大なオブリビオンである。
彼女は大いなる戦い、羅針盤戦争においてもそうであったが、逃げの一手を選択していた。
此度の戦いにおいてもそうだ。
彼女は忠実に再現されている。
それ故に猟兵たちは彼女の逃走を阻止しなければならないのだ。それと同時に『聖賢者トリスメギストス』をも撃退しなければならない。
謂わば、それは挟撃である。
「黄金太陽神……ピサロ?」
ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)は、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍を知らない。邂逅したこともない。
なのに何故、『聖賢者トリスメギストス』がピサロ将軍の存在を知っているのか。
疑問は尽きない。
だが、戦力分散を狙ってくる当たり、インフラ破壊作戦を含めて、『聖賢者トリスメギストス』は油断ならない知性を宿した存在であることは言うまでもない。
「たしかに厄介だよね。けど、猟兵はそんなんじゃ止まらないよ! 絶対逃さないし、倒すんだし!」
「ハッ! そういわれればなおのこと逃げおおせて見せるさ。邪魔をしないでもらおうか!」
八艘飛び。
それは超高速の連続攻撃。
加速する斬撃は黄金の煌きを受けて、ソニアに襲いかからんとするだろう。
だが、ソニアの瞳がユーベルコードに輝き、己のドラゴガジェットに超重力を発生させるガジェットを追加する。
放たれた超重力がピサロ将軍の体躯にのしかかり、彼女の足が止まる。
「クッ……体が重い!」
「超重力発生装置かこの短時間で構築したというのはユーベルコードの力というわけだしかし同時にそれは自身の行動を使いきったということであれば我の行動に応対する暇はないということでもあるであればこの隙を逃す手はない」
『聖賢者トリスメギストス』はコントロールを奪った決戦配備『セラフィム』を掴み上げる。
何を、とソニアは思っただろう。
次の瞬間『聖賢者トリスメギストス』は掴み上げた『セラフィム』をソニアに向かって投擲したのだ。
更に加速する『セラフィム』自身の推力。
目を見張るほどの速度と、その加速度Gによってバラバラになる機体。
装甲やパーツが散弾のようにソニアに降り注ぐ。
ピサロ将軍に対応していた己に『聖賢者トリスメギストス』が何かしてくることは警戒していたが、しかし、それでも此方に面による攻撃を仕掛けてきている。
こちらが警戒していることすらも計算に入れての攻撃なのだろう。
「ピサロ将軍を足止めしてる間に抜け目ないね!」
超重力でもってピサロ将軍を留め置いているソニアは恰好の的であった。
羽撃く翼でもって飛翔し、回避する。
だが、同時に超重力からピサロ将軍が脱し、さらに状況は一進一退である。
ソニアは、やはり『聖賢者トリスメギストス』がただならぬ存在だと改めて理解し、再びピサロ将軍を追い、そして『聖賢者トリスメギストス』の攻勢に対峙するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メリーナ・バクラヴァ
おおっと、これは最賢の名に恥じない知略ですねえ! ……いやホント、我々の嫌がることをピンポイントにやってのけてます。敵ながらナイスです。
ナイスですが――もちろん、思い通りにはさせませんとも♪
逃げるピサロ将軍の背を追いかけて【飴玉の夜空】です。
優しい旋律に思わず振り向かずにはいられなくしてさしあげると共に、挟撃するトリスメギストスも対処いたしましょう!
……意のままに宙を舞い敵を襲う邪剣、でしたっけ?
良い小道具ですのでお借りしますね♪ 右に左に不可思議に舞い踊って剣戟を避けると共に、その剣閃を「きらきら」っとした演出に利用して、より美しく幻想的に仕上げますね!
決戦配備?少し大きめの流れ星ですっ!
再現召喚は強大なオブリビオンを再現して召喚する力である。
当然、召喚されるのは強大であれば強大であるほどいい。そう考えるのが妥当である。しかし、十二剣神『聖賢者トリスメギストス』が再現したオブリビオンは、猟兵たちにとって意外な存在であったかもしれないし、むしろそうでなければ、とも思ったかもしれない。
七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍。
背負う黄金太陽神によって『界渡り』を可能にする速度に優れたオブリビオン。
彼女は戦っても確かに猟兵を圧倒するだろう。
だがしかし、彼女は逃げの一手を選ぶ。
油断なく強い。
彼女にとって、再現召喚されても、その一点は変わらない。
猟兵が恐ろしいから逃げるのではない。
そうするのが最も己に得になると判断したから猟兵を撃破して世界を渡るのではなく、他の何をおいてもこの世界から脱出することを選んだのだ。
そして、戦闘は常に可能性に揺らいでいる。
万が一があるのならば彼女は、戦うという選択をしない。
「三十六計逃げるに如かず、というやつだ。真面目に取り合っていられるか」
迫る猟兵を尻目にピサロ将軍は疾駆する。
猟兵達は彼女を追わずにはいられない。そして、その背後を『聖賢者トリスメギストス』が挟撃するのだ。
「おおっと、これは最賢の名に恥じない知略ですねえ!」
いや、本当に猟兵たちが嫌がることをピンポイントで射抜いてくる、とメリーナ・バクラヴァ(リスタートマイロード・f41008)は理解していた。
再現オブリビオンとは言え、ピサロ将軍が逃げた先でろくでもないことをしでかすのは目に見えていた。
その可能性があるのならば、猟兵達はピサロ将軍を捨て置けない。
『聖賢者トリスメギストス』はその性質を逆手に執っているのだ。
「敵ながらナイスです。ナイスですが――もちろん、思い通りにさせませんとも♪」
メリーナの瞳がユーベルコードに輝く。
発せられるのは甘い声。
幼ささえ残る歌声は、ピサロ将軍の胸にいい知れぬ感情を湧き上がらせる。
「なんだ、これは……慕情? 郷愁? ええい、まさかこれは!」
メリーナを振り返ったピサロ将軍の周囲に浮かぶ邪剣が閃光のように彼女を襲う。
その邪剣の降り注ぐは拍手喝采のようであった。
そして、さらに『聖賢者トリスメギストス』の放った決戦配備『セラフィム』が彼女の歌声をかき消すような音を響かせる。
「騒音はNGですよ♪」
迫る魔剣を惑わすような舞でもって躱しながらメリーナは、彼らの攻撃すら一つの演出として利用する。
「愛する人なしに生きられない」
誰かを愛おしく思うこと。
それがあれば生きていけるのが人だ。
そんな言いようのない感情をオブリビオンであるピサロ将軍は歯がゆく思うだろう。邪剣たぐりながら、この歌を響かせる者を排除せんとする。
それはメリーナにとっては、こちらの思惑通りでしかない。
彼女の足を止める。
それが最大の目的であったのだ。
「ここからは私のステージ、演目は飴玉の夜空(ティンクル・スター)です♪」
メリーナは舞踏と歌でもって『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍の攻勢を一身に集めながら、その場にて足踏みさせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
む……挟撃か…他方が逃げてもう片方が追ってくる…と言うのもだいぶ厄介だ
…だからまずはあっちから来て貰おう…
…遅発連動術式【クロノス】により【想い転ずる妖硬貨】を刻んだ銃弾を発射…ピサロにコインを貼り付けよう…
これで逃げの反対の行動を取るから…こちらに迫ってくる…
…そしてエイル博士からの情報を元にトリスメギストスのコントロールしているセラフィムをハッキング…トリスメギストスとピサロを攻撃するように仕向けよう…
…これで混乱を誘って重奏強化術式【エコー】により威力を高めた術式で光の剣を多数出現…射出してトリスメギストスとピサロへまとめて攻撃しよう…
「どれだけ足止めをしようとも無駄だ六番目の猟兵たちよお前たちの目論見はわかっている我は理解しているゆえに再現したのは逃げの一手を最善最高として取り得る存在そのための再現召喚お前たちは必ずかのオブリビオンを追うその危険性を理解しているからこそ見逃すことができない我に注力できないこの状況を作り出すことこそが我の必勝の選択肢である」
十二剣神『聖賢者トリスメギストス』の声が響き、掌握された決戦配備である自律人型戦術兵器である『セラフィム』が飛翔する。
猟兵達は逃げの一手を取る、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍を捨て置くことができない。
彼女は恥も外聞もなく逃げの一手を取る。
そこにあったのは結局損得勘定のみだ。猟兵を相手取っても彼女は勝利を収めることができるだろう。
それだけの強さを持ち得るオブリビオンなのだ。
だが、それをしない。
ただ只管に逃げる。
それが猟兵にとって最悪のパターンであると知るとも知らずとも、ただ只管に己の得になることしかしないのだ。
「む……」
メンカル・プルモーサ(星導の魔女・f08301)はこの状況がひどく厄介であると理解していた。
再現召喚は言うまでもなく強大な力だ。
強大なオブリビオンを再現し、二体かかりで猟兵たちに猛攻を仕掛けてくるのだから当然だ。力押しとも言える。
だが、力押しは知恵と工夫でどうにかできてしまうものだ。
「狙いは……挟撃、か……」
一方が逃げ、片方が追う。
己達は必然、背中を取られる。
そんな状況で正しく猟兵達の力が発揮されることはない。
そこまで『聖賢者トリスメギストス』は計算づくだったのだろう。
「……だったら、まずはあっちから来て貰おう……」
メンカルは術式装填銃に想い転ずる妖硬貨(リバース・マインド)――妖怪『うらはら』の描かれたメダルを装填し、ピサロ将軍へと放つ。
逃げの一手を打つ彼女の背に銃弾は届き、メダルが張り付く。
瞬間、彼女の体が反転する。
「!? 体が勝手に……どういうことだ、逃げるのならば、逆方向だろう!?」
彼女の体は逃げとは『うらはら』、即ち戦うという選択肢を取っていた。
それがメンカルのユーベルコード。
逃げの一手を封じる力であった。
しかし、それは同時にメンカルの窮地でもあった。本当の意味での挟撃にさらされているからだ。
背後からは『セラフィム』の攻勢。前方からは八艘飛びでもって迫る高速の斬撃。
「……『エイル』博士」
「いいとも! システムの脆弱性を指摘されるようでなんとも歯がゆいが!」
亜麻色の髪の女性『エイル』博士から送られてきたデータがメンカルのメガネのレンズに投影される。
瞳が走り、瞬時に情報を読み取りメンカルは『聖賢者トリスメギストス』に奪われていた『セラフィム』のコントロールを奪い返すのだ。
交錯するようにメンカルと『セラフィム』が互い違いに飛ぶ。
メンカルは『聖賢者トリスメギストス』へと。
『セラフィム』はピサロ将軍へと。
「こちらの攻勢を自らの攻勢に転じるかなるほど面白い攻略方法だそれもいいだろうだがそれでどうなるというものでもあるまい」
「そうかな……」
遅発術式と強化術式によって編み上げられた光の剣が生み出され、メンカルは『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍へと降り注がせる。
知恵と知恵。
力と力。
どちらかでは駄目なのだ。どちらもなのだ。
そう示すようにメンカルは『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍の二体を相手取るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
呼ばれてないけど我参上!くく、この魔王ワルルーナが来たからには…ってなんかどっかで見たような気がする機械人形がこっち飛んでくるのだが!?
