ケルベロス・ウォー⑧〜召喚魔王、再び
「また『|私《魔王パラダルク》』が召喚されるとはな。私の力が必要か」
傍らに白と黒、二人の少女を侍らせた長髪の美しい青年――過去の『魔王パラダルク』が、巨大なクラゲのような姿をした者に問う。クラゲの中にある、目のような発光器官が光った。
「左様六番目の猟兵達の破竹の進撃は止まらぬ即ち成長し続けているなればこれを打ち破るためには時間を操り成長をも封じる者が必要自明の理である」
成長し続ける。その言葉を聞いたパラダルクはグッと拳を握りしめ、唇を噛んだ。「成長」という単語に、何か拭い去れない嫌な思い出があるように。湧いてきた感情を抑え込むように顔を上げたパラダルクの姿は揺らぎ、いつしか短髪の初老の男性へと変わっていた。
「……なるほどねぇ。そういうことなら、協力するのにやぶさかではないよ。一度猟兵に敗けた『|僕《魔王パラダルク》』にどこまでできるか、分からないけれど……リベンジといこうじゃないか」
「話が早くて助かるそれでは参ろうか」
「……ああ」
頷いたパラダルクの姿は再び、若い青年へと変わり、眼光が鋭く光っていた。
「ファッ!? まーたアイツじゃないすか勘弁してくださいよ」
グリモアを覗いた雨月・雨莉(は何もしない・f03581)が素っ頓狂な声を上げている。アイツとは? と不思議そうな顔をする猟兵達に、雨莉は苦虫を噛み潰したような表情で向き直った。
「アイツっすよアイツ。デビキンの戦争の時、碎輝狙ってきたパラダイスじゃなくて……パラダルク」
パラダルク。その名に、猟兵達の間で緊張が走った。カクリヨの竜神親分と同一人物かは分からないが、「碎輝」を探して儀式を行っていた、召喚魔王。万物を|女の子《ドラグナーガール》に変えるという彼は確かに強大すぎ、あの時倒しきれていなかったが。その魔王が、再び動き出したというのか。思わず険しい顔になる猟兵達に、雨莉はああ、と手を振った。
「いや、厳密に言うと本人じゃないんすよ。聖賢者トリスメギストスが、謎の魔術で再現召喚したオブリビオンっす」
トリスメギストスが、何故パラダルクを知っているのかは、分からない。再現体ではない、本物のパラダルクが今どこで何をしているのかも。確かなのは、猟兵達がトリスメギストスとパラダルク、2体の強大な敵を同時に相手取って戦わなければならないということ。
「再現体っつっても、強さは同じっすからね。加えて、今回のパラダルクは別に碎輝探す儀式やってるわけじゃないから……儀式ぶっ壊して勝利、っていうのも狙えないっす」
以前戦った時と、同じようにとはいかない。何より、今回はトリスメギストスもいる(※どっちかっていうとこちらが本命)。それでも、「オリジナル」との交戦記録は参考にできるはずだ。
「『過去』と『未来』の間で揺らぎ続けるパラダルクっすけど、今回は過去の……若い青年の姿で来るみたいっすね」
そうして説明を終えた雨莉は、掌の上でハート型のグリモアを煌めかせる。
「今回、本人じゃないのは残念っすけど……まあやることは変わんないっす。いずれまた本人と相見えた時の予習として……バチボコにしてやりましょう」
そう言う彼女の目は、据わっていた。
ライ麦
ライ麦です。再現体として登場するオブリビオン一覧の中にパラダルクの名前を見つけて、「えっ!? パラダルクまた出せるの!?」とトキメキました。
というわけで、再現体パラダルクとトリスメギストスの同時攻撃に対処するとプレイングボーナスがつく戦争ボス戦シナリオです。
『過去』と『未来』の間で揺らぐパラダルクですが、今回は『過去』の、つまり若い青年姿のパラダルクとの戦いになります。
それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
第1章 ボス戦
『十二剣神『聖賢者トリスメギストス』』
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POW : |決戦配備聖賢者《ポジショントリスメギストス》
全身を【奪った|決戦配備《ポジション》】装甲で覆い、身長・武器サイズ・攻撃力・防御力3倍の【決戦配備聖賢者】に変身する。腕や脚の増加も可能。
SPD : |決戦配備投擲法《ポジションスナイプ》
【侵略機動で奪った|決戦配備《ポジション》】を手または足で射出する。任意の箇所でレベル×1個に分裂でき、そこからレベルm半径内に降り注ぐ。
WIZ : |決戦配備戦場《ポジションバトルグラウンド》
全身に【侵略機動で奪った|決戦配備《ポジション》】を帯び、戦場内全ての敵の行動を【|決戦配備《ポジション》についた武装】で妨害可能になる。成功するとダメージと移動阻止。
イラスト:del
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
儀水・芽亜
……召喚魔王『パラダルク』! 私たちが戦争で唯一、討滅を目的に出来なかった相手。あの時は儀式を潰してお引き取り願いましたが……今回も彼でなく、あのクラゲの方を狙わせてもらいましょう。
「全力魔法」睡眠の「属性攻撃」「範囲攻撃」「精神攻撃」「結界術」でサイコフィールド展開!
