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ケルベロス・ウォー⑦〜ジャッジメント・オブ・スター

作者：椿油

●美しさは技から
　この短時間で、ここまで見事な『｜決戦配備《ポジション》』を組み上げるとは！
　私達デウスエクスの強さは、私達が永遠不滅である所に大きい。
　だが地球人類のこの強さは、決してグラビティ・チェインの豊富さが所以ではない。
　彼らの強さの所以が『心』であるとするならば、私達の非道が、彼らをより強くした面もあるのだろう。

　私達は死ぬ訳にはいかない。だがそれは、全滅する訳にはいかないという意味だ。
　全力を尽くして尚、万一にも敗北、あるいは死を喫した時の為に……。
　ゾディアック・ドームの中で育んだ『ゆりかご』を、密かに撒いていこう。
　ゆりかごの子供達は、僅かなグラビティ・チェインでも生きて行けるように調整した。あとはゆりかごの存在が露見せぬよう、私の擁する最も美しいユーベルコードにて、目眩ましといこう。

●グリモアベース
「と言って、最も美しいユーベルコードという物を十二剣神『黄道神ゾディアック』は使って来るようです」
　グリモア猟兵のスリー・サクセス（猟兵サポート型AIプログラム・f34842）はグリモアのバーチャルビジョンで十二剣神の姿を映した。

「天空の美しき星々がもたらす『ガンマ・レイ・バースト』を浴びて強化されたゾディアックのユーベルコードは知性や精神の有無を問わずあらゆる生命体と無機物を魅了する為、通常の手段でゾディアックを傷付けることは不可能です――が、『ゾディアックの攻撃よりも美しいユーベルコード』をお持ちの方ならゾディアックに傷を付ける事が可能です。どちらが美しいかは、美しき星々が判断するそうです」

　審判を務めるのは星々。｜ゾディアック《黄道十二宮》の名にふさわしいと言えよう。
「それでは皆様、美しき星々がうっとりするようなユーベルコードでの対決をお待ちしておりますね」
　グリモアでの転移を開始した、サクセスだった。

第1章 ボス戦 『十二剣神『黄道神ゾディアック』』

POW   :    ｜三裂せし射手座の矢《サジタリウス・トリフィド》 【分裂を繰り返す星光】で射抜いた対象を【天より降り注ぐ射手座の光矢】で攻撃し、着弾点からレベルｍ半径内の仲間を【ピンクと青の星光】で回復する。 SPD   :    ｜牡牛座の超新星《クラブ・パルサー》 【頭上全てを覆い尽くす超新星の煌めき】を披露する事で【白き光を纏う星神】に変身し、戦場内の敵全てを攻撃する【中性子線】を降らせる能力を得る。 WIZ   :    ｜地を睨む水瓶座の神瞳《ヘリックス・ネビュラ》 偽物の【「神の目」とも呼ばれるヘリックス星雲】を創造し、戦場上空に浮かべることで、【滅びをもたらす銀河光】による連続攻撃能力と超再生能力を得る。 イラスト：稲咲 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「あなたの願いは正しいものだ。その美しい輝きがそれを証明している」
　ハルは十二剣神『黄道神ゾディアック』へと向いて喋る。
「けれどその手段は受け入れられない。だからより大きな輝きで乗り越えて私達は生きる」
『ふむ……ならばやってごらんよ。さぞかし美しいのだろう？』
　十二剣神『黄道神ゾディアック』もそれに応えて分裂を繰り返す星光を降り注がせる。

「刮目せよ星々よ。降り注ぐガンマ・レイ・バーストよ。我が手に星の聖剣、全ての光をその身に集め、究極の光として輝かせるもの」
　UC《境界・七星極光》をハルが発動させると、天より降り注ぐ射手座の光矢と天に輝く美しき星々の光を吸収し、辺りを暗闇に染める。