しかもなんか一人わき目も降らず逃げ出そうとしておるのだが!!?
ええーい!そっちが二人がかりならこっちも二人がかりだ!
都合の良い幻覚をみる効果の幻覚ブレスを吹いてけん制しつつ、
来るがよい【第2の獣ワルレーン/緑涙ノ大津波】!!
くっくっく、敵の行動妨害は、成功してもダメージと移動阻止!
「ワルレーンが泣くこと」は止められぬぞ!後は雨と津波に巻き込み、奪った決戦配備、邪剣、それらをこっちが使ってまず邪剣の方を攻撃し、余っておったら聖賢者の方にもぶつけてやるのである!
「呼ばれてないけど我参上!」
ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は混乱満ちるケルベロスディバイド、その大いなる戦いケルベロス・ウォーに参じていた。
「くく、この魔王ワルルーナが来たからには……」
彼女の視界には十二剣神『聖賢者トリスメギストス』によってコントロールを掌握された決戦配備の自律人型戦術兵器『セラフィム』が迫っていた。
なんか見覚えがあるような気がしないでもない。
いや、見覚えあるな。
なんか細部が諸々違う気がするかもしれないが、だいたい大枠で言えば同じである。
うん、やっぱり同じだ。
見覚えがある。
あの機械人形、なんで己に向かってきているのだ? とワルルーナは首を傾げる。
「って、そればかりかなんか一人脇目も振らずに逃げ出そうとしているではないかっ!」
ワルルーナは猟兵と『聖賢者トリスメギストス』との戦いから逃げの一手を取った再現オブリビオン、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍の姿を認めた。
背に負った黄金太陽神がぎんぎらぎんである。
めちゃくちゃ目立っていた。
逃げるならもっとコソコソしていればいいものを、とワルルーナは思った。いや、断じて己より目立っているから腹立たしいとか、そんなことはないのである。
大魔王ワルルーナはそこまで狭量ではないのだ。
「悪魔種族か紛れもなく種族としてみれば最強の部類その魔王が如何にして猟兵の力に覚醒したのかは知らないがこの状況においては最大の脅威と言えるだろうであればこれを排除しなければならない強靭な体躯に強力なユーベルコード恐らく殺しきれないのは定めであろうが」
「わー!? なんか一気に喋っておる! わっと情報を浴びせるではないわ! ええい! 味方っぽかった機械人形がくるわ、逃げ出す輩はおるは、なんかめちゃくちゃ喋るやつはおるわで、妾、ちょっと混乱しておる! そうやって妾を混乱させる算段なのだな! そっちがそのつもりならば、こっちも二人がかりよ!!」
ワルルーナの瞳がユーベルコードに輝いた瞬間、緑色の雨と津波が噴出する。
それは召喚された第二の獣たるワルレーン。
その権能によって生み出された緑色の雨と津波が『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍を襲うのだ。
「津波! 侵略を旨とする私に向かって、津波とはな! させるもの……わぷっ! なんだこの霧は!?」
「くくく、我の幻覚ブレスよ! くっくっく、ワルレーンが泣くことは止められぬぞ!」
ワルルーナの傍で人魚がさめざめと泣いている。
なんか目薬視えなくもない。
え、嘘泣き?
嘘泣きでこんな洪水めいた光景を生み出しているのか?
だが、ワルルーナはワルレーンの嘘泣きに気が付かない。
「おお、可哀想なワルレーンよ。だが、機械人形は我が使わせてもらおう! さあ、機械人形よ、本来の使命を取り戻し、あのなんか逃げようとしている黄金金ピカをぶちのめすのだ!」
ワルレーンの権能によって津波にさらわれた『セラフィム』のコントロールをワルルーナは奪い返して、ピサロ将軍にけしかける。
「そっちのなんだかクラゲかよくわからんやつは後回しにしておいてやる! くっくっく、震えて待つがいい!」
ワルルーナはそう言って『セラフィム』と共にピサロ将軍の逃げを封じるように取り囲み、これを打ち据えて盛大なる足止めを行い、ワルレーンの嘘泣き洪水でもって『聖賢者トリスメギストス』をも留めるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
龍之宮・翡翠
トリスメギストスもこの期に及んで禄でもない策を弄してくるもんだな
そして……ピサロといったか?
お前の其れは逃げた先を荒らすだけの事だろう
俺は他の世界の事は未だ詳しく無いが、そんな企てを持ってる者を黙って見過ごすと思うか
どちらかを倒すんじゃない
ピサロとやらもトリスメギストスも、どちらもこの星から退去してもらう――!
トリスメギストスの攻撃は使える技能を駆使して受け流し回避をする
それでもピサロとやら避けきれずに喰らう攻撃は漣波の礎になるから好都合だ
手数も威力も強化した漣波なら、ピサロだけでなく、トリスメギストスへも攻撃ができるだろう
お前達に、この星は、この世界は、好きにさせてなるものか――!
