ケルベロス・ウォー②現代のヘラクレスたちへ
●獅子を狩れとその人はいった
星空というのは、何処の世界から見ても同じなのでしょうか、とエルンスト・ノルテ(遊子・f42026)はゆるり面をあげる。今時分は昼時でそこに星を見出すことは出来ないのだけれど。
「それでいて、星と星を結んで、描いて、物語とする――見出すものは場所によって違うかもしれないが、多くの場所で共通する行動で。不思議ですね」
再び、集まってもらった猟兵たちを見るときには、もう笑っていない。
「甲冑騎士達の支援をお願いしたい」
この世界にあっては古めかしい出で立ちの力自慢の彼らが、星空より降り来た物語――デウスエクスの一体をそのまま、闘技場に押し込めていると。
「都合よく、いい場所に降りてきてくれたものです。闘技場、なるほど獅子には相応しい戦場かもしれませんね。この場所はケルベロスの皆さんが修練に使っていた場ということで非情に堅牢。周辺住民もおりませんし、倒壊などを心配する必要はありません」
さらりという。獅子、と。
誰かがなぞって「獅子……」と零すなら、ええ、とエルンストは頷いて。
「予兆の中では、甲冑騎士達に『星座獣』だとか『レグルス』だとか呼ばれていました。燃え盛る炎の、獅子の形を取っているといった方が正確かもしれません、非常に巨大なデウスエクスです。
甲冑騎士達はユーベルコードを使えぬと聞きましたが、あれだけの金属鎧を纏って、炎の化身のようなものを相手によく踏み止まっています。ですが、ユーベルコードの使えぬがゆえにこのままでは押し切られる」
押し切られたなら甲冑騎士達の命だけではすまない、甚大な動く厄災となるはずだ、と。
「私も……、まぁ随分と遠い昔ではありますが騎士として務めていた頃がありました。だから、彼らが命|賭《と》しても人々を災厄の火の粉から防がんとする志は分かるつもりです。
そして彼らは充分な実力も持っている――皆さんがユーベルコードを振るうなら彼らはあなた方につき従うでしょう。
ケルベロスディバイドに生きる彼らと共に、どうか、かの獅子を封じ、撃破して下さい」
猟兵たちへの信頼を笑顔に変えて、力強く頷くエルンストの手の内。グリモアの立方体は輝きを増して――。
「正念場の一週間。この戦い、必ずや勝って終わりましょう」
紫践
やっぱり全身鎧よ、騎士は最高なんだ。
ね。英雄ヘラクレスだって……え、獅子の衣をまとっ……!?
騎士が大好き、紫践と申します。
●しし座のものがたり。
巨大なデウスエクス一体を狩るシナリオとなります。
しし座は太陽の加護を受けるといいます。
非常に勇猛な相手かと思いますので、十二剣神ではないとはいえ、油断なくご用意下さい。
●プレイングボーナス。
プレイングボーナス……甲冑騎士と協力して戦う/巨大デウスエクスに肉弾戦を挑み、動きを封じる。
以上です、宜しくお願い致します。
第1章 ボス戦
『星座獣レグルス』
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POW : アターナト・リオンターリ
光輝く【星のオーラを纏った姿】に変身する。武器は【自身の牙と爪】しか使えないが、[自身の牙と爪]の射程外からのダメージは全て100分の1。
SPD : 獅子の狩猟
全身に【恒星の輝き】を帯び、戦場内全ての敵の行動を【爪と牙】で妨害可能になる。成功するとダメージと移動阻止。
WIZ : 星の焔
【しし座を象る爆炎】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
イラスト:朝梟
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リリエッタ・スノウ
んっ、まだまだいっぱい決戦配備を用意しなきゃなのにデウスエクスが邪魔しにきたんだね。
やってきたのは真っ赤な大きなネコ?
