ケルベロス・ウォー⑫〜意識の海より逆流する想起せし強者
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それは突如として空に浮かび上がった。ビル街よりもはるかに巨大な体躯を誇るその存在は、まるで線が集まった人型のような姿をしていて、それでいて、底知れない恐怖が存在していた。
――『神経樹』グラビティ・ピラー。
地球よりグラビティ・チェインを吸い上げ数多の宇宙の――といってもケルベロスディバイド世界のだが――デウスエクスに供給する『宇宙の神経』の具現化。その――ごく一部。
それはただ、厳かに、神の宣告のように語りだす。
「癒やし合い、伝え合い、振る舞い合う……生命とは何と醜きものか。吾は生命の醜さに耐えられぬ」
それは、猟兵達の積み上げてきたメディックの|決戦配備《ポジション》の否定に始まる。
「吾が求むるは強者のみ。そして強者とは、不滅のデウスエクスに他ならぬ。
寄り添わねば生きられぬ生命は、断じて強者ではない」
それは『仲間』というものの否定。確固たる単としての強者の要求。
「吾こそが、地球よりグラビティ・チェインを吸い上げ全宇宙に供給する、『宇宙の神経』そのもの。
この姿は、諸君ら生命に知覚できる限界範囲に過ぎぬ。本当の吾の姿は、この星はおろか、いかなる銀河、星団よりも大きい。『|永遠回廊《グラビティ・ゲート》』を破った所で、吾を滅ぼす事などできはしないのだ」
己を紹介することは即ち、単としての|己《グラビティ・ピラー》の強さを見せしめることに外ならず。
「良い機会だ。醜き生命を、吾が直々に根絶してくれよう」
――宣告。
吾は神経樹グラビティピラー。此の星からグラビティ・チェインを奪う、諸悪の根源である。
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「なんかやけくそに規模のデカい敵が出てきたけど……」
そう始めた水島・可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)。
「ただ、現地民が奴直々に根絶されるなんてのは、こちらからしても許せるものではない。もっとも、|みんな《猟兵達》なら、きっとどうにかしてくれると思うけど」
――そも、猟兵達の方がきっと単としての力は上だろう。少なくとも一般の現地民よりはグラビティ・ピラーもやる気を出してくれるかもしれない。
「ここを攻略してさらに別の戦場への道を開くのもありだろうし、それにこういう奴ほどビッグマウスだろうしね」
そう、こんなでかいこと言って猟兵達に潰されてきたことがこれまで何回あったことか!
「なわけで、一応組織は『高難度依頼』に認定したみたいだけど、まあいつもの有力敵との戦いって感じで、頑張ってほしいんだ」
そう言うと可奈はグリモアを展開する。
「戦いは佳境へ迫ってくる。ここが正念場だ――頼んだよ!」
――嫌な予感がする。内心そう思っている、が。それでも可奈はグリモア猟兵として、それを表情に出さず送り出すのだった。
●
猟兵達の向かった先の空に浮かぶグラビティ・ピラーの巨大な姿。
「ほほう……吾の前に立つ諸君らは少しは強き者と見える」
グラビティ・ピラーのヘイトが猟兵達へ向く。今、一つの決戦が始まる――!
――数秒で終わった。
グラビティ・ピラーから伸びた神経樹が猟兵達の神経へ、精神へ入っていく。それらは容赦なく、ただ機械的に、猟兵達の精神を完全に掌握してしまった。
あまりに一瞬の出来事に、精神も掌握されてただ倒れるしか|できない《許されない》猟兵達にグラビティ・ピラーは容赦なく言い放つ。
「『グラビティ・ダウン』の前には諸君らも耐えられないか。所詮は……」
幻滅したかのように出ない嘆息をするグラビティ・ピラー。
「なんの強者でもないただの醜き生命よ――消え去れ!」
殺意。死を待つばかりの猟兵達。瞬間――精神の奥底の記憶が弾ける。それは神経樹を通り、猟兵達のココロを通り――そして――。
それらは、オブリビオンとして――猟兵達の前に顕現した。
結衣謙太郎
全世界決戦体勢、発動せよ!
結衣(戦争モード)です。
こういうの、ワクワクしない?