『なっ……』
　そして、放たれる星光の斬撃はとてつもなく眩く光り、十二剣神『黄道神ゾディアック』にダメージを与えて行く。十二剣神『黄道神ゾディアック』は今光っていないのだから、美しき星々の審判も即座に降りたのだ。
　――この審判、ハルの勝利である。

『吸収するか……その手があったとはね』
　あまりにも眩い斬撃に腕を顔に当てながらも、十二剣神『黄道神ゾディアック』は悔やむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「ああ、美しい星空です」
　エリーは上空の星々を見つめた。
「美しさでこの煌めきを超えろとは……まったく、無茶を仰いますね。いいでしょう。ならばこの造られた美貌をもって、星々を魅了してみせましょう」
『ふ、やってみせるんだ猟兵。この眩さに勝てるとは思えないけれど』

　十二剣神『黄道神ゾディアック』が頭上全てを覆い尽くす超新星の煌めきを放っている間、エリーはUC《寵姫の顔》を発動して、美しき星々に魅惑の相貌を魅せる。
「目を逸らしちゃダメですよ」
　美しき星々はエリーのその魅惑にうっとりと釘付けだ。

『ほらこの輝き……何!?　美しき星々がこちらをまるで見ていない!?　くっ、こうなったら……』
　白き光を纏う星神に変身し、中性子線を降らせる十二剣神『黄道神ゾディアック』。その間に念動力で思いっきり絞るように潰していこうとするエリー。出来れば中性子線を喰らいたくないが、美しき星々を魅了し続ける為には必要な犠牲だ。

『うぐ……痛い！　審判すら掻い潜るとは……！』
　審判を放棄した美しき星々は、中性子線を多少浴びたエリーをなお、評価し続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「むぅ、みんなが決戦配備を用意してくれたからこっちの任務にきたけど、美しいユーベルコード？　ターゲットをやっつけるのに美しいとか必要なんだね」
　リリエッタは顔を傾けて訝しむ。
『ああそうだ猟兵。美しさが無ければ私には勝てない！』

「(難しいけど、お星様が判定するなら同じお星様の方がいいのかな？)」
　十二剣神『黄道神ゾディアック』が超新星の煌めきを披露し、白き光を纏う星神に変身して中性子線を降らせていく。
　それに対しUC《リリ式スターゲイザー》を発動したリリエッタは、中性子線を【ジェットエアシューズ】のジェットと速度マッハ5.0以上の流星の煌めきを放ちながら躱していく。

　その光景はまるで天の川。足場にはキラキラと輝く星のエフェクトがリリエッタへの審判をアシストする。重力を宿した飛び蹴りの軌跡が十二剣神『黄道神ゾディアック』へとぶつかって行くと、後ろへと吹っ飛ぶ十二剣神『黄道神ゾディアック』。

『な……中性子線より流れ星の方が綺麗だとでもいうのか……降らせるのは彗星の方が良かっただろうか』
　審判はリリエッタの勝利だ。のけ反った姿勢からゆっくりと戻りながら、十二剣神『黄道神ゾディアック』は悔やんだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「ユーベルコードの美しさですか。天空の星に判定してもらうといっても……いえ、やるしかないのです」
　望は、念動力で自身の衣服である【神果・スピリチュアル】を覗いた装備武器を十二剣神『黄道神ゾディアック』へと飛ばした。
『ふむ？　何をする気だ？』

　「神の目」とも呼ばれるヘリックス星雲を発生させ戦場上空に浮かべた十二剣神『黄道神ゾディアック』は望の行動を様子見する。

　UCの射程圏内に入ったのを確認すると、UC《フローラ・テンペスタ》を発動した望。装備武器は無数の赤と白のアネモネの花びらへと変わり、戦場を覆い尽くすように花畑が広がり、十二剣神『黄道神ゾディアック』とヘリックス星雲を削っていく。

『な……美しき星々は花びらを選んだというのか!?』

「滅びをもたらす銀河光なんて物騒なものよりも風に舞い踊る花びらの方が色鮮やかで、生命の輝きに満ちていて、ずっと美しいでしょう？」
　この審判、望の勝ちである。
『それが星々の判断なら……仕方ない』