この結界内部にいる限り、ドラグナーガールといえどもUCを模倣する間もなく眠りに落ちます。結界自体を変化させられるでしょうから、今回は結界を調整して三次元モザイクのように。変化した部分を切り捨て、すぐに次で埋める。
パラダルク氏を押さえ込めている間に、クラゲをどうにかしなければ。眠っているなら、その身体、愛用の裁断鋏で解体します!
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
|奪われた決戦配置はなぜか謎の不具合で故障、きっとグレムリンでも現れたのでしょう。《カウンター先制攻撃、回復不能攻撃、禁呪封印術、破壊工作、召喚》
パラダルク様にはで不可思議なライバル達との共闘で召喚した龍神親分に相手をしてもらいましょう。昨日より今日、今日より明日、親分なら安心して任せられるわ。
|模倣魔術《ミミックマジック》でパラダルク様の|ドラグナーガールとユーベルコードを完コピ再現して《多重詠唱、パフォーマンス、魔力具現化》|くらげさん《聖賢者》を責め立てるとしましょうか。
|えっちなのうみそおいしいです❤《欲望解放、愛を伝える、堕落、料理、大食い》
「久方ぶりだな、六番目の猟兵達よ」
戦場で待ち受けていた、長髪の美青年が駆け付けた猟兵達を冷たい目線で見やる。儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は息を呑んだ。
「……召喚魔王『パラダルク』!」
かつての戦争で唯一、討滅を目的に出来なかった相手だ。油断なく愛用の裁断鋏『Gemeinde』を構えつつ、芽亜の視線は彼の後ろ、ビル街の隙間から覗く巨大なクラゲに移る。
「あの時は儀式を潰してお引き取り願いましたが……今回も彼でなく、あのクラゲの方を狙わせてもらいましょう」
そう、目的はあくまでクラゲ――『聖賢者トリスメギストス』の方だ。再現体に惑わされてはならない。……尤も、再現体の方は見逃してくれないが。
「そうはさせない」
パラダルクがスッと手を伸ばす、それだけでトリスメギストスの防御を固めるように、無数のドラゴンの角を生やした|女の子《ドラグナーガール》の群れが出現する。パラダルクの能力は万物をドラグナーガールに変えるもの。ただそこにある風をドラグナーガールの軍勢にするぐらいお手のものだ。だが、それぐらい芽亜の方も織り込み済み。
「私達の世界で勝手はさせません!」
瞬間、鴇色の陽炎を纏ったドーム状の結界が展開される。結界に覆われたドラグナーガール達はフッと糸が切れたように座り込み、あるいは倒れ込んだ。
「ね……眠い……」
「パラダルク様ぁ、これじゃ無理ですぅ〜……」
目を擦り擦り、あくびを連発し、中には本当に眠り込んでいる者もいる。クッとパラダルクは歯噛みした。最初にこのドラグナーガール達で猟兵のユーベルコードを受け止め、模倣して返り討ちにするはずが。眠りの淵に沈めようとする強力な睡魔に襲われている状態では、ユーベルコードの発動もままならない。忌々しげに頭上を覆う結界を見上げたパラダルクの足もふらつく。さすが強大な召喚魔王だけあって眠り込むところまではいっていないが、睡魔の影響を全く受けないというわけにはいかない。しかし額を押さえ、睨み付けた鴇色の陽炎は、新たなドラグナーガールに変化する。水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇の十属性に纏わる全ては彼の手の内だ。『陽炎』も例外ではない。だがそれは芽亜も分かっていたこと。結界術も駆使して三次元モザイク状にした結界を、冷静にドラグナーガールになった部分は切り捨て、すぐに次で埋める。切れそうで切れない結界に苛立ちを見せ始めるパラダルクに、
「助太刀しようこれを使うが良い」
トリスメギストスがクラゲのような|足《触手》から大型の隔壁を射出する。侵略機動で奪った|決戦配備《ポジション》、ディフェンダーのものだろう。これなら結界も遮断できると、パラダルクはそれに手を伸ばした。