「この期に及んで碌でもない策を弄してくるもんだな、十二剣神『聖賢者トリスメギストス』」
龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)は状況を理解していた。
この状況。
『聖賢者トリスメギストス』にとっては、猟兵の背を取れる最大のチャンスだ。
しかし、猟兵たちは再現召喚によって呼び出された再現オブリビオン、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍の逃走を阻みながら『聖賢者トリスメギストス』に打撃を与えていた。
「目算が外れた気分はどうだ」
翡翠の言葉に『聖賢者トリスメギストス』の様子は相変わらずであった。
「むしろこうなることは予見できていたもしも六番目の猟兵たちよお前たちの中に一人でも再現オブリビオンを見逃そうと考える者がいたのならばこの状況にはなっていない我に注力するのならばそれ自体が我の窮地であるからだそうなってはいないということは状況としては最悪ではなくむしろ我の思うままであるとも捉えられる」
「減らず口を!」
翡翠の瞳がユーベルコードに輝く。
確かにピサロ将軍は捨て置けない。
あのオブリビオンは侵略を旨としている。侵略を為すためならば誇りも恥も外聞もない。ただ逃げの一手を選択できる存在だ。
それ故に『聖賢者トリスメギストス』は再現召喚に選んだのだろう。
ハッキリ言って、それは猟兵たちを苦しめる最大の一手であった。もしも、再現オブリビオンが真っ向から……それこそ『聖賢者トリスメギストス』といっしょになって猛攻を仕掛けるのならば、まだ事は単純で良かった。
一方は追い、一方は逃げる。
この状況では常に背中を取られてしまう。
「ピサロ将軍と言ったか、お前の其れは逃げた先を荒らすだけのことだろう」
「そうだ。むしろ、其れ以外の何がある? 侵略は全てを荒らす行為だ。奪い、壊し、荒らす。それだけだ。それだけのために私は生きている」
「だったら、そんなおまえたちのような存在の企てを持つものを見逃せない。どちらかを倒すんじゃない。ピサロ将軍とやら、お前も『聖賢者トリスメギストス』も、どちらこの星から退去してもらう!」
瞬間、手にした斬霊刀から放たれるのは小波のような衝撃波であった。
「しゃらくさいな! 猟兵! 逃げはするが、邪魔立てするやつを斬らないとは言っていない!」
振るわれる斬撃に翡翠は呻く。
鋭い斬撃は、苛烈であった。
速度と斬撃が噛み合うがゆえの強烈な邪剣の超高速連撃を翡翠は見ることはできなかった。それほどのそくどなのだ。
血潮が飛ぶ。
そして迫る決戦配備『セラフィム』の砲撃が肌を焼く。
痛みが走る。
だが、翡翠は構わなかった。
ギリギリだ。身を支える痛みは、己の限界を伝えている。
であれば。
「お前たちに、この星は、この世界は、好きにさせてなるものか!」
その思いは漣波(レンハ)のようにほとばしり、彼の身を削る痛みに呼応するように膨れ上がるようにして『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍を打ち据える。
どちらかではないと言った彼の言葉通りだった。
痛みによって増加し、煌めくユーベルコードは膨れ上がる斬撃のままに彼らを打ち倒すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
コントロールを取り戻した機体もあるのね
さすが、『エイル』博士だわ
でも――配下が紛れ込んでいたのは、やはり危険
警戒し過ぎかもしれないけれど……私は『エイル』博士の傍にいるわ
もし、この戦いでなにかあれば……悔いが残るもの
『セラフィム』、もしポジション・ディフェンダーが使えるならお願い
守りを、どうか手伝って
私は結界術で多層の防壁を展開、攻撃を受け止めながら
光の矢を乱れ撃ち――敵を穿つ
理を歪めてでも強者を呼び寄せる者、別の世界へ災厄を持ち込む者
どちらも……危険な存在
『祈り』では届かない、『怒り』では濁ってしまう
だから――静かに、心に炎を灯す
最後まで持ち堪えてみせるわ
「さすがね、『エイル』博士」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)の言葉に亜麻色の髪の女性『エイル』博士は頭を振った。
いいや、と。
何故なら、全ての決戦配備『セラフィム』のコントロールを奪還できたわけではないのだ。
いくつかの『セラフィム』は依然、十二剣神『聖賢者トリスメギストス』に奪われたままだ。その脅威が猟兵たちを襲っている。
そればかりではない。
再現召喚された七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍の脅威もある。
状況がよくなったとは言い難い。だがしかし、静漓は彼女の肩に手を添えた。
「コントロールを取り戻せたことは、私達の助けになっている。ありがとう」
「これでも責任者だからね。やれるだけのことはやるさ」
「……」
静漓は、その場から離れようとはしなかった。
確かに『聖賢者トリスメギストス』が呼び出した再現オブリビオン、ピサロ将軍は逃げの一手を選択肢している。けれど、多くの猟兵たちによって、これは阻まれている。
であるのならば、考えすぎであればよいが……。
「まだ『聖賢者トリスメギストス』の配下が紛れ込んでいるかも知れないわ。それは危険だということ」
「流石に敵の攻勢も打ち止めではないかね?」
「そうだといいけれど。警戒しすぎることは悪いことではないと思うの。私は、あなtなおそばにいるわ」
静漓は嫌な予感がしていた。
もしも、その予感が的中していたのならば、と考えただけで悔いが残る。
この戦いで彼女の身に何かが起これば、それだけで心が疼くようだった。だからこそ、静漓は『エイル』博士に伝える。
「コントールを奪い返した『セラフィム』……決戦配備要請は可能かしら?」
「ああ、僅かだが可能だけれど……」
「なら、ディフェンダーを」
静漓の言葉に『セラフィム』が『エイル』博士を守るように障壁を展開していく。
そのさまを見やり、静漓は頷く。
彼女のかざした手が多層の防壁の結界を生み出し、降り注ぐ『聖賢者トリスメギストス』の放つ『セラフィム』の一撃を受け止める。
軋む結界。
「我の一手を読む者がいたかやはり結束の力とは恐るべきものだこうも容易く策を失策に堕すとは思いもしなかったこの決戦配備を開発した者を仕留めるそれだけで地球の防衛力は低下するだが」
『聖賢者トリスメギストス』は見ただろう。
その一手を静漓は見事に防いで見せたのだ。
怒りが湧き上がる。
だが、静漓は怒りを収めた。
防げたことを喜ぶべきであったけれど、それでも。
「『祈り』では届かない。『怒り』では濁ってしまう」
静漓は『聖賢者トリスメギストス』を見つめる。
再現召喚は理を歪める力。
ピサロ将軍もそうだ。別世界へと災厄を持ち込む者。いずれにしても脅威であり、危険である。
祈りだけでも怒りだけでも駄目なのだ。
なら、静漓は静かに心に炎をともす光の矢を携える。
「だから――この心に灯した静かなる炎で」
持ち堪えて見せる。
その意思を宿した一射が一瞬にして二矢、戦場の空を走り『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍を射抜く――。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
(藍ちゃんくんでっすよー!
絶賛沈黙藍ちゃんくんなのでっす!
戦力分散を狙われた上に、片方が逃走に専念してるのは厄介でっしてー。
でしたら、ええ。
吸い寄せちゃおうなのでっす!
高速移動で追いかけつつブラックホール展開!
ピサロの将軍さんを吸い寄せ減速させるだけではないのです。
とっても面倒な背後からの投擲もブラホの引力のお陰で、誘導逸らす&後ろを向かずとも狙ってくる場所に目処をつけれまっすからねー。
加えて、せっかくの分裂もブラホでまとめられちゃいまっすので、拡散攻撃されずに済みますし。
将軍さんの9倍斬撃はどうしようもないので、黄金太陽神さんの輝きを吸い込んじゃって防止するのでっす!
光を吸い込むからこそブラックホールなのでっすよー!
そして!
学ぶのは聖賢者さんだけではないのでっす!
藍ちゃんくんもゾディアックさんより学んだのでっす!
ブラホ使いの藍ちゃんくんだからこその!
ガンマ線バーストなのでっすよー!
ガンマ線で思い出したのでっすが。
別世界を知る黄金の太陽神。
絶賛戦闘中ですよね?
他神の空似でっしょうかー?)
藍ちゃんくんが黙るだなんて世界の終焉なのでは!?(ワールドエンド・サアイレンス) それはそうかもしれない、と思わせる説得力があるくらいには、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の口が閉じることもなければ、舌が回らないこともなかった。
それくらいに藍はずっと歌い続けていたし、踊り続けていた。
二十四時間パフォーマンス。
フルパフォーマンスを発揮する活力は一体どこから来ているのだろうか。
無尽蔵とも言える体力。
尽きることのない愛嬌。
もしも、藍が黙るのならばそれは世界に生じた虚であるとも言えるだろう。
今まさに藍は、そんな虚をまとっていた。
藍沈黙の特異点によって生み出されたブラックホール。
それは比喩でもなんでもなかった。
放射されたブラックホールは、逃げの一手を取った七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍の体を引き寄せる。
「なんだ、このユーベルコードは! 吸引する、だと?」
藍は特別何か声を発することはなかった。
ただただ沈黙を守っている。
そう、再現召喚によって呼び出された再現オブリビオン、ピサロ将軍は厄介な存在だった。
オブリビオンと言えど、自由に世界を行き来することができる存在は稀だ。
背に負った黄金太陽神によって彼女は世界を渡り、嘗てそうであったように侵略のためだけに世界を混乱に陥れるだろう。
それは猟兵である以上見過ごせないことであった。
故に止めなければならない。
しかし、十二剣神『聖賢者トリスメギストス』は、彼女を呼び出した。
必ず逃げの一手を選択すると知っていたからだ。
猟兵たちが逃げる彼女を追わずにはいられないのならば、彼女を呼び出した時点で猟兵達の背中を『聖賢者トリスメギストス』は取れるのだ。
共に猛攻を仕掛けるのではなく、囮として使うためだけにピサロ将軍を呼び出し、その存在が真に世界の脅威となると知っていなければできない芸当であった。
まさしく宇宙最賢。
その知性に偽りなしといわしめるに相応しい策であったことだろう。
だが、藍はそんな策を塗りつぶすブラックホールでもってピサロ将軍と『聖賢者トリスメギストス』を引き寄せていたのだ。
「なるほどな考えたものだ我ら二体のどちらかを選ぶのではなく両方を引き寄せる策をとったかだがそれは同時にそれだけのことであると証明しただけに過ぎない例え引き寄せられたとて我らを同時に打倒することなどできない仮に」
ピサロ将軍の超高速の斬撃さえもブラックホールは飲み込む。
「面倒なことを! 攻撃が届かない。あくまで私の逃走を防止するためだけに費やすつもりか!」
「それも一手であると言えるだろう己だけで我らを仕留めるつもりがないのだなぜなら彼らもまた結束の力を手繰る者だからだオブリビオンや我々のように己の力のみ頼りにしていない他者の力を勘定と計算とに入れたうえで己の最善をつくすのだ」
その通りだった。
藍にとって彼らを引き止め置くことが最重要であったし、肝要であった。
そしてガンマ線バースト。
ブラックホールより放たれるユーベルコードの力は、『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍を引き寄せながら放たれている。
しかし、と藍はつぐんだ口のまま思う。
別世界を知る黄金の太陽神を名乗る存在が十二剣神にいる。
そして、ピサロ将軍の背に負った黄金もまた黄金太陽神であるという。
これはもしかして他神の空似というやつなのだろうか?