以下詳細。
●メイン目標
任意の『過去の強敵』を使い、十二剣神『神経樹グラビティピラー』を討滅する。
●章構成
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「ケルベロス・ウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
ロケーションは市街地。
その辺のビル街とかの市街地を想定してください。遮蔽物とかも探せばあると思います。
この戦いでは、猟兵達は動けません。オープニングの通り、『グラビティ・ダウン』なるユーベルコードに精神や神経掌握されてやられました。ただしそれの影響か、記憶の奥底からかつて相対した『過去の強敵』がオブリビオンとして出たので、これを使って戦おう――そういう展開です。
オブリビオンは各猟兵の意思の通り動きます。会話も可能ですし指示通りに戦います。
繰り返しますが、猟兵自身は動けません。戦うのはオブリビオン達です。ラジコンとかをイメージしてください。多分そんな感じです。
●備考
プレイングはオープニング公開後から受け付け開始します。
ただし全採用できない可能性がある点、ご了承ください。
オーバーロードは納期の都合により後回しになる可能性もあります。
このシナリオは高難度依頼、かつ有力敵決戦依頼です。
判定がいつもより少し辛くなります。ご注意ください。
強者を仲間とし、絶体絶命に立ち向かえ。
以上、プレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『十二剣神『神経樹グラビティピラー』』
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POW : 受容せよ。グラビティ・チェインは吾が力でもある
【濃密なグラビティ・チェインの霧】を最大でレベルmまで伸ばして対象1体を捕縛し、【重グラビティ起因型神性不全症(寿命削減)】による汚染を与え続ける。
SPD : 受容せよ。神経樹は宇宙を覆い尽くしている
【天空から降り注ぐ神経樹の槍】【建造物から生える神経樹の槍】【大地から生える神経樹の槍】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ : 受容せよ。デウスエクスこそが到達点である
視界内の任意の全対象を完全治療する。ただし対象は【神経侵食】に汚染され、レベル分間、理性無き【暴走デウスエクス】と化す。
イラスト:hina
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
儀水・芽亜
……ふ、ふ。どこかで訊いたような口を、叩きますね。
自分も、その『生物』だと言うことを……忘れた言い草です。
なればこそ、この場にあるべき存在は一つ。
来たれ、帝竜『女禍』!(POW判定)
『女禍』、あれはただ生きている以上に不老不死であるそうですよ。
あなたの生命鏖殺思想の対局にあるのではありませんか?
それなら、やることは一つですよね? わたしたちより先に、あれから滅殺してください。
霧に囚われ動けなくなろうと、あなたには関係ないでしょう? オブリビオンは寿命もありませんし。
抗体霊波光線を、あれにたっぷり浴びせかけてくださいな。
死と共にある抗体ゴーストの在り方で、薄っぺらい不老不死を無に帰してください。
「……ふ、ふ。どこかで訊いたような口を、叩きますね」
グラビティ・ダウンを受けた猟兵達の前に時間差で顕現していくオブリビオン達。その後ろで真っ先に声を出したのは儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)。
「自分も、その『生物』だと言うことを……忘れた言い草です」
――グラビティ・ピラーが生物かどうかには諸説あれど、目の前にいざ聳えるその姿を『生物』と考えることは何ら不思議でもない。
なればこそ、この場にあるべき存在は一つ――彼女の無意識が呼び出したのは、最近蓬莱島に出現した帝竜――。
『何故抗う、生命よ! 我らオブリビオンこそがこの世界の真なる主!』
その名を『女禍』とする、帝竜が一だった。ただ早々に三つ巴と誤解したかこの言い草だが。記憶の中の存在だからこそか、あるいは。
「『女禍』、あれはただ生きている以上に不老不死であるそうですよ。あなたの生命鏖殺思想の対局にあるのではありませんか?」
『――』
「それなら、やることは一つですよね? わたしたちより先に、あれから滅殺してください。
抗体霊波光線を、あれにたっぷり浴びせかけてくださいな。
死と共にある抗体ゴーストの在り方で、薄っぺらい不老不死を無に帰してください」
女禍がゆっくりとグラビティ・ピラーの方を向く。
『何故だ、その言い草からして吾とは話が合いそうな気がしたのだが』
『戯け、不老不死で「未来」を無限に持つ存在など我にはおぞましき不確定要素でしかないわ』
女禍の宝珠より光が放たれる。グラビティ・ピラーの発生させた霧の一部が触手のように女禍を襲う。霧と光線が交差し、両者が相討つ。
『小癪な……!』
『濃密なグラビティ・チェインの中では重グラビティ起因型神性不全症相まり動けまい。そのまま寿命を減らしただ死ぬのみ』
『……死、だと?』
光線を受けても意にも介さないようなグラビティ・ピラーの言葉に、霧に囚われた女禍が目を光らせる。瞬間、光が一段と強くなり再びグラビティ・ピラーに再び襲い掛かった。まるで逆鱗に触れたかのように。
『過去と死は、既に確定したものであるが故に、絶対の概念である! 我は既に|死した存在《オブリビオン》、死という概念を迎え、超えた我に寿命など存在しない!』
『なん、だと……!?』
確認だが、ケルベロスディバイドの敵たるデウスエクスは『オブリビオンではない』。即ち、オブリビオンならよくあるような知識とかすら、彼らにはないのもさもありなん。
『汝に力あらば、そのおぞましき肉や意思を捨て、オブリビオンとなることもできように、それをせずして我らに勝つことなど出来ぬ』
――下らぬ児戯を辞め、潔く死を受け入れよ!
想定外の存在の降臨は、統括者たる十二剣神との戦いの始まりを告げるものとしては十分だった。
成功
🔵🔵🔴
リリエッタ・スノウ
むぅ、リリが倒れたら過去のオブリビオンが出てくるんだね。
変態なビルシャナとかがやってくるのかな?