「感謝す――」
パリンと突然、射出された隔壁に大きなヒビが入る。分裂によるものではないそれに目を見開いている彼に、
「きっとグレムリンでも現れたのでしょう」
指先を向けたアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)はクスリと笑っている。ギリッとパラダルクが歯軋りした。
「貴様……!」
そうしている間にも、容赦なく圧し掛かってくる睡魔にさしもの魔王も膝を着く。トリスメギストスの巨体も、睡魔に負けて段々と潰れるように広がっていた。このままではいけないと、パラダルクは拳で膝を叩き、グッと面を上げる。
「――集え、ドラグナーガール達よ」
現れたのは、新たに発生したドラグナーガールの軍勢だ。増えた彼女達も、睡魔の影響を受けずにはいられないとはいえ、数は暴力。互いに起こし合い、襲い来る眠気を我慢しながら、何体かはどうにかトリスメギストスの元へ辿り着く。
「トリスメギストス様! 起きて!!」
クラゲの体を叩いたり、なんなら噛みついたりして必死に起こそうとする彼女達に、ハッとしたようにトリスメギストスの巨体は再び持ち上がった。
「むぅこれではいかんな」
トリスメギストスが全身に、隔壁やバリケードを帯びる。彼が眠りの淵に沈んでいる隙に肉薄しようとしていた芽亜も、突然地面からせり上がって来た壁に足を取られて転んだ。それを見ていたパラダルクの口元が残酷に歪む。勝利を確信したように。だがその時、アリスの虚影の仮身からバリッと一筋の稲光が迸った。
『昨日より今日! 今日より明日! 俺は、どこまでも強くなる……!』
お馴染みの口上と共に現れたのは、召喚したかつての|強敵《友》、竜神親分『碎輝』だ。パラダルクの目がスゥッと彼を射すくめるように細められる。
「……気に入らないな。かつて私を殺した者と、同じ匂いがする」
『そうか? まー分かんねーけど!』
碎輝が槍を振るい、巨竜型の雷電を放つ。パラダルクも雷は|女の子《ドラグナーガール》に変えることができない。まともにくらいながらも、彼の目線は碎輝に釘付けなままだ。
「かつての私と同じと思うな……ここでお前を倒す! 行けドラグナーガール達よ!」
「待て目的を見失うなお前の相手は猟兵達だ」
突如勃発したパラダルク(再現体)VS碎輝の戦いに、トリスメギストスはおろおろと触手を伸ばしたが、パラダルクは聞く耳を持たない。勝手にやり合ってる二人を尻目に、アリスはちょっと胸を反らした。
「親分なら安心して任せられるわ」
「そうですね。パラダルク氏を押さえ込めている間に、クラゲをどうにかしなければ……!」
『Gemeinde』を握る手に力を込め、芽亜はトリスメギストスの巨体を見上げる。電光石火、今度こそ近づいた彼女の裁断鋏が、トリスメギストスの触手を断ち切った。一方、アリスの方は、
「えっちなのうみそおいしいです❤」
|模倣魔術《ミミックマジック》で完コピ再現したドラグナーガール姿で、トリスメギストスにむしゃぶりつき、責め立てながらその体液を啜っていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リリエッタ・スノウ
むぅ、おじいさんになったりおじさんになったり慌ただしいヤツだね。
いろんなものを女の子にするなんてきっと変態に違いないよ。
パラダルクのユーベルコードは反射系、ドラグナーガールに受け止められないように確実にクラゲに攻撃を通さなきゃだね。
戦場を駆けまわり、クラゲが投げつけてくる決戦配備を決戦都市のバリケードや廃ビルを盾にして躱していくよ。
攪乱として二丁拳銃の銃弾を跳弾させて四方八方から2体を狙って、ドラグナーガール達の分散させるね。
防御の隙を見つけたら、相手の反応よりも早く【ピアッシング・バレット】で撃ち抜いてやるよ!