どちらにしても、今は答えがでない。そもそも質問することさえできない。
ままならないものだな、と藍は思いながらも諦めと共に己が黙ることで生み出される虚から発生するブラックホールによって二体をその場に留め置き続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
逃げる“邪剣”ピサロ将軍を、ナイトメアに「騎乗」して追いかけましょう。
地面の上では、ご自慢の『八艘飛び』も出来ないでしょう?
全速力を出させて、ピサロ将軍とすれ違い様、アリスランスで「ランスチャージ」。これで吹き飛びますかね?
一旦彼女の前に回り込めば、馬上で槍を構えて「逃亡阻止」の牽制攻撃を立て続けに放ちます。そして、彼女の脚を「影縛り」。地面に固定しましょう。
迫ってくる『セラフィム』は「対空防御」「対空戦闘」で受け流しつつ、「音響攻撃」「衝撃波」「結界術」で形成した音速の壁に類似の不可視の障壁に激突させますか。
未来なきオブリビオンが落ち延びたところで何になります? 大人しくここで滅びなさいな。
多くの猟兵達によって足止めされた七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍に迫るのは、ナイトメアに騎乗した儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)だった。
純白の白馬型来訪者。
ナイトメアと呼ばれる乗騎でもって芽亜はピサロ将軍に迫る。
「地上では、ご自慢の八艘飛びもできないでしょう?」
「舐めるな、猟兵。地上であっても私は最速だ!」
交錯する芽亜とピサロ将軍。
振るわれたアリスランスと邪剣が火花をちらしながら、二人の間に衝撃を生み出す。
交差した二人の攻撃が互いの身に傷を刻む。
「チッ、面倒な奴らばかりが来る。私は逃げの一手を取っているというのだから、さっさと逃がしてくれれば良いものを。損得勘定もできないのか!」
「あなたを逃がす損、というものが甚大だからですよ。逃がしません!」
その通りであった。
侵略のためだけに世界を渡る存在、ピサロ将軍は十二剣神『聖賢者トリスメギストス』によって再現召喚された存在である。
再現とは言え、オブリビオンであることに代わりはない。
その世界を渡る能力でもって他世界にピサロ将軍がわたってしまえば、どのような事件を起こすかなど言うまでもないだろう。
誰かが犠牲になる。
それは絶対に避けなければならないことだった。
故に芽亜は白馬のナイトメアと共にピサロ将軍を阻んでいた。
だが、次の瞬間『聖賢者トリスメギストス』より放たれた決戦配備『セラフィム』が散弾のようにパーツをばら撒きながら芽亜の頭上から迫ってきていた。
「くっ……! 邪魔立てをしないでもらえますか!」
「いいやこの場合六番目の猟兵たちよお前たちの急所は再現オブリビオンだ彼女が逃げおおせるかもしれないという可能性だけでお前たちの背後を取れる確率が上がる現に今もお前は我の攻撃を前にして防ぐだけしかできない足を止めたのはお前だけではないのだ」
その通りだった。
芽亜が第一に目標としていたのはピサロ将軍であった。
彼女を逃さないこと。
それに重きを置いていた。
故に『聖賢者トリスメギストス』の攻撃を前にして防ぐことしかできなかったのだ。
「くっ……未来なきオブリビオンが落ち延びた所で何になります?」
「侵略ができるじゃあないか。心躍る侵略がな。猟兵、お前たちは皆、世界を渡る力を持っている。だというのに、どうしてそれを己の欲望のために使わない」
欲望のままに力を振るう。
それは己達以前の猟兵達……第一の猟兵たちを覗く全ての嘗て猟兵と呼ばれた者たちのことだ。
己達は違う。
世界を守るために力を振るうと決めたのだ。
「大人しく、ここで滅びなさいな」
問答する必要性すらないと言わんばかりに芽亜はナイトメアの突進力と共にピサロ将軍に迫り、背後から迫る『聖賢者トリスメギストス』の攻撃にさらされながらも、これを撃滅することに注力するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
くそッ、片方だけでも手こずるってのに、強敵のコンビ打ちかよ。
しかもこの状況でおれたちを分断しようとか、敵もさるもの……だな。
正直二体の強敵を相手取るのは怖くてしょうがねぇけど、ここまで来たんだ。絶対に逃がさねえ……!
一人じゃ二人を同時に抑えるのは限界がある。
なら……出番だ、|錫の二十五番兵《フェモテューヴェ》!
《錫の兵隊》と二人がかりで、背中合わせになりながら同時攻撃に対処する。
おれが仕掛ける時は、《錫の兵隊》に支援してもらう。
逆に《錫の兵隊》が動くときは、おれが〈援護射撃〉とかでチャンスを作る。
勿論、どちらかがピンチに陥っているならもう片方が打開するようにする。
絶対ぇ……負けるもんか。
状況は良くなっているのか、悪くなっているのか。
鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)にはわからなかった。わからなかったが、だからといって戦うのをやめるわけにはいかなかった。
強敵が二体。
しかも、意図してのことではないが一方が逃げ、一方が追う猟兵の背中を打つというコンビ打ちに徹しているのだ。
この状況において恐怖が湧かないわけがない。
とりわけ、嵐にとってはそうだった。
「くそッ、片方だけでも手こずるってのに……!」
まるで此方を分断するかのような動きだ。
十二剣神『聖賢者トリスメギストス』は、再現召喚によって再現オブリビオンを呼び出すことができる。
本来であれば、強大なオブリビオンとの連携でもって正面から此方をすりつぶす策に出るはずだった。だが、『聖賢者トリスメギストス』は宇宙最賢。
その知性でもって、確実性を期すように逃げの一手を選ぶ、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍を召喚していたのだ。
彼女は逃げる。
以前、大いなる戦い、羅針盤戦争においてもそうであった。
彼女は間違いなく強大なオブリビオンだ。
真っ向から戦っても強敵と言える。
なのに逃げるのだ。
そこにあるのは損得勘定だけだ。
彼女にとって必要なのは侵略のみ。故に彼女は逃げようとしていた。それまでも再現されているのだ。
「だからって、ここまで来たんだ。絶対に逃さねぇ……!」
他の猟兵たちがピサロ将軍を足止めしていたのだ。
己がここで彼女をの逃がすわけにはいかないと、嵐の瞳がユーベルコードに輝く。
「……頼んだ!」
二十五番目の錫の兵隊(フェモテューヴェ)。
それが嵐のユーベルコードによって召喚された片足義足の兵士の名である。
背中を合わせる。
銃剣を手にした錫の兵隊は、義足の足で地面を蹴って迫る決戦配備の一撃を受け止めていた。
衝撃が荒ぶ。
嵐は背中を任せて、ピサロ将軍に肉薄していた。
「まったくどこまでもしつこい!」
「絶対ぇ……逃さない!」
そう負けられない。どれだけ強かろうが、ピサロ将軍は逃さない。
他の猟兵たちがそうであったように、背から『聖賢者トリスメギストス』の攻勢が迫ろうとも、彼女はのがしてはならない。
今の己たちは、一人じゃあない。
誰かがピンチになれば助けるし、己がピンチのときには誰かが助けてくれる。
相互に助け合うからこそ、このケルベロスディバイド世界の人々のように今まで生き残ってこられたのだ。
負けるもんか、という意志が嵐にはあった。
「堪えるんだ。堪えていれば、絶対状況を打開することができる。それまでおれは、絶対ぇに……!」
そう退かない。
恐怖抱いても、それでも立ち向かう意志を持ち得るのが人間なのだ。
嵐は、それを示すように瞳をユーベルコードの光に輝かせ、震える胸を叱咤激励するように叩き、ピサロ将軍へと追いすがり、その身に打撃を与えるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
クロガネ・コウサク
デバイス(f43671) コマと連携
であれば 聖賢者はわしが抑えよう。
……大事を取るのだぞ。
ディスポーザブル02【操縦】『藤甲術』
機体を藤甲で包み六腕を用いて藤の実の飛刀を【投擲】
決戦配備装甲を纏うトリスメギストス、03の行動を妨害せんとするセラフィムを投げ生やした刺突蔓で【捕縛】し妨害、装甲こじ開け破壊。
くらげよ、コマの邪魔をする事、オレが赦さん。
藤甲の防御力と、02の重力制御【推力移動】の機動力で、決戦配備聖賢者の攻撃を防ぎつつ、刃の花弁で斬り、藤の実の飛刀を追加で投げ放ち、装甲を抉りこじ開け、決戦配備聖賢者状態をはぎ取り、本体を03の砲口で捉えられるように致そう。
さぁ、コマよ!やれい!!