目の前に顕現したのはプロフェッサー・モリアーティ。
幼女を付け回していたやつだね。やっぱり変態だったよ。(変態ではないと否定するプロフェッサー)
それじゃあ、【プロフェッサーズ・クエスチョン】でリリ(プロフェッサー)から質問。
もうすぐお前は永遠に死んじゃうけどその原因を答えてだよ。
んっ、自分が死ぬなんて思ってないし、みんなの協力をバカにしてたから答えられないよね。
満足な答えは返ってこないだろうから、ポーシュボス・フェノメノンが延々と食いちぎっていくよ。
※アドリブ連携大歓迎
「……むぅ、リリが倒れたら過去のオブリビオンが出てくるんだね。変態なビルシャナとかがやってくるのかな?」
リリエッタ・スノウ(ちっちゃい暗殺者・f40953)が考えていたのはそんなこと。そういえば『向こう側』の彼女は……ゲフンゲフン。ビルシャナどこ行ったんだろうね。
果たしてそんなビルシャナが顕現したのか、リリエッタは目線を大地から目の前へ持ち上げていく――1人の異形のヒトガタの姿があった。
――プロフェッサー・モリアーティ。獣人戦線はクロックワーク・ヴィクトリア最高司令官にして――。
「幼女を付け回していたやつだね。やっぱり変態だったよ」
『お嬢さんそんなことはあるまい、計画のためであって決して変態ではないのだよ』
「んっ、変態はみんなそう言うんだよ」
『これは手厳しいな』
「後で蹴られたくなければ奴に『聞く』んだよ」
『やれやれ、|彼女《ギガンティック》といい、どうして私に関連する者は気が強いんだろうな』
笑みを浮かべるその背中より彼に存在する触手――ポーシュポス・フェノメノンがグラビティ・ピラーに襲い掛かる。眼前数多を埋め尽くすグラビティ・ピラーの顕現させた槍をかいくぐり、それらはグラビティ・ピラーを締め付ける。
『計画通り。お嬢さん、「質問」は何だったかな?』
「んっ、もうすぐお前は永遠に死んじゃうけどその原因を答えてだよ」
『――とのようだが、さて、どんな答えを出す?』
『永遠に死ぬ? 吾にそのようなことなどありえない。グリモワールに言われても尚信じられないだろう。なぜなら吾は宇宙の神経そのもの、諸君らに完全に知覚することなどできないからだ』
堂々と答えるグラビティ・ピラーにモリアーティはじっと纏わりつく己のポーシュポス・フェノメノンの様子を見ている。
『ふむ――20点ってところか』
モリアーティがそう判断した理由、それは、ポーシュポス・フェノメノンがグラビティ・ピラーを食いちぎりだしていることが分かったからだ。質問に満足な答えが得られない限りポーシュポス・フェノメノンはグラビティ・ピラーを食いちぎり続ける。それがこのコードの力。
「んっ、自分が死ぬなんて思ってないし、みんなの協力をバカにしてたから答えられないよね」
グラビティ・ピラーは愚かである。自身の生還、勝利を誰よりも信じ、単としての強さに奢り、他者の協力を無為と罵り、それ故に己に待ち受ける|永遠の死《グリモアエフェクト》も知らないのだから! 嗚呼、奴の言う通りグリモワールの力があればまた違っていたのだろう、だが聞いたところで荒唐無稽と突っぱねるに違いない。愚か、どこまでも愚か――!
……だが、食いちぎられながらも平然と存在し、態度を崩さないグラビティ・ピラーのその立ち振る舞いは、確かに強者のそれである。それは確かな事だった。
成功
🔵🔵🔴
マウザー・ハイネン
いきなり酷いですね。なら此方も酷いのを呼びましょうか。
…世界の恥を晒すようで少々嫌な気はしますが、この敵と意気投合はまずあり得ませんし。
召喚するのは|ラハム・ジ・エンドテイカー《スリーピング・ビューティ》。
言葉をかけるとすれば…あの変な樹?は色々勝手に収奪してきたようですよ。
…貴女のものになるかもしれなかった世界から。
発破になるでしょうか。
ともかく|隕石《メテオスウォーム》とかで戦って貰います。
神経樹の槍は数が多いですが…エンドテイカーで繰り返せば突破は可能。
あの強欲、勝利を諦めない漆黒の意志を打ち砕く事は叶わない…神経樹ですら。
不倶戴天の敵でもそこは確信していますので。
※アドリブ絡み等お任せ
「いきなり酷いですね」
マウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)が真っ先に感じたのはそれだった。一瞬で終わる戦い、動かすことの許されない体、圧倒的な理不尽。
――だからこそ、なのだろうか。つい、『彼女』が出てきてしまったのは、それに応じるような酷さが欲しい、と無意識に願ってしまったからなのだろうか。