ネコじゃなくてライオンだったや。
リリの水鉄砲はただの水鉄砲じゃない、きちんとしたバスターライフルだよ。
甲冑騎士の人達が爪と牙での妨害を食い止めてくれているうちに【ウォーター・バレット】を発射だよ。
相手はネコだから水に濡れるのはとっても嫌がるかもしれないよ。
鳥なんとかを殺すための決戦配備の準備もあと少し。
この調子で準備を進める人達を守っていくよ。
※アドリブ連携大歓迎
禹・黄風
星の力を宿した獅子のデウスエクス…強敵ですね。
しかし強ければ強い程挑み甲斐があるというもの。
甲冑騎士の皆さんと共に打ち勝ちましょうか。
甲冑騎士と協力して戦闘、圧し留めてもらいその間にUC起動、呼吸を整え黄金の闘気を棍に練り込みます。
集中し、どう打ち据えるかに集中しつつ向こうが恒星の輝きを纏ったなら爪牙の攻撃に気を付けつつ棍で弾き防御。
移動阻止されてもあまり影響はありませんが…隙が見えたら攻撃に転じます。
超硬化させた棍を一気に伸ばして頭部を打ち据え前足を掃い、さらに鼻面を薙ぎ払うようにして叩きましょう。
…虎座はありませんが、鍛錬を積み重ねれば星の力も打ち砕けるのでしょう。
※アドリブ絡み等お任せ
レム・ワンダーフォー
おおー、あの騎士さん達なんか頑張ってるナ。
じゃあなんか応援しといてやるかー。
UC【サウンド・オブ・パワワワワー】使用
♪─おー、なんか頑張れー 大切な星を守るんだ我らの騎士団よー─
まぁまぁ、上手い伴奏と、適当に今考えたシンプルな応援の歌詞で甲冑騎士の人達を強化させて星座獣にさらに立ち向かってもらいます。
レムちゃんはー、そうだナ。甲冑纏ってないしあの爆炎でゼラチンのお肌が溶けちゃいそうだナ。
遠くから見守って応援&指示
大切なものは自分の手で守るものだZE!多分。
ユーベルコードの強化は入れ続けるから。
賤木・下臈
しし座が太陽の加護を受けるというのなら、雲を呼び、日光をやわらげ、雨を降らせましょう。天気を変える程の力は私の歌にはないので、偉大な歌人の力を借ります。
「この見ゆる 雲ほびこりて との曇り 雨も降らぬか 心足らひに」(万葉集、大伴家持)
ついで氷の矢を四方八方十六方から射かけます。
「|獣《しし》あれば 一つ二つに 四つ八つと |氷柱《つらら》数へて |十六《とをあまりむ》つ」
これで食らい足りないようでしたら、さらに|三十二《みそあまりふた》つ、|六十四《むそあまりよ》つとご馳走します。
甲冑騎士には獅子が逃げ回らないように抑えていただき、爪と牙も防いでいただきます。
川村・育代
拡大で相手と同じサイズになって獅子の狩猟で向かってきたところを捕まえて幼女バスター(幼女式ブレーンバスター)や幼女ドライバー(幼女式パイルドライバー)等のプロレス技を食らわせるわ。
巨大な相手でもこちらも同じ大きさになればイコールコンディション。
本来ならヘラクレスに倣って絞め技で仕留めるべきなんでしょうけど、あたしは絞め技は得意じゃないし、高熱を放つ相手に絞め技はかけたくないしね。
掴んでから仕掛ける技なら動かないから移動阻止も関係ないしね。
高熱を放ってる相手だから全身に水を被って熱対策はするけどあまり長くは持たないだろうし、できるだけ手早く片付けるようにするわ。
●英雄の|ε・ζ・η・π《キーストーン》
その戦いは先に主題の謳われる、詠まれる――そんな風にして、始まった。
「おおー頑張ってるナ!」
騎士の奮戦を|視認《みと》めた現代の吟遊詩人は、リュートを鳴らし英雄譚を謳いあげる代わり、手作りのニッケルハルパの鍵盤をリズミカルに押し込み始める。爪弾かれる弦。弾む音。戦場に満ちる金属の打ち合うような音、獅子の咆哮のなかにあって、今はまだ、レム・ワンダーフォー(レムチャンだZE☆👊🏻 ᷇ᵕ ᷆ )・f41690)の耳と心を震わせるだけの音。そこに添えられる右手の弓。
(あの爆炎でゼラチンのお肌が溶けちゃいそうだナ)
ガムゴム人たる彼女はだから敢えて突出はしない。乙女たるものお肌トラブル厳禁っ……明るい彼女に聞くなら動機を笑ってそう嘯いたかもしれないけれど、冷静な猟兵としての彼女は自身の突出が他のものの負担となる事を理解している。
誰よりも獅子から遠く、そして防衛の最終ラインとなるだろう闘技場の入口でその目にしっかと戦場を捉え――|弓《・》が独特な鍵盤の弾むリズムに合わせ引かれるなら、どこか哀愁感じられるバイオリンに似た深い響きと、反して踊りだしたくなるような鍵盤の独特の調子が不思議と|重なり合う《・・・・・》。