クロガネ・デバイス
クロガネ・コウサク(f43673) 連携
当ユニット 優先目標 七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍
【メカニック】視覚光量調整
陸戦型外殻ユニット装着ディスポーザブル03【操縦】
対消滅サイキックエンジン稼働【エネルギー充填】
外殻内蔵ビーム砲台より【砲撃一斉発射】ビーム群をピサロ将軍へ放ち、
【戦闘演算】回避機動を計算、『転送誘導弾』発動。
PSI選択 テレポート 起動
可能性のある全ての|回避先《逃げ場》へ、
サイキックミサイル転送配置【爆破吹き飛ばし】
【追撃】誘導弾追加転送連続爆破、八艘飛びを停止させ、両腕 ハンドユニットの超巨大荷電粒子ビーム5指をそれぞれピサロ将軍、聖賢者、双方へ撃ち込む。
やーーーーー!!!
迫るは決戦配備のコントロールを奪った十二剣神『聖賢者トリスメギストス』。
そして、再現召喚された再現オブリビオン、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍。
一方は逃げる。
一方は追う。
これえによって挟まれるは猟兵たちであった。
無論、ピサロ将軍をこの世界の外に逃がすわけにはいかない。再現体と言えど、必ずここで仕留めなければならないのだ。
故に『ディスポーザブル03』が立ち上がる。
「当ユニット 優先目標 七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍」
「であれば、『聖賢者トリスメギストス』はわしが抑えよう」
機械音声に答えたのは、クロガネ・コウサク(ビハインドニンジャ・f43673)だった。騎乗するは『ディスポーザブル02』。
互いにキャバリアに乗り込んだのは、このほうが連携がしやすいからであろう。
「……大事を取るのだぞ」
コウサクは、『ディスポーザブル03』の収まったユニット、クロガネ・デバイス(頭脳戦車猟兵・f43671)に告げる。
煌めくユーベルコードの輝きが、肯定を示していたのか、それとも否定を示していたのかを知ることができたのはクロガネのみであったことだろう。
『ディスポーザブル03』は陸戦型外殻ユニットを装着され、重たい音を響かせながら対消滅サイキックエンジンを稼働させ、その機体にエネルギーを充填していく。
外殻に内蔵されたビーム砲台より放たれるのは、一斉射。
逃げるピサロ将軍の背から降り注ぐビームの雨。
その中にありながらピサロ将軍は余裕を見せていた。
「ハッ、光条の雨など、この私に通じるとでも?」
加速するピサロ将軍。
そのすさまじい加速は、足止めされてなお陰りなきものであった。
そして、そんな『ディスポーザブル03』に迫るのは、『聖賢者トリスメギストス』によってコントロールを奪われた決戦配備『セラフィム』による砲撃の一撃だった。
火線がほとばしり、『ディスポーザブル03』が陸戦外殻を装備していたとしても、その走行は容易く貫通させられてしまうだろう。
だが、そこに飛び込んだのは、藤甲術(ウィステリア・アーマー)によって特殊な装甲を装備した『ディスポーザブル02』であった。
六腕を交差させ、火線を弾きながら『聖賢者トリスメギストス』へと迫るのだ。
「くらげよ、コマの邪魔をすること、オレが赦さん」
「くらげとは我のことをしめしているのだろうな確かに我の姿はくらげに酷似していることは認めようだが我の名を知るのならばその名で呼ぶがよかろう正しき知識は正しき結果を生み出すが誤った知識は誤った結果しか生み出さぬのだ」
コウサクの操る『ディスポーザブル02』から放たれた刺突蔓が『セラフィム』を捉え、大地へと叩きつける。
「問答は無用よ。お前の言葉はオレには意味がない」
更に迫る火線を防ぎながら、コウサクは己の背後にある『ディスポーザブル03』の背中を守り続ける。
「戦闘演算 ピサロ将軍の回避軌道計測終了 転送誘導弾(テレポートミサイル) 発動」
コウサクによる防御によってデバイスは、ピサロ将軍の軌道を完璧に演算し終えていた。
描く軌道は複雑だが、一定のパターンがある。
であれば、そのパターンに誘導することも可能なのだ。
問題なのは、その誘導した先にて間断なく叩き込める火力があるのかどうか、であった。
「PSI選択 テレポート 起動」
外殻に配されたミサイルがハッチを開くことなく、瞬時に内部から消えた。
そう、消え失せたのだ。
攻撃の起点すら見せぬ発射。
それが何を意味するのか。そう、サイキックによる転送。
これによってミサイルは、謂わば『置いた』状態になるのだ。そう、ピサロ将軍が逃亡する先、そのルートの全てにデバイスはサイキックミサイルを転送して『置いた』のだ。
つまり、回避すら許さない動いた先にミサイルが『置いて』ある状況。
これを持ってピサロ将軍は唐突に現れたミサイルの爆風に目を向くことだろう。
「さぁ、コマよ! やれい!」
『ディスポーザブル02』は『聖賢者トリスメギストス』に張り付きピサロ将軍へと攻撃を仕掛ける邪魔をさせない。
爆風が爆炎へと変わる頃には、ピサロ将軍は己の全てのルートが潰されていることを知るだろう。
「どんだけの物量で……だが! 切り抜けられないわけではない!」
爆炎を切り裂きながら、ピサロ将軍は飛び出す。
だが、その瞬間『ディスポーザブル03』のハンドユニットに配された超巨大荷電粒子ビームが腕部の指先の砲口から放たれる。
そも、『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍の両名に向けて、だ。
「や――!!!」
デバイスの掛け声と共に放たれた五指の光条は、正対する二体へと向けて放たれ、その身を穿つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
うおっまぶしっ!ってやつだね!
まったくーこれだからオブビリオンはー
あとまた盗られてるしー
やっぱり自爆装置って要るよね!
●目指せ!神罰覿面!編
まぶしかろうが何が向かってこようがどこに逃げようが関係ない策を思いついた!
UC『神罰』の力でギガ盛りサイズアップした[白昼の霊球]くんで一切合切まとめてドーーーンッ!!
ぶっ潰れちゃえー!
そう『敵の身体とロボットくん』以外を全て透過する[白昼の霊球]くんによる超広域プレス作戦だよ!
●あ
ロボットくんて全部盗られたんじゃなかったんだ
まいっか!
いいかい…形あるものはいつか壊れる
大事なのはそう…命
命さえ守られればなんとかなる
そう命は大事!
「うおっまぶしっ! ってやつだね! あの黄金!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は再現オブリビオンである七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍の背に負った黄金太陽神を見やり、そう呟いた。
大いなる戦いである羅針盤戦争において、七大海嘯の一人であるピサロ将軍は、『界渡り』と呼ばれる能力を持ち得た黄金太陽神を持って、逃げの一手を打っていた。
その厄介さは言うまでもない。
そして、そんな厄介な能力を持つ存在を逃がす理由など、猟兵にはなかった。
故に、この状況において猟兵達は彼女を一刻も速く撃破する必要があった。何故なら、追う背後から十二剣神『聖賢者トリスメギストス』の攻勢が迫っていたからだ。
「まったくーこれだからオブリビオンはー。あとまた盗られてるしーやっぱり自爆装置って要るよね!」
そのとおりかも知れないが、どのみちコントロールごと奪われているのだから、自爆装置がそもそも起動しない可能性だってあるだろう。
「ま、まぶしかろうが何が向かってこようが、何処に逃げようが関係ない策をおもいついたよ!」
ロニの瞳がユーベルコードに輝く。
球体を百万倍に巨大化させ、神罰(ゴッドパニッシュメント)の如き一撃を周囲に叩き込むのだ。
それは無体というか無法であった。
放たれた一撃は周囲を破壊の渦に巻き込むだろう。
「一切合切まとめてド――ンッ!! ぶっ潰れちゃえー!」
だが、その一撃は恐るべきことであるが、二体の強大な存在に受け止められてしまう。
超広域のプレス作戦。
それは確かに二体の強敵を相手取るには十分であった。
だがしかし、その一撃を受け止められない理由にはなっていない。
「逃走を許さぬのではなくただ只管に領域を広げただけかなるほどこれであれば逃げるも追うも関係ないと言えるだろうだがしかしこれを受け止められる存在であるという可能性を考えていなかったことがこの自体を呼び起こしたとも言えるだろう」
「この程度で私がやられるものか。油断などしない」
ロニは、そんな『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍を認めて、わー、と感嘆の声を漏らす。
「なんか当たり前のように防がれちゃったけど、すごいね!」
あ、とロニはそこで気がつく。
確かに決戦配備である『セラフィム』は奪われてはいたものの、全てが奪われたわけではなかったのだ。
もしかして、今の一撃で全部壊れてはいやしないか。
それはちょっと困った事態である。
「まいっか!」
よくはない。
が、ロニは頭を振る。
大仰な身振りであった。
「いいかい……形あるものはいつか壊れる。大事なのはそう……命。命さえ守られればなんとかなる。そう命は大事!」
それは言い聞かせるようでもあったし、含みをもたせるような物言いだった。
確かにその通りである。
が、ロニは背後に広がる押しつぶされた決戦配備の残骸を見なかったことにしていた――!