※アドリブ連携大歓迎
「僕としたことが、少々熱くなりすぎたようだね」
切り落とされたトリスメギストスの触手に若いパラダルクの姿は揺らぎ、初老の男性に変わる。トリスメギストスは頷くように頭を揺らした。
「うむ次は確り頼むぞ」
「……ああ。今度こそ、猟兵の面妖な技に惑わされたりはしない」
またも揺らぎ、美しい青年に戻ったパラダルクは再び周囲をドラグナーガールの群れに変え、猟兵の攻撃に備える。そんな二人のやりとりを見ていたリリエッタ・スノウ(ちっちゃい暗殺者・f40953)は呟いた。
「むぅ、おじいさんになったりおじさんになったり慌ただしいヤツだね。それに、いろんなものを女の子にするなんてきっと変態に違いないよ」
「何か言ったか?」
ギロリとパラダルクがリリエッタを睨む。地獄耳すぎる。彼が追いかけてくる前に、リリエッタはバッと駆け出した。パラダルクのユーベルコードは、こちらの技をコピーしてくるものだと、以前の交戦記録から判明している。迂闊には攻撃できない。小さな体で戦場を駆け回る彼女に、
「逃がしはしない」
トリスメギストスは奪ったディフェンダーの|決戦配備《ポジション》、各種隔壁やバリケード等を射出し、空中で分裂させて雨あられと降らせてくる。本来は守りのための決戦配備でも、こうして直接敵にぶつければ武器になりうる。降り注ぐ壁やその破片、瓦礫等を、リリエッタは逃げながら決戦都市に元々あったバリケードや、廃ビルの陰に隠れて躱していった。彼女の小さな体躯は、隠れ潜むには好都合だ。リリエッタの姿を見失ったトリスメギストスは腕を組むように触手を組む。
「困ったものだこれでは攻撃できぬ」
「問題ない、私のドラグナーガールに捜させよう。これだけの人数がいれば、見つけるのも容易いはずだ。行け、ドラグナーガール達よ」
「かしこまりましたパラダルク様!」
ピシッと敬礼して、ドラグナーガール達は散開する。パラダルクの言う通り、大量にいる彼女達の手にかかれば、小さなリリエッタでも見つかるのは時間の問題だろう。まして、彼はいくらでもドラグナーガールを増やせるのだ。人手は有り余るほどある。だが、思い通りにはさせない。リリエッタは物陰に隠れながら、手にした二丁拳銃を連続で撃つ。周囲はトリスメギストスが降らせた壁やバリケードだらけだ。上手い具合にそれらにぶつかって跳弾した銃弾は、四方八方からトリスメギストスとパラダルクを襲う。まだ幼いながらも、彼女のガンスリンガーとしての実力は一級品。これぐらい朝飯前だ。捜索の命を受けたドラグナーガール達とて、主の身に危険が及ぶのを見過ごすわけにはいかない。
「パラダルク様! トリスメギストス様危ない!」
咄嗟に前に飛び出したドラグナーガール達が、飛び交う銃弾に貫かれて倒れていく。パラダルクは苛立ったように歯軋りした。
「何をしている、早く猟兵を見つけろ。銃弾の軌跡を辿れば、どこにいるか分かるはずだ」
「でも、こんなにあっちこっちから飛んできてると、どこからなんてわからな――ああ、また来たぁ!」
銃弾を追い、右往左往する彼女達にもはやリリエッタを捜す余裕はない。注意が分散している隙に、リリエッタはトリスメギストスに向けて突撃銃『LC-X12 Type ASSAULT』を構えた。狙う時間もいらない。瞬時に発射された弾丸は、確実にかのクラゲの体を撃ち抜いた。
成功
🔵🔵🔴
賤木・下臈