♪~おー、なんか頑張れー
大切な星を守るんだ我らの騎士団よー
旋律に載るのは、レムちゃんの即興詩だ。獅子の咆哮に負けぬ|チカラある音楽《ユーベルコード》に、『なんか』とつけてしまう少しの照れくささと――偽りない、大事な|言葉《メッセージ》を乗せて。
そして音は甲冑騎士たちと|重なり合う《・・・・・》。
届く音楽に心強い|猟兵《ミカタ》たちの到来を知る、砕けた言葉に力みが解ける、刻むリズムが疲れた足に軽やかさを思い出させて。
振り下ろされる獅子の足爪、その圧力に、力みの消え俊敏に応える騎士たちの数名が滑り込み、踏み込んで、斬り上げる。
そのようにして、押し留めるなら。
――この見ゆる 雲ほびこりて との曇り
独特の語尾の延ばしと抜けてゆく音は波のように。男の声が戦場を貫く。獅子狩りの英雄に釣りあうだけの、そう、歌仙とまで顕彰されし古人の歌。賤木・下臈(おいしいクッキーです・f45205)の喉を経て、こちらも素朴な雨乞いの『|希望《うた》』は今、力もて雲を呼び――。
「雨も降らぬか 心足らひに」
雲は陽光と獅子の絆を断ち、僅かに翳るその恒星の輝きと、それ以上の成果――心満たすまでと降り来る雨が甲冑騎士達の鎧を冷ましていく。立ち上る蒸気、鎧なりに彼らの技能技術もあったろうとは思えど、それにしたって拷問のようだったろう中、焼き死のうとも一矢を、と立ち続けた剛毅果断。
そうとも、一矢――いや。
「|獣《しし》あれば 一つ二つに 四つ八つと |氷柱《つらら》数へて |十六《とをあまりむつ》」
雨が充分に騎士を癒し、獅子を弱らせたなら、歌仙に続けとばかり戦場に響く現代の歌人。
詠まれる歌はその背に矢束と具現し、賤木もまた、|弓《・》にその矢を番えて。獅子の火勢を弱めんと解き放たれる氷の矢は|幾重《・・》にも。
「いっけぇいけいけ―♪」
(大切なものは自分の手で守るものだZE!……多分!)
「足りませんなら。|三十二《みそあまりふたつ》、|六十四《むそあまりよつ》……」
(彼らこそは、この|戦場《いくさば》の|要石《・・》――)
二つの弓に、加護を、助力を受けた騎士が、遂に、獅子の爪を跳ねあげる。
レムは、賤木は、選んだのだ。
地上の英雄たちと力を|重ねて《・・・》、この強大な獅子を狩ること。
いや、それを選んだのはこの二人だけではなく――。
●地に描くその|星座《ヘルクレス》を
――逸る気持ちを押さえ、整える呼吸。
心の地平、音もないような静けさと、全身を震わすような猛りが同居する矛盾した一瞬。練り上げられた気は、目に見えるシの色となり、虎の脇に挟み込む棍に絡み、広がり、覆っていく。
「……よく、堪えてくれました!」
騎士の反撃にぐらつき持ち上がる前足の裏を、主の心に応えて伸びた棍が打ち据える。更に持ち上げようという魂胆。
気迫充分、整った禹・黄風(武の頂を・f40009)が、全力を振り絞った騎士と入れ替わる為に最前線へ出ようというなら。
「リリの水鉄砲はただの水鉄砲じゃない」
その声は感情のあまり滲まなくて、それに何より――まだあどけない少女のもの。リリエッタ・スノウ(ちっちゃい暗殺者・f40953)だ。
獅子を円形取り囲むようにしていた甲冑騎士の一人が、突如聞こえた幼い声色に驚き視線を落とすなら、少女は己の身の丈と変わらぬのではというような、長い銃身の水鉄砲を構えて。
「いって」
視線に気付いても見上げ返すこともないぶっきらぼうな言葉――銃口から放たれるものに先んじて獅子を射抜くその視線の強さに、『理解』した騎士たちが武器を構え禹を援護せんと駆け出す。
禹の元へ駆けつけた騎士たちが、水を嫌した獅子の足が再び大地を踏もうとするその爪を|強力《ごうりき》で妨げるなら、下がる巨大な頭、その鼻先を棍が強かと打ちつける。
虎の|棍《キバ》が砕く、暴虐なる空の百獣の王を支える星々の|一《いち》。
「かえせかえせー♪ あとちょっとー♪」
白熱の展開にレムの鍵盤はリズムを早める。騎士たちよ、踏ん張って、と。
「――ウォーター・バレット!」
衝撃がリング状に広がる一瞬、パァンと弾けるような音が戦場に響く。
音の壁を越えた証と共に、獅子の胴と結ばれる一条。リリエッタが測ったタイミングで、神をも斬るという圧もって水は放たれる。
先のリリエッタの弾丸が横から貫ぬく胴。
ぐらり傾いた獅子の体、浮わつき再び上がる前足――禹は見逃さない。己を軸に回す三節棍。獅子が支えとしている左足を、描いた輪の分の力を載せて、外から内へと払い込む!