大成功
🔵🔵🔵
雨河・知香
ソニア(f40904)と
セラフィムのコントロールが奪われたのかい?…また?
エイル博士も頑張ってるが相手が別格、その上下準備も万全にしてるとか厄介だねえ。
…セラフィエルクスが敵に回ってるわけじゃないのは救いか。
ともかく頑張ってこの危機を乗り越えないとね!
オルテュクス搭乗。
遅れたが大丈夫かいソニア!
足止めだね?了解!そっちも突撃宜しく頼んだよ!
丁度ピサロと聖賢者両方を効果範囲に取れる位置へと移動してUC起動、おおぐま座の重力で両方を足止めしてやるよ!
逃げの一手を打とうにも動けなきゃ阻止しようとする追撃への対処も甘くなる。
セラフィムの守りはアタシじゃ崩せないが…後は頼むよ!
※アドリブ絡み等お任せ
ソニア・コーンフィールド
知香ちゃん(f40900)と!
やっぱり一人でどうこうってのは無理!
知香ちゃーんへるぷ!
オルテュクスに飛び乗り合流、体勢立て直しつつこっちが聖賢者に突っ込むから足止めお願い!と打ち合わせ。
おおぐまの星光浴びて回復しつつ熾天怪獣王プラモ取り出しUC起動!熾天怪獣王召喚して搭乗、プラモ組み込んで一気に突撃!
重力での足止めで隙ができてるからそれを利用して纏めてひいちゃう感じ。
地形に噛ませて…上手くやればトリスメギストスが纏う装甲にも噛ませて加速できるかな!
兎に角勢いでセラフィムも聖賢者もぶっ飛ばしちゃおう!
…後で修理費用高くなったらごめんね!
※アドリブ絡み等お任せ
決戦配備のコントロールを奪われることは、想定されていたことであるし、対策も取っていた。
だがしかし、十二剣神『聖賢者トリスメギストス』の策略はさらに上手であったことを認めざるをえないだろう。
『聖賢者トリスメギストス』は遥か以前からケルベロスディバイド世界の地球人類の力を評価していた。
個としての力ではなく、群体としての力。
即ち、結束の力である。
これを如何にかしなければならぬと、情報収集と工作員であるデウスエクスの潜入を数多く行ってきたのだ。
それは人類を見誤っていないからこその方策であった。
「『セラフィム』のコントロール奪われたのかい? ……また?」
雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)は何度目なのだ、と息を吐き出す。
確かに責任者である『エイル』博士の懸命さは知っている。
だが、相手が別格過ぎた。その上、下準備も万全であるのならば、打てる手立てはなかっただろう。
むしろ、半数残った決戦配備のコントロールをよくぞ取り戻せたものである。
「『セラフィエルクス』は、何処かに消えちまったって話だし……敵に回っていないっていうだけ救いか。ともかく、がんばってこの危機を乗り越えないとね!」
改造ヘリと共に知香が飛ぶ。
『オルテュクス』の眼下に、ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)が手を降っているのが見える。
「やっぱり一人じゃむりー! 知香ちゃんへるーぷ!」
「大丈夫かいソニア!」
ソニアは先んじて『聖賢者トリスメギストス』が再現召喚した七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍とを合わせてなんとかしようとしていた。
超重力で足止めはできたが、これを如何にかすることまではできなかったのだ。
近づいてきた『オルテュクス』に飛び乗ると、ソニアは知香の肩を掴んで耳元に叫んだ。
「こっちが『聖賢者トリスメギストス』に突っ込むから足止めお願い!」
「足止めだね? 了解! そっちも突撃よろしく頼んだよ!」
「お任せ!」
おおぐまの星は煌めいて(スターライト・ブレッシング)、『オルテュクス』から発せられる。
その光を背に負うようにしてソニアは飛び出し、『熾天怪獣王』のプラスチックモデルを取り出し、ユーベルコードの光を瞳に湛えた。
「コール!『熾天怪獣王』!」
その言葉と共にプラスチックモデルを核として構成された巨大なキャバリアが出現する。
「何度来た所で結果は同じだ超重力と言えど無限ではないであればこれを解析して振りほどくこともできるそもそも効果時間というものがあるどれだけ我らを足止めしようがどのみち我の策は成るただ我はお前たちを留めれば良いそれだけでお前たちは敗北にひた走るのだから」
「そうはさせないよ!」
知香が『オルテュクス』と共にピサロ将軍の眼前に回り込む。
「チッ、どこからともなく猟兵っていうのは湧き出してくる! 鬱陶しいんだよ!」
放たれる高速の斬撃。
速度に勝るピサロ将軍の斬撃は、苛烈であり『オルテュクス』の装甲をまるで紙のように切り裂くのだ。
だが、ユーベルコードの光が満ちていく。
「ぐっ……また、重力!」
「はっ、逃げの一手を打とうにも動けなきゃどうにもならないだろ! ソニア!」
「うん! 熾天怪獣王の蹂躙!(クロッシング・チャージ)」
ソニアの瞳が輝く。
『熾天怪獣王』の翼が前脚のように大地を掴み上げる。
ぎりぎりと響く音は、鋼鉄のフレームが軋む音だった。それはまるで弓の弦のような動き。
そう、己が駆体そのものを矢へと変える力。
引き絞られた翼が巨大な反発力を生み出した瞬間、『熾天怪獣王』が矢ではなく砲弾のように『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍を一線で結ぶ直線機動を行うのだ。
例え、決戦配備である『セラフィム』で防ごうとしても無駄だ。
『熾天怪獣王』の突進、その蹂躙を止められるわけがない。
「先に謝っとくね! 修理費嵩んだらごめんね!」
それは事後承諾というのだ、と知香は思っただろう。
だが、砲弾のように一直線に『聖賢者トリスメギストス』とピサロ将軍を轢殺するように加速した『熾天怪獣王』の一撃は、見事に彼らを弾き飛ばし、その強烈なる一撃でもって追い詰めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
【ダマスカス】
このフェスティバルも大詰めデスナ!
……そろそろ頃合いデスネ。OK! ここで仕掛けマース!
トリスメギストス、そしてピサロ将軍!
ワタシたちの、六番目の猟兵の力をご照覧あれ!
グリモアベースにいる戦友に救援要請!
アディリシア殿、玉明殿、ラスク殿、エドワルダ殿!
フカヒレ殿と、初対面デスガ、ウォルター殿! そして紅葉殿!
エブリワンの援護を受けて、三顧の礼!
ファルシオンを抜刀して、いざ尋常に白兵戦!
「六式武装展開、雷の番!」
気合いはオーライ! 飛翔速度も十全!
我輩自身の全力でピサロ将軍との真っ向勝負を満喫しマース!
一騎討ち?
それも楽しいものデスガ!
敵味方入り乱れる混戦もまた、エキサイティング!
アディリシア・オールドマン
【ダマスカス】
うむ。戦争か。わかった。バルタンに呼ばれて参戦しよう。
ユイミン、ラスク、エドワルダは知ってるが……他はバルタンの知己か。まあいい。
ん。ああ、賢い奴が指揮を執ってくれるならやりやすい。考えるのは任せた。
トリスメギストスに相対する。
事情はよくわからんが、力づくで押し通る。……いや、押し留めるか?
相手が巨大だからな、こちらも相応の図体が必要ということだ。
元々のサイズが桁違いだからどこまで対応できるかわからんが……だが、知ったことか。
――バシュムと比べれば柔いものだ!
決戦配備装甲、奪われたセラフィムごと、トリスメギストスの触腕を潰してやろう!
圧し折るなり引き千切るなり、やってみせる!
李・玉明
【ダマスカス】
うむ! 呼ばれて乞われたならば駆け付けるのじゃ!
バルタン、アディ姉、ラスク!
フカヒレとウォルターと、紅葉にエドワルダ!
みんな一緒に戦おう! 妾は全力で応援するのじゃー!
おっきな船の、ウォルターの甲板に乗って歌って踊って援護するのじゃ!
ケルベロスディバイドの皆の世界、好き勝手にはさせられぬ!
ここが正念場! 猟兵も、ケルベロスも! エイル博士も、決戦配備のみんなも!
この世界を守るみんな! 頑張るのじゃー!
トリスメギストスの決戦配備戦場で歌唱やダンスを妨害されては困るからの!
老君にボディガードしてもらいながら、懸命に応援を飛ばすのじゃ!