ドラグナーガールたちが私の技をコピーし、ナンセンスな妄言を口走り始めます。これはゲロイズム侵食、つまりある種の精神汚染ですが、既に下臈である私には効果はありません。
お返しに私からも。「バイオゴリラ。ちりめんじゃこ。ぬ。オツペケペツポー。ペツポーポー。ごんずい。魚雷。士族の商法。松茸の土瓶蒸し。」
ドラグナーガールをゲロイスト化し、トリスメギストスとパラダルクを妨害します。
これで決戦配備の投擲を妨害して精度を落とし、気休め程度のオーラ等で防御してトリスメギストスに接近します。そして『グソグニル』を取り出し、無意味に明後日の方向に投げ捨てます。使いません。と見せかけてそれは旋回し、的を狙います。
|杖《その辺で拾った木の枝》をついた賤木・下臈(おいしいクッキーです・f45205)が、近づいてきていた。接近を察知したパラダルクは先手必勝とばかりにその杖および周囲の風をドラグナーガールに変える。みっちり美少女に囲まれた下臈を、パラダルクは油断なく見据えていた。この猟兵がどんなユーベルコードを使ってこようと、このドラグナーガール達で受け止め、コピーして返り討ちにしてみせると。下臈が口を開いた。
『肉。うんまいちゃん。モホロビチッチ不連続面。ンヘマヘ。にぼし。ヌヘチャイチャイ。ラブリーオッサン。ちりめんじゃこ。和の心。釜飯。』
「……えっ?」
飛び出したのは意味不明な言葉の羅列。固唾を呑んで見ていたパラダルクも思わずポカンとする。なんだ、何かの呪文か? 同様に呆気に取られていたドラグナーガールは、ハッとして姿勢を正し――。
「ラーメン! もんにょふ。へのへのもへじ。ヌペペ。オペラ……」
彼女もまた理解不能な単語を口走り始めた。やだ何言ってるの私、と言うようにバッと両手で口を押さえても、言葉は止まらない。
「バイオガス噴射。し。納豆。ヌルゥ。ハイカラ。カレー……」
「バイオゴリラ。ちりめんじゃこ。ぬ。オツペケペツポー。ペツポーポー。ごんずい。魚雷。士族の商法。松茸の土瓶蒸し。」
お返しに下臈もなんか言ってる。会話のようで会話になってないそれに苛立ったように、パラダルクが間に割って入って来た。
「なんだ、なんなんだお前達は!」
違うんですパラダルク様、と両手で口を覆ったまま目で訴えていたドラグナーガールの瞳も、だんだん下臈じみてきた。これぞゲロイズム侵食。つまりある種の精神汚染だが、既に下臈である下臈がこれをくらったところで効果はない。書いてる人も何書いてるか分かんなくなってきた。恐ろしきゲロイズム侵食。
「ええい五月蠅い気が散るわ」
トリスメギストスもイライラしたように、奪ったディフェンダーの|決戦配備《ポジション》を射出しては分裂させて投げていく。だが怒りのためか、その攻撃は精彩を欠いていた。その隙を見、下臈は、|何とも言えないオーラ《げろげろオーラ》を纏って近づく。気休め程度だが、これに辟易した敵の攻撃を防げるといいですね(願望)。なんて思いつつ、下臈はおもむろに|グソグニル《戦国時代に「加賀のオーディン」と呼ばれ恐れられたあやしき下臈が持っていた槍》を取り出し、トリスメギストスに――投げなかった。ポイッと無意味に明後日の方向に投げ捨てたそれに、
「……って使わないのかなぜ出した!」
さしもの聖賢者もツッコんだ。直後、旋回して戻ってきたグソグニルに後ろから貫かれ、トリスメギストスは前につんのめる。なんかよく分からないが、ゲロイズムの勝利らしかった。
成功
🔵🔵🔴
エリー・マイヤー
決戦配備を奪った上で、全部女の子にして再利用不可能にする。