「……虎座はありませんが」
積み、重ねる。鍛錬を、攻撃を――虎の|棍《キバ》が星座と列せられる王に喰らいつき砕くのは支える星々の二。
そして揺らめく獅子の巨体が、闘技場の中央へと体を横に倒れこんだその一瞬。
「あ」
気付いた騎士が思わず手を伸ばすも、騎士と見えた少女の間に獅子の圧倒的な巨体が挟まって見失う――慌て駆け出そうとした騎士が、え、と顔を上げたのは、急な陰りに気付いたからだ。
再び慈雨か、と見上げた先に、彼女はいる。先ほど獅子の体の向こうに見失った、少女が。
「巨大な相手でもこちらも同じ大きさになればイコールコンディション」
でしょ?
――明るい声色は、その大きさから発せられるという物理を無視して、見上げる者の心に寄り添う優しい色だ。川村・育代(模範的児童・f28016)。子供達の為のバーチャルキャラクターは今、肉体的には最も獅子に近接し、そして心をこの場にいる全ての者に寄り添わせ微笑む。
自分たちの住む世界を守らんする騎士の心に、
彼らと心と技を重ねて戦う仲間の戦意に、
決戦配備を配し、必ずやデウスエクスを討ち果たさんとする総意に。
「本来ならヘラクレスに倣って絞め技で仕留めるべきなんでしょうけど」
川村が、起き上がらんと少し身を浮かせた獅子のその隙間を捉え抱えあげる――小学生が猫を抱えて猫が腹をだらりと晒すような光景に少し、ほんの少しだけ。
(やっぱり赤いねこちゃんだった)
(次は猫の句でも……)
思うリリエッタが放つ通常の勢いの水に、賤木が再び古の名句を重ねる中で、抱えた川村はブリッジするように後ろに倒れこみ、まずは一回。|幼女バスター《ブレーンバスター》が決まった。
(水があるなら、絞め技でも、よかったかな……?)
いやいや、プロレスなれば決めた通りの技順が大事。容赦なく再び捕まえた獅子に掛けられる|幼女ドライバー《パイルドライバー》!
サイズ感を除けば川村がトスンッと座ったかのように見えるその攻撃は、だが、闘技場を大きく揺らす。
それはプロレスらしく、|星を散らせる《・・・・・・》には、十分すぎる衝撃だった。
●
救われた騎士たちは礼をいう。
そして、大きな学びとなったと感謝する。
「互いに研鑽を忘れなければ、再びお会いできる日が来る――それもきっと、近いうちに」
そんな気がしてなりません、と、騎士に応えて禹が微笑む。戦闘中とはうってかわった柔和さで。
「再会の喜びを歌と詠めるなら、楽しいでしょう」
賤木がいえば、えー! パーティーするならレムちゃんも呼んでよネ☆ と楽師がニッケルハルバを鍵盤で爪弾き続く。
「そのためには……この調子で準備を進める人達を守っていくよ」
(鳥なんとかを殺すための決戦配備の準備もあと少し。)
場を引き締めるのは、リリエッタ。油断なく次の戦場に備えるように、別な銃を手にとる、その子どもの手を見る川村の一瞬の真摯な眼差しも、直ぐに笑顔に変わる。
大きく頷いて、元気一杯。川村はガッツポーズと共に皆へ告げた。
「さぁ、いこうっ! 勝って終わる為に!」
そして、地上の英雄達はそれぞれが次の戦場へと――。
大成功
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