圧倒的な異形の竜にして、その身を薔薇に纏わせた|彼女の世界《エンドブレイカー!》の大きな恥。意気投合などまずありえない究極のナルシスト。
――|ラハム・ジ・エンドテイカー《スリーピング・ビューティー》。
自身こそ世界の全てと信じてやまない究極の悪。
眼前にそれが、降臨していた。
(彼女の事です、勝手に放っておいても暴れるでしょうが……万一があると厄介だ、声をかけておきましょう……話通じるかわかりませんが)
辛うじて動かせる口を開き、言葉を投げつける。
「……スリーピング・ビューティー。あの変な樹? は色々勝手に収奪してきたようですよ……貴女のものになるかもしれなかった世界から」
『ほう? 私の世界から勝手に色々奪ったあげくに挨拶もなしとは、貴様命が惜しくないようだな?』
『吾にはわかる……汝は相当な単としての強者、他者を拒み己のみで強く在り続ける吾の求めた理想の在り方を持つ者……どうだ、汝もデウスエクスに』
『断る』
答えは無数の隕石で返された。
『私こそが世界の全て。貴様の配下なんかに堕ちる気はない。例えそれが宇宙なるものの神経が相手であろうと、私よりもさらに巨大であろうとも!』
『……ならば吾の力を見せることでその意志を砕くとしよう』
グラビティ・ピラーが無数の槍をそこら中に顕現させる。それらがスリーピング・ビューティーもマウザーも狙う――命中。かくも凄惨な光景となる。
『口先だけ……その程度か』
幻滅したかのようにグラビティ・ピラーが別の猟兵に目を向け――
『言っただろう? 私こそが、世界の全て。私に勝てるものなど、この世にありはしないのだ……!』
『――!?』
グラビティ・ピラーは驚愕した。なんと、観測した状況と今が全く異なっている。槍は全て薙ぎ払われたように撒き散らかっており、マウザーらにダメージはない。それどころか降り注ぐ隕石が自らに命中し続けている……まるで自分が次どうするかが見えているかのように!
これこそ、奴の持つ『エンドテイカー』の力……やり直しの力。今の姿となったことでその力はかなり抑えられてるようだが、それでも攻撃を受けた結果をやり直すのには十分……!
(あの強欲、勝利を諦めない漆黒の意志を打ち砕く事は叶わない……神経樹ですら。不倶戴天の敵でもそこは確信していますので)
|彼女《スリーピング・ビューティー》の在り方をよく知る、味わっているマウザーだからこそ、拳を、剣を、コードを交えたからこそわかるそれがあった。
どうやら、味方にしたら相当強い存在を、奇しくも自分は呼び出してしまったらしい――!
成功
🔵🔵🔴
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
絶華(f40792)さんと。
さぁて、今回はナニが出るかな?む、これは蒼汁アジュール。蛍光ピンクのスライムドリンク状の自動式|霊薬《ネクタール》ね。過去の強敵がシナリオだけとは言われてない。ほぉら、いーとみぃ❤と鳴きながら神経樹に迫っていくわ♪
そして、絶華さんのハッピーチョコツリーと悪魔合体こんごともよろしくしてしてハッピーチョコアジュールツリーになったわね。
味覚がなくとも概念的に魂が抜けそうで抜けない、いっそ抜けた方が幸せな宇宙的狂気な味を喰らえ❤神経で直接味わう気分はいかが?狂気や気絶で逃げることも許されないわよ?
|魂猫保《ごにゃーぽ》♪
ビリー・ライジング
【ライジング兄妹】
『過去の強敵』:
「闇の救済者戦争⑳〜社長女王大統領 オールトンチキ総進撃」
より『祈りの双子』……が召喚した|化け物《トンチキ》
おい、聴こえてるか?
ハッキリ言わせてもらうが、このままじゃ勝算はない。
……あるだろ。俺の記憶の奥底から出てきたのなら『アレ』が。
うるせぇ! あんな生意気野郎にまともな強敵をぶつけるより、
意味の分からない|強敵《トンチキ》をぶつけて、
混乱させる方が勝算があるとみた! イイから呼べ!
「「アッハイ」」
お前が戦うのは祈りの双子じゃない……この|化け物《トンチキ》だ!
訳が分からない? 俺も分からないから問題ない!
銀河や星団よりも大きい? トンチキはそれも上回る!
皇・絶華
同行
アリス(f05202
おお!お前こそ我がぜっちゃんチョコの素ざ…ぐわーっ!
過去の強敵
神経樹?
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=61454
「吾はハッピーチョコツリー…宇宙にぜっちゃんチョコを齎す神経樹…ピラ」(語尾ぃ!)
SPDUCでぶすぶす(ぜっちゃんチョコ付)
「おお…!青汁は健康飲料…ピラ。今こそ更に健康ツリーに至る時…ピラー!」
地獄の融合!