えぐい組み合わせですね。
彼らに勝てると、自信を持って言うことはできませんが…
まぁ、これもお仕事です。
できる限り、頑張りましょう。
降り注ぐ決戦配備に念動力で干渉。
軌道を逸らして回避…
いえ、むしろ女の子にぶち当てる武器として逆利用します。
そうして敵の攻撃をいなしつつ位置調整。
なるべく多くの敵を巻き込んで【念動プレス】です。
リピートコードでコピーされても構いません。
迂闊に撃てば、イケメンさんもクラゲさんも巻き込まれますからね。
そうでなくても、女の子は確実に壊滅するでしょう。
…まぁ、そもそもイケメンさんが念動力が使えないかもしれませんが。
土嚢で作られたバリケードが、ドラグナーガールの群れに変化していく様を、エリー・マイヤー(被造物・f29376)は眺めていた。あれはきっと、元はディフェンダーの|決戦配備《ポジション》のものだろう。
「決戦配備を奪った上で、全部女の子にして再利用不可能にする。えぐい組み合わせですね」
どこか苦々しく呟きながら、エリーはトリスメギストスとパラダルクを見やる。確かに強力なコンビだ。彼女の実力を持ってしても、正直勝てると自信を持って言うことはできないが……。
「まぁ、これもお仕事です。できる限り、頑張りましょう」
淡々と言いつつ、エリーは空中で分裂し、降り注ぐコンクリートの壁を見上げた。トリスメギストスが奪い、射出したそれに手を伸ばす。エリー目掛けて落ちてきていた壁は、クッと宙で止まったかと思えば横に逸れて、その下にいたドラグナーガール達に直撃した。
「!? きゃぁあああー!」
聞こえてくる彼女達の悲鳴、断末魔。無表情のままにエリーは落ちてくる壁や土嚢、瓦礫といった決戦配備に得意の念動力で干渉し、軌道を逸らしては|女の子《ドラグナーガール》達にぶち当てていく。元よりパラダルクがそこにあったものを女の子に変えただけの存在だ。遠慮はいらない。そうして敵の攻撃をいなしつつ位置調整したエリーは、
『皆潰しです』
と【念動プレス(サイ・プレス)】を放った。
「ぐっぅ……!?」
突如襲い掛かる凄まじい高重力。とても立っていられず、トリスメギストスもパラダルクもドラグナーガール達も圧し潰されたようにその場に這いつくばる。だが、地を拳で叩き、重力に抗ってどうにか顔だけは上げたパラダルクは、苦痛に表情を歪ませながらも言い放った。
「クッ……なんという攻撃……だが、私のドラグナーガールでお前のユーベルコードはコピーさせてもらった。今度はお前がこれをくらう番だ」
「いいんですか? 迂闊に撃てば、イケメンさんもクラゲさんも巻き込まれますよ」
「……っ」
エリーの脅しに、パラダルクは唇を噛み俯く。このユーベルコードは、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃するもの。敵も味方も関係ない。パラダルクとて、召喚主たるトリスメギストスを危険に晒すことは避けたいはずだ。せっかくコピーしたユーベルコードも、これでは使えない。何もできないままに、パラダルクもドラグナーガール達もそしてトリスメギストスも、重力に潰されていく。決戦都市に巨大にそびえていたクラゲの巨体が、完全に潰れてぺしゃんこになるまで。エリーの念動プレスは続いたのだった。
大成功
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