　滅びをもたらす銀河光を撃ち込んだが、それも望は躱していき。十二剣神『黄道神ゾディアック』は広がる花びらを見ながら削られていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「さて、黄道神とは大きくでたね。私の家族には星に縁が深いものが多いゆえ、思うところがある訳ではないが、求められた挑戦はうけよう」
　陽輝は十二剣神『黄道神ゾディアック』へと目線を向ける。
「私は舞台プロデューサーだ。神に満足していただけるかわからないが全力を尽くそう」
『ふむ。では見させてもらおうか。その美しさを』

　十二剣神『黄道神ゾディアック』は、頭上全てを覆い尽くす超新星の煌めきを披露し白き光を纏う星神に変身し、中性子線を降らせ始める。

　それに対し、陽輝は攻撃を防ぎつつUC《黎明の音楽隊》を発動して、300体を超えるピクシーの楽団が現れて歌と踊りを披露する。まるで大規模なミュージカルだ。
「これで満足いただけたかな？」

　歌魔法が十二剣神『黄道神ゾディアック』の身体へと響いていく。
『確かに、これは美しいな……』
　うっとりする十二剣神『黄道神ゾディアック』。審判が下された先は言うまでもなく、陽輝であった。

　悔やむ事なく十二剣神『黄道神ゾディアック』はうっとりと音色を聞き入れる。その間に撒かれたゆりかごは陽輝が確保したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「(さて、せっかくですし、もう少し戦っていきますか。敵の勢いを削げば、その分決戦配備の建築がはかどりますからね)」
　エリーは天空を見上げた。

「(先程の審判で、星々は私から目を離せないでしょう。となればやることは一つ。ここからファンサのお時間です)」
『今度は何をする気だ……？』

　「神の目」とも呼ばれるヘリックス星雲が広がっていく。それらに向かってUC《寵姫の瞳》の魅惑の視線を魅せたエリー。

　するとどうだろうか、ヘリックス星雲も、滅びをもたらす銀河光も、空に輝く全てが魅了される。
『ぐあああっ!!?』
　銀河光が己へ反抗するとは思わず、十二剣神『黄道神ゾディアック』は血反吐を吐いた。

「星々の力。この美しくも輝かしいユーベルコード。これが常にアナタの味方だと思ったなら、大きな間違いです。さぁ、今度はアナタが審判を受ける番ですよ」
　エリーは十二剣神『黄道神ゾディアック』へと審判の刻を告げる。
『ふふ……そう来るとは、ね』
　十二剣神『黄道神ゾディアック』は身体を抑えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「人の世から爪弾かれる｜人外《わたしたち》の足掻き。永い時間をかけて築き、今なお進化する理想郷。強く、気高く、美しく。これが私達の生き様」
　ドゥルールはUC《永遠の愛》でドーピングと気合いのレベルを1580にして超強化する。

『ふむ……強化するUCか。それでどう戦うつもりかな』
　頭上全てを覆い尽くす超新星の煌めきを魅せ、白き光を纏う星神に変身して戦場内の敵全てを攻撃する中性子線を降らせ始めた十二剣神『黄道神ゾディアック』。

　それに対し水のバリアーで弾いて黒き光の雨を降らせ、逆に攻撃を与えようとするドゥルール。
　媚毒の呪詛が十二剣神『黄道神ゾディアック』へと染み込んでいく。
『こ……これは……』

　中性子線に勝った黒き光の雨の力で魅了されていく十二剣神『黄道神ゾディアック』。ドゥルールの抱擁と濃厚なキスで包み込まれていった。
「私もまた永久不滅の揺り籠。この子達のように、貴女にも永遠の救済を」
『ああ……何だろう、この心地良さは』

　ゆっくりと海に溺れるような快感で、十二剣神『黄道神ゾディアック』は堕ちていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2025年05月24日