「受容せよ。ぜっちゃんチョコ青汁は宇宙を覆い尽くす…ピラー。貴様も吾と融合し全宇宙…全世界にぜっちゃんチョコ青汁を提供し…圧倒的なパワーを宇宙に満たすのだ…ピラー!」
チョコ青汁をあらゆる部分にねじこみこみ
ミリィ・ライジング
【ライジング兄妹】
『過去の強敵』:
「闇の救済者戦争⑳〜社長女王大統領 オールトンチキ総進撃」
より『祈りの双子』……が召喚した|化け物《トンチキ》
まさかあなた達のことを思い出すなんてね。
あの時、正直言ってあなた達の印象、覚えてないのよね。
|あんな者《トンチキ》の対処で手一杯だったし……。
ヴァルヘイム(val):……『アレ』呼んじゃう?
ヤコブ―(jac):あの双子は十分強力です。あれだけで十分かと。
val:でもボコボコにされてたじゃん。『アレ』の方がいいって。
jac:『アレ』は危険すぎます! この状況の収拾がつかなくなりますよ!?
val:むしろそれ狙いなんだけど。絶体絶命を乗り越えるのはあくまでオマケってことで。
jac:これはネタ依頼ではないのですよ!? 『過去の強敵』があんなトンチキなど一蹴されかねない!
val:あーいう|真剣《シリアス》な奴ほど、|意味不明な物《トンチキ》には弱いんだって。
……よし、呼ぼう!
もうこうなったら、どうにでもなれ!
トンチキの恐ろしさ、その身を持って味わいなさい!
正直に言えばグラビティ・ピラーは相当な強さである。ここまで2度のオブリビオンによる攻撃を受けてなおも平然としているところからもそれは読み取れよう。
そんな中でライジング兄妹――ビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)とミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)が無意識より呼び出したのは、ダークセイヴァーのオブリビオン・フォーミュラ、『祈りの双子』だった。
……なぜか震えているのはさておき。
他方、皇・絶華(影月・f40792)の前に出たのは――なんとグラビティ・ピラーそのもの! グラビティ・ピラーにはグラビティ・ピラーをぶつけるんだよ! と言わんばかりにグラビティ・ピラーの|別の部位《別シナリオ》の経験から生まれたとばかりのそれ。
……だったら、まだましだったのかもしれない。
「吾はハッピーチョコツリー……宇宙にぜっちゃんチョコを齎す神経樹……ピラ」
「「何その語尾ぃ!?」」
ライジング兄妹がハモった。
「だんだんトンチキが出てきたわね。このシナリオもネタ堕ちするかしら? 多分このグラビティ・ピラー、あの時のよね?」
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)!? 知ってるのかこいつを!?
「知ってるも何も、一緒に宇宙の狭間へと消し飛ばされたからね……」
遠い目をするアリス。でもあれはある意味自爆に近いんじゃあ。
「細かいことはいいのいいの❤ さぁて、今回はナニが出るかな?」
と、アリスも何が出てたんだろと視線を走らせてみると、なんかめっちゃピンクの奴が……
「む、これは|蒼汁《アジュール》。蛍光ピンクのスライムドリンク状の自動式|霊薬《ネクタール》ね」
そんな敵いたっけ?
「過去の強敵がシナリオだけとは言われてない」
言ってないけどさぁ!
「ほぉら、いーとみぃ❤ と鳴きながら神経樹に迫っていくわ♪」
こいつもこいつで鳴き声ぇ!
「おお……! 青汁は健康飲料……ピラ。今こそ更に健康ツリーに至る時……ピラー!」
カモーンとばかりに受け入れる構えのハッピーチョコツリーに|蒼汁《アジュール》が全身をMIX! なんかどこかのホーリーな魔法少女が変身する時みたいな感じでハッピーチョコツリーと蒼汁アジュールは悪魔合体した!
「吾、ハッピーチョコアジュールツリー。今後ともよろしく」
『……吾、あんな風になってた部位あったのか?』
「あら、セルフケアもできてないなんて、大きすぎて全身気にする余裕はないのかしら?」
『! そ、それは……!』
痛い所を突かれたグラビティ・ピラーがたじろぐ中、ライジング兄妹はハッピーチョコアジュールツリーを見て動かせない体で作戦会議。
「おい、祈りの双子、聴こえてるか?」
震えてた双子がライジング兄妹の方を向く。
「ハッキリ言わせてもらうが、このままじゃ勝算はない。だが……あるだろ。俺の記憶の奥底から出てきたのなら『アレ』が」
『『そ、それは……』』
めっちゃ痙攣した祈りの双子。なんかトラウマでもありそうな。
「……『アレ』呼んじゃう?」
「あの双子は十分強力です。あれだけで十分かと」
「でもボコボコにされてたじゃん。『アレ』の方がいいって」
そう、祈りの双子が震えてたのは『アレ』へのトラウマがあったからだった。ちなみに今話してるのはミリィのコードで出た謎の兄弟だ。名をヴァルヘイムとヤコブーという。
「『アレ』は危険すぎます! この状況の収拾がつかなくなりますよ!?」
「むしろそれ狙いなんだけど。絶体絶命を乗り越えるのはあくまでオマケってことで」
祈りの双子めっちゃ震えてます。あとオマケ扱いにしないでくださいかわいそうなのでグラビティ・ピラーが。
「これはネタ依頼ではないのですよ!? 『過去の強敵』があんなトンチキなど一蹴されかねない!」
「あーいう|真剣《シリアス》な奴ほど、|意味不明な物《トンチキ》には弱いんだって」
視線がハッピーチョコアジュールツリーを向いた。そもそもあれが存在する時点で猟兵の記憶の中にトンチキにやられたグラビティ・ピラーがいる証である。多分。
「……よし、呼ぼう! もうこうなったら、どうにでもなれ!」
「っし、というわけで頼むぞ」
『『……いや……いや……!! もうあんな目にあうのは』』
「うるせぇ! 聞いてただろ今の話! あんな生意気野郎にまともな強敵をぶつけるより、意味の分からない|強敵《トンチキ》をぶつけて、混乱させる方が勝算があるとみた! イイから呼べ!」
『『アッハイ』』
あまりの勢いに圧された祈りの双子が血を贄として召喚をする。すると出てきたのはなんとめちゃくちゃに煩い巨大ロボット! コクピットにだれかヒトガタの姿がいるのだが、ロボ自体の姿はかのデビルキングワールドが魔王の1人アイスエイジクイーンとフィールド・オブ・ナインの1人たるプレジデントとあとなんか煩そうな女性の3つのドヤ顔が真正面を向いて合体ロボめいた姿をしてるまさに異形のトンチキ……!