『うおおお! ユイミンには傷一つつけさせぬぞぉ!』
ラスク・パークス
【ダマスカス】
『・ω・) 流石に、グリモア縁者オールスターズは間に合わ中田ネ』
バルタン、アディリシア、玉明、エドワルダ。
フカヒレ、ウォルター、紅葉。そして私の、八名。
……直接の顔見知り。この世界に来てた人。そういう縁。
『>▽<)ノ つまりは絆のパワーってこった! ラスクちゃんも来たYO!』
キャバリアはある、ソティラス。
……トリスメギストスより、派手に輝け。ビームをガンガン。
『-ω-) その光の陰にラスクちゃんが潜むって訳さ』
私は、ソティラスに乗らず、バルタンの傍に。
……ここが援護支援にちょうどいい。
決戦配備投擲法。それが来ると聞いていた、から。
ザナドゥの暗躍。これがベスト。
『お返しするZE!』
エドワルダ・ウッドストック
【ダマスカス】
グラビティピラーは墜ち、ゾディアックも退きました。
スーパーアポロンは間に合わないとしまして。
あとはメデューサとグリモワール、そしてこのトリスメギストス!
後顧の憂いを討つのが猟兵。これ以上の犠牲を出さぬためにも、加勢いたしますわ!
寄せ集めの猟兵を統率するのは困難ですので、ざっくばらんに指示を出します!
キャバリアほか大型化できる猟兵はトリスメギストスを抑えに!
他はバルタンさんの支援を! ピサロ将軍と交戦経験があるのは、彼女だけでしてよ!
わたくし自身もカナリアに乗り、大型荷電粒子砲で攻撃しまくりますわ!
分裂して射出された決戦配備吹き飛ばし、そのまま装甲がなくなった部位を焼き払いますわ!
フカヒレ・フォルネウス
【ダマスカス】
バルタンさんとは銀行強盗やモリアーティ鍋など、幾つのもワルの共犯者でしてね。
まあどちらの野良でたまたま出くわした訳なのですが。
折角の機会です、ここでしっかりと共闘して縁を深めるとしましょう。
行きますよ、ウォルター!
作戦了解しました。
ではデカブツはウォルターたちに任せて、僕はバルタンさんを援護します。
黄駆鮫に乗って引き離されないよう追いつつ……とはいえあの高速飛翔近接戦闘に飛び込んだらミンチになりますので。
ピサロの注意がこちらに向かわないよう大人しくうろついて。
……三千邪剣世界の行使しようとする隙!
そこに鎖鮫を放って動きを封じます。
卑怯?
ははっ、聖者でも相手にしてるつもりでしたか?
ウォルター・ウェパル
【ダマスカス】
はい! フカヒレの兄貴! 喜んで参ります!
バルタン様も他の皆様も初見ですが、よろしくお願いします!
ウォルター・ウェパル、抜錨!
作戦了解です!
自分もガレオン形態に変形して巨大化しますが……今回は殲滅より防御を優先します!
UCは飛空駆逐艦光輝形態!
自分もラスク様が出したソティラスに負けず劣らず、光輝きます!
バルタン様たちへの投擲を妨げる目くらましであると同時に、自分にご搭乗なされている玉明様を保護することもできる守りです!
火器砲門は使用不能ですが……紅葉様のように、はい!
自分自身を武器として! 体当たりは可能ですね!
燃え上がるソウルをリスペクト! 突撃します! ガンガン行きます!
紅葉・紅葉
【ダマスカス】
おやおやおや!
これほどまでに大勢の猟兵の皆さんが!
地球のため、ケルベロスディバイドのために!
紅葉感激。涙がちょちょぎれるようですよ! まあ炎は出ても水分は出ないんですが。
私も微力ながら加勢します!
因縁の相手との決着、ええ、その存念わかりますとも! お届けしましょう!
というかあのピサロという方、世界間移動能力をお持ちで? ……逃がすかぁ!
機動力の速い方にはこれが効く。
サイドバイサイド・オーバーテイク!
バルタンさんでもピサロ将軍でも構いません、どちらも高速なので!
我が車輪、我が装甲!
そして我が内部に運搬しているセラフィムとのイズナをぶつけましょう!
横領? いいえエイル博士の支援です!
多くの猟兵たちが駆けつけていた。
十二剣神『聖賢者トリスメギストス』の力は凄まじきものである。
再現召喚によって召喚された再現オブリビオン、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍。
その速さと損得をこそ信条とする彼女の逃げの一手は、多くの猟兵たちを苦しめただろう。
そして、今も尚彼女は健在である。
例え、攻勢に傷ついたとしても、逃げおおせてしまえばいいだけの話なのだ。
故に彼女は傷を厭わない。
ただ只管に逃げるだけで彼女は猟兵たちを追い詰めていたのだ。
そして『聖賢者トリスメギストス』もまた同様だった。
ピサロ将軍へと追いすがる猟兵達の背中へと奪った決戦配備をもって攻撃する。
敵の力を削ぎつつ、損害を与えるやり方は宇宙最賢といわれるだけのことはある知性に裏付けされていた。
この状況であっても、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は笑っていた。
状況はよくない。
よくない……が、それでも己たちは猟兵である。
「何を笑っている。まったく理解に苦しむ連中だ。一体何が楽しくて」
ピサロ将軍の言葉にバルタンはまた笑った。
「HAHAHA! このフェスティバルも大詰めデース! そして、そろそろ頃合いデスネ!」
「何を」
次の瞬間、バルタンの背後から転移してくる猟兵たちがいた。
「援軍!?」
「事情はよくわからんが」
アディリシア・オールドマン(バーサーカーinバーサーカー・f32190)は全身金属鎧に身を包んだ体を一歩前に踏み出していた。
状況から見て、大いなる戦いであることはわかる。
だが、それだけだ。
それ以外はさっぱりわからない。周囲を見やれば、見知った顔があった。
だが、それだけだ。
他の顔ぶれはわからない。どうやらバルタンの知己であるらしいということは察せられた。
だが、それだけだ。
己がすべきことだけがわかっていればいい。
見上げるような巨大なクラゲめいた体躯……『聖賢者トリスメギストス』を前にアディリシアは事情がわからずともやるべきことは明白だと言わんばかりだった。
「力付くで押し通る。……いや、押し留める、か?」
「少々お待ちを! 寄せ集めの猟兵を統率するのは困難。ですので、ざっくばらんに指示を出させて頂いても構いませんこと!?」
その声にアディリシアは一歩進んで足を止めた。
金属甲冑の兜の奥から見える眼光にエドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)は奥せず進言していた。
そう、この猟兵たちというのは規則性がない。法則性もない。あるのは混沌めいた他種族の在り方ばかりだ。
だからこそ、エドワルダは好きにさせてはただ、散発的に敵に攻撃するばかりで効果的ではないと判断していたのだ。
ここは指揮を取らねばならない。
『カナリア』と名付けられたキャバリアに乗り込み、エドワルダは外部スピーカーをオンにした。
「よろしくて?」
「うむ! 呼ばれて乞われたのならば駆けつけるのも猟兵なのじゃ! バルタンに、アディア姉、ラスク! フカヒレにウォルターーと紅葉にエドワルダ!」
李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)はウォルター・ウェパル(船の悪魔の飛空駆逐艦・f34061)が変じた巨大ガレオン形態……即ち飛空艇の甲板上にてたち、指差し確認して転移してきた猟兵達の勢揃いっぷりに感心するようであった。
「みんないっしょに戦おう! 妾は全力で応援するのじゃー!」
「それでは、李様は応援をよろしくどうぞ! キャバリアほか大型化できる者は『聖賢者トリスメギストス』の抑えに! 他はバルタン様を支援! ピサロ将軍との交戦経験があるのは彼女だけでしてよ!」
その言葉に集った皆が頷く。
「バルタンさんとは銀行強盗やモリアーティ鍋など、いくつものワルの共犯者でしてね。折角の機会です。ここでしっかりと共闘して縁を深めるとしましょう。行きますよ、ウォルター!」
「はい! フカヒレの兄貴! 喜んで参ります!」
わりととんでもない縁であるが、フカヒレ・フォルネウス(鮫の悪魔の四天王・f31596)の言葉にウォルターは明るい声で答え、玉明を甲板上に載せて飛翔する。
勢いよく飛ぶウォルターは、飛空駆逐艦光輝形態(シャイニング・デストロイヤー)にいたり、射程外からの攻撃全ての威力を軽減する。
例え、『聖賢者トリスメギストス』が操る『セラフィム』の火線であっても100分の1にまで軽減することができるのだ。
これによってウォルターは、この一大決戦にあって不沈艦の如き鉄壁をえているのだ。
「おっきな船になれるとはありがたいの! ケルベロスディバイドの皆の世界、好き勝手にはさせられぬ! ここが正念場! 猟兵も、ケルベロスも!『エイル』博士も、決戦配備のみんなも! この世界を守るのじゃー!」
玉明のユーベルコートがウォルターの甲板上から注ぐ。
士気高揚激励舞踊(チア・フォー・ユー)は、まるで天女の舞いであった。