「……あれ? 変な取り巻きは?」
「なんか炒飯ジャグランツとかバグパイプパンジャンドラムとかいたよな?」
『『……血が足りない……』』
往時やられたロボのビームに震えながら祈りの双子が言及。祈りの双子が全力で往時の召喚をできたのはあの場にダークセイヴァーで流された全ての血が集ってたからである。今のこの戦場は、まあそこかしこの戦いで血は流れているだろうが、流石に往時には及ばない。故にこの程度が精々だった。一番強いの呼べただけでまあよしとしよう。
「グラビティ・ピラー、お前が戦うのは祈りの双子じゃない……この|化け物《トンチキ》だ!」
『いや訳が分からないのだが強者なのかこれは?』
「俺も分からないから問題ない!」
開き直ったー!?
「銀河や星団よりも大きい? トンチキはそれも上回る!」
「トンチキの恐ろしさ、その身を持って味わいなさい!」
頭痛くなりそうな叫び声と共にトンチキロボ、グラビティ・ピラーに向かい発進! ちなみにどんな叫び声かというとですね。
\デスワァァァァァァァァ!!/
\チャーハン!!/
\How do you like me nooooooooooooow!!/
\オーッホッホッホッホッホッホ!!/
こんな感じです。大音量で。頭痛くなるわ色んな意味で!
「あら、いいトンチキね」
トンチキ評論家アリス!?
「とはいえこっちも負けてないわよ、さあ覚悟はいいかしら?」
「全力で味わうがいい、我がぜっちゃんチョコの素ざ……ぐわーっ!」
おい召喚主に叛逆したぞこのツリー大丈夫か!?
「受容せよ。ぜっちゃんチョコ青汁は宇宙を覆い尽くす……ピラー。貴様も吾と融合し全宇宙……全世界にぜっちゃんチョコ青汁を提供し……圧倒的なパワーを宇宙に満たすのだ……ピラー!」
絶華をぶっ飛ばした大量の槍(ぜっちゃんチョコ製)がグラビティ・ピラーに襲い掛かる! というかグラビティ・ピラーも大量の槍を放ってるからどれがこっちのかわかんねえ! いやどっちも当たるとマズいけど!
『ぜっちゃんチョコ青汁……それを蔓延させれば……他を必要とせぬ強者になれるのか……?』
こいつさあ、生命醜い、協力する姿嫌、個としての強者こそ良き、って思考でそれでいて機構的神様的存在だから、真面目に考えちゃうのよねこういう事。これ人間に強制注入すれば思い通りの他を使わない強者になってくれるのかとか。
「おお! 興味あるのか! では早速味わってみるといい! そうだ、あそこに試しに相応しそうなロボがいるぞ!」
『あの訳分からない奴か……』
グラビティ・ピラーが注目したのはライジング兄妹の呼んだトンチキロボ。
『ならば気が変わらないうちに早速味わう……ピラー!』
「味覚がなくとも概念的に魂が抜けそうで抜けない、いっそ抜けた方が幸せな宇宙的狂気な味を喰らえ❤」
『むぐっ!?』
強制注入。注射のように、もしくは触手のようにあらゆる部分にハッピーチョコアジュールツリーのチョコ青汁を槍を介して注入していくハッピーチョコアジュールツリー。
『ぬおおおお!?!? こ、これは……!?』
凄まじい感覚がグラビティ・ピラーのあるかわからない体を駆け巡る。ポーシュポス・フェノメノンとかとは違う意味で比較にならない、なんだこの感覚は!
「神経で直接味わう気分はいかが? 狂気や気絶で逃げることも許されないわよ?」
唐突だが、『ウォー・アイ・満漢全席!』というユーベルコードをご存知だろうか。『手持ちの食材を用い、10秒でレベル×1品の料理を作る。料理毎に別々の状態異常・負傷・呪詛を治療する』というコードだ。アリスが今回持ち込んだのはランダムにコードが発動するが必ず有効利用できるタイプのコード。それで選ばれたのはこれだった。
――そう、ハッピーチョコアジュールツリーがあれば大量の|料理《ハッピーチョコアジュール》を作り、グラビティ・ピラーに|狂気や気絶で逃がすことを許さない《状態異常を治療する》ことは容易!
『おおおおお!?!?!?』
「|魂猫保《ごにゃーぽ》♪」
「ふふん、ぜっちゃんチョコのすばらしさに思わず声が出てるようだな!」
ライジング兄妹の呼んだ祈りの双子が『『なにあれ……こわ……近寄らんとこ……』』みたいな感じで逃げ出そうとしてるんですが。
\デスワァァァァァァァァ!!/
あっ、トンチキロボ忘れてた。グラビティ・ピラーがこれじゃあ試し打ちできないじゃん。あ、トンチキロボ、グラビティ・ピラーに肉薄したついに……めっちゃ殴ってる……なんかたまに炒飯出てるけど……
「おいしい」
「おいしいな」
「おいしいわね」
「おいしいな!」
『おいしい……ピラー!』
お前も食ってるのかよ! 猟兵だけならいざ知らずお前もか!
『ここにぜっちゃんチョコ青汁をひとつまみ……ピラー!』
やめろ混ぜるな危険が!
『出来上がったこれが食べ物版ぜっちゃんチョコ青汁……ピラー!』
『ふぐおおおお!?!?!?』
やめて! もうグラビティ・ピラーの精神力はほぼゼロよ!? というかグラビティ・ピラーがこんな形で|再起不能《リタイア》なったらあのトンチキロボどうやって止めるの!? このままじゃグラビティ・ピラーが消えてもあれが残って大惨事よ!? 祈りの双子はもう知らないっていうか近寄りたくない感じ出してるし!
「トンチキだから仕方ないな!」
「トンチキだから仕方ないわね!」
君達が実質呼んだんだろどうにかして!?
「仕方ない、ではこの前はできなかったBattle96の奴を」
それ見たんだけど、取り巻きは移動と通常攻撃しかしてないしボスは重力しか使ってないしそもそもアリスの分の召喚もう終わってるのよね。
「ならば来るがいい、サートゥルヌス!」
神機持ち出すなー! カオスがもっと広がるわ!
『照れちゃうなー☆』
そっちは呼んでねえ! 帰れ! そもあんた来てないだろ!
「……こうなったら……」
「……うん……」
ライジング兄妹は共に同じことを感じた。
トンチキにはトンチキをぶつけるしかない。
ミリィが逃げ出そうとする祈りの双子に目線を向ける。ビリーが続けて目線を飛ばし圧を出す。
『『……うぅ……』』
哀れ祈りの双子はサクサクサクサクと自傷し始めた。少しでも血を増やしてどうにかしようと。そうして再びの祈りの双子による召喚で出てきたのは、唸りを上げるバグパイプと共に地表を爆走する無数のパンジャンドラム! 2つのグラビティ・ピラーに猟兵達に無数のパンジャンドラムに煩い謎のトンチキロボ、もう戦場はカオスな事になっていた。もうビルシャナのせいにして終わりたいくらい。でもビルシャナはいない。だから。
「一回全部ぶっ飛ばせ!」
パンジャンドラム達がトンチキロボに激突して大爆発した。
「……爆発オチとかサイテーよね……」
ミリィが煙の中でそう呟いた。
「……そうだ、グラビティ・ピラーは!?」
トンチキロボにかまけてたが本題はグラビティ・ピラーである。煙の晴れた先を見ると。
『吾は……吾、は、グラビティ・ピラー……ハッピーチョコアジュール……グラビティ・ピラー……ハッピーチョコアジュール……ピ、ピ、ピピピピピ……ラー……』
「なんか壊れてる!?」
「ふむ、効きすぎたかしらね」
「私のぜっちゃんチョコのおかげだな!」
「私の|蒼汁《アジュール》のおかげね」
「……」
「……」
ちょっとそこで剣呑な雰囲気出さないでください。
『はっ……吾は一体何を! そうだ、吾は宇宙を覆いつくす神経……吾がこの程度でやられるはずがないのだ……ピラー!』
「「いや抜けきってない!」」
ライジング兄妹のツッコミが綺麗にハモった。
大成功
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久遠寺・遥翔
出たな、グラビティ・ダウン
何度喰らっても自分自身でどうにかする手段は思いつかねえ
けどこっちが動けなくなるのは織り込み済みだ
その代わりに戦ってくれる奴がいる
出てきな、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』(闇の救済者戦争⑱〜剣魂一擲)!
「我らが惑星には何人たりとも近づかせない」んだろう?
目の前にいるのはまさに悪となりて邪となりて今この惑星を侵す者だぜ!