彼女のたおやかな白い指が宙に走る度に、光が満ちて周囲の猟兵たちに注ぐ。
その力は、不思議と指揮を高揚させ、この世界を守らねばという意志に満ちていく。
その光景を『聖賢者トリスメギストス』は見ただろう。
団結こそが地球人類の力。
個々の力は及ばずとも、一致団結によって群体となってデウスエクスを退けんとする力としている。
その強大さに『聖賢者トリスメギストス』は脅威を感じていたのだ。
「まさか猟兵たちまた団結結束の力をもっているとはなだがそれでも我の知性がお前たちを打倒せよと言っている唯一人のベルセルクとしてお前たちを打倒してこそこの知性は証明されるであれば」
『聖賢者トリスメギストス』の放った決戦配備『セラフィム』たちが火線を解き放つ。
凄まじい熱波と共に放たれる一撃は、明らかに出力を超えている。
『聖賢者トリスメギストス』によって強化されているのだろう。
その火線野中を白銀の巨神が飛ぶ。
五対の翼を羽ばたかせ、虹色に輝く羽から光条を解き放ちながら、ラスク・パークス(最後の死神・f36616)は己の乗騎である『ソラティス』と共に『セラフィム』と地合うのだ。
『・ω・) 流石に、グリモア縁者オールスターズは間に合わ中田ネ』
文字列がバイザーに表示される。
ラスクは直接の知り合いや、この世界に来て初めて知った猟兵たちを見やる。
ただのか細い縁だ。
だがしかし、それでも縁には違いない。そうした縁を重ねて紡ぐからこそ生み出される力がることをラスクは知っている。
それを人は。
『>▽<)ノ つまりは絆のパワーって呼ぶってこった! ラスクちゃんも来たYO!』
文字列が走り、『ソラティス』から放たれる光条を解き放つ。
コクピットハッチが開放され、ラスクは飛び出す。
着地して面を上げる。
バルタンの傍にたち、背中を合わせた。
「オー! これはラスク殿! かたじけない!」
『^^) 背中は任せろ!』
「負けていられませんよ、ウォルター!」
「はい! あのキャバリアの光に負けず劣らず、光り輝きます! 玉明様! 少しばかり揺れますが、よろしいですか!」
「構わぬのじゃ! みんなが頑張っておるときに、多少の揺れなどでどうじては折られぬのじゃ! それに『老君』がおるのじゃ!」
『うおおおお! ユイミンには傷一つつけさせぬぞぉ!』
巨人型宝貝であるビック・ザ・老君がウォルターの甲板上に立ち、さらに船体が揺れる。
「わ、わわ! これが燃え上がるソウル! リスペクトです!」
「おやおやおや! これほどまでに大勢の猟兵のみなさんが! 地球のため、ケルベロスディバイドのために! 紅葉間隙。涙がちょちょぎれるようですよ!」
紅葉・紅葉(歩く宅配便・f40976)は段ボールの駆体のロゴマークを歪ませていた。
いやまあ、水分はでないのが、炎は出る。
段ボールに湿気はね、ちょっとね。というやつである。
「私も微力ながら加勢いたします!」
「よろしくどうぞデース!」
バルタンの言葉に紅葉は頷く。
因縁の相手との決着。
わかる。だからこそ届けなくてはならない。
それがデリバリーサービスたる己の役目。
「ええ、お届けしましょう! というか、あのピサロ将軍という方、世界移動能力をお持ちで?」
「そのとおりデース! 今も逃げの一手を打とうとしてマース!」
「……なるほど。逃がすかぁ!」
紅葉の瞳がユーベルコードに輝く。
瞬間、紅葉の車輪が空転し、大地をしっかりと噛みしめるようにして火花をちらしながらピサロ将軍の背中を追う。
速度では当然、彼女に敵うべくもない。
だが、ジリジリと紅葉はピサロ将軍の背中に迫るのだ。
「私の速度に追従するだと? お前……!」
「そう! 機動力の速い方には、これが効く! サイドバイサイド・オーバーテイク! これが我が車輪、我が装甲! そんでもって、これが!」
紅葉の段ボールの体躯から飛び出すのは決戦配備の『セラフィム』であった。
「どこにそんなもんが収まるスペースがあった!?」
「入ると言えば、入るものです! これは横領ではなくれっきとした『エイル』博士の支援です!」
飛び出した『セラフィム』が超高速の斬撃で切り刻まれる。だが、速度が落ちた瞬間、フカヒレのユーベルコードが煌めく。
「鮫の牙から逃れられるものではありませんよ」
鎖鮫(チェインシャーク・リストレクション)は速度を落としたピサロ将軍の手足に絡みつくように食らいつく。
「クッ……卑怯だぞ!」
「ははっ、聖者でも相手にしてるつもりでしたか?」
フカヒレはこれまで機を伺っていた。
何故なら、高速飛翔の近接戦闘に飛び込んだらミンチになるからだ。であればこそ、ピサロ将軍の動きが鈍った今を取り逃がすはずがない。
「おい! そこのクラゲ! 私が捕まると面倒なことに成るとわかっているのなら!」
「言うまでもないそれは我にとっての計算のうちであるその位置角度は把握しているであればむやみに動かぬことを推奨する」
瞬間、『聖賢者トリスメギストス』の触腕がコントロールを奪った『セラフィム』を投げ放つ。
それはバラバラに粉砕されながら降り注ぐパーツの雨となってフカヒレや紅葉にへと襲いかかる。
だが、次の瞬間ラスクのバイザーが煌めいた。
ザナドゥの暗躍(リコシェ・ザナドゥ)――そう、ラスクのユーベルコードによって放たれた闇が空中で散弾のように散った『セラフィム』のパーツに絡みつき、パーツ同士を激突させ、跳弾させるのだ。
それは連鎖反応的に跳ね返り、まるで元いた場所へと戻るように殺到する。
つまり。
『お返しするZE!』
ラスクのユーベルコードによって反射された散弾が『聖賢者トリスメギストス』の身へと注がれるのだ。
揺らぐ巨体。
「今です! アディリシア様!」
瞬間、アディリシアの体躯がユーベルコードによって巨人の姿へと変貌する。
相対するは、それでも巨大な奇妙なクラゲめいた姿。
だが、アディリシアは構わなかった。
「巨大だな……だが、知ったことか」
アディリシアは構わず踏み込む。迫る決戦配備の砲撃すらもアディリシアは構わず、金属甲冑ごと『聖賢者トリスメギストス』へと組み付くように飛び込む。
「――バシュムと比べれば柔いものだ!」
振るう拳の一撃が『セラフィム』を打ち据え、そのままに『聖賢者トリスメギストス』の体躯へと叩きつけられる。
掴んだ触腕を引きずり出し、千切り、アディリシアはさらに『聖賢者トリスメギストス』を力任せにぶん投げるのだ。
「不可解このような行動を可能とする可能性について我は解答を保たない一体どこからこの際限なきエネルギーはやってくるユーベルコードであるというだけでは証明できないこの混沌の可能性は六番目の猟兵そのものから溢れ出すものなのか?我にはわからない不可解」
「わかろうとわからぬまいと、どちらでもいい! お前は此処で!」
「『カナリア』! 行きましてよ!」
その言葉と共にエドワルダは黄金のキャバリアの推進装置全てを起動させる。
噴射する光と共にユーベルコードの輝きを宿した機体が一気に『聖賢者トリスメギストス』へと迫る。
アディリシアが投げ倒した所にウォルターが己が巨大飛空艇の体躯のまま体当たりをぶち当てて、動きを止める。
「今です!」
「それー! いくのじゃー! ぶっぱなすのじゃー!」
玉明の応援を受けてエドワルダは飛ぶ。
「受けていただいきますわ!」
炸裂するは大型荷電粒子砲の一撃。
ユーベルコードの支援を受け、さらには仲間たちの助けを受けて『カナリア』の砲門から放たれる一撃が『聖賢者トリスメギストス』を穿つ。
そして、同時に。
「六式武装展開、雷の番!」
一気に勝負を決めるべく、バルタンは荷電粒子体(チャージパーティクルボディ)へと変貌する。
動きを止められたピサロ将軍。
そして、今まさに苛烈なる砲撃を叩き込まれた『聖賢者トリスメギストス』。
同時これを撃滅するには、今しかなかった。
気合と言う名のボルテージが最高潮に到達した瞬間、バルタンはピサロ将軍を視界に収めた。
「エキサイティン!」
膨れ上がった気合と共にバルタンは踏み込む。
それは動きを止められたピサロ将軍にとっては一瞬であり、刹那。
「この私が逃げに徹してなお、逃げられない、だと……?」
間に合わない。
それを悟った彼女の頬が釣り上がる。
またか、とでも言わんばかりの表情をバルタンの一撃がかき消すようにして塗りつぶし、同時に背後で『聖賢者トリスメギストス』が爆散する光景を見やるだろう。
集った猟兵たちの姿が見える。
バルタンは、彼らに手を振る。
「オー! 満喫できマシタ! 皆さん、ありがとうデース!」
その言葉に集った猟兵達は手を上げるだろう。
勝利を祝う言葉よりも、真っ先に。
それがきっと絆というものなのだろう。
『聖賢者トリスメギストス』が言ったように、猟兵の、ケルベロスの、地球人類の強みは結束。
その結束が固ければ固いほどに、個の力を絶対とするデウスエクスには負けはしない。
それを証明して見せて、バルタン達は己達の勝利を示すように振っていた手を拳に変えて、鬨の声を上げるのだった――。
大成功
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