刺さってる小剣でUCを増幅できたはずだ。使えそうならこれも使え
使用するUCはインフェルノファクター・フェノメノン
ダウンしている俺達猟兵をしっかり守るように立ち塞がり、
燃え盛る地獄で襲い来る無数の槍ごと神経樹を焼き尽くすんだ
(出たな、グラビティ・ダウン……何度喰らっても自分自身でどうにかする手段は思いつかねえ……けど、こっちが動けなくなるのは織り込み済みだ……その代わりに戦ってくれる奴がいる)
幾度も|別部位《別シナリオ》に挑んだ久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)だからこそ、グラビティ・ダウンのこともその先に起きることも察しが行っていた――対策法までは未だ、確立できていなかったが。その代わり。どういう風に『呼び起こせば』いいかはある程度のノウハウがあった。
――思い浮かべ呼び出すは、自分達を|この世界《ケルベロスディバイド》へと導いた、1つの|現象《フェノメノン》。
『――――――――!』
大きな遠吠えと共に現れたそれは、闇の救済者戦争で姿を見せた禁獣『ケルベロス・フェノメノン』!
「来たな……! 『我らが惑星には何人たりとも近づかせない』んだろう? 目の前にいるのはまさに悪となりて邪となりて今この惑星を侵す者だぜ!」
『無論だ! 悪となりて邪となりて、我らが惑星に到達するデウスエクス、そして十二剣神よ! この場で討滅してくれる!』
願ってもない存在に気合十分のケルベロス・フェノメノン。猟兵達を護るように立ち塞がると、遠吠えと共に放たれた|炎のように燃え盛る『地獄』と化す弾丸や爆風《インフェルノファクター・フェノメノン》がグラビティ・ピラーをその生み出した槍ごと容赦なく襲っていく。
と、放たれる炎と共にドロップした何かに、グラビティ・ピラーは驚きを隠せなかった。
『|小剣《グラディウス》……!? 汝、なぜ汝がそれを……!?』
勿論再現体のオブリビオンなだけあり、今回のドロップする|小剣《グラディウス》は|再現された偽物《イミテーション》だ。だが、倒れた遥翔のかつてケルベロス・フェノメノンからドロップしてテイクアウトした本物の|小剣《グラディウス》が、共鳴するように、あるいはかつての主を見つけたように遥翔の元からケルベロス・フェノメノンへと向かっていき、ひと刺さり。
『――――――――!!』
遠吠えと共に空気が唸る。映像表現であれば画面全体が揺れているかのようなその強い遠吠えと共に、|小剣《グラディウス》で増幅されたケルベロス・フェノメノンの力がグラビティ・ピラーの作りし槍を尚も強く燃やしていく!
『全ての元凶の一つ、グラビティ・ピラー! 我らの怒り、憎しみ、世界を超えて尚存在し続けるこの力、その身でしかと味わえ!』
グラビティ・ピラーが幾度も辺り一面を槍で染めれば、それを燃やすケルベロス・フェノメノンにより幾度も辺り一面が地獄のような炎に包まれる。最早増幅も込みで思い入れのありすぎるケルベロス・フェノメノンの力は、炎と樹というのもあってなのかもしれないが、グラビティ・ピラーに対して特攻すぎた。『地獄』の炎がグラビティ・ピラーを包む。その身が強く焼けていく。その中でグラビティ・ピラーは察した。
『そうか――汝、ケルベロスの――』
何か知らない事実でもありそうな感じに遥翔が耳を貸そうとするが、グラビティ・ピラーは何もそれ以上は言ってくれない。
『――だが、吾を倒したところで、別の部位が存在する! 吾は「宇宙の神経」そのものであり、今見える姿は諸君ら生命に知覚できる限界範囲に過ぎぬ! 本当の吾の姿は、この星はおろか、いかなる銀河、星団よりも大きい! 吾を滅ぼすことなど、不可能だ!』
『――ならば、滅ぼしきるまで何度でも何度でも殲滅しよう! 我が「ケルベロス・フェノメノン」として在り続ける限り!』
――おおおおおおおおっ……!
声にならない叫びを上げながら、グラビティ・ピラーはケルベロス・フェノメノンの炎に焼かれその身を燃やし尽くし、消滅していった。
――1つのカラン、という遥翔の|小剣《グラディウス》の落ちた音が、大いなる存在との戦いの終わりを告げた。
空が、覆いつくされたグラビティ・ピラーから解放され元の青空を取り戻す。
グラビティ・ダウンにやられた猟兵達も術者であり掌握をしているグラビティ・ピラー本人が消えた事でしばらくすれば影響から解放されるだろう。
オブリビオン達はいつの間にか消えていた。役目が終わると早々に骸の海に帰っていったのか、あるいはケルベロス・フェノメノンの凄まじい攻撃に皆やられていったのか、あるいは……
ともあれ、大きな強敵の1つを倒した猟兵達。
次の敵を目指し、また一つ小さな歩みを進めていくのだった。
大